JP2985646B2 - 樹脂製品の部分めっき方法 - Google Patents

樹脂製品の部分めっき方法

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JP2985646B2
JP2985646B2 JP6038830A JP3883094A JP2985646B2 JP 2985646 B2 JP2985646 B2 JP 2985646B2 JP 6038830 A JP6038830 A JP 6038830A JP 3883094 A JP3883094 A JP 3883094A JP 2985646 B2 JP2985646 B2 JP 2985646B2
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成幸 高橋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂製の基材の表面の
うち、めっきを必要とする部分にのみめっき層が形成さ
れてなる樹脂製品の部分めっき方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の樹脂製品として、車
両用のフロントグリルやバックパネル等の外装用装飾品
がある。例えば、フロントグリルにおいては、当該グリ
ルの前面(意匠面)の所定部分にめっき層が形成されて
いるとともに、それ以外の部分(但し、意匠面)の一部
又は全部に塗膜層が形成されている。このように、部分
的にめっき層を有し、それ以外の部分の少なくとも一部
に塗膜層が形成されたフロントグリルは例えば次のよう
にして製造される。
【0003】すなわち、まず、ABS樹脂製のグリル本
体のうち、めっきの必要な部分を電鋳マスク又は簡易マ
スクで被覆する。そして、その状態でレジスト塗料をス
プレー塗布する。すると、めっきの不必要な部分にはレ
ジスト塗膜層が形成される。その後、レジスト塗膜層の
形成されたグリル本体をエッチング及び無電解めっきに
供する。すると、グリル本体表面のレジスト塗膜層の形
成されていない部分には、無電解めっき層が形成され
る。次に、複数工程よりなる電気めっき工程に供する。
すると、無電解めっき層上には電気めっき層が形成され
る。すなわち、めっきの必要な部分にのみ、無電解めっ
き層及び電気めっき層よりなるめっき層が形成される。
【0004】そして、塗装を施さない部分に電鋳マスク
を被覆するとともに、それ以外の部分、すなわち、主と
してレジスト塗膜層上に所定の塗料を塗布する(いわゆ
るオーバーコートを施す)。すると、所望の箇所に塗膜
層が形成される。
【0005】しかし、上記従来技術において、レジスト
塗膜層は、フロントグリルの意匠面であろうが非意匠面
であろうが関係なく、めっきの不必要な部分全体に形成
されていた。このため、当該レジスト塗膜層がエッチン
グ溶液及びめっき溶液中に溶け出し、これらの溶液が汚
染されてしまう場合があった。
【0006】また、上記のように、レジスト塗膜層上に
塗膜層が形成されるため、レジスト塗膜層は一種のプラ
イマーとしての役割を果たす。このため、レジスト塗膜
層は一定の耐久性を有する必要があるとともに、基材及
び塗膜層に対し一定の密着性を有するものである必要が
あった。従って、採用されうるレジスト塗膜層の素材
は、特に厳選されたものを使用せざるを得なかった。
【0007】上記の不具合を解消すべるための技術とし
て、例えば本願出願人による特願平5−83603号等
において提案されたものが挙げられる。この技術では、
図40に示すように、先ず金型成形により、段差部10
1に条溝102が環状に形成されたグリル本体103を
成形し、そのグリル本体103に無電解めっきを施す。
このとき、条溝102の底部102aにおいては、隙間
間隔が狭いため、めっきが施されず、これらを除く全部
分には無電解めっき層104が形成される。次に、無電
解めっき層104が形成されたグリル本体103を電気
めっきに供する。すると、めっきを必要としない部分に
形成された無電解めっき層104は、電気めっき液によ
って溶解され、必要とする部分においては通電により無
電解めっき層104の表面に電気めっき層105が形成
される。このように無電解めっき層104及び電気めっ
き層105よりなるめっき層106の形成された部分
を、電鋳マスク107により被覆して露出部分に向けて
塗装を施し、塗膜層108を形成する。
【0008】従って、上記技術によれば、レジスト塗膜
層を形成する必要がないため、その塗膜層の素材を厳選
する必要がなくなるとともに、レジスト塗膜層がエッチ
ング溶液やめっき溶液中に多量に溶け出すおそれもなく
なる。また、めっき層106と塗膜層108との境界部
分の見切り部分が直線状に形成されうることから外観品
質の著しい向上を図ることが可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記技術に
おいては、意匠面及び非意匠面ともに、少なくとも何ら
かのめっきを施す必要がある場合には、基材たるグリル
本体103の意匠面及び非意匠面ともに上記の条溝10
2を形成する必要があった。換言すれば、意匠面を成形
するための金型部材と、非意匠面を成形するための金型
部材との双方に、条溝102を形成するための凸条を形
成する必要があった。ここで、条溝102を、当該条溝
102の底部102aに無電解めっき層104が形成さ
れないような形状とするために前記凸条を簡易に加工形
成するのはかなり困難であり、金型を加工するのに要す
る費用が著しく高騰してしまっていた。その結果、上記
の凸条を有する金型のコストが、凸条のない金型のコス
トに比べて著しく高いものとなっていた(例えば約1.
5倍以上)。
【0010】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的は、めっきを必要とする部
分にのみめっき層が形成されてなる樹脂製品の部分めっ
き方法において、外観品質の低下を招くことなく、か
つ、著しいコストの低下を図ることの可能な樹脂製品の
部分めっき方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1の発明では、樹脂製の基材表面のうち、めっき
を必要とする部分とめっきを必要としない部分との境界
線部分に、断面略V字状の条溝を意匠面側においてのみ
環状又は環状の一部をなすように金型にて形成する条溝
形成工程と、前記基材表面の非意匠面側においてめっき
を必要としない部分全面に又はめっきを必要としない部
分を囲むようにして環状又は環状の一部をなすようにレ
ジスト塗膜層を形成するレジスト塗膜層形成工程と、前
記基材表面の前記条溝の底部及び前記レジスト塗膜層以
外の部分に無電解めっき層を形成する無電解めっき工程
と、前記無電解めっき工程を経た前記基材に形成された
前記無電解めっき層を電気的に導通させて、前記無電解
めっき層上のめっきの必要な部分に電気めっき層を形成
する電気めっき工程とを備えたことをその要旨としてい
る。
【0012】また、第2の発明においては、樹脂製の基
材表面のうち、めっきを必要とする部分とめっきを必要
としない部分との境界線部分に、断面略V字状の条溝を
意匠面側においてのみ環状又は環状の一部をなすように
金型にて形成するとともに、簡易溝を非意匠面側におい
てのみ環状又は環状の一部をなすように金型にて形成す
る溝形成工程と、前記簡易溝に沿ってレジスト層を形成
するレジスト層形成工程と、前記基材表面の前記条溝の
底部及び前記レジスト層以外の部分に無電解めっき層を
形成する無電解めっき工程と、前記無電解めっき工程を
経た前記基材に形成された前記無電解めっき層を電気的
に導通させて、前記無電解めっき層上のめっきの必要な
部分に電気めっき層を形成する電気めっき工程とを備え
たことをその要旨としている。
【0013】さらに、第3の発明においては、樹脂製の
基材表面のうち、めっきを必要とする部分とめっきを必
要としない部分との境界線部分に、断面略V字状の条溝
を意匠面側においてのみ環状又は環状の一部をなすよう
に金型にて形成する条溝形成工程と、前記基材表面の前
記条溝の底部以外の部分に無電解めっき層を形成する無
電解めっき工程と、前記基材表面の非意匠面側に形成さ
れた無電解めっき層に対し、めっきを必要としない部分
を囲むようにして環状又は環状の一部をなすように切れ
込み部を連続的に形成する切れ込み形成工程と、前記切
れ込み形成工程を経た前記基材に形成された前記無電解
めっき層を電気的に導通させて、前記無電解めっき層上
のめっきの必要な部分に電気めっき層を形成する電気め
っき工程とを備えたことをその要旨としている。
【0014】併せて、第4の発明においては、樹脂製の
基材表面のうち、めっきを必要とする部分とめっきを必
要としない部分との境界線部分に、断面略V字状の条溝
を意匠面側においてのみ環状又は環状の一部をなすよう
に金型にて形成するとともに、凸条を非意匠面側におい
てのみ環状又は環状の一部をなすように金型にて形成す
る条溝凸条形成工程と、前記基材表面の前記条溝の底部
以外の部分に無電解めっき層を形成する無電解めっき工
程と、前記無電解めっき工程を経た前記基材に形成され
た前記無電解めっき層のうち、前記凸条上に形成された
前記無電解めっき層を切削又は除去する切削除去工程
と、前記切削除去工程を経た前記基材に形成された前記
無電解めっき層を電気的に導通させて、前記無電解めっ
き層上のめっきの必要な部分に電気めっき層を形成する
電気めっき工程とを備えたことをその要旨としている。
【0015】加えて、第5の発明においては、樹脂製の
基材表面のうち、めっきを必要とする部分とめっきを必
要としない部分との境界線部分に、簡易溝を意匠面側に
おいてのみ環状又は環状の一部をなすように金型にて形
成する簡易溝形成工程と、前記簡易溝に沿ってレジスト
層を形成するレジスト層形成工程と、前記基材表面の非
意匠面側においてめっきを必要としない部分全面に又は
めっきを必要としない部分を囲むようにして環状又は環
状の一部をなすようにレジスト塗膜層を形成するレジス
ト塗膜層形成工程と、前記レジスト層及び前記レジスト
塗膜層以外の部分に無電解めっき層を形成する無電解め
っき工程と、前記無電解めっき工程を経た前記基材に形
成された前記無電解めっき層を電気的に導通させて、前
記無電解めっき層上のめっきの必要な部分に電気めっき
層を形成する電気めっき工程とを備えたことをその要旨
としている。
【0016】また、第6の発明においては、樹脂製の基
材表面のうち、めっきを必要とする部分とめっきを必要
としない部分との境界線部分に、簡易溝を環状又は環状
の一部をなすように金型にて形成する簡易溝形成工程
と、前記簡易溝に沿ってレジスト層を形成するレジスト
層形成工程と、前記レジスト層以外の部分に無電解めっ
き層を形成する無電解めっき工程と、前記無電解めっき
工程を経た前記基材に形成された前記無電解めっき層を
電気的に導通させて、前記無電解めっき層上のめっきの
必要な部分に電気めっき層を形成する電気めっき工程と
を備えたことをその要旨としている。
【0017】さらに、第7の発明においては、樹脂製の
基材表面のうち、めっきを必要とする部分とめっきを必
要としない部分との境界線部分に、簡易溝を意匠面側に
おいてのみ環状又は環状の一部をなすように金型にて形
成する簡易溝形成工程と、前記簡易溝に沿ってレジスト
層を形成するレジスト層形成工程と、前記レジスト層以
外の部分に無電解めっき層を形成する無電解めっき工程
と、前記基材表面の非意匠面側に形成された無電解めっ
き層に対し、めっきを必要としない部分を囲むようにし
て環状又は環状の一部をなすように切れ込み部を連続的
に形成する切れ込み形成工程と、前記切れ込み形成工程
を経た前記基材に形成された前記無電解めっき層を電気
的に導通させて、前記無電解めっき層上のめっきの必要
な部分に電気めっき層を形成する電気めっき工程とを備
えたことをその要旨としている。
【0018】併せて、第8の発明においては、樹脂製の
基材表面のうち、めっきを必要とする部分とめっきを必
要としない部分との境界線部分に、簡易溝を意匠面側に
おいてのみ環状又は環状の一部をなすように金型にて形
成するとともに、凸条を非意匠面側においてのみ環状又
は環状の一部をなすように金型にて形成する条溝凸条形
成工程と、前記簡易溝に沿ってレジスト層を形成するレ
ジスト層形成工程と、前記レジスト層以外の部分に無電
解めっき層を形成する無電解めっき工程と、前記無電解
めっき工程を経た前記基材に形成された前記無電解めっ
き層のうち、前記凸条上に形成された前記無電解めっき
層を切削又は除去する切削除去工程と、前記切削除去工
程を経た前記基材に形成された前記無電解めっき層を電
気的に導通させて、前記無電解めっき層上のめっきの必
要な部分に電気めっき層を形成する電気めっき工程とを
備えたことをその要旨としている。
【0019】加えて、第9の発明においては、樹脂製の
基材表面のうち、めっきを必要とする部分とめっきを必
要としない部分との境界線部分に、簡易溝を意匠面側に
おいてのみ環状又は環状の一部をなすように金型にて形
成するとともに、断面略V字状の条溝を非意匠面側にお
いてのみ環状又は環状の一部をなすように金型にて形成
する溝形成工程と、前記簡易溝に沿ってレジスト層を形
成するレジスト層形成工程と、前記基材表面の前記条溝
の底部及び前記レジスト層以外の部分に無電解めっき層
を形成する無電解めっき工程と、前記無電解めっき工程
を経た前記基材に形成された前記無電解めっき層を電気
的に導通させて、前記無電解めっき層上のめっきの必要
な部分に電気めっき層を形成する電気めっき工程とを備
えたことをその要旨としている。
【0020】
【作用】上記の第1の発明によれば、条溝形成工程にお
いては、樹脂製の基材表面のうち、めっきを必要とする
部分とめっきを必要としない部分との境界線部分に、断
面略V字状の条溝が、意匠面側においてのみ環状又は環
状の一部をなすように金型にて形成される。また、レジ
スト塗膜層形成工程では、基材表面の非意匠面側におい
てめっきを必要としない部分全面に又はめっきを必要と
しない部分を囲むようにして環状又は環状の一部をなす
ようにレジスト塗膜層が形成される。次に、無電解めっ
き工程においては、基材表面の条溝の底部及びレジスト
塗膜層以外の部分に無電解めっき層が形成される。そし
て、電気めっき工程では、無電解めっき工程を経た基材
に形成された前記無電解めっき層が電気的に導通され
て、無電解めっき層上のめっきの必要な部分に電気めっ
き層が形成される。
【0021】ここで、上記の無電解めっき工程におい
て、条溝の底部及びレジスト塗膜層には、無電解めっき
層が形成されない。このため、電気めっき工程におい
て、めっきの必要な部分が電気的に導通されて、無電解
めっき層上のめっきの必要な部分に電気めっき層が形成
される。
【0022】さて、本発明によれば、断面略V字状の条
溝は金型にて形成されるのであるが、当該条溝は、製品
の意匠面側においてのみ形成されればよいため、その条
溝を形成するための金型の加工についても片側の金型の
み施せばよい。従って、製品の非意匠面側に部分めっき
を施すために、断面略V字状の条溝を形成する必要がな
くなる。そのため、その分だけ、金型の加工が簡素化さ
れる。
【0023】また、レジスト塗膜層の施され方によっ
て、仮に非意匠面側のめっきの境界部分の見切りが多少
悪化したとしても、当該非意匠面側は外部から視認され
にくい。これに対し、意匠面側は、断面略V字状の条溝
の存在により、めっきの見切りが良好となる。従って、
全体として外観品質が低下してしまうことは回避され
る。
【0024】また、第2の発明によれば、溝形成工程に
おいて、樹脂製の基材表面のうち、めっきを必要とする
部分とめっきを必要としない部分との境界線部分に、断
面略V字状の条溝が意匠面側においてのみ環状又は環状
の一部をなすように金型にて形成されるとともに、簡易
溝が非意匠面側においてのみ環状又は環状の一部をなす
ように同じく金型にて形成される。また、レジスト層形
成工程においては、簡易溝に沿ってレジスト層が形成さ
れる。次に、無電解めっき工程では、基材表面の条溝の
底部及び前記レジスト層以外の部分に無電解めっき層が
形成される。そして、電気めっき工程では、無電解めっ
き工程を経た基材に形成された前記無電解めっき層が電
気的に導通されて、無電解めっき層上のめっきの必要な
部分に電気めっき層が形成される。
【0025】従って、本発明においても、第1の発明の
レジスト塗膜層と、レジスト層及び容易に成形される簡
易溝との差異はあるものの、前記第1の発明とほぼ同等
の作用を奏する。また、レジスト層は、簡易溝に沿って
形成されうるという点で、レジスト層の形成が容易に、
かつ、高い精度をもって行われうる。
【0026】さらに、第3の発明によれば、条溝形成工
程において、樹脂製の基材表面のうち、めっきを必要と
する部分とめっきを必要としない部分との境界線部分
に、断面略V字状の条溝が意匠面側においてのみ環状又
は環状の一部をなすように金型にて形成される。また、
無電解めっき工程では、基材表面の条溝の底部以外の部
分に無電解めっき層が形成される。次いで、切れ込み形
成工程において、基材表面の非意匠面側に形成された無
電解めっき層に対し、めっきを必要としない部分を囲む
ようにして環状又は環状の一部をなすように切れ込み部
が連続的に形成される。そして、電気めっき工程では、
前記切れ込み形成工程を経た基材に形成された前記無電
解めっき層が電気的に導通されて、無電解めっき層上の
めっきの必要な部分に電気めっき層が形成される。
【0027】従って、本発明においても、第1の発明の
レジスト塗膜層と、無電解めっき工程後の切れ込み部と
の差異はあるものの、前記第1の発明とほぼ同等の作用
を奏する。また、レジスト塗料の使用を省略することが
可能となる。
【0028】併せて、第4の発明によれば、樹脂製の基
材表面のうち、条溝凸条形成工程では、めっきを必要と
する部分とめっきを必要としない部分との境界線部分
に、断面略V字状の条溝が意匠面側においてのみ環状又
は環状の一部をなすように金型にて形成されるととも
に、凸条が非意匠面側においてのみ環状又は環状の一部
をなすように金型にて形成される。また、無電解めっき
工程では、基材表面の前記条溝の底部以外の部分に無電
解めっき層が形成される。次に、切削除去工程では、無
電解めっき工程を経た基材に形成された前記無電解めっ
き層のうち、凸条上に形成された無電解めっき層が切削
又は除去される。そして、電気めっき工程においては、
切削除去工程を経た基材に形成された前記無電解めっき
層が電気的に導通されて、無電解めっき層上のめっきの
必要な部分に電気めっき層が形成される。
【0029】従って、本発明においても、第1の発明の
レジスト塗膜層の形成と、凸条の形成及び凸条上の無電
解めっき層の切削除去との差異はあるものの、前記第1
の発明とほぼ同等の作用を奏する。
【0030】加えて、第5の発明によれば、簡易溝形成
工程においては、樹脂製の基材表面のうち、めっきを必
要とする部分とめっきを必要としない部分との境界線部
分に、簡易溝が意匠面側においてのみ環状又は環状の一
部をなすように金型にて形成される。また、レジスト層
形成工程においては、簡易溝に沿ってレジスト層が形成
される。次に、レジスト塗膜層形成工程では、基材表面
の非意匠面側においてめっきを必要としない部分全面に
又はめっきを必要としない部分を囲むようにして環状又
は環状の一部をなすようにレジスト塗膜層が形成され
る。さらに、無電解めっき工程では、レジスト層及びレ
ジスト塗膜層以外の部分に無電解めっき層が形成され
る。そして、電気めっき工程においては、無電解めっき
工程を経た基材に形成された無電解めっき層が電気的に
導通されて、無電解めっき層上のめっきの必要な部分に
電気めっき層が形成される。
【0031】ここで、上記の無電解めっき工程におい
て、レジスト層及びレジスト塗膜層には、無電解めっき
層が形成されない。このため、電気めっき工程におい
て、めっきの必要な部分が電気的に導通されて、無電解
めっき層上のめっきの必要な部分に電気めっき層が形成
される。
【0032】さて、本発明によれば、断面略V字状の条
溝は一切形成されず、意匠面側において簡易溝を形成す
るだけでよい。このため、その条溝を形成するための金
型の加工を一切施す必要がない。そのため、第1〜第4
の発明に比べて、さらに金型の加工が簡素化される。
【0033】また、レジスト塗膜層の施され方によっ
て、仮に非意匠面側のめっきの境界部分の見切りが多少
悪化したとしても、当該非意匠面側は外部から視認され
にくい。これに対し、意匠面側は、簡易溝及びレジスト
層の存在により、めっきの見切りが良好となる。従っ
て、全体として外観品質が低下してしまうことは回避さ
れる。
【0034】また、第6の発明によれば、簡易溝形成工
程においては、樹脂製の基材表面のうち、めっきを必要
とする部分とめっきを必要としない部分との境界線部分
に、簡易溝が環状又は環状の一部をなすように金型にて
形成される。また、レジスト層形成工程では、簡易溝に
沿ってレジスト層が形成される。さらに、無電解めっき
工程では、レジスト層以外の部分に無電解めっき層が形
成される。そして、電気めっき工程では、無電解めっき
工程を経た基材に形成された無電解めっき層が電気的に
導通されて、無電解めっき層上のめっきの必要な部分に
電気めっき層が形成される。
【0035】従って、本発明においても、第5の発明の
レジスト塗膜層と、レジスト層及び容易に成形される簡
易溝との差異はあるものの、前記第5の発明とほぼ同等
の作用を奏する。また、レジスト層は、簡易溝に沿って
形成されうるという点で、レジスト層の形成が容易に、
かつ、高い精度をもって行われうる。
【0036】さらに、第7の発明によれば、簡易溝形成
工程においては、樹脂製の基材表面のうち、めっきを必
要とする部分とめっきを必要としない部分との境界線部
分に、簡易溝が意匠面側においてのみ環状又は環状の一
部をなすように金型にて形成される。また、レジスト層
形成工程では、簡易溝に沿ってレジスト層が形成され
る。さらに、無電解めっき工程においては、レジスト層
以外の部分に無電解めっき層が形成される。次に、切れ
込み形成工程では、基材表面の非意匠面側に形成された
無電解めっき層に対し、めっきを必要としない部分を囲
むようにして環状又は環状の一部をなすように切れ込み
部が連続的に形成される。そして、電気めっき工程にお
いては、切れ込み形成工程を経た基材に形成された前記
無電解めっき層が電気的に導通されて、無電解めっき層
上のめっきの必要な部分に電気めっき層が形成される。
【0037】従って、本発明においても、第5の発明の
レジスト塗膜層と、無電解めっき工程後の切れ込み部と
の差異はあるものの、前記第5の発明とほぼ同等の作用
を奏する。また、レジスト塗料の使用を省略することが
可能となる。
【0038】併せて、第8の発明によれば、条溝凸条形
成工程においては、樹脂製の基材表面のうち、めっきを
必要とする部分とめっきを必要としない部分との境界線
部分に、簡易溝が意匠面側においてのみ環状又は環状の
一部をなすように金型にて形成されるとともに、凸条が
非意匠面側においてのみ環状又は環状の一部をなすよう
に金型にて形成される。また、レジスト層形成工程で
は、簡易溝に沿ってレジスト層が形成される。さらに、
無電解めっき工程においては、レジスト層以外の部分に
無電解めっき層が形成される。次に、切削除去工程で
は、無電解めっき工程を経た基材に形成された前記無電
解めっき層のうち、凸条上に形成された無電解めっき層
が切削又は除去される。そして、電気めっき工程におい
ては、切削除去工程を経た基材に形成された前記無電解
めっき層が電気的に導通されて、無電解めっき層上のめ
っきの必要な部分に電気めっき層が形成される。
【0039】従って、本発明においても、第5の発明の
レジスト塗膜層の形成と、凸条の形成及び凸条上の無電
解めっき層の切削除去との差異はあるものの、前記第5
の発明とほぼ同等の作用を奏する。
【0040】加えて、第9の発明によれば、溝形成工程
においては、樹脂製の基材表面のうち、めっきを必要と
する部分とめっきを必要としない部分との境界線部分
に、簡易溝が意匠面側においてのみ環状又は環状の一部
をなすように金型にて形成されるとともに、断面略V字
状の条溝が非意匠面側においてのみ環状又は環状の一部
をなすように金型にて形成される。また、レジスト層形
成工程では、簡易溝に沿ってレジスト層が形成される。
次に、無電解めっき工程では、基材表面の条溝の底部及
びレジスト層以外の部分に無電解めっき層が形成され
る。そして、電気めっき工程においては、無電解めっき
工程を経た基材に形成された前記無電解めっき層が電気
的に導通されて、無電解めっき層上のめっきの必要な部
分に電気めっき層が形成される。
【0041】さて、本発明によれば、断面略V字状の条
溝は金型にて形成されるのであるが、当該条溝は、製品
の非意匠面側においてのみ形成されればよいため、その
条溝を形成するための金型の加工についても片側の金型
のみ施せばよい。従って、製品の意匠面側に部分めっき
を施すために、断面略V字状の条溝を形成する必要がな
くなる。そのため、その分だけ、金型の加工が簡素化さ
れる。
【0042】また、これに対し、意匠面側は、簡易溝及
びレジスト層の存在により、めっきの見切りが断面略V
字状の条溝の場合とほぼ同程度に良好となる。従って、
全体として外観品質が低下してしまうことは回避され
る。ここまで
【0043】
【実施例】
(第1実施例)以下、本発明を樹脂製品としての車両用
のフロントグリル1に具体化した第1実施例を図1〜1
5に基づいて説明する。
【0044】車両の前面には、図2に示すようなフロン
トグリル1が装着されるようになっている。図1〜3及
び図6に示すように、このフロントグリル1は、ABS
樹脂製の基材としてのフロントグリル本体(以下、グリ
ル本体という)2を備えているとともに、その正面(意
匠面)の一部及び裏面(非意匠面)の一部に形成された
めっき層3(図3では網目で示した部分)と、意匠面側
においてめっき層3以外の箇所に塗布形成された塗膜層
4と、非意匠面側においてめっき層3以外の箇所に塗布
形成されたレジスト層としてのレジスト塗膜層13とを
有している。より詳細に説明すると、フロントグリル1
は、正面略矩形状の枠5、該枠5内において横方向に延
びる複数の副仕切り板6、枠5内において縦方向に延び
る複数の連結板7、中央部においてマークプレート(図
示せず)を取付けるための取付プレート8及び前記枠5
から取付プレート8に向かって延びる主仕切り板9を有
している。そして、前記枠5の主として意匠面側部分及
び主仕切り板9の意匠面側部分には、前記めっき層3が
形成されている。また、副仕切り板6、取付プレート8
及び連結板7の意匠面側部分には、前記塗膜層4が形成
されている。
【0045】図4は主仕切り板9の一部(図3のα部
分)を拡大して示す正面図であり、図5は図4のA−A
線断面図である。これらの図及び図1に示すように、グ
リル本体2の意匠面側部分において、前記めっき層3と
塗膜層4との境界部分には、枠5及び主仕切り板9から
上下方向に突出する段差部10が環状に形成されてい
る。そして、この段差部10には、断面略V字状の条溝
11が環状(閉曲線状)に形成されている(図3参
照)。
【0046】一方、図1は、フロントグリル1の裏面側
(非意匠面側)を示す図であって、図3のβ部分を示す
断面図である。グリル本体2の非意匠面側の一部には、
前記意匠面側から延びるめっき層3が形成されていると
ともに、それ以外の部分には、レジスト塗膜層13が形
成されている。なお、グリル本体2の裏面側部分には、
同裏面方向(車両後部方向)へ突出する図示しない電極
用突起が一体的に突出形成されている。
【0047】図6に示すように、前記めっき層3は無電
解めっき層15と、電気めっき層16とからなってい
る。本実施例において、無電解めっき層15はニッケル
により、厚さ「0.3〜0.4μm」程度に形成されて
いる。また、電気めっき層16は、厚さ「20〜50μ
m」程度に形成され、例えばニッケルよりなるストライ
クめっき層、銅めっき層、半光沢ニッケルめっき層、光
沢ニッケルめっき層及びクロムめっき層(いずれも図示
せず)の順よりなる各種金属により形成されている。
【0048】また、上記電気めっき層16を構成する各
金属めっきを形成する際の各種めっき溶液について説明
すると、前記ストライクめっき層を形成する際のめっき
溶液は、硫酸ニッケル250g/L、塩化ニッケル30
g/L及び硼酸30g/Lを含有している。銅めっき層
を形成する際のめっき溶液は、硫酸銅200g/L、硫
酸50g/L、塩酸0.01g/L及び微量の光沢剤を
含有している。さらに、半光沢ニッケルめっき層を形成
する際のめっき溶液は、硫酸ニッケル280g/L、塩
化ニッケル45g/L、硼酸40g/L及び微量の光沢
剤を含有している。併せて、光沢ニッケルめっき層を形
成する際のめっき溶液は、硫酸ニッケル240g/L、
塩化ニッケル45g/L、硼酸30g/L並びに微量の
光沢剤及び添加剤を含有している。加えて、クロムめっ
き層を形成する際のめっき溶液は、無水クロム酸250
g/L、ケイフッ化ナトリウム10g/L、硫酸1g/
Lを含有している。
【0049】また、図6に示すように、前記条溝11の
底部11aについては、成形の都合上、微視的には湾曲
している。そして、本実施例では、底部11aの断面形
状における、その曲率半径r1が、「0.1mm」未満
である。
【0050】また、前記溝11のサイズについては、例
えば幅Wが「0.5mm」、深さDが「0.7mm」で
ある。但し、幅Wは、特に限定されるものではないが、
加工上の制限から「0.3mm」以上が好ましく、意匠
性の向上を図る意味で「1.0mm」以下が好ましい。
また、深さDについても、特に限定されるものではない
が、同じく加工上の制限から「0.3mm」以上が好ま
しい。さらに、本実施例においては、幅Wに対する深さ
Dの比(D/W)は「1.0」よりも大きく、かつ、下
記の式(1) D/W>0.18*r1+1.0 …(1) を満足している。
【0051】次に、上記のグリル本体2を成形するため
の金型21について説明する。図7は、金型21のう
ち、主仕切り板9の意匠面側の一部を形成するための部
分を示す断面図であり、また、図8は、グリル本体2の
枠5の非意匠面側の一部を形成するたの部分を示す断面
図である。これらの図に示すように、金型21は、固定
型22及び可動型23を備えている。そして、これら両
型22,23によってグリル本体2を成形するためのキ
ャビティ24が形成されている。但し、図7に示すよう
に、本実施例において、可動型23のうち意匠面側を形
成するための部分には、前記条溝11を形成するための
凸条25等が一体的に形成されている。一方、図8に示
すように、非意匠面側を形成するための主として固定型
22には、かかる凸条25のようなものは形成されてい
ない。
【0052】次に、上記のフロントグリル1の製造方法
並びに製造に際しての作用及びその効果について説明す
る。まず、公知の金型成形法により、前記キャビティ2
4内に溶融されたABS樹脂を射出し、充填する(図
7,8参照)。樹脂が冷却され、固化されたならば、両
型22,23を開き、グリル本体2を取り出す。このと
き、両型22,23は、型開き方向と平行に、すなわち
突起26等が抜ける方向に開かれる。このため、突起2
6等によって型開きが阻害されることはなく、グリル本
体2を容易に取り出すことができる。このようにして、
意匠面側の所定の箇所に条溝11が環状に形成されたグ
リル本体2が得られる。
【0053】続いて、上記のグリル本体2に対しレジス
ト塗装を施す。すなわち、図9に示すように、まずレジ
スト塗装の不要な意匠面側及び非意匠面側の部分めっき
を施す部分に、電鋳マスク26を被覆する。すなわち、
この電鋳マスク26は、厚さ「数mm」の金属製の板で
あって、フロントグリル1の形状に則した形状をなして
いる。また、電鋳マスク26にはレジスト塗膜層13を
形成するのに必要な部分だけ開口した開口部26aが適
宜形成されている。従って、この電鋳マスク26を被覆
することにより、非意匠面側のレジスト塗装の必要な部
分が露出する。そして、該露出部分に向けて、例えばス
プレー塗装によりレジスト塗料を塗布する。この塗布に
より、前記露出部分には、同図に示すようなレジスト塗
膜層13が形成される。
【0054】次に、レジスト塗膜層13の形成されたグ
リル本体2を無電解めっき溶液中に浸漬し、無電解めっ
きを施す。このとき、図10に示すように、条溝11の
底部11aにおいては、隙間の間隔が狭いため、めっき
溶液が到達しない。従って、この底部11aには、めっ
きが施されない。また、図11に示すように、前記レジ
スト塗膜層13が形成された部分にも、めっきが施され
ない。換言すれば、グリル本体2表面の底部11a及び
レジスト塗膜層13が形成された部分を除くすべての部
分には、無電解めっき層15が形成される。
【0055】さらに、図1,12に示すように、無電解
めっき層15の形成されたグリル本体2を電気めっきに
供する。より詳しく説明すると、この電気めっき工程
は、ストライクめっき工程、銅めっき工程、半光沢ニッ
ケルめっき工程、光沢ニッケルめっき工程及びクロムめ
っき工程等の複数の工程よりなる。すなわち、同本体2
を、前述した所定の各電気めっき溶液に複数回浸漬する
とともに、そのめっき溶液中においてめっきを必要とす
る部分(枠5の主として正面側部分及び主仕切り板9の
正面側部分)を電気的に導通させる。このとき、前記グ
リル本体2の裏面側部分に突出形成された前記電極用突
起が1つの電極とされる。
【0056】すると、めっきを必要としない部分に形成
された無電解めっき層15は、電気めっき溶液によって
溶解される。また、めっきを必要とする部分において
は、無電解めっき層15の表面に、前述した多層構造を
なす電気めっき層16が形成される。一方、非意匠面側
のレジスト塗膜層13には、元々無電解めっき層15が
形成されていないため、当該レジスト塗膜層13上に電
気めっき層16が形成されることもない。このようにし
て、めっきを必要とする部分においてのみ無電解めっき
層15及び電気めっき層16(めっき層3)の形成され
たグリル本体2が得られる。
【0057】その後、図13に示すように、めっき層3
の形成された部分を、電鋳マスク27により被覆する。
この電鋳マスク27も、上記の電鋳マスク26と同様、
フロントグリル1の形状に則した形状をなしている。ま
た、電鋳マスク27には塗膜層4を形成するのに必要な
部分だけ開口した開口部27aが適宜形成されている。
この電鋳マスク27の被覆により、開口部27aからは
塗膜層4を形成するのに必要な部分が露出する。そし
て、図14に示すように、該露出部分に向けて、スプレ
ー塗装を施す。この塗装により、塗膜の必要な箇所には
塗膜層4が形成される。
【0058】そして、塗膜層4が形成された後、電鋳マ
スク27の被覆を解除することにより、図1,6に示す
ようなフロントグリル1が得られる。つまり、前記枠5
の主として意匠面側部分及び主仕切り板9の意匠面側部
分にめっき層3を有し、副仕切り板6、取付プレート8
及び連結板7の主として意匠面側部分に塗膜層4を有
し、かつ、非意匠面のめっき層3の形成されれいない部
分にレジスト塗膜層13を有するフロントグリル1が得
られるのである。
【0059】本実施例によれば、上記の無電解めっき層
15を形成するに際し、条溝11,の底部11a及びレ
ジスト塗膜層13上には、無電解めっき層15が形成さ
れない。このため、電気めっき層16を形成するに際し
ては、めっきの必要な部分のみが電気的に導通されるこ
ととなる。すなわち、めっきを必要としない部分に形成
された無電解めっき層15は、電気めっき液によって溶
解される。また、めっきを必要とする部分においては、
無電解めっき層15の表面に、前述した多層構造をなす
電気めっき層16が形成される。そのため、この段階
で、必要な部分にのみ確実にめっき層3の形成されたグ
リル本体2が得られる。従って、塗膜層4を形成するに
際し、プライマー層を介することなく、直接グリル本体
2上に塗膜層4を形成することが可能となる。
【0060】また、フロントグリル1の意匠面側におい
ては、塗膜層4がグリル本体2上に直接塗布形成されて
いる。そのため、該部分にはめっき層3及びプライマー
層が介在されていない分だけ、その膜厚が薄く形成され
る。その結果、塗膜層4部分の膜厚の薄肉化を図ること
ができ、ひいては外観品質を向上させることができる。
さらに、塗膜層4及びグリル本体2は共に樹脂材料より
なるので、塗膜層4をグリル本体2に対して強固に接合
させることができる。従って、フロントグリル1の塗膜
層4部分における耐久性能の向上を図ることができる。
【0061】併せて、本実施例では、意匠面側の条溝1
1が、塗膜層4とめっき層3との境界部となる。このた
め、境界部の見切り部分が、ジグザグ状ではなく鮮明に
形成される。その結果、見切り線をくっきりと明瞭なも
のとすることができ、ひいては外観品質のさらなる向上
を図ることができる。
【0062】加えて、本実施例では、フロントグリル1
の意匠面側において条溝11を形成することにより、レ
ジスト塗膜層13を非意匠面側だけに形成するようにし
た。このため、意匠面及び非意匠面ともにレジスト塗膜
層13を形成した場合に比べて、その塗布面積を少なく
することができる。従って、各種めっき工程においてめ
っき溶液中にレジスト塗膜層13が溶解してしまう量を
少なくすることができる。その結果、めっき溶液の汚染
の程度を少なくすることができる。
【0063】また、本実施例では、断面略V字状の条溝
11は、フロントグリル1の意匠面側においてのみ形成
されればよいため、その条溝11を形成するための金型
21の加工についても片側の金型(可動型23)にのみ
施せばよい。つまり、可動型23のみに対し条溝11形
成用の凸条25を形成すればよい。従って、フロントグ
リル1の非意匠面側に部分めっきを施すために、断面略
V字状の条溝を形成する必要がなくなる。そのため、そ
の分だけ、金型21の加工が簡素化される。その結果、
金型21の加工に際して著しいコストの低減を図ること
ができる。
【0064】さらに、本実施例では、グリル本体2の非
意匠面側だけにレジスト塗膜層13を塗布する構成とし
たので、該レジスト塗膜層13が仮にジグザクに形成さ
れてしまったとして、非意匠面側のめっきの境界部分の
見切りが多少悪化したとしても、当該非意匠面側は外部
から視認されにくい。これに対し、意匠面側は、断面略
V字状の条溝11の存在により、めっき層3と塗膜層4
との間の見切りが良好となる。従って、全体として外観
品質が低下してしまうのを防止することができる。
【0065】さらに、本実施例における付加的な効果に
ついて説明する。すなわち、めっき層3の形成に際して
条溝11の形状による影響を調べるため、次の実験を行
った。この実験は、条溝11の底部11aの断面湾曲部
分の曲率半径r1及び幅Wに対する深さDの比(D/
W)を種々変更させた場合に、めっきを必要とする部分
にのみ確実にめっき層3を形成することができるか否か
について判定したものである。以下にその結果について
説明する。
【0066】条溝11の底部11aの湾曲部分の曲率半
径r1及び幅Wに対する深さDの比(D/W)を種々変
更させてグリル本体2を成形した。グリル本体2に対す
る部分的なめっきが可能であるか否かを判定するため、
上記の2つのパラメータに基づいて図15のグラフを作
成した。図において、白丸は、めっきを必要とする部分
にのみ確実にめっき層3を形成することができたことを
示す。また、黒丸は、めっきを必要とする部分のみにめ
っき層3を形成できなかったことを示す。この失敗は、
溝11の底部11aに無電解めっき層15が形成されて
しまうか、又は無電解めっき層15が溝を跨ぐようにし
てその両側に形成されてしまうことによる。
【0067】同図に示すように、本実施例において上記
の両要件(r1≦1.0で、かつ、D/W>0.18*
r1+1.0)を満足する場合には、めっきを必要とす
る部分にのみ確実にめっき層3を形成することができ
た。一方、上記のいずれか一方の要件を満足しない場合
には、めっきを必要とする部分のみにめっき層3を形成
することはできなかった。
【0068】上記の溝形成に対する要件を満たせば、条
溝11の底部11aの断面形状を厳密に鋭角状に形成す
る必要がない。このため、底部11aを形成するための
金型21の突起26は、何らの困難性を伴うことなく加
工できる。また、突起26を厳密に鋭角状に形成した場
合には、当該突起26の耐久性が低下し、破損等が起こ
りやすいという問題があるのに対し、本実施例では、こ
の問題が起こることもない。その結果、上記形状の条溝
11を有するグリル本体2を成形する上で、成形上の困
難性が少ないものとなり、製造コストが上昇してしまう
のを抑制することができる。
【0069】(第2実施例)次に、本発明を具体化した
第2実施例を図16,17に基づいて説明する。但し、
本第2実施例において、前述した第1実施例と重複する
部分についてはその記載を省略し、相違点を中心として
説明するものとする。
【0070】図16に示すように、第2実施例において
は、グリル本体2の非意匠面側において、めっきを施さ
ない部分全面にレジスト塗膜層を形成していない点で、
第1実施例とは大きく異なっている。すなわち、まず、
前記金型21を用い、第1実施例と同様のグリル本体2
を得る。そして、めっきを施す部分と施さない部分との
境界部分にのみ、つまり、めっきを施さない部分を囲む
ようにして閉曲線状に帯状(又は線状)のレジスト塗膜
層31を塗布形成する。
【0071】次に、上記帯状のレジスト塗膜層31の形
成されたグリル本体2を無電解めっき溶液中に浸漬し、
無電解めっきを施す。このとき、上記同様、条溝11の
底部11a及びレジスト塗膜層31の形成された部分に
は、めっきが施されない。換言すれば、グリル本体2表
面の底部11a及びレジスト塗膜層31の形成された部
分を除くすべての部分には、無電解めっき層15が形成
される。
【0072】さらに、無電解めっき層15の形成された
グリル本体2を電気めっきに供する。すると、図17に
示すように、めっきを必要としない部分に形成された無
電解めっき層15は、電気めっき溶液によって溶解され
る。また、めっきを必要とする部分においては、無電解
めっき層15の表面に、多層構造をなす電気めっき層1
6が形成される。一方、非意匠面側のレジスト塗膜層3
1及びそのレジスト塗膜層31にて囲まれた部分は、電
気的に導通されないため、電気めっき層16は形成され
ない。このようにしても、上記第1実施例とほぼ同様
に、めっきを必要とする部分においてのみ無電解めっき
層15及び電気めっき層16(めっき層3)の形成され
たグリル本体2が得られる。
【0073】本実施例によれば、基本的には、前記第1
実施例とほぼ同様の効果を奏する。また、非意匠面側の
めっきの施されない部分全面にレジスト塗膜層31の形
成されていた第1実施例とは異なり、めっきを施さない
部分を囲むようにして帯状のレジスト塗膜層31を塗布
形成するようにした。このため、全体として使用するレ
ジスト塗膜層31(レジスト塗料)の使用量をさらに低
減することができる。その結果、第1実施例で説明した
各種めっき工程においてめっき溶液中にレジスト塗料が
溶解してしまう量が少なくなるという効果をより一層顕
著なものとすることができる。その結果、めっき溶液の
汚染の程度をより一層少なくすることができる。
【0074】(第3実施例)次に、本発明を具体化した
第3実施例を図18〜23に基づいて説明する。但し、
本第3実施例において、前述した第1及び第2実施例と
重複する部分についてはその記載を省略し、相違点を中
心として説明するものとする。
【0075】図18に示すように、第3実施例では、基
材としてのグリル本体32の非意匠面側において、めっ
き層3の形成された部分と形成されていない部分との境
界部分に、断面略U字状の簡易溝33が閉曲線状に形成
され、かつ、その簡易溝33の底部33aには該簡易溝
33に沿ってレジスト層34が形成されている点で、第
1及び第2実施例とは大きく異なっている。なお、この
簡易溝33の幅及び深さは、その加工形成が容易であれ
ば特に限定されるものではないが、例えば共に「2〜3
mm」程度であるのが望ましい。
【0076】次に、上記のグリル本体32を成形するた
めの金型35について説明する。図19は、金型35の
うち、グリル本体32の枠の非意匠面側の一部を形成す
るたの部分を示す断面図である。同図に示すように、金
型35は、固定型36及び可動型37を備えている。そ
して、これら両型36,37によってグリル本体32を
成形するためのキャビティ38が形成されている。但
し、既に第1実施例で説明したように、可動型37のう
ち意匠面側を形成するための部分には、前記条溝11を
形成するための凸条25(この図では図示せず)等が一
体的に形成されている。一方、図19に示すように、非
意匠面側を形成するための部分には、かかる尖頭状の凸
条25のようなものは形成されていない。その代わり、
固定型36には、前記簡易溝33を形成するための簡易
凸条39が形成されている。なお、この簡易凸条39
は、意匠面側の凸条25に比べて、金型加工上容易に形
成されうるものである。
【0077】次に、本実施例の作用及びその効果等につ
いて説明する。まず、上記第1実施例と同様、キャビテ
ィ38内に溶融されたABS樹脂を射出し、充填する
(図19参照)。樹脂が冷却され、固化されたならば、
両型36,37を開き、グリル本体32を取り出す。こ
のようにして、図20に示すように、意匠面側の所定の
箇所に条溝11が環状に形成され(図示せず)、かつ、
非意匠面側の所定の箇所に簡易溝33が環状に形成され
たグリル本体32が得られる。
【0078】続いて、上記のグリル本体32に対しレジ
スト層34を形成する。すなわち、図21に示すよう
に、例えば内部にレジスト塗料を収容した注入器40を
用いて前記簡易溝33に沿って該簡易溝33の底部33
aにレジスト塗料を注入する。すると、簡易溝33の底
部33aには、該簡易溝33に沿ってレジスト層34が
環状に連続的に形成される。
【0079】次に、レジスト層34の形成されたグリル
本体32を無電解めっき溶液中に浸漬し、無電解めっき
を施す。このとき、図22に示すように、条溝11の底
部11a及びレジスト層34の形成された部分には、め
っきが施されない。換言すれば、グリル本体2表面の底
部11a及びレジスト層34の形成された部分を除くす
べての部分には、無電解めっき層15が形成される。
【0080】さらに、無電解めっき層15の形成された
グリル本体32を電気めっきに供する。すると、図23
に示すように、めっきを必要としない部分に形成された
無電解めっき層15(図の2点鎖線部分)は、電気めっ
き溶液によって溶解される。また、めっきを必要とする
部分においては、無電解めっき層15の表面に、多層構
造をなす電気めっき層16が形成される。一方、非意匠
面側のレジスト層34及びそのレジスト層34にて囲ま
れた部分は、電気的に導通されないため、電気めっき層
16は形成されない。このようにしても、上記第1及び
第2実施例とほぼ同様に、めっきを必要とする部分にお
いてのみ無電解めっき層15及び電気めっき層16(め
っき層3)の形成されたグリル本体32が得られる。
【0081】本実施例によれば、基本的には、前記第1
実施例とほぼ同様の効果を奏する。また、本実施例によ
れば、非意匠面側のめっきの施されない部分全面にレジ
スト塗膜層31の形成されていた第1実施例とは異な
り、めっきを施さない部分を囲むようにしてレジスト層
34を注入形成するようにした。このため、全体として
使用するレジスト塗料の使用量を低減することができ
る。その結果、第2実施例と同様、めっき工程において
めっき溶液中にレジスト層34(レジスト塗料)が溶解
してしまう量を少なくすることができるという効果をよ
り一層顕著なものとすることができ、ひいてはめっき溶
液の汚染の程度をより一層少なくすることができる。
【0082】また、前記レジスト層34を注入形成する
に際しては、該レジスト塗料を簡易溝33に沿って注入
すればよい。このため、レジスト層34の形成を容易に
行うことができる。さらに、レジスト層34が歪んで形
成されてしまうのを防止することができ、高い精度をも
ってレジスト層34を形成することができる。すなわ
ち、非意匠面においても、めっきの見切りを良好なもの
とすることができる。
【0083】(第4実施例)次に、本発明を具体化した
第4実施例を図24〜27に基づいて説明する。但し、
本第4実施例において、前述した第1〜第3実施例と重
複する部分についてはその記載を省略し、相違点を中心
として説明するものとする。
【0084】図27に示すように、第4実施例では、第
1実施例で用いたグリル本体2の非意匠面側に対し、レ
ジスト塗料を塗布しないという点で、第1〜第3実施例
とは大きく異なっている。
【0085】すなわち、まず、前記金型21を用い、図
24に示すように、第1実施例と同様のグリル本体2を
得る。次に、上記グリル本体2を無電解めっき溶液中に
浸漬し、無電解めっきを施す。このとき、上記同様、条
溝11の底部11aには、めっきが施されない。換言す
れば、グリル本体2表面の底部11aを除くすべての部
分には、無電解めっき層15が形成される。従って、図
25に示すように、グリル本体2の非意匠面側において
は、全面に無電解めっき層15が形成される。
【0086】続いて、同図に示すようなバイト41を用
いて、めっきを施す部分と施さない部分との境界部分
に、環状に切れ込みを入れる。すると、図26に示すよ
うに、非意匠面側の無電解めっき層15には切れ込み部
42が環状に形成されることとなる。
【0087】さらに、無電解めっき層15に対し切れ込
み部42の形成されたグリル本体2を電気めっきに供す
る。すると、図27に示すように、めっきを必要としな
い部分に形成された無電解めっき層15は、電気的に導
通されないため、電気めっき層16は形成されず、電気
めっき溶液によって溶解される。また、めっきを必要と
する部分においては、無電解めっき層15の表面に、多
層構造をなす電気めっき層16が形成される。このよう
にしても、上記第1実施例とほぼ同様に、めっきを必要
とする部分においてのみ無電解めっき層15及び電気め
っき層16(めっき層3)の形成されたグリル本体2が
得られる。
【0088】本実施例によれば、基本的には、前記第1
実施例とほぼ同様の効果を奏する。また、非意匠面側に
はレジスト塗料を塗布又は注入していた第1〜第3実施
例とは異なり、バイト41により無電解めっき層15に
切れ込み部42を形成することにより電気めっき層16
形成時の電気的導通を遮断するようにした。このため、
レジスト塗料を一切使用しない分、めっき溶液の汚染を
防止することができ、ひいてはコストの低減を図ること
ができる。
【0089】(第5実施例)次に、本発明を具体化した
第5実施例を図28〜31に基づいて説明する。但し、
本第5実施例において、前述した第1〜第4実施例と重
複する部分についてはその記載を省略し、相違点を中心
として説明するものとする。
【0090】図31に示すように、第4実施例では、基
材としてのグリル本体52の非意匠面側において、レジ
スト塗料を用いないという点で、第1〜第3実施例とは
大きく異なっている。また、同じくグリル本体52の非
意匠面側において、めっきを施す部分と施さない部分と
の境界部分に、断面略コ字状の凸条53が連続的かつ環
状に形成されている点で、前記第4実施例とは大きく異
なっている。
【0091】すなわち、まず、所定の金型(図示せず)
を用い、意匠面側には前記第1実施例と同様の条溝11
が形成され、非意匠面側には図28に示すように、凸条
53の形成されたグリル本体52を得る。次に、上記グ
リル本体52を無電解めっき溶液中に浸漬し、無電解め
っきを施す。このとき、上記同様、条溝11の底部11
aには、めっきが施されない。換言すれば、グリル本体
2表面の底部11aを除くすべての部分には(前記凸条
53上にも)、無電解めっき層15が形成される。従っ
て、図29に示すように、グリル本体52の非意匠面側
においては、全面に無電解めっき層15が形成される。
【0092】続いて、図30に示すように、所定の切削
工具を用いて、凸条53上に形成された無電解めっき層
15を切削する。さらに、凸条53上の無電解めっき層
15が切削されたグリル本体52を電気めっきに供す
る。すると、図31に示すように、めっきを必要としな
い部分に形成された無電解めっき層15は、電気的に導
通されないため、電気めっき層16は形成されず、電気
めっき溶液によって溶解される。また、めっきを必要と
する部分においては、無電解めっき層15の表面に、多
層構造をなす電気めっき層16が形成される。このよう
にしても、上記第1実施例とほぼ同様に、めっきを必要
とする部分においてのみ無電解めっき層15及び電気め
っき層16(めっき層3)の形成されたグリル本体52
が得られる。
【0093】本実施例によれば、基本的には、前記第1
実施例とほぼ同様の効果を奏する。また、非意匠面側に
はレジスト塗料を塗布又は注入していた第1〜第3実施
例とは異なり、凸条53上の無電解めっき層15が切削
することにより、電気めっき層16形成時の電気的導通
を遮断するようにした。このため、前記第4実施例と同
様、めっき溶液の汚染を防止し、コストの低減を図るこ
とができる。
【0094】なお、本発明は前記各実施例に限定される
ものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成の一
部を適宜に変更して次のように実施することもできる。 (1)前記第1〜第5実施例では、グリル本体2,3
2,52の意匠面側に、いずれも断面略V字状の条溝1
1を形成する構成としたが、当該条溝11の代わりに図
32に示すように、グリル本体62の意匠面側に簡易溝
63を形成する構成としてもよい。すなわち、まず、図
33に示すように、意匠面側に環状の簡易溝63を有す
るグリル本体62を得る。このとき、非意匠面側は、上
述した第1から第5実施例までのうちいずれかの構成を
採りうる。
【0095】そして、図34に示すように、簡易溝63
の底部63aに、該簡易溝63に沿ってレジスト塗料を
注入し、レジスト層64を環状に形成する。次に、上記
グリル本体62を無電解めっき溶液中に浸漬し、無電解
めっきを施す。このとき、意匠面側においては、レジス
ト層64には、めっきが施されない。換言すれば、図3
5に示すように、グリル本体62の意匠面側において
は、レジスト層64を除くすべての部分に無電解めっき
層15が形成される。続いて、無電解めっき層15が形
成されたグリル本体62を電気めっきに供する。する
と、図36に示すように、めっきを必要としない部分に
形成された無電解めっき層15は、電気的に導通されな
いため、電気めっき層16は形成されず、電気めっき溶
液によって溶解される。また、めっきを必要とする部分
においては、無電解めっき層15の表面に、多層構造を
なす電気めっき層16が形成される。
【0096】但し、上記一連の工程を経るに際しては、
上記グリル本体62の非意匠面側においては、上述した
第1〜第5実施例のいずれかの処理が適宜に施されてい
る必要がある。
【0097】その後、図32に示すように、めっき層3
の形成されていない部分に塗装を施し、塗膜層4を形成
するのである。この場合、レジスト層64は簡易溝63
の内部において形成され、めっき層3は簡易溝63の内
部で見切られることとなる。このため、めっき層3及び
塗膜層4の境界部分は条溝で見切られた場合と比べても
さほど遜色がないほど良好な見切りが得られ、外観品質
がさほど低下することはない。
【0098】このように、グリル本体62の意匠面側に
対し断面略V字状の条溝11を形成せずに、簡易溝63
を形成する構成とし、かつ、非意匠面側においては第1
〜第5実施例で説明した各構成としてもよい。かかる場
合には、上記第1〜第5実施例で説明した効果を奏する
外、意匠面側においても条溝11を形成しなくてもよ
い。このため、金型の加工がより一層簡素化される。そ
の結果、金型の加工に際してはさらなるコストの低減を
図ることができる。
【0099】或いは、グリル本体62の意匠面側に対し
簡易溝63を形成する構成とし、かつ、非意匠面側にお
いて断面略V字状の条溝11を形成するような構成とし
てもよい。すなわち、前記第3実施例の意匠面側と非意
匠面側との構成をそれぞれ逆にしてもよい。かかる場合
でも、金型の加工の簡素化を図ることができる。
【0100】(2)前記別例(1)においては、簡易溝
63の底部63aにレジスト塗料を注入してレジスト層
64を形成する構成としたが、例えば図37に示すよう
に、簡易溝63に沿ってレジスト塗料を塗布(スプレー
塗布等)してほぼ帯状にレジスト層65を形成するよう
にしてもよい。このような構成とした場合、レジスト層
65上には、塗膜層4がオーバーコート形成されるの
で、何ら外観品質が低下することがなく、上記別例
(1)とほぼ同等の効果を奏する。
【0101】(3)前記第2実施例においては、非意匠
面側に形成された簡易溝33にレジスト塗料を注入して
レジスト層34を形成する構成としたが、上記別例
(2)のように、簡易溝33に沿ってレジスト塗料を塗
布(スプレー塗布等)してほぼ帯状にレジスト層を形成
するようにしてもよい。
【0102】(4)前記第4実施例においては、非意匠
面側に形成された無電解めっき層15に対し、バイト4
1を用いて、めっきを施す部分と施さない部分との境界
部分に、環状に切れ込み部42を形成する構成とした
が、図38に示すような簡易溝33を有するグリル本体
32を用いて上記のような切れ込みを入れるようにして
もよい。すなわち、簡易溝33を有するグリル本体32
に対し無電解めっき層15を形成し、次に、バイト41
を用いて切れ込みを入れるのである。このような構成と
することにより、切れ込みを入れる作業を容易に、か
つ、高い精度でもって行うことができる。また、非意匠
面側においてこのような構成を有する場合において、意
匠面側においては、別例(1),(2)で示したような
簡易溝63を用いた構成を有していてもよい。
【0103】(5)前記第1〜第5実施例及び別例
(1)〜(4)においては、前記条溝11や、レジスト
塗膜層31や、簡易溝33や、レジスト層34,64,
65や、切れ込み部42や、凸条53等は、いずれも意
匠面側なら意匠面側、或いは非意匠面側なら非意匠面側
においてのみそれぞれ環状に形成されていたが、必ずし
もそうでなくてもよい。すなわち、例えば図39に示す
ように、意匠面側における条溝11と非意匠面における
簡易溝33によって1つの閉曲線を形成するようにして
もよい。つまり、前記条溝11や、レジスト塗膜層31
や、簡易溝33や、レジスト層34,64,65や、切
れ込み部42や、凸条53等を、種々組合せることによ
って1つの閉曲線を形成する構成としてもよい。この場
合、条溝11や、レジスト塗膜層31や、簡易溝33
や、レジスト層34,64,65や、切れ込み部42
や、凸条53等は、環状の一部をなすこととなる。
【0104】(6)前記各実施例及び別例では本発明を
車両用のフロントグリル1に具体化したが、その外にも
例えば車両用のドアミラーブラケット用アウタカバー、
車両用のバックパネル、車両用のルーバ、車両用のピラ
ーガーニッシュ、車両用のクォータベント、車両用のマ
ークプレート等にも具体化してもよい。また、上記の樹
脂製品に限定されるものではなく、めっき層と塗膜層と
を有するその他の樹脂製品に本発明を具体化してもよ
い。
【0105】(7)前記各実施例及び別例では、基材を
構成する樹脂素材をいずれもABS樹脂により構成する
ようにしたが、その外にも例えばポリプロピレン、ポリ
フェニレンオキサイド、ポリアミド、ポリスルフォン、
ポリエステル等の各種樹脂素材を用いてもよい。
【0106】(8)前記各実施例及び別例では、無電解
めっき層15をニッケルにより形成したが、その外にも
銅等により形成してもよい。また、前記各実施例及び別
例では、電気めっき層16を、銅、ニッケル及びクロム
の3種類の金属により、多層構造をなすように形成した
が、これら以外の金属を用いてもよいし、また、多層構
造としない場合に具体化してもよい。
【0107】(9)前記各実施例及び別例においては、
特に、塗膜層4を形成しない構成としてもよい。 (10)前記各実施例及び別例において、ストライクめ
っき層を形成する前段階において、所定の溶液(例えば
アンモニア水溶液等)を用いて、めっきの不必要な部分
の無電解めっき層15を溶解するようにしてもよい。こ
の場合には、その後の電気めっき工程において、めっき
溶液中に不要な無電解めっき層15が溶解することが防
止され、該めっき溶液の汚染を未然に防止することがで
きる。特許請求の範囲の各請求項に記載されないもので
あって、上記実施例から把握できる技術的思想について
以下にその効果とともに記載する。
【0108】(a)請求項1〜9のより部分めっきの施
された後にめっき層の形成されてない部分に塗膜層を形
成することを特徴とする。このような構成とすることに
より、塗膜層とめっき層との見切りが良好なものとなり
うる。
【0109】(b)請求項3及び7に記載の部分めっき
方法において、前記切れ込み部は、予め前記記載に形成
された簡易溝に沿って形成されることを特徴とする。こ
のような構成とすることにより、切れ込みを入れる作業
を容易に、かつ、高い精度でもって行うことができる。
【0110】(c)請求項1〜5及び請求項9に記載の
部分めっき方法において、前記条溝の底部の断面湾曲部
分の曲率半径r1を0.1mm未満とし、かつ、前記条
溝の幅Wに対する深さDの比を、下記の式 比(D/W)>0.18*r1+1.0 を満足するようにしたことを特徴とする。
【0111】このような構成とすることにより、確実に
部分めっきを施すことができ、しかも金型のさらなる簡
素化が図れ、基材の成形上の困難性が少なくなる。
【0112】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
めっきを必要とする部分にのみめっき層が形成されてな
る樹脂製品の部分めっき方法において、外観品質の低下
を招くことなく、かつ、著しいコストの低下を図ること
ができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施例におけるフロン
トグリルの非意匠面側の一部を示す部分断面図である。
【図2】第1実施例におけるフロントグリルを示す正面
図である。
【図3】第1実施例において、フロントグリルのめっき
が施された部分を示す図であって、フロントグリルを正
面及び裏面に展開した模式図である。
【図4】第1実施例において、フロントグリルの主仕切
り板の一部を拡大して示す正面図である。
【図5】第1実施例における図4のA−A線断面図であ
る。
【図6】第1実施例において、フロントグリルの主仕切
り板の意匠面側の一部を示す部分断面図である。
【図7】第1実施例において、グリル本体の意匠面側を
成形するための金型の一部を拡大して示す断面図であ
る。
【図8】第1実施例において、グリル本体の非意匠面側
を成形するための金型の一部を拡大して示す断面図であ
る。
【図9】第1実施例において、グリル本体の非意匠面側
にレジスト塗膜層を形成した状態を示す部分断面図であ
る。
【図10】第1実施例において、グリル本体に無電解め
っきを施した状態を示す意匠面側の部分断面図である。
【図11】第1実施例において、グリル本体に無電解め
っきを施した状態を示す非意匠面側の部分断面図であ
る。
【図12】第1実施例において、無電解めっき層の形成
されたグリル本体に電気めっきを施した状態を示す意匠
面側の部分断面図である。
【図13】第1実施例において、グリル本体の意匠面側
におけるめっき層の形成された部分に電鋳マスクを被覆
した状態を示す部分断面図である。
【図14】第1実施例において、電鋳マスクを被覆した
状態でグリル本体の意匠面側に塗膜層を形成した状態を
示す部分断面図である。
【図15】第1実施例において、条溝の底部の断面湾曲
部分の曲率半径及び幅に対する深さの比を種々変更させ
てグリル本体を成形した場合において、部分的にめっき
が施せるか否かを判定した結果を示すグラフである。
【図16】本発明を具体化した第2実施例において、グ
リル本体の非意匠面側に帯状のレジスト塗膜層を形成し
た状態を示す部分断面図である。
【図17】第2実施例において無電解めっき層の形成さ
れたグリル本体に電気めっきを施した状態を示す非意匠
面側の部分断面図である。
【図18】本発明を具体化した第3実施例において、フ
ロントグリルの非意匠面側の一部を示す部分断面図であ
る。
【図19】第3実施例において、グリル本体を形成する
ための金型の一部を拡大して示す断面図である。
【図20】第3実施例におけるグリル本体の非意匠面側
を示す断面図である。
【図21】第3実施例におけるグリル本体の非意匠面側
の簡易溝にレジスト層を形成する状態を示す断面図であ
る。
【図22】第3実施例において無電解めっきを施した状
態を示すグリル本体の非意匠面側の断面図である。
【図23】第3実施例において電気めっきを施した状態
を示すグリル本体の非意匠面側の断面図である。
【図24】本発明を具体化した第4実施例におけるグリ
ル本体の非意匠面側を示す断面図である。
【図25】第4実施例において無電解めっき層が形成さ
れた後バイトで切れ込みを入れる直前の状態を示すグリ
ル本体の非意匠面側の断面図である。
【図26】第4実施例において無電解めっき層に対し切
れ込み部が形成された状態を示すグリル本体の非意匠面
側の断面図である。
【図27】第4実施例において切れ込み部が形成された
後電気めっきを施した状態を示すグリル本体の非意匠面
側の断面図である。
【図28】本発明を具体化した第5実施例におけるグリ
ル本体の非意匠面側の凸条の部分を示す断面図である。
【図29】第5実施例において、無電解めっき層が形成
された状態を示すグリル本体の非意匠面側の断面図であ
る。
【図30】第5実施例において、凸条上の無電解めっき
層が除去された状態を示すグリル本体の非意匠面側の断
面図である。
【図31】第5実施例において、電気めっきが施された
状態を示すグリル本体の非意匠面側の断面図である。
【図32】本発明を具体化した別の実施例において、フ
ロントグリルの意匠面側の主仕切り板の一部を示す部分
断面図である。
【図33】別の実施例においてグリル本体の意匠面側の
主仕切り板の一部を示す部分断面図である。
【図34】別の実施例において、グリル本体の意匠面側
の簡易溝にレジスト層を形成した状態を示す部分断面図
である。
【図35】別の実施例において、レジスト層を形成した
グリル本体に無電解めっきを施した状態を示すグリル本
体の意匠面側の部分断面図である。
【図36】別の実施例において、電気めっきを施した状
態を示すグリル本体の意匠面側の部分断面図である。
【図37】さらに別の実施例において、簡易溝及びその
近傍にレジスト層を形成した場合のフロントグリルの意
匠面側の部分断面図である。
【図38】さらに別の実施例において、簡易溝とバイト
による切れ込み形成とを組併せた状態を示すグリル本体
の非意匠面側の断面図である。
【図39】さらに別の実施例において、簡易溝等が環状
の一部をなす場合を示すフロントグリルの正面図であ
る。
【図40】従来技術におけるフロントグリルの意匠面側
の一部を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1…樹脂製品としてのフロントグリル、2,32,5
2,62…基材としての(フロント)グリル本体、3…
めっき層、11…条溝、11a…底部、15…無電解め
っき層、16…電気めっき層、21,35…金型、1
3,31…レジスト塗膜層、33,63…簡易溝、3
4,64,65…レジスト層、42…切れ込み部、53
…凸条。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C25D 5/56 C25D 5/56 C (56)参考文献 特開 平2−128492(JP,A) 特開 平5−198920(JP,A) 特公 昭54−6486(JP,B2) 特公 昭45−37843(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 28/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂製の基材(2)表面のうち、めっき
    を必要とする部分とめっきを必要としない部分との境界
    線部分に、断面略V字状の条溝(11)を意匠面側にお
    いてのみ環状又は環状の一部をなすように金型(21)
    にて形成する条溝形成工程と、 前記基材(2)表面の非意匠面側においてめっきを必要
    としない部分全面に又はめっきを必要としない部分を囲
    むようにして環状又は環状の一部をなすようにレジスト
    塗膜層(13,31)を形成するレジスト塗膜層形成工
    程と、 前記基材(2)表面の前記条溝(11)の底部(11
    a)及び前記レジスト塗膜層(13,31)以外の部分
    に無電解めっき層(15)を形成する無電解めっき工程
    と、 前記無電解めっき工程を経た前記基材(2)に形成され
    た前記無電解めっき層(15)を電気的に導通させて、
    前記無電解めっき層(15)上のめっきの必要な部分に
    電気めっき層(16)を形成する電気めっき工程とを備
    えたことを特徴とする樹脂製品の部分めっき方法。
  2. 【請求項2】 樹脂製の基材(32)表面のうち、めっ
    きを必要とする部分とめっきを必要としない部分との境
    界線部分に、断面略V字状の条溝(11)を意匠面側に
    おいてのみ環状又は環状の一部をなすように金型(3
    5)にて形成するとともに、簡易溝(33)を非意匠面
    側においてのみ環状又は環状の一部をなすように金型
    (35)にて形成する溝形成工程と、 前記簡易溝(33)に沿ってレジスト層(34)を形成
    するレジスト層形成工程と、 前記基材(32)表面の前記条溝(11)の底部(11
    a)及び前記レジスト層(34)以外の部分に無電解め
    っき層(15)を形成する無電解めっき工程と、 前記無電解めっき工程を経た前記基材(32)に形成さ
    れた前記無電解めっき層(15)を電気的に導通させ
    て、前記無電解めっき層(15)上のめっきの必要な部
    分に電気めっき層(16)を形成する電気めっき工程と
    を備えたことを特徴とする樹脂製品の部分めっき方法。
  3. 【請求項3】 樹脂製の基材(2)表面のうち、めっき
    を必要とする部分とめっきを必要としない部分との境界
    線部分に、断面略V字状の条溝(11)を意匠面側にお
    いてのみ環状又は環状の一部をなすように金型にて形成
    する条溝形成工程と、 前記基材(2)表面の前記条溝(11)の底部(11
    a)以外の部分に無電解めっき層(15)を形成する無
    電解めっき工程と、 前記基材(2)表面の非意匠面側に形成された無電解め
    っき層(15)に対し、めっきを必要としない部分を囲
    むようにして環状又は環状の一部をなすように切れ込み
    部(42)を連続的に形成する切れ込み形成工程と、 前記切れ込み形成工程を経た前記基材(2)に形成され
    た前記無電解めっき層(15)を電気的に導通させて、
    前記無電解めっき層(15)上のめっきの必要な部分に
    電気めっき層(16)を形成する電気めっき工程とを備
    えたことを特徴とする樹脂製品の部分めっき方法。
  4. 【請求項4】 樹脂製の基材(52)表面のうち、めっ
    きを必要とする部分とめっきを必要としない部分との境
    界線部分に、断面略V字状の条溝(11)を意匠面側に
    おいてのみ環状又は環状の一部をなすように金型にて形
    成するとともに、凸条(53)を非意匠面側においての
    み環状又は環状の一部をなすように金型にて形成する条
    溝凸条形成工程と、 前記基材(52)表面の前記条溝(11)の底部(11
    a)以外の部分に無電解めっき層(15)を形成する無
    電解めっき工程と、 前記無電解めっき工程を経た前記基材(52)に形成さ
    れた前記無電解めっき層(15)のうち、前記凸条(5
    3)上に形成された前記無電解めっき層(15)を切削
    又は除去する切削除去工程と、 前記切削除去工程を経た前記基材(52)に形成された
    前記無電解めっき層(15)を電気的に導通させて、前
    記無電解めっき層(15)上のめっきの必要な部分に電
    気めっき層(16)を形成する電気めっき工程とを備え
    たことを特徴とする樹脂製品の部分めっき方法。
  5. 【請求項5】 樹脂製の基材(62)表面のうち、めっ
    きを必要とする部分とめっきを必要としない部分との境
    界線部分に、簡易溝(63)を意匠面側においてのみ環
    状又は環状の一部をなすように金型にて形成する簡易溝
    形成工程と、 前記簡易溝(63)に沿ってレジスト層(64,65)
    を形成するレジスト層形成工程と、 前記基材(62)表面の非意匠面側においてめっきを必
    要としない部分全面に又はめっきを必要としない部分を
    囲むようにして環状又は環状の一部をなすようにレジス
    ト塗膜層(13,31)を形成するレジスト塗膜層形成
    工程と、 前記レジスト層(64,65)及び前記レジスト塗膜層
    (13,31)以外の部分に無電解めっき層(15)を
    形成する無電解めっき工程と、 前記無電解めっき工程を経た前記基材(62)に形成さ
    れた前記無電解めっき層(15)を電気的に導通させ
    て、前記無電解めっき層(15)上のめっきの必要な部
    分に電気めっき層(16)を形成する電気めっき工程と
    を備えたことを特徴とする樹脂製品の部分めっき方法。
  6. 【請求項6】 樹脂製の基材(62)表面のうち、めっ
    きを必要とする部分とめっきを必要としない部分との境
    界線部分に、簡易溝(33,63)を環状又は環状の一
    部をなすように金型にて形成する簡易溝形成工程と、 前記簡易溝(33,63)に沿ってレジスト層(34,
    64,65)を形成するレジスト層形成工程と、 前記レジスト層(34,64,65)以外の部分に無電
    解めっき層(15)を形成する無電解めっき工程と、 前記無電解めっき工程を経た前記基材(62)に形成さ
    れた前記無電解めっき層(15)を電気的に導通させ
    て、前記無電解めっき層(15)上のめっきの必要な部
    分に電気めっき層(16)を形成する電気めっき工程と
    を備えたことを特徴とする樹脂製品の部分めっき方法。
  7. 【請求項7】 樹脂製の基材(62)表面のうち、めっ
    きを必要とする部分とめっきを必要としない部分との境
    界線部分に、簡易溝(63)を意匠面側においてのみ環
    状又は環状の一部をなすように金型にて形成する簡易溝
    形成工程と、 前記簡易溝(63)に沿ってレジスト層(64,65)
    を形成するレジスト層形成工程と、 前記レジスト層(64,65)以外の部分に無電解めっ
    き層(15)を形成する無電解めっき工程と、 前記基材(62)表面の非意匠面側に形成された無電解
    めっき層(15)に対し、めっきを必要としない部分を
    囲むようにして環状又は環状の一部をなすように切れ込
    み部(42)を連続的に形成する切れ込み形成工程と、 前記切れ込み形成工程を経た前記基材(62)に形成さ
    れた前記無電解めっき層(15)を電気的に導通させ
    て、前記無電解めっき層(15)上のめっきの必要な部
    分に電気めっき層(16)を形成する電気めっき工程と
    を備えたことを特徴とする樹脂製品の部分めっき方法。
  8. 【請求項8】 樹脂製の基材(62)表面のうち、めっ
    きを必要とする部分とめっきを必要としない部分との境
    界線部分に、簡易溝(63)を意匠面側においてのみ環
    状又は環状の一部をなすように金型にて形成するととも
    に、凸条(53)を非意匠面側においてのみ環状又は環
    状の一部をなすように金型にて形成する条溝凸条形成工
    程と、 前記簡易溝(63)に沿ってレジスト層(64,65)
    を形成するレジスト層形成工程と、 前記レジスト層(64,65)以外の部分に無電解めっ
    き層(15)を形成する無電解めっき工程と、 前記無電解めっき工程を経た前記基材(62)に形成さ
    れた前記無電解めっき層(15)のうち、前記凸条(5
    3)上に形成された前記無電解めっき層(15)を切削
    又は除去する切削除去工程と、 前記切削除去工程を経た前記基材(62)に形成された
    前記無電解めっき層(15)を電気的に導通させて、前
    記無電解めっき層(15)上のめっきの必要な部分に電
    気めっき層(16)を形成する電気めっき工程とを備え
    たことを特徴とする樹脂製品の部分めっき方法。
  9. 【請求項9】 樹脂製の基材(62)表面のうち、めっ
    きを必要とする部分とめっきを必要としない部分との境
    界線部分に、簡易溝(63)を意匠面側においてのみ環
    状又は環状の一部をなすように金型にて形成するととも
    に、断面略V字状の条溝(11)を非意匠面側において
    のみ環状又は環状の一部をなすように金型にて形成する
    溝形成工程と、 前記簡易溝(63)に沿ってレジスト層(64,65)
    を形成するレジスト層形成工程と、 前記基材(62)表面の前記条溝(11)の底部(11
    a)及び前記レジスト層(64,65)以外の部分に無
    電解めっき層(15)を形成する無電解めっき工程と、 前記無電解めっき工程を経た前記基材(62)に形成さ
    れた前記無電解めっき層(15)を電気的に導通させ
    て、前記無電解めっき層(15)上のめっきの必要な部
    分に電気めっき層(16)を形成する電気めっき工程と
    を備えたことを特徴とする樹脂製品の部分めっき方法。
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