JP3008227U - 緊急遮断弁 - Google Patents
緊急遮断弁Info
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 ハンチング現象を防止できる緊急遮断弁を提
供する。 【構成】 円筒形をした弁室45の一方の端部と側部に
入側流路46と出側流路47をそれぞれ接続し、前記弁
室45の他方の端部に蓋66を裝着した弁箱41と、前
記弁箱41の内部を移動する弁体42と、前記弁体42
を前記蓋66に押圧するコイルばね43とを備え、前記
弁体42は切欠き57を有する短管54を前側に突設し
た頭部55と前記頭部55の後端側に一体に形成した本
体部56とを有しており、前記短管54は前記入側流路
46の末端部に進退自在に嵌入しており、前記本体部5
6の背面側には前記弁室45の軸線と同心に2個の円筒
状凹所60,62が穿設されており、前記蓋66の内側
に突設した円筒状頭部72aが中心側の円筒状凹所62
に摺動自在に嵌合して本体部56の背面側に2つのダン
パー室70,76を形成していることを特徴とする。
供する。 【構成】 円筒形をした弁室45の一方の端部と側部に
入側流路46と出側流路47をそれぞれ接続し、前記弁
室45の他方の端部に蓋66を裝着した弁箱41と、前
記弁箱41の内部を移動する弁体42と、前記弁体42
を前記蓋66に押圧するコイルばね43とを備え、前記
弁体42は切欠き57を有する短管54を前側に突設し
た頭部55と前記頭部55の後端側に一体に形成した本
体部56とを有しており、前記短管54は前記入側流路
46の末端部に進退自在に嵌入しており、前記本体部5
6の背面側には前記弁室45の軸線と同心に2個の円筒
状凹所60,62が穿設されており、前記蓋66の内側
に突設した円筒状頭部72aが中心側の円筒状凹所62
に摺動自在に嵌合して本体部56の背面側に2つのダン
パー室70,76を形成していることを特徴とする。
Description
【0001】
本考案は、水又は油等の圧力流体によって駆動される荷役機械および建設機械 等を含む各種産業用機械の圧力配管に取り付けられる緊急遮断弁、特に緊急遮断 弁が作動した際のハンチング現象を効果的に防止できる等の利点を有する緊急遮 断弁に関するものである。
【0002】
油圧を駆動源とするフォークリフト等の荷役機械には、例えば図20に示すよ うな油圧回路が用いられており、荷物1の上昇時にはポンプ2を始動してタンク 3から作動油を汲み上げ、これを操作回路4のチェック弁5およびフレキシブル ホース6を含む圧力配管を介して油圧シリンダ7の下部に送り、リリーフ弁8で 回路の昇圧防止を行いながらピストンロッド9を伸長させて荷物1を持ち上げ、 荷物1が所定の高さに到達したところでポンプ2を止め、操作回路4中のチェッ ク弁5および電磁切換弁10のチェック機能を利用して荷物1を上昇位置に保持 し、一方、下降時にはポンプ2を停止しておいて電磁切換弁10を作動させ、油 圧シリンダ7からの戻り油を流量調整弁12に導き、流量を抑制しながらタンク 3に戻し、荷物1を降下させるようにしている。
【0003】 しかし、前記の圧力配管において、フレキシブルホース6が老化等の原因で破 断すると、作動油が外部に流出して荷物1が落下する危険があるため、フレキシ ブルホース6の下流側に緊急遮断弁13を設けて安全を確保する必要があり、こ のため、種々の型式の緊急遮断弁が提案されている。
【0004】 図21は遮断流量を調節できる緊急遮断弁の一例を示すもので(詳細は実開平 5−71555号を参照)、遮断流量の調節は雄筒体14と雌筒体15を結合し ているねじ16の送りを利用し、弁座17と弁体頭部18間のギャップδを変化 させることによって行われる。
【0005】 具体的には、調節用把手兼回り止めの役割をもつスリーブ19をコイルばね2 0の弾撥力に抗して外方(矢印a)にずらし、目盛りA,B,……を目安にして スリーブ19を正又は逆方向に回転する。 尚、スリーブ19の内周面には、雄筒体14と雌筒体15の各外周部分に刻ん だ雄形スプライン22,23に同時に係合する雌形スプライン(図示せず)が刻 まれており、常時は、図示の位置にあって調節位置がずれないようになっている 。
【0006】 また、別の緊急遮断弁として、例えば、フォークリフトを操作して最高位置ま で持ち上げた荷物を降下させる際等、瞬間的に大流量の戻り油が緊急遮断弁に流 入したときの誤動作を防止するものがある(詳細は実願平5−68440号を参 照)。
【0007】 この緊急遮断弁は図22および図23に示すように、弁体24の円板部25の 背面側に環状突起26を設け、この環状突起26を弁室27内の環状溝28の中 に嵌入させてダンパー室29を形成したもので、このダンパー室29は環状突起 26の外周面と環状溝28の内周面の間に設けた環状隙間α,αを介して弁室2 7と導通しており、ダンパー室29が弁体24の急速な動きを一時的に抑制する ので、緊急遮断弁の誤動作を防止することができる。
【0008】
しかし、従来の緊急遮断弁には次に述べるような問題点があった。 (1)遮断流量を調節するには雄筒体14に接続する配管30(図21参照)を 取り外し、調節後は再び配管30を接続する必要があるので、調節を行うための 段取りが厄介である。
【0009】 (2)緊急遮断弁が作動したのち、弁体頭部18が弁座17から離間して再度、 荷物が落下する場合があるが、図21および図22の緊急遮断弁はいずれもこの 種の事故に対処することが困難である。
【0010】 すなわち、図24に示すように、例えば油圧ショベルが土砂を持ち上げた状態 で旋回中、油圧シリンダ7aに圧油を供給するホース(図示せず)が断裂して緊 急遮断弁(図示せず)が作動した場合等、荷物の重量、機械の姿勢、その他種々 の要因が重なり合って機械全体が大きく傾くことがあるが(仮想線参照)、この 場合、一旦、退縮したピストンロッド9aは機械の姿勢が元に戻って地面に着地 し、更にバウンドした際の反動によって油圧シリンダ7aから引き抜かれる方向 に動き、この結果、遮断状態にある弁体が弁座から離間し、荷物が再度、落下す る。
【0011】 また、機械全体が大きく傾斜しないまでも、弁体が流路を遮断した際のショッ クによって圧力配管の内部に水撃現象(ウォータハンマー)を生じ、弁体が弁座 に座着したり、弁座から離間する動作の繰り返し、いわゆるハンチング現象を起 こすことがあるが、従来の緊急遮断弁はこの問題についても対処することが困難 であった。
【0012】 本考案は前述の問題点に鑑み、緊急遮断弁が作動した際のハンチング現象を防 止できる緊急遮断弁を提供することを第1の課題とし、更には遮断流量の調整を 容易に行い得る緊急遮断弁を提供することを第2の課題とする。
【0013】
前記の課題を達成するため、本考案では次の2通りの手段を構成した。 (請求項1) 円筒形をした弁室の一方の端部と側部に入側流路と出側流路を それぞれ接続し、前記弁室の他方の端部に蓋を裝着した弁箱と、前記弁箱内に移 動自在に収容した弁体と、前記弁体を前記蓋に押圧するコイルばねとを備え、前 記弁体は切欠きを有する短管を前側に突設した頭部と前記頭部の後端側に一体に 形成した本体部とを有しており、前記短管は前記切欠きの開口が前記弁室と入側 流路の内部を移動するように前記入側流路の末端部に進退自在に嵌入しており、 前記本体部は弁室の内壁に沿って摺動する円筒部と、前記円筒部の背面側に弁室 の軸線と同心に穿設した1個又は2個の円筒状凹所と、本体部を前後方向に貫通 する細孔とを有しており、前記蓋の内側に突設した円筒状頭部が中心側の円筒状 凹所に摺動自在に嵌合して本体部の背面側に2つのダンパー室を形成しており、 前記2つのダンパー室のいずれかが前記細孔を介して弁室に連通していることを 特徴とする緊急遮断弁。 (請求項2) 円筒状頭部が、蓋の中心部を貫通し且つ貫通孔に刻んだねじに 係合して進退自在に支持されている調整棒の先端部である請求項1に記載の緊急 遮断弁。
【0014】
(1)弁体の本体部の背面側に2つのダンパー室を形成するので、従来に比べて ダンパー室を大きく設定することが可能となり、また、2つのダンパー室がほぼ 直列に作用するので、ダンピング効果を高めることができる。 (2)弁体の短管に設けた切欠きが流量制御弁の役割を果たすので、切欠きの開 口が閉鎖又は開放する直前直後の流量の時間的変化が小さい。 従って、水撃現象が発生し難く、またこの現象が発生した場合でも圧力波のエ ネルギーが小さい。
【0015】 (3)切欠きの開口を通る粘性流体の流量特性は、薄刃オリフィスの場合と同様 に温度変化の影響を受けないので、油温が変化した場合でも安定した作動を行う ことができる。 (4)前記(1)(2)項の結果、緊急遮断弁が作動した際のハンチング現象を 防止することが可能になり、また機械が大きく傾いて弁体が弁座から離間するよ うな事態が発生した場合でも、荷物が再度、落下するおそれがない。
【0016】 (5)前記(1)項に述べたようにダンピング効果が大きいので、機械が過大な 荷物を持ち上げたのち降下させる場合等、瞬間的に大流量の流体が緊急遮断弁に 流入した場合、従来のものに比べて更に確実に誤動作を防止することが可能にな り、定格流量と遮断流量の差を縮小することができる。
【0017】 (6)請求項2によると、遮断流量を調節する調節棒は弁室の中心線の延長線上 にあり、一方、出側流路は弁室の側部に接続しているので、調節棒を操作する際 に配管を取り外す必要がなく、遮断流量の調節作業を容易に行うことができる。
【0018】
以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図1ないし図9は本考案の 第1の実施例を示すもので、この実施例の主要部は弁箱41と、弁体42と、コ イルばね43と、遮断流量調整機構44等によって構成されている。
【0019】 弁箱41は鋼材又は黄銅材を機械加工してつくった中空構造の部品で、弁箱4 1の内部には、円筒形をした弁室45と、この弁室45の一方の端部に同芯に接 続した円形断面の入側流路46と、この入側流路46に直交するように前記弁室 45の側部に接続する出側流路47が穿孔されており、前記弁室45の他方の端 部は、ねじ48及びシールリング49を介して弁室45内にねじ込んだ遮断流量 調節機構44によって密閉されている。
【0020】 入側流路46の内径は弁室45の内径より小さく設定されており、弁室45に 接続する開口の周縁部は円錐面状に加工されて弁座50を形成している。そして 、弁座50を取り囲む弁室の前壁はコイルばね43の一端を受け止めている。
【0021】 尚、図1中の符号52,53はいずれも配管接続用ねじで、入側流路46は図 示していない圧力配管を介して油圧ポンプ(図20参照)の吐出側に接続されて おり、出側流路47は図示していない配管を介して油圧駆動装置(油圧シリンダ 装置又は油圧アクチュエータ等)に接続されている。
【0022】 弁体42は鋼材又は黄銅材の丸棒を機械加工してつくられており、前側に短管 54を突設した頭部55と、この頭部55の後端側に一体に形成した円錐体状の 本体部56等によって構成されており、前記短管54は入側流路46の末端部に 進退自在に嵌入している。
【0023】 短管54の先端部には図3ないし図5に示すようにほぼ半円形をした2個の切 欠き57,57が設けられている。この切欠き57,57は弁内を流れる流体の 流量を制御するためのもので、弁体42の移動に伴って弁室45に臨む切欠きの 開口58(ハッチングを施して示す)の大きさが緩やかに変化するようになって いる。
【0024】 すなわち弁体42が弁室45の後端側に位置するとき、切欠きの開口58の大 きさは最大であり、弁体42が前方に移動するのに従って、開口の大きさが逐次 、減少し、頭部55が弁座50に到達する少し前に開口の大きさがゼロ、すなわ ち切欠きの開口58は入側流路46の内壁面によって閉鎖される。そして、弁体 42が更に前進すると頭部55が弁座50に着座して流れが完全に遮断されるよ うになっている。
【0025】 本体部56は弁室45の内壁面に沿って摺動する円筒部59と、この円筒部5 9の背面側に穿設した円筒状の第1の凹所60と、この第1の凹所60の中心部 に穿設した円筒状の第2の凹所62と、本体部56の前面から第1の凹所60に 連通する細孔63等によって構成されており、前記第1の凹所60と蓋66の内 側の間に第1のダンパー室70が形成されている。
【0026】 遮断流量調節機構44は外側の端部に円板状のフランジ65を一体に取り付け た蓋66と、この蓋66の中心部に設けた貫通孔61を貫通し、且つ貫通孔61 の中間部分に設けたねじに係合して貫通孔の中を前進及び後退する調節棒67と 、この調節棒67に相対回転不能に嵌合した目盛指示金具68と、調節棒67の 端部に近いところで調節棒67に螺合する締付ナット69等によって構成されて いる。
【0027】 調節棒67は前記第2の凹所62の中に摺動自在に嵌入する円筒状の頭部72 と、貫通孔61のねじに係合するねじ部73と、締付ナット69に係合するねじ 部74と、溝75等からなり、弁体42が前進すると、前記第2の凹所62と頭 部72の間に第2のダンパー室76が形成されるようになっている(図7〜図9 参照)。
【0028】 目盛指示金具68は円環状部材77の外側に指針78を取り付けたもので、調 節棒67の外周に設けたスプライン79に相対回転不能に係合しており、締付ナ ット69を締め付けると、ねじ部73と貫通孔のねじ山相互間の摩擦力が増大し て調節棒67が蓋66に固定されるようになっている。
【0029】 次に、この実施例による緊急遮断弁の取扱要領および作動について説明する。 遮断流量を調節する際は、ドライバー(図示せず)の先端を調節棒67の溝7 5の中に挿入し、指針78が所定の目盛(例えば4)を指示するまで調節棒67 を回転し、その後、締付ナット69を締め付けて調節棒67を固定する。 この操作によって、弁体42は弁室45内を前進又は後進し、図6に示すよう に、切欠きの開口58(ハッチングを施して示す)が目盛に対応した大きさに設 定される。
【0030】 ここで、緊急遮断弁が作動すると、圧力流体は切欠きの開口58を通って出側 流路47から入側流路46に流れ、開口の大きさと流量に対応した圧力降下を生 じ、この圧力降下に対応してコイルばね43が短縮し、弁体42は矢印b方向に 前進する(図7参照)。 この際、圧力流体の一部は細孔63を通ってダンパー室70および76内に徐 々に侵入するが、充満することはない。従ってダンパー室70,76は減圧状態 となってその体積が増大し弁体42の動きを抑制する。
【0031】 かくして、弁体42が前進運動を継続し、弁体の頭部55が弁座50に接近す ると、図8に示すように切欠きの開口58が入側流路46の内壁面によって閉鎖 され、圧力流体の流出がほぼ停止する。
【0032】 ここで、切欠きの開口58の閉鎖によって行き場を失った圧力流体は、主とし て細孔63を通って第1のダンパー室70の中に流入し、更に、円筒状頭部72 と第2の凹所62間の摺動部を通って、第2のダンパー室76の中に流入する。 この際、圧力流体一部は円筒部59と弁室内壁間の摺動部を通って第1ダンパー 室に流入するが、この流入量は細孔63を通る流入量に比べてはるかに小さい。 かくして、第1および第2のダンパー室70,76が圧力流体で充満すると、 出側流路47と入側流路46間の圧力差によって弁体42が更に前進し、弁体の 頭部55が弁座50に着座したところで圧力流体の流出が完全に停止する(図9 参照)。
【0033】 従来の回転体で形成した弁頭部が弁座に着座する直前直後では、流量の時間的 変化が非常に大きいため、水撃現象が発生しやすいが、本考案では、弁体42の 動きに従って切欠きの開口58の大きさが漸次、減少し、切欠きの開口58を通 る流体の圧力降下も漸次、減少するので、流れが遮断されたときのショックが小 さい。従って、水撃現象が発生し難く、また発生しても圧力波のエネルギーが小 さい。
【0034】 また、従来のダンパー室に比べて容積が大きく、更に、2つのダンパー室70 ,76を流体で充満するためには、圧力流体が先ず、細孔63を通って第1のダ ンパー室70に充満し、次に円筒状頭部72と第2の凹所62間の摺動部を通過 しなければならないので、ダンピングの効果が大きい。従って、従来のものに比 べて弁体42の動きが著しく抑制される。
【0035】 従って弁のハンチング現象を防止することができる。また、機械が過大な荷物 を持ち上げたのち降下させる場合等、瞬間的に大流量の流体が緊急遮断弁に流入 した場合、従来のものに比べて更に確実に誤動作を防止することが可能になり、 定格流量と遮断流量の差を縮小することができる。 また更に、切欠きの開口を通る粘性流体の流量特性は、薄刃オリフィスの場合 と同様に温度変化の影響を受けないので、油温が変化した場合でも安定した作動 を行うことができる。
【0036】 次に、弁体42が図9の状態にあるとき、圧力管内に発生した水撃現象又は機 械の傾斜、復原等の原因によって弁体頭部55が弁座50から離間する場合につ いて説明する。 弁体42が運動を起こすためには、先ず、第1および第2のダンパー室70, 76内の流体を排除する必要があるが、ダンパー室の容積が従来のものに比べて 大きく、また弁体42が図の右方に僅かに移動すると、第1および第2のダンパ ー室70,76は図8に示すように円筒状頭部72によって仕切られることにな るので、第2のダンパー室76内の圧力流体は円筒状頭部72と第2の凹所62 間の摺動部および細孔63を通って弁室45内に排出される。従って、ダンピン グの効果が大きく、弁体42の動きが著しく抑制される。
【0037】 従って、弁体を離間させようとする瞬間的な外的原因が消滅するまで弁体は閉 鎖状態を保持することが可能になり、荷物が再度、落下するという危険を防止す ることができる。また、配管中に水撃現象が発生しても、弁体がハンチングを起 こすおそれがない。
【0038】 図4に示す短管の変形を図10に示す。この変形は短管54の先端部に4個の 切欠き57,57,57,57を設けたもので、それ以外は図3と変わるところ はない。 尚、切欠きの個数は2箇又は4箇以外でもよく、切欠きの位置は短管の円周方 向に等間隔に設置される。
【0039】 切欠きの変形を図11および図12に示す。これ等の変形は切欠き57の形状 を半円状に形成する代りに矩形状又はV字状に形成したもので、それ以外は図3 と変わるところはない。
【0040】 本考案の第2の実施例を図13および図14に示す。この実施例は図1の遮断 流量調節機構を省略してその代わりに蓋66の内側に円筒状頭部72aを一体に 突設し、この円筒状頭部72aを本体部の第2の凹所62の中に摺動自在に嵌入 したもので、これ以外は第1の実施例と変わるところはない。
【0041】 本考案の第3の実施例を図15に示す。この実施例は弁室45と第2の凹所6 2が連通するように細孔63aを穿孔したもので、前記細孔63aは第2の凹所 62の中心部に設けた小さいくぼみ64の中に開口している。
【0042】 本考案の第4の実施例を図16に示す。この実施例は弁体の本体部背面側の中 心部に円筒状の凹所62aを1箇だけ設け、この凹所62aの中に一定断面の円 筒状頭部72bを摺動自在に嵌入したもので、それ以外は第2の実施例と変わる ところはない。
【0043】 この実施例によると、図17に示すように弁体42が遮断位置にあっても、円 筒状頭部72bが第1および第2のダンパー室70,76を完全に分離している ので、ダンパー効果を更に高めることができる。
【0044】 本考案の第5の実施例を図18および図19に示す。この例は油圧シリンダ8 1の底部に直接裝着できる緊急遮断弁を示すもので、この実施例における出側流 路は弁箱41aを貫通して弁室45の側部に開口する所要数の孔82で示されて おり、この孔82は円周方向に等間隔で穿孔されている。また、弁箱41aの外 周部にはねじ83が刻まれており、このねじ83は油圧シリンダ81に固着した ボス84のねじ孔に係合している。
【0045】 また入側流路46を取り囲む弁箱41aの端部には六角ナット状の管接続金具 85が一体に取り付けられており、矢印C方向から供給された圧油は矢印に示す ように、孔82,82を通って油圧シリンダ81の底部に導かれ、ピストン86 を持ち上げてピストンロッド87を伸長させるようになっている。
【0046】 尚、本考案は前述の実施例のみに限定されるものではなく、例えば図15およ び図16に示す緊急遮断弁において、蓋の代りに遮断流量調節機構を装着しても よいこと。また、図19に示す緊急遮断弁は、遮断流量を調節できるものであっ てもよいこと等、その他本考案の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加え得 ることは勿論である。
【0047】
以上に述べたように本考案は次の優れた効果を発揮する。 (1)弁体の本体部の背面側に2つのダンパー室を形成するので、従来に比べて 、ダンパー室を大きく設定することが可能となり、また、2つのダンパー室がほ ぼ直列に作用するので、ダンピング効果を高めることができる。 (2)弁体の短管に設けた切欠きが流量制御弁の役割を果たすので、切欠きの開 口が閉鎖又は開放する直前直後の流量の時間的変化が小さい。 従って、水撃現象が発生し難く、またこの現象が発生した場合でも圧力波のエ ネルギーが小さい。
【0048】 (3)切欠きの開口を通る粘性流体の流量特性は、薄刃オリフィスの場合と同様 に温度変化の影響を受けないので、油温が変化した場合でも安定した作動を行う ことができる。 (4)前記(1)(2)項の結果、緊急遮断弁が作動した際のハンチング現象を 防止することが可能になり、また機械が大きく傾いて弁体が弁座から離間するよ うな事態が発生した場合でも、荷物が再度、落下するという危険を防止すること ができる。
【0049】 (5)前記(2)項に述べたようにダンピング効果が大きいので、機械が過大な 荷物を持ち上げたのち降下させる場合等、瞬間的に大流量の流体が緊急遮断弁に 流入した場合、従来のものに比べて更に確実に誤動作を防止することが可能にな り、定格流量と遮断流量の差を縮小することができる。
【0050】 (6)請求項2によると、遮断流量を調節する調節棒は弁室の中心線の延長線上 にあり、一方出側流路は弁室の側部に接続しているので、調節棒を操作する際に 配管を取り外す必要がなく、遮断流量の調節作業を容易に行うことができる。
【図1】本考案の第1の実施例の切断側面図である。
【図2】図1におけるII−II方向からの矢視図であ
る。
る。
【図3】図1における弁体の側面図である。
【図4】図3におけるIV−IV方向からの矢視図であ
る。
る。
【図5】図3におけるV−V方向からの矢視図である。
【図6】第1の実施例の作動状態の説明図である。
【図7】同じく作動状態の説明図である。
【図8】同じく作動状態の説明図である。
【図9】同じく作動状態の説明図である。
【図10】図4における短管の変形を示す切断正面図で
ある。
ある。
【図11】図3における切欠きの変形を示す側面図であ
る。
る。
【図12】同じく切欠きの別の変形を示す側面図であ
る。
る。
【図13】本考案の第2の実施例の切断側面図である。
【図14】図13におけるXIV−XIV方向からの矢
視図である。
視図である。
【図15】本考案の第3の実施例の切断側面図である。
【図16】本考案の第4の実施例の切断側面図である。
【図17】第4の実施例の作動状態の説明図である。
【図18】本考案の第5の実施例を裝着した油圧シリン
ダ装置の部分を示す切断図である。
ダ装置の部分を示す切断図である。
【図19】図18におけるXIX部の拡大図である。
【図20】荷役機械の油圧回路の説明図である。
【図21】従来の緊急遮断弁の切断側面図である。
【図22】従来の別の緊急遮断弁の切断側面図である。
【図23】図22におけるY部の拡大図である。
【図24】油圧ショベルが大きく傾いた状態を示す説明
図である。
図である。
41,41a 弁箱 42 弁体 43 コイルばね 45 弁室 46 入側流路 47 出側流路 54 短管 55 頭部(弁体) 56 本体部 57 切欠き 58 切欠きの開口 59 円筒部 60 第1の凹所 61 貫通孔 62 第2の凹所 63,63a 細孔 66 蓋 67 調節棒 70 第1のダンパー室 72,72a,72b 円筒状頭部 76 第2のダンパー室
Claims (2)
- 【請求項1】 円筒形をした弁室の一方の端部と側部に
入側流路と出側流路をそれぞれ接続し、前記弁室の他方
の端部に蓋を裝着した弁箱と、前記弁箱内に移動自在に
収容した弁体と、前記弁体を前記蓋に押圧するコイルば
ねとを備え、 前記弁体は切欠きを有する短管を前側に突設した頭部と
前記頭部の後端側に一体に形成した本体部とを有してお
り、 前記短管は前記切欠きの開口が前記弁室と入側流路の内
部を移動するように前記入側流路の末端部に進退自在に
嵌入しており、 前記本体部は弁室の内壁に沿って摺動する円筒部と、前
記円筒部の背面側に弁室の軸線と同心に穿設した1個又
は2個の円筒状凹所と、本体部を前後方向に貫通する細
孔とを有しており、 前記蓋の内側に突設した円筒状頭部が中心側の円筒状凹
所に摺動自在に嵌合して本体部の背面側に2つのダンパ
ー室を形成しており、 前記2つのダンパー室のいずれかが前記細孔を介して弁
室に連通していることを特徴とする緊急遮断弁。 - 【請求項2】 円筒状頭部が、蓋の中心部を貫通し且つ
貫通孔に刻んだねじに係合して進退自在に支持されてい
る調整棒の先端部である請求項1に記載の緊急遮断弁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1994010539U JP3008227U (ja) | 1994-08-25 | 1994-08-25 | 緊急遮断弁 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1994010539U JP3008227U (ja) | 1994-08-25 | 1994-08-25 | 緊急遮断弁 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3008227U true JP3008227U (ja) | 1995-03-07 |
Family
ID=43144064
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1994010539U Expired - Lifetime JP3008227U (ja) | 1994-08-25 | 1994-08-25 | 緊急遮断弁 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3008227U (ja) |
-
1994
- 1994-08-25 JP JP1994010539U patent/JP3008227U/ja not_active Expired - Lifetime
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