JP2975946B2 - 高速移動体用の衛星航法装置 - Google Patents

高速移動体用の衛星航法装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばロケット推
進力等を用いた飛翔体等の高速移動体に搭載され、複数
個の測位信号発信衛星が発する電波を受信して当該高速
移動体の位置及び速度を計測する衛星航法装置に関し、
特に発進時等の高加速度運動下における測位精度の向上
に関する。
【0002】
【従来の技術】人工衛星を利用する測位システムとして
はNAVSTAR/GPS(Navigation System using
Time and Ranging/Global Positioning System、以下G
PSと略す。)やGLONASS(Global Navigation
Satellite System)があり、特にGPSはアメリカ空軍
から民間利用に一部解放されて、位置計測手段として近
年広く世間に認識され利用されるようになってきてい
る。
【0003】これら測位システムはいずれも衛星軌道上
に複数の測位信号発信衛星(GPS衛星又はGLONA
SS衛星)を配し、これら測位信号発信衛星はそれぞれ
所定周波数の電波で擬似雑音符号を発信している。利用
者はこれら測位信号発信衛星のうち、4個の衛星が発す
る電波を同時に受信して、受信位置の3次元座標及び速
度ベクトルを計測できる。
【0004】図4は従来より用いられている衛星航法装
置である多チャンネルGPS航法装置の概略のブロック
構成図である。空中線2で受信されたGPS衛星からの
受信信号電波は、装置本体4内のRF/IF部6にて、
高周波(Radio Frequency)から中間周波数(Intermedi
ate Frequecy)に周波数変換される。変換された受信信
号は、信号処理部8に入力される。信号処理部8は、相
関器/復調器10における受信信号との相関が最大とな
るキャリアNCO(Numerical Control Oscillator:数
値制御発振器)12の出力信号の周波数から、衛星と移
動体との相対速度によって生じる受信信号のドプラシフ
ト量を求める。相関器/復調器10における相関結果
は、測位演算処理部14のMPU(Micro Processing U
nit)16に渡され、このMPU16がキャリアNCO
12の出力周波数を制御する。つまり相関器/復調器1
0、MPU16及びキャリアNCO12がキャリア周波
数をトラッキングするキャリアロックループを構成す
る。信号処理部8はコードNCO18及びPRN(Pseu
do Random Noise:擬似雑音)符号発生器20を有し、
これらと相関器/復調器10及びMPU16とが、PR
N符号の位相をトラッキングするコードロックループを
構成する。なお、図では簡単のため、信号処理部8は一
セットしか示していないが、実際にはチャンネル数に応
じた数のセットが含まれる。また測位演算処理部14
は、GPS信号の処理を行い、装置を搭載した移動体の
位置、速度といった航法データを計算するコンピュータ
であり、そのための処理プログラムを格納したり、演算
データをバッファしたりする目的でメモリ22を有して
いる。
【0005】さて、上記構成の一般用途のGPS航法装
置では、それを搭載した移動体が大きな加速度で移動し
てドプラシフトが大きくなると、周波数のトラッキング
ループが追従できなくなり、周波数の探索に要する時間
が大きくなる。特に、移動体の移動方向に近い衛星ほ
ど、それが顕著となる。この問題の解決を図る従来技術
として以下のものが提案されている。
【0006】図5は、第一の技術に係るGPS航法装置
の概略のブロック構成図である。この装置が図4に示す
装置と異なる点は、センサ30を備えている点である。
このセンサ30は移動体の速度及び進行方向を検出する
ものであり、検出された速度ベクトル情報は、測位演算
処理部14に供給される。測位演算処理部14は、この
速度ベクトル情報を用いることによって、高加速度運動
下においても、ドップラシフトをある程度の精度で推定
することができ、その推定値に基づいて受信信号のトラ
ッキングを行うことにより、トラッキングを迅速に行い
常に精度良い移動体の位置、速度を提供しようというも
のである。
【0007】また、第二の技術は、ブロック構成上は、
図4と同一であるが、MPU16の測位演算の時間間隔
を短くするというものである。測位演算の間隔を短くす
れば、一回の測位演算当たりのドプラシフトを小さくす
ることができ、これによりトラッキングの追従を維持し
ようというものである。
【0008】第三の技術は、図4に示す相関器/復調器
10、MPU16及びキャリアNCO12で構成される
キャリアロックループの時定数を小さくするというもの
である。つまりフィードバックを速くすることにより、
ドプラシフト量の急激な変化に対してもトラッキングの
追従を維持しようという方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記第一の技
術では、従来のGPS航法装置に加えて、移動体の速度
及び進行方向を検知するセンサと、これをMPU16に
接続するインターフェース回路が必要であり、装置が複
雑になるとともに、コスト増となるという問題があっ
た。また、速度ベクトルを検知するセンサは、機械的に
動作する部分を含んでいる場合、大きな加速度が生じ得
る状況下で故障する心配もある。また、これに対する安
全策としてセンサの堅牢化や二重化などを講じると、セ
ンサの大型化、重量増加という問題が生じる。
【0010】また、上記第二の技術では、測位演算を高
速で行う必要があるため、MPU16を高速演算可能な
もので構成しなければならないといった問題や、出力デ
ータの伝送速度を高速にしなければならないといった問
題があった。
【0011】さらに上記第三のトラッキングループの時
定数を速くするという方法では、帯域が広がり、安定度
が劣化するという問題点があった。
【0012】本発明は上記問題点を解決し、簡単な構成
で、移動体の例えば発進時の急激な速度変化に対しても
衛星からの電波をトラッキングし続け、常に精度の良い
移動体の位置及び速度を求め、例えば高速飛翔体などの
移動体の安全かつ正確な航行を可能とする衛星航法装置
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高速移動体
用の衛星航法装置は、予定された高加速度運動での前記
高速移動体の移動方向及び移動速度を含んだ移動体予定
航法データを当該高加速度運動の開始前にあらかじめ記
録する記憶器と、前記高加速度運動の期間内は、直前に
前記測位信号発信衛星から得た衛星航法データと、前記
記憶器から読み出された当該高速移動体の前記移動体予
定航法データとに基づいて粗ドプラシフトを推定するド
プラシフト予測器と、この粗ドプラシフトに基づいて受
信信号トラッキング動作を開始し、精密ドプラシフトを
求めて前記受信信号を捕捉するトラッキング手段と、前
記トラッキング手段により捕捉された前記受信信号に基
づいて前記高速移動体の位置及び速度を算出する測位演
算器とを有することを特徴とする。
【0014】本発明によれば、高速移動体が例えば自身
の推進機関などの制御可能な力によって高加速度運動を
行おうとする際に、その推進力等の制御計画などから予
測された、高加速度運動下での移動体の移動方向と移動
速度との時間的変化である移動体予定航法データが、記
憶器に記録される。高加速度運動を開始する前において
は、本装置は、従来の装置と同様に、例えばGPS衛星
などの測位信号発信衛星が発信する電波を受信、追従
し、自己の位置、速度といったデータの他、測位信号発
信衛星が発信する当該衛星の位置、軌道といった衛星航
法データも取得している。高速移動体が、例えばロケッ
トの打ち上げ時のような高加速度運動を開始すると、ド
プラシフト予測器が、時刻に応じた移動体予定航法デー
タを記憶器から読み出し、この読み出された移動体予定
航法データと、直近に取得された衛星航法データから推
定される衛星の位置等とに基づいて、当該時刻のドプラ
シフトを予測する。この予測されたドプラシフトは近似
的なものであるので、トラッキング手段は、この予測さ
れたドプラシフト、つまり粗ドプラシフトを、例えば受
信信号の捕捉するトラッキング動作の初期値として用い
ることにより、トラッキングを迅速に行い、正確なドプ
ラシフト量及びPRN符号の位相を決定することができ
る。測位演算器は、これら精密ドプラシフト等に基づい
て、高速移動体の位置及び速度を算出する。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、ロケットエンジンなどを推
進機関とする高速飛翔体に搭載され使用される本発明の
実施形態である衛星航法装置について図面を参照して説
明する。
【0016】図1は、本発明の実施形態である高速飛翔
体用の多チャンネルGPS航法装置の概略の構成を示す
ブロック構成図である。図4と同一の機能を有する構成
要素には、同一の符号を付し、説明を簡略に済ますこと
とする。
【0017】各GPS衛星は、情報をスペクトラム拡散
処理して、それぞれ同じ周波数の電波で発信している。
空中線2で受信された各GPS衛星からの受信信号は、
互いに混合されたまま、RF/IF部6で中間周波数に
周波数を落とされ、そして複数設けられた信号処理部8
に入力される。この信号処理部8において、各GPS衛
星からの信号が分離される。ちなみに、GPS衛星は、
地球上の全ての点で基本的に少なくとも4つ同時に良好
に見えるように軌道上に配置されている。これは、三次
元測位には4つの衛星との擬似距離が必要であるからで
ある。よって、本装置は信号処理部8を少なくとも4セ
ット備えている。それらはそれぞれ同一構成であるの
で、図1には、簡単のためそのうちの1セットのみを示
したが、実際には各セットは、RF/IF部6と測位演
算処理部14の間に並列に設けられる。
【0018】測位演算処理部50のMPU52は、GP
S衛星が送信するアルマナックデータから取得した衛星
の位置等の航法データと、現在の装置の推定位置とに基
づいて、その位置から見えるGPS衛星つまり可視衛星
を選択し、各可視衛星からの受信信号のトラッキングを
各信号処理部8に分担させる。各信号処理部8は、各衛
星からのGPS受信信号をトラッキングして、GPS受
信信号のドプラシフト量及び、擬似距離に対応づけられ
る位相ずれの量を出力する。以上の測位演算処理部50
及び信号処理部8の処理は従来と基本的には同じであ
る。
【0019】測位演算処理部50はコンピュータであ
り、各信号処理部8から得られたドプラシフト量及び位
相ずれ量を基に、装置を搭載した機体の位置、速度とい
った航法データを計算する。メモリ54は、従来同様、
MPU52で用いる測位演算のための処理プログラムを
格納したり、演算データをバッファしたりする機能を有
している。このように、測位演算処理部50からは機体
の三次元的な位置、速度が出力され、例えば機体の飛行
を制御するために用いられる。
【0020】次に、本装置の特徴的内容について詳しく
説明する。図2は、高速飛翔体の発進時の移動速度の時
間変化を示す模式的なグラフである。図において、横軸
が時間t、縦軸が速度Vである。時間原点は、機体の発
射の時刻に採られている。図は、ロケット推進機関の立
ち上がりなどのためにt=0の極めて近傍では比較的緩
やかに速度が増加するが、その後は非常に大きな加速
度、例えば数Gで速度が増大する様子を示している。一
方、本実施形態における移動方向は、発射直後一定期間
は一定の方向、例えば垂直上方である。
【0021】これら発射直後の移動速度、移動方向の特
性は、エンジンの特性、機体重量に基づいてシュミレー
ション等の計算的方法によって相当良い精度であらかじ
め求めることができる。また、同一機体を用いて実験に
より求めることもできる。
【0022】本装置のメモリ54に関する特徴は、上述
した従来のプログラム等の格納以外に、機体が高加速度
運動を行う上記発進時の移動方向及び移動速度の予測値
を格納することである。格納されるデータは、例えば移
動速度については、図2のグラフを例えば所定時間間隔
で離散化したものである。この時間間隔は必ずしも等間
隔でなくてもよい。時刻ti(i=1〜n)における移
動速度の予測値をVi、移動方向の水平方位の予測値を
θi、仰角の予測値をφiとする。一般的には、メモリ5
4には、4つの値(ti,Vi,θi,φi)からなる移動
体予定航法データデータDi(i=1〜n)が格納され
る。本実施形態では、移動方向は、垂直上方の期間にの
み上記移動体予定航法データDiを用いた処理を行うの
で、移動方向の予測値はその間一定であり、これを省略
することもできる。つまり、Di=(ti,Vi)とする
こともできる。
【0023】図3は、MPU52における航法データ計
測プログラムの処理概要を示すフロー図である。ちなみ
に、この航法データ計測プログラムもメモリ54に格納
されている。
【0024】まず、発進前のスタンバイ状態では、MP
U52はメモリ54に移動体予定航法データDiを格納
する(S100)。この移動体予定航法データDiがM
PU52によって計算されるような構成も可能である
が、より一般的には、あらかじめ他の計算機によるシュ
ミレーション等の方法によって求めた移動体予定航法デ
ータDiを、機体外部からインターフェースを介してM
PU52に伝送し、MPU52が所定の形式でメモリ5
4に格納するという方法が採られる。ここで、所定形式
とは、後にこのデータを読み出すプログラムに合わせた
形式であり、通常は、配列の形で、メモリ54上に連続
的に格納される。なお、メモリ54はRAM(Random A
ccess Memory)であるが、移動体予定航法データDiが
固定的な場合には、メモリ54に格納する代わりに、移
動体予定航法データDiを格納されたROM(Read Only
Memory)を用いる構成も可能であり、この場合には処
理S100は特に必要ない。
【0025】スタンバイ状態においては、GPS衛星か
らの受信信号に基づいて通常の測位演算が行われている
(S102)。航法データ計測プログラムの初期化も行
われ、ここで、移動体予定航法データDiの添字に相当
する引数iも初期値0に設定される(S104)。プロ
グラムは、発射台からの発射指令等によって発射を認識
すると(S106)、機体の航法データの計測処理を開
始する。図には、明示していないが、プログラムは、M
PU52のクロックのカウント又は機体に別途搭載され
た時計からの時刻データにより発射時刻からの経過時間
を把握している。
【0026】プログラムは、iをインクリメントして、
i=1とし(S108)、このiを引数としてメモリ5
4に格納された移動体予定航法データDiの配列から設
定時刻t1をレジスタに読み込み(S110)、現実の
時刻tとの比較を行う(S112)。時刻tがt1とな
ると、移動体予定航法データDiの移動速度や移動方向
の予測値をレジスタに読み出し(S114)、処理S1
02において選択された各GPS衛星に対する相対速度
が求められ、これに基づきドプラシフトにより遷移した
受信周波数であるドプラ周波数が予測される(S11
6)。このように、本装置のMPU52は、ドプラシフ
ト予測器としての機能を有する。なお、処理S116で
は、処理S102で得ている発射時におけるGPS衛星
の衛星航法データ、つまり位置、軌道から推定された時
刻tでのGPS衛星の位置、移動方向及び速度が用いら
れる。
【0027】算出されたドプラ周波数の予測近似値はト
ラッキングループ制御データとして、信号処理部8のキ
ャリアNCO12に設定される(S118)。信号処理
部8は、このドプラ周波数の予測値を初期値として、時
刻t1におけるトラッキング動作を開始する(S12
0)。したがって、高加速度運動により、ドプラシフト
量が大きい場合であっても、近似的なトラッキング達成
状態から動作が開始されるので、トラッキング動作の収
束が極めて迅速である。MPU52は、キャリアNCO
12の制御と同時に、コードNCO18を制御して、P
RN符号発生器20が発生するPRN符号の位相をずら
し、受信信号に含まれるPRN符号とPRN符号発生器
20が発生するPRN符号との相関出力が最大となる位
相を探索する(S120)。このようにして、周波数、
位相ともにトラッキングが達成されると、相関器/復調
器10、MPU52及びキャリアNCO12で構成され
るキャリアロックループと、相関器/復調器10、MP
U52、コードNCO18及びPRN符号発生器20で
構成されるコードロックループが閉じられる。そしてG
PS衛星が発射するGPS信号が追尾され(S12
0)、エフェメリスデータ及び擬似距離データから通常
と同様の測位演算が行われ、時刻t1における機体の位
置、速度といった航法データが算出される(S12
2)。
【0028】本装置では、上述の移動体予定航法データ
Diを読み出して測位演算を行うという処理は、ある設
定された時刻まで行われる。つまり終了時刻となると
(S124)、プログラムはこのループを抜け出して本
装置に特有の処理は終了する(S126)。以降は通常
のトラッキング処理、測位演算処理が行われる。なお、
処理S124の判定は、iを用いて行ってもよい。この
場合は、引数iが移動体予定航法データDiの数nに達
していたら処理を終了する(S126)。
【0029】一方、この終了時刻に達しない間(S12
4)は、処理は処理S108に戻り、処理S108〜S
122が繰り返される。すなわち、iが1から2、3、
…と順にインクリメントされて、上記同様の処理が行わ
れる。ここで、トラッキングの対象となるGPS衛星、
つまり機体からの可視衛星は時刻とともに変化するの
で、i=k(k≧2)の場合は、可視衛星は逐一選択し
直される。また処理S116において用いられる可視衛
星の選択、及び衛星航法データの推定は、i=k−1に
おける処理S120でトラッキングされたGPS信号か
ら得られる最新の衛星航法データに基づいて行うことが
精度を良好に維持する上で好ましい。
【0030】なお、上記移動体予定航法データDiに
は、時刻tiが含まれていたが、上記トラッキング動作
を一定時間間隔で行う場合など、この時刻tiを引数i
の関数としてMPU52が容易に算定できる場合には、
あらかじめメモリ54にtiを格納しておく必要はな
い。この場合には、処理S110は、MPU52による
ti算定処理に置き換わる。また、トラッキング動作の
間隔は、例えば、10-2秒程度のオーダーである。この
時間間隔を大きくすると、高速飛翔体の航行制御の精度
の低下を招くおそれがあるので、その観点からはあまり
時間間隔を大きくすることは望ましくないが、本装置の
トラッキング動作の高速性という効果自体は、この間隔
がある程度大きくても実現されるものである。
【0031】ここで、高加速度運動の持続時間は、それ
ほど長くなく、例えば、100〜101秒のオーダーであ
り、このことと上記時間間隔とから容易に計算できるよ
うに、移動体予定航法データDiのデータ容量は、現在
市販されている1個のメモリチップの数MBという容量
に比較すれば微々たるものである。したがって、大抵の
場合、移動体予定航法データDiを従来の装置のメモリ
の空き容量に格納することができる。つまり、本装置
は、ハードウェア上は、特別な構成要素を付加すること
なく実現される。
【0032】なお、本発明は、高速移動体であれば、特
に推進機関がロケットであるものに限らず適用すること
ができるものである。
【0033】
【発明の効果】本発明の高速移動体用の衛星航法装置に
よれば、高速移動体の速度、進行方向といった移動体予
定航法データをあらかじめ航法装置に記憶させ、発進時
などの高加速度運動下では、このデータを用いて衛星か
らの受信信号に対するトラッキングループを制御するの
で、ドプラシフトの変化量が大きくなる場合でも、非常
に高速にトラッキングを達成でき、衛星信号に対する追
尾性能が向上するという効果が得られる。このため、移
動体の航法データ取得のリアルタイム性が向上し、高速
運動下における移動体の精密な航行制御が可能になると
いう効果が得られる。しかも、本発明によれば、上記移
動体予定航法データを従来装置が有するメモリの空き容
量に格納することもでき、ハードウェア上の新たな構成
要素の追加をすることなく、また特別な高速処理が可能
な回路構成も不要な簡単な構成で、上記性能向上が安定
した動作で実現されるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態である高速飛翔体用の多チ
ャンネルGPS航法装置の概略の構成を示すブロック構
成図である。
【図2】 高速飛翔体の発進時の移動速度の時間変化を
示す模式的なグラフである。
【図3】 本装置における航法データ計測プログラムの
処理概要を示すフロー図である。
【図4】 従来の多チャンネルGPS航法装置の概略の
ブロック構成図である。
【図5】 改良が図られた従来のGPS航法装置の概略
のブロック構成図である。
【符号の説明】
2 空中線、6 RF/IF部、8 信号処理部、10
相関器/復調器、12 キャリアNCO、18 コー
ドNCO、20 PRN符号発生器、50 測位演算処
理部、52 MPU、54 メモリ。
フロントページの続き (72)発明者 新井 雅巳 東京都三鷹市下連雀五丁目1番1号 日 本無線株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−252817(JP,A) 特開 昭56−24833(JP,A) 特開 平6−289117(JP,A) 特開 平4−339283(JP,A) 特開 平4−262996(JP,A) 特開 平2−157678(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01C 21/24 G01S 5/00 - 5/14 H04B 7/185 JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高速移動体に搭載され、複数個の測位信
    号発信衛星からの受信信号に基づいて前記各測位信号発
    信衛星までの擬似距離と前記各受信信号のドプラシフト
    とを測定し、前記高速移動体の位置及び速度を算出する
    衛星航法装置において、 予定された高加速度運動での前記高速移動体の移動方向
    及び移動速度を含んだ移動体予定航法データを当該高加
    速度運動の開始前に予め記録する記憶器と、 前記高加速度運動の期間内は、直前に前記測位信号発信
    衛星から得た衛星航法データと、前記記憶器から読み出
    された当該高速移動体の前記移動体予定航法データとに
    基づいて粗ドプラシフトを推定するドプラシフト予測器
    と、 この粗ドプラシフトに基づいて受信信号トラッキング動
    作を開始し、精密ドプラシフトを求めて前記受信信号を
    捕捉するトラッキング手段と、 前記トラッキング手段により捕捉された前記受信信号に
    基づいて前記高速移動体の位置及び速度を算出する測位
    演算器と、 を有することを特徴とする高速移動体用の衛星航法装
    置。
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