JP2977656B2 - ガス燃焼機器の空焚き防止装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば瞬間湯沸器や循
環式風呂釜のような、水流により燃焼を制御するガス燃
焼機器の空焚き防止装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のガス燃焼機器においては、熱交
換器を通る水流を検出する水流センサからの信号を燃焼
制御装置に入力し、水流センサが水流を検出しない状態
ではガスバーナへのガス供給を停止して空焚きを防止し
ている。この種の燃焼制御装置にはマイクロコンピュー
タを用いたものがよく使用されているが、水流センサの
信号取り込み部付近に短絡または断線等の故障が生じた
りすると、熱交換器を通る水流がないにもかかわらず燃
焼制御装置は水流センサからの信号が水流検出状態にあ
ると判断してガスバーナを作動させ、空焚きを行うおそ
れがあった。

【０００３】このような問題を解決するために、特公平
１−５１７１４号公報に開示された技術では、流量検出
回路からの流量信号に基づいて燃料弁制御回路に弁解放
／閉塞命令信号を与える主制御回路とは別に、同流量検
出回路からの流量信号により作動する流量監視回路を設
け、流水量が最低許容流量以下になれば主制御回路を介
することなく流量監視回路から燃料弁制御回路に直接弁
閉塞命令信号を与えて、主制御回路に故障が生じた場合
でも空焚きを防止するようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この特
公平１−５１７１４号公報の技術では、流量監視回路に
比較器などを必要とするので構造が複雑になり、製造コ
ストが上昇するという問題がある。本発明はこの種のガ
ス燃焼機器が通常備えているガスバーナの燃焼炎が検出
されない場合にガス供給を停止する安全装置を利用する
ことにより、簡単な構造により空焚きを防止することを
目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このために、本発明によ
るガス燃焼機器の空焚き防止装置は、図１に示すよう
に、熱交換器１５を加熱するガスバーナ２０へのガス供
給管２１に設けた電磁弁装置２２と、この電磁弁装置を
作動させる弁駆動装置３と、前記熱交換器１５を通る水
流を検出する水流検知手段１と、この水流検知手段から
の信号が水流検出状態にあるときには前記弁駆動装置３
を作動させ前記電磁弁装置２２を介して前記ガスバーナ
２０へのガス供給量を制御する制御手段２と、前記ガス
バーナ２０の燃焼炎を検出する炎検知手段４と、この炎
検知手段からの信号が炎不検出状態にあるときは所定の
短時間の経過後に前記弁駆動装置３を停止させて前記ガ
スバーナ２０へのガス供給を停止させる安全手段５を備
えてなるガス燃焼機器において、前記炎検知手段４から
前記安全手段５への信号伝達経路に、前記制御手段２と
は別個に、前記水流検知手段１からの信号が水流検出状
態にあるときは前記炎検知手段４からの信号をそのまま
安全手段５に伝達するが水流不検出状態にあるときは炎
検知手段４からの信号とは無関係に安全手段５への信号
を常に炎不検出状態とする信号修正手段６を設けたこと
を特徴とするものである。

【０００６】

【作用】通常の作動状態では、水流検知手段１が熱交換
器１５を通る水流を検出すれば制御手段２は弁駆動装置
３を作動させ、電磁弁装置２２を開いてガスバーナ２０
にガスを供給して燃焼を開始させる。安全手段５は炎検
知手段４からの信号が炎検出状態であれば弁駆動装置３
の作動をそのまま続行させるが、もし炎不検出状態であ
れば所定の短時間経過後に弁駆動装置３の作動を停止さ
せ、電磁弁装置２２を閉じてガスバーナ２０へのガス供
給を停止する。

【０００７】水流検知手段１から制御手段２への信号取
り込み部付近に短絡または断線等の故障が生じて、熱交
換器１５を通る水流がないにもかかわらず水流検知手段
１からの信号が水流検出状態にあると制御手段２が判断
すれば、制御手段２は弁駆動装置３を作動させて電磁弁
装置２２を開きガスバーナ２０にガスを供給して燃焼を
開始させる。しかしこの状態では、信号修正手段６は安
全手段５に送る信号を、炎検知手段４からの信号とは無
関係に炎不検出状態とするので、所定の短時間を経過す
れば弁駆動装置３が停止して電磁弁装置２２が閉じ、ガ
スバーナ２０へのガス供給は停止される。

【０００８】

【発明の効果】上述のように、本発明によれば、水流検
知手段からの信号取り込み部などの故障により制御手段
が誤作動して、熱交換器に水流がないにもかかわらずガ
スバーナが燃焼を開始しても、所定の短時間経過後にガ
スバーナへのガス供給は停止され、燃焼が停止するので
空焚きは防止される。また、燃焼制御装置が本来有して
いた安全手段を利用してガスバーナへのガス供給を停止
するので、空焚き防止のために必要な構成が簡単にな
り、製造コストの上昇も僅かで足りる。

【０００９】

【実施例】以下に、図２に示す実施例により、本発明の
説明をする。図２に示すように、瞬間湯沸器の燃焼室を
形成するケース１０内の下部にはガスバーナ２０が設け
られて電磁弁装置２２を有するガス供給管２１により燃
料ガスが供給され、またケース１０の下側に設けた電動
ファン２３により燃焼用空気が供給されている。電磁弁
装置２２はガス供給源側から直列に配置した元電磁弁２
２ａ、比例電磁弁２２ｃ及び主電磁弁２２ｂにより構成
され、元電磁弁２２ａ及び主電磁弁２２ｂは開閉のみを
行う電磁弁であり、比例電磁弁２２ｃは制御電流に応じ
て開度が連続的に変化してガスバーナ２０へのガス供給
量を変化させる電磁弁である。また電動ファン２３は連
続的に回転速度が変化してガス供給量に応じた量の燃焼
用空気を供給するものである。

【００１０】ガスバーナ２０上方のケース１０内に設け
た貫流形の熱交換器１５の入り口側に接続した給水管１
６には水流センサ３１が設けられ、また出口側に接続し
た給湯管１７には湯温センサ３２及び給湯栓１８が設け
られている。給水管１６からの給水は、熱交換器１５を
通過する際にガスバーナ２０により加熱され、所定温度
となって給湯栓１８から出湯される。熱交換器１５より
も上方のケース１０の上部はフード１１を経て排気筒１
２に連結され、ガスバーナ２０のすぐ上方のケース１０
内にはフレームロッド等の炎センサ３０が設けられてい
る。

【００１１】この瞬間湯沸器の作動を制御する電子制御
装置４０は中央処理装置（ＣＰＵ）、読出し専用メモリ
（ＲＯＭ）、書込み可能メモリ（ＲＡＭ）及びインター
フェイスよりなり、瞬間湯沸器の作動に必要な各種スイ
ッチ、湯温設定装置、各種表示ランプ等を設けた操作器
４１が接続されている。また電子制御装置４０には弁駆
動回路４２ａ，４２ｂ，４２ｃを介して各電磁弁２２
ａ，２２ｂ，２２ｃが、モータ駆動回路４３を介して電
動ファン２３が、炎検知回路４４を介して炎センサ３０
が、温度検知回路４５を介して湯温センサ３２が接続さ
れている。弁駆動回路４２ａ，４２ｂ，４２ｃは電子制
御装置４０からの出力信号に応じて各電磁弁２２ａ，２
２ｂ，２２ｃの開度を制御してガスバーナ２０へのガス
供給を制御する弁駆動装置３を構成する。炎センサ３０
及び炎検知回路４４はガスバーナ２０の燃焼炎を検出す
れば電子制御装置４０のポート４０ｂへの出力信号を所
定電圧の炎検出状態とし、燃焼炎を検出しなければ０電
圧の炎不検出状態とする炎検知手段４を構成する。この
炎検知手段４は実施例のようにフレームロッドを使用し
たものに限らず、熱電対等を使用した任意のものが使用
できる。

【００１２】水流センサ３１の検出スイッチ３１ａは、
通常はオフであるが熱交換器１５を通る通水量が所定の
最低許容流量以上となればオンとなるものであり、一方
の端子は接地され、他方の端子は抵抗を介して直流電源
端子４７から所定の電圧が供給されると共に電子制御装
置４０のポート４０ａに接続されている。この水流セン
サ３１は、熱交換器１５を通る水流を検出して検出スイ
ッチ３１ａがオンとなれば電子制御装置４０への出力信
号を０電圧の水流検出状態とし、通水量が所定の最低許
容流量以下となってオフとなれば所定電圧の水流不検出
状態とする水流検知手段１を構成する。この水流検知手
段１は実施例のようにスイッチ式のものに限らず、パル
ス発生式の流量センサと流量検出回路の組合せなど、任
意のものが使用できる。

【００１３】検出スイッチ３１ａの他方の端子には、ト
ランジスタ４６のベースが抵抗を介して接続され、この
トランジスタ４６はエミッタが接地され、コレクタは炎
検知回路４４の電子制御装置４０側に接続されている。
このトランジスタ４６のコレクタとエミッタ間は、検出
スイッチ３１ａがオンの状態では遮断され、オフの状態
では導通される。炎検知回路４４と電子制御装置４０の
ポート４０ｂの間に接続されたこのトランジスタ４６
は、水流センサ３１が水流を検出した状態では遮断され
て炎検知回路４４からの信号をそのまま電子制御装置４
０に伝達し、水流センサ３１が水流を検出しない状態で
は導通されてガスバーナ２０の燃焼炎の有無とは無関係
に炎検知回路４４からの信号を常に０電圧の炎不検出状
態として電子制御装置４０に伝達する信号修正手段６を
構成する。この信号修正手段６は実施例のようにトラン
ジスタを使用したものに限らず、水流検知手段１の形式
に応じて種々のものが使用できる。

【００１４】次に、先ず本実施例の通常の作動の説明を
する。給湯栓１８を閉じた状態では水流センサ３１の検
出スイッチ３１ａはオフであるので電子制御装置４０の
ポート４０ａには直流電源端子４７から所定電圧の水流
不検出信号が入力され、トランジスタ４６は導通してい
る。この状態では、電子制御装置４０は元電磁弁２２ａ
及び主電磁弁２２ｂを閉じ、比例電磁弁２２ｃを最小開
度として、ガスバーナ２０にガスを供給せず、瞬間湯沸
器を作動させない。

【００１５】給湯栓１８を開いて熱交換器１５を通る通
水量が所定の最低許容流量以上となれば水流センサ３１
の検出スイッチ３１ａがオンとなるので、電子制御装置
４０のポート４０ａには０電圧の水流検出信号が入力さ
れ、トランジスタ４６は遮断される。水流検出信号が入
力されたこの状態では、電子制御装置４０は元電磁弁２
２ａ及び主電磁弁２２ｂを開き、ガスバーナ２０にガス
を供給し点火装置（図示省略）により点火し、また電動
ファン２３を作動させて瞬間湯沸器を作動させる。フレ
ームロッド等の炎センサ３０によりガスバーナ２０の燃
焼炎を検出されて炎検知回路４４から電子制御装置４０
のポート４０ｂに所定電圧の炎検出信号が入力されれ
ば、電子制御装置４０は瞬間湯沸器の作動を続行させ、
湯温センサ３２により検出された出湯温度を水流センサ
３１により設定された温度と比較して、出湯温度が設定
温度となるように比例電磁弁２２ｃの開度を制御してガ
スバーナ２０へのガス供給量を制御し、またこれに応じ
て電動ファン２３の回転速度を制御して燃焼用空気量を
制御する。しかし、何らかの理由によりガスバーナ２０
の燃焼炎が検出されなければ炎検知回路４４から電子制
御装置４０のポート４０ｂに電圧０の炎不検出信号が入
力され、電子制御装置４０の一部により構成される安全
手段５が作動して、所定の短時間経過後に元電磁弁２２
ａ及び主電磁弁２２ｂを閉じ、比例電磁弁２２ｃを最小
開度としてガスバーナ２０へのガス供給を停止し、瞬間
湯沸器の作動を停止する。

【００１６】電子制御装置４０のポート４０ａ付近に短
絡または断線等の故障が生じて、検出スイッチ３１ａが
オフであるにもかかわらずポート４０ａの電圧が０にな
ると、熱交換器１５を通る水流がないにもかかわらず、
この水流があると誤って判断し、元電磁弁２２ａ及び主
電磁弁２２ｂを開き、ガスバーナ２０にガスを供給し点
火装置により点火して瞬間湯沸器の作動を開始させる。
しかしこの状態では電子制御装置４０と別個に設けたト
ランジスタ４６が導通しているので、炎センサ３０及び
炎検知回路４４によりガスバーナ２０の燃焼炎が検出さ
れても電子制御装置４０のポート４０ｂの電圧は０、す
なわち炎不検出信号が入力された状態となる。従って電
子制御装置４０の一部により構成される安全手段５が作
動して、所定の短時間経過後に元電磁弁２２ａ及び主電
磁弁２２ｂを閉じ、比例電磁弁２２ｃを最小開度として
ガスバーナ２０へのガス供給を停止し、瞬間湯沸器の作
動を停止する。

【００１７】上述のように、本実施例によれば、ポート
４０ａ付近の故障などにより、電子制御装置４０が誤作
動して、熱交換器１５を通る水流がないにもかかわらず
ガスバーナ２０にガスを供給して燃焼を開始しても、所
定の短時間経過後にガスバーナ２０へのガス供給は停止
され、燃焼が停止するので空焚きは防止される。また、
本来電子制御装置４０が備えている安全手段５を利用し
てガスバーナ２０へのガス供給を停止するので、空焚き
防止のために必要な部品は１個のトランジスタと２個の
抵抗で足り、配線を含む構造も簡単であるので、製造コ
ストの上昇は僅かで足りる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明によるガス燃焼機器の空焚き防止装置
の構成を示す図である。

【図２】 本発明によるガス燃焼機器の空焚き防止装置
の一実施例の全体構造図である。

【符号の説明】

１…水流検知手段、２…制御手段、３…弁駆動装置、４
…炎検知手段、５…安全手段、６…信号修正手段、１５
…熱交換器、２０…ガスバーナ、２１…ガス供給管、２
２…電磁弁装置。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱交換器を加熱するガスバーナへのガス
   供給管に設けた電磁弁装置と、この電磁弁装置を作動さ
   せる弁駆動装置と、前記熱交換器を通る水流を検出する
   水流検知手段と、この水流検知手段からの信号が水流検
   出状態にあるときには前記弁駆動装置を作動させ前記電
   磁弁装置を介して前記ガスバーナへのガス供給量を制御
   する制御手段と、前記ガスバーナの燃焼炎を検出する炎
   検知手段と、この炎検知手段からの信号が炎不検出状態
   にあるときは所定の短時間の経過後に前記弁駆動装置を
   停止させて前記ガスバーナへのガス供給を停止させる安
   全手段を備えてなるガス燃焼機器において、前記炎検知
   手段から前記安全手段への信号伝達経路に、前記制御手
   段とは別個に、前記水流検知手段からの信号が水流検出
   状態にあるときは前記炎検知手段からの信号をそのまま
   安全手段に伝達するが水流不検出状態にあるときは炎検
   知手段からの信号とは無関係に安全手段への信号を常に
   炎不検出状態とする信号修正手段を設けたことを特徴と
   するガス燃焼機器の空焚き防止装置。