JP2990166B1 - 向上した耐水性を有する圧延シートたばこの製造方法および製造装置 - Google Patents

向上した耐水性を有する圧延シートたばこの製造方法および製造装置

Info

Publication number
JP2990166B1
JP2990166B1 JP21587398A JP21587398A JP2990166B1 JP 2990166 B1 JP2990166 B1 JP 2990166B1 JP 21587398 A JP21587398 A JP 21587398A JP 21587398 A JP21587398 A JP 21587398A JP 2990166 B1 JP2990166 B1 JP 2990166B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pectin
sheet tobacco
rolled sheet
solution
tobacco
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP21587398A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000041648A (ja
Inventor
悦司 高橋
富治 永田
恒治 大辻
義人 澁谷
正祥 本間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Tobacco Inc
Original Assignee
Japan Tobacco Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Tobacco Inc filed Critical Japan Tobacco Inc
Priority to JP21587398A priority Critical patent/JP2990166B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2990166B1 publication Critical patent/JP2990166B1/ja
Publication of JP2000041648A publication Critical patent/JP2000041648A/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

【要約】 【課題】耐水性に優れた圧延シートたばこを製造する方
法を提供する。 【解決手段】圧延シートたばこ原料をシート状に圧延す
る工程、およびこの圧延シートたばこを乾燥する工程を
備える。圧延シートたばこ原料をシート状に圧延した直
後から、乾燥するまでの間に、ペクチンの溶液とペクチ
ンのゲル化剤の溶液とを圧延シートたばこの表面におい
て接触するように別々に噴霧し、ゲル化したペクチンの
皮膜を圧延シートたばこ表面に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、向上した耐水性を
有する圧延シートたばこの製造方法および製造装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】たばこ細粉に結合剤、補強材および水を
混合して造粒し、得られた湿潤粉粒物を少なくとも一対
のローラーを通してシート状に圧延成形し、これを乾燥
することによりシートたばこを製造する方法は、圧延式
シートたばこの製法(以下、「圧延法」という。)と呼
ばれ、シートたばこの製法の一つとしてよく知られてい
る。
【0003】この圧延法により製造される圧延シートた
ばこは、通常のたばこ製造プロセスと同じプロセスにお
いて裁刻、加湿、香料の添加等の処理を受けた後、たば
こ刻みの一部を代替して製品たばこに含められる。従っ
て、圧延シートたばこは、これら処理過程においてもそ
の形状を維持するために、特に、高い耐水性が求められ
ている。
【0004】シートたばこの耐水性を向上させるため
に、成形前の圧延シートたばこ原料にカルボキシメチル
セルロース等の耐水化剤を予め配合することが行われて
いる。しかしながら、シートたばこ原料に予め耐水化剤
を含める場合、その添加量が比較的多くなることもあっ
て、たばこ製品の喫味に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0005】これに対し、例えば米国特許第4,56
4,031号には、押出しまたは圧延により成形された
シートたばこの表面に耐水化剤を塗布する技術が開示さ
れている。より具体的には、この技術は、ペクチンをゲ
ル化させる金属イオン源を予め添加したペクチンの溶液
を成形シートたばこの表面にローラーにより塗布するこ
とを含むものである。また、シートたばこ原料に金属イ
オン源を予め配合しておき、このシートたばこ原料をシ
ート状に成形した後、これにペクチン溶液を塗布するこ
とも開示されている。
【0006】しかしながら、成形シートたばこ表面にロ
ーラー塗布する上記従来の方法は、耐水化剤が成形たば
こシートの表面にのみ適用されるのでその塗布量が比較
的少量であり、製品たばこに対する影響も比較的少ない
という利点を有するものの、ローラー塗布であるのでそ
の塗布量の制御が困難であり、また均一な塗布が行えな
いという不利点を有する。特に、乾燥前の成形シートた
ばこは、強度が弱いため、塗布後のコーターブレードに
よる塗布厚の調整も困難である。しかも、この方法によ
ってもなお、十分な耐水性が得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、上
記従来の利点を保持しながら、より一層向上した耐水性
を有する圧延シートたばこを製造する方法およびその方
法を実施するための装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者らは、耐水化剤およびその適用方法につい
て鋭意研究した。その結果、ペクチンは、たばこの喫味
に影響を及ぼさず、無害であるので、耐水化剤として最
適であり、しかも、このペクチンを圧延シートたばこ材
料の圧延直後から乾燥までの間に圧延シートに噴霧によ
り適用し、これとは別にペクチンのゲル化剤を、同様に
噴霧により適用することにより、両者の接触から生じる
ゲル化ペクチン皮膜が圧延シート上に均一に形成される
ばかりか、耐水性も従来よりも有意に向上することを見
出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、圧延シートたばこ原
料をシート状に圧延する工程、およびこの圧延シートた
ばこを乾燥する工程を備えた圧延シートたばこの製造方
法において、該圧延シートたばこ原料をシート状に圧延
した直後から、乾燥するまでの間に、ペクチンの溶液と
ペクチンのゲル化剤の溶液とを該圧延シートたばこの同
一側表面において接触するように別々に噴霧し、ゲル化
したペクチンの皮膜を該圧延シートたばこ表面に形成す
ることを特徴とする向上した耐水性を有する圧延シート
たばこの製造方法を提供する。
【0010】また、本発明は、本発明の方法を実施する
ために、圧延シートたばこ原料を圧延してシート状に圧
延するための少なくとも1対のローラーからなる圧延手
段と、得られる圧延シートたばこを乾燥するための乾燥
手段と、該圧延手段と乾燥手段との間に設けられ、該圧
延シートたばこの一方の表面にペクチンの溶液を噴霧す
るための第1の噴霧手段と、該圧延手段と乾燥手段との
間に設けられ、該圧延シートたばこの該一方の表面にペ
クチンのゲル化剤の溶液を噴霧するための第2の噴霧手
段を具備することを特徴とする圧延シートたばこの製造
装置を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら詳しく説明する。
【0012】本発明においては、圧延シートたばこ原料
を圧延後、これを乾燥するまでの間に、ペクチンの溶液
と、ペクチンのゲル化剤の溶液とを別々に噴霧し、圧延
シートたばこの表面上にゲル化したペクチンの皮膜を形
成するものである。
【0013】本発明において、まず、圧延シートたばこ
原料を圧延し、圧延シートたばこを形成する。
【0014】圧延シートたばこ原料は、通常の圧延シー
トたばこ原料であれば特に制限はなく、例えば、たばこ
の細粉、中骨、ウイノワ粉等のたばこ細粉に補強材、結
合材を配合したものを用いることができる。この圧延シ
ートたばこ原料には、必要に応じて、保湿剤、香料等を
添加することもできる。
【0015】使用する補強材としては、パルプの解繊品
またはたばこ繊維を好ましく使用することができる。ま
た、結合材としては、カルボキシメチルセルロース、デ
ンプン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガ
ム、アラビアガム等を用いることができるが、これらに
限定されるものではない。
【0016】また、必要に応じて添加される保湿剤とし
ては、グリセロール、プロピレングリコール等の多価ア
ルコールとコーンシロップとの混合物、ソルビトール、
マルチトール等の糖アルコールを用いることができる。
香料としては、糖類や果実エキス類を用いることができ
る。
【0017】これらの原料に適当量の水を加えて、図1
に示すように、配合機11により配合(攪拌・混合)し
て、好ましくは湿物基準で25ないし40重量%、より
好ましくは30ないし35重量%の水分を含有する湿潤
粉粒物を得る。この湿潤粉粒物を配合機11から混練機
12に移送し、そこで十分に混練してシート状処理物と
して解砕機13へ排出する。解砕機13において、シー
ト状処理物は、直径2ないし5mm程度の湿潤造粒物に
解砕される。解砕機13から排出された湿潤造粒物は、
定量供給機14に集められ、複数の、例えば2ラインの
処理ラインに均等に分配される。図1においては、簡便
のために、1ラインの処理ラインのみが示されている。
【0018】各処理ラインにおいて、湿潤造粒物は、ま
ず、少なくとも1対の圧延ロールからなる成形機15に
よってシート状に成形され、シートたばこ(以下、ベー
スシートたばこという。)とされる。なお、混練機12
において混練成形されたシート状処理物は、解砕機13
を経ることなく直接成形機15に供給することもできる
が、解砕機13により粒状に解砕した方が、成形機15
に原料がスムースに流れ込み、成形機15での処理速度
が向上する。
【0019】さて、圧延成形機15から排出されたベー
スシートたばこBSTは、成形機15の下側に位置する
メッシュコンベア16等の搬送手段により搬送され、第
1噴霧装置17およびその後段に配置された第2噴霧装
置18から以下詳述する本発明の噴霧を順次受ける。第
1噴霧装置17および第2噴霧装置18(これらを総称
して、符号SPDで示す)は、それぞれ、図2に示す構
成を有する。すなわち、各噴霧装置SPDは、噴霧溶液
(ペクチン溶液またはゲル化剤溶液)SPSを収容する
タンク31を備え、噴霧溶液SPSは、ポンプ32によ
りラインL1からラインL2を介してヘッダー33に送
られる。ヘッダー33の内部圧力は、ヘッダー33に付
設された圧力計35で監視され、ポンプ32の制御によ
り一定圧力に保たれる。噴霧溶液は、ヘッダー33か
ら、ベースシートたばこBSTの幅方向に配置された複
数の噴霧ノズル34(図2では、1本のみしか示されて
いない)からベースシートたばこBSTの全幅にわたっ
て噴霧される。なお、第1噴霧装置17と第2噴霧装置
18とは、それぞれの噴霧溶液が干渉してそれぞれの噴
霧溶液の均一な塗布を妨げないように十分な間隔をもっ
て離間配置されている。本発明においては、第1噴霧装
置17と第2噴霧装置18とは20cm以上の間隔をも
って配置されることが好ましい。
【0020】所定の噴霧を受けたベースシートたばこB
STは、メッシュコンベア16によって乾燥機19に搬
送され、そこで乾燥される。乾燥機19において、ベー
スシートたばこは、ヒーターや熱風等の適切な熱媒によ
り水分が湿潤物基準で9ないし13%まで低下(乾燥)
されて、圧延シートたばこ製品とされる。この圧延シー
トたばこ製品は、裁断機20において物流に適した寸法
に裁断された後、梱包機21で梱包される。
【0021】さて、本発明において、ベースシートたば
こは、圧延成形直後(すなわち、成形機15から排出さ
れた後)から乾燥されるまで(すなわち、乾燥機19に
入る前)の間に、その同一表面上に、第1噴霧装置17
および第2噴霧装置18から、ペクチンの溶液とペクチ
ンのゲル化剤の溶液との別々の噴霧を受ける。
【0022】本発明において使用されるペクチンは、特
に制限はされないが、食品工業において使用されている
高メトキシル(HM)ペクチン(総ガラクツロン酸数に
対するエステル化されたガラクツロン酸数のパーセンテ
ージで表わされるエステル化度(以下、単に、エステル
化度という。)=50%以上、低メトキシル(LM)ペ
クチン(エステル化度=通常25%ないし45%)、お
よび/またはアミド化LMペクチン(エステル化度=4
5%以下、アミド化率25%以下)を好ましく使用する
ことができる。これらのなかでも、アミド化されていな
いLMペクチンが好ましい。これらペクチンには、ペク
チンのゲル強度を標準化させるためにブドウ糖やショ糖
を配合することができ、そのようなペクチンが、粉末の
形態で、ハーキュリーズ社から商品名GENUペクチン
LM13CGの下で市販されている(非アミド化LMペ
クチン)。
【0023】ペクチンの溶媒としては、ペクチンを所望
の程度に溶解し得るものであれば特に制限はないが、水
が好ましい。
【0024】ペクチン溶液は、食品工業において一般的
に使用されている方法により調製することができる。例
えば、少なくとも70℃の、好ましくは80ないし90
℃の温水に所定量のペクチンを、撹拌しながら、少量ず
つ加えた後、さらに少なくとも20分間撹拌することに
よってペクチン水溶液を調製することができる。なお、
ペクチン溶液を調製する際に、ペクチン粉末を砂糖、液
糖、水飴等水に易溶性の溶解助剤もしくは溶解化溶媒と
好ましくは重量比で1:1以下の割合で事前に混合した
後、水に溶解させることもできる。このように調製され
たペクチン溶液を保存する場合、変質を防止するため
に、60℃以下の温度で保存することが好ましい。
【0025】ペクチンの溶液中の、特に水溶液中のペク
チン濃度は、1ないし8重量%であることが好ましい。
ペクチン濃度が低すぎると、望ましい耐水性を得るため
に十分なペクチン量をベースシートたばこに適用するた
めにペクチン溶液の噴霧量を多くしなければならない。
このことは、噴霧直後のベースシートたばこの水分量を
増加させることになり、ベースシートたばこの強度を低
下させるとともに、後の乾燥工程での負荷を増大させる
こととなる。他方、ペクチン濃度が高すぎると、ペクチ
ン(水)溶液の粘度が増大し、ペクチン溶液の噴霧が困
難となる。ペクチン濃度は、2.5〜3.5重量%であ
ることが特に好ましい。
【0026】また、より向上した耐水性の観点から、ペ
クチンは、ベースシートの乾物重量に対し、0.5ない
し1.2重量%の割合でベースシートたばこに適用され
ることが好ましく、ベースシートの乾物重量に対し、
0.7ないし1.1重量%の割合でベースシートたばこ
に適用されることがより一層好ましい。
【0027】さらに、ペクチン水溶液は、噴霧の際、そ
の粘度が100cP(100mPa・sec)以下とな
るように、30℃以上、の温度に加温しておくことが好
ましく、40℃ないし60℃に加温しておくことがより
一層好ましい。ちなみに、ペクチン(ハーキュリーズ社
製GENUペクチンLM13CG)の濃度4%水溶液の
粘度と温度との関係を図3に示す。図3からわかるよう
に、このペクチン水溶液は、温度40℃以下で粘度が急
激に高くなる。
【0028】一般に、液体をノズルで噴霧する場合、液
体の粘度が高くなると、ノズルの噴霧パターンが悪化す
るといえる。噴霧パターンは、ノズルが本来持っている
噴霧形状であり、噴霧形状が悪化することは、塗布の均
一性を損なうこととなる。そのような噴霧パターンを評
価する指標としてカバーレッジを用いることができる。
カバーレッジとは、噴霧対象物から所定の高さにある噴
霧ノズルから噴霧された液体が噴霧対象物を覆ったほぼ
円形領域の直径と定義することができる。今、本発明に
よる噴霧を模擬して、スプレーイングシステムスジャパ
ン(株)製ユニジェットフラットスプレー(型番650
033)を用いて、噴霧ゲージ圧10kgf/cm2
高さ10cmの距離から種々の粘度の液体を噴霧したと
きのカバーレッジを測定した。その結果を図4に示す。
粘度が20cP(20mPa・sec)を超えると、カ
バーレッジは狭くなり、100cP(100mPa・s
ec)の粘度では、水の粘度1cP(1mPa・se
c)のときに比べ、その90%となり、それ以上の粘度
では、噴霧パターンが極端に悪化することがわかる。こ
のことからも、噴霧に適する噴霧溶液粘度は、100c
P(100mPa・sec)以下とすることが望ましい
ことがわかる。
【0029】次に、ペクチンのゲル化剤としては、ペク
チンをゲル化させ得るものであれば、特に制限はない
が、LMペクチンのためのゲル化剤としては、カルシウ
ムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン等
の2価または3価の陽イオンを含むものであることが好
ましい。これら陽イオンは、塩の形態で溶媒に溶解され
てゲル化剤の溶液を提供する。特に好ましいゲル化剤
は、乳酸カルシウムの形態にある。乳酸カルシウムは、
シートたばこの喫味に対する影響が特に少ない。また、
HMペクチンの場合には、糖類をゲル化剤として使用す
ることもできる。
【0030】ゲル化剤の溶媒としては、水を好ましく用
いることができる。
【0031】このようなゲル化剤の溶液は、通常室温以
上の水に、撹拌しながら、上記2価もしくは3価の陽イ
オンの塩または糖類を水中に実質的に完全に溶解させる
ことにより調製することができる。
【0032】ゲル化剤として、乳酸カルシウムを用いる
場合、その溶液中の濃度は、0.1ないし5重量%であ
ることが好ましい。特に、ペクチン溶液について述べた
乾燥負荷等の理由から、ゲル化剤(特に乳酸カルシウ
ム)の濃度は、1ないし3重量%であることが特に好ま
しい。
【0033】また、ゲル化剤は、ベースシートの乾物重
量に対し、0.01ないし0.1重量%の割合でベース
シートたばこに適用されることが好ましい。噴霧に際
し、ゲル化剤溶液も60℃以下の温度範囲内で加温して
もよい。
【0034】本発明において、ペクチン溶液およびゲル
化剤溶液は、それぞれのノズルにおいてゲージ圧で10
kgf/cm2 (1.08Mpa)以下の圧力に設定す
ることが好ましい。10kgf/cm2 を越える圧力で
噴霧すると、ベースシートたばこが噴霧溶液の噴霧衝撃
力により煽られて変形したり、場合によっては破断する
おそれがある。
【0035】ところで、本発明による噴霧に際し、ペク
チン溶液は第1噴霧装置17および第2噴霧装置18の
いずれか一方を用いて噴霧され、ゲル化剤溶液は、他方
の噴霧装置を用いて噴霧され得る。しかしながら、ま
ず、第1噴霧装置17からペクチン溶液を噴霧し、つい
でその後段の第2噴霧装置18からゲル化剤溶液を噴霧
することが好ましい。先にゲル化剤を噴霧すると、ゲル
化剤溶液は、その一部がベースシートたばこ表面からそ
の内部へ浸透し、次に塗布されるペクチンとの十分な接
触が行えないばかりか、ゲル化剤には耐水性向上効果が
ないため、単にベースシートたばこの水分を増加させる
だけとなりかえってベースシートの強度を低下させてし
まうおそれがある。これに対し、ペクチン溶液を先に噴
霧すると、ペクチン溶液はゲル化剤溶液に比べて表面張
力が大きいため、ベースシートたばこに浸透しにくく、
ゲル化皮膜形成の効率が低下せず、またベースシートた
ばこの表面には、微量ではあるが、たばこ中の成分とし
て含まれているカルシウムイオン等が存在するため、ペ
クチンがゲル化し、その内部への浸透を防止する傾向に
ある。
【0036】以上のように本発明によりペクチン溶液と
ゲル化剤溶液とを別々にしかも噴霧によりベースシート
たばこに適用することにより、各溶液の塗布量の制御が
容易で、均一なゲル化ペクチンの皮膜が形成され、しか
も耐水性がより一層向上する。加えて、各溶液の均一な
塗布が可能となるので、ペクチンやゲル化剤の使用量を
節減でき、その結果溶媒(特に水)の使用量も減少し得
るので、乾燥機への負荷も軽減される。
【0037】以上、本発明の一実施の形態を説明した
が、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
噴霧装置をさらに設けてペクチン溶液および/またはゲ
ル化剤溶液の塗布を繰り返し行ってもよい。
【0038】
【実施例】実施例1 80℃に加温した水に所定量のペクチン(ハーキュリー
ズ社製GENUペクチンLM13CG)を撹拌により溶
解させて、3重量%ペクチン水溶液を調製した。これを
ペクチンタンクに収容し、60℃で貯蔵した。
【0039】また、室温の水に所定量の乳酸カルシウム
を撹拌により溶解させて1重量%の乳酸カルシウム水溶
液を調製した。これをゲル化剤溶液タンクに保存した。
【0040】他方、たばこ粉100重量部に対して、補
強材(パルプ解繊物)15重量部、結合剤(コーンスタ
ーチ)7重量部、および香料49重量部を配合し、適量
の水を加え、配合機11で撹拌混合し、湿物基準で31
%の水分を含有する湿潤粉粒物を得た。この湿潤粉粒物
をそのまま水平対向式ロールからなる成形機15でシー
ト状に圧延した。
【0041】得られたベースシートたばこをメッシュコ
ンベア16で搬送し、第1噴霧装置17から上記ペクチ
ン水溶液を噴霧した後、第2噴霧装置18から上記乳酸
カルシウム水溶液(ゲル化剤溶液)を噴霧した。このと
き、ペクチン水溶液の噴霧量は、ベースシートたばこの
乾物重量に対して、20%、25%、30%、40%お
よび50%と変えた。乳酸カルシウム水溶液の噴霧量
は、いずれの場合も、ベースシートたばこの乾物重量に
対して10%に設定した。
【0042】ペクチン水溶液および乳酸カルシウム水溶
液を噴霧した後、このベースシートたばこを乾燥機19
で水分が湿潤基準で11%となるまで乾燥した。こうし
て、5種類の均一なゲル化ペクチン皮膜を有する圧延シ
ートたばこ(試料1〜5)を得た。
【0043】対照として、ペクチン水溶液および乳酸カ
ルシウム水溶液を噴霧しなかった以外は、同様にして、
圧延シートたばこを得た。
【0044】以上のように得られた各圧延シートたばこ
を温度22℃、相対湿度60%に維持された部屋で4日
間調和させた後、耐水性を以下のようにして評価した。
【0045】すなわち、各圧延シートたばこを打抜き刃
で直径30mmの円形に打抜き、この円形試料各5個を
温度30℃で150mLの水を収容するシャーレに入
れ、シャーレに水平に5秒間振動(1秒間似つき、ピッ
チ16mmで1回ずつの振動)を与えた後、55秒間静
置するサイクルを繰り返し、円形試料が3片以上に分裂
するまでの時間を耐水時間として記録した。耐水時間が
ながい程、耐水性が高いと評価される。結果を下記表1
に示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1に示す結果から明らかなように、本発
明の圧延シートたばこ(試料1〜5)は、対照品に比べ
て耐水性が顕著に向上している。また、ペクチンの添加
量が多いほど、耐水性が向上することもわかる。
【0048】比較例1 ペクチン水溶液の添加量をベースシートたばこの乾物重
量の30%の割合で噴霧し、乳酸カルシウム水溶液を噴
霧しなかった以外は、実施例1と同様にして、圧延シー
トたばこを得た。この圧延シートたばこについて、実施
例1と同様の方法で耐水性を評価した。その結果、比較
例1の圧延シートたばこの耐水時間は、実施例1の試料
3の耐水時間よりも約5分間短かった。この結果から、
ペクチンにゲル化剤を添加することにより耐水性が向上
することがわかる。
【0049】実施例2 実施例1の手法に準じ、3重量%ペクチン水溶液をベー
スシートたばこの乾物重量の35%の割合で噴霧し、つ
いで2重量%乳酸カルシウム水溶液をベースシートたば
この乾物重量の5%の割合で噴霧し、均一なゲル化ペク
チン皮膜を有する圧延シートたばこを製造した。この圧
延シートたばこの耐水性を実施例1の方法により評価し
た結果、耐水時間は、平均で、29分であった。
【0050】比較例2 実施例1の手法に準じ、配合機において、圧延シートた
ばこ原料に1重量%乳酸カルシウム水溶液を圧延シート
たばこ原料の重量の10%の割合で混合し、ベースシー
トたばこを製造し、第1噴霧装置から3重量%ペクチン
溶液をベースシートたばこの乾物重量の35%の割合で
噴霧し、乳酸カルシウム水溶液は噴霧することなく、圧
延シートたばこを製造した。この圧延シートたばこの耐
水性を実施例1の方法により評価した結果、耐水時間
は、平均で、24.8分であった。
【0051】実施例2および比較例2の結果からわかる
ように、乳酸カルシウムを圧延シートたばこ原料にあら
かじめ配合してからベースシートたばこを圧延し、これ
にペクチン水溶液を塗布したばあいよりも、本発明に従
いベースシートたばこを圧延した後、乾燥前に、ベース
シートたばこにペクチン溶液と乳酸カルシウム溶液とを
別々に噴霧したほうが、耐水性が有意に向上する。
【0052】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、本
発明は、従来の利点を保持しながら、より一層向上した
耐水性を有する圧延シートたばこを製造する方法および
その方法を実施するための装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧延シートたばこの製造装置のフロー
図。
【図2】本発明の圧延シートたばこの製造装置における
噴霧装置の概略図。
【図3】ペクチン水溶液の温度と粘度の関係を示すグラ
フ図。
【図4】噴霧ノズルのカバーレッジ特性図。
【符号の説明】
11…配合機 12…混練機 13…解砕機 14…定量供給機 15…成形機 16…メッシュコンベア 17…第1噴霧装置 18…第2噴霧装置 19…乾燥機 20…裁断機 21…梱包機 31…噴霧溶液収容タンク 32…ポンプ 33…ヘッダー 34…噴霧ノズル 35…圧力計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 澁谷 義人 静岡県浜松市西伊場町40の1 日本たば こ産業株式会社浜松工場内 (72)発明者 本間 正祥 静岡県浜松市西伊場町40の1 日本たば こ産業株式会社浜松工場内 (56)参考文献 実公 昭62−16874(JP,Y2) 米国特許4564031(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A24B 3/14

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延シートたばこ原料をシート状に圧延
    する工程、およびこの圧延シートたばこを乾燥する工程
    を備えた圧延シートたばこの製造方法において、該圧延
    シートたばこ原料をシート状に圧延した直後から、乾燥
    するまでの間に、ペクチンの溶液とペクチンのゲル化剤
    の溶液とを該圧延シートたばこの同一側表面において接
    触するように別々に噴霧し、ゲル化したペクチンの皮膜
    を該圧延シートたばこ表面に形成することを特徴とする
    向上した耐水性を有する圧延シートたばこの製造方法。
  2. 【請求項2】 ペクチンの溶液を噴霧した後、ゲル化剤
    の溶液を噴霧することを特徴とする請求項1記載の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 ペクチンが、低メトキシルペクチンを包
    含する請求項1または2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 ゲル化剤が、2価または3価の陽イオン
    を含む請求項1ないし3のいずれか1項記載の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 ゲル化剤が、乳酸カルシウムの形態にあ
    る請求項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 圧延シートたばこ原料を圧延してシート
    状に圧延するための少なくとも1対のローラーからなる
    圧延手段と、得られる圧延シートたばこを乾燥するため
    の乾燥手段と、該圧延手段と乾燥手段との間に設けら
    れ、該圧延シートたばこの一方の表面にペクチンの溶液
    を噴霧するための第1の噴霧手段と、該圧延手段と乾燥
    手段との間に設けられ、該圧延シートたばこの該一方の
    表面にペクチンのゲル化剤の溶液を噴霧するための第2
    の噴霧手段を具備することを特徴とする圧延シートたば
    この製造装置。
  7. 【請求項7】 第1の噴霧手段が、第2の噴霧手段の前
    段に配設されていることを特徴とする請求項6記載の製
    造装置。
JP21587398A 1998-07-30 1998-07-30 向上した耐水性を有する圧延シートたばこの製造方法および製造装置 Expired - Fee Related JP2990166B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21587398A JP2990166B1 (ja) 1998-07-30 1998-07-30 向上した耐水性を有する圧延シートたばこの製造方法および製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21587398A JP2990166B1 (ja) 1998-07-30 1998-07-30 向上した耐水性を有する圧延シートたばこの製造方法および製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2990166B1 true JP2990166B1 (ja) 1999-12-13
JP2000041648A JP2000041648A (ja) 2000-02-15

Family

ID=16679683

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21587398A Expired - Fee Related JP2990166B1 (ja) 1998-07-30 1998-07-30 向上した耐水性を有する圧延シートたばこの製造方法および製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2990166B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9903071B2 (en) 2008-11-12 2018-02-27 Japan Tobacco Inc. Low flame-spreading cigarette paper

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3443851B1 (en) * 2014-12-16 2020-07-29 Philip Morris Products S.a.s. Apparatus for the production of a cast web of homogenized tobacco material
CN110574959A (zh) * 2019-10-12 2019-12-17 湖北中烟工业有限责任公司 再造烟叶双面单独涂布工艺
KR102560124B1 (ko) * 2020-08-25 2023-07-26 주식회사 케이티앤지 개질된 셀룰로오스를 포함하는 흡연 물품용 향료 함유 시트 및 이를 포함하는 흡연 물품
KR102628986B1 (ko) * 2020-08-25 2024-01-24 주식회사 케이티앤지 Lm-펙틴을 포함하는 흡연 물품용 향료 함유 시트 및 이를 포함하는 흡연 물품
KR102616655B1 (ko) * 2021-09-06 2023-12-21 주식회사 케이티앤지 향보유량과 향보류성이 증진된 향료시트 및 이를 포함하는 흡연물품
KR102616657B1 (ko) * 2021-09-06 2023-12-20 주식회사 케이티앤지 물리성이 향상된 향료 시트, 이를 포함하는 흡연 물품 및 이들의 제조 방법
KR20230048194A (ko) * 2021-10-01 2023-04-11 주식회사 케이티앤지 표면 거칠기가 향상된 향료 시트, 이를 포함하는 흡연 물품 및 이들의 제조 방법

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9903071B2 (en) 2008-11-12 2018-02-27 Japan Tobacco Inc. Low flame-spreading cigarette paper

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000041648A (ja) 2000-02-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5584306A (en) Reconstituted tobacco material and method of its production
CA1135949A (en) Modified cellulosic smoking material and method for its preparation
JP3681410B2 (ja) 再構成タバコシート及びその製造法及び使用法
EP1819243B1 (en) A new oral tobacco product
US4506684A (en) Modified cellulosic smoking material and method for its preparation
AU619809B2 (en) Method of making tobacco rod with enhanced firmness and product of this method
JP2990166B1 (ja) 向上した耐水性を有する圧延シートたばこの製造方法および製造装置
JP3212271B2 (ja) たばこ香喫味物品の製造方法
US4337783A (en) Forming sheet from reconstituted tobacco
EP3721724B1 (en) Filler for smoking article
Hartel et al. Jellies, gummies and licorices
SE444500B (sv) Forfarande for framstellning av en formad rokningskomposition innehallande tarmarindgummi som bindemedel, rokningskomposition samt bindemedelskomposition
US4564031A (en) Smokable, coherent sheet and method for its manufacture
CN111772226A (zh) 改善加热卷烟舒适性的方法
US3424170A (en) Process of forming reconstituted tobacco foils
JPS5988055A (ja) 麺の過熱水蒸気乾燥方法
CN113197323B (zh) 一种基于没食子酸尼古丁盐胶凝剂的载香超分子凝胶
CN108030140A (zh) 一种发雾型烟草薄片用处理液及其施加工艺
EP0162671B1 (en) Cohesive tobacco composition
EP0069467A2 (en) A process for utilizing tobacco dust
AU2016249375B2 (en) Device for application of flavors to collagen casings
JP4221894B2 (ja) 分散性に優れたコーンパウダーおよびその製造方法
CN114711450B (zh) 一种提升加热不燃烧烟草制品香气释放量的方法
JPH0341149B2 (ja)
CN113197327B (zh) 基于长链烷基二元脂肪酸尼古丁盐胶凝剂的凝胶

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees