JP2976126B2 - 耐熱キャップの製造方法 - Google Patents

耐熱キャップの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は耐熱キャップの製造方法に関し、更に詳しく
は、レトルト食品包装容器用などに好ましく用いること
ができる耐熱キャップの製造方法に関する。
〔従来の技術〕
従来、レトルト食品包装容器の耐熱キャップの製造方
法として、耐熱温度の高い金属などの素材で本体を成形
し、その天井内壁に比較的柔軟で密閉性の高い樹脂を内
張りし、キャプ本体内面に接着する方法が知られてい
る。
例えば低密度ポリエチレンのような熱可塑性樹脂で出
来ているライナー材は熱成形が容易で、衛生上も優れて
おり、また、適度の弾力性があることから容器キャップ
の密閉用ライナー材として広く用いられている。
一般にこのような耐熱キャップが装着されるレトルト
食品包装容器は、ガラスまたはその他の材質で形成され
る。また、レトルト食品はそのような包装容器の中で10
0℃以上の高温でしかも大気圧を超える高い圧力で殺菌
処理される必要がある。その上で、容器ごと中身を殺菌
処理した後、耐熱キャップの開栓トルクには、一般に4
〜15Kg−cmであることが要求される。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、上記の方法で製造された耐熱キャップは、
低密度ポリエチレンの軟化温度を上回る例えば90℃以上
の高温で熱処理されると熱収縮を起こし、開栓トルクの
低下や液洩れなど、容器の密閉性の極端な低下を引き起
こすという問題点があった。
そのため、従来の耐熱キャップの製造方法は、レトル
ト食品容器用のキャップの製造方法に向かないという問
題点があった。
本発明は、このような従来の問題点を解消するため、
高温高圧下で行われるレトルト処理にも十分耐えること
が出来、安定した開栓トルク値と密閉性をもっていて、
しかも従来のポリエチレン製キャップに備わっている優
れた密封信頼性、開封の容易性、内容物の香味の保存
性、衛生性など(以下、「ライナー性」という)を同様
に保持している耐熱キャップを得ることができる耐熱キ
ャップの製造方法を提供することを技術的課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記のような課題を解決するため、本発明の耐熱キャ
ップの第1の製造方法は、エチレンを主モノマーに含
み、密度が0.90〜0.95g/cm3の範囲の重合体を主成分に
した樹脂をキャップ本体の内側に接着してライナー部を
形成し、次いでそのライナー部の樹脂に吸収線量が200
〜700kGyの範囲となる電子線を照射してライナー材を架
橋重合体に変化させる。
本発明の耐熱キャップの第2の製造方法は、エチレン
を主モノマーに含み、密度が0.90〜0.95g/cm3の範囲の
重合体を主成分にした樹脂に、吸収線量が200〜700kGy
の範囲となる電子線を照射して架橋重合体を得、次い
で、その架橋重合体をキャップ本体の内側に接着し、ラ
イナー部を形成する。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明では、エチレンを主モノマーに含む低密度の重
合体を主成分にした樹脂に電子線を照射して架橋重合体
を得る。
エチレンを主モノマーに含む低密度の重合体の密度は
0.90〜0.95g/cm3、好ましくは0.91〜0.93g/cm3が好まし
い。
密度が0.90g/cm3未満の場合には、照射に必要な電子
線の吸収線量が1000kGyを超えるようになって実用的で
ない。0.95g/cm3を超える場合には樹脂としての弾力性
が低下し、また、キャップの外層を構成する金属のその
表面に接着されている接着層との接着性が低下し、ライ
ナー部分の剥離が発生するおそれもあって余り好ましく
ない。
エチレンを主モノマーに含む低密度の重合体として
は、例えば、密度が0.918g/cm3の低密度ポリエチレン、
密度が0.920g/cm3の線状低密度ポリエチレンなども好ま
しい。また、α−オレフィンとエチレンとが重合した化
合物で、密度が0.905g/cm3の超低密度ポリエチレンコポ
リマーなども好ましい。これらは単独で用いてもよく、
混合して組み合わせて用いてもよい。
本発明では上記のような重合体を主成分にした樹脂を
用いる。このような樹脂は、例えば中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン、結晶
性エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体などを、本発明の目的を損なわない範囲で含
んでいてもよい。
また、配合剤として二酸化チタン等の白色顔料、その
ほかにも、滑剤、酸化防止剤、熱安定剤、接着促進剤な
どを、本発明の目的を損なわない範囲で含んでいてもよ
い。
上記の重合体が主成分を構成している樹脂に対する電
子線の照射は、耐熱容器キャップ本体にライナー材とし
て接着後に行ってもよく、接着前に行ってもよい。
通常、耐熱容器キャップ本体の形成は金属で行うが、
本発明のキャップ本体は必ずしも金属製に限らない。ま
た、接着方法も問題にならない。
電子線照射には高エネルギー電子線加速器を用いると
よい。加速電子線の必要最小エネルギーはライナー材の
厚み及び密度から適宜に決定するとよい。例えばライナ
ー材の厚みが700μmの場合には、通常、1MeV以上のエ
ネルギーを電子線に加速するとよい。
本発明での重合体の電子線吸収量は200〜700kGy、好
ましくは400〜600kGyが望ましい。電子線吸収量が100kG
y以下では架橋反応率が低く耐熱性を向上させるまでの
物性変化を起こさせることは困難で、しかも、開栓トル
ク値の下限とされる4kg−cm未満のものや液漏れを起こ
すものが増え好ましくない。また、700kGyを越す電子線
吸収があっても、架橋率が飽和し、きわだった電子線照
射効果は見られなくなり、逆に分解反応が進行して異臭
が発生し、充填物への移行が心配され、余り好ましくな
い。
上記のような方法で得られる耐熱キャップは、レトル
ト食品に必要とされる高温高圧処理に対しても変質を起
こさないで容器本体のノズルの口縁部との良好な密閉性
を保持する。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
<実施例1> 低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3)に3MeVの加速
電圧の電子線を200kGy吸収線量で照射して架橋重合体を
得、この架橋重合体をライナー材に用い、キャップ本体
の内側に熱成形して5個の耐熱キャップを形成した。
次いで、所定のガラス容器に85℃のお湯を充填し、上
記の耐熱キャップをそのガラス容器口縁部に装着してシ
ーリング工程により密封した。
次に、121℃のレトルト処理槽の中で20分間容器内の
殺菌処理を行った後、キャップシール部の密封性を確認
し、開栓時の1次トルク値を測定した。トルク値の測定
は5回行い、その平均値()を算出した。
また、液漏れを生じたキャップの数が5個に対して何
個であるかも確認した。
結果を表1に示す。
<実施例2〜5> 電子線を200kGy吸収線量で照射する代わりに300,500,
700,1000kGy吸収線量で照射した他は実施例1と同様に
した。
結果を表1に示す。
<実施例6> 低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3)に代えて、線
状低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3)を用いた他は
実施例1と同様にした。
結果を表1に示す。
<実施例7〜10> 低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3)に代えて、線
状低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3)を用いた他は
実施例2〜5と同様にした。
結果を表1に示す。
<実施例11> 低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3)に代えて、超
低密度ポリエチレン系コポリマー(密度0.905g/cm3)を
用いた他は実施例1と同様にした。
結果を表1に示す。
<実施例12〜15> 低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3)に代えて、超
低密度ポリエチレン系コポリマー(密度0.905g/cm3)を
用いた他は実施例2〜5と同様にした。
結果を表1に示す。
<比較例1> 低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3)を電子線照射
しないで用いた他は実施例1と同様にした。
結果を表1に示す。
<比較例2> 電子線を100kGy吸収線量で照射した他は実施例1と同
様にした。
結果を表1に示す。
<比較例3> 低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3)に代えて、線
状低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3)を用いた他は
比較例1と同様にした。
結果を表1に示す。
<比較例4> 電子線を100kGy吸収線量で照射した他は比較例3と同
様にした。
結果を表1に示す。
<比較例5> 低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3)に代えて、超
低密度ポリエチレン系コポリマー(密度0.905g/cm3)を
用いた他は比較例1と同様にした。
結果を表1に示す。
<比較例6> 電子線を100kGy吸収線量で照射した他は比較例5と同
様にした。
結果を表1に示す。
上記の結果から、電子線照射していない場合はレトル
ト処理により極端に開栓トルクが低下し液漏れを起こす
ことがよりはっきりと分かった。これは低密度ポリエチ
レンからなるライナー材が熱収縮をおこし、容器口縁部
との接触面積が低下することに起因する。
また上記の結果から、電子線照射効果による開栓トル
ク値の上昇は電子栓吸収量の増加にともない増加するこ
とが分かった。
吸収線量は300〜700kGy、その中でも400〜600kGyの範
囲が最も好ましいことが分かった。
なお、レトルト処理後室温に静置し、トルクメーター
で測定した際の開栓時の1次トルク値を折れ線グラフで
第1図に「静開」と表題して示し、室温放置後容器底部
に衝撃を与えた後にトルクメーターで測定した際の開栓
時の1次トルク値を折れ線グラフで第2図に「打びん」
と表題して示す。なお、低密度ポリエチレンをLD/PE、
線状低密度ポリエチレンをLLD/PE、超低密度ポリエチレ
ン系コポリマーをVLD/PEで表した。
〔考案の効果〕
本発明は、上記のような構成で出来ているから、高温
高圧下で行われるレトルト処理にも十分耐えることが出
来、安定した開栓トルク値と密閉性をもっていて、しか
も従来のポリエチレン製キャップに備わっている優れた
ライナー性も保持している耐熱キャップを得ることが出
来る。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図は電子線照射量に対する開栓トルクの大
きさを示す折れ線グラフであって、第1図は静開につい
て、第2図は打びんについて表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08L 23:04 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29D 31/00 - 35/00 B65D 35/44 - 35/54 B65D 39/00 - 55/16 B65D 67/00 - 81/38 A61J 1/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレンを主モノマーに含み、密度が0.90
    〜0.95g/cm3の範囲の重合体を主成分にした樹脂をキャ
    ップ本体の内側に接着してライナー部を形成し、次いで
    そのライナー部の樹脂に吸収線量が200〜700kGyの範囲
    となる電子線を照射してライナー材を架橋重合体に変化
    させる耐熱キャップに製造方法。
  2. 【請求項2】エチレンを主モノマーに含み、密度が0.90
    〜0.95g/cm3の範囲の重合体を主成分にした樹脂に、吸
    収線量が200〜700kGyの範囲となる電子線を照射して架
    橋重合体を得、次いで、その架橋重合体をキャップ本体
    の内側に接着し、ライナー部を形成する耐熱キャップの
    製造方法。
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