JP3006134U - 流出油吸収装置 - Google Patents

流出油吸収装置

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JP3006134U
JP3006134U JP1994009601U JP960194U JP3006134U JP 3006134 U JP3006134 U JP 3006134U JP 1994009601 U JP1994009601 U JP 1994009601U JP 960194 U JP960194 U JP 960194U JP 3006134 U JP3006134 U JP 3006134U
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正直 西村
万蔵 家内
義雄 栗原
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万蔵 家内
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 事故等により車両又は船舶等から地上又は水
面上に流出したガソリン等の油を、風雨その他の気象条
件に左右されることなく、油だけを効率良く吸収して、
迅速に回収することができる流出油吸収装置を提供す
る。 【構成】 親油処理を施した連通気孔率50%以上で、
見掛け単位密度1g/cc未満のけいそう土焼成粒6
と、当該けいそう土焼成粒6を収納した網状袋2aとか
らなる流出油吸収装置1。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、事故車両や給油所等から流出したガソリンや軽油等、タンカーその 他の船舶から流出した石油等を、速やかに吸収して回収するための流出油吸収装 置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、交通事故等によって車両や給油所等からガソリンや軽油等の燃料が地上 に流出した場合、真珠岩を焼成したパーライト粉末や乾燥砂を流出油にかけて吸 収させ、回収する方法が取られている。又、河川等に流れ込んだ油や、タンカー や船舶等から海上に流出した油については、オイルフェンスを用いて流出範囲の 拡大を防止すると共に、油中和剤の散布や油吸着マットを用いて処理する方法が 取られている。
【0003】 しかし、パーライト粉末や乾燥砂を用いて油を吸収する方法では、流出した油 を吸収させた後、パーライト粉末や砂をほうき等で集めて回収するため、迅速で 効率良い作業を行うことが出来ない欠点があった。又、パーライト粉末は水も吸 収し、油のみを選択的に吸収することが出来ないため、降雨時や水面上に流出し た油の回収には殆ど効果がなかった。更に、パーライト粉末は軽いため、風等に より飛散したり、水に浮いて流される欠点があった。
【0004】 一方、乾燥砂では、風による飛散は起こらないが、逆に河川や海上に流出した 油に対しては砂が水没してしまうため全く使用出来ないという欠点がある。又、 乾燥砂は単位容量当たりの油吸収量が少ないため、大量の油流出事故では使用量 が極めて多くなるという問題があった。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、かかる従来の事情に鑑み、事故等により車両又は船舶等から地上又 は水面上に流出したガソリン等の油を、風雨その他の気象条件に左右されること なく、油だけを効率良く吸収して、迅速に回収することができる、流出油吸収装 置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本考案が提供する流出油吸収装置は、親油処理を施 した連通気孔率50%以上で、見掛け単位密度1g/cc未満のけいそう土焼成 粒と、当該けいそう土焼成粒を収納した網上袋とからなる。
【0007】 本考案で用いるけいそう土焼成粒は、けいそう土を円形の孔から押し出し、ド ライヤーで乾燥しつつ自然に折れて適当な長さとなったものを焼成した後、親油 性を付与するためにシリコーン油等を含浸させ、乾燥して得られる。
【0008】 尚、本考案の流出油吸収装置が吸収処理の対象とする油とは、原油や重油、ガ ソリン、灯油、軽油等の石油類の他、ベンゼン、トルエン、アセトン等の有機溶 剤、動植物油等を含む意味である。
【0009】
【作用】
本考案で使用するけいそう土焼成粒は、親油処理を施した連通気孔率50%以 上で、見掛け単位密度1g/cc未満のけいそう土焼成粒である。 連通気孔率50%未満で、見掛け単位密度1g/cc以上では、油の吸収量が 少ないからである。又、親油処理を施したけいそう土焼成粒を用いるのは、降雨 等の気象条件下や、河川や海上に流出した油であっても、水を吸収せず油だけを 選択的に吸収させるためである。
【0010】 けいそう土焼成粒の直径は、通常1〜10mm程度であるが、本考案において は4〜6mmのものが好ましい。直径が4mm未満では収納する網状袋の網目か ら脱落し易くなるうえ、粒子同士が空気を巻き込んで団粒化し易く、逆に直径が 6mmを越えると油の吸収効率が低下し、吸収に時間がかかるようになるからで ある。尚、けいそう土焼成粒のかさ密度(粒子の集合体の密度)は、0.45〜 0.65程度のものが好ましい。
【0011】 又、本考案で用いるけいそう土焼成粒は真比重が2.3程度であることから、 油を選択的に吸収したけいそう土焼成粒は見掛け単位密度が1g/ccより大き くなり、水が共存する場合にはその水面下に沈降する。従って、水が存在する場 合でも油のみを選択的に吸収して水没することにより、油の揮発を防止し、油が 燃焼している場合には消火を助ける作用があるので、降雨時や水面上に流出した 油の回収、又は水面上で燃焼している油の回収に特に有効である。
【0012】 上記けいそう土焼成粒を油吸収材として網状の袋に収納した本考案の流出油吸 収装置では、上記のごとく油を選択的に且つ高い吸収効率で吸収できる多量のけ いそう土焼成粒を一塊にして取り扱うことができ、従って迅速で能率的な作業が 可能となる。即ち、地上又は水面上に流出した油の拡大を阻止するのに最適な場 所に効率良く投入し、油を吸収した後には網状袋を持って簡単に回収することが できる。又、網状袋に収納されたけいそう土焼成粒は、強風等によっても飛散す ることがない。
【0013】 網状袋は繊維ないし糸を編組した袋であって、収納するけいそう土焼成粒が脱 落しない程度の網目のものであれば良い。又、網状袋は内部にけいそう土焼成粒 を収納した後封止しても良いが、ファスナー等の開閉可能な収納口を設け、油を 吸収して回収した後けいそう土焼成粒を取り出し、網状袋を洗浄して再利用する ことが好ましいことは言うまでもない。
【0014】 網状袋の材質や形状は特に限定されないが、網状袋の材質としては、例えば塩 化ビニールやナイロン等の合成繊維を用いることが一般的であるが、流出した油 が燃焼している場合には金属又はセラミックス等の不燃性材料からなる網状袋を 使用する。又、網状袋の形状は基本的に正方形や長方形等の矩形のほか、円筒形 あるいは三角形等であっても良く、使用場所に応じた大きさのものとする。網状 袋の端部に、マジックテープ、フック、又は、はと目等の相互接続が可能な接続 部材を設けることにより、複数の網状袋を自由に接続して適切な大きさにするこ とも可能である。
【0015】 網状袋は、けいそう土焼成粒を区分けして収納するように、合成繊維の溶着加 工やミシン縫い等により、複数の小袋に仕切られていることが好ましい。特に、 網状袋が全体の大きさに比べて厚さの薄い矩形である場合には、内部のけいそう 土焼成粒が偏在して一部のみが厚くなると油の効率的な吸収が妨げられるので、 複数の小袋に仕切る必要がある。
【0016】 網状袋に回収用のロープ状長尺部材を取り付けておくことによって、油で汚れ た網状袋を持たずに、ロープ状長尺部材を持って流出油吸収装置を片付けること ができる。又、このロープ状長尺部材を取り付けておけば、河川や海等の水面上 に流出した油を吸収する場合にも、非常に便利である。ロープ状長尺部材の材質 は、網状袋と同じものであって良い。
【0017】 特に水面上に流出した油を吸収して回収する場合には、けいそう土焼成粒が油 を吸収して水面下に沈降するので、網状袋かロープ状長尺部材の少なくとも片方 に浮き子を取付け、けいそう土焼成粒を収納した網状袋を水面近くに浮遊させる ことが好ましい。浮き子は通常使用されているガラス又は合成樹脂製のボール状 のものであって良いが、燃焼している油の回収時には金属等の不燃性材料からな る中空球を用いることが好ましい。
【0018】 更に、夜間の作業を容易にするために、網状袋や浮き子に発光性の目印を付け ることもできる。又、網状袋を舗装道路上などで引き回すと、摩擦により静電気 が発生して流出油に引火する危険があるので、網状袋に静電気防止用の電極を備 えた材質を組み込むことも可能である。
【0019】
【実施例】 実施例1 図1に示すように、塩化ビニール製で網目の大きさが約1.5×2mm、全体 の大きさが約30×60cmの長方形の網状袋2aを、長辺方向の等間隔に2カ 所をミシン縫いして3つの小袋に仕切り、長辺方向の片側の緑に沿ってファスナ ー3を取り付け開閉可能な収納口とした。
【0020】 又、長方形の網状袋2aの短辺方向の両側の緑と、ファスナー3と反対側の長 辺方向の縁には接続部材としてそれぞれマジックテープ4を縫い付けて固定し、 同じ形状の網状袋2aをそれぞれ接続できるようにしてある。更に、網状袋2a の両側の縁には、回収用の長いロープ5が取り付けてある。
【0021】 この網状袋2aのファスナー3を開き、けいそう土焼成粒6を各小袋に1リッ トルづつ合計3リットル収納し、ファスナー3を閉じて流出油吸収装置1とした 。尚、使用したけいそう土焼成粒は、直径が約4mmで大部分のアスペクト比0 .5〜3であり、連通気孔率50%以上で見掛け単位密度1g/cc未満であつ て、親油処理を施したものである。又、このけいそう土焼成粒の油吸収能力を表 1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】 舗装道路上に1リツトルのガソリンを流出させた後、流出したガソリンの上に 上記流出油吸収装置1を静かに投入した。約40秒後には全ての流出ガソリンが 吸収されたので、ロープ5を持って流出油吸収装置1を回収した。舗装道路上に は、けいそう土焼成粒6は全く残っておらず、網状袋2aに付着したガソリンの 痕跡が若干認められたが、殆ど全ての流出ガソリンは吸収されていた。
【0024】 更に、降雨時の効果をみるために、降雨を想定して舗装道路上にジョウロで散 水しながら上記と同様の実験を行った。降雨が無い場合に比較して全ての流出ガ ソリンの吸収に若干長い時間を要したが、けいそう土焼成粒6が流されることは なく、殆ど全ての流出ガソリンを吸収することができ、流出油吸収装置1を回収 した舗装道路上には網状袋2aに付着したガソリンが水に混じって若干浮いてい るだけであった。
【0025】 実施例2 図2に示すごとく、塩化ビニール製で網目の大きさが約1.5×2mm、直径 が約10cmで長さが約50cmの円筒形の網状袋2bを用意した。この網状袋 2bには、その長さ方向に沿ってファスナー3を取り付けることにより、開閉可 能な収納口とした。又、円筒形の網状袋2bの両端部には、接続部材として突出 片に複数のはと目7を設けてある。
【0026】 この円筒形の網状袋2bのファスナー3を開き、直径が約4mmで大部分のア スペクト比が0.5〜3であり、連通気孔率50%以上で見掛け単位密度1g/ cc未満であって、親油処理を施したけいそう土焼成粒を合計5リットル収納し 、ファスナー3を閉じて流出油吸収装置1とした。更に、この太い棒状の流出油 吸収装置1を長さ方向に2個つなげ、はと目7に紐を通して結ぶことにより接続 した。
【0027】 上記2個接続した流出油吸収装置1を道路の側溝に挿入し、廃油1リットルを 流出させて水で流しながら側溝に流入させた。水と混じった廃油は1番目の流出 油吸収装置1で吸収されるが、一部は水と共に1番目の流出油吸収装置1を乗り 越え2番目の流出油吸収装置1に到達した。約90秒後には2番目の流出油吸収 装置1から水が流れだし、この水は廃油を含まない水であつたが、側溝の側壁を 伝わった廃油が若干混入していた。
【0028】 実施例3 河川や海上に流出した油を回収する場合を想定して、下記の実験を行った。使 用した流出油吸収装置1は、実施例1と同様に同じけいそう土焼成粒6を収納し た図1の装置である。ただし、この流出油吸収装置1には、図3に示すように、 両側のロープ5に中空球状の浮き子8をそれぞれ取り付けた。
【0029】 水を張ったプールの水面9の上に1リットルの軽油10を流出させ、空気を入 れた消防ホースで流出した軽油10の回りを囲んで広がりを防止した後、上記の 流出油吸収装置1を流出した軽油10の上に静かに投入した。
【0030】 水面9上に浮かんだ流出油吸収装置1は、水面9上の軽油10を選択的に吸収 して、約2秒後にほぼ完全に流出軽油10を吸収して水面9下に沈降した。しか し、浮き子8は沈まず、油を吸収した流出油吸収装置1は底まで沈まずに水面近 くに保持されていた。水面9上に流出した軽油10は、若干の痕跡を残して殆ど 全て吸収されていた。
【0031】
【考案の効果】
本考案によれば、事故等により車両又は船舶等から地上又は水面上に流出した ガソリン、軽油等の油を、風雨その他の気象条件に全く左右されることなく、し かも流出した油だけを効率良く吸収して、迅速に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の流出油吸収装置の一具体例を示す一部
を切り欠いた斜視図である。
【図2】本考案の流出油吸収装置の他の具体例を示す斜
視図である。
【図3】本考案の流出油吸収装置を用いて水面上に流出
した油を吸収する状態を説明するための概略の側面図で
ある。
【符合の説明】
1 流出油吸収装置 2a、2b 網状袋 3 ファスナー 4 マジックテープ 5 ロープ 6 けいそう土焼成粒 7 はと目 8 浮き子 9 水面 10 軽油
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 西村 正直 東京都国分寺市本多一丁目7番15号 東京 消防庁 国分寺消防署内 (72)考案者 家内 万蔵 東京都国分寺市本多一丁目7番15号 東京 消防庁 国分寺消防署内 (72)考案者 栗原 義雄 東京都国分寺市本多一丁目7番15号 東京 消防庁 国分寺消防署内

Claims (7)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親油処理を施した連通気孔率50%以上
    で、見掛け単位密度1g/cc未満のけいそう土焼成粒
    と、当該けいそう土焼成粒を収納した網状袋とからなる
    流出油吸収装置。
  2. 【請求項2】 網状袋が相互に接続できる接続部材を具
    えていることを特徴とする、請求項1に記載の流出油吸
    収装置。
  3. 【請求項3】 網状袋がけいそう土焼成粒を区分けして
    収納できるように複数の小袋に仕切られていることを特
    徴とする、請求項1又は2に記載の流出油吸収装置。
  4. 【請求項4】 網状袋が回収用のロープ状長尺部材を具
    えていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに
    記載の流出油吸収装置。
  5. 【請求項5】 網状袋又はロープ状長尺部材に、けいそ
    う土焼成粒を収納した網状袋を水面近くに浮遊させるた
    めの浮き子を取り付けたことを特徴とする、請求項1〜
    4のいずれかに記載の流出油吸収装置。
  6. 【請求項6】 網状袋及びロープ状長尺部材が不燃性材
    料からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか
    に記載の流出油吸収装置。
  7. 【請求項7】 けいそう土焼成粒の直径が4〜6mmで
    あることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載
    の流出油吸収装置。
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