JP3001668U - 電磁調理機用発熱体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 調理容器の種類に制約を受けることなく、使
用に際して違和感のない、しかも食物を美味に調理でき
るセパレ−トタイプの電磁調理機用の発熱体を提供する
ことにある。 【構成】 セラミックス製の発熱体用基板の一側の表面
にアルミナ粉末層が設けられてなるもの

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、電磁調理機の調理容器用の発熱体に係り、特にセラミックス製の発 熱体用基板の一側面にアルミュウム粉末層が結合されてなるものであって、調理 容器の使用に際して違和感がなく、趣向性に富んでいることのほか、調理容器の 種類に制限を受けることなく使用でき、調理される食物の美味を増加するように したセパレ−トタイプの電磁調理機に使用する調理容器用の発熱体に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種の一般的な電磁調理機用容器は、知られているように、電磁誘導 により発熱する調理容器が採用され、電磁調理機上にのせられ、調理容器を発熱 させることにより、食物を調理することが行われている。

【０００３】 したがって、容器自体を発熱させる目的のため、電磁調理機用容器の材料とし て制約を受け、発熱性の鉄、ホ−ロ−、ステンレスが一般的に採用されている。 しかし、これらの材料は使用上嗜好性に馴染まないものの、発熱を得る目的の ため、止むを得ず使用されているので実情である。

【０００４】 その上、これらの金属性の材料による電磁調理機用容器の場合、経験的に知ら れるように食物の美味は必ずしも十分ではない。

【０００５】 したがって、非発熱体のいわゆる土鍋や耐熱ガラス製の調理容器の使用を希望 しても、断念しているのが実情である。

【０００６】 そこで、土鍋の裏面に銀を転写焼付けなどの手段によりメタライズさせたもの も一部に開発され、趣向性の問題点を解決しようとしている。

【０００７】 さらに、土鍋の底部の裏側にも金属溶射させたものも開発されている。

【０００８】 しかし、問題点は容器本体の内部温度分布が不均一になり、熱歪みによる釉薬 層のクラックの発生や容器の破損を生ずる。特に、釉薬層のクラックがメタライ ズ部分に及ぶと発熱機能を喪失することである。

【０００９】 そこで、この問題点を解消するために、容器本体と別に独立させていわゆるセ パレ−トタイプの発熱板が開発されている。

【００１０】 つまり、磁力により発熱するステンレス合金製やセラミックスに金属板を張り 合わせたものである。 しかし、ステンレス合金の発熱板は、容器本体が短時間で消耗しない有利性を 備えているものの、依然として趣向性に欠けることはもちろん食物の美味の増加 を図るという点について解決されていない。

【００１１】 またセラミックスに金属を張り合わせたものや銀を結合したものは、食物の美 味を向上させることができるが、その結合は低温度で溶融するガラス粉末を結合 剤として約８００°℃程度の比較的低温度で焼付けたものであるから、長時間の 煮炊きに対する耐久力が乏しい欠点がある。

【００１２】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記した従来例の欠点を解消するためになされたものであって、そ の目的とするところは、食物の調理に際して使用上の違和感がなく、調理品を美 味に食することができるようにすることにある。

【００１３】 また、他の目的は、調理容器の種類に制約を受けることなく、単独に使用でき る発熱体を得ることにある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】

本考案は要するに、セラミックス製の発熱体用基板の一側面にアルミニュウム 粉末層が結合されてなるものと、前記の構成において、発熱体用基板の表面に釉 薬処理が施されていないものと、セラミックス製の発熱体用基板およびアルミニ ュウム粉末層の外周面に弗素樹脂が加工されてなるものと、さらに、アルミニュ ウム粉末層が、還元雰囲気にて焼成されてなるペタライト系耐熱性セラミックス 製の発熱体用基板に結合されてなるものである。

【００１５】

【作用】

発熱体のアルミニュウム粉末層側を下方にして調理容器の底部に敷設させ、発 熱体上に食物を入れ、発熱体を有する調理容器を電磁調理機にのせて電磁調理機 を作動させてることにより、調理容器を加熱させる。

【００１６】 かくしては、発熱体は電磁誘導により加熱されその熱エネルギ−は容器内の食 物に伝達され、ほどよく煮炊される。

【００１７】

【実施例】

以下に本考案を図面に示す実施例に基づいて説明する。 本考案は、セラミックス製の発熱体用基板１０の一側面にアルミニュウム粉末 層１２が結合されている。 アルミニュウム粉末層１２の結合手段は溶射法によることがよい。 発熱体用基板１０はもとより耐熱性のものが希望される。

【００１８】 また、発熱体用基板１０を構成するペタライト系耐熱性のセラミックスは、酸 化雰囲気にて焼成されるよりも、還元雰囲気にて焼成されていることが希望され る。 セラミックスの内部組織が緻密になり、熱伝動性や強度にすぐれる利益がある 。

【００１９】 また発熱体用基板１０の表面に弗素樹脂２２の加工を行うことも考案者は予定 している。 もちろん、一般的に知られるように調理品が焦げつくことのないように意図し ている。

【００２０】 さらに、セラミックス製の発熱体用基板１０の表面には、一般的に汚れを防ぐ 目的のために、施釉を行うことが予定されるが、この考案では施釉処理をしない ことも特徴の一つである。施釉を行わないことにより、後述するが、アルミニュ ウム粉末を溶射により結合させるのに有利である。 溶射により結合させることにより、アルミニュウム粉末の結合力及び耐久力に 富むという有利性がある。 この考案では、施釉に代えて弗素樹脂２２を表面に塗布させている。 透明ないわゆるクリアタイプの弗素樹脂２２を採用した場合、発熱体用基板１ ０の表面に絵柄を描いても透視できるから、趣向性を一層高めることが可能であ る。

【００２１】 発熱体用基板１０がセラミックス製であることにより、使用上の違和感がない 利点がある。 たとえば、最近ではいわゆる鍋料理が嗜好されているが、土鍋の底部にこの発 熱体用基板１０が露呈してもその材質がセラミックス製であるから、土鍋の有す る和風の雰囲気に適合するという利点を奏する。

【００２２】 その上、セラミックス製の発熱体用基板１０は加熱されることにより、金属製 のこの種のものには期待できないいわゆる遠赤外線が得られるから、食物の美味 に調理できる利点が得られる。

【００２３】 また、発熱体用基板１０はセラミックス製であるから、その表面には図示を省 略したが、図柄を描くことが容易であり、趣味感の増加を図ることも予定されて いる。

【００２４】 アルミニュウム粉末層１２の形成は、溶射することがよく、厚さは１００〜３ ００ミクロン程度が希望される。 １００ミクロン以下では良好な発熱性を期待できない。 ３００ミクロン以上では機能的に特に問題はないが、生産コストの増加が顕著 になるから好ましくないであろう。

【００２５】 なお、図面上、符号「２０」はこの発熱体１４を調理容器１８の底部に敷設さ せたときに安定性を保持するための、小さなボスである。

【００２６】 このボス２０の高さは１〜１．５ｍｍ程度が好ましい。 この発熱体１４を調理容器１８の底部に敷設させたとき、底部との間に間隙を 生ずるように設けることにより、一層発熱機能の向上化を期待できることを考案 者は実験的に知った。また、ボス２０の頂部にはアルミニュウム粉末層１２を結 合させないことが使用上有利であることも判明した。

【００２７】 本考案は、上記のとおり構成されているから、以下にその作用について説明す る。 該発熱体１４のアルミニュウム粉末層１２側を下方にして調理容器１８の底部 に敷設させる。

【００２８】 そして、図示を省略したが、発熱体上に食物を入れ、発熱体１４を備えた調理 容器１８を電磁調理機１６にのせて電磁調理機１６を作動させてることにより、 調理容器１８を加熱させる。

【００２９】 かくして、アルミニュウム粉末層１２から該基板１０に熱エネルギ−は確実に 伝達され、その熱エネルギ−は食物に伝達される。 したがって、食物はセラミックス製の発熱体用基板１０が奏する遠赤外線の影 響を受けて従来の金属性の発熱体と異なり、美味に調理される。

【００３０】

【考案の効果】 本考案は、上記の構成であるから、以下の作用効果を奏する。 電磁調理器用発熱体を構成する発熱体用基板は、セラミックス製であるから、 土鍋などの陶磁器に併用しても違和感のないことはもちろん、従来の金属性の発 熱体用基板と異なり、この発熱体用基板は無機質のセラミックスであるので、加 熱させることにより遠赤外線の発生が期待できるため、食物を美味に煮炊できる 利点を奏する。 また、この電磁調理器用発熱体はいわゆるセパレ−トタイプのものであるから 、調理容器自体が発熱体であるかを否かを問わず使用できる利点を有することは いうまでもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】使用状態を示す断面図である。

【図２】電磁調理器用発熱体の断面図である。

【図３】他の実施例の断面図である。

【符号の説明】

１０ セラミックス製の発熱体用基板 １２ アルミナ粉末層 １４ 電磁調理機用発熱体 １６ 電磁調理機 １８ 調理容器 ２２ 弗素樹脂

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 冨田 實 岐阜県安八郡安八町牧4541番地 東海ライ ニング工業株式会社内 (72)考案者 冨田 正幸 岐阜県安八郡安八町牧4541番地 東海ライ ニング工業株式会社内

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 セラミックス製の発熱体用基板１０の一
   側面にアルミュウム粉末層１２が結合されてなることを
   特徴とする電磁調理機用発熱体。
2. 【請求項２】 セラミックス製の発熱体用基板１０の一
   側面にアルミュウム粉末層１２が結合されてなる電磁調
   理機用発熱体において、 セラミックス製の発熱体用基板１０の表面に施釉が行わ
   れていないことを特徴とする電磁調理機用発熱体。
3. 【請求項３】 セラミックス製の発熱体用基板１０の一
   側面にアルミュウム粉末層１２が結合されてなる電磁調
   理機用発熱体において、 セラミックス製の発熱体用基板１０およびアルミュウム
   粉末層１２の外周面に弗素樹脂２２が加工されてなるこ
   とを特徴とする電磁調理機用発熱体。
4. 【請求項４】 アルミュウム粉末層１２が、還元雰囲気
   にて焼成されてなるペタライト系耐熱性セラミックス製
   の発熱体用基板１０に結合されてなることを特徴とする
   請求項１記載の電磁調理機用発熱体。