JP3005048B2 - スライム分解酵素産生菌及びスライム分解酵素の製造方法 - Google Patents

スライム分解酵素産生菌及びスライム分解酵素の製造方法

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JP3005048B2
JP3005048B2 JP8506392A JP50639296A JP3005048B2 JP 3005048 B2 JP3005048 B2 JP 3005048B2 JP 8506392 A JP8506392 A JP 8506392A JP 50639296 A JP50639296 A JP 50639296A JP 3005048 B2 JP3005048 B2 JP 3005048B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、スライムの分解に有効な酵素の生産能を有
するスライム分解酵素産生菌及びスライム分解酵素の製
造方法に関する。
背景技術 スライムは、用水内に浮遊しているか又は用水器壁等
の表面に付着している微生物菌体及びその代謝産物を主
成分とする粘性泥状物質であって、特に製紙産業におい
て抄紙工程の白水中で生成、付着し、成長し、ある程度
の大きさになると脱落し、様々な障害を引き起こす。
白水中にはバクテリア以外にも、カビ、酵母等の真菌
類が存在していることが知られており、特に最近は、白
水の循環使用、古紙使用増加、デンプン添加等に伴う白
水の富栄養化等によって、カビスライムの発生が問題と
なっている。
スライムの発生を抑制するため、従来から多種類の抗
菌剤が用いられており、例えば、有機窒素化合物、有機
硫黄化合物、有機窒素硫黄化合物、有機臭素化合物等が
知られている。
スライムの防除のための殺菌剤・抗菌剤等の薬剤の使
用は、近年、環境への配慮等からより安全なものが望ま
れている。しかしながら、薬剤耐性菌の発生や公害上の
問題等は、未だ未解決のまま残存している。
スライムの防除のための生物学的薬剤として酵素剤も
知られている。このようなものとして、例えば、特公昭
53−39395号公報(USP3773623)には、スライム形成微
生物の代謝産物であるレバンを分解してスライムの抑制
をすることを目的としたレバン加水分解酵素が開示され
ている。上記レバンは、バクテリアがつくる多糖類の一
種であって、β−2,6結合のフルクトフラノースを主鎖
とするβ−フルクタンである。
特開昭59−225103号公報(USP4684469)には、生物破
壊物質と多糖体分解酵素とを併用した2成分組成物であ
って、多糖体分解酵素としてレバン加水分解酵素、デキ
ストリン加水分解酵素、アミラーゼを含有するものが開
示されている。
特開平3−193号公報には、β−グルカナーゼ及びこ
れとプロテアーゼ、アミラーゼを併用してスライム表面
を損傷させることによりスライム除去の効果を得ること
ができる旨が記載されている。
また、特開平4−91288号公報には、β−グリコシド
加水分解酵素の使用が提案されている。
酵素剤の使用においては、抗菌剤等において問題とな
る薬剤耐性菌の発生や安全性の確保等を特に考慮する必
要はない。しかしながら、代表的な酵素剤であるレバン
加水分解酵素や上述した2成分系生物破壊物、β−グル
カナーゼ等の使用は、その特異性からバクテリアスライ
ムには有効であるがカビスライムには効果が薄い。
また、その他の市販β−グリコシダーゼは、単独では
効果が薄く、他酵素との併用を必要とし、また、高価で
ありかつその配合に手間がかかり、工業レベルでの使用
には問題がある。
発明の概要 本発明者は、上述の現状に鑑み、カビ、酵母等に由来
する真菌性スライムに有効な酵素類を生産する微生物の
探索を目的として、土壌等から分離した菌をスクリーニ
ングした結果、各種カビ、酵母等に由来するスライムを
分解することができる特異性の広い酵素を生産しうる新
規なスライム分解酵素産生菌を見いだし、本発明を完成
するに至った。
すなわち本発明の要旨は、セルロモナス属に属し、ス
ライムの分解に有効な酵素の生産能を有するスライム分
解酵素産生菌そのものにある。また、本発明の要旨は、
これらのスライム分解酵素産生菌を使用するスライム分
解酵素の製造方法、及び、スライム分解酵素を使用する
スライム防除方法を提供するところにもある。
発明の詳細な開示 以下に本発明を詳述する。
本発明に係るセルロモナス属に属し、スライムの分解
に有効な酵素の生産能を有するスライム分解酵素産生菌
は、土壌試料から分離した菌を対象に、製紙工場から採
取したスライムを分解する活性を有する菌をスクリーニ
ングすることにより分離することができるものである。
上記スライム分解酵素産生菌としては、例えば、セルロ
モナスSCI−H1株、セルロモナスSCI−H2株等を挙げるこ
とができる。上記セルロモナスSCI−H1株及びセルロモ
ナスSCI−H2株は、セルロモナス属に属する未だ文献未
記載の新菌株であり、本発明者らによって初めて見出さ
れたものである。
上記セルロモナスSCI−H1株、セルロモナスSCI−H2株
の分離法を以下に説明する。
セルロモナスSCI−H1株、セルロモナスSCI−H2株の分離
法 1.一次スクリーニング 土壌等の試料から分離した分離菌を対象に、製紙工場
から採取したスライムを分解する活性を有する菌を選択
する。上記選択のために使用する上記スライムは、レバ
ン加水分解酵素の作用しないものを用いる。
スライム分解活性判定のために、例えば、グルコース
0.1重量%、デンプン0.05重量%、ペプトン0.1重量%、
及び、酵母エキス0.05重量%を含有し、pH6.0に調整し
た白水5mlからなる試験管内の白水培地中に軟質ウレタ
ンフォームの一片(5mm角)を入れて滅菌後、上述した
スライムを接種し、4日間、30℃で振とう培養し、ウレ
タンフォーム片にスライムを形成させる(以下、ウレタ
ンフォーム片に形成されたこのスライムを「ウレタンス
ライム」という)。このウレタンスライム1片に、例え
ば、ペプトン1.0重量%、リン酸水素二カリウム0.1重量
%を加え、pH7.0に調整した培地5mlを滅菌後、供試菌を
接種し、30℃で3日間培養した後、ウレタンスライムの
減少、ウレタンからの脱離を目視で評価してスライム分
解活性を判定し、活性菌を選択する。
2.二次スクリーニング スライムの分解特異性の広い菌を得るために、レバン
加水分解酵素で効果のなかった製紙スライムについて、
ウレタンスライムを形成させ、それらのうちの多くのも
のを分解する特異性の広い活性菌を選抜することによ
り、セルロモナスSCI−H1株、セルロモナスSCI−H2株を
分離することができる。
本発明のセルロモナスSCI−H1株及びセルロモナスSCI
−H2株の分類学的性質を以下に詳細に説明する。
分類学的性質 セルロモナスSCI−H1株及びセルロモナスSCI−H2株の
形態的性質、生理学的性質、化学分類学的性質を表1及
び表2に示す。菌体成分の分析は、大豆−カゼイン デ
ィジェスト(SCD)液体培地(日本製薬社製)を用いて3
3℃、230rpm、20時間振盪培養した後、遠心分離して集
菌した菌体について行った。
上記セルロモナスSCI−H1株及びセルロモナスSCI−H2
株は、上記表の結果から、いずれもグラム陽性、不規則
な形態の桿菌で、通性嫌気性菌であるので、バージーズ
・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロ
ジー(Bergey's Manual of Systematic Bacteriolo
gy,Vol.2,p.1261,1986)記載の、セクション15不規則形
態、無芽胞なグラム陽性桿菌(Section15 Irregular,N
onsporing Gram−Positive Rods)中の通性嫌気性群
に群別できた。この群には9属のバクテリアと、類似比
較のため放線菌オエルスコフィア属が挙げられている。
更に、上記2菌株はいずれもカタラーゼ活性が陽性、
GC含量が74重量%、ペプチドグリカン組成がGroupA(L
−Lys−D−Ser−D−Asp type)、ジアミノ酸がLys、
メナキノンがMK−9(H4)であるので、バージーズ・マ
ニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー
の記載によれば、セルロモナス・セルランズ(Cellulom
onas cellulans)近縁のセルロモナス属かオエルスコ
フィア属と考えられた。
オエルスコフィア属は、現在、オエルスコフィア・キ
サンチネオリチカ(Oerskovia xanthineolytica)とオ
エルスコフィア・ツルバータ(Oerskovia turbata)の
2種が記載されている。しかし、ツェントラルブラット
・フュア・バクテリオロギー・ミクロビオロギー・ウン
ト・ヒュギーネ(Zentralblatt feur Bacteriologie,Mi
crobiologie und Hygiene,Abt,1,Originale C)3
巻、401頁、1982年、及びインターナショナル・ジャー
ナル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(In
ternational Jounal of Systematic Bacteriolog
y)33巻、438頁、1983年によれば、オエルスコフィア属
はセルロモナス属と認められている。
従って、上記2菌株は、コロニー概観、培養後期にお
ける菌形態、ウレアーゼ活性の有無で相互に違いは認め
られるものの、ペプチドグリカン組成が同一であるの
で、いずれもセルロモナス・セルランズ近縁のセルロモ
ナス属と同定した。従来、このような菌株であって、ス
ライム分解酵素産生能を有するものは知られていないの
で、上記2菌株はセルロモナス属に属する新菌株である
と判断した。
上記セルロモナスSCI−H1株は、受託番号FERM BP−5
166として、SCI−H2株は、受託番号FERM BP−5167とし
てそれぞれ工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託さ
れている。本発明に係る菌株は、これらのみに限定され
るものではなく、セルロモナス属に属する菌株であって
スライム分解酵素産生能を有するものであればよい。
本発明においては、スライム分解酵素産生菌として上
記セルロモナスSCI−H1株及びセルロモナスSCI−H2株の
うち少なくとも1種、又は、これらの変異株等を含むス
ライム分解酵素産生能を有するセルロモナス属の菌株を
培養し、その培養物からスライム分解酵素を採取するこ
とによってスライム分解酵素を製造することができる。
スライム分解酵素産生菌として上記セルロモナスSCI
−H1株及びセルロモナスSCI−H2株のうち少なくとも1
種を使用し、これを培養し、その培養物からスライム分
解酵素を採取することによってスライム分解酵素を製造
する場合、上記培養は、炭素源、窒素源、無機塩を含む
培地を使用することができる。上記炭素源としては特に
限定されず、例えば、キチンフレーク、キチンパウダ
ー、キチン含有カビ菌体等のキチン含有物等を使用する
ことができるが、分解対象スライムそのものを用いるこ
ともできる。上記窒素源としては特に限定されず、例え
ば、ペプトン、肉エキス、カザミノ酸、酵母エキス、尿
素、アンモニウム塩、硝酸塩等の通常使用されるもの等
を単独で又は併用して使用することができるが、これら
のうち、酵母エキスを単独で又は他のものと併用して使
用することが好ましい。上記無機塩としては特に限定さ
れず、例えば、リン、カリウム、マグネシウム、マンガ
ン、鉄、カルシウム、ナトリウム等の通常使用される各
種無機塩等を使用することができる。
上記培地中には、炭素源0.1〜5.0重量%、好ましくは
0.2〜2.0重量%、窒素源0.1〜3.0重量%、好ましくは0.
2〜1.0重量%、無機塩0.01〜3.0重量%、好ましくは0.0
5〜1.5重量%をそれぞれ含有させることができる。
上記培養は、嫌気又は好気の何れの培養法であっても
よいが、好気醗酵で行うことが望ましい。上記好気醗酵
法としては、例えば、振とうフラスコ中で振とうする
か、又は、醗酵器中で通気撹拌する方法等を挙げること
ができる。
上記培養の条件は、pH6.0〜9.5、好ましくはpH7.0〜
9.0であり、培養温度18〜45℃、好ましくは25〜40℃、
より好ましくは37℃であり、培養時間18〜100時間、好
ましくは24〜35時間である。
本発明においては、上記スライム分解酵素産生菌の培
養によって得られた培養物からスライム分解酵素を採取
する。本発明における上記スライム分解酵素は、上記培
養物から分離精製された酵素組成物であってもよく、ま
た、酵素、菌体及び菌代謝生産物等を含む培養液そのも
の、又は、上記培養液のろ液または遠心上清液からの粗
抽出物であってもよい。
上記分離精製は、酵素精製分野における通常の方法に
より行うことができる。
上記セルロモナスSCI−H1株及びセルロモナスSCI−H2
株のうち少なくとも1種を使用し、上述のようにして調
製されたスライム分解酵素は、キチナーゼ活性に加え
て、β−1,3−グルカナーゼ(ラミナリナーゼ)、マン
ナーゼ、プロテアーゼ等の各活性を有している。上記ス
ライム分解酵素中におけるこれらの活性をになう各酵素
の活性度及び含有比率は、培地成分、培養条件、酵素精
製法等により変化するので、一般的に規定することはで
きないが、例えば、キチンパウダー0.5重量%、酵母エ
キス0.3重量%、リン酸二水素カリウム0.1重量%を含有
し、pH7.5に調整した培地で、30℃、3日間振とう培養
した後、遠心した上清液1L当りの酵素活性は表3に示す
とおりである。
表3中、酵素1単位は、基質から1時間に1μmole相
当の生成物を遊離することができる酵素量であって、キ
チナーゼの場合はアミノ糖を、β−1,3−グルコシダー
ゼ及びマンナーゼの場合は還元糖を、プロテアーゼの場
合はチロシン相当分をそれぞれ遊離する酵素量である。
上記酵素活性のうち、キチナーゼ活性とβ−1,3−グ
ルカナーゼ活性は、相乗的に作用することにより、カビ
の細胞壁分解効果を発揮することができ、マンナーゼ活
性は、酵母等の細胞壁に有効に作用することができる。
また、β−1,3−グルカナーゼ活性は、細胞外にβ−1,3
−グルカンを有するバクテリアにも有効に作用すること
ができる。
上記スライム分解酵素は、上記各酵素活性を有してい
るので、カビスライムの他に、酵母、バクテリアスライ
ムに対しても有効に作用することができる。
本発明においては、このようにして調製されるスライ
ム分解酵素を用いて、又は、所望により更にサンノプコ
社製EDC−1等のレバン加水分解酵素、化学薬剤等を併
用して、工業用水中のスライムの防除、汚泥のバルキン
グ防止等を行うことができ、例えば、冷却水中、製紙工
程中、下水や工場排水中等のスライムコントロール等に
好適に使用することができる。上記スライムコントロー
ルによって、下水や工場排水等の排水処理;食品工業、
製紙工業、製薬工業等の分野等で使用されている分離膜
のスライム除去等を行うことも可能である。更に、本発
明のスライム分解酵素は、カビ等の菌体を分解すること
ができるので、台所流し台のごみ取りかご、浴槽、洗濯
機、浴室、衣類等の洗浄;貯蔵木材、食品、医薬品、飼
料等の防腐等に広く適用することができる。
本発明のスライム分解酵素を用いて工業用水中のスラ
イムの防除、分離膜のスライム除去を行う場合には、ス
ライム分解酵素の有効量を工業用水中に添加して行う。
上記有効量は、用水の種類、温度、pH、微生物数等の条
件によって異なるが、一般には、キチナーゼ活性に換算
して100単位/ml以上である酵素組成物、培養液、又は、
培養液のろ液若しくは遠心上清液からの粗抽出物を、用
水中1ppm以上の濃度として適用することが好ましい。
本発明のスライム分解酵素を用いて汚泥のバルキング
防止を行う場合には、スライム分解酵素の有効量を汚泥
中に添加して行う。上記有効量は、汚泥の種類、温度、
pH、微生物数等の条件によって異なるが、一般には、キ
チナーゼ活性に換算して100単位/ml以上である酵素組成
物、培養液、又は、培養液のろ液若しくは遠心上清液か
らの粗抽出物を、汚泥中1ppm以上の濃度として適用する
ことが好ましい。
本発明のスライム分解酵素を用いて排水処理を行う場
合には、スライム分解酵素の有効量を、下水、工業排水
又はこれらの混合排水等の処理対象排水中に添加して行
う。上記有効量は、排水の種類、温度、pH、微生物数等
の条件によって異なるが、一般には、キチナーゼ活性に
換算して100単位/ml以上である酵素組成物、培養液、又
は、培養液のろ液若しくは遠心上清液からの粗抽出物
を、排水中1ppm以上の濃度として適用することが好まし
い。
スライム分解酵素として菌体等を含む培養液そのもの
を使用する方法を採用する場合、本発明の上記2株の菌
株は、高いpH条件下においても増殖することができるの
で、塩基性の用水中等に適用した場合でも菌体が増殖す
ることができ、長期間にわたって効果を発揮することが
できる。
上記それぞれの場合における添加は、用水、汚泥、排
水中等に連続的に又は間欠的に行うことができる。上記
添加に際しては、培養菌体、酵素組成物、粗抽出物等
を、物理的担体吸着法や格子型、マイクロカプセル型等
の包括法等により固定化して適用する方法を採用するこ
とも可能である。
本発明のスライム分解酵素を用いて製紙工程における
原料調成工程、抄紙工程、白水循環系、白水処理工程中
のスライムコントロールを行うには、原料調成工程、白
水循環系、白水処理工程に添加して行うことができ、例
えば、パルパー、ミキシングチェスト、リファイナー、
マシンチェスト、種箱、ワイヤーピット、シールピッ
ト、白水ピット、セーブオール等に添加する方法を採用
することができる。
本発明のスライム分解酵素を用いて、台所流し台のご
み取りかご、浴槽、洗濯機、浴室、衣類等の洗浄を行う
場合には、スライム分解酵素の有効量を含有する洗浄剤
を通常の方法により適用して行うことができる。上記有
効量は、適用対象の種類、温度、pH、微生物数等の条件
によって異なるが、一般には、キチナーゼ活性に換算し
て0.1〜200単位/mlとして含有させることが好ましい。
本発明のスライム分解酵素を用いて貯蔵木材、食品、
医薬品、飼料等の防腐を行う場合には、スライム分解酵
素液に対象物を浸漬する方法、スライム分解酵素の有効
量を対象物に直接散布、塗布等により適用する方法、対
象物に添加する方法等を適宜採用して行うことができ
る。
発明を実施するための最良の形態 以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する
が、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではな
い。
実施例1 セルロモナスSCI−H1株、セルロモナスSCI−
H2株の分離 1.一次スクリーニング 土壌試料から分離した1043株の分離菌を対象に、製紙
工場から採取したスライムを分解する活性を有する菌を
選択した。上記選択のために使用する上記スライムとし
ては、サンノプコ社製レバン加水分解酵素EDC−1を作
用させたのち、特公昭53−39395号公報に記載のレゾル
シノール法及びTTC(2,3,5−トリフェニル−2H−テトラ
ゾリウムクロライド試薬)法によってフルクトースの遊
離が認められないものを用いた。
スライム分解活性判定のために、グルコース0.1重量
%、デンプン0.05重量%、ペプトン0.1重量%、及び、
酵母エキス0.05重量%を含有し、pH6.0に調整した白水5
mlからなる試験管内の白水培地中に軟質ウレタンフォー
ムの一片(5mm角)を入れて滅菌後、上述したスライム
を接種し、4日間、30℃で振とう培養し、ウレタンフォ
ーム片にスライムを形成させた。このウレタンスライム
1片に、ペプトン1.0重量%、リン酸水素二カリウム0.1
重量%を加え、pH7.0に調整した培地5mlを滅菌後、供試
菌を接種し、30℃で3日間培養した後、ウレタンスライ
ムの減少、ウレタンからの脱離を目視で評価してスライ
ム分解活性を判定し、36株の活性菌を選択した。
2.二次スクリーニング 一次スクリーニングで選択した36株の活性菌からスラ
イムの分解特異性の広い菌を得るために、レバン加水分
解酵素で効果のなかった製紙スライム11点について、ウ
レタンスライムを形成させ、それらのうちの7点を分解
した特異性の広い活性菌を選抜することにより、セルロ
モナスSCI−H1株、セルロモナスSCI−H2株を分離した。
実施例2 スライム分解酵素液の調製 SCI−H1株、SCI−H2株を、それぞれキチンパウダー0.
3重量%、酵母エキス0.3重量%、リン酸二水素カリウム
0.1重量%を含む培地(100ml、pH7.5)で、30℃、2日
間振とう培養後、培養液を遠心分離し、塩酸でpHを6.0
に調整し、滅菌フィルター(0.45μm)でろ過して、SC
I−H1株、SCI−H2株から由来するスライム分解酵素液を
それぞれ調製した。
実施例3 スライム分解試験 グルコース0.1重量%、デンプン0.05重量%、ペプト
ン0.1重量%、及び、酵母エキス0.05重量%を含有し、p
H6.0に調整した白水5mlからなる試験管内の白水培地中
に軟質ウレタンフォームの一片(5mm角)を入れて滅菌
後、この培地に5つの製紙工場のそれぞれ適当な3〜5
箇所の白水から採取したスライムを種菌として接種し、
4日間、30℃で振とう培養し、ウレタンスライムを形成
させた。次に、実施例2で得た各酵素液3mlに、得られ
たウレタンスライム1片を加え、30℃で24時間軽く振と
うした後、ウレタンからのスライムの脱離を目視判定し
てスライムの分解を試験した。また実施例2の培養液3m
lにEDC−1(レバン加水分解酵素、サンノプコ社製)原
液100μlを添加して得た酵素液についても同様にして
検討した。対照としては、EDC−1の30倍希釈液3mlを用
いた。スライムの脱離効果のある場合を+、スライムの
脱離効果のない場合を−とした。結果を表4に示した。
表4中、A社〜E社は製紙工場を、数字は採取場所をそ
れぞれ示す。
表4の結果から、本発明の菌株の培養液から得られた
酵素液は、特にEDC−1による効果の小さい各種スライ
ムに対して極めて効果的に分解作用を発揮することがで
き、EDC−1と併用することにより更に広範囲のスライ
ムを分解することができることが判明した。
実施例4 スライム発生防止試験 酵素液は実施例2記載の方法で調製した。白水2mlに
グルコース0.2重量%、デンプン0.1重量%、ペプトン0.
2重量%、酵母エキス0.1重量%を添加し、pH6.0に調整
後、ウレタンフォーム(5mm角)の一片を入れて滅菌し
た培地に、表4に記載したスライムのうちA社−1、B
社−2、D社−1、E社−3の各スライムをピンセット
で1つまみ接種した。その後、実施例2で得た酵素液2m
l、又は、これを100℃、10分間加熱処理した酵素液2ml
を添加し、30℃、7日間、振とう培養し、ウレタンへの
スライム形成を調べた。なお、用いたスライムは、実施
例2でEDC−1によるスライム分解の効果の認められな
かったものを用いた。スライムの形成のあるものを+、
スライムの部分形成のあるものを±、スライムの形成の
ないものを−とした。結果を表5に示した。
表5の結果から、加熱処理して失活させた酵素液を添
加した場合にはスライムを形成するが、未処理酵素液を
添加した場合にはスライム形成が認められなかったこと
から、本発明の方法によって得た酵素液は、スライム発
生の防止効果のあることが判明した。
実施例5 菌体分解試験 白水スライムから分離したカビa〜lの12株及び表6
に示した市販のカビ12株について、これらの菌体の分解
効果をみた。ウレタンフォーム(5mm角)1片を入れた
ツァペック培地5mlに、上記の各カビを1白金耳接種し
て、28℃、4日間振とう培養し、ウレタンにカビ菌体を
形成させた。生理食塩水で洗浄したこのカビ菌体を、実
施例2で調製したSCI−H1株、SCI−H2株の各酵素液3ml
を添加し、30℃、2日間振とうして反応させ、ウレタン
からのカビ菌体の脱離を観察した。対照としては、EDC
−1の30倍希釈液3mlを用いた。カビ菌体がウレタンか
ら完全に脱離した場合を++、部分的に脱離した場合を
+、脱離が発生しなかった場合を−として判定した。結
果を表6に示した。表中、a〜lは白水スライムからの
分離カビを表す。
表6の結果から、本発明の方法によって得た酵素液
は、種々のカビ菌体そのものに作用して脱離させるの
で、特にカビスライムに有効であることが判明した。
産業上の利用可能性 本発明の方法によって得られる酵素液は、特にカビス
ライムの分解及びその発生防止に優れた効果を発揮する
ことができ、工業用水中、例えば、製紙工程における白
水中、冷却水中等のスライムコントロールや分離膜のス
ライム除去、汚泥のバルキング防止、台所流し台のごみ
取りかご等の洗浄、木材等の防腐等に好適に適用するこ
とができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D21F 1/66 D21F 1/66 //(C12N 1/20 C12R 1:01) (C12N 9/00 C12R 1:01) (C12N 9/24 C12R 1:01) (C12N 9/52 C12R 1:01) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/00 - 1/38 C12N 9/00 - 9/99 C02F 1/00 - 1/78 D21F 1/66 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セルロモナス属に属し、スライムの分解に
    有効な酵素の生産能を有することを特徴とするスライム
    分解酵素産生菌。
  2. 【請求項2】スライム分解酵素産生菌が、セルロモナス
    SCI−H1である請求の範囲1記載のスライム分解酵素産
    生菌。
  3. 【請求項3】スライム分解酵素産生菌が、セルロモナス
    SCI−H2である請求の範囲1記載のスライム分解酵素産
    生菌。
  4. 【請求項4】セルロモナス属に属し、スライムの分解に
    有効な酵素の生産能を有するスライム分解酵素産生菌を
    培養し、その培養物からスライム分解酵素を採取するこ
    とを特徴とするスライム分解酵素の製造方法。
  5. 【請求項5】スライム分解酵素産生菌が、セルロモナス
    SCI−H1及びセルロモナスSCI−H2のうち少なくとも1種
    である請求の範囲4記載のスライム分解酵素の製造方
    法。
  6. 【請求項6】請求の範囲4又は5記載のスライム分解酵
    素の製造方法により製造されたスライム分解酵素の有効
    量を、工業用水中に添加することを特徴とする工業用水
    中のスライムの防除方法。
  7. 【請求項7】請求の範囲4又は5記載のスライム分解酵
    素の製造方法により製造されたスライム分解酵素の有効
    量を、製紙工程中の原料調成工程、白水循環系、及び、
    白水処理工程のうち少なくとも1箇所に添加することを
    特徴とする製紙工程中のスライムの防除方法。
  8. 【請求項8】請求の範囲4又は5記載のスライム分解酵
    素の製造方法により製造されたスライム分解酵素の有効
    量を、汚泥中に添加することを特徴とする汚泥のバルキ
    ング防止方法。
  9. 【請求項9】請求の範囲4又は5記載のスライム分解酵
    素の製造方法により製造されたスライム分解酵素の有効
    量を、排水中に添加することを特徴とする排水処理方
    法。
  10. 【請求項10】請求の範囲4又は5記載のスライム分解
    酵素の製造方法により製造されたスライム分解酵素の有
    効量を、台所流し台のごみ取りかご、浴槽、洗濯機、浴
    室又は衣類に適用することを特徴とする台所流し台のご
    み取りかご、浴槽、洗濯機、浴室又は衣類の洗浄方法。
  11. 【請求項11】請求の範囲4又は5記載のスライム分解
    酵素の製造方法により製造されたスライム分解酵素の有
    効量を、貯蔵木材、食品、医薬品又は飼料に適用するこ
    とを特徴とする貯蔵木材、食品、医薬品又は飼料の防腐
    方法。
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