JP3003469U - 摩耗試験機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 摩耗試験機において、試験精度の向上と試験
効率の向上を図ること。 【構成】 摩耗試験機１０において、試験片取付軸１１
に複数の試験片取付部１３を設けるとともに、相手片取
付軸１２に複数の相手片取付部１４を設け、試験片取付
軸１１は複数の試験片取付部１３を挟む２点で両持支持
され、相手片取付軸１２は複数の相手片取付部１４を挟
む２点で両持支持されてなるもの。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は熱延用ロール材等のための摩耗試験機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、高温摩耗試験機として、特公昭55ー19496号公報に記載のものがある。こ の摩耗試験機は、試験片取付軸と、相手片取付軸と、試験片と相手片との間にす べりを生起させるために試験片取付軸と相手片取付軸とを回転可能とする駆動モ ータと、試験片と相手片とを加圧接触せしめるために試験片取付軸と相手片取付 軸のいずれか一方又は双方に加圧力を加える加圧装置とを有して構成されている 。

【０００３】 従って、この摩耗試験機によれば、加圧装置により試験片に相手片を加圧接触 させながら、両者間に異なった回転速度を与えてすべり摩耗試験が行なわれる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

然しながら、従来の摩耗試験機は、試験片取付軸と相手片取付軸のそれぞれに 各１個の試験片と相手片とを取付け、試験片取付軸を試験片取付部の片側１点で 片持支持し、相手片取付軸を相手片取付部の片側１点で片持支持している。この ため、下記、の問題点がある。

【０００５】 試験片取付軸と相手片取付軸とが、試験片取付部と相手片取付部の片側で片 持支持されるものであるから、加圧力の作用下でそれらの取付軸が傾き、試験片 と相手片とが片当りして均一接触しない。従って、試験片と相手片とに均一荷重 を負荷できず、試験精度が悪くなる。

【０００６】 試験片取付軸に１個の試験片を取付けるのみであるから、１回の試験で１個 の試験片しか試験できない。従って、１回の試験当りの工数、コストが高くなっ て試験効率が悪く、多数の試験片についての全試験期間が長くなって研究期間が 長くなる。

【０００７】 本考案は、摩耗試験機において、試験精度の向上と試験効率の向上を図ること を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、試験片取付軸と、相手片取付軸と、試験片と相手片との間にすべり を生起させるために試験片取付軸と相手片取付軸とを回転可能とする駆動モータ と、試験片と相手片とを加圧接触せしめるために試験片取付軸と相手片取付軸の いずれか一方又は双方に加圧力を加える加圧装置とを有してなる摩耗試験機にお いて、試験片取付軸に複数の試験片取付部を設けるとともに、相手片取付軸に複 数の相手片取付部を設け、試験片取付軸は複数の試験片取付部を挟む２点で両持 支持され、相手片取付軸は複数の相手片取付部を挟む２点で両持支持されてなる ようにしたものである。

【０００９】

【作用】

本考案によれば、下記、の作用がある。 試験片取付軸と相手片取付軸とが、試験片取付部と相手片取付部の両側で両 持支持されるものであるから、加圧力の作用下でもそれらの取付軸は傾くことな く、試験片と相手片とは均一接触する。従って、試験片と相手片とに均一荷重を 負荷でき、試験精度を向上できる。

【００１０】 試験片取付軸に複数の試験片を取付けることができるから、複数の試験片に 均一荷重を負荷して試験できる。従って、一定条件下で同時に複数の試験片の試 験を行なうことができ、１回の試験当りの工数、コストが低くなって試験効率が 向上し、多数の試験片についての全試験期間が短くなって研究期間が短くなる。

【００１１】

【実施例】 図１は本考案の一実施例に係る摩耗試験機を示す模式図、図２は図１の要部を 示す模式図、図３は試験片と相手片の片当り状態を示す模式図である。

【００１２】 高温摩耗試験機１０は、円盤状試験１と円盤状相手片２とを加圧接触させなが ら、異なった回転速度を与えてすべり摩耗試験を行ない、試験片１の摩擦係数等 を測定するものである。

【００１３】 摩耗試験機１０は、試験片１が取付けられる試験片取付軸１１と、相手片２が 取付けられる相手片取付軸１２とを有する。このとき、試験片取付軸１１は２個 以上の試験片１を取付けることを可能とする複数の試験片取付部１３を備えると ともに、相手片取付軸１２も２個以上の相手片２を取付けることを可能とする複 数の相手片取付部１４を備える。そして、試験片取付軸１１は複数の試験片取付 部１３を挟む２点に設けた軸受部１５、１５で両持支持され、相手片取付軸１２ は複数の相手片取付部１４を挟む２点に設けた軸受部１６、１６で両持支持され ている。

【００１４】 摩耗試験機１０は、試験片１と相手片２との間にすべりを生起させるために試 験片取付軸１１と相手片取付軸１２とを回転可能とする駆動モータ２１を備えて いる。駆動モータ２１は１個で試験片取付軸１１に直結しており、例えば700 〜 6000rpm まで無段変速できる。駆動モータ２１の回転は、変速機２２を介して、 相手片取付軸１２に伝えられるようになっており、この変速比を決めることによ って、試験片１の回転速度Ｖ１と相手片２の回転速度Ｖ２とが定まり、すべり率 ［（Ｖ２−Ｖ１）／Ｖ１］×100 ％が定まる。

【００１５】 摩耗試験機１０は、試験片１と相手片２とを加圧接触せしめるために試験片取 付軸１１と相手片取付軸１２のいずれか一方又は双方（本実施例では相手片取付 軸１２）に加圧力Ｐを加える加圧装置３１を有している。加圧装置３１は、例え ば油圧方式にて構成され、相手片取付軸１２の前述した両持軸受部１６、１６に 等荷重Ｐ、Ｐ（例えば最大500kg ）を加える。

【００１６】 尚、摩耗試験機１０は、相手片取付軸１２の各相手片取付部１４回りに高周波 加熱用コイル４１を設けており、相手片２を例えば1100℃まで加熱できる。即ち 、試験片１は加熱された相手片２と加圧接触され、相手片２からの伝熱と摩擦発 熱により高温摩耗環境下におかれる。試験片１、相手片２の測温は、ファイバー スコープ式の２色温度計等にて非接触にてなされ、試験片１側の温度計は例えば 300 〜800 ℃まで測温でき、相手片２側の温度計は例えば700 〜1100℃まで測温 できる。

【００１７】 また、摩耗試験機１０は、試験片１の両側に冷却水供給ノズル４２を設け、試 験片１の表面温度を調整可能としている。

【００１８】 然るに、摩耗試験機１０にあっては、試験中に温度、荷重、トルクを記録し、 試験終了後試験片１の摩耗量、表面粗さを測定する。試験片１の摩擦係数μは、 トルクＴ（kgfm）、荷重Ｐ（kgf ）、試験片直径Ｄにより、下記(1) 式で算出さ れる。 μ＝Ｔ／（Ｐ×Ｄ／2 ）＝ 2Ｔ／ＰＤ …(1)

【００１９】 以下、本実施例の作用について説明する。 試験片取付軸１１と相手片取付軸１２とが、試験片取付部１３と相手片取付 部１４の両側で両持支持されるものであるから、加圧力の作用下でもそれらの取 付軸１１、１２は傾くことなく、試験片１と相手片２とは均一接触する。従って 、試験片１と相手片２とに均一荷重を負荷でき、試験精度を向上できる。

【００２０】 試験片取付軸１１に複数の試験片１を取付けることができるから、複数の試 験片１に均一荷重を負荷して試験できる。従って、一定条件下で同時に複数の試 験片１の試験を行なうことができ、１回の試験当りの工数、コストが低くなって 試験効率が向上し、多数の試験片１についての全試験期間が短くなって研究期間 が短くなる。

【００２１】 尚、本発明者の具体的実施結果によれば、従来方法による試験片１の片当り角 度θが50分であるのに対し、本考案方法による試験片１の片当り角度θは 0分と なることを認めた（図３）。

【００２２】 以上、本考案の実施例を図面により詳述したが、本考案の具体的な構成はこの 実施例に限られるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等 があっても本考案に含まれる。例えば、試験片取付軸、相手片取付軸は３個以上 の試験片、相手片を取付けることもできる。

【００２３】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、摩耗試験機において、試験精度の向上と試験効 率の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案の一実施例に係る摩耗試験機を示
す模式図である。

【図２】図２は図１の要部を示す模式図である。

【図３】図３は試験片と相手片の片当り状態を示す模式
図である。

【符号の説明】

１ 試験片 ２ 相手片 １０ 摩耗試験機 １１ 試験片取付軸 １２ 相手片取付軸 １３ 試験片取付部 １４ 相手片取付部 ２１ 駆動モータ ３１ 加圧装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 垣内 敏宏 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社 技術研究本部内 (72)考案者 山田 学 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社 技術研究本部内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 試験片取付軸と、 相手片取付軸と、 試験片と相手片との間にすべりを生起させるために試験
   片取付軸と相手片取付軸とを回転可能とする駆動モータ
   と、 試験片と相手片とを加圧接触せしめるために試験片取付
   軸と相手片取付軸のいずれか一方又は双方に加圧力を加
   える加圧装置とを有してなる摩耗試験機において、 試験片取付軸に複数の試験片取付部を設けるとともに、
   相手片取付軸に複数の相手片取付部を設け、 試験片取付軸は複数の試験片取付部を挟む２点で両持支
   持され、相手片取付軸は複数の相手片取付部を挟む２点
   で両持支持されてなることを特徴とする摩耗試験機。