JP3007213B2 - 自動車用レーダ装置 - Google Patents

自動車用レーダ装置

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JP3007213B2 JP4029806A JP2980692A JP3007213B2 JP 3007213 B2 JP3007213 B2 JP 3007213B2 JP 4029806 A JP4029806 A JP 4029806A JP 2980692 A JP2980692 A JP 2980692A JP 3007213 B2 JP3007213 B2 JP 3007213B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電波を利用して車両前
方に存在する物体を検出する自動車用レーダ装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】車両の前方に存在する物体を検出し、検
出結果に応じて車両の操縦者への警報やブレーキシステ
ムの制御を行う前方警戒装置には、電波応用による装
置、すなわち自動車用レーダ装置がある。この用途に
は、例えばパルスレーダやFM−CWレーダ等を用いる
ことができる。
【0003】また、道路外に存在する物体について“道
路上に存在する”との誤検出を行ったり、逆に道路上に
存在する物体の検出漏れを生じたりすることは、この種
のレーダ装置としては好ましくない。すなわち、送受信
空中線共同のメインローブ幅(ビーム幅)が路幅と一致
しているのが好ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実際には、安
価小型な装置でこの要請を満たすのは難しい。まず、前
方警戒のため、近距離から遠距離までの広い範囲に亘っ
て上記要請を満たす必要があるが、例えば車両前方10
0mの地点で路幅と同じビーム幅を得ようとすると、空
中線の形状が大きくなり、乗用車に取り付けるのが難し
い程となる。また、サイドローブを用いて近似的に指向
性を改善するとの考えもあるが、この場合特性は十分な
ものとならない。さらに、電波ビームを旋回走査して等
価的にメインローブを広げるとの考えもあるが、この場
合、装置構成が複雑になるのが避けられない。
【0005】本発明は、このような問題点を解決するこ
とを課題としてなされたものであり、より簡素な手段を
用い、かつ乗用車にも搭載可能な小型の空中線を用いつ
つ、近距離から遠距離までの範囲に亘って空中線のビー
ム幅を等価的に路幅一杯に制御することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の請求項1は、物体存否検出の対象と
する距離に応じて送信機の送信電力を制御する制御手段
を備え、送信電力制御により送信用空中線及び受信用空
中線共同のビーム幅を距離にかかわらず等価的に路幅一
杯に広がったビーム幅とすることを特徴とする。
【0007】また、本発明の請求項2は、物体存否検出
の対象とする距離に応じて受信機の利得を制御する制御
手段を備え、受信利得制御により送信用空中線及び受信
用空中線共同のビーム幅を距離にかかわらず等価的に路
幅一杯に広がったビーム幅とすることを特徴とする。
【0008】なお、送信用空中線及び受信用空中線は送
受共用空中線として構成するのが好ましい。
【0009】
【作用】請求項1においては、物体存否検出の対象とす
る距離に応じて送信機の送信電力が制御される。この制
御は、送信用空中線及び受信用空中線共同のビーム幅を
距離にかかわらず等価的に路幅一杯に広がったビーム幅
とするよう行われる。したがって、送信電力制御という
比較的簡素かつ小型な手段で、また乗用車にも搭載可能
な小型の空中線により、特性が向上した装置が得られ
る。
【0010】また、請求項2においては、請求項1の送
信電力制御に代えて、受信利得が制御される。このよう
な手段によっても、請求項1と同様の作用が得られる。
【0011】なお、送信用空中線及び受信用空中線を送
受共用空中線として構成した場合、装置構成が簡素とな
る。
【0012】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について図面に
基づき説明する。
【0013】図1には、本発明の第1実施例に係る自動
車用レーダ装置の構成が示されている。この図に示され
る装置は、空中線として送信用空中線10及び受信用空
中線12を有している。
【0014】送信用空中線10は、車両の前部に配置さ
れ車両前方に電波を送信する。この空中線10により送
信されるのは、送信機14から出力される測距用信号で
ある。送信機14は、所定周波数の搬送波をPN信号発
生器16により生成される擬似雑音信号(pseudo noise
signal :PN信号)により変調して出力する。
【0015】また、受信用空中線12も車両の前部に配
置される。この受信用空中線12は、車両前方の物体か
らの反射波を受信する。この空中線12の出力は、受信
機18により増幅等の処理が施された上で、相関器20
に入力される。
【0016】この実施例はいわゆるスペクトラム拡散を
用いて精密な測距を行う構成であり、前述のPN信号発
生器16、相関器20及び遅延器22は、そのための構
成である。すなわち、PN信号発生器16により送信に
用いられたPN信号は、遅延器22により遅延され、相
関器20は受信信号と遅延器22の出力との相関を検出
する。相関器20により相関を求めた結果、受信信号と
遅延器22の出力とが一致しているときには、遅延器2
2による遅延量が電波を反射した物体と車両との距離を
表している。信号検出器24は、相関器20から出力が
得られているか否か、すなわち当該遅延量に対応する距
離の物体からの反射信号が受信信号に含まれているか否
かを検出する。これにより、当該物体の存否を知ること
ができる。さらに、制御器26が遅延量を適当な順序で
制御することにより、所定の距離範囲内を走査すること
ができる。
【0017】このように、本実施例においては、車両前
方所定距離における物体の存否を検出でき、検出結果に
応じて操縦者に警報したり、あるいはブレーキシステム
の制御を行う等の対処が可能となる。また、スペクトラ
ム拡散の応用により高い距離分解能を得ることができ
る。
【0018】なお、PN信号は、1チップ=10/10
23μsec,1エポック=10μsec,符号長=1
023ビットの如く、十分な距離分解能を得られるよう
に設定する。使用する系列は、例えばM系列でよい。
【0019】本実施例が特徴とするところは、この制御
器26により、検出対象に係る距離に応じて送信機14
の送信電力が制御される点にある。次に、図2を用いて
この動作及び作用について説明する。
【0020】図2(a)には、送信用空中線10及び受
信用空中線12共同の指向性が、曲線群…S,S
n−1,S,Sn+1,…により示されている。こ
の図において、X−X´は道路の中心線であり、R,R
´は道路の左右端(道側)である。図中道路の中心線X
−X´上の一端に示されている送信用空中線10は、測
距用信号を前方に送信する。測距用信号は、前方に存在
する物体により反射され、受信用空中線12により受信
される。上記指向性曲線群…S,S…S −1,S
,Sn+1,…は、それぞれ、受信電力がS(d
B)(N=…0,n−1n+1,…)となる
地点を結んだ曲線であり、隣接する指向性曲線の電力差
…S−S,S−S,…Sn−1−S,S
n+1…は、ΔS(dB)である。指向性曲線S
は、路側R,R´に接する指向性曲線である。
【0021】また、図2(b)には、伝搬減衰E(d
B)が示されている。すなわち、道路の中心線X−X´
上の物体により送信用空中線10からの電波が反射され
受信用空中線12により受信される場合、電波伝搬によ
る減衰は伝搬距離Lの4乗に比例することが知られてい
る。無指向性の空中線を受信用空中線として用いた場
合、伝搬減衰E(dB)を表す受信電力が得られる。図
2(b)に示されるのは、この受信電力である。
【0022】図2(c)には、S(dB)(N=…
0,n−1n+1,…)−S(dB)が示
されている。この図に示されるように、図2(a)に示
されるような電波ビームを用いた場合のレーダの最大計
測距離Lmaxは、電波ビームの幅が路幅と一致した距
離、すなわち指向性曲線Sが路側R,R´に接する地
点までの中心線X−X´の長さとなる。さらに、指向性
曲線SはこのLmaxより手前で路側R,R´と交差
し、指向性曲線Sは指向性曲線Sn−1より手前で路
側R,R´と交差するのであるから、指向性曲線群…S
,S,…S −1,S,Sn+1…が路側R,R
´を横切る点の受信電力は、この図のように単調な曲線
を描く。
【0023】従って、送信用空中線10及び受信用空中
線12共同の指向性(図2(a))による受信電力の距
離特性(図2(c))を、無指向性空中線の受信電力の
距離特性(図2(b))と重ね合わせると、本実施例の
送信用空中線10及び受信用空中線12による受信電力
の距離特性(図2(d))が得られる。
【0024】すなわち、E+S−Sは、送信用空中
線10から送信された電波が路側R,R´上にある物体
で反射され受信用空中線12で受信された場合の受信電
力を表している。この曲線から明らかなように、送信用
空中線10から電力一定で電波を送信した場合、空中線
10,12と最大計測距離Lmaxの中間のある地点の
物体からの反射波の受信電力が最も大きく(Sma
x)、これを過ぎると低下することがわかる。
【0025】本実施例の制御器26は、図2(d)の曲
線に基づき送信電力を制御するようにしている。すなわ
ち、図2(d)の曲線に示される電力変化分に相等する
分だけ送信電力を補正し、反射に係る物体がどの距離に
あっても受信電力が一定となるようにしている。従っ
て、本実施例においては、送信用空中線10及び受信用
空中線12共同の指向性が距離にかかわらず等価的に道
路の幅一杯に広がることとなる。
【0026】図3には、本発明の第2実施例の構成が示
されている。この実施例においては、制御器28は送信
機30の送信電力制御ではなく受信機32の受信利得制
御を行う。この受信利得制御の原理は、図2により説明
したものと同様である。したがって、本実施例において
も第1実施例と同様の作用及び効果が得られる。
【0027】図4には、本発明の第3実施例の構成が示
されている。この実施例は、送受信を単一の空中線34
の共用により行っており、またこのために空中線共用器
36を用いている。この構成の場合、空中線の個数が減
り装置構成が小型になる。さらに、図5には、本発明の
第4実施例の構成が示されている。この実施例は、第2
実施例に第3実施例と同様の変形を加えたものである。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
によれば、物体存否検出の対象とする距離に応じて送信
電力制御を行うことにより、送信用空中線及び受信用空
中線共同のビーム幅を距離にかかわらず等価的に路幅一
杯に広がったビーム幅としたため、送信電力制御という
比較的簡素かつ小型な手段で、また乗用車等にも搭載可
能な空中線により、特性が向上し製造費用削減が可能な
装置が実現される。また、請求項2によれば、受信利得
制御によって請求項1と同様の効果が得られる。
【0029】なお、送信用空中線及び受信用空中線を送
受共用空中線として構成した場合、装置構成が簡素とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る自動車用レーダ装置
の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の動作原理を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る自動車用レーダ装置
の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3実施例に係る自動車用レーダ装置
の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第4実施例に係る自動車用レーダ装置
の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】 10,12,34 空中線 14,30 送信機 16 PN信号発生器 18,32 受信機 20 相関器 22 遅延器 24 信号検出器 26,28 制御器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅原 淳司 東京都三鷹市下連雀五丁目1番1号 日 本無線株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−278487(JP,A) 特開 昭58−63871(JP,A) 特開 平2−75988(JP,A) 特開 昭64−1992(JP,A) 特開 昭50−110752(JP,A) 特開 平2−287181(JP,A) 特開 昭60−70383(JP,A) 特開 平3−96885(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 7/00 - 7/64 G01S 13/00 - 15/96

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ車両前部に設置され共同で所定
    のビーム幅を有する送信用空中線及び受信用空中線と、
    送信用空中線により電波ビームを車両前方に送信させる
    送信機と、受信用空中線により車両前方から反射波を受
    信し所定の処理を施すことにより車両前方に物体が存在
    するか否かを検出する手段と、を備える自動車用レーダ
    装置において、 物体存否検出の対象とする距離に応じて送信機の送信電
    力を制御する制御手段を備え、 送信電力制御により送信用空中線及び受信用空中線共同
    のビーム幅を距離にかかわらず等価的に路幅一杯に広が
    ったビーム幅とすることを特徴とする自動車用レーダ装
    置。
  2. 【請求項2】 それぞれ車両前部に設置され共同で所定
    のビーム幅を有する送信用空中線及び受信用空中線と、
    送信用空中線により電波ビームを車両前方に送信させる
    送信機と、受信用空中線により車両前方から反射波を受
    信する受信機と、受信機の受信出力について所定の処理
    を施すことにより車両前方に物体が存在するか否かを検
    出する手段と、を備える自動車用レーダ装置において、 物体存否検出の対象とする距離に応じて受信機の利得を
    制御する制御手段を備え、 受信利得制御により送信用空中線及び受信用空中線共同
    のビーム幅を距離にかかわらず等価的に路幅一杯に広が
    ったビーム幅とすることを特徴とする自動車用レーダ装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の自動車用レーダ装
    置において、送信用空中線及び受信用空中線を送受共用
    空中線として構成したことを特徴とする自動車用レーダ
    装置。
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