JP2981976B2 - 医療用ガイドワイヤ - Google Patents

医療用ガイドワイヤ

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JP2981976B2 JP7216767A JP21676795A JP2981976B2 JP 2981976 B2 JP2981976 B2 JP 2981976B2 JP 7216767 A JP7216767 A JP 7216767A JP 21676795 A JP21676795 A JP 21676795A JP 2981976 B2 JP2981976 B2 JP 2981976B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、心臓血管系内にカテー
テルを導入する際に用いる医療用ガイドワイヤに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】血管造影を目的として、極細可撓性管体
のカテーテルを血管内に挿入するのに際し、その挿入を
安全確実にするために、可撓性線材からなる医療用ガイ
ドワイヤが用いられており、特公平4ー25024号公
報等に示される公知例がある。
【0003】即ち、(図3参照)この医療用ガイドワイ
ヤ1(以下、単にガイドワイヤ1という)は、曲りくね
った複雑な径路の血管15や分岐血管16に先端部分か
ら挿入するので、その挿入先端となる先端部位は、柔軟
な可撓性と進行方向の荷重に対する垂直荷重性(耐座屈
性)、および捩り剛性(回転させながら血管内挿入する
ので、その回転に対する捩り剛性)を併有する機械的性
質が不可欠であり、前記公知例のものは、ワイヤ主体と
なる極細線の主線材2の先端部位に、コイルスプリング
3を嵌装着する構造を有している。
【0004】そして、そのコイルスプリング3は、血管
内に挿入したガイドワイヤ1の位置や血管の狭窄ポイン
トを、放射線によって認知できるように、放射線不透過
線材からなる放射線不透過コイル部4と、放射線透過線
材からなる放射線透過コイル部5の直列連設からなり、
この二種材料によって個別に成形されたコイルスプリン
グが主線材2に直列に嵌装され、相互のコイル端のコイ
ルの若干部分を相互にねじ込ませて連結する「ねじ込み
連結」、または、相互のコイル端を「ろう付け連結」し
て、単一体のコイルスプリング3として機能させるよう
になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上の放射線不透過コ
イル部4を有する公知例のガイドワイヤ1は、血管内の
挿入位置等が体外からの放射線によって的確に把握でき
るものの、前記の異種材料の二種のコイルスプリングの
連結点6は、材質変換に基づく曲げ特性等の機械的特性
の変換点になると共に、そのコイルスプリング3は0.
072粍直径等の極細線をコイル成形したコイル内径約
0.2粍直径の極小サイズからなり、前記「ねじ込み連
結」をするものは、相互の端部のコイルの若干を絡み合
せて連結され、また、前記「ろう付け連結」のものは連
結すべきコイルスプリングが極小サイズであることか
ら、溶接材の「ろう」が拡範囲に拡がって付着する現象
が避けられず、(図3の(A)参照)相互の連結点6を
中心としてコイルスプリング3としての曲げ弾性を低下
・喪失した硬直化ゾーン14が発生する。そして、前記
ろう付け連結のものは、ろう付け時の加熱による材質硬
化の影響が加重されるので、その硬直化が一段と顕著に
なる。
【0006】従って、この硬直化ゾーン14が存在する
コイルスプリング3を嵌装したガイドワイヤ1の先端部
分を所要曲率に曲げると、曲げ変形を生じない硬直化ゾ
ーン14を中心として、それぞれの曲げ特性に基づく異
なる曲率半径の曲げが左右に連続し、硬直化ゾーン14
が外方へ突き出す形状を呈する異形曲げ形状となるの
で、曲りくねった血管15へ挿入するとき、曲げ変換点
として外方突出形状を呈する硬直化ゾーン14が血管壁
と摺擦して、血管壁損傷をもたらすおそれがあると共
に、その挿入と引き抜きがしづらくなり、さらに、血管
分岐部17に硬直化ゾーン14が干渉して分岐血管16
へのガイドワイヤ1の挿入が困難になる難点がある。
【0007】さらに、前記従来構造のものは、前記の
「ねじ込み連結」「ろう付け連結」によって、超ミニ形
状のコイルスプリングを相互連結する作業が極めてやり
づらい非能率作業のため、連結不備のものを発生するお
それがあると共に、コイルスプリング3の成形性が悪
く、コスト高になる。
【0008】本発明は、以上の従来技術の難点を解消す
るガイドワイヤを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】以上の技術課題を解決す
る本発明のガイドワイヤは「可撓性の主線材の先端部位
に、放射線不透過線材からなる放射線不透過コイル部
と、放射線透過線材からなる放射線透過コイル部を直列
状に有するコイルスプリングを嵌装着した医療用ガイド
ワイヤにおいて、前記コイルスプリングは、放射線不透
過線材と放射線透過線材の線材端を突き合せ溶着して、
縮径伸線した単一極細線のコイル素線によって巻回形成
され、かつ、前記放射線透過線材は、前記放射線不透過
線材より原子・分子濃度が低濃度に構成され、前記溶着
部に、前記原子・分子濃度の高濃度側から低濃度側に原
子・分子が拡散して引き伸ばされた拡大拡散層を設けた
構造」になっている。
【0010】即ち、本発明のガイドワイヤは、二種材料
の連続からなるコイルスプリングを先端部位に嵌装する
ものにおいて、そのコイルスプリングを、構成する線材
の太線状態において突き合せ溶着して縮径伸線した単一
極細線によって、単一コイル体に巻回形成した構造特徴
を有し、その放射線不透過線材としては、白金を主成分
とする合金、金を主成分とする合金、タングステンを主
成分とする合金、または、鉛等のいずれかの材質のもの
が用いられ、その放射線透過線材は、オーステナイト系
ステンレス線材等が用いられる。そして、太線状態の二
種線材端の突き合せ溶着は、公知の突き合せ抵抗溶接法
によって行なわれる。
【0011】
【作用】以上の構成の本発明のガイドワイヤのコイルス
プリングを構成する線材は、太線状態において線材端を
付き合せ溶着した異種材の直列連結線にして、一方が原
子・分子濃度が高い放射線不透過材料と、他方が原子・
分子濃度が低い放射線透過材料からなるので、その溶着
の熱エネルギーによって、前記高濃度側から前記低濃度
側に原子・分子が拡散して、前記二種の材質が混成する
拡散層が形成され、続いて行なわれる縮径伸線によっ
て、その拡散層が引き伸ばし拡大された拡大拡散層が生
成される。そして、この拡大拡散層が、曲げ特性が異な
る二種材料の接続部位に介在して、両線材の異なる機械
的性質の徐変・緩衝ゾーンとして機能する。
【0012】従って、以上の徐変・緩衝ゾーンを有する
単一線材を巻回成形したコイルスプリングをコイル軸心
に沿って曲げると、その線材の徐変・緩衝ゾーンがコイ
ルスプリングの曲げ徐変ゾーン・曲げ緩衝ゾーンとして
機能し、曲げ特性が異なる二種材料の直列接続によって
構成されたコイルスプリングは、全体が概ね一様な曲率
半径で曲げられた円滑曲げ形状を呈する。
【0013】そして、以上のコイルスプリングを嵌装着
したガイドワイヤの先端部分は、そのコイルスプリング
がガイドワイヤの曲げ形状を支配するので、円滑な一様
曲げ形状を呈して血管内挿入され、曲りくねった血管内
への挿入と引き抜きがし易くなると共に、分岐血管への
挿入も円滑にできる。
【0014】さらに、本発明のガイドワイヤのコイルス
プリングは、二種線材端が太線状態において突き合せ溶
着されるので、その二種線材の溶着部位は、双方の線材
が溶け合って交絡する形状を呈して所謂公知の「投錨効
果」を奏し、強固に連結されて後工程のコイリングやガ
イドワイヤへ装着した使用時にその溶着部位が離反した
り、両線材の接合不備や使用時分離を起こすおそれが極
めて少く、ガイドワイヤの先端部分の機械的性能が安定
する。
【0015】そして、本発明のガイドワイヤは、太線状
態の二種の線材端を接合溶着して縮径伸線してコイリン
グするのみで良く、極小サイズのコイルスプリングの端
部相互を接続する煩雑な作業が無用になるので、コイル
スプリングの成形が特段にし易くなる。
【0016】
【実施例】以下、実施例に基づいて詳しく説明する。ま
ず、本発明一実施例のガイドワイヤ1を示す図1を参照
して、このガイドワイヤ1の主線材2の先端部位に嵌装
着するコイルスプリング3は、白金−ニッケル合金(白
金93%、ニッケル7%)の放射線不透過線材7(以
下、単に不透過線材7という)と、オーステナイト系ス
テンレス(SUS316)の放射線透過線材8(以下、
単に透過線材8という)の接合からなる0.072粍直
径単一極細線のコイル素線10によって、単一のコイル
スプリング形状に成形されており、このコイル素線10
は以下の手法・手順によって加工されている。
【0017】即ち、コイル素線10の母材線となる0.
3粍直径所要長の白金−ニッケル線の不透過線材7とオ
ーステナイト系ステンレス線の透過線材8を、公知の溶
着機に装着して、両線材端を近接対向させて応分の溶接
荷重を負荷し、不透過線材7と透過線材8を突き合せ抵
抗溶接して、端面接合単一線の太径母線9に成形する。
そして、その太径母線9を研磨加工して、接合溶接部位
の外径膨らみを削除して一様外径に仕上げる。
【0018】続いて、その太径母線9を公知の伸線機に
かけて、図示矢印X方向の不透過線材7から透過線材8
の方向へ引き伸ばして伸線加工し、0.072粍直径の
コイル素線10に仕上げ、そのコイル素線10をコイリ
ング加工して、コイルスプリング3を成形し、不透過線
材7によって成形した放射線不透過コイル部4を主線材
2の先端側になし、透過線材8によって成形した放射線
透過コイル部5を直列連設した単一コイル体のコイルス
プリング3が、主線材2の先端部位に嵌装着されて固定
される。なお、この実施例のガイドワイヤ1の全長L
1:1780粍、コイルスプリング3の内径D1:0.
193粍直径、不透過コイル部4の長さL2:20粍、
透過コイル部5の長さL3:285粍である。
【0019】以上の実施例のコイル素線10は、太径母
線9の線材端を突き合せ溶着するので、その溶着の熱エ
ネルギーによって、原子・分子濃度が高い白金−ニッケ
ル線の不透過線材7から原子・分子濃度が低いステンレ
ス線の透過線材8に、原子・分子が拡散転位して拡散層
12が生成される。そして、続いて施される伸線加工に
よって、その拡散層12が線材長手方向に引き伸ばされ
て拡大拡散層13が生成され、この拡大拡散層13が線
材長手方向に展開して、両線材の機械的性質の徐変・緩
和ゾーンとして機能する。
【0020】従って、この拡大拡散層13を介して単一
線材に連結したコイル素線10によってコイル成形され
たコイルスプリング3を有するガイドワイヤ1の先端部
分は(図2参照)両線材の連結点6で曲げ姿勢が急変し
ない円滑一様曲げ形状を呈し、曲りくねった血管15や
分岐血管16への挿入と引き抜きがし易く、円滑な血管
挿入引き抜き作業ができると共に、その曲げ形状の中間
に、有害な突起状物が不存在となるので、血管への挿入
・引き抜き時の血管壁損傷が防止できる。
【0021】そして、コイル素線10は母線材の接合溶
着による前記の「投錨効果」によって、不透過線材7と
透過線材8の端面が物理的に強固に固着されるので、放
射線不透過コイル部4と放射線透過コイル部5が的確か
つ充分に連結されて、使用中の分離をおこすおそれがな
く、ガイドワイヤ1の性能・品質が安定する。そして、
極小サイズの2個のコイルスプリングを連結する煩雑作
業が無用にして、コイル素線10をコイル成形して主線
材2に嵌装着するのみの簡易作業となるので、コイルス
プリング3の成形がし易くして能率化し、ガイドワイヤ
1の成形能率向上とコスト低減が促進できる。
【0022】さらに、図1実施例のものは、コイルスプ
リング3が、コイル成形に伴うスプリングバック量が小
なる白金−ニッケル合金の不透過線材7と、白金−ニッ
ケル合金よりスプリングバック量が大なるオーステナイ
ト系ステンレス鋼線の透過線材8を用いるので、同一径
にコイル成形した自由状態の放射線不透過コイル部4の
コイル外径が、放射線透過コイル部5のコイル外径より
小となる(図1実施例のものではコイル直径が約0.0
1粍小となる)ので、ガイドワイヤ1の先端が頭小胴太
の形状を呈し、血管内挿入と引き抜きが一段とし易くな
ると共に、血管狭窄部への到達通過がし易くなる。そし
て、透過線材8として、オーステナイト系ステンレスを
用いるので、マルテンサイト系ステンレスより電気抵抗
率が高いので、溶着品質が良好になると共に、伸線によ
る冷間硬化性が良く、コイルスプリング3の性能が良好
になる。
【0023】
【発明の効果】以上の説明のとおり、本発明の医療用ガ
イドワイヤは、主線材の先端部位に、放射線不透過コイ
ル部と放射線透過コイル部を直列配設したコイルスプリ
ングを嵌装着したものにおいて、曲りくねった血管内挿
入や分岐血管内への挿入性と引き抜き性が向上すると共
に、そのコイルスプリングによる血管損傷のおそれがな
く、ガイドワイヤの性能が向上する。
【0024】そして、二種線材の連結からなる放射線不
透過コイル部と、放射線透過コイル部の連結強度が向上
してコイルスプリングの性能安定を図ると共に、そのコ
イルスプリングの成形性の向上によって、前記二種のコ
イル部の連結不備の発生を防止して、医療用ガイドワイ
ヤの品質安定と成形コストの低減を促進する。以上の諸
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例の医療用ガイドワイヤを示し、
(A)はその正面図、(B)はそのコイルスプリングの
コイル素線の加工手法と加工手順の説明図、(C)はそ
のコイルスプリングを成形する太径母線とコイル素線の
断面図
【図2】図1実施例の医療用ガイドワイヤの作用状態を
示し、(A)(B)とも使用状態の正面図
【図3】従来の医療用ガイドワイヤを示し、(A)はそ
の正面図、(B)(C)はその使用状態の説明図
【符号の説明】
1 医療用ガイドワイヤ 2 主線材 3 コイルスプリング 4 放射線不透過コイル部 5 放射線透過コイル部 6 接合点 7 放射線不透過線材 8 放射線透過線材 9 太径母線 10 コイル素線 12 拡散層 13 拡大拡散層 15 血管 16 分岐血管 17 血管分岐部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61M 25/01

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性の主線材の先端部位に、放射線不
    透過線材からなる放射線不透過コイル部と、放射線透過
    線材からなる放射線透過コイル部を直列状に有するコイ
    ルスプリングを嵌装着した医療用ガイドワイヤにおい
    て、前記コイルスプリングは、放射線不透過線材と放射
    線透過線材の線材端を突き合せ溶着して、縮径伸線した
    単一極細線のコイル素線によって巻回形成され、かつ、
    前記放射線透過線材は、前記放射線不透過線材より原子
    ・分子濃度が低濃度に構成され、前記溶着部に、前記原
    子・分子濃度の高濃度側から低濃度側に原子・分子が拡
    散して引き伸ばされた拡大拡散層を設けた構造を特徴と
    する医療用ガイドワイヤ。
  2. 【請求項2】 放射線不透過線材が、白金を主成分とす
    る合金、金を主成分とする合金、タングステンを主成分
    とする合金、または、鉛、のいずれかである請求項1の
    医療用ガイドワイヤ。
  3. 【請求項3】 放射線不透過線材が、白金−ニッケル合
    金線、放射線透過線材がオーステナイト系ステンレス鋼
    線であり、かつ、放射線不透過コイル部を主線材の先端
    側にした請求項1または請求項2の医療用ガイドワイ
    ヤ。
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