JP3006702B2 - 光透過ブロック体 - Google Patents

光透過ブロック体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、太陽光、ランプ光、特
に紫外線の照射により汚泥、海水、室内雰囲気等気体又
は液体の被処理物の殺菌や光合成及びクロレラ等の生物
の培養等を行なう装置に使用する光透過ブロック体に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ランプ光を使用した、殺菌な
いし、細菌の増殖を抑制するとともに抗菌類の育成する
等の装置がある。しかしこれらの装置には下記のような
問題点がある。例えば紫外線を照射するUVランプを使
用して汚水の殺菌処理をする場合、被処理液である汚泥
が濁っているため紫外線の透過性が悪いことにより、ラ
ンプ周辺部位の被処理液に対する殺菌は出来るが、ラン
プより遠く離れた部位にある被処理液にまで前記紫外線
が届かなく、殺菌効率は非常に低いものになる。また、
プール等の藻を殺すのにUVランプを使用する場合、ラ
ンプ表面の藻は殺せるが、該表面より離れた外側に近い
部位の藻は殺せなく流れ去ってしまうといった非効率的
な現象がまま見受けられている。
【0003】これらの紫外線による処理方法には水及び
液体即ち被処理液を流しながら外部から光を照射する外
照式と、石英ガラス保護管で包んだ二重管形式の殺菌ラ
ンプを前記被処理液中に入れて内部から照射する内照式
に大別されるが、前記殺菌効率を上げるため、内照式流
水殺菌装置が多用されている。上記内照式流水処理装置
の概略の構造は、図4に示すように、流水路を形成する
細長円筒状外筒20の軸芯部位に同心円筒状の水密空間
を形成す内筒21を設け、該内筒内に紫外線ランプ22
を内蔵する構成としてある。前記紫外線ランプは25
3.7nmを中心波長とする紫外線を照射し、この波長
をよく透過させる石英もしくは紫外線透過ガラスで照射
部が防水型に構成されている。また、前記内筒21の材
質は、石英、弗素樹脂、紫外線透過ガラス何れかで構成
されている。また、前記外筒20は、紫外線反射率が大
なる内面を有する金属容器で構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記構成においては、
流水路にある被処理液に対し十分な紫外線を照射すべく
内筒には紫外線透過率の高い材料を使用し、外筒内面に
は反射率の高い素材を使用する配慮はされているが、照
射された紫外線が被処理液の混濁の如何を問わず遠隔部
位まで到達させる特別の手段がないため、殺菌効率を上
げるためには外筒と内筒との間に形成される被処理液の
流路の断面幅をなるべく小さく設定する必要がある。結
局処理能力を大にするためには、細長の長尺処理装置を
多数本持つ構造にせざるを得ない状況にあり、コスト高
と設備の大型化につながるものである。
【0005】本発明は、上記事項に鑑みなされたもの
で、ランプ光特に紫外線の透過拡散が広い範囲にわたり
可能であるとともに、被処理液に対しは前記紫外線の透
過拡散する全領域に亙り、細分された状態で分散流動し
て前記紫外線の照射を受けるようにした光透過ブロック
体の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる技術的課
題を達成するために、流水殺菌等に使用される光透過ブ
ロック体において、該ブロック体を、ランプ光即ち紫外
線を広い範囲に亙り透過拡散させるために、無数の気泡
を内蔵する石英ガラス発泡体より構成し、また、被処理
液を紫外線の透過拡散する全領域に亙り、被処理液を細
分化するとともに分散流動させて、前記細分された状態
で紫外線の照射を受けさせるために、前記発泡体を連通
気泡により構成することを特徴としたものである。前記
光透過ブロック体は、熱気相法又はゾルゲル法による高
純度シリカガラス微粉をアンモニアガス雰囲気内で熱処
理をし、ついで所要形状寸法のカーボン等枠体中におい
て熱融着発泡処理をして独立気泡発泡体を形成し、更
に、該発泡体を弗酸溶液で浸漬処理して石英ガラス連通
発泡体とすることによって得ることが出来る。また、必
要に応じて、該発泡体に所要のブロック形状加工を施す
ことによって所望の形状の光透過ブロック体を製造する
ことも可能である。
【0007】
【作用】上記技術手段により、光透過ブロック体を高純
度石英ガラス微粉を用い、減圧下のもとに、形成された
シリカガラス発泡体より構成したため、ランプ光からの
光即ち紫外線は、紫外線透過率の良好な70%以上のS
iO2 からなるシリカガラス体により前記ブロック体の
隅々まで広く均一に透過拡散し、該ブロック体内に内蔵
する連通気泡を包み込むようにして、均質な光を前記気
泡内に向け照射して、広い光照射領域を形成させること
が出来る。また、前記発泡体が連通気泡により構成され
ているため、被処理液は、前記ランプ光より透過拡散さ
れた光照射領域の全領域にわたり、前記連通気泡により
形成された分散流動路を介して、細分化されながら隅々
まで一方より他方へ流動して、流動する間に前記気泡の
外面より前記照射光を受け、効率のよい殺菌処理や育成
処理を受けることが出来る。
【0008】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の好適な実施例
を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載され
ている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等
は特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲を
それに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎな
い。先ず、光透過ブロック体の製造方法を説明する。光
透過ブロック体を構成する石英ガラス連通発泡体は下記
のようにして得られる。先ず、所要の形状寸法より少し
大きめのカーボン製坩堝(但し中子に相当する部分は小
さめにする)内に、各金属不純物が0.5ppm以下で
ある熱気相法高純度非晶質シリカガラス微粉を予め85
0℃のアンモニアガス+窒素ガス雰囲気内で4時間程熱
処理した前記石英ガラス微粉を充填し、減圧雰囲気(1
0-2tor)で1650〜1700℃にて120min
加熱処理して前記石英ガラス微粉を融着発泡させ、多数
の独立気泡よりなる密度0.1〜0.4g/cm3 のシ
リカガラス発泡体を得る。ついで、上記して得られた石
英ガラス発泡体を弗酸10〜50%の溶液中に約10m
in程度浸漬することにより、下部に沈澱した状態の全
気泡の30%以上が連通気泡である石英ガラス連通発泡
体が得られる。斯くして得られた連通発泡体を所定寸法
に研削すれば所要の光透過ブロック体を得ることが出来
る。
【0009】斯かる技術手段により得られれた光透過ブ
ロック体は、その内部に石英ガラス薄膜が縦横に張りめ
ぐらされ、お互いに連なり合った連通気泡を内蔵する連
通気泡発泡体が形成されている。然も前記薄膜は紫外線
から可視光及び赤外線の広範囲にわたり高い透過率を持
つシリカガラスで構成されている。一方殺菌に必要な紫
外線は200〜300nmの波長帯が最もよく使用され
ているため、汚泥、海水等の流水殺菌等に使用されるラ
ンプ光から照射される紫外線は、たとえ照射源が単一で
あっても当該光ブロック体に対し、の広範囲にわたる透
過、屈折、反射を繰り返して拡散し、均一な光照射領域
を形成することになる。また、前記所定寸法の形状に研
削加工された光透過ブロック体の研削面には、諸々に前
記連通気泡の裁断部が露出されて外界と連通状態にあ
り、当該ブロック体に内蔵されている無数の連通気泡は
お互いに連通状態にある。そのため、例えば光透過ブロ
ック体の片面に被処理液を充填した場合、被処理液は前
記研削面に露出した裁断状態にある連通気泡と以下それ
に連なる連通気泡を介して、細かく細分された状態で前
記均一光照射領域に分散流動して、各連通気泡の内面で
その外側を取り巻く照射光による所定の殺菌等の処理を
受け、反対側に流出する。即ち一つの照射源でも広範囲
にわたり多量の被処理液を効率よく処理することが出来
る。また、上記光透過ブロック体は前記のように、各金
属不純物の含有量を0.5ppm以下に押さえてあるた
めに高いエネルギーの光線にて長時間使用しても変形や
マイクロクラックを起こすことがない。然も、石英ガラ
スは化学的安定性が高く且つ腐食を生じる余地がないた
め、その耐久性は非常に高いものとなるだけでなく耐熱
性も耐熱性も高い為、高温の処理と並用も可能である。
また、前記発泡処理を受けた光透過ブロック体を構成す
る石英ガラス連通発泡体は、表面が滑らかな内蔵する気
泡を連通化したので、被処理液に対し円滑な流動を可能
にしている。また、光源よりの照射光は広範囲にわた
り、透過拡散して均一な光照射領域を形成するため、内
照式、外照式の如何を問わず使用できる。
【0010】前記石英ガラス連通発泡体の前身である独
立気泡発泡体の生成過程におけるアンモニアガスによる
熱処理の代わりに、カーボンと酸化剤や金属炭酸塩のよ
うに高温で反応、分解してガス化する発泡剤を石英ガラ
ス微粉に混入し、高温で発泡させることによっても同様
な70%以上のSiO2 からなるシリカガラス発泡体を
得ることが出来るが、発泡剤が残留しやすく、使用中被
処理液に混入することも考えられまた残留不純物による
シリカガラスの耐久性の低下が有り使用目的によっては
問題があるため、望ましくはアンモニアガスを使用した
高純度のシリカガラス発泡体の発泡方法が望ましい。ま
た、また、焼結タイプに見られる連通型多孔スタイルや
パイレックスやバイコールのようにガラスを作るときボ
ロン系のガラスを析出して酸で洗って連通化させる場合
の連通部分は、トンネル状で本発明の石英ガラス連通発
泡体に見るようなセル状の連結部を形成していなく、こ
の点から見ても上記他の連通型に比較して石英ガラス連
通発泡体よりなる光透過ブロック体は広い処理面積を形
成して、被処理液に対する処理効率は格段に高いものと
言える。
【0011】図1は、UVランプを使用した処理装置に
本発明の光透過ブロック体を装着した状況を示す縦断面
図である。図に示すように、外筒管2内の中央軸芯部に
UVランプ1を設け、該UVランプ1の石英ガラス管4
の外側表面に密着させるようにした石英ガラス連通気泡
発泡体よりなる光透過ブロック体3を前記外筒管2に内
蔵させるように構成する。処理液は右端上部より投入さ
れ、前記光透過ブロック体3の連通気泡を介して投入即
外筒管2の全断面より分散流入が出来るように構成す
る。また、図2には、縦型水銀ランプを使用した処理装
置に本発明の光透過ブロック体を装着した状況を示す断
面図が示されている。この場合は、容器7内の中央部位
に、該容器の幅方向に嵌装された角型の前記光透過ブロ
ック体6を設け、該ブロック体6の中央部位に縦型水銀
ランプ5を挿設する構成とし、処理液である細菌性汚泥
を右端下部より投入し、前記光透過ブロック体6の幅方
向の全域に亙り流入され、投入即連通気泡を介して分散
流動できるように構成し、左端上部より清澄液が排出さ
れるようにしてある。
【0012】図3には図1のA部拡大断面図が示され、
特に光透過ブロック体3におけるランプ光の透過拡散の
状況と、被処理液の流動の状況が示され、図に見るよう
に、UVランプ1からの光透過ブロック体3への入射す
る照射光は実線矢印に示すように、石英ガラス管4を経
て前記光透過ブロック体3の連通気泡11の間隙を縫っ
て、屈折、反射を繰り返し下方へ拡散透過して均一且つ
広範囲にわたる光照射領域を形成している。また、前記
照射光は、前記拡散の過程で各連通気泡を包み込むよう
にして、該気泡内面に向け均質な光を照射してそれぞれ
の連通気泡11において該気泡内を流動する被処理液に
対し均一且つ広い光照射領域を形成している。一方、被
処理液は、点線矢印に示すように右端上部より投入さ
れ、爾後光透過ブロック体3の連通気泡11の外部露出
裁断部より該気泡内に入り逐次隣接する連通気泡を経由
して左端へ細分化された状態で分散流動する。その流動
の過程において被処理液は気泡内壁で前記照射光を全面
に受け効率の良い紫外線による処理を受ける。尚、本発
明による光透過ブロック体は、その内部に紫外、可視、
赤外を問わずに広範囲に渡り、高い光透過率と分散効果
を持った連通気泡を構成するシリカガラス薄膜を有する
ので、当然のごとく透過光と気体又は液体の処理物質を
幅広く選択することにより光線を必要とするクロレラ等
の微生物の効率的な培養や高いエネルギーの光による光
合成にも幅広く利用できるものであることは言うまでも
ない。
【0013】
【発明の効果】以上、記載した如く本発明によれば、太
陽光、ランプ光等の光の均一な透過拡散が広い範囲にわ
たり可能になり、気体又は液体の被処理物は前記光の照
射を浴びながら、光透過ブロック体の内蔵する連通気泡
を介して、一方より他方へ分散流動し、その流動過程に
おいて通過する無数の気泡群の各気泡内面において均質
な光照射を受け広い照射表面を形成されて、高効率の光
による処理を受けることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】UVランプを使用した処理装置に本発明の光透
過ブロック体を装着した状況を示す縦断面図である。
【図2】縦型水銀ランプを使用した処理装置に本発明の
光透過ブロック体を装着した状況を示す断面図である。
【図3】図1のA部の光透過ブロック体における、ラン
プ光の透過拡散と被処理液の流動状況を示す図である。
【図4】従来の内照式流水殺菌装置の概要を示す縦断面
図である。
【符号の説明】
1 UVランプ 2 外筒管 3、6 光透過ブロック体 4 石英ガラス管 5 水銀ランプ 7 容器 9 被処理液 10 照射光 11 連通気泡
フロントページの続き (72)発明者 土山 良博 福井県武生市北府2丁目13番60号 信越 石英株式会社武生工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03B 20/00 C02F 1/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源の照射を受けて液体又は気体の処理
    に使用される光透過ブロック体において、光線の均一な
    透過拡散可能な70%以上のSiO2 からなるシリカガ
    ラス体より構成し、該シリカガラス体は、被処理物を前
    記光線の全領域に亙り分散流動出来る連通多孔体よりな
    ることを特徴とする光透過ブロック体。
  2. 【請求項2】 前記連通多孔体が多数の気泡を有するシ
    リカガラス発泡体であり、少なくともその一部が連通可
    能な気泡である連通発泡体であることを特徴とする請求
    項1の光透過ブロック体。
  3. 【請求項3】 高純度合成シリカガラス微粉をアンモニ
    アガス雰囲気内で行う熱処理と、ついで行われる所要寸
    法の枠体中における熱融着発泡処理とにより独立気泡発
    泡体を形成し、更に、該発泡体を弗酸溶液で浸漬処理す
    ることで石英ガラス連通発泡体としたことを特徴とする
    請求項1に記載の光透過ブロック体。
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