JP3007694B2 - 胃潰瘍予防または治療のための医薬及び飲食品 - Google Patents
胃潰瘍予防または治療のための医薬及び飲食品Info
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- JP3007694B2 JP3007694B2 JP2410695A JP41069590A JP3007694B2 JP 3007694 B2 JP3007694 B2 JP 3007694B2 JP 2410695 A JP2410695 A JP 2410695A JP 41069590 A JP41069590 A JP 41069590A JP 3007694 B2 JP3007694 B2 JP 3007694B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、χ−カゼイングリコマ
クロペプチドまたはその酵素分解物を有効成分とする胃
潰瘍予防または治療のための医薬及び飲食品に関する。
クロペプチドまたはその酵素分解物を有効成分とする胃
潰瘍予防または治療のための医薬及び飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】抗潰瘍剤には、胃液の消化作用を抑える
制酸剤と、胃液分泌そのものを抑える抗コリン剤、抗ガ
ストリン剤、ヒスタミン受容体拮抗剤などがある。しか
し、炭酸水素ナトリウムなどの制酸剤は、即効性がある
ものの作用持続時間が短く、長期の大量投与によりアル
カローシスを誘発したり、炭酸カルシウム製剤は、尿路
結石の原因となる高カルシウム血症、マグネシウム剤
は、下痢が発生しやすいという欠点がある。また、抗コ
リン剤も口渇、便秘、心悸亢進などの副作用があり、か
ならずしも満足すべき抗潰瘍剤とはいえない。さらに、
抗ガストリン剤の主流となるペプチド製剤は、ウロガス
トロンやセクレチンのように、動物の尿や臓器から精製
しなければならないため、製造コストが高く、かつ製造
量にも限界がある。
制酸剤と、胃液分泌そのものを抑える抗コリン剤、抗ガ
ストリン剤、ヒスタミン受容体拮抗剤などがある。しか
し、炭酸水素ナトリウムなどの制酸剤は、即効性がある
ものの作用持続時間が短く、長期の大量投与によりアル
カローシスを誘発したり、炭酸カルシウム製剤は、尿路
結石の原因となる高カルシウム血症、マグネシウム剤
は、下痢が発生しやすいという欠点がある。また、抗コ
リン剤も口渇、便秘、心悸亢進などの副作用があり、か
ならずしも満足すべき抗潰瘍剤とはいえない。さらに、
抗ガストリン剤の主流となるペプチド製剤は、ウロガス
トロンやセクレチンのように、動物の尿や臓器から精製
しなければならないため、製造コストが高く、かつ製造
量にも限界がある。
【0003】また、最近ではヒスタミン受容体拮抗剤が
開発されたが、投与をやめると潰瘍が再発しやすいとい
う問題点を抱えている。特にストレスの多い現代社会で
は、胃潰瘍の生涯罹病率は20%といわれ、再発する確
率も80%以上と非常に高く、再発した場合には再び抗
潰瘍剤の投与を開始しなければならない。すなわち、一
度胃潰瘍に罹った患者は、定期的に医薬品である抗潰瘍
剤を飲み続けなければならなず、副作用の少ない薬を用
いたとしても、人体に与える影響がまったくないとは言
いきれない。
開発されたが、投与をやめると潰瘍が再発しやすいとい
う問題点を抱えている。特にストレスの多い現代社会で
は、胃潰瘍の生涯罹病率は20%といわれ、再発する確
率も80%以上と非常に高く、再発した場合には再び抗
潰瘍剤の投与を開始しなければならない。すなわち、一
度胃潰瘍に罹った患者は、定期的に医薬品である抗潰瘍
剤を飲み続けなければならなず、副作用の少ない薬を用
いたとしても、人体に与える影響がまったくないとは言
いきれない。
【0004】このような状況から、胃液の分泌抑制効果
が高く、副作用などの危険性を伴わないばかりか、比較
的安価に製造できる抗潰瘍剤、あるいは慢性疾患ともい
える潰瘍の発症や再発を予防する機能性を備えた食品素
材の提供が強く求められている。
が高く、副作用などの危険性を伴わないばかりか、比較
的安価に製造できる抗潰瘍剤、あるいは慢性疾患ともい
える潰瘍の発症や再発を予防する機能性を備えた食品素
材の提供が強く求められている。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】本発明は、上に述
べたような従来の抗潰瘍剤にみられる問題点を解決し、
潰瘍の慢性疾患としての特徴を鑑みなされたものであ
る。すなわち、比較的安価な原料から得られ、胃液分泌
抑制効果が良好であり、潰瘍を治療するための医薬とし
てのみならず、潰瘍の発症や再発を防止するための機能
性食品あるいは病態食としても利用できる物質を提供す
ることを課題とする。
べたような従来の抗潰瘍剤にみられる問題点を解決し、
潰瘍の慢性疾患としての特徴を鑑みなされたものであ
る。すなわち、比較的安価な原料から得られ、胃液分泌
抑制効果が良好であり、潰瘍を治療するための医薬とし
てのみならず、潰瘍の発症や再発を防止するための機能
性食品あるいは病態食としても利用できる物質を提供す
ることを課題とする。
【0006】ChernikovとStan(XXI
International Dairy Congr
ess,Moscow,vol.1,Book2,p
p.161,1982)はχ−カゼインのペプシン分解
物をイヌの血中に投与する実験を行ない、この分解物の
中に胃液の分泌を抑制する物質と、促進する物質がある
ことを示唆したが、その報告の中では、具体的な実験デ
ータについて何も述べられていない。その後しばらく関
連の報告はなかったが、1987年にGuillote
auら(Reprod.Nutr.Develop.,
27,287−288,1987)は、カゼインマクロ
ペプチドを子ウシに静注投与しても、胃液の分泌量に変
化がなかったと報告している。このように、乳蛋白質を
酸素分解して得られたペプチドの胃液分泌抑制効果につ
いては、いまだ明確に結論が出されていないのが現状で
ある。
International Dairy Congr
ess,Moscow,vol.1,Book2,p
p.161,1982)はχ−カゼインのペプシン分解
物をイヌの血中に投与する実験を行ない、この分解物の
中に胃液の分泌を抑制する物質と、促進する物質がある
ことを示唆したが、その報告の中では、具体的な実験デ
ータについて何も述べられていない。その後しばらく関
連の報告はなかったが、1987年にGuillote
auら(Reprod.Nutr.Develop.,
27,287−288,1987)は、カゼインマクロ
ペプチドを子ウシに静注投与しても、胃液の分泌量に変
化がなかったと報告している。このように、乳蛋白質を
酸素分解して得られたペプチドの胃液分泌抑制効果につ
いては、いまだ明確に結論が出されていないのが現状で
ある。
【0007】本発明者らは、このような背景にあって、
チーズ製造時に生成するホエー、ホエー蛋白質濃縮物、
除蛋白質チーズホエーなどの、ホエー蛋白質含有溶液を
原料として得られるχ−カゼイングリコマクロペプチド
(以下GMPと略す)による胃液分泌抑制効果につい
て、ラットを使って鋭意検討を重ね、GMPが静注で投
与された場合のみならず、経口的に投与された場合にも
顕著な胃液分泌抑制効果及び抗潰瘍効果を示すことを見
いだし、本発明をなすに至った。
チーズ製造時に生成するホエー、ホエー蛋白質濃縮物、
除蛋白質チーズホエーなどの、ホエー蛋白質含有溶液を
原料として得られるχ−カゼイングリコマクロペプチド
(以下GMPと略す)による胃液分泌抑制効果につい
て、ラットを使って鋭意検討を重ね、GMPが静注で投
与された場合のみならず、経口的に投与された場合にも
顕著な胃液分泌抑制効果及び抗潰瘍効果を示すことを見
いだし、本発明をなすに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、胃液分泌抑制
作用を有するGMPまたはそれを分解したペプチドを有
効成分とする胃潰瘍予防または治療のための医薬及び飲
食品に関する。
作用を有するGMPまたはそれを分解したペプチドを有
効成分とする胃潰瘍予防または治療のための医薬及び飲
食品に関する。
【0009】GMPは、チーズ製造時にホエーのなかに
遊離してくることは昔から知られており、原料としてチ
ーズホエーあるいはチーズホエーを限外濾過して製造さ
れたホエー蛋白濃縮物、または加熱などの方法でホエー
蛋白質を沈澱させて除去したチーズホエーや、乳糖母液
を用いることができる。GMPを工業的に製造するため
には、特公昭59−27358号公報に開示された方法
を用いることができるが、この方法では高純度のGMP
を得ることができない。
遊離してくることは昔から知られており、原料としてチ
ーズホエーあるいはチーズホエーを限外濾過して製造さ
れたホエー蛋白濃縮物、または加熱などの方法でホエー
蛋白質を沈澱させて除去したチーズホエーや、乳糖母液
を用いることができる。GMPを工業的に製造するため
には、特公昭59−27358号公報に開示された方法
を用いることができるが、この方法では高純度のGMP
を得ることができない。
【0010】純度の高いGMPを得るためには、特開平
2−276542号公報の方法、あるいは特願平2−9
5686号公報記載の方法を用いるとよい。また、レン
ネットカゼインカードを製造した残余の液から、特開昭
63−284199号公報に開示された方法で、GMP
を得ることもできる。このようにして得たGMPを、溶
液状態のまま抗潰瘍剤として用いてもよいが、通常、噴
霧乾燥あるいは凍結乾燥の手段によって乾燥し、粉末状
態で用いる。尚、GMPは熱に対して安定なために、乾
燥工程の前に殺菌工程を入れることはさらに望ましい。
2−276542号公報の方法、あるいは特願平2−9
5686号公報記載の方法を用いるとよい。また、レン
ネットカゼインカードを製造した残余の液から、特開昭
63−284199号公報に開示された方法で、GMP
を得ることもできる。このようにして得たGMPを、溶
液状態のまま抗潰瘍剤として用いてもよいが、通常、噴
霧乾燥あるいは凍結乾燥の手段によって乾燥し、粉末状
態で用いる。尚、GMPは熱に対して安定なために、乾
燥工程の前に殺菌工程を入れることはさらに望ましい。
【0011】このようにして得たGMPは、製造工程の
中でpHを下げることにより、あるいはシアリダーゼの
ような酵素で処理することにより糖鎖中のシアル酸を除
いたり、ペプシン、トリプシン、あるいはアクチナーゼ
のような酵素で処理してもよい。これらの酵素を使用す
るときは、GMPを酵素の至適pH付近の緩衝液に溶解
し、至適温度で所要時間酵素処理を行なう。得られる酵
素処理GMPを沸騰水等で加熱処理して酵素を失活さ
せ、これを酵素処理GMPとして使用する。あるいは、
この酵素処理GMPをさらにクロマトグラフィ等で精製
して使用してもよい。
中でpHを下げることにより、あるいはシアリダーゼの
ような酵素で処理することにより糖鎖中のシアル酸を除
いたり、ペプシン、トリプシン、あるいはアクチナーゼ
のような酵素で処理してもよい。これらの酵素を使用す
るときは、GMPを酵素の至適pH付近の緩衝液に溶解
し、至適温度で所要時間酵素処理を行なう。得られる酵
素処理GMPを沸騰水等で加熱処理して酵素を失活さ
せ、これを酵素処理GMPとして使用する。あるいは、
この酵素処理GMPをさらにクロマトグラフィ等で精製
して使用してもよい。
【0012】上述のようにして得たGMPは、糖衣錠や
タブレット、もしくはカプセルなどの経口抗潰瘍剤とし
て用いることができる。また、各種飲食品、たとえば清
涼飲料水、果汁飲料、醗酵飲料、ゼリー、アイスクリー
ムなどに添加することにより、抗潰瘍食品として用いら
れる。さらにガムやキャンディーなどの菓子類にも添加
することができる。
タブレット、もしくはカプセルなどの経口抗潰瘍剤とし
て用いることができる。また、各種飲食品、たとえば清
涼飲料水、果汁飲料、醗酵飲料、ゼリー、アイスクリー
ムなどに添加することにより、抗潰瘍食品として用いら
れる。さらにガムやキャンディーなどの菓子類にも添加
することができる。
【0013】尚、本抗潰瘍物質の構成成分であるGMP
は、乳成分に由来するペプチドであり、経口的に摂取す
る場合には人体に及ぼす悪影響は何らみられず、その摂
取量については特に制限はない。しかし、実際に抗潰瘍
剤あるいは潰瘍治療あるいは予防食品として経口摂取す
る場合は、0.1〜1000mg/Kg体重/日が適当であ
り、望ましくは1〜100mg/Kg体重/日である。すな
わち、0.1mg/Kg体重/日以下では効果が認められ
ず、副作用はないものの1000mg以上投与しても効果
の顕著な上昇がみられない。本発明では、前記ペプチド
を多量にしかも連続的に長期間投与できる点に特徴があ
る。
は、乳成分に由来するペプチドであり、経口的に摂取す
る場合には人体に及ぼす悪影響は何らみられず、その摂
取量については特に制限はない。しかし、実際に抗潰瘍
剤あるいは潰瘍治療あるいは予防食品として経口摂取す
る場合は、0.1〜1000mg/Kg体重/日が適当であ
り、望ましくは1〜100mg/Kg体重/日である。すな
わち、0.1mg/Kg体重/日以下では効果が認められ
ず、副作用はないものの1000mg以上投与しても効果
の顕著な上昇がみられない。本発明では、前記ペプチド
を多量にしかも連続的に長期間投与できる点に特徴があ
る。
【0014】また、上述のようにして得たGMPを、さ
らに陰イオン交換樹脂で精製し、高純度のGMPを得て
から、注射液や製剤などの医薬品として用いることもで
きる。GMPは、乳由来のペプチドとはいえ、抗原性が
ほとんどないと言われており、アレルギー症状などを引
き起こす可能性も低く、注射液としての投与量は、0.
01〜100mg/Kg体重/日程度、望ましくは0.1〜
10mg/kg体重/日程度が適当である。すなわち、0.
01mg/Kg体重/日以下では効果がなく、100mg/Kg
体重/日以上では、副作用は認められず何ら障害はない
ものの、特に効果の上昇はみられない。
らに陰イオン交換樹脂で精製し、高純度のGMPを得て
から、注射液や製剤などの医薬品として用いることもで
きる。GMPは、乳由来のペプチドとはいえ、抗原性が
ほとんどないと言われており、アレルギー症状などを引
き起こす可能性も低く、注射液としての投与量は、0.
01〜100mg/Kg体重/日程度、望ましくは0.1〜
10mg/kg体重/日程度が適当である。すなわち、0.
01mg/Kg体重/日以下では効果がなく、100mg/Kg
体重/日以上では、副作用は認められず何ら障害はない
ものの、特に効果の上昇はみられない。
【0015】経口投与の場合も注射による投与の場合
も、1日1回投与してもよいし、また数回に分けて投与
してもよい。
も、1日1回投与してもよいし、また数回に分けて投与
してもよい。
【0016】
【発明の効果】本発明による抗潰瘍剤の作用効果を要約
すると、次のとおりである。 (1)通常食品として摂取している乳由来のペプチドで
あるため、投与することで副作用の心配がない。 (2)食品である乳を原料にしているため、従来の抗潰
瘍剤に比べて製造コストが非常に安い。 (3)従来の抗潰瘍剤と比べて大量に調製できるため、
医薬品としてのみならず、食品素材としても広範囲に利
用できる。
すると、次のとおりである。 (1)通常食品として摂取している乳由来のペプチドで
あるため、投与することで副作用の心配がない。 (2)食品である乳を原料にしているため、従来の抗潰
瘍剤に比べて製造コストが非常に安い。 (3)従来の抗潰瘍剤と比べて大量に調製できるため、
医薬品としてのみならず、食品素材としても広範囲に利
用できる。
【0017】以下、実施例に基づき本発明を具体的に説
明する。
明する。
【0018】
【実施例1】本例は、本発明による抗潰瘍物質の静注投
与試験における胃液分泌抑制効果を示したものである。 〔試験方法〕 16時間絶食させ、かつ2時間給水を制限したウイスタ
ー系ラット(雄、7カ月令、各群8匹)に、生理食塩水
に溶かした本発明によるGMPを0.01,0.1,
1,10,100mg/Kg、β−ラクトグロブリンを1mg
/Kg体重、あるいは生理食塩水だけを静注し、ただちに
胃幽門部を結紮した。4時間後に胃幽門部も結紮して胃
を摘出し、胃内に溜まった胃液を回収して容量を測定す
ると共に、滴定により酸度を測定した。添付の表1に示
すとおり、GMPを0.1mg/Kg体重以上投与した群で
は、胃液分泌量が有意に低下した。
与試験における胃液分泌抑制効果を示したものである。 〔試験方法〕 16時間絶食させ、かつ2時間給水を制限したウイスタ
ー系ラット(雄、7カ月令、各群8匹)に、生理食塩水
に溶かした本発明によるGMPを0.01,0.1,
1,10,100mg/Kg、β−ラクトグロブリンを1mg
/Kg体重、あるいは生理食塩水だけを静注し、ただちに
胃幽門部を結紮した。4時間後に胃幽門部も結紮して胃
を摘出し、胃内に溜まった胃液を回収して容量を測定す
ると共に、滴定により酸度を測定した。添付の表1に示
すとおり、GMPを0.1mg/Kg体重以上投与した群で
は、胃液分泌量が有意に低下した。
【0019】
【表1】
【0020】
【実施例2】GMPを、シアリダーゼ処理することによ
り調製した脱シアル酸GMPと、トリプシン処理するこ
とにより調製した加水分解GMPの、静注投与試験にお
ける胃液分泌抑制効果を示したものである。
り調製した脱シアル酸GMPと、トリプシン処理するこ
とにより調製した加水分解GMPの、静注投与試験にお
ける胃液分泌抑制効果を示したものである。
【0021】〔GMPの酵素処理〕 脱シアル酸GMPは、GMP25mgを0.1M酢酸緩衝
液(pH5)2.5mlに溶解し、シアリダーゼ1.25
mgを加えて、30℃で30分間インキュベートした。沸
騰水中で10分間加熱して酵素を失活させた後、所定濃
度に希釈した。シアル酸除去率は、極東シアル酸測定キ
ットを使い、遊離のシアル酸量ならびに結合型シアル酸
量を測定することにより算出した。GMPのトリプシン
処理は、GMP60mgを、0.1Mトリス緩衝液(pH
8)6mlに溶解し、トリプシン0.6mgを加えて、37
℃で30分間インキュベートした。沸騰水中で10分間
加熱し酵素を失活させた後、所定濃度に希釈した。トリ
プシン分解率は、NOVO Enzyme Infor
mation(November AF95/1−G
B,1970)の方法に従い、平均残基数を測定して算
出した。
液(pH5)2.5mlに溶解し、シアリダーゼ1.25
mgを加えて、30℃で30分間インキュベートした。沸
騰水中で10分間加熱して酵素を失活させた後、所定濃
度に希釈した。シアル酸除去率は、極東シアル酸測定キ
ットを使い、遊離のシアル酸量ならびに結合型シアル酸
量を測定することにより算出した。GMPのトリプシン
処理は、GMP60mgを、0.1Mトリス緩衝液(pH
8)6mlに溶解し、トリプシン0.6mgを加えて、37
℃で30分間インキュベートした。沸騰水中で10分間
加熱し酵素を失活させた後、所定濃度に希釈した。トリ
プシン分解率は、NOVO Enzyme Infor
mation(November AF95/1−G
B,1970)の方法に従い、平均残基数を測定して算
出した。
【0022】〔試験方法〕 16時間絶食させ、かつ2時間給水を制限したウイスタ
ー系ラット(雄、7カ月令、各群8匹)に、生理食塩水
に溶かした実施例2による脱シアル酸GMP(シアル酸
除去率95%)を1mg/Kg体重、あるいはトリプシン加
水分解GMP1mg/Kg体重を静注し、ただちに胃幽門部
を結紮した。GMPの加水分解率は、41%、および6
8%であった。4時間後に胃噴門部も結紮して胃を摘出
し、胃内に溜った胃液を回収して容量を測定すると共
に、摘定により酸度を測定した。表2に示す通り、脱シ
アル酸GMP群、あるいは加水分解GMP群において、
未処理GMP群と同等の胃酸分泌量の低下がみられた。
ー系ラット(雄、7カ月令、各群8匹)に、生理食塩水
に溶かした実施例2による脱シアル酸GMP(シアル酸
除去率95%)を1mg/Kg体重、あるいはトリプシン加
水分解GMP1mg/Kg体重を静注し、ただちに胃幽門部
を結紮した。GMPの加水分解率は、41%、および6
8%であった。4時間後に胃噴門部も結紮して胃を摘出
し、胃内に溜った胃液を回収して容量を測定すると共
に、摘定により酸度を測定した。表2に示す通り、脱シ
アル酸GMP群、あるいは加水分解GMP群において、
未処理GMP群と同等の胃酸分泌量の低下がみられた。
【0023】
【表2】
【0024】
【実施例3】本例は、本発明の抗潰瘍物質の経口投与試
験における、胃液分泌抑制効果を示したものである。 〔試験方法〕 16時間絶食し、かつ2時間給水を制限したウイスター
系ラット(雄、7カ月令、各群8匹)に、0.2mlの水
に溶かした本発明によるGMPを0.1,1,10,1
00,1000mg/Kg体重、あるいは水だけを経口投与
し、1時間後に胃幽門部を結紮した。4時間後に胃噴門
部も結紮して胃を摘出し、胃内に溜まった胃液を回収し
て容量を測定すると共に、滴定により酸度を測定した。
表3に示す通り、GMPを1mg/Kg体重以上投与した群
では、胃酸分泌量が有意に低下した。
験における、胃液分泌抑制効果を示したものである。 〔試験方法〕 16時間絶食し、かつ2時間給水を制限したウイスター
系ラット(雄、7カ月令、各群8匹)に、0.2mlの水
に溶かした本発明によるGMPを0.1,1,10,1
00,1000mg/Kg体重、あるいは水だけを経口投与
し、1時間後に胃幽門部を結紮した。4時間後に胃噴門
部も結紮して胃を摘出し、胃内に溜まった胃液を回収し
て容量を測定すると共に、滴定により酸度を測定した。
表3に示す通り、GMPを1mg/Kg体重以上投与した群
では、胃酸分泌量が有意に低下した。
【0025】
【表3】
【0026】
【実施例4】本例は、本発明による抗潰瘍物質の静注投
与試験における、胃潰瘍治療効果を示したものである。 〔試験効果〕 16時間絶食したウイスター系ラット(雄、8週令、各
群6匹)に、70%エタノールを0.5ml経口投与し、
ただちに生理食塩水に溶かした本発明によるGMPを1
mg/Kg体重、β−ラクトグロブリンを1mg/Kg体重、あ
るいは生理食塩水だけを静注した。5時間後に胃を摘出
して大湾切開し、粘膜面を生理食塩水で洗浄した後、潰
瘍度を観察した。潰瘍度は、粘膜出血病巣の程度に応じ
て6段階に分けた。表4に示す通り、GMPを投与した
群で、明らかな潰瘍の軽減が見られた。
与試験における、胃潰瘍治療効果を示したものである。 〔試験効果〕 16時間絶食したウイスター系ラット(雄、8週令、各
群6匹)に、70%エタノールを0.5ml経口投与し、
ただちに生理食塩水に溶かした本発明によるGMPを1
mg/Kg体重、β−ラクトグロブリンを1mg/Kg体重、あ
るいは生理食塩水だけを静注した。5時間後に胃を摘出
して大湾切開し、粘膜面を生理食塩水で洗浄した後、潰
瘍度を観察した。潰瘍度は、粘膜出血病巣の程度に応じ
て6段階に分けた。表4に示す通り、GMPを投与した
群で、明らかな潰瘍の軽減が見られた。
【0027】
【表4】 潰瘍度:0=胃粘膜に潰瘍がみられない。1=発赤の
み。2=1個の出血びらん。3=2〜5個の出血びら
ん。4=6〜9個の出血びらん。5=10個以上の出血
びらん。(平均値±標準偏差(n=6))
み。2=1個の出血びらん。3=2〜5個の出血びら
ん。4=6〜9個の出血びらん。5=10個以上の出血
びらん。(平均値±標準偏差(n=6))
【0028】
【実施例5】本例は、本発明の抗潰瘍物質を潰瘍予防用
食品に用いた例を示すものである。 (1)潰瘍予防用乳飲料の製造 GMPを用い下記配合により潰瘍予防用乳飲料を調製し
た。
食品に用いた例を示すものである。 (1)潰瘍予防用乳飲料の製造 GMPを用い下記配合により潰瘍予防用乳飲料を調製し
た。
【0029】
【表5】
【0030】上記配合に基づき、脱脂乳23.1g、ブ
ドウ糖15g、ビタミン類0.06g、ヨーグルトフレ
ーバー0.54g、およびGMP3gを、60℃に加熱
した温水100mlに溶解した液に、サフラワー油6gと
シュガーエステル(商品名DKF160)0.3gを6
0℃で混合したものを、TKホモミキサーで攪拌しなが
ら徐々に滴下し乳化した。これを90℃で5分間加熱殺
菌した後、10℃に冷却し、製品とした。また、上記配
合表からGMPだけを除いた乳飲料も、同様に製造し
た。次に、これらの乳飲料をラットに与えて、抗潰瘍効
果を調べた。
ドウ糖15g、ビタミン類0.06g、ヨーグルトフレ
ーバー0.54g、およびGMP3gを、60℃に加熱
した温水100mlに溶解した液に、サフラワー油6gと
シュガーエステル(商品名DKF160)0.3gを6
0℃で混合したものを、TKホモミキサーで攪拌しなが
ら徐々に滴下し乳化した。これを90℃で5分間加熱殺
菌した後、10℃に冷却し、製品とした。また、上記配
合表からGMPだけを除いた乳飲料も、同様に製造し
た。次に、これらの乳飲料をラットに与えて、抗潰瘍効
果を調べた。
【0031】〔試験方法〕 絶食開始と同時に上記GMPを含む乳飲料、あるいはG
MPだけを除いて製造した乳飲料を自由に飲ませたウイ
スター系ラット(雄、8週令、各群6匹)に、16時間
後70%アルコールを0.5mlずつ投与した。さらに5
時間後に胃を摘出して大湾切開し、粘膜面を生理食塩水
で洗浄した後、潰瘍度を観察した。表4に示す通り、G
MPを含む乳飲料を投与した群で、明らかな潰瘍の軽減
がみられた。
MPだけを除いて製造した乳飲料を自由に飲ませたウイ
スター系ラット(雄、8週令、各群6匹)に、16時間
後70%アルコールを0.5mlずつ投与した。さらに5
時間後に胃を摘出して大湾切開し、粘膜面を生理食塩水
で洗浄した後、潰瘍度を観察した。表4に示す通り、G
MPを含む乳飲料を投与した群で、明らかな潰瘍の軽減
がみられた。
【0032】(2)胃潰瘍予防用ゼリーの製造 GMPで下記表6に示す配合により潰瘍予防用のゼリー
を製造した。
を製造した。
【0033】
【表6】
【0034】上記配合により、砂糖、ゼラチン、GMP
を水50mlに加え、80℃で加熱して溶解し、これにプ
ルーンエキスを加えて攪拌した後、容器に移して冷却し
た。また、GMPを含まないゼリーも、同様に製造し
た。
を水50mlに加え、80℃で加熱して溶解し、これにプ
ルーンエキスを加えて攪拌した後、容器に移して冷却し
た。また、GMPを含まないゼリーも、同様に製造し
た。
【0035】次に、これらのゼリーをラットに与えて、
胃潰瘍予防効果を調べた。 〔試験方法〕 16時間絶食したウイスター系ラット(雄、8週令、各
群6匹)に、上記のGMPを含むゼリー、あるいはGM
Pを含まないゼリーを2gずつ投与した。1時間後70
%アルコールを0.5mlずつ投与し、さらに5時間後に
胃を摘出して大湾切開し、粘膜面を生理食塩水で洗浄し
た後、潰瘍度を観察した。表4に示す通り、GMPを含
むゼリーを投与した群で、明らかな潰瘍の軽減がみられ
た。
胃潰瘍予防効果を調べた。 〔試験方法〕 16時間絶食したウイスター系ラット(雄、8週令、各
群6匹)に、上記のGMPを含むゼリー、あるいはGM
Pを含まないゼリーを2gずつ投与した。1時間後70
%アルコールを0.5mlずつ投与し、さらに5時間後に
胃を摘出して大湾切開し、粘膜面を生理食塩水で洗浄し
た後、潰瘍度を観察した。表4に示す通り、GMPを含
むゼリーを投与した群で、明らかな潰瘍の軽減がみられ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−225377(JP,A) 特開 平2−276542(JP,A) 特開 平2−207089(JP,A) 特開 平2−300137(JP,A) E.Ya.Stan et al., “Effect of x−casei n glycomacropeptid e on gastroin test inal motility in d ogs”,1983,Bulletin E xperimental Biolog y and Medicine,vo l.96,p889−891 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 38/00 A23C 9/158 A23L 1/305 A61K 38/17 CA(STN)
Claims (3)
- 【請求項1】 χ−カゼイングリコマクロペプチド、糖
鎖中のシアル酸残基を除去したχ−カゼイングリコマク
ロペプチド及び蛋白分解酵素で加水分解したχ−カゼイ
ングリコマクロペプチドよりなる群から選択されるペプ
チドの1種又は2種以上を含有せしめたことを特徴とす
る胃潰瘍予防または治療剤。 - 【請求項2】 剤型が経口剤である請求項1に記載の胃
潰瘍予防または治療剤。 - 【請求項3】 χ−カゼイングリコマクロペプチド、糖
鎖中のシアル酸残基を除去したχ−カゼイングリコマク
ロペプチド及び蛋白分解酵素で加水分解したχ−カゼイ
ングリコマクロペプチドよりなる群から選択されるペプ
チドの1種又は2種以上を含有せしめたことを特徴とす
る胃潰瘍予防または治療用飲食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2410695A JP3007694B2 (ja) | 1990-12-14 | 1990-12-14 | 胃潰瘍予防または治療のための医薬及び飲食品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2410695A JP3007694B2 (ja) | 1990-12-14 | 1990-12-14 | 胃潰瘍予防または治療のための医薬及び飲食品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04210647A JPH04210647A (ja) | 1992-07-31 |
JP3007694B2 true JP3007694B2 (ja) | 2000-02-07 |
Family
ID=18519815
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2410695A Expired - Fee Related JP3007694B2 (ja) | 1990-12-14 | 1990-12-14 | 胃潰瘍予防または治療のための医薬及び飲食品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3007694B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
SK11212002A3 (sk) * | 2000-02-04 | 2003-01-09 | Soci�T� Des Produits Nestl� S.A. | Použitie proteínového zdroja, spôsob zachovania syntézy mucínov v tele pacienta a výživový prípravok |
-
1990
- 1990-12-14 JP JP2410695A patent/JP3007694B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
E.Ya.Stan et al.,"Effect of x−casein glycomacropeptide on gastroin testinal motility in dogs",1983,Bulletin Experimental Biology and Medicine,vol.96,p889−891 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04210647A (ja) | 1992-07-31 |
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