JP2984163B2 - 溶滓鍋の寿命延長方法 - Google Patents
溶滓鍋の寿命延長方法Info
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- JP2984163B2 JP2984163B2 JP5067335A JP6733593A JP2984163B2 JP 2984163 B2 JP2984163 B2 JP 2984163B2 JP 5067335 A JP5067335 A JP 5067335A JP 6733593 A JP6733593 A JP 6733593A JP 2984163 B2 JP2984163 B2 JP 2984163B2
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- Japan
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- slag
- cracks
- pot
- heat treatment
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- Heat Treatment Of Articles (AREA)
- Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、高炉あるいは転炉で発
生する溶融スラグの運搬容器である鋳鋼製の溶滓鍋の寿
命延長方法に関するものである。
生する溶融スラグの運搬容器である鋳鋼製の溶滓鍋の寿
命延長方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】図４に例示する溶滓鍋は、高炉あるいは
転炉で発生する溶融スラグを受けた後、所定の場所で内
容物である溶融スラグを排出し、再び溶融スラグを受け
るという作業を繰り返す。このため、使用回数が約１５
００回程度に達すると、繰り返し加熱・自然冷却の結果
として溶滓鍋には熱疲労亀裂を生じるため、亀裂補修し
たのち再び使用することになり、この亀裂補修から再使
用するパターンを幾度となく繰り返している。そのた
め、亀裂発生防止を目的に材質・構造面での設計検討が
おこなわれてきたが、材質劣化に起因する亀裂防止策は
難しく、大きな成果はあがっていない。
転炉で発生する溶融スラグを受けた後、所定の場所で内
容物である溶融スラグを排出し、再び溶融スラグを受け
るという作業を繰り返す。このため、使用回数が約１５
００回程度に達すると、繰り返し加熱・自然冷却の結果
として溶滓鍋には熱疲労亀裂を生じるため、亀裂補修し
たのち再び使用することになり、この亀裂補修から再使
用するパターンを幾度となく繰り返している。そのた
め、亀裂発生防止を目的に材質・構造面での設計検討が
おこなわれてきたが、材質劣化に起因する亀裂防止策は
難しく、大きな成果はあがっていない。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では、亀裂
発生を抑制しえず、多大な亀裂補修費を投じて、再使用
するしかなかった。また溶滓鍋の亀裂発生は運搬途中で
の高温溶融物であるスラグ漏出事故に繋がる場合もあ
り、安全面からも亀裂発生抑制の技術確立は急がれてい
た。本発明はこれら課題を解決し、溶滓鍋の亀裂を抑制
することで鍋寿命の延長を図ることを目的とするもので
ある。
発生を抑制しえず、多大な亀裂補修費を投じて、再使用
するしかなかった。また溶滓鍋の亀裂発生は運搬途中で
の高温溶融物であるスラグ漏出事故に繋がる場合もあ
り、安全面からも亀裂発生抑制の技術確立は急がれてい
た。本発明はこれら課題を解決し、溶滓鍋の亀裂を抑制
することで鍋寿命の延長を図ることを目的とするもので
ある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明は、高炉あるいは
転炉で発生する溶融スラグの運搬容器である鋳鋼製の溶
滓鍋において、受排滓の繰り返しによる熱疲労状態で亀
裂の発生に至らぬよう、１５００回前後の受排滓回数を
目処として溶滓鍋に亀裂が発生する以前に焼準熱処理及
び焼戻し熱処理を該溶滓鍋に施し亀裂の発生を抑制する
ことを特徴とする溶滓鍋の寿命延長方法を提供するもの
である。
転炉で発生する溶融スラグの運搬容器である鋳鋼製の溶
滓鍋において、受排滓の繰り返しによる熱疲労状態で亀
裂の発生に至らぬよう、１５００回前後の受排滓回数を
目処として溶滓鍋に亀裂が発生する以前に焼準熱処理及
び焼戻し熱処理を該溶滓鍋に施し亀裂の発生を抑制する
ことを特徴とする溶滓鍋の寿命延長方法を提供するもの
である。
【０００５】
【作用】本発明者らは鍋の亀裂発生に対処するため種々
の検討を行ったが、その中で溶滓鍋の亀裂発生の原因が
約１５００回以上の受排滓によって加熱冷却の繰り返し
による組織的変化を誘因し、靱性が大幅に低下して亀裂
が発生しやすくなるという点に着目した。そこで変化し
た組織を回復する手段としては熱処理が最も効果的であ
ると推測し、次のような実験を行った。
の検討を行ったが、その中で溶滓鍋の亀裂発生の原因が
約１５００回以上の受排滓によって加熱冷却の繰り返し
による組織的変化を誘因し、靱性が大幅に低下して亀裂
が発生しやすくなるという点に着目した。そこで変化し
た組織を回復する手段としては熱処理が最も効果的であ
ると推測し、次のような実験を行った。
【０００６】４５０Ton 溶滓鍋（受滓回数＝２１５６
回）より試験材を切り出し、経年使用後の材料変化と、
各種熱処理による材料の回復状況について調査した。こ
の場合Ａ：使用まま材、Ｂ：４２０℃ ＳＲ材、Ｃ：９
１０℃焼準＋６００℃焼戻し材およびＤ：６００℃ Ｓ
Ｒ材の４種について、各種試験に供した。その結果を表
１、図３に示す。表１においてはＡ，Ｂ材は残留応力を
低減出来ない点が明らかである。Ｃ材が最も少なく、Ｄ
材がこれに続いている。
回）より試験材を切り出し、経年使用後の材料変化と、
各種熱処理による材料の回復状況について調査した。こ
の場合Ａ：使用まま材、Ｂ：４２０℃ ＳＲ材、Ｃ：９
１０℃焼準＋６００℃焼戻し材およびＤ：６００℃ Ｓ
Ｒ材の４種について、各種試験に供した。その結果を表
１、図３に示す。表１においてはＡ，Ｂ材は残留応力を
低減出来ない点が明らかである。Ｃ材が最も少なく、Ｄ
材がこれに続いている。
【０００７】図３においては衝撃値はＢ，Ｄ材の内面側
とＡ，ＢおよびＤ材の中央部で特に低下している。これ
に対しＣ材は内面〜外面まで高く安定しており、更に、
Ｃ材のみが組織観察結果でも組織が微細化し、通常のフ
ェライト＋パーライトに復旧している。（図示せず）
とＡ，ＢおよびＤ材の中央部で特に低下している。これ
に対しＣ材は内面〜外面まで高く安定しており、更に、
Ｃ材のみが組織観察結果でも組織が微細化し、通常のフ
ェライト＋パーライトに復旧している。（図示せず）
【０００８】
【表１】
【０００９】これらの結果から、使用中の新鍋で且つ亀
裂発生前のものに対し、例えば焼準〔（９１０±１５
℃）×５Ｈｒ以上→ＡＣ〕＋焼戻し〔（６００±１５
℃）×７Ｈｒ以上→ＦＣ〕の処理を施こすことにより、
溶滓鍋の靱性、残留応力、組織を改善し、溶滓鍋の亀裂
発生、進展を大巾に低減する本発明方法を確立したもの
である。尚、例として示した焼準条件と、焼戻し条件決
定の理由は次の通りである。
裂発生前のものに対し、例えば焼準〔（９１０±１５
℃）×５Ｈｒ以上→ＡＣ〕＋焼戻し〔（６００±１５
℃）×７Ｈｒ以上→ＦＣ〕の処理を施こすことにより、
溶滓鍋の靱性、残留応力、組織を改善し、溶滓鍋の亀裂
発生、進展を大巾に低減する本発明方法を確立したもの
である。尚、例として示した焼準条件と、焼戻し条件決
定の理由は次の通りである。
【００１０】（１）焼準条件：温度９１０℃前後、時間
５時間（Ｈｒ）前後で最良の機械的性質が得られる。 （２）焼戻し条件：試験は焼戻し温度５００℃、６００
℃、７００℃（処理時間は何れも７Ｈｈ以上）の３ケー
スで行い、６００℃以上であれば同様の結果を得た。焼
鈍温度をパラメータとした試験結果を図２（Ａ）に示
す。焼鈍時間をパラメータとした試験結果を図２（Ｂ）
に示す。
５時間（Ｈｒ）前後で最良の機械的性質が得られる。 （２）焼戻し条件：試験は焼戻し温度５００℃、６００
℃、７００℃（処理時間は何れも７Ｈｈ以上）の３ケー
スで行い、６００℃以上であれば同様の結果を得た。焼
鈍温度をパラメータとした試験結果を図２（Ａ）に示
す。焼鈍時間をパラメータとした試験結果を図２（Ｂ）
に示す。
【００１１】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
高炉において使用中で、且つ亀裂発生前の溶滓鍋（通常
約１５００回使用後）を先ず熱処理炉にて予備処理（９
１０℃×５Ｈｒ→ＡＣ）を施こし、次にショットブラス
ト等で鍋表面の微少割れ等を削除し、次いで焼準（９１
０℃×５Ｈｒ→ＡＣ）にて４００℃以下迄冷却し最後に
焼戻し（６００℃×７Ｈｒ→ＦＣ）を施こした。
高炉において使用中で、且つ亀裂発生前の溶滓鍋（通常
約１５００回使用後）を先ず熱処理炉にて予備処理（９
１０℃×５Ｈｒ→ＡＣ）を施こし、次にショットブラス
ト等で鍋表面の微少割れ等を削除し、次いで焼準（９１
０℃×５Ｈｒ→ＡＣ）にて４００℃以下迄冷却し最後に
焼戻し（６００℃×７Ｈｒ→ＦＣ）を施こした。
【００１２】熱処理を終了した溶滓鍋は、再び高炉にて
通常通り使用し亀裂発生と進展の状況を観察した。これ
ら、本発明法処理の溶滓鍋と、熱処理不実施のものとの
高炉使用時の亀裂発生と進展の差を図１に示す。
通常通り使用し亀裂発生と進展の状況を観察した。これ
ら、本発明法処理の溶滓鍋と、熱処理不実施のものとの
高炉使用時の亀裂発生と進展の差を図１に示す。
【００１３】これによると従来の鍋は受滓約１５００回
で亀裂を生じ以降亀裂の再発生を抑止し得ず経年的に亀
裂発生が増加するのに対し、亀裂発生以前の鍋に、本発
明による熱処理を施し、実稼動に供したものは、約４０
００回の受滓に至るまで亀裂の発生は見られなかった。
で亀裂を生じ以降亀裂の再発生を抑止し得ず経年的に亀
裂発生が増加するのに対し、亀裂発生以前の鍋に、本発
明による熱処理を施し、実稼動に供したものは、約４０
００回の受滓に至るまで亀裂の発生は見られなかった。
【００１４】その後亀裂を生じたため機械的性質を調査
したところ、従来鍋が受滓約１５００回で見られると同
様な引張強度、衝撃値の低下状態にあった。つまりは製
造後、或いは熱処理後約１５００回の受滓を経た毎に繰
り返し、熱処理を施せば良いことも明らかである。この
様に本発明は鍋の亀裂抑制に極めて大きな効果が認めら
れた。
したところ、従来鍋が受滓約１５００回で見られると同
様な引張強度、衝撃値の低下状態にあった。つまりは製
造後、或いは熱処理後約１５００回の受滓を経た毎に繰
り返し、熱処理を施せば良いことも明らかである。この
様に本発明は鍋の亀裂抑制に極めて大きな効果が認めら
れた。
【００１５】
【発明の効果】本発明によれば、溶滓鍋の亀裂発生と進
展が大巾に低減するため、次の様な効果を生ずる。 （イ）溶滓鍋の大巾な寿命延長に資すると共に、亀裂補
修回数減による整備コストの大巾減少。 （ロ）亀裂発生と進展の大巾減少により、溶滓洩れ事故
も非常に少なくなり、安全面でも大きな効果を挙げる。
展が大巾に低減するため、次の様な効果を生ずる。 （イ）溶滓鍋の大巾な寿命延長に資すると共に、亀裂補
修回数減による整備コストの大巾減少。 （ロ）亀裂発生と進展の大巾減少により、溶滓洩れ事故
も非常に少なくなり、安全面でも大きな効果を挙げる。
【図１】熱処理溶滓鍋と、未処理溶滓鍋の受滓回数と亀
裂発生長さの関係を示す図である。
裂発生長さの関係を示す図である。
【図２】（Ａ）焼鈍温度をパラメータとした試験結果を
示す。（Ｂ）焼鈍時間をパラメータとした試験結果を示
す。
示す。（Ｂ）焼鈍時間をパラメータとした試験結果を示
す。
【図３】約２０００回使用後の溶滓鍋より採取した材料
に各種熱処理を施し、機械的性質を比較した図である。
に各種熱処理を施し、機械的性質を比較した図である。
【図４】溶滓鍋の外観及び断面を示す斜視図。
フロントページの続き (72)発明者 山内 勲 福岡県北九州市戸畑区大字中原先の浜46 −59 日本鋳鍛鋼株式会社内 (72)発明者 池之迫 正昭 福岡県北九州市戸畑区大字中原先の浜46 −59 日本鋳鍛鋼株式会社内 (56)参考文献 特開 昭54−94416（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) C21B 3/10 C21C 5/46 103 C21D 1/28,9/00
Claims (1)
- 【請求項１】 高炉あるいは転炉で発生する溶融スラグ
の運搬容器である鋳鋼製の溶滓鍋において、受排滓の繰
り返しによる熱疲労状態で亀裂の発生に至らぬよう、１
５００回前後の受排滓回数を目処として溶滓鍋に亀裂が
発生する以前に焼準熱処理及び焼戻し熱処理を該溶滓鍋
に施し亀裂の発生を抑制することを特徴とする溶滓鍋の
寿命延長方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5067335A JP2984163B2 (ja) | 1993-03-04 | 1993-03-04 | 溶滓鍋の寿命延長方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5067335A JP2984163B2 (ja) | 1993-03-04 | 1993-03-04 | 溶滓鍋の寿命延長方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06256817A JPH06256817A (ja) | 1994-09-13 |
| JP2984163B2 true JP2984163B2 (ja) | 1999-11-29 |
Family
ID=13342049
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5067335A Expired - Lifetime JP2984163B2 (ja) | 1993-03-04 | 1993-03-04 | 溶滓鍋の寿命延長方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2984163B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN103255246B (zh) * | 2013-04-27 | 2014-08-13 | 新疆八一钢铁股份有限公司 | 一种防止渣罐开裂的工艺 |
-
1993
- 1993-03-04 JP JP5067335A patent/JP2984163B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH06256817A (ja) | 1994-09-13 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19990914 |