JP2989852B2 - リン酸カルシウム被覆材 - Google Patents

リン酸カルシウム被覆材

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はリン酸カルシウム被覆材に関し、特に歯科用
人工歯根、人工関節ステム等に使用されるものである。
[従来の技術と課題] 周知の如く、チタン系金属は金属の中でも生体親和性
に優れており、生体用構造材として用いられている。特
に、骨等の硬組織に対しての応用は盛んで歯科用人工歯
根、人工関節ステムとして一部実用化されている。ま
た、チタン系金属は比較的介在組織(異物膜等)を形成
しないで骨と結合する金属である。しかし、リン酸カル
シウム系セラミックス等のようなバイオアクティブな材
料に比べると、インプラントを行ってから骨と結合,安
定するまでに時間がかかる。そこで、治療を円滑にすす
めるため、チタン系金属にリン酸カルシウム系の生体活
性層を被覆し、インプラント後骨との結合を早める事が
考案されている。
従来、チタン系金属にリン酸カルシウム系の生体活性
層を形成する方法としては、プラズマ溶射法、ガラス層
を中間層としてリン酸カルシウム層と基材間に設けて熱
処理するガラスバインダー法等が知られている。
しかし、プラズマ溶射法による場合、生体活性層の被
覆はリン酸カルシウムに高いエネルギーをかけて基材に
溶射するため、生成した層例えば水酸化アパタイトの結
晶性が悪く、また装置が高価なものになるという問題点
があった。
また、ガラスバインダー法の場合、中間層であるガラ
ス層と目的のリン酸カルシウム層が熱処理中に反応しや
すく、これを防いでガラスにバインダーの役割だけを行
わせるには微妙な熱処理条件が必要である。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、プラズマ
溶射法のように特別な設備を必要とすることなく結晶性
が良好で、またガラスバインダー法のように微妙な熱処
理条件を必要としないリン酸カルシウム被覆材及びその
製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、チタン系金属からなる基材と、この基材表
面に被覆されるリン酸カルシウム系生体活性層とからな
るリン酸カルシウム被覆材において、前記生体活性層
が、前記基材表面に被覆後に熱処理によりウィトロカイ
ト型のβ−リン酸三カルシウム相が析出された結晶化ガ
ラスからなることを特徴とするリン酸カルシウム被覆材
である。
本発明において、前記ウィトロカイト型のβ−リン酸
三カルシウム相は、下記の成分からなることが好まし
い。
Li2O,K2O,Na2Oの何れか1つ … 0〜10mol% CaO …30〜50mol% TiO2 … 0〜20mol% Al2O3 … 0〜25mol% SiO2 … 0〜20mol% P2O5 …20〜50mol% 本発明に係るリン酸カルシウム被覆材は、次のように
形成する。
まず、リン酸カルシウム系結晶化ガラスは、チタン系
金属の相転移が起こる温度より低い温度で結晶化するよ
うに調整する。例えば、純チタン(α相)ならば、α相
からβ相への転移温度は880℃付近であり、850℃以下で
結晶化処理ができるガラスを調整をする。析出結晶は、
β−リン酸カルシウム(ウィトロカイト)または水酸化
アパタイトとする。組成的には、主成分であるCaO,P2O5
に加えて基材とのなじみを考え、また結晶の核化剤とし
てTiO2を添加する。これにAl2O3,SiO2,必要に応じてア
ルカリ成分(Li2O,K2O,Na2O)を加えることで、目的と
する結晶が析出するよう、また逆にガラス化し易い組成
となるように調整する。
上述した結晶ガラスを用いて、チタン基材に塗布また
はスプレーなどして付着させ、熱処理をした基材への接
着と結晶化を行わせ、リン酸カルシウム層を形成する。
以下、本発明の実施例を比較例とともに説明する。
[実施例1] まず、40CaO・5TiO2・10Al2O3・10SiO2・35P2O5の組
成となるように、CaCO3,TiO2,Al2O3,SiO2の粉末試薬を
秤量し、H3PO4を滴下してよく混合し、混合物を得た。
つづいて、この混合物をアルミナ製ルツボに入れ乾燥さ
せた後、電気炉内にセットして昇温させ1450℃で1時間
溶融し、炉から取り出して急冷してガラスを作製した。
次いで、このガラスをスタンプミルを用いて粉砕し、更
に自動乳鉢にて粉末状にした後、ジルコニア製ボールミ
ルポットに入れ、ガラス粉末に対して水を重量比で3:7
になるように純水を加えて、約1日回転粉砕させスラリ
ーを作製した。
ここで、ガラスの結晶化性状を調べるため、上記スラ
リーを乾燥後、その粉末を850℃で1時間熱処理した。
粉末X線回折法によると、熱処理後の試料はβ−リン酸
三カルシウム(ウィトロカイト構造)相をメインに含有
しており、またAlPO4と思われる小さなピークが存在し
た。DTAによりガラス転移点は700℃であることも確認し
た。
次に、この結晶化ガラスによるチタン系金属へのコー
ティングについて説明する。前述したボールミルを用い
て作製したガラスのスラリーをスプレーにてチタン系金
属,例えば純チタン基材上に噴射し、乾燥させ、ガラス
微粉末を付着させる。または、チタン基材をスラリー中
に漬けて引き上げ、乾燥,ガラス粉末を付着させてもよ
く、スピナーなどを併用すれば厚さを均一にすることが
できる。そして、これを850℃で1時間熱処理すると、
密着性の良好な被覆層が形成されており、薄膜X線回折
により評価したところ、β−リン酸三カルシウム(ウィ
トロカイト構造)相が析出していた。また、熱処理時間
を750℃,3時間とした場合についても行ったが、この条
件の場合もβ−リン酸三カルシウム相を有する密着性の
良好な被覆層が形成できた。
このように、上述の如く形成されるリン酸カルシウム
被覆材は、チタン系金属と、この金属の上に被覆される
リン酸カルシウム系生体活性層とを具備し、前記生体活
性層がCaO,TiO2,Al2O3,SiO2,P2O5からなる結晶化ガラス
よりなり、かつ前記生体活性層が結晶化処理前のガラス
粉末をチタン系金属に付着させた後熱処理によりチタン
系金属への接着とリン酸カルシウム層の析出を行わせる
ことにより得られる構成となっている。従って、結晶性
が良好で、またガラスバインダー法のように微妙な熱処
理条件を必要しないリン酸カルシウム被覆材を得ること
ができた。なお、第1図は、実施例1による40CaO・5Ti
O2・10Al2O3・10SiO2・35P2O5の850℃,1時間熱処理した
場合の、X線強度回折図である。
[実施例2] まず、5Na2O・40CaO・10TiO2・10SiO2・35P2O5の組成
となるように、Na2CO3,CaCO3,TiO2,SiO2の粉末試験を秤
量し、磁製乳鉢に入れ、H3PO4を滴下してよく混合し、
混合物を得た。つづいて、この混合物をアルミナ製ルツ
ボに移し、乾燥させた後、電気炉にて20℃/minの速度で
昇温,1450℃で2時間溶融後、急冷してガラスを作製し
た。次いで、このガラスをスタンプミルを用いて粉砕
し、更に自動乳鉢にて粉末状にした後、ジルコニア製ボ
ールミルポットに入れ、ガラス粉末に対して水を重量比
で3:7になるように純水を加えて、約1日回転粉砕させ
スラリーを作製した。
ここで、ガラスの結晶化性状を調べるため、上記スラ
リーを乾燥後、その粉末を850℃で1時間熱処理した。
粉末X線回折法によると、熱処理後の試料はβ−リン酸
三カルシウム(ウィトロカイト構造)相をメインに含有
しており、第2相として若干アナターゼ型酸化チタン,
それよりも更に小さいピークとしてルチル型酸化チタン
を認めた。
この結晶化ガラスによるチタン系金属へのコーティン
グは、前述したボールミルにより作製したスラリーを用
いて実施例1と同様に行った。850℃で1時間熱処理す
ると、密着性の良好な被覆層が形成されており、薄膜X
線回折により評価したところ、β−リン酸三カルシウム
(ウィトロカイト構造)相が析出していた。また、熱処
理時間を750℃,3時間とした場合についても行ったが、
この条件の場合もβ−リン酸三カルシウム相を有する密
着性の良好な被覆層が形成できた。
第2図は、実施例2による5Na2O・40CaO・10TiO2・10
SiO2・35P2O5の850℃,1時間熱処理した場合の、X線強
度回折図である。
[実施例3] ガラス組成を、5Na2O・40CaO・5TiO2・5Al2O3・10SiO
2・35P2O5として実施例1と同様、ガラスの作製,結晶
化性状評価,被覆を行った。1450℃で2時間溶融し、急
冷したガラスを粉末にして850℃で1時間熱処理し、粉
末X線回折法により評価した。β−リン酸三カルシウム
(ウィトロカイト構造)のパターンに加えて、TiO2と推
定されるピークが存在した(第3図参照)。
この結晶化ガラスを用いてチタン系金属上へ被覆し、
850℃で1時間熱処理すると、密着性の良好な被膜が形
成され、薄膜X線回折により評価したところ、β−リン
酸三カルシウム(ウィトロカイト構造)相の析出が確認
された。
[比較例] 実施例1〜3に対し、ガラス組成にAl2O3やSiO2成分
を含まない場合について行った。5Na2O・40CaO・10TiO2
・45P2O5の組成になるようにガラスを作製し、850℃で
1時間熱処理した後、X線回折パターンを測定すると、
ピロリン酸カルシウム相が析出しており、β−リン酸三
カルシウムは含有していなかった(第4図参照)。
[発明の効果] 以上詳述した如く本発明によれば、プラズマ溶射法の
ように特別な設備を必要とすることなく結晶性が良好
で、またガラスバインダー法のように微妙な熱処理条件
を必要としないリン酸カルシウム被覆材及びその製造方
法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1に係るガラスを熱処理した場
合のX線強度を示す回折図、第2図は本発明の実施例2
に係るガラスを熱処理した場合のX線強度を示す回折
図、第3図は本発明の実施例3に係るガラスを熱処理し
た場合のX線強度を示す回折図、第4図は本発明の比較
例に係るガラスを熱処理した場合のX線強度を示す回折
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61L 27/00 A61L 27/00 M H (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61L 27/00 A61C 8/00 A61F 2/28 A61F 2/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン系金属からなる基材と、 この基材表面に被覆されるリン酸カルシウム系生体活性
    層とからなるリン酸カルシウム被覆材において、 前記生体活性層が、前記基材表面に被覆後に熱処理によ
    りウィトロカイト型のβ−リン酸三カルシウム相が析出
    された結晶化ガラスからなることを特徴とするリン酸カ
    ルシウム被覆材。
  2. 【請求項2】前記ウィトロカイト型のβ−リン酸三カル
    シウム相は、下記の成分からなることを特徴とする請求
    項1記載のリン酸カルシウム被覆材。 Li2O,K2O,Na2Oの何れか1つ … 0〜10mol% CaO …30〜50mol% TiO2 … 0〜20mol% Al2O3 … 0〜25mol% SiO2 … 0〜20mol% P2O5 …20〜50mol%
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