JP2975968B2 - リン酸カルシウム被覆層の形成方法 - Google Patents
リン酸カルシウム被覆層の形成方法Info
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- JP2975968B2 JP2975968B2 JP2293713A JP29371390A JP2975968B2 JP 2975968 B2 JP2975968 B2 JP 2975968B2 JP 2293713 A JP2293713 A JP 2293713A JP 29371390 A JP29371390 A JP 29371390A JP 2975968 B2 JP2975968 B2 JP 2975968B2
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- phosphate coating
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- forming calcium
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Description
【発明の詳細な説明】 本発明は、リン酸カルシウム被覆層の形成方法に関す
る。
る。
生体インプラント材としては、金属やセラミックス等
の基材にアパタイト被膜を形成する方法として、プラズ
マ溶射法が注目を集めている。この方法は接合強度、生
体親和性、被膜の結晶性という点からは非常に有効で、
実際に使用され始めている。しかし、サンドブラスト処
理などの表面粗さを必要とするということと、また基材
自体が比較的大きく、平滑な面となり、ビーズ状のもの
や多孔体基材等への被膜形成は不可能であるという欠点
を持つ。
の基材にアパタイト被膜を形成する方法として、プラズ
マ溶射法が注目を集めている。この方法は接合強度、生
体親和性、被膜の結晶性という点からは非常に有効で、
実際に使用され始めている。しかし、サンドブラスト処
理などの表面粗さを必要とするということと、また基材
自体が比較的大きく、平滑な面となり、ビーズ状のもの
や多孔体基材等への被膜形成は不可能であるという欠点
を持つ。
他の被膜形成方法としては、リン酸カルシウムの硝
酸、塩酸溶液を塗布し、焼成する方法や、有機カルシウ
ム化合物、有機リン酸化合物を溶解した有機溶媒を塗布
液とした方法や、リン酸カルシウム系ガラス複合材で基
材を包囲し、静水圧等の処理をほどこし、金属−リン酸
カルシウム複合材を得る方法などがある。
酸、塩酸溶液を塗布し、焼成する方法や、有機カルシウ
ム化合物、有機リン酸化合物を溶解した有機溶媒を塗布
液とした方法や、リン酸カルシウム系ガラス複合材で基
材を包囲し、静水圧等の処理をほどこし、金属−リン酸
カルシウム複合材を得る方法などがある。
しかしこれらはそれぞれ欠点を持ち、まず硝酸、塩酸
溶液を塗布液とした場合は、リン酸カルシウム結晶が粒
状に析出するような膜形成であり、基材との密着強度に
問題がある。加えて強酸である為基材を腐蝕する恐れが
ある。次に有機溶媒からの被膜形成であるが、これは均
一な膜は得られるものの結晶性が悪く、基材表面の配向
に皮膜生成物の結晶形あるいは結晶性が影響され、例え
ば基材をチタン合金とした場合は非常に薄い場合にしか
水酸アパタイトが得られず、結晶性も良くない。また結
晶性の向上を計る為には800℃程度の加熱焼成が必要で
あり、基材を金属にした場合、基材の酸化あるいは粒成
長による機械的強度の低下が懸念される。最後に静水圧
等を用いる方法であるが、非常に高価な製造法となって
しまう。
溶液を塗布液とした場合は、リン酸カルシウム結晶が粒
状に析出するような膜形成であり、基材との密着強度に
問題がある。加えて強酸である為基材を腐蝕する恐れが
ある。次に有機溶媒からの被膜形成であるが、これは均
一な膜は得られるものの結晶性が悪く、基材表面の配向
に皮膜生成物の結晶形あるいは結晶性が影響され、例え
ば基材をチタン合金とした場合は非常に薄い場合にしか
水酸アパタイトが得られず、結晶性も良くない。また結
晶性の向上を計る為には800℃程度の加熱焼成が必要で
あり、基材を金属にした場合、基材の酸化あるいは粒成
長による機械的強度の低下が懸念される。最後に静水圧
等を用いる方法であるが、非常に高価な製造法となって
しまう。
上記に鑑み本発明は、加熱することなくリン酸カルシ
ウム被覆が行え、よって芯材の材質を限定することな
く、しかも結晶性の良いリン酸カルシウム被覆層の形成
方法を提供することを目的とする。
ウム被覆が行え、よって芯材の材質を限定することな
く、しかも結晶性の良いリン酸カルシウム被覆層の形成
方法を提供することを目的とする。
本発明の特徴は次の通りである。
本発明は、電着手段を使用してまず、リン酸カルシウ
ム前駆体の被覆層を形成し、次にオートクレーブを施し
てリン酸カルシウム被覆層を形成することにある。
ム前駆体の被覆層を形成し、次にオートクレーブを施し
てリン酸カルシウム被覆層を形成することにある。
リン酸カルシウム前駆体並びにリン酸カルシウム:Ca/
Pモル比が1.0〜1.7の範囲に含まれるもの、例えばハイ
ドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、リン酸四カ
ルシウム、ガラス化させたリン酸カルシウム等であり、
その製法は常法の通りである。
Pモル比が1.0〜1.7の範囲に含まれるもの、例えばハイ
ドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、リン酸四カ
ルシウム、ガラス化させたリン酸カルシウム等であり、
その製法は常法の通りである。
リン酸カルシウム前駆体:その一部乃至全部が目的と
するリン酸カルシウムでない状態にある時、例えば目的
とするリン酸カルシウムがハイドロキシアパタイトの場
合、前駆体としてリン酸カルシウム又はハイドロキシア
パタイトに一部リン酸三カルシウムが含まれているもの
等を示す。
するリン酸カルシウムでない状態にある時、例えば目的
とするリン酸カルシウムがハイドロキシアパタイトの場
合、前駆体としてリン酸カルシウム又はハイドロキシア
パタイトに一部リン酸三カルシウムが含まれているもの
等を示す。
電着手段;電気分解により電極の表面にリン酸カルシ
ウム前駆体を付着させる手段である。但し芯材電気電導
性を備えることを条件とする。例えば導電ポリマー、金
属、導電性を有する木、紙、セラミックス等である。
ウム前駆体を付着させる手段である。但し芯材電気電導
性を備えることを条件とする。例えば導電ポリマー、金
属、導電性を有する木、紙、セラミックス等である。
オートクレーブ:加圧下で加熱する手段であり、加圧
量1atm〜10atm、加熱量100℃〜200℃、加熱時間0.1〜10
0hr程度が好適である。しかしながら、加圧量、加熱量
が変化した場合、当然その時間も又変わることがあるか
ら、上記の範囲に特に限定するものではない。
量1atm〜10atm、加熱量100℃〜200℃、加熱時間0.1〜10
0hr程度が好適である。しかしながら、加圧量、加熱量
が変化した場合、当然その時間も又変わることがあるか
ら、上記の範囲に特に限定するものではない。
より、具体的な形成方法例を次に示す。未焼成ハイド
ロキシアパタイト粉末をHNO3溶液中に溶解して電解液を
形成する。この電解液を充填した槽体に2本の電極を挿
入する。一方の電極は、リン酸カルシウム被覆層を形成
する為の芯材で構成されている。直流定電圧電源(〜30
V)の出力と該2本の電極とをリード線にて接続する。
この場合、芯材からなる電極は、直流定電圧電源の
(−)極側の出力に接続する。
ロキシアパタイト粉末をHNO3溶液中に溶解して電解液を
形成する。この電解液を充填した槽体に2本の電極を挿
入する。一方の電極は、リン酸カルシウム被覆層を形成
する為の芯材で構成されている。直流定電圧電源(〜30
V)の出力と該2本の電極とをリード線にて接続する。
この場合、芯材からなる電極は、直流定電圧電源の
(−)極側の出力に接続する。
通電開始後、まもなく芯材表面にリン酸カルシウム前
駆体の被覆層が形成される。
駆体の被覆層が形成される。
次に芯材に130℃で2時間、オートクレーブ処理を施
す。このオートクレーブ処理を経て目的のリン酸カルシ
ウム被覆層が形成される。電解液に挿入する2本の電極
のうち芯材をどちらの極にするかは、電解液の組成等に
よって決定される。又、直流定電圧電源の出力電圧は、
上述した電圧値でなくてもよい。又直流に限らず、直流
パルスであってもかまわないものである。
す。このオートクレーブ処理を経て目的のリン酸カルシ
ウム被覆層が形成される。電解液に挿入する2本の電極
のうち芯材をどちらの極にするかは、電解液の組成等に
よって決定される。又、直流定電圧電源の出力電圧は、
上述した電圧値でなくてもよい。又直流に限らず、直流
パルスであってもかまわないものである。
以上詳述の如く本発明は、低い温度で、しかも均質な
リン酸カルシウム被覆層を形成できることから人工臓器
等、様々な用途に適用可能となる等の顕著な効果を有す
るものである。
リン酸カルシウム被覆層を形成できることから人工臓器
等、様々な用途に適用可能となる等の顕著な効果を有す
るものである。
実験例 合成ハイドロキシアパタイト5gを10%硝酸水溶液80ml
にとかし、アパタイトを分解させCaHPO4・2H2Oブルシャ
イト主体のリン酸カルシウム水溶液をつくったのち、10
%アンモニア水を少しずつ滴下してpH2.7に調整した液
を電解液とした。これをビーカーに入れチタン板を陽陰
極とし直流安定化電源につないで、100mAで約1分電解
したところ陰極表面にCaHPO4・2H2Oブルシャイトの被覆
層ができた。これを水に浸漬し、130℃で1hrオートクレ
ーブ処理を行ったのち、乾燥させたところ、ハイドロキ
シアパタイトの被覆層に変換した。
にとかし、アパタイトを分解させCaHPO4・2H2Oブルシャ
イト主体のリン酸カルシウム水溶液をつくったのち、10
%アンモニア水を少しずつ滴下してpH2.7に調整した液
を電解液とした。これをビーカーに入れチタン板を陽陰
極とし直流安定化電源につないで、100mAで約1分電解
したところ陰極表面にCaHPO4・2H2Oブルシャイトの被覆
層ができた。これを水に浸漬し、130℃で1hrオートクレ
ーブ処理を行ったのち、乾燥させたところ、ハイドロキ
シアパタイトの被覆層に変換した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−139693(JP,A) 特開 平3−191094(JP,A) 特開 昭61−34196(JP,A) 特開 平1−101977(JP,A) 特開 昭61−242968(JP,A) 特開 昭63−105764(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C25D 9/08 C25D 13/02 A61F 2/28 A61L 27/00
Claims (1)
- 【請求項1】芯材に電着手段を用いてリン酸カルシウム
前駆体の被覆層を形成した後、オートクレーブを施すこ
とによりリン酸カルシウム被覆層を形成することを特徴
とするリン酸カルシウム被覆層の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2293713A JP2975968B2 (ja) | 1990-11-01 | 1990-11-01 | リン酸カルシウム被覆層の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2293713A JP2975968B2 (ja) | 1990-11-01 | 1990-11-01 | リン酸カルシウム被覆層の形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04168297A JPH04168297A (ja) | 1992-06-16 |
JP2975968B2 true JP2975968B2 (ja) | 1999-11-10 |
Family
ID=17798276
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2293713A Expired - Lifetime JP2975968B2 (ja) | 1990-11-01 | 1990-11-01 | リン酸カルシウム被覆層の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2975968B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FI108403B (fi) * | 2000-02-25 | 2002-01-31 | Yli Urpo Antti | Yksil÷n kudosrekonstruktioon soveltuva materiaali |
PL2198076T3 (pl) * | 2007-10-03 | 2016-09-30 | Sposób wytwarzania metalu o właściwościach biobójczych | |
JP5248848B2 (ja) | 2007-12-11 | 2013-07-31 | 山八歯材工業株式会社 | インプラントの製造方法及び人工歯根の製造方法 |
-
1990
- 1990-11-01 JP JP2293713A patent/JP2975968B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04168297A (ja) | 1992-06-16 |
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