JP3008458U - ヘルメット用衝撃吸収構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量で衝撃吸収特性に優れたヘルメット用衝
撃吸収構造。 【構成】 人の頭部形状を模した形状に形成され、かつ
剛性を有し、外部から加えられる衝撃力を全体に分散す
る帽体２と、該帽体２の内側に形成され、微小気泡が密
に重なりあって全体として弾力を有する発泡樹脂材から
なり、帽体２から伝達される衝撃力を吸収する発泡樹脂
材層２３とを備えたヘルメット用衝撃吸収構造におい
て、前記発泡樹脂材層２３には、個々に独立した大気泡
が平面的に列設された気泡緩衝材からなる気泡緩衝材層
６が積層されたものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、人の頭部を外部衝撃から保護するヘルメット用衝撃吸収構造に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種のヘルメット用衝撃吸収構造をヘルメット断面図である図５によ り説明する。図５において、ヘルメット１は、帽体２、発泡樹脂材層３、内装材 ４で主に構成される。帽体２は、ＦＲＰ、ＡＢＳ、ＰＣ等の剛性を有する合成樹 脂からなり、図示するように、人の頭部形状を模した形状に形成される。発泡樹 脂材層３は、発泡ポリスチレン等の微小気泡が密に重なりあって全体として弾力 を有する発泡樹脂材からなり、前記帽体２の内側に形成される。そして、この発 泡樹脂材層３の内側に内装材４が施され、さらに前記発泡樹脂材層３の下端はゴ ム製のフタ部材５で塞がれて製品としての体裁が整えられる。

【０００３】 このヘルメットに外部から衝撃が加えられると、まず帽体２の剛性により衝撃 力が帽体全体に分散される。つぎに、この分散された衝撃力が帽体２から発泡樹 脂材層３に加わると、その弾力性により衝撃力の一部が吸収され、頭部に伝達さ れる衝撃力が減少して頭部が保護される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

近年、このヘルメットによる頭部保護の程度に対する一層の向上が求められる ようになってきた。そこで、上述した発泡樹脂材層に代わり、ゴムを用いること も考えられるが、ヘルメットの重量が重くなり使用感が悪くなる。このように、 上述のヘルメット用衝撃吸収構造では衝撃吸収特性を向上させようとすると重く なるという問題点があった。

【０００５】 本考案は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり 、その目的とするところは、軽量で衝撃吸収特性に優れたヘルメット用衝撃吸収 構造を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために本考案のヘルメット用衝撃吸収構造は、人の頭部形 状を模した形状に形成され、かつ剛性を有し、外部から加えられる衝撃力を全体 に分散する帽体と、該帽体の内側に形成され、微小気泡が密に重なりあって全体 として弾力を有する発泡樹脂材からなり、帽体から伝達される衝撃力を吸収する 発泡樹脂材層とを備えたヘルメット用衝撃吸収構造において、前記発泡樹脂材層 には、個々に独立した大気泡が平面的に列設された気泡緩衝材からなる気泡緩衝 材層が積層されたものである。

【０００７】 また、前記気泡緩衝材層は、発泡樹脂材層と帽体との間に形成されてなるもの とすることもできる。

【０００８】 また、前記気泡緩衝材の大気泡は内部の空気が出入りするオリフィスと自己復 元機能とを有するものとすることもできる。

【０００９】

【作用】

気泡緩衝材層に列設された個々に独立した大気泡は従来の密に重なり合った微 小気泡に比べて大きな弾力性を有するので衝撃吸収特性に優れる。この場合にお いて、形状保性に優れる発泡樹脂材層と積層されているため、一定の形状保持性 も維持される。また、気泡緩衝材層は気泡が大きいため比重が軽くなって軽量化 される。

【００１０】 また、気泡緩衝材層を発泡樹脂材層と帽体との間に形成すると、発泡樹脂材層 により頭部に対する形状保持性が確保されるので、気泡緩衝材層の弾力性を大き く設定することができ、より衝撃吸収特性を高めることができ、かつ設計の自由 度が大きくなる。

【００１１】 また、気泡緩衝材の大気泡は内部の空気が出入りするオリフィスと自己復元機 能とを有するものとすると、オリフィスの径、気泡の構成材料の弾性等を変化さ せることにより気泡の弾力性を設定することが容易となるとともに、衝撃力の程 度に応じて変形し、衝撃力がなくなると自然に元の形に復元する。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を参照しつつ説明する。図１は本考案のヘ ルメット用衝撃吸収構造を示す断面図、図２は気泡緩衝材の構造を示す部分断面 図、図３及び図４は他の気泡緩衝材を示す斜視図である。なお、図１において、 図５と同様な作用を有する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。

【００１３】 まず、図１により構成を説明する。図１において、図５と主に異なる点は、図 ５の発泡樹脂材層３単独の衝撃吸収層に代えて、略同じ厚みｔ１、ｔ２をそれぞ れ有する発泡樹脂材層２３と気泡緩衝材層６とが積層された衝撃吸収層２０が設 けられている点である。この両者の厚みｔ１、ｔ２の比は弾力性、形状保持性を 考慮して適宜設定される。また、帽体２と気泡緩衝材層６との間にケプラー材の 如きマット材層２１が設けられているが、帽体２の耐割れ性向上のための補強用 であり、本考案の任意の構成要素であって必須の構成要素ではない。図示例では 、気泡緩衝材層６が帽体２と発泡樹脂材層２３との間に位置する構成となってい るが、逆の構成としてもよい。ただし、図示するように構成すると、発泡樹脂材 層２３により頭部に対する形状保持性が確保されるので、気泡緩衝材層６の弾力 性を大きく設定することができ、より衝撃吸収特性を高めることができ、かつ設 計の自由度が大きくなる。

【００１４】 つぎに、気泡緩衝材層に用いられる気泡緩衝材１１を図２により説明する。図 ２において、気泡緩衝材１１は塩化ビニール等の樹脂製のシート１２の表面に小 さな円筒状の気泡（小室）７が多数規則的に並べて一体的に突設されたものであ る。シート１２は気泡７が形成された薄膜層２８を基材層２７上に熱シール等に より貼り合わせたものである。気泡７は周面８が蛇腹状に形成されて自己復元性 を有し、上面中央部に小径のオリフィス９が開口している。この気泡７は２〜１ ５ｍｍ程度の径を有し、従来の発泡樹脂材の気泡と比べれば大気泡を構成してい る。この気泡緩衝材１１は１層で又は複数積層されて用いられる。

【００１５】 この気泡緩衝材１１が押圧されると（矢印方向）気泡７は内部１０の空気が オリフィス９で圧力損失を生じつつ該オリフィス９から排出されて（矢印２４） 縮み（二点鎖線）、この圧力損失が押圧力に対する反発力すなわち空気弾性とし て作用する。このように、反発しつつ変形することにより衝撃力を吸収する。し かもオリフィス９を有するため、わずかの衝撃力に対しても空気が流出して機能 する。上記空気弾性は、オリフィス９の径や、気泡７の大きさ等を変化させるこ とにより適宜設定することができる。押圧力が消滅すると、気泡７は蛇腹８の反 発力により伸び（矢印方向）、オリフィス９から空気が内部に吸入されて（矢 印２５）元の形状に戻る。従って常時は本来の形状が維持される。

【００１６】 つぎに、このヘルメット用衝撃構造の作用を図１により説明する。外部から衝 撃が加わり帽体２により分散された衝撃力は、気泡緩衝材層６の大きな弾力によ り、また一部は発泡樹脂材層２３の弾力によりそれぞれ吸収され、大幅に減少さ せらて頭部に伝達される。従って従来より優れた衝撃吸収特性が得られる。

【００１７】 つぎに、図３及び図４により気泡緩衝材の変形例を説明する。図３において、 図２と異なる点は、気泡１５が蛇腹を有しない単なる立方体状であり、従って自 己復元性を持たせるべく内部に圧縮バネ２６を有している点である。シート１２ は図２の場合と同様に、気泡１５が形成された薄膜層２８と基材層２７の２層構 造であり、気泡１５内に圧縮バネ２６を挿入後、両層２７、２８が貼り合わされ る。また、本気泡緩衝材１４は図示するように、通常２層向かい合わせで用いら れる。本気泡緩衝材１４を用いても図２の場合と同様の効果を得ることができる 。

【００１８】 図４において、図２と異なる点は、気泡１８がオリフィスを有せず、破れ可能 な薄膜からなり内部に空気が密封された立法体形状のものである点である。本気 泡緩衝材１７は、押圧されると多数存在する気泡１８の内一部のものが破れるこ とにより衝撃を吸収する。本気泡緩衝材１７によっても図２の場合と同様に優れ た衝撃吸収特性が得られるが、自己復元性がないため、簡略化した構造のものに 用いられる。

【００１９】 なお、上記の気泡緩衝材の気泡の形状及び配列はいずれも図示のものは例示で あり、これらに限られず、円筒、立法体の他、６角柱、８角柱、半球等任意の形 状、及び千鳥状、格子状等任意の配列とすることができる。また、気泡を設ける 密度も任意であるが高密度である方が好ましい。

【００２０】

【考案の効果】

本考案のヘルメット用衝撃吸収構造は、上述のように、帽体と、帽体の内側に 形成された発泡樹脂材層とを備えたヘルメット用衝撃吸収構造において、発泡樹 脂材層に、個々に独立した大気泡が平面的に列設された気泡緩衝材からなる気泡 緩衝材層が積層されたものであるため、軽量で優れた衝撃吸収特性を有する。ま た、気泡緩衝材層を発泡樹脂材層と帽体との間に形成すると、形状保持性が確保 され、より衝撃吸収特性を高めることができ、かつ設計の自由度を大きくするこ とができる。さらに、気泡緩衝材の大気泡を内部の空気が出入りするオリフィス と自己復元機能とを有するものとすると、オリフィスの径、気泡の構成材料の弾 性等を変化させることにより気泡の弾力性を設定することが容易となるとともに 、わずかの衝撃力に対しても機能し、衝撃力がなくなると本来の形に復元する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のヘルメット用衝撃吸収構造を示す断面
図である。

【図２】気泡緩衝材の構造を示す部分断面図である。

【図３】他の気泡緩衝材を示す斜視図である。

【図４】他の気泡緩衝材を示す斜視図である。

【図５】従来のヘルメット用衝撃吸収構造を示す断面図
である。

【符号の説明】

２ 帽体 ６ 気泡緩衝材層 ７ 大気泡（気泡） ９ オリフィス １１ 気泡緩衝材 １４ 気泡緩衝材 １７ 気泡緩衝材 ２３ 発泡樹脂材層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 竹田 勝 茨城県新治郡千代田町上稲吉向原1764−１ センサー・テクノロジー株式会社 筑波 事業所内

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 人の頭部形状を模した形状に形成され、
   かつ剛性を有し、外部から加えられる衝撃力を全体に分
   散する帽体と、該帽体の内側に形成され、微小気泡が密
   に重なりあって全体として弾力を有する発泡樹脂材から
   なり、帽体から伝達される衝撃力を吸収する発泡樹脂材
   層とを備えたヘルメット用衝撃吸収構造において、前記
   発泡樹脂材層には、個々に独立した大気泡が平面的に列
   設された気泡緩衝材からなる気泡緩衝材層が積層された
   ことを特徴とするヘルメット用衝撃吸収構造。
2. 【請求項２】 前記気泡緩衝材層は、発泡樹脂材層と帽
   体との間に形成されてなることを特徴とする請求項１に
   記載のヘルメット用衝撃吸収構造。
3. 【請求項３】 前記気泡緩衝材の大気泡は内部の空気が
   出入りするオリフィスと自己復元機能とを有することを
   特徴とする請求項１に記載のヘルメット用衝撃吸収構
   造。
4. 【請求項４】 前記気泡緩衝材の大気泡は内部の空気が
   出入りするオリフィスと自己復元機能とを有することを
   特徴とする請求項２に記載のヘルメット用衝撃吸収構
   造。