JP3000709B2 - 超音波ステップモータ - Google Patents

超音波ステップモータ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の超音波ステップモータは
検出回路等によるフィードバック制御なくして、ステッ
プ駆動が可能な超音波モータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の超音波モータは特開昭58−93
477、特公報昭59−37673、特開昭59−12
2385、特開昭60−51478などに示される様に
非常に多くの方式が提案、実現されている。いずれも駆
動波形を印加している限りは連続に回転するものであっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって従来の超音
波モータの回転数、停止位置、回転速度の制御をする為
にはフィードバック制御を施す必要があった。
【0004】そこで本発明の目的は、シーケンス制御が
容易なステップ駆動ができる超音波モータを提供する事
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の超音波ステップ
モータは、少なくとも2組の振動子を備えたステータ
と、該ステータと接するロータと、位相の異なる複数の
定在波励振によって形成される合成振動と、同相の定在
波励振によって形成される定在波振動とを切り換えるこ
とによって、前記ロータの非回転状態または回転状態を
選択するよう構成された超音波ステップモータにおい
て、前記ステータが前記ロータに接触するための複数の
接触部を備え、該接触部のロータ回転方向の幅が定在波
振動の波長に比べて十分に短く、且つ前記接触部が前記
定在波振動の半波長の整数倍の距離をもって離間してお
り、さらに、ロータが定在波で励振される場合の節の位
置の整数分の一の間隔で、ロータ回転方向に関して前記
ロータが不均一な剛性または質量を有すること、または
前記ロータ上に振動子を有することにより振動モードの
節を所望の位置に設けたことを特徴とする。
【0006】また、本発明の請求項2に記載の超音波ス
テップモータは、請求項1に記載の超音波ステップモー
タにおいて、前記ステータは定在波振動の腹の位置に逃
げ部を設け、節の位置でロータと接触することを特徴と
する。
【0007】また、本発明の超音波ステップモータ定在
波振動の腹の位置に逃げ部を設け、節の位置でロータと
接触する事を特徴とする。
【0008】
【実施例】図1は本発明の概要を示すブロックダイヤグ
ラムである。101は発振回路A、102は発振回路B
であり、共に振動子106を添付したステータ105の
共振周波数近傍の周波数の信号を送出する。103は制
御回路であり、発振回路A101及び発振回路B102
の信号を切り換え、ドライバ回路104を介して振動子
106に供給している。107はロータであり、ステー
タ105と摩擦接触しておりステータの振動により駆動
される。ステータ105における発振回路A101と発
振回路B102による振動モードの形状は同じであるが
位置がずれている。したがって従来の進行波形超音波モ
ータの例で周知の様に例えば1/4波長ずれた位置に2
つの定在波振動を励振するとステータ105の表面は楕
円運動をし(進行波)、ロータを駆動する事ができる。
この際、駆動する周波数は等しく、位相が異なるので、
発振回路は2つある必要はなく、位相をずらす手段があ
れば良い。尚、発振回路A101または発振回路B10
2を単独あるいは同位相で同時に駆動すると、1つの定
在波の振動モードが形成される。進行波が励振されてい
る時はロータは連続して動き、定在波が励振されている
場合には、ロータは所定の位置に位置決めされ、励振さ
れていない時にはロータとステータの摩擦力で保持され
る。所定の位置に位置決めされる原理については後述す
る。以上の様な構成において進行波と定在波の励持を順
次切り換えるとロータはステップ(間欠)駆動される。
また励振しない区間を設ける事により省電力化ができ
る。
【0009】図2(a)〜(c)は本発明の超音波ステ
ップモータにおける位置決めの原理を示す説明図であ
り、例えば圧電材料等からなる振動子106を添付した
ステータ105には逃げ部51と、ロータ107と接触
する接触部52を設けてある。例えば振動子106の励
振によりロータ107定在波の撓み振動が励振されると
図2(a)に示す様に駆動方法によって定まる選択的な
位置にノード107aが形成される。細線及び破線はロ
ータ107の振動状態を示しておりこの振動モードは変
位しない。次に、図2(b)に示す様にノード107a
の位置がステータ105の接触部52に対して左側にあ
ると、ロータ107が下側に変形した時のみ接触部52
を圧し矢印71の方向に力を与える。この力は垂直方向
の力71aと水平方向の力71bに分解でき、水平方向
の力71bの反作用によりロータは矢印72の方向に移
動する。次に図2(c)に示す様にノード107aの位
置がステータ105の接触部52に対して右側にある
と、図2(b)の場合と逆に矢印81の方向に力を与
え、垂直方向の力81aと水平方向の力81bのうち水
平方向の力81bにより矢印82の方向にロータが移動
する。したがってステータの接触部52とロータのノー
ド107aの位置が一致する様にロータが移動する。即
ち、ステータ107の振動モードの位置が定まっていれ
ば、ロータは位置決めされる事になる。
【0010】図3はロータの振動モードとステータの接
触部の関係を示す一実施例を示す説明図であり、ノード
107aの位置全てに接触部52が対応していない。ま
た、ノード107a近傍の振動振幅が少ない所と接触部
52が接すれば良い為、接触部52、逃げ部51の形状
は何ら限定するものではないし、振動モードの次数につ
いても何ら限定するものではない。
【0011】図4は本発明の超音波ステップモターの一
実施例を示す断面図であり、円板状のステータ2に圧電
素子からなる振動子3を添付し、ステータ2と電極パタ
ーン3aとの間にリード線8を介して交番電圧を印加し
ている。定在波の撓み振動が励振されるロータ1は外部
に回転力を取り出す為のピニオン7が係合しており、案
内板5によって回転自由に位置決めされている。ステー
タ2はフレーム4にネジ6によって固定されており、ロ
ータ1の振動を妨げない為の逃げ部51と、ロータ1と
接触し摩擦駆動する為の接触部52を設けてある。この
様な構成において圧電素子は電圧を印加すると歪む為、
ステータ2は撓み振動を起こす。また、ロータ1は接触
部52から振動を伝えられ、定在波の撓み振動を起こ
す。この時、ロータ1が共振周波数近傍で振動すれば円
板状の形状であっても振動モードの方向は加工上や材料
特性のばらつき等から特定の方向に定まり、図2(a)
〜(c)で説明した様にステータ2の接触部52に対し
て特定の方向に停留する。次に、振動子2を複数の状態
で加振し、ステータ2に進行波を形成すると、ロータ1
は接触部52によって連続駆動される。したがって、ス
テータにおいて進行波と定在波の振動を切り換えると連
続回転、位置決めの切り換えができる。例えば、ロータ
1に3本の節直径があり、ステータ2に6分割の位置の
全てまたはいずれかに接触部があれば、1周6分割のス
テップ駆動が可能である。
【0012】図5は本発明の超音波ステップモータのロ
ータ1の第1の実施例を示す斜視図であり、共振状態で
振動モードの方向を選択的な方向に定める為にカット部
11を設けてある。この様な構成においては、振動モー
ドの縮退が容易に解かれ、定まった方向のみに振動モー
ドが形成される。
【0013】図6は本発明の超音波ステップモータのロ
ータ1の第2の実施例を示す斜視図であり、ロータ1の
上面にスリット12を設けてある。この様な構成におい
てはスリット12により、ロータの剛性の強弱、質量の
大小に分布ができ、選択的な方向に振動モードの方向が
定まる。
【0014】図7は本発明の超音波ステップモータのロ
ータの第3の実施例を示す斜視図であり、ロータ1の下
面に突起部13を設けてある。図6の例と同様に剛性の
強弱、質量の大小に分布ができ振動モードの方向が定ま
る。この場合は、突起部13部の剛性が大きく、又ステ
ータの接触部と接する為、節になりやすい。
【0015】前述の図6の実施例、図7の実施例におい
ては、剛性と質量の分布が等分割的であり、かつ、ステ
ータの振動モードの節に対応していれば、強制的に励振
する事ができる。即ち、共振周波数でない周波数であっ
ても、剛性や質量の高い部分が節となる振動を励振する
事ができる。
【0016】図8(a)〜(c)は本発明の超音波ステ
ップモータのロータが強制的に励振されている状態を示
す説明図であり、リニア型の例で示している。ステータ
2に添付した振動子3により破線aで示した定在波振動
をしている。また定在波振動における節の位置に接触部
52を設けてありロータ1と接触している。ロータ1に
はステータにおける振動の節毎に同等に分割する位置に
突起部13を設けてある為、選択的な位置に突起部13
が節になる破線bで示した振動モード(ステータの振動
モードと同じ形状)で強制的に駆動される。したがって
ロータ1は図8(a)の位置で安定する。次に、ステー
タ2に進行波を励振するとロータ1は左方に移動する。
そしてステータ2に再び定在波を励振すると図8(b)
に示した様にステータ2には再び破線aに示した振動モ
ードが励振される。一方ロータ1には(図8a)の場合
から右側へずれた位置に破線cで示した振動モードが励
振される。したがって図2(a)〜(c)に示した様な
原理で図8(c)の如くロータとステータの振動モード
が重なる方向にロータが移動し位置決めされる。以上明
らかな様に、剛性や質量を分割したロータを構成する事
により、ステータ及びロータに選択的な方向に振動モー
ドが形成されその分割数に応じたステップ駆動が実現で
きる。
【0017】図9は本発明の超音波ステップモータのロ
ータの第4の実施例を示す上面図であり、ロータ1には
スリット14が例えば60ヶ設けてあり、ステータ2に
は例えば6組の接触部52と逃げ部5を構成してある。
この様な構成においては、ロータのスリットがプレス加
工等により容易に形成できる。また、この場合、節の方
向は6組形成できるので、1周60分割のステップ駆動
が可能である。
【0018】図10は本発明の超音波ステップモータの
ロータの第5の実施例を示す斜視図であり、ロータ1に
例えば圧電素子等からなる振動子2を添付してある。
+,−は分極方向を示しており、外部から交番電圧を印
加する事により例えば4λの定在波の振動モードが励振
される。したがってステータの振動状態に影響を受けず
位置決めする事ができる。一方、同じ構成において外部
から交番電圧を印加しない場合においても、ステータの
励振によりロータが加振され、圧電素子に電荷が発生す
るとその影響により外部から電圧を印加した場合と同等
の効果を発生する。尚、形状や圧電素子の分極のパター
ン等は何ら本実施例の構成に限定するものではない。
【0019】以上実施例をあげて本発明の超音波ステッ
プモータについて詳述したが、前述の例においては特定
の方向に振動モードを形成する為の構成を示したもので
あり、その目的を達せられるのであれば、何ら前述の実
施例の構成に限定するものではない。例えば材料を複合
化するなどして密度や剛性等を変える事が考えられる。
【0020】図11は本発明の超音波ステップモータの
駆動回路の一実施例を示す回路図であり、制御回路10
3は、基準信号CLKを基準にしトランスミッションゲ
ート等からなる切り換えスイッチ31,32で発振回路
A101、発振回路B102の信号を開閉する。106
はステータ2に添付した振動子であり、本実施例では
正,逆(+,−)に分極した圧電素子60を用いてい
る。分極は一実施例として、図示の角度の配置してあ
る。ドライバ回路104のドライバA412を介し、A
で示した部分に電圧を印加する事により、aを含む60
°毎に節を有する3λの振動モードを励起し、ドライバ
B42を介し、Bの部分を駆動するとbを含む60°毎
に節を有する3λの振動モードを励起する。この様な構
成においてはA,Bそれぞれの部分を単独で駆動すると
それぞれの位置に定在波が形成され、90°位相がずれ
た信号で駆動する事により進行波が形成される。
【0021】図12は図11における回路図の各部にお
ける信号波形の例を示すタイミングチャートであり、C
LKに同期し、スイッチング信号c,dが送出され発振
回路A,Bの信号がスイッチングされe,fが振動子に
印加される。発振回路A,発振回路Bは周波数は同じで
位相が90°ずれている為、期間イでは進行波が形成さ
れてロータが回転し、ロではaの位置に定在波が形成さ
れ位置決めされ、ハでは励振されない為、ロータは移動
せず電力の供給が不要である。
【0022】尚図11、図12において一実施例を示し
たが、その目的は進行波と、定在波の励振及び休止を切
り換える事が目的である為、振動の次数や励振のし方、
駆動のタイミングや長さ等、何ら限定するものではな
い。また、定在波の励振においては進行波の励振でロー
タを間欠的に送り、時々定在波で位置決めする様な励振
であっても良い。さらに、Aの部分を駆動して定在波を
励振する場合、13の部分を駆動して励振する場合のど
ちらを利用しても良いし、組み合わせても良い。
【0023】図13は本発明の超音波ステップモータに
おけるステータの第1の実施例を示す上面図であり、ス
テータ2に破線で示した3λの振動モードを励振する場
合である。ステータ2にはロータ(図示せず。側面図は
4参照)の撓み振動を妨げない為の逃げ部51が振動モ
ードの腹の位置に構成してあり、残りの接触部52が振
動モードの節の位置にありロータと摩擦接触している。
この様な構成においてはステータとロータの撓み振動が
相互に干渉する事がなく、接触部52は節になりやすい
為、振動モードが安定する。
【0024】図14は本発明の超音波ステップモータの
ステータの第2の実施例を示す上面図であり、接触部5
2を外周部のみに設け、ステータ2におけるロータとの
干渉を避ける逃げ部51の他に外周逃げ部51aを設け
ている。この様な構成においては節は破線の位置にでき
る。また外周を歯割り加工等によって削除する事によっ
て接触部52が容易に形成できる。
【0025】図15は本発明の超音波ステップモータの
ステータの第3の実施例を示す上面図であり、ステータ
2は円板状ではないが中心に対して軸対称になっている
ので、破線の位置に節ができるし、加工も図14の例と
同様に容易である。
【0026】尚、図13,図14,図15のステータの
形状の実施例においては、ステータとロータの撓み振動
が互いに干渉しない様に、ステータに逃げ部を設け、振
動の節の部分でロータと接触する事により振動を安定す
る事が目的である為、逃げ部や接触部の形状、振動モー
ドの種類等何ら限定するものではない。
【0027】
【発明の効果】以上、いくつかの実施例をあげ詳述した
様に、本発明の超音波ステップモータによれば、ロータ
に質量や剛性の分布を設け、また振動子を添付した事に
より、振動モードの方向を特定する事ができた。さら
に、ステータの駆動において定在波の励振を組み合わす
事により、進行波の励振と定在波の励振を切り換え、前
述のロータをステップ駆動させる事ができた。したがっ
てフィードバック等の制御が不要でありながらシーケン
ス的に所望の回転量を得る事ができた。また、定在波の
励振時に、振動モードの腹の位置に逃げ部を設けた事に
より、相互の干渉を防ぐ事ができ振動モードを安定化す
る事ができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を示すブロックダイヤグラム。
【図2】(a),(b),(c)は位置決めの原理を示
す説明図。
【図3】ロータの振動モードとステータの接触部の関係
を示す説明図。
【図4】本発明の超音波ステップモータの一実施例を示
す断面図。
【図5】ロータの第1の実施例を示す斜視図。
【図6】ロータの第2の実施例を示す斜視図。
【図7】ロータの第3の実施例を示す斜視図。
【図8】(a),(b)は、ロータが強制的に励振され
ている状態を示す説明図。
【図9】ロータの第4の実施例を示す斜視図。
【図10】ロータの第5の実施例を示す斜視図。
【図11】本発明の超音波ステップモータの駆動回路の
一実施例を示す回路図。
【図12】図11における各部の信号波形の例を示すタ
イミングチャート。
【図13】ステータの第1の実施例を示す上面図。
【図14】ステータの第2の実施例を示す上面図。
【図15】ステータの第3の実施例を示す上面図。
【符号の説明】
1 ロータ 2 ステータ 3 振動子 12 スリット 13 突起部 21 振動子 31,32 切り換えスイッチ 51 逃げ部 51a 外周逃げ部 52 接触部 60 圧電素子 101 発振回路A 102 発振回路B 103 制御回路 104 ドライバ回路 105 ステータ 106 振動子 107 ロータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−38180(JP,A) 特開 昭63−253882(JP,A) 特開 昭61−139278(JP,A) 特開 平2−26283(JP,A) 特開 平2−70277(JP,A) 特開 平3−207281(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02N 2/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】「少なくとも2組の振動子を備えたステー
    タと、 該ステータと接するロータと、 位相の異なる複数の定在波励振によって形成される合成
    振動と、同相の定在波励振によって形成される定在波振
    動とを切り換えることによって、前記ロータの非回転状
    態または回転状態を選択するよう構成された超音波ステ
    ップモータにおいて、 前記ステータが前記ロータに接触するための複数の接触
    部を備え、該接触部のロータ回転方向の幅が定在波振動
    の波長に比べて十分に短く、且つ前記接触部が前記定在
    波振動の半波長の整数倍の距離をもって離間しており、 さらに、ロータが定在波で励振される場合の節の位置の
    整数分の一の間隔で、ロータ回転方向に関して前記ロー
    タが不均一な剛性または質量を有すること、または前記
    ロータ上に振動子を有することにより振動モードの節を
    所望の位置に設けたこと、を特徴とする超音波ステップ
    モータ。」
  2. 【請求項2】「請求項1に記載の超音波ステップモータ
    において、前記ステータは定在波振動の腹の位置に逃げ
    部を設け、節の位置でロータと接触することを特徴とす
    る超音波ステップモータ。」
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