JP3006475U

JP3006475U - 園芸育苗用媒体

Info

Publication number: JP3006475U
Application number: JP1994009298U
Authority: JP
Inventors: 一郎杉本
Original assignee: 株式会社サンコ−ワイズ
Priority date: 1994-07-08
Filing date: 1994-07-08
Publication date: 1995-01-24
Anticipated expiration: 2000-07-08

Abstract

(57)【要約】【目的】有用物収穫後のヤシ殻等を主体に加工処理し
て、園芸育苗用に好適な肥料と一体化し、環境に優しい
有価物となる園芸育苗用媒体を提供すること。【構成】有用物収穫後のヤシ殻等から繊維質を除去し
た植物の残余物を、煮沸殺菌した後に乾燥粉末化加工を
行い、その乾燥粉末を主材に、ＮＰＫ肥料を含む調合肥
料を副材として主、副混合し、必要に応じて助材に酵素
や植物ビタミン類を適宜加えて、製品全体が軽量で、ケ
−キ大の最終形成物が得られるように、一体的に脱水圧
縮して形成した園芸育苗用媒体を構成した。【効果】軽量、高圧縮した形態が保存、保管性効果を
示し、水に戻した実施時に環境に優しく土壌還元性の高
い、植物育苗段階に好適な施肥効果を発揮する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ココナツミルクと果肉採取後のヤシ殻より生産する、鉢植え用及び育苗用の肥料を配合した園芸育苗用媒体に係り、通常廃材となるヤシ殻を活用して得る、自然環境にリサイクルするのに好適な有機質園芸育苗用媒体に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から園芸植物の育苗のために、土壌と肥料を個別に購入して必要分が取り分けられ、そのまま植物に適時に使われていた。一方、近年、環境に優しい有用物が求められ、自然にリサイクルする生産物に関心が払われるようになった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、肥料は、多くの種類に分かれ、それらを購入して程良く選別使用することは煩わしく、一種類の肥料で間に合う場合があっても、その肥料の使用説明書には一様な施肥方法の記載しか無く、園芸愛好家の中には、初期育苗段階の実際の施肥が、少な過ぎてひ弱に育てたり、多過ぎて植物を痛めたりの失敗を経験する。使い残しの土壌や肥料の管理も、管理場所の条件によっては土壌に黴を生やしたり肥料を吸湿させて、次回に使用するまでに植物への活性を失うなど、後始末が旨く行かないことが多い。一方、植物生産の際、その有価物を収穫した残りは安易に生産地の片隅に廃棄され、時に腐敗して悪臭を発し、衛生環境悪化の原因を作ることが多く、またそれらを有機肥料化する場合でも自家消費が主であって、現状では、それら植物生産時の残余物を適当な有価物に変えて、積極的に廃棄物を減らす試みが成功しているとは云えない。本考案は従来、廃棄物としていたヤシ殻部分を環境に優しい園芸育種用の有価物に変える一方、農業者が園芸育苗時に経験する施肥の煩わしさを簡素化することにより、特に都会の園芸愛好者に好適となるように、使用前には数分の一の重量でコンパクトな大きさに纏め、使用に当たっては施肥効果の持続性が高い、鉢植え用および直植え用にも好適な園芸育苗用媒体を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る園芸育苗用媒体は、植物から繊維質を除く前処理をした後に、乾燥粉末加工を行った残余物を主材に、ＮＰＫ肥料を含む複合肥料を副材にして混合し、必要に応じ植物育成環境を整える助材を適量加えて、一体的に脱水圧縮し形成したものである。

【０００５】そして本考案は、主材植物をヤシ殻とし、助材に酵素や植物ビタミン類などを選び、最終形成物を軽量でケ−キ大の大きさとしたものである。

【０００６】

【作用】

植物の乾燥粉末を主材に調合肥料を混合し、その混合物を脱水圧縮して一体成形した園芸育苗用媒体は、複数の育苗用資材を用意する必要性をなくし、使用時に加水によって膨らませて実用形態にするという特性により、使用前の媒体を容量、重量とも実施時の数分の一にコンパクト化出来ると共に、乾燥処理により媒体中の内容物を生物・化学的に安定化し、機能保存性と収納保管性に優れる。かつ使用時には、必須肥料を含み生物・化学的に安定させた調合肥料が、水で膨潤した主材が持つ高保水性能と高酸素拡散率が植物の環境を整え、数週間の土壌・肥料管理を不要とする施肥の持続効果に寄与する。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案に係る園芸育苗用媒体を図１によって説明する。図１は、本考案の園芸育苗用媒体を説明するもので、その媒体の構成を示すブロック図である。本考案の以下に示すものは、ココナツミルクと果肉採取後のヤシ殻を主材植物の実施例として、園芸育苗用媒体を生産、実施したものを説明するものであるが、同種条件の他の植物に適用することは容易である。図１に示すように、４は、繊維質除去や煮沸などの殺菌工程を含む前処理をした後に、乾燥粉末加工を行った残余物を主材１とし、加水して実施使用時に好適な肥料成分となるように設計して、窒素、燐、カリュ−ムを主成分としたＮＰＫ肥料を含む複合肥料を調整した副材２としたものでそれを主材１に混合し、後工程段階で、一体化した全体を適宜な大きさになるように、脱水圧縮成形した園芸育苗用媒体である。また特定植物の育成の必要に応じて、酵素をはじめ、植物ビタミン、植物ホルモン、その他の植物育苗環境調整材を助材５として、副材２に適宜追加して構成してもよい。なお、主材１を乾燥粉末する際に加工の邪魔にならない程度に繊維質が混入することは差し支えない。

【０００８】本考案を更に詳述する。まず乾燥ヤシ殻を粗粉砕して、繊維質を除去し、その残余物を煮沸消毒する。この前処理の後に、さらに微粉砕して植物乾燥粉末１を得る。乾燥粉末１に複合肥料を副材２として混合して、前記後工程処理を行い、園芸育苗用媒体４を形成した。その乾燥仕上がり容量１立方米当たりに換算すれば、複合肥料２の主材料として硫酸塩、燐酸塩、各０．７ｋｇ、ドロマイト１．０ｋｇを混合した。それを乾燥粉末１と調合し、その乾燥後の仕上がり大きさがケ−キ大の、約２０ｃｍ×１０ｃｍ×４ｃｍ（約０．８Ｌ）の直方体になるように圧縮成形した。仕上がり重量は０．５−０．５５ｋｇであった。

【０００９】この複合肥料を含む園芸育苗用媒体４に水を加えて、それに植物を移植する植物育苗形態に戻した。その結果、戻して得た媒体の全容量は７−８Ｌ、従って元の園芸育苗用媒体４に対する容量比は約１０倍、同じくその重量比は約１５倍に増えた。なお、そのｐＨ値は５．５−６．５を示し、その時の主要な化学的成分値は以下の通りであった。ここに、各成分の以下の表示数値の単位は％で表す。灰分２．３、炭素４２．２、Ｎ０．５、Ｎａ０．２９、Ｃａ０．２１、Ｍｇ０．１９、Ｋ０．１４、Ｐ０．０１４、その他にＦｅ、Ａｌ、Ｍｎ、Ｃｕ、Ｎｉ、Ｓｒ、Ｚｎ、Ｃｏをそれぞれ僅少量含み、その中に硫黄分の含有は認められなかった。園芸育苗用媒体４を加水実施して、長期間観察した。その結果、その湿分保有性は良好であり、育苗植物は、約３週間はそのまま順調に生育して、その間、追肥が必要ないことが確かめられた。さらに約１年余が経過して、園芸育苗用媒体４自体は原形不明の土壌に返った。

【００１０】

【考案の効果】

本考案によれば、ココナツミルクと有用果肉採取後のヤシ殻を、繊維質を除いた残余物の全てを余さず活用した園芸育苗用媒体として有用物に変換したもので、生産者側農業者の生産性向上機会を増すと共に、生産した園芸育苗用媒体は、扱い易い大きさで軽量となり、保存性、保管性に優れ、一旦媒体が水溶解した後は、調合肥料の特徴を発揮する肥料媒体として持続施肥性能が高く、土壌と肥料を個別に用意する従来の煩わしさを除き、媒体自体が自然にリサイクルできるなど育苗用に最適な土壌保全が計れ、加えて農業の付加価値を増大し、地域産業の活性化や自然環境改善にまで効果が波及するもので、本考案の効果は著しく大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の園芸育苗用媒体を説明するもので、そ
の媒体の構成を示すブロック図である。

【符号の説明】

１主材、植物乾燥粉末２副材、複合肥料３助材、酵素／植物ビタミン類４園芸育苗用媒体

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】植物から繊維質を除く前処理をした後
に、乾燥粉末加工を行った残余物を主材（１）に、ＮＰ
Ｋ肥料を含む複合肥料を副材（２）にして混合し、必要
に応じ植物育成環境を整える助材（３）を適量加えて、
一体的に脱水圧縮し形成した園芸育苗用媒体。
【請求項２】主材（１）植物をヤシ殻とし、助材
（３）に酵素や植物ビタミン類などを選び、最終形成物
を軽量でケ−キ大の大きさとした請求項１記載の植物培
養媒体。