JP3004073B2 - 積層チーズ及びその製造方法 - Google Patents

積層チーズ及びその製造方法

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JP3004073B2
JP3004073B2 JP3085722A JP8572291A JP3004073B2 JP 3004073 B2 JP3004073 B2 JP 3004073B2 JP 3085722 A JP3085722 A JP 3085722A JP 8572291 A JP8572291 A JP 8572291A JP 3004073 B2 JP3004073 B2 JP 3004073B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シート状チーズを個別
包装せず積み重ねて単一包装した、個別に剥離可能な積
層チーズおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】供卓時のスライスの手間をはぶき、食べ
やすくする目的ですでにスライスしたチーズを積み重ね
包装する技術が知られているが、スライスしたチーズを
単に重ねれば互いに付着し良好な剥離性を維持すること
は困難であった。そこで、ブロック状のチーズ(ブロッ
クチーズ)を一旦スライスし、間に樹脂フィルムを挟ん
で一体化する技術(実開昭 61-118281号公報)や、シー
ト状チーズの表面を波型にスライスし交互に積み重ねて
剥離性を確保する技術(特開昭 61-146148号公報)が知
られている。
【0003】これらシート状チーズの製法としては、乳
化し加熱溶融状態にあるチーズを一旦箱詰めし、3〜4
日間冷却してブロックチーズを得、そのブロックチーズ
をスライサーなどで波型等にカットする方式が一般的で
ある。
【0004】即ち、上記のシート状チーズはいずれもス
ライス工程により製造されるものであり、この意味で、
供卓又は使用前に予めスライスしておくにすぎないもの
である。
【0005】又、このようなシート状チーズでは、ブロ
ックチーズをスライサーで連続的にカットしていくた
め、シート状チーズの両面がカット面で波型カットを施
してもその方向は一定で、互いに密着する咬み合わせ状
態をなしている。
【0006】しかしながら、上述シート状チーズでは、
その製造面から、2次のような問題点があった。
【0007】はじめにブロックチーズを製造して後、こ
れをスライスするためブロックチーズをストックする保
管庫が必要で、又製造日数がかかる。スライス時に半端
がでたり、形状が不ぞろいのものが発生する等歩留りが
わるい。又、剥離性に関しても平面カットしたものでは
剥離性がわるく、又チーズ間にプラスチックフィルムを
挟むのは煩雑であり経済的でない。一方、例え波型カッ
トをしても、その方向が一定であるため、積み重ね時に
嵌合状態となりチーズ同士やフィルムに接着して剥離し
にくくなったり、これを避けるために、積み重ね時に一
枚一枚方向を変えていくのも容易ではなく、設備が複雑
化する。又、波型カットの方向がスライスの両面で同じ
なため、波の谷や山の部分で強度が低下し、剥離時に折
れ、割れを生じ易い。
【0008】一方、加熱融解し流動化したチーズを凹凸
模様を有するロール、ベルト、型枠又は、口金付ノズル
を介して成形し、シート状とする技術(特開昭56-5844
7、同 58448、同 64748号公報)も知られている。これ
ら技術はスライス工程を経ずにシート状とする点で注目
すべき技術である。しかし、いずれも周知の可塑性食品
のシート化技術を越えるものでなく、単に模様のついた
シート状チーズが得られるにすぎず、その模様も装飾と
してのものにすぎない。即ち、装飾模様であるから、そ
の形状は任意で技術的意義に乏しく、かつ、積み重ねる
ことをまったく予定していないため表面性状、合せ面同
士の関係等も一切考慮されておらず、剥離性改良効果は
全く期待できなかった。従って、これらシート状チーズ
同士は実用上積み重ねられないか、又、重ねても部分的
に接着し剥離性は不充分である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述従来技
術の有する問題点及び実情に鑑みなされたものであり、
スライス手段によらず形成された特定形状及び表面性状
を有するシート状チーズを積み重ねてなる実用性の高い
剥離性を有する積層チーズ、及びその製造方法を提供す
るものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、スライス
工程を経ずに有効な剥離性を有するシート状チーズを製
造すべく鋭意研究の結果、チーズの有するレオロジー特
性を利用することでスライス手段によらず剥離性に優れ
たシート状を実現できることを見い出し、本発明に至っ
たものである。
【0011】本発明の第1の発明は溶融状態にあるチー
ズを押し出すことにより形成された連続波形形状を片面
に有するシート状チーズを積層してなる、剥離可能な積
層チーズであり、第2の発明は、溶融状態にあるチーズ
を押し出すことにより形成された連続波形形状を両面に
有し、該波型の形成方向が互いに交叉しているシート状
チーズを積層してなる、剥離可能な積層チーズであり、
第3の発明は、溶融状態にあるチーズを、一辺が波型形
状のノズルの開口部と、該波型と方向を異にする連続波
型形状を有する搬送手段の間から冷却しながら連続的に
押し出し、搬送手段上に得られる帯状のチーズをさらに
15℃以下まで冷却して後、裁断し、積み重ねる工程を
包含する剥離可能な積層チーズの製造方法である。
【0012】本発明によれば、スライス手段を採用する
ことなくチーズのレオロジー変化を利用して接着性の少
ない表面性を有する波型面を容易に形成し、両面を異な
る方向性を有する波型面とすることによりシート状チー
ズを得、これを積み重ねれば良好な剥離性を長期間維持
できる積層チーズを得ることができる。剥離時の折れや
裂けも生じない。更に、シート状を得るのにブロックチ
ーズを製造する必要がないので、生産効率は著しく向上
し歩留も向上する。
【0013】剥離性のよい積層チーズを実現するには、
単にシート状チーズを製造し重ねただけでは不充分であ
る。重ねるという状態が介在することで、単独シートに
は要求されない種々の要件を具備する必要があるからで
ある。第1に、重ねることによる圧力がかかりシート状
チーズ相互に押し合うこととなるため、シート状チーズ
は充分な保形性を有することを要する。第2に、積層状
態は製造後、供卓時まで続くため、経時的変化を考慮す
る必要がある。第3にシート状チーズは剥離する際に折
れや裂けを生じない充分な強度を有することを要する。
これらの要件は、スライス手段で得られるシート状チー
ズや単にシート状に形成したものを用いたのでは実現困
難である。本発明により剥離可能な積層チーズがはじめ
て実現可能となる。
【0014】以下、本発明を詳述する。
【0015】本発明において、「溶融状態にあるチー
ズ」とは、加熱により流動化したチーズをいい、例えば
ポンプ圧送可能なものをいう。一般的には、プロセスチ
ーズ製造工程において成型前の工程として通常実施され
る加熱、乳化工程を経て、溶融状態を呈しているもので
ある。但し、本発明においては、溶融状態にあれば、そ
の前の工程は問わない。好ましくは、溶融状態のチーズ
は均質化され、分離等の生じていないものである。
【0016】用いることのできるチーズの種類には特に
制限はなく目的とする積層チーズの種類により適宜選択
すればよいが、一般的には、硬質チーズに分類されるも
のである。あまり軟質であれば冷却後の保形性が充分で
はなく、シート状チーズとしてハンドリングが困難とな
る。ここに保形性とは自然の状態において形を保つとい
うばかりでなく、積み重ねた際にかかる圧力等の影響を
受けてもある程度形を保つことを意味する。特に波型形
状を表面に有するシート状チーズでは、波型の強度が問
題となる。強度の一つの指標として水分量をとれば、チ
ーズの水分は40〜46%程度のものが波型の強度とい
う観点から好ましい。但し、強度に影響する要件は他に
もあり、例えば、チーズの組織構造も影響を及ぼす。こ
の見地から、溶融・冷却によるシート化はスライスによ
るシート化に比べ優れており、同一組成、同一形状であ
れば溶融・冷却によるものの方が有意に強度・弾性等が
優れている。更に、付着性低減の観点より、表面部分は
内部よりも僅かに含水率が低いとよいが、溶融・冷却に
よるシート化では、冷却過程で水分蒸発により表面水分
が僅かに低い状態となり得る。原料チーズとしてはコー
ダチーズ、エダムチーズ、チェダーチーズ、エメンター
ルチーズ、グリエールチーズ等を例示できる。
【0017】次に、「押し出すことにより形成された連
続波型形状」とは、具体的には、前記溶融状態にあるチ
ーズを所定の波型形状を有するノズルやローラー及びベ
ルト等を介して押し出すとともに保形性を保持できる程
度まで冷却し連続的に波型を形成していくことにより得
られるものである。このように溶融状態から冷却し固化
する過程で形状を形成すると、得られる成形面は、スラ
イス手段により得られた面と、外観上、有意に相違して
いる。特に成形面表面がスライス面に比べ、著しく滑め
らかであり、又、チーズの組織がその形状に配向し形成
されているため、スライス面に生じている組織の不連続
性がない。従って、組織自体、弾力性、強度等に優れた
ものとなる。
【0018】顕微鏡的な観察によれば、容易に判別しう
るが、スライス手段によれば、いくらスムーズに処理し
てもその面は、平坦でない。又、スライスのものはスラ
イス時に余計な負荷がかかり、割れ等の原因が内在する
ことがある。
【0019】又、押し出しにより得られる面は、その平
滑さに加え、均一であるという特徴を有する。連続的に
成形できるため、部分による差異が生じにくく、最終製
品としたとき形状に個体差が生じにくい。
【0020】また、「押し出しにより形成」するとは、
上述したように流動性→保形性の過程において実施する
ことを意味しており、固体化した後圧力を加えて、ノズ
ル等より押し出せば、押し出し面の表面が粗くなり、実
際にシート状を形成するのは困難となる。シート状チー
ズの製造方法については後述する。
【0021】「連続波型形状」とは、波型がその面上で
連続して形成されていることで、一般には、最終製品と
なったときその面の全面が一様な波型形状となっている
ことをいう。波型の個々の波は直線状でなくともよく、
波状であっても又不連続であってもよい。換言すれば波
型とは連続して形成された凹凸形状ということができ
る。
【0022】次に、本発明におけるシート状チーズは、
連続波型形状を片面もしくは両面に有しており、又両面
に連続波型形状を有する場合は、その波型の形成方向が
互いに交叉していることを特徴とする。但し、波型は両
面で同一である必要はなく方向さえ異なれば、独立に形
状を設定できる。本発明により片面にのみ波型形状が形
成されたものであっても、両面とも平面のものと比較す
ると、剥離性が大幅に改良されるのは驚くべきことであ
る。但し、片面波型形状のものは両面波型形状のものに
比し長期間保存された場合等では、お互いに付着し、剥
離性が低下し得るので好ましくは両面が波型形状がよ
い。一方、両面に波型を設けても同方向であれば、重ね
たたときお互いにかみ合ってしまい剥離はほとんど不可
能となる。両面同方向波型のシートを重ねるに当り、交
互に方向を変えて積み重ねれば、シート同士の嵌合は防
止できるが、方向を毎回変えて積み重ねる操作は容易で
はない。更に、この場合は、波型の形成方向が両面で同
じため、波の谷や山の部分が脆弱で、折れや裂けを生じ
易く、剥離時に不都合を招く。加えて、単に口金ねを用
いてシート状チーズを製造する方法では両面に異なる方
向性を有する形状を形成することはできないし、又、単
にローラーを用いれば、溶融チーズを冷却固化するのに
時間を要し、充分な強度を有する波型は形成できない。
即ち、製造方法については後述するが、従来技術では剥
離性の良好なシート状チーズを製造する手段がなかった
といい得る。
【0023】本発明の好ましい態様においてシート状チ
ーズが両面に有する波型形状はその形成方向が互いに交
叉している。
【0024】「波型の形成方向」とは、波が連続する方
向をいう。
【0025】「互いに交叉」とは、波の連続する方向が
同一でなく片面の一の波が他の片面の複数の波とシート
の厚みを介して交点を有することである。従って、裁
断、積み重ね、包装を連続的に行う場合、積み重ね方向
を制御せずとも積み重ねたとき接触面同士の波型面が嵌
合することはなく常に山の部分同士で接触状態を保持で
きる。波型が同方向であれば、積み重ね時に、一枚一枚
重ね方向を変化させる等しなければ一方の面の波型の山
の部分が他方の面の波型の谷の部分とが嵌合しやすくな
り、接触面積の低減を図ることが困難となる。
【0026】両面が波型形状の場合、波型の方向が互い
に交叉していればピッチ等の形状は特に問題とならな
い。交叉の角度は、直角に限らず、鋭角に交叉するもの
でもよい。
【0027】波型形状としては、図1(便宜上、片面の
みを示す。)に示すものを例示できる。波のピッチや波
の形状は嗜好性ばかりでなく直接、剥離性やシート状チ
ーズ自体の強度に影響するため、その点を考慮する。剥
離性の観点からは、波型の断面が三角形等、積み重ねた
とき接触面積が小さくなるものが好ましいが、接触面積
が小さくなれば強度が弱くなるので、チーズ自体の強
度、付着性等を加味して設計するとよい。
【0028】波型形状を有するシート状チーズの厚みと
しては3〜8mmで波型の山の高さは1〜4mm、ピッ
チは1〜8mm程度が普通である。
【0029】一方、波型の強度が充分でも、シート状チ
ーズ自体の強度、柔軟性が充分でなければ剥離の際に折
れや裂けを生じ易い。シートの両面に設けられた方向の
異なる波型は、剥離を容易にするだけでなくシート自体
に充分な強度を付与するのに重要である。裏、表の波型
が交叉しているため、一方の面の谷に対応するもう一方
の面の部分には複数の山が常に存在している。従って強
度が比較的弱い谷の部分でも裏から補強される構造とな
るため、剥離時に折れや裂けが生ずることを防止でき
る。
【0030】以上説明したシート状チーズを用いれば、
剥離性を充分に維持して積み重ねることができる。積み
重ねの数は5〜30枚程度が普通であるが、本発明では
剥離性が良好なため、重ね枚数は制限されない。両面波
型形状にしたシート状チーズの例を図5に、これを積み
重ねた状態を図4に示す。
【0031】次に、上述の、シート状チーズを製造する
方法について説明する。
【0032】製造の原理は、チーズのレオロジー変化を
利用したもので、溶融状態から固体状態へ変化する際に
形状を形成するものである。溶融状態におけるチーズ温
度は、用いるチーズの種類により異なるが、通常は75
〜95℃程度の温度範囲にある。この範囲であれば、充
分な流動性を維持し、かつ成分分離、変質等の弊害を生
じない。
【0033】まず、前述溶融状態にあるチーズをポンプ
圧送等により開口部の一辺が波型形状のノズルあるいは
ローラー等より押し出す。「一辺が波型形状」の開口部
とは、波型形状の一辺を少なくとも有する開口部であ
り、該開口部はノズルやローラーで該一辺を構成しシー
ト化のための対向する辺を別部材で構成するとよい。即
ち、ノズルやローラーで波型の一辺を構成し対向する辺
を該波型と方向を異にする連続波型形状を有する搬送手
段で構成することにより開口部となし、ノズルやローラ
ーと搬送手段とのクリアランスからシート状チーズを押
し出す態様とするとよい。片面のみに波型形状を施す場
合は搬送手段の表面を平坦にすればよい。
【0034】搬送手段としては、冷却可能な手段をとり
得るステンレスコンベアやドラム等を挙げることがで
き、ノズルやローラーから連続的に供給されるチーズを
連続的に搬送しうる手段であればよい。
【0035】開口部よりチーズが押し出される際はチー
ズは流動性を有するが搬送手段上では流動性は失われ保
形性を有する。即ち、波型形状が付与される直後、チー
ズは保形性の機能を有している必要があり、開口部出口
でその状態になるよう温度を調整する。換言すればチー
ズの相変化が開口部で適正に起るような冷却を実施す
る。適正とは、流動性は喪失しているが、開口部で表面
が荒れない程度に固化が抑えられている程度をいう。
【0036】図2にチーズの粘度と温度との関係の一例
を示す(RION ヒ゛スコテスター VT-04型により測定)。チーズ
はパラカゼイネートの網状構造が脂肪等を包含して成る
組織を有しているため相変化は一様ではないが、一定温
度以下となれば急激に流動性を失う。開口部の温度をこ
の温度付近にすれば平滑な表面を維持しつつ波型形状を
保つことができる。保形性付与のためには搬送手段を冷
却し、開口部におけるチーズの品温を通常55〜70℃
程度(チーズの種類により異なる)まで冷却し保形性
(ここでの保形性は流動性がないという狭義の意であ
る。)を付与する。この際の粘度は5000〜1000
ポアズ程度である。因に、図2では、チーズの温度が約
60℃のとき2500ポアズ程度の粘度で押し出し可能
で、保形性を有する状態である。
【0037】冷却は搬送手段により実施するのが容易で
あるが、ノズルやローラーの開口部に冷却手段を設けて
もよい。但し、ノズル等を冷却する場合、押し出し前開
口部でチーズが固化することがないよう考慮する。又、
開口部の雰囲気を冷却しておき、冷気に接触させること
でチーズを冷却してもよい。
【0038】次に、搬送手段上に得られた帯状のチーズ
を更に冷却しチーズ品温を15℃以下、好ましくは10
℃以下とする。これにより形状の固定化がされ、この後
積み重ねても波型の形状はつぶれたり変形することがな
い。即ち、開口部から搬送手段上に押し出された直後の
チーズは55〜70℃程度で流動性は喪失しているもの
の波型を保持できるには至っていない状態であり、これ
を急速に15℃以下、好ましくは10℃以下とすること
ではじめて充分な保形性を実現できる。急速な冷却によ
りチーズ組織はある程度の緻密化を起し、同時に表面か
らの水分蒸発を起す。この結果、組織的に強固で付着性
の少ない波型形状とすることができる。15℃より高い
温度では効果が充分でない。温度の下限はチーズが凍ら
ない範囲であれば特に限定されない。冷却の速度が急速
であると上記効果は大きい。ここに「急速」とは自然放
熱による速度よりも有意に速い程度をいう。即ち、15
℃の外気温度下で冷却し、チーズを15℃にするにする
ような冷却は適さない。有効な冷却手段は搬送手段を冷
却手段として用いることである。空気冷却よりも接触冷
却が極めて熱伝達率が高く、冷却効率が優れている。本
発明においては搬送手段を波型形成手段としても用いて
いるので、搬送手段上のチーズは充分に搬送手段の波型
表面上に接触している。この状態で搬送手段を介して冷
却すれば、チーズを効率的に冷却できる。又、搬送手段
が波型形状を有する場合は冷却のフィンのような作用効
果も果し、熱伝達率が高いばかりでなく、熱伝導性も高
くなっている。通常、搬送手段にコンベヤやドラムを用
いる場合は、ステンレス製のものを用いるので、この点
でも良好な冷却効率を達成できる。
【0039】冷却手段としては、ブライン、水、液化ガ
ス(チッソ等)、ドライアイス等による接触あるいは間
接(冷却コイル)冷却又は通常の冷媒冷凍機による冷却
等を挙げることができ、コンベア又はドラムの表面温度
を−5〜15℃程度に保持できるものであれば、何れも
採用しうる。冷却コイル等はコンベアの裏側又はドラム
の内側に配置すればよい。
【0040】以上のような態様によれば、搬送手段上に
押し出されたシート状チーズが15℃以下、好ましくは
10℃以下まで冷却されるに要する時間は概ね1〜3分
間である。
【0041】つづいて、得られた帯状のチーズを常法に
基づいて所望の大きさに裁断する。裁断後は積み重ね
(5〜30枚程度、但しこれに限らない。)所望の長さ
にカットしてガス置換包装等を実施すれば包装済積層チ
ーズが得られる。
【0042】積み重ねの際、波型が設けられているの
で、積み重ね方向等に関係なく連続的に実施できる。
【0043】本発明の実施に用いることができる装置の
一例を図3(一部省略模式図)に示す。この例では、一
辺が波型の開口部を有するノズルを備え、溶融状態にあ
るチーズを該ノズルから押し出す供給手段、ノズルから
供給されたチーズを連続的に搬送すると同時に波型形状
を形成する搬送手段、及び該搬送手段を冷却する冷却手
段を少なくとも備えてなるシート状チーズの製造装置を
示している。片面波型形状の場合の搬送手段はフラット
でよい。
【0044】本図のようにノズル1を用いれば簡単に波
型形状をシート状チーズの一面に付与することができ
る。ノズル1に代えてローラーを用いることも可能であ
る。
【0045】コンベア3をドラム2と別にして、ドラム
2とノズル1とでクリアランスを構成し、波型形状を形
成したシート状チーズをコンベアで受ける態様としても
よい。
【0046】図3に示されてない装置部に関しては公知
技術を応用して実施の態様に応じて構成すればよい。
【0047】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
する。
【0048】ゴウダーチーズ30kg、チェダーチーズ3
0kgを粉砕したものに、ポリリン酸ナトリウム500
g、クエン酸ナトリウム1000gの溶融塩と重曹20
0g及び水2500gを加えて、低速乳化釜で110rp
m撹拌しながら85℃まで加熱して溶融した。得られた
乳化物を図3に示した装置を用いて波型にカットしたノ
ズルから、0℃に冷却されながら移動(200cm/分)
するステンレスコンベア(移動方向にノズルの波型と同
形状の波型が形成されている。)上に押し出し、両面が
波型形状であるシート状チーズ(厚さ4mm、波型の山の
高さ2mm、ピッチ6mm)を形成させ、ステンレスコンベ
アに接触させたまま5℃になるまで冷却した(要した時
間は80秒間であった。)。そのチーズを70×70cm
の正方形にカットして、20枚を積み重ねてガス置換包
装を行い積層チーズを得、5℃で保存した。
【0049】一方、上記手順に従って波型を片面にのみ
施したシート状チーズ(試料B)及び波型を施さない両
面が平らなシート状チーズ(試料A)を得、上記で得た
シート状チーズ(試料C)と剥離性の評価を行った。
測定方法は、接着している2枚のチーズを巾30mmにカ
ットし、レオメーターで引っ張り試験を行い、レオメー
ター抵抗値(g)で剥離性を評価した。
【0050】測定の結果、チーズを剥離するのに試料A
(比較例)は58g、試料B(片面波型)は42g、試
料C(両面波型)は37gの抵抗値であり、表面が波型
であるシート状チーズの方が明らかに抵抗なく剥離性に
優れていた。
【0051】2カ月後に積層チーズを調べたところ、チ
ーズ1枚1枚を簡単に剥がすことができ、良好な剥離性
を示した。また一定方向に波型形状を呈しており、外観
上平らなスライスチーズと差別化できるものであった。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、一定の波型形状を
有するシート状チーズを積み重ね包装して成る本発明の
積層チーズは長期間良好な剥離性を維持し実用価値が高
い。波型形状の面は押し出し手段により形成されるた
め、シート状チーズの片面あるいは両面に容易に形成可
能で従来のようにブロックチーズを製造したりそれをス
ライスする手間及び設備が不要で、生産の効率化及び歩
留向上を図ることができる。又、両面に形成された波型
は方向が交叉しているためそのまま積み重ねてもかみ合
うことはなく、更に、剥離の際に折れや裂けを防止する
こともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)はそれぞれ本発明のに係る波型
形状を有するシート状チーズの波型形状の態様を示す模
式断面図である。
【図2】チーズの弾性と温度との関係を示す模式図であ
る。
【図3】波型形状を有するシート状チーズを製造する装
置の一例を示す一部省略模式図である。
【図4】波型形状を有するシート状チーズを積み重ねた
状態を示す一部省略模式断面図である。
【図5】図4のシート状チーズの一例を示す模式斜視図
である。
【符号の説明】
1 ノズル 2 ドラム 3 コンベア 4 シート状チーズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−118281(JP,A) 特開 昭61−146148(JP,A) 特開 昭56−58447(JP,A) 特開 昭56−58448(JP,A) 特開 昭56−64748(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23C 19/00 - 19/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融状態にあるチーズを押し出すことに
    より形成された連続波形形状を片面に有するシート状チ
    ーズを積層してなる、剥離可能な積層チーズ。
  2. 【請求項2】 溶融状態にあるチーズを押し出すことに
    より形成された連続波形形状を両面に有し、該波型の形
    成方向が互いに交叉しているシート状チーズを積層して
    なる、剥離可能な積層チーズ。
  3. 【請求項3】 溶融状態にあるチーズを、一辺が波型形
    状のノズルの開口部と、該波型と方向を異にする連続波
    型形状を有する搬送手段の間から冷却しながら連続的に
    押し出し、搬送手段上に得られる帯状のチーズをさらに
    15℃以下まで冷却して後、裁断し、積み重ねる工程を
    包含する剥離可能な積層チーズの製造方法。
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