JP3006384U - 構造材に対するスタッド溶接装置 - Google Patents

構造材に対するスタッド溶接装置

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JP3006384U
JP3006384U JP1994004832U JP483294U JP3006384U JP 3006384 U JP3006384 U JP 3006384U JP 1994004832 U JP1994004832 U JP 1994004832U JP 483294 U JP483294 U JP 483294U JP 3006384 U JP3006384 U JP 3006384U
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守 篠原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 装飾用パネル材として、又、所定以上の強度
を必要とする構造用パネル材として優れた外観を呈する
と共に、十分な溶接強度を有して信頼性の向上をも図り
得るようにする。 【構成】 溶接装置101の溶接すべきスタッド102
を装填するチャッキング装置2に対し、これを上方から
受け入れ得て、溶接対象箇所の外周囲を取り囲むように
配置されると共に、内壁面に多数のガス噴出孔4aを開
口した円環状のガス導入室4bを形成してなる円筒状の
ガス封入容器4を設け、且つガス導入室4内に不活性ガ
スを導入し得るように構成する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、構造材に対するスタッド溶接装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば、建築用,モニュメント用等の一般構造物の内で、内,外装 に適用するパネル材及びその下地材等(以下、パネル材をもって代表する)にあ っては、通常の場合、その板厚が1.0〜4.0mm程度のアルミ板,アルミ合 金板(以下、アルミ板をもって代表する)による板材,もしくは型材が多く使用 される。 又、一方では、この種のパネル材として、その耐蝕性,発色性等が優れている という点で、チタン板,チタン合金板(以下、チタン板をもって代表する)の使 用が急増しており、該パネル材として用いるチタン材については、これが高価で あることから、通常では、板厚1.5mm程度の薄板を中心にして使用されてい る。
【0003】 従来の場合、このように内,外装用のパネル材としては、一般的に、夫々薄板 が使用されているために、実装に際しての所要強度を確保する必要上,図7及び 図8に見られる如く、適所に受け板33を配して枠組み構成された鋼材又はステ ンレス材からなる強度の高い支持枠32を用い、該支持枠32に対して、ここで のパネル材31を取付け止着して補強するようにしている。
【0004】 而して、前記支持枠32に対するパネル材31の取付け止着については、通常 の場合、前記パネル材31の裏面に対し、複数列に亘って所定方向へ所定間隔毎 に一連的に溶接した多数のスタッド34を用い、該各スタッド34を支持枠32 の表面側該当箇所に穿孔した各取付け穴へ挿通させた状態で、これらを該支持枠 32の裏面側から夫々にナット止めして行なうようにしており、このための従来 のパネル材31への各スタッド34の溶接は、次のようになされる。
【0005】 即ち、前記スタッド溶接に際しては、図9を参照して、先ず、溶接ガン101 側を“−(マイナス)”極性に、且つアースケーブル側を“+(プラス)”極性 に夫々接続させて正極性にするか、又は、これとは反対に溶接ガン側を“+”極 性に接続させ、且つアースケーブル側を“−”極性に接続させて逆極性にしてお く。 次いで、溶接対象が、例えば、10m程度の長尺のパネル材31aである場合 には、溶接母材としての該パネル材31aの裏面における一端部側,つまり、図 9では、左端部側からの第1のクランプ範囲35a,ひいては、第1の溶接範囲 を画成する各隅角の4ケ所に対して前記アースケーブルを夫々にクランプ接続さ せてから、該当範囲35a内に複数列で夫々の各スタッド34aを順次に溶接し てゆき、該第1のクランプ範囲35a内での全溶接を終了した後、引続き、前記 パネル材31aの長手方向に沿いほぼパネル幅相当の間隔で、第2のクランプ範 囲35b,第3のクランプ範囲35c,‥‥第nのクランプ範囲35nというよ うに、次第に他端部側へ溶接範囲を移行させるようにし、同様な溶接作業を順次 継続的に実行することにより、該パネル材31aの裏面側の全面に亘った所定箇 所毎に所要のクラッド溶接を行なうのである。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のように裏面側の全面複数列に多数のスタッドを所定間隔 毎に一連的に溶接させた従来のパネル材においては、次のような種々の問題点が 派生する。
【0007】 即ち、パネル材の表面側には、パネル裏面側での各スタッド溶接位置に対応し て夫々に溶接歪みが顕著に現われると共に、該パネル材の全体構成についても凹 凸に弯曲することになるもので、このために、外観形態が著るしく損なわれてし まうという,この種のパネル材,特に、装飾用パネル材にとっては致命的ともな りかねない極めて大きな課題が残される。 そして又、これらの溶接歪み,全体の弯曲等の装飾用パネル材としての不利な 各点については、たとえ、支持枠の強度を一層増加させたとしても、或は、該支 持枠の受け板箇所を増設したところで、何ら解消できるものではなくて、パネル 材としての品質向上を図ることが困難であるばかりか、必然的に製造コストも高 くなる上に、重量の増加に伴って取扱い時の作業性が悪化する等の種々の欠点を 有するものであった。
【0008】 又、一方では、前記パネル材としてのアルミ板,又はチタン板の夫々,特に、 チタン板においては、溶接時に発生するアークの磁気吹き作用が極めて強く、こ こでのスタッド溶接位置がパネル材の端部に近接している場合、例えば、該パネ ル材の端部から30mm以内に位置する場合とか、或は該パネル材の板幅が、例 えば、60mm以内のように狭い場合、ないしは各アースクランプの位置が、溶 接位置に近接している場合等にあっては、夫々に該磁気吹き作用がより一層大き く作用することになる。 つまり、図10(a),(b) を参照して、パネル材41のパネル面にスタッド42 を溶接する際には、前記アークの磁気吹き作用のために、その溶接金属43がス タッド41の一方の側,ここでは、右側方向にのみ片寄ってしまい、他方の側で は溶け込み不足を生じて良好な溶接をなし得なくなるという不都合がある。
【0009】 更に、ここでのスタッド溶接が、大気中で高温下で行なわれるために、酸化性 の強いパネル材としてのアルミ板,チタン板では、その溶接作業に際しての充電 電圧,コンデンサ容量,ギャップ調整等の溶接条件が不適当であると、溶融され た溶接金属の飛散が激しく、且つ酸化音も大きくて、発生する火花が眼に入る惧 れがある等の安全面上での課題もあり、他の面では、溶接部の酸化に伴う脆化が 進行するほかに、溶接金属中への非金属介在物等の巻き込みも促進されることに なって、前記磁気吹きによる溶け込み不足に加え、該当溶接部における溶接強度 のバラツキ等,つまりは機械的強度の低下が著るしくて信頼性にも欠けることに なるものであった。
【0010】 以上のように、従来のアルミ板,チタン板に対するスタッド溶接においては、 溶接歪み等の発生に合わせて溶接強度のバラツキとか低下を極めて生じ易く、し かも、一般的に溶接強度を確認するためには、破壊試験以外に手段がない等のこ ともあって、例えば、鉄鋼板に対するスタッド溶接に比較するとき、その使用範 囲が自ら限定されることになるというのが現状である。 つまり、このような理由によって、対象となるパネル材の材質が、これらのア ルミ板,チタン板である場合、現時点では、これらを2次的強度分担用として、 単に、建築用の装飾パネル材等の分野に使用されるのみであって、特に、あらた めては所定以上の強度を必要とする構造材等の分野への利用が不可能なものであ った。
【0011】 本考案は、従来のこのような問題点を解消するためになされたもので、その目 的とするところは、装飾用パネル材としては勿論,所定以上の強度を必要とする 構造用パネル材として優れた外観を呈すると共に、十分な溶接強度を有して信頼 性の向上をも図り得るようにした構造材に対するスタッド溶接装置を提供するこ とである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本考案に係る構造材に対するスタッド溶接装置は、 溶接対象箇所の周辺部を不活性ガス雰囲気に維持した状態で溶接操作をなし得る ようにするもので、具体的には、溶接すべきスタッドを装填保持するチャッキン グ装置の周辺部に対して、閉ざされた雰囲気空間を構成するためのガス導入室を 有するガス封入容器を設け、該ガス導入室から噴出される不活性ガスにより、所 期通りに溶接対象箇所の周辺部を不活性ガス雰囲気に維持させるようにしたもの である。
【0013】 即ち、本考案は、溶接装置の溶接操作を行う先端部のチャッキング装置に溶接 すべきスタッドを装填保持した上で、既設構造部の構造材を含む各種構造材の溶 接対象箇所に対し、該スタッドを突き当て溶接するスタッド溶接装置であって、 前記スタッドを装填するチャッキング装置を上方から受け入れ得て、前記溶接対 象箇所の外周囲を取り囲むように配置されると共に、内壁面に多数のガス噴出孔 を開口した円環状のガス導入室を形成してなる円筒状のガス封入容器を設け、且 つ前記ガス導入室内に対して不活性ガスを導入し得るように構成したことを特徴 とする構造材に対するスタッド溶接装置である。
【0014】
【作用】
従って、本考案によれば、ガス封入容器のガス導入室内に導入される不活性ガ スが、多数のガス噴出孔から溶接対象箇所に噴出され、該溶接対象箇所を限定さ れた不活性ガス雰囲気に保持する。 このために、本装置を用いて行なわれるスタッド溶接が、前記限定された不活 性ガス雰囲気中でなされることから、そのアーク及び溶融池が、常に該不活性ガ スにより十分に保護されて溶接時のアークの安定性が効果的に確保され、この結 果、構造材におけるスタッド溶接部の機械的特性が向上され、且つ金属間接合が 極めて容易になる。
【0015】
【実施例】
以下、本考案に係るスタッド溶接装置の実施例につき、図面を参照して詳細に 説明する。
【0016】 図1は、本考案の一実施例を適用する好ましいスタッド溶接装置,ここでは、 溶接ガンの要部構成の概要を示す側面図であり、図2(a),(b) は、同溶接ガンに おける先端溶接操作部の周辺部にアルゴンガス雰囲気を設定するためのガス封入 容器の一部を切り欠いて示す拡大側面図,及び平面図である。 又、図3(a),(b) は、同溶接装置によってパネル材上にスタッドを溶接した状 態を示す側面図,及び平面図である。 更に、図4は、同溶接装置におけるスタッドの下端面及び各案内杆の先端面間 の間隔と、該スタッドの下端面及びパネル材の表面間のギャップ量との関係を示 す側面説明図である。
【0017】 図1に示す溶接ガン101の構成において、符号1は把持ハンドル1aを有す る溶接ガン本体であり、2は溶接対象母材としてのパネル材に溶接すべきスタッ ド102を挿着保持すると共に、調整可能なバネ等の弾圧力によって該溶接ガン 本体1に対して、この場合、矢印aに示す上下方向に一定ストローク相当分だけ 進退作動し得るようにしたチャッキング装置、3は該チャッキング装置2の進退 作動,並びに溶接操作を制御するトリガーボタンである。
【0018】 又、4は、前記チャッキング装置2を上方から受け入れ、且つ前記スタッド1 02を装填保持した状態の該チャッキング装置2の外周囲を取り囲むようにして 配置されると共に、前記溶接ガン本体1から下方へ等分割で垂設される3本の各 案内杆5に取り付けられた円筒状のガス封入容器であって、後述するように、溶 接対象箇所の周辺部を外部雰囲気から密閉,又はほぼ密閉区分して閉ざされた雰 囲気空間,又はほぼ閉ざされた雰囲気空間を構成し得るようになっており、該ガ ス封入容器4の周辺部内には、内壁面部に多数のガス噴出孔4aを開口した円環 状のガス導入室4bが形成されると共に、該ガス導入室4b内に対して、図示し ない電磁弁で開閉制御されるガス導入管6を介し、外部から不活性ガス,ここで は、所要純度のアルゴンガスが導入され、且つ該導入されたアルゴンガスを各ガ ス噴出孔4aから溶接対象箇所に噴出させることで、該溶接対象箇所を限定され た不活性ガス雰囲気に保持し得るようになっている。
【0019】 ここで、図5には、スタッド(溶接ガン101)側が“−”極性,パネル材1 03側が“+”極性による正極性の場合,又、図6には、これとは逆にスタッド (溶接ガン101)側が“+”極性,パネル材103側が“−”極性である逆極 性の場合の夫々アルゴンガス雰囲気中におけるアークの状態を示してある。
【0020】 即ち、図5に示す正極性の場合には、スタッド102の下面(溶接面)部から 熱電子が対象溶接母材であるパネル材103に向かって飛び出すとき、同下面部 でのエネルギーを奪うために、該当部分の溶接面を過熱且つ脆化させずに済み、 併せて、アークの安定性と集中性とが改善されるため、磁気吹き現象による溶接 金属の片寄り防止が達成されると共に、該溶接金属の溶け込み深さの増大,ない しは溶接時の充電々圧の低減等を含んで、溶接強度の増加と、溶接による歪み発 生の低減とが夫々可能になり、この場合は、特に、溶融点が約660℃程度と低 く、且つ熱伝導率が0.53cal/cm2.S.deg と高いアルミ板に適用して頗る効果 的である。
【0021】 又、図6に示す逆極性の場合には、前記正極性の場合とは反対に、スタッド1 02の溶接面が加熱され、且つパネル材103の溶接面の熱が奪われると共に、 アークが広がって溶け込み深さが浅くなるもので、このため、溶融点が高くて熱 伝導率が低く、磁気吹き現象の著るしいチタン板に適用されて、ここでは磁気吹 き現象による溶接金属の片寄り防止,溶け込み深さの減少による歪みの発生防止 を図り得るのである。
【0022】 続いて、前記溶接装置を使用した溶接方法について述べる。
【0023】 先ず、溶接条件についてであるが、この種のスタッド溶接の良否を決定する主 な要因としては、溶接装置におけるコンデンサ容量,充電々圧,ギャップ(溶接 開始直前における構造材,ここでは、パネル材103の表面とスタッド102の 下端面との間の間隔bに該当する),及びアース側(パネル材103)コードと 溶接ガン101側コードとの“+”,“−”極性等があり、これらを後述するよ うに夫々設定した上で、引き続き、従来の溶接ガンを用いた場合と全く同様に溶 接操作して所期のスタッド溶接を実行するのである。
【0024】 先にも述べたように、本実施例装置を用いて実行するスタッド溶接方法では、 前記パネル材103としてアルミ板及びチタン板を主眼とするが、該アルミ板, チタン板の場合には、ステンレス,鋼等の金属に比較するとき、大気中で行なわ れる溶接時の酸化が著るしいことが知られており、一方のアルミ板にあっては、 熱伝導率が大きくて溶融点が低い等の属性を有するのに対し、他方のチタン板に あっては、これとは反対に、熱伝導率が小さくて溶融点が高い等の属性を有して いる。
【0025】 図11として示す表1は、本実施例装置を用いた溶接方法における溶接条件の 具体例について、従来の溶接方法の場合に対比させたものである。
【0026】 一般に、この種の溶接方法においては、充電々圧を大きくした場合、溶接部の 過熱による酸化脆化と、溶接金属の飛散による溶接強度の著るしい低下と、歪み 発生との夫々の原因になることが知られている。 そこで、本実施例装置を用いた溶接方法の場合には、前記表1からも分かるよ うに、従来の溶接方法の場合よりも、充電々圧を低い範囲に設定することによっ て、溶接金属の特性向上と、アークの安定化による溶接金属の片寄りとが改善さ れ、且つ溶け込み不足もまた解消されるのである。
【0027】 即ち、該表1に示した本実施例装置を用いた溶接方法では、アークの安定によ る磁気吹き現象が効果的且つ良好に抑制されて、溶接対象のアルミ板,チタン板 が共に、その充電々圧を従来方法よりも、夫々に15V,25V程度まで低く設 定し得るのである。
【0028】 而して、従来の溶接方法では、先にも述べたように、スタッドの溶接位置がパ ネル材(溶接対象母材)の端部から、例えば、約30mm程度まで接近している か、或はアース用クランプ位置に接近している場合にあっては、これらのアルミ 板とチタン板,特に、チタン板に関して、その磁気吹き作用が大きくて溶接金属 の片寄りを生じ、これによって溶け込み不良を発生する。 又、充電々圧が多少とも高くなると、溶接金属が過熱され、空気中の酸素との 酸化によって火花となり、これが大きな酸化音を伴って一方の側に飛散されるも ので、このような現象に伴い、図10(a),(b) に見られるように、該飛散方向と 反対の側が溶着されずに融合不良を生じ、該当部分での応力集中と、それに、酸 化性雰囲気の中では、該不良部を中心にして侵蝕が進行することとから、該当部 分に自然破壊を生ずるという危険性がある。 更に、スタッド溶接が空気中で行なわれるために、酸化性の著るしいアルミ板 及びチタン板は、酸化によって溶接金属の特性が劣化し、且つ酸化物の介在によ って溶接強度が低下することになる。
【0029】 このような従来の溶接方法に対して、本実施例装置を用いた溶接方法において は、その溶接自体がアルゴンガスの雰囲気中で行なわれることから、アークの安 定性と集中性,及び溶接金属の特性が次のように改善される。
【0030】 即ち、溶接がアルゴンガスの雰囲気中で行なわれるために、酸化による火花の 飛散が阻止されて、酸化音がなくなり、且つ溶接金属の酸化に伴う脆化と、溶接 部への酸化物の混入,介在等を防止できて、その機械的特性を著るしく向上し得 るのである。
【0031】 図12として示す表2は、アルミ板を用いたパネル材への本実施例装置を用い た溶接方法によるスタッドの溶接状態を、又、図13として示す表3は、同様に チタン板を用いたパネル材へのスタッドの溶接状態を夫々に目視検査した結果を 良品率で表わしたものである。 各場合共に、該目視検査の基準は、図3(a) の状態のものを良品とし、図10 (a),(b) の状態のものを不良品として判断しており、又、溶接条件については、 夫々の各充電々圧別と各正,逆極性別のみを示し、その他は同一であるものとし た。
【0032】 即ち、ここでは一例として、表2の正極性の場合についてみると、本実施例装 置を用いた溶接方法では、70V〜90Vの広い範囲で良品率がほぼ100%で あるのに対し、従来の溶接方法では、90V付近においてのみかろうじて100 %付近に達することが分かる。 そして、このことは、この種の溶接操作が工場内等で行われる場合、周辺部で 稼働される他の機械装置の作動に影響されることで比較的電圧変動が激しい点を 考慮するとき、本実施例装置を用いた溶接方法が如何に良好なものであるかが明 らかである。 なお、この点は、表2の逆極性,及び表3の正及び逆極性の各場合についても 殆んど同様である。
【0033】 又、図14として示す表4は、アルミ板を用いたパネル材への本実施例装置を 用いた溶接方法によるスタッドの溶接を、又、図15として示す表5は、同様に チタン板を用いたパネル材へのスタッドの溶接を夫々に溶接強度で表わしたもの である。 ここでも、各場合共に、溶接条件については、夫々の各充電々圧別と各正,逆 極性別のみを示し、その他は同一であるものとした。
【0034】 即ち、一例として、表4の正極性の場合についてみると、本実施例装置を用い た溶接方法では、70V〜80Vの広い範囲で高い溶接強度が保証され、且つそ の標準偏差についても従来方法に比較して19〜26%と低く、溶接強度の信頼 性の高いことを示しており、この点は、表4の逆極性,及び表5の正及び逆極性 の各場合についても殆んど同様である。
【0035】 従って、本実施例装置を用いるときは、前記各溶接条件の設定により、パネル 材に対するスタッド溶接として、溶接部に十分な強度と優れた外観とを与えるこ とができる。
【0036】 次に、図16(顕微鏡写真1),図17(顕微鏡写真2),及び図18(顕微 鏡写真3)は、チタン板上にスタッドを溶接した場合の各溶接部A及びチタン板 底部Bにおける金属組織の顕微鏡写真を夫々に示している。
【0037】 先ず、図16として示す顕微鏡写真1は、従来の溶接方法による溶接部の金属 組織の状態を表わすもので、この場合は、磁気吹きによって切り欠き状の融合不 良部を生じており、ここでは、該切り欠き部への応力集中と切り欠きに沿った腐 蝕の進行とが危惧される。
【0038】 又、図17として示す顕微鏡写真2は、同様に、従来の溶接方法による溶接部 の金属組織の状態を表わすもので、この場合は、溶接部に混入された酸化物の介 在があり、ここでは、該酸化物の介在によって溶接強度が著るしく低下されるこ とになる。
【0039】 次に、図18として示す顕微鏡写真3は、本実施例装置を用いた溶接方法によ る溶接部の金属組織の状態を表わすもので、この場合は、溶接部における溶接が 良好になされると共に、外観的にも、溶接部がきれいな状態に仕上がっており、 この結果、前記従来の溶接方法でのような応力集中,腐蝕の進行,及び強度低下 等をもたらす惧れが全く解消される。
【0040】 以上のように、本実施例装置においては、アルミ板,チタン板に対するスタッ ド溶接をアルゴンガス雰囲気中で行なうことによって、次のような種々の効果が 得られる。 即ち、 (a) 特に、酸化性の強いアルミ板,チタン板の溶接熱による酸化を防止でき、 溶接部における金属相互間の機械的諸特性(抗張力,衝撃値,伸び等)が飛 躍的に向上すること, (b) 磁気吹き現象による溶接金属の片寄りに伴った溶け込み不良が防止されて 溶接強度を格段に高め得ること, (c) アークの安定による溶接時の充電々圧の低減に伴った歪みの発生を良好に 防止できること,及び (d) スタッド溶接の信頼性向上による構造材としての活用が可能になって、用 途の拡大を図り得ること, 等の夫々である。
【0041】 なお、前記実施例の説明においては、アルミ(アルミ合金)板,チタン(チタ ン合金)板を用いたパネル材を含む構造材を例にして述べたが、その他の,例え ば、ステンレス板,銅(銅合金)板等に対するスタッド溶接についても同様な作 用,効果を得られることは勿論であり、必要に応じては、既設の同種構造部に適 用することも可能である。 又、前記実施例では、ガス封入容器に導入される不活性ガスとしてアルゴンガ スを用いているが、必ずしもアルゴンガスにのみ限られるものではなく、且つ溶 接装置としても溶接ガン以外の溶接手段であってもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上、実施例によって詳述したように、本考案によれば、溶接装置の溶接操作 を行う先端部のチャッキング装置に溶接すべきスタッドを装填保持した上で、既 設構造部の構造材を含む各種構造材の溶接対象箇所に対し、該スタッドを突き当 て溶接するスタッド溶接装置において、スタッドを装填するチャッキング装置を 上方から受け入れ得て、溶接対象箇所の外周囲を取り囲むように配置されると共 に、内壁面に多数のガス噴出孔を開口した円環状のガス導入室を形成してなる円 筒状のガス封入容器を設け、且つガス導入室内に対して不活性ガスを導入し得る ように構成したので、ガス封入容器のガス導入室内に導入される不活性ガスを多 数のガス噴出孔から溶接対象箇所に噴出でき、この溶接対象箇所を限定された不 活性ガス雰囲気に保持し得るもので、このために、本装置を用いて行なわれるス タッド溶接では、これが限定された不活性ガス雰囲気中でなされることから、そ のアーク及び溶融池が、常に該不活性ガスにより十分に保護されて溶接時のアー クの安定性を効果的に確保でき、この結果、構造材におけるスタッド溶接部の機 械的特性を格段に向上し得るのであり、ひいては所要金属間相互の溶接を極めて 容易に実行可能とし、併せて、構造的にも比較的簡単で容易に実施できる等の実 用上有益な諸効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を適用する好ましい溶接装置
全体の概要構成を示す要部を切り欠いた側面図である。
【図2】(a),(b) は、同溶接装置における溶接ガンの先
端スタッド周辺部にアルゴンガス雰囲気を設定するため
のガス封入容器の一部を切り欠いて示す拡大側面図,及
び平面図である。
【図3】(a),(b) は、同溶接装置によってパネル材上に
スタッドを溶接した状態を示す側面図,及び平面図であ
る。
【図4】同溶接装置におけるスタッドの下端面,及び各
案内棒の先端間の間隔と、該スタッドの下端面,及びパ
ネル材の表面間のギャップ量との関係を示す側面説明図
である。
【図5】同溶接時においてスタッド(溶接ガン)側を
“−”極性,パネル材側を“+”極性に夫々接続させた
正極性の場合のアルゴンガス雰囲気中におけるアークの
状態を示す模式説明図である。
【図6】同溶接時においてスタッド(溶接ガン)側を
“+”極性,パネル材側を“−”極性に夫々接続させた
逆極性の場合のアルゴンガス雰囲気中におけるアークの
状態を示す模式説明図である。
【図7】従来の支持枠で補強された内,外装用パネル材
の概要構成を模式的に示す正面図である。
【図8】同内,外装用パネル材における要部構成の概要
を拡大して示す部分縦断面図である。
【図9】同内,外装用パネル材に対するスタッド溶接の
態様,及び溶接手順の概要を示す模式説明図である。
【図10】(a),(b) は、同従来の内,外装用パネル材へ
のスタッド溶接の状態を示す側面図,及び平面図であ
る。
【図11】本実施例装置を用いた溶接方法における溶接
条件の具体例について、従来の溶接方法の場合に対比さ
せて示す表(表1)である。
【図12】本実施例装置を用いた溶接方法によるアルミ
板からなるパネル材へのスタッドの溶接状態を目視検査
した結果を良品率で表わした表(表2)である。
【図13】本実施例装置を用いた溶接方法によるチタン
板からなるパネル材へのスタッドの溶接状態を目視検査
した結果を良品率で表わした表(表3)である。
【図14】本実施例装置を用いた溶接方法によるアルミ
板からなるパネル材へのスタッドの溶接を溶接強度で表
わした表(表4)である。
【図15】本実施例装置を用いた溶接方法によるチタン
板からなるパネル材へのスタッドの溶接を溶接強度で表
わした表(表5)である。
【図16】従来の溶接方法による溶接部の融合不良部を
生じた金属組織の状態を表わす顕微鏡写真(顕微鏡写真
1)である。
【図17】従来の溶接方法による溶接部の酸化物介入を
生じた金属組織の状態を表わす顕微鏡写真(顕微鏡写真
2)である。
【図18】本実施例装置を用いた溶接方法による溶接部
の金属組織の状態を表わす顕微鏡写真(顕微鏡写真3)
である。
【符号の説明】
101 溶接ガン 102 スタッド 103 パネル材 1 溶接ガン本体 1a 把持ハンドル 2 チャッキング装置 3 トリガーボタン 4 ガス封入容器 4a ガス噴出孔 4b ガス導入室 5 案内杆 6 ガス導入管
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を適用する好ましい溶接装置
全体の概要構成を示す要部を切り欠いた側面図である。
【図2】(a),(b) は、同溶接装置における溶接ガンの先
端スタッド周辺部にアルゴンガス雰囲気を設定するため
のガス封入容器の一部を切り欠いて示す拡大側面図,及
び平面図である。
【図3】(a),(b) は、同溶接装置によってパネル材上に
スタッドを溶接した状態を示す側面図,及び平面図であ
る。
【図4】同溶接装置におけるスタッドの下端面,及び各
案内棒の先端間の間隔と、該スタッドの下端面,及びパ
ネル材の表面間のギャップ量との関係を示す側面説明図
である。
【図5】同溶接時においてスタッド(溶接ガン)側を
“−”極性,パネル材側を“+”極性に夫々接続させた
正極性の場合のアルゴンガス雰囲気中におけるアークの
状態を示す模式説明図である。
【図6】同溶接時においてスタッド(溶接ガン)側を
“+”極性,パネル材側を“−”極性に夫々接続させた
逆極性の場合のアルゴンガス雰囲気中におけるアークの
状態を示す模式説明図である。
【図7】従来の支持枠で補強された内,外装用パネル材
の概要構成を模式的に示す正面図である。
【図8】同内,外装用パネル材における要部構成の概要
を拡大して示す部分縦断面図である。
【図9】同内,外装用パネル材に対するスタッド溶接の
態様,及び溶接手順の概要を示す模式説明図である。
【図10】(a),(b) は、同従来の内,外装用パネル材へ
のスタッド溶接の状態を示す側面図,及び平面図であ
る。
【図11】本実施例装置を用いた溶接方法における溶接
条件の具体例について、従来の溶接方法の場合に対比さ
せて示す図表(図表1)である。
【図12】本実施例装置を用いた溶接方法によるアルミ
板からなるパネル材へのスタッドの溶接状態を目視検査
した結果を良品率で表わした図表(図表2)である。
【図13】本実施例装置を用いた溶接方法によるチタン
板からなるパネル材へのスタッドの溶接状態を目視検査
した結果を良品率で表わした図表(図表3)である。
【図14】本実施例装置を用いた溶接方法によるアルミ
板からなるパネル材へのスタッドの溶接を溶接強度で表
わした図表(図表4)である。
【図15】本実施例装置を用いた溶接方法によるチタン
板からなるパネル材へのスタッドの溶接を溶接強度で表
わした図表(図表5)である。
【図16】従来の溶接方法による溶接部の融合不良部を
生じた金属組織の状態を表わす顕微鏡写真(顕微鏡写真
1)、及びその撮影部位を示す図である。
【図17】従来の溶接方法による溶接部の酸化物介入を
生じた金属組織の状態を表わす顕微鏡写真(顕微鏡写真
2)、及びその撮影部位を示す図である。
【図18】本実施例装置を用いた溶接方法による溶接部
の金属組織の状態を表わす顕微鏡写真(顕微鏡写真
3)、及びその撮影部位を示す図である。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正内容】
【図13】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正内容】
【図15】

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接装置の溶接操作を行う先端チャッキ
    ング装置に溶接すべきスタッドを装填保持した上で、既
    設構造部の構造材を含む各種構造材の溶接対象箇所に対
    し、該スタッドを突き当て溶接するスタッド溶接装置で
    あって、 前記スタッドを装填するチャッキング装置を上方から受
    け入れ得て、前記溶接対象箇所の外周囲を取り囲むよう
    に配置されると共に、内壁面に多数のガス噴出孔を開口
    した円環状のガス導入室を形成してなる円筒状のガス封
    入容器を設け、且つ前記ガス導入室内に対して不活性ガ
    スを導入し得るように構成したことを特徴とする構造材
    に対するスタッド溶接装置。
  2. 【請求項2】 前記ガス封入容器が、前記溶接装置本体
    からチャッキング装置の周囲に延出された案内杆に取付
    け支持されることを特徴とする請求項1に記載の構造材
    に対するスタッド溶接装置。
  3. 【請求項3】 前記不活性ガスが、アルゴンガスである
    ことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の構造
    材に対するスタッド溶接装置。
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