JP2975073B2 - 微小試験片の動的衝撃試験装置 - Google Patents

微小試験片の動的衝撃試験装置

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JP2975073B2
JP2975073B2 JP2253113A JP25311390A JP2975073B2 JP 2975073 B2 JP2975073 B2 JP 2975073B2 JP 2253113 A JP2253113 A JP 2253113A JP 25311390 A JP25311390 A JP 25311390A JP 2975073 B2 JP2975073 B2 JP 2975073B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、材料の破壊靭性に関連する特性(遷移温
度、弾塑性破壊靭性等)を評価するために、微小試験片
に動的な衝撃荷重を与え、この衝撃荷重により微小試験
片に生じる荷重と変位との関係を測定する動的衝撃試験
方法及びその装置に関する。
[従来の技術] 金属材料の劣化を示す指標の一つは、シャルピー衝撃
試験において吸収エネルギーの急減する温度、即ち延性
−脆性遷移温度(Ductile−Brittle−Transition−Temp
erature;以下、「DBTT」と略記す)である。
金属材料からなる構造物の余寿命を予測する際に、最
も重要な材料の破壊強度評価を精度を上げるためには、
構造物から直接に採取した試験片について衝撃試験を施
し、上記DBTTを求める必要がある。
しかし、原子炉構造材や発電用ロータ材等においては
採取可能な試験片の体積が極めて少量に制限されるた
め、衝撃試験に供される試験片は極力に小さくさせるこ
とが好ましい。そこで近年は、極めて微小な試験片を用
いた小型パンチ(small punch)試験方法が開発されて
いる。この試験方法では、微小試験片に対して圧縮試験
機により衝撃圧縮、即ち静的な衝撃荷重を与え、これに
よる微小試験片の応力と変位との関係を検出して記録す
る。このようにして得られた荷重−変位曲線に対する温
度依存性を解析することにより、DBTTが予測される。こ
のような静的な小型パンチ試験(以下、静的SP試験と称
す)により予測されるDBTTは、シャルピー衝撃試験によ
り得られるDBTTと良い相関関係を示す。
尚、静的SP試験については、日本原子力研究所JAERI
−meno62−193(1987年5月)高橋秀明他著「小型パン
チ(SP)試験方法(案)」に詳細に記載されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、静的SP試験により予測されるDBTTの絶
対値は、シャルピー衝撃試験によるものよりも極めて小
さい。そのため、特に高い靭性を有する材料の場合に
は、静的SP試験によりDBTTを予測することは困難であ
る。
このDBTTの絶対値の相違が生じる主な要因としては、
シャルピー衝撃試験と静的SP試験との試験片の変形速度
の相違が挙げられる。シャルピー衝撃試験におけるハン
マー速度、即ち変形速度が5×103mm/s程度である。そ
れに対し静的SP試験における変形速度は、0.1〜1.0mm/s
(通例は、0.5mm/s)であり、非常に遅い。
本発明は係る問題点に鑑みて成されたものであり、そ
の目的とするところは、静的SP試験に用いられるのと同
程度の微小な試験片を用いても、高い変形速度を達成で
き、シャルピー衝撃試験により得られるDBTTを正確に予
測可能であり、高い靭性を有する材料にも適用可能な動
的衝撃試験方法及びその装置を提供することにある。
同時に、この試験方法及び装置が、衝撃荷重を与えら
れて破壊に至るまでの試験片の荷重と変位との関係を連
続的に測定できるように構成することも本発明の課題の
一部である。
[課題を達成するための手段] 一方、本発明に係わる動的衝撃試験装置は、上記目的
を達成するために、材料の微小試験片に対して動的な衝
撃荷重を負荷させ、この衝撃荷重により上記試験片に生
じる荷重と変位との関係を測定する試験装置であって、
上記試験片を固定させる固定手段と、この固定手段で固
定された上記試験片の上面に下端が当接された打撃手段
と、この打撃手段の上方に、衝撃手段と同軸に且つ上記
試験片の上面に対して垂直をなすように配置された中空
管部材と、この中空管部材の内部の上方から下方に向け
て、上記打撃手段の上端に衝突するように落下可能であ
り、この衝突に伴い打撃手段の下端が微小試験片を打撃
することにより、上記試験片に対して動的な衝撃荷重を
負荷させる移動体と、この移動体を上記中空管部材内の
上方の所定の高さ位置に解除可能に保持させる保持手段
と、保持解除されて落下した上記移動体と上記打撃手段
との衝突から、衝突荷重により上記試験片が破壊に至る
までの過程に亘って、上記打衝手段に生じる荷重を連続
的に検出する荷重検出手段と、保持解除されて落下した
上記移動体と上記打撃手段との衝突から、衝突荷重によ
り上記試験片が破壊に至るまでの過程に亘って、上記打
撃手段に生じる軸方向の変位を連続的に検出する変位検
出手段と、これら荷重検出手段及び変位検出手段の検出
値を記録する荷重変位記録手段とを備え、この記録され
た荷重と変位とから、上記試験片に生じる荷重と変位と
の関係が連続的に測定されることを特徴とする。
また、本発明では、上記の移動体は、質量の相違する
複数のものが用意されているので、これら質量の相違す
る移動体を選択的に使用することにより、この移動体の
運動エネルギーを増減させることができ、任意の衝撃荷
重を負荷させることができ、能率的かつ正確な試験を行
うことができる。
[作用] 上述の動的衝撃試験方法によれば、移動体から打撃手
段を介する打撃により、微小試験片に動的な衝撃荷重が
与えられることになる。ここで移動体が所定の速度に加
速されているため、試験片の変形速度は、圧縮試験機に
よる衝撃圧縮のような静的な衝撃荷重に比して、極めて
高い速度を達成できる。また、移動体から打撃手段に負
荷される荷重を連続的に検出し、且つ打衝手段の変位を
連続的に検出することにより、微小試験片の荷重と変位
との関係がリアルタイムに測定される。
また、上述の動的衝撃試験装置によれば、中空管部材
は、落下中の移動体に対する外部からの干渉を防ぐと共
に、移動体の落下方向を規制する。この中空管部材を落
下する移動体は、重力により加速されているので、比較
的に大きな運動エネルギーを持ち得る。従って、移動体
と打撃手段との衝突により、打撃手段が微小試験片を打
撃する際には、比較的に大きな衝撃荷重を試験片に与え
得る。また、移動体との衝突により打撃手段に生じる荷
重と変位とは、それぞれ荷重検出手段と変位検出手段と
により連続的に検出される。これら各検出手段の検出値
を荷重変位記録手段に記録することにより、試験片の荷
重と変位との関係がリアルタイムに測定される 尚、移動体の落下速度を圧縮空気流により加速させる
と、自然落下速度以上の速度を達成できるので、衝撃荷
重を一層に高めることが可能である。
また、質量の異なる移動体を用いることにより、移動
体の運動エネルギーを増減できるので、衝撃荷重の増減
が可能である。
[実施例] 本発明に使用する微小試験片の形状としては、例えば
10×10×0.5(または0.25)mmの角形試験片、0.25×3mm
φの透過電子顕微鏡用試験片等が考えられる。以下の実
施例では、10×10×0.5mmの角形標準試験片を使用する
場合について説明する。
第1図及び第2図において、台車2(第1図)には基
台が搭載され、基台4の上には筐体6が設置されてい
る。筐体6の内部では、微小試験片が円筒状の金属製治
具(固定手段)10に固定される。具体的には、第3図に
示すように、治具10の下部構造をなす下部ダイ10cの窪
部12に微小試験片8を水平に装着する。窪部12に接する
試験片8の下面は、好ましくはバフまたは電解研磨によ
り滑かに研磨し、研磨傷が試験片8の破壊発生に影響を
及ぼさないように鏡面状態に仕上げておく。但し、結晶
粒界が現れないように研磨する。上記窪部12は、第4図
に示すように、下部ダイ10cの中央部に角状に形成さ
れ、その各辺の幅は、例えば10−0mm〜10+0.1mmとす
る。この窪部12の四隅には、試験片8の取外しを容易に
するために、穴12aを形成するのが好ましい。更に、下
部ダイ10cの窪部12の上方は、円筒状の凹部10dとして形
成されている。この凹部10dには、治具10の上部構成を
なす上部ダイ10aの凸部10bが遊嵌される。そして、試験
片8を窪部12に装着した状態で、上部ダイ10aと下部ダ
イヤ10cとを、例えば対角に配置された形4個の捩子穴1
4aにそれぞれ締結捩子14bを螺合させ、互いに締め付け
る。これにより、試験片8が治具10に固定される。締結
捩子14bの締め付けに際し、試験片8における不均一な
応力分布を防ぐように、4本の締結捩子14bを均等に締
め付けるためには、トルクレンチの使用が望ましい。ま
た、治具10の外側には、円筒管状の金属製リング(規制
手段、遮蔽手段)16が嵌合されている。このリング16
は、治具10の横方向移動を規制し、試験片8の位置の芯
出しをなす。これにより試験片8の位置が適性位置へ整
合される。更に、このリング16の外周には後述のヒータ
18を取り付けてもよい。
第2図に示す実施例においては、筐体6の内部に、耐
熱材で形成されたポット(断熱容器)20が治具10を収容
するように設置されている。このポット20には、冷却媒
体や加熱媒体を充填可能である。例えば、本発明の試験
方法を低温下で実施させる際には、ドライアイスや液体
窒素、或いはこれらの混合物等の冷媒が充填される。こ
の場合、上記リング16が試験片8を冷媒から遮蔽するの
で、冷媒が試験片8に直接に接触する不都合は生じな
い。そして、非加熱状態のヒータ18、リング16及び治具
10を介する冷媒からの熱伝導により、試験片8が冷却さ
れる。一方、本発明の試験方法を高温下で実施させるに
は、ヒータ18でリング16を過熱し、このリング16及び治
具10の熱伝導により試験片8を加熱させる。また、第2
図に点線で示すように、各種の媒体の供給源22とポット
20とを配管22aで接続し、ポット20内へ所望の媒体、例
えば高温ガスや低温ガスを供給させることも可能であ
る。何れの場合も試験片8の周囲の温度、即ち試験温度
[℃(゜K)]は、第3図及び第5図に示す温度検出器
(温度検出手段)24により検出される。この温度検出器
24は、その温度センサ(検出部)24aが治具10の上下ダ
イ10a,10bの間の溝14に配置されている。この温度セン
サ24aによる検出温度は、温度検出器24の表示器24bに表
示される。
上記筐体6の上蓋26の中央部には開口(図示せず)が
形成され、この上記開口からはインプットバー(打撃手
段)30の上端の荷重受部30aが突出されている。このイ
ンプットバー30は、特に第5図に明らかなように、上端
の荷重受部30aと下端の打撃部30cとが軸部30bで連結さ
れてなる。荷重受部30aの上面は平坦に形成されてい
る。また、打撃部30cの先端は半球状に形成されてい
る。或いは半球状の形成に代えて、打撃部30cの先端に
鋼球を取り付けてもよい。このインプットバー30は、そ
の打撃部30cが試験片8の上側水平面に当接した状態で
直立姿勢に配置される。この場合、軸部30bが上部ダイ1
0aの案内孔16に挿通されることにより、インプットバー
30の上記配置姿勢が保持された状態で静止される。
また、上記台車2には長尺な鉛直取付板40が支持され
ている。取付板40には、その鉛直方向に昇降可能なシリ
ンダ42を介して支持板44が取り付けられている。この支
持板44には、取付板40に対して平行をなすように、且つ
インプットバー30と同軸をなすようにパイプ(中空管部
材)60が支持されている。
このパイプ60の内部には、例えば第6図に示すような
概ね円筒状のストライカバー(移動体)100が落下され
る。このストライカバー100は、比較的に高重量の材質
からなる。また、その先端面(図示の下側)は、インプ
ットバー荷重受部30aの上面とほぼ同面積に、且つ平坦
に形成されている。パイプ60のインプットバー30に対向
する下端側は開口され、ここでストライカバー100がイ
ンプットバー荷重受部30aと衝突する。
第7図に示すように、パイプ60の上方における外壁60
aに、ストッパー挿通口60bが形成されて、この挿通口60
bには、ストライカバー保持用ストッパー(保持手段)8
0が挿通されている。ストッパー80は通常はスプリング8
2の付勢によりパイプ60の内部へ押し込まれ、ストライ
カバー100を落下前の初期高さ位置に保持する。この保
持は、図示しない制御装置の指令によりソレノイド84を
駆動させ、ストッパー80をスプリング82に抗して後退さ
れることにより解除される。この解除と同時にストライ
カバー100がパイプ60内を下方へ発射、即ち落下され
る。このストッパー80の上方のパイプ60の上端は、その
外周に取付ブロック62を備えている。取付ブロック62
は、パイプ60の内部へ連通する連通孔64を備えている。
取付ブロック62には、パイプヘッド66が装着され、両者
に螺合された捩子68により固定されている。パイプヘッ
ド66の上面には、連通孔64へ連通する管継手70の下端が
接続されている。この管継手70には、その上端側からバ
ルブ72の下部が挿入されている。管継手70から突出した
バルブ72の側方には、ジョイント74が接続されている。
ジョイント74からは、パイプ60内ヘストライカバー100
の落下速度を加速させるための圧縮空気流が供給され
る。即ち、ストライカバー100が落下する際には、スト
ライカバー100の基端側に圧縮空気を吹き付け、その押
圧力により、ストライカバー100の落下速度を自然落下
速度以上に加速できる。
ストライカバー100の落下速度[mm/sec]は、第2図
及び第5図に示すように、パイプ60の異なる2個所の高
さ位置にそれぞれ配置された落下速度検出器(落下速度
検出手段)90a,90bにより測定される(第5図において
は検出器90aのみを示す)。これら検出器90a,90bの各々
は、発光素子92と受光素子94との一対の素子を備えてい
るこれら素子92,94はパイプ60の内径を挟むように対向
して配置されている。また、パイプ60の外壁60aには、
各検出器90a,90bの高さ位置の各々について、その上方
へ適宜な距離をもって圧縮空気の逃し孔60c,60dが形成
されている。ここで、上部側検出器90a及び上部側逃し
孔60cは、比較的に長尺な長さlのストライカバー100の
ために設けられ、下部側検出器90b及び下部側逃し孔60d
は短尺な長さl/2のストライカバー100のために設けられ
ている。例えば長さlのストライカバー100が落下して
上部側素子92,94の配置位置を通過する際は、発光素子9
2から受光素子94への光の伝達が遮断されることによ
り、受光素子94が通過信号を発生する。その直後に、圧
縮空気が上部逃し孔60cを通じてパイプ60の外部へ開放
される。従って、落下速度が検出された後に、ストライ
カバー100がインプットバー30に衝突する際には、圧縮
空気による押圧力がストライカバー100に作用する不都
合が防止される。同様に長さl/2のストライカバー100が
落下して下部側検出器90bの配置位置を通過する際に
は、その受光素子が通過信号を発生し、その直後に、圧
縮空気が下部逃し孔60dを通じてパイプ60の外部へ解放
される。それらの通過信号は、増幅器110で増幅された
後、例えばメモリースコープ(落下速度記録手段)150
の表示部150aに表示されると共に、メモリースコープ15
0に内蔵されたメモリー(図示せず)に記憶される。そ
して、ストライカバー100の落下開始時からこれら通過
信号が発生するまでの時間差、及びストライカバー100
の初期高さ位置から上部側素子または下部側素子までの
距離に基づいて、ストライカバー落下速度を演算により
求め得る。
上記パイプ60は、シリンダ42の駆動により支持板44と
一体的に取付板40に沿って昇降可能である。即ち、パイ
プ60は、試験実行の際には第1図及び第2図に示される
下降位置におかれ、筐体6における試験片8の着脱等の
作業の際には、作業の妨げとならないように上昇され
る。
シリンダ42は、第8図に示すコンプレッサ(圧縮空気
供給手段)46が生成する圧縮空気により駆動される。こ
れらシリンダ42とコンプレッサ46とを接続する管路48に
は、シリンダ42の駆動圧を調整するための圧力計付き圧
力調整器50a、シリンダ42の上下動を切換えるための切
換弁52、この切換えの際の騒音を抑制する消音器54、及
び圧縮空気のシリンダ42への供給量を制御し、パイプ60
の昇降速度を制御するための逆止め弁付き流量制御弁56
a,56bが配置されている。ここで制御弁56a,56bは、第1
図においては取付板40に取り付けられたスピードコント
ローラ56a,56bとして示されている。
また、コンプレッサ46は、ジョイント74への圧縮空気
の供給源も兼ねる。コンプレッサ46とジョイント74とを
接続する管路76には、圧力計付き圧力調整器、即ち落下
速度調整器50b、管路76を開閉するソレノイドバルブ78
が配置されている。ストライカバー100の落下速度は、
調整器50bによる空気圧調整により、任意に調整可能で
ある。即ち、調整器50bによる種々の調整圧力値に応じ
たストライカバー100の落下速度を速度検出器90a,90bで
測定することにより、圧力値と落下速度との相関関係が
得られる。この相関関係に基づいて調整器50bを調整す
ることにより、所望の落下速度を設定できる。例えば調
整器50bによる空気圧の調整範囲を0〜5kgf/cm2とする
と、ストライカバー100の落下速度は、圧縮空気を使用
しない自然落下(約3m/s)から15m/sまでの範囲で任意
に設定できる。このストライカバー100の落下速度及び
/または質量の変更により、ストライカバー100の運動
エネルギーを調整できる。
落下されたストライカバー100がインプットバー30の
荷重受部30aに衝突すると、打衝部30cが試験片8を打撃
し、試験片8を変形させる。
ストライカバー100とインプットバー30との衝突の際
にインプットバー30に生じる荷重は、インプットバー30
の軸の上部に設けられた歪みゲージ34により測定され
る。この歪みゲージ34は、インプットバー30の軸に対し
て対称に2個4を配置し、この2個の歪みゲージ34の出
力の平均値を測定値とするのが好ましい。これは、スト
ライカバー100とインプットバー30との片当たり等の影
響を防ぎ、測定精度を向上させるためである。この歪み
ゲージ34の検出信号は増幅器120で増幅された後、例え
ばメモリースコープ(荷重変位記録手段)150の表示部1
50aに表示されると共に、上記内蔵メモリーに記憶され
る。これにより歪みゲージ34の検出信号の時間変化が、
例えば10μsec単位で計測される。この計測値εを次
式、 P=σA =εEA (ここで、Pは荷重、σは応力、Aはインプットバー30
の断面積[mm2]、Eはヤング率[kgf/mm2]) に従って計算することにより、衝突の際にインプットバ
ー30に生じる荷重[kgfまたはN]が求まる。
また、インプットバー30の軸方向の変位[mm]は、レ
ーザ距離計(変位検出手段)36(第2図のみに示す)に
より測定される。このレーザ距離計36から照射されレー
ザビームLBは、インプットバー30の荷重受部30aの外周
に形成された傾斜面32を反射面として反射され、レーザ
距離計36で受光される。このレーザビームLBの照射と受
光との時間差に基づいてインプットバー30の軸方向変位
が測定される。ここで傾斜面32の表面は、反射効率を良
くするために滑かに仕上げられている。このレーザ距離
計36との検出出力は、増幅器130で増幅された後、メモ
リースコープディスプレイ150aに表示され、且つ上記内
臓メモリーに記憶される。尚、本発明例における傾斜面
32は、インプットバー30の軸に対して下方に45゜をなし
ている。従ってインプットバー30の変位dは、レーザ距
離計36の測定値をMとすると、 として算出される。
この変位d、及びストライカバー100の落下速度の算
出は、増幅器110,130またはメモリースコープ150の出力
を例えばマイクロコンピュータ等の演算装置(図示せ
ず)に与え、自動的に実行させてもよい。更に、この演
算装置やメモリースコープ150にプリンター(図示せ
ず)を接続して、各検出値や算出値を記録紙に記録させ
る構成としてもよい。
上記のような試験装置による試験方法が実施手段は以
下の通りである。
(A)試験片8を治具10に装着する。
(B)インプットバー30を上部ダイ10aの案内孔16に挿
通する。
(C)室温以外の温度下で試験を実行する場合は、ポッ
ト20に冷媒または加熱媒体を充填するか、ヒータ16によ
る加熱を開始する。
(D)試験温度が設定温度に達したら上蓋26を閉じ、シ
リンダ42の駆動によりパイプ60を下降させる。
(E)パイプヘッド66をパイプ60の取付ブロック62から
外し、パイプ60にストライカバー100を挿入する。この
場合、ストライカバー100はストッパー80により初期位
置に保持される。
(F)取付ブロック62へ再びパイプヘッド62を装着し、
固定する。
(G)メモリースコープ150等の記録機器を待機状態に
する。
(H)ソレノイド84を駆動させ、ストッパー80によるス
トライカバー100の保持を解除させる。ここでストライ
カバー100を重力加速度以上に加速させる場合は、保持
解除と同時にコンプレッサ46からジョイント74へ圧縮空
気を供給させ、ストライカバー100を加速させる。
(I)ストライカバー100の落下終了後、シリンダ42の
駆動によりパイプ60を上昇させる。
(J)ストライカバー100をインプットバー30の上端か
ら取り外し、試験片8を治具10から取り外す。
次に、上記試験装置による二つの試験例1,2について
説明する。
試験例1に用いた角形標準試験片は、Cr−Mo材であ
り、その化学組成(wt%)を第1表に示す。
また、この試験例1に用いたストライカバー100は重
量115gfであり、その落下速度を変化させた。測定温度
は室温(22゜)である。
第9図は試験例1の荷重と変位との時間的変化の測定
結果を示す。
ストライカバー100の落下速度、即ち試験片の変形速
度Vが、3.38m/secでは試験片に微小なクラックが生
じ、5.22m/secではクラックが貫通し、更に5.22m/secで
はストライカバー100が試験片を貫通した。第9図の荷
重の時間的変化から明らかなように、ストライカバー10
0の落下速度が早くなるにつれて荷重の脈動現象が少な
くなり、7.36m/secでは荷重の時間的変化が滑らかな曲
線となった。一方、変位の時間的変化を参照すると、落
下速度が早くなるにつれて変位が滑らかに増加してい
る。また、これら荷重と変位との時間的変位の挙動を比
較すると、変形速度が3.38m/sec及び5.22m/secの場合、
最大荷重以前に荷重が低下するときには、変位量が時間
と共に増大せず、ほぼ一定値を与えていることが観察さ
れる。この荷重の脈動は、ストライカバー100がインプ
ットバー30に衝突した後、跳ね返ることにより生じてい
るものと推察される。しかしながら変位速度を大きくす
ると、即ちストライカバー100の運動エネルギーを増大
させると、前述の跳ね返りの影響を低減でき、滑らかな
荷重変位曲線を得ることができる。第10図に第9図の時
間的変化に対応させて求めた荷重−変位曲線を示す。荷
重−変位曲線の下の面積が動的SPエネルギー、即ち本発
明の動的衝撃試験において試験片の破壊までに費やされ
るエネルギーである。クラックが試験片の板厚を貫通す
る変位速度5.22m/secと7.36m/secの条件下で得られた荷
重−変位曲線は、ほぼ近い挙動を示している。従ってス
トライカバー100の落下速度をインプットバー30が試験
片を貫通する速度以上の値に設定すれば、妥当な動的SP
エネルギーを決定できるものと判断される。
一方、試験例2では、実稼動のタービンから採取した
シャルピー衝撃試験片についてシャルピー衝撃試験を施
した後、このシャルピー衝撃試験片から作成した角形標
準試験片について本発明の動的衝撃試験を施した。この
試験例2に供した材料は、蒸気温度530℃で約13万時間
使用された2種類のタービンロータ鋼M,Tであり、それ
らの化学組成と機械的性質を第2−1表、第2−2表に
示す。ここでロータ鋼のオーステナイト粒径は、ロータ
鋼Mが約17μm、ロータ鋼Tが約100μmである。シャ
ルピー衝撃試験片の加工及び試験は、JIS Z2202及び22
42に準拠して実施した。微小試験片は、シャルピー衝撃
試験後の各試験片から角形標準試験片を採取し、上面を
耐水研磨紙1500番で研磨し、下面は鏡面状態まで仕上げ
た。また、試験温度は液体窒素温度(−198゜)から85
゜までの範囲とした。試験終了後、試験片をエタノール
で洗浄してから走査型電子顕微鏡により破面を観察し
た。
第11図にロータ鋼Mを用いた本発明の動的衝撃試験で
得られた荷重−変位曲線を示す。比較のため、従来の静
的SP試験で得られた荷重−変位曲線も併せて示す。動的
衝撃試験における変形速度は8×103mm/secである。動
的衝撃試験で得られる荷重−変位曲線は、静的SP試験で
得られるものと類似の挙動を示し、試験温度の上昇に伴
い、最大荷重と変位の増加が見られる。
第12図にロータ鋼M,Tの動的SPエネルギーの遷移曲線を
示す。各温度において動的SPエネルギーのばらつきがみ
られる。特に粗粒なロータ鋼Tの延性−脆性遷移温度域
におけるデータのばらつきが著しい。
このロータ鋼Tの破面の走査型電子顕微鏡観察によれ
ば、−40゜では破面の大部分が粒界型脆性破面を示し、
−10゜では延性破面を含む粒界型脆性破面を示し、22゜
(室温)では100%延性破面を示していた。このような
破面の観察からも延性−脆性遷移挙動は明らかである。
尚、"J.Kameda,D.Buck,Materials Science and Enginee
rling,83(1988)29)によれば、脆性破壊を示す温度域
においてSPエネルギーのばらつきは粒界における不純物
偏析と密接な関係があることが指摘されており、これが
本実験例におけるばらつきの原因と考えられる。
第13図及び第14図は、それぞれロータ鋼M,Tにおいて
変形速度を3.3×10-3mm/sec、3.3mm/sec、8×10-3mm/s
ecと変化させることにより求めたSPエネルギーの遷移曲
線である。これらに示す各温度からの実験点は第12図に
示すように得られたばらつきを有するデータの各温度で
の平均値である。第13図によれば、ロータ鋼Mの動的SP
エネルギーのDBTT(以下、SPDBTTと称す)は、3.3×10
-3mm/secのとき、−125℃であり、変形速度の上昇に従
って、−95℃、−85℃まで上昇している。第14図によれ
ば、ロータ鋼TのSPエネルギーのDBTTは、−105℃から
−65℃、−20℃まで上昇している。変形速度を約2.5×1
03倍にすることにより、ロータ鋼Mは80℃のDBTTの上昇
を示すのに対し、ロータ鋼Tでは85℃の上昇効果を示
す。この結果を用いて、第15図に示すようにCVDBTT(シ
ャルピーV字切欠試験の場合のDBTT)との相関関係を求
めた。ここで得られたSPDBTTとCVDBTTとの相関関係は、
「高橋秀明他、日本機械学会論文(A編)、55(1989)
1619」により、静的SP試験で既に得られている関係、即
ちTSP=α×TCV(但し、TSPはSP試験の温度、TCVはシャ
ルピーV字切欠試験の温度、α=0.35が成り立つことが
確認された。また、変形速度が103倍、2.5×103倍に増
加すると、αの値が0.45、0.54に上がることを示してい
る。
[発明の効果] 以上説明したように本発明の動的衝撃試験方法及び装
置によれば、加速された移動体を打撃手段に衝突させる
ことにより、打撃手段から微小試験片に動的な衝撃荷重
を与えるようにしたので、高い変形速度を達成できる。
しかも試験片が破壊に至るまでの打撃手段の荷重と変位
とを連続的に検出するようにしたので、変形中の試験片
の荷重と変位との関係をリアルタイムに測定できるとと
もに、質量の相違する移動体を選択することにより、そ
の運動エネルギーを変化させ、任意の衝撃荷重を負荷さ
せることができ、容易かつ正確に試験を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係わる動的衝撃試験装置を
示す側面図、第2図は第1図の装置の要部を破断して示
す正面図、第3図は第2図における試験片の装着状態を
示す拡大断面図、第4図は第3図における下部ダイの平
面図、第5図は第1図及び第2図の装置の検出系を示す
ブロック図、第6図は第2図におけるストライカバーの
斜視図、第7図は第1図におけるパイプの上部構造の要
部を破断して示す拡大断面図、第8図は第1図の装着に
おける圧縮空気の供給系を示すエアー配管図、第9図は
試験例1における荷重と変位との時間的変位を示す線
図、第10図は試験例1における荷重−変位曲線を示す線
図、第11図は試験例2における荷重−変位曲線を示す線
図、第12図は試験例2における動的SPエネルギーの遷移
曲線を示す線図、第13図及び第14図は試験例2において
変形速度を変化させた場合の動的SPエネルギーの遷移曲
線を示す線図、第15図は動的SPエネルギーとCVDBTTとの
相関関係を示す線図である。 8……微小試験片、10……治具(固定手段)、16……リ
ング(規制手段、遮蔽手段)、18……ヒータ、20……ポ
ット(断熱容器)、24……温度検出器(温度検出手
段)、24a……温度センサ(検出部)、30……インプッ
トバー(打撃手段)、32……傾斜面(反射面)、34……
歪みゲージ、36……レーザ距離計(変位検出手段)、46
……コンプレッサ(圧縮空気供給手段)、60……パイプ
(中空管部材)、90a,90b……落下速度検出器(落下速
度検出手段)、100……ストライカバー(移動体)、150
……メモリースコープ(荷重変位記録手段、落下速度記
録手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋田 俊之 宮城県仙台市宮城野区五輪2丁目1―5 ―902 (72)発明者 周 永漢 宮城県仙台市太白区三ケ峯2―2―2 コルーデンハイツ岩谷E―107号 (72)発明者 時津 和博 東京都北区堀船2丁目20番46号 日本た ばこ産業株式会社機械技術開発センター 内 (72)発明者 根井 敏昭 東京都北区堀船2丁目20番46号 日本た ばこ産業株式会社機械技術開発センター 内 (56)参考文献 全国大会講演会講演論文集,68,[A ](1990年9月14日発行),社団法人日 本機械学会,p.359−361 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 3/00 - 3/62

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】材料の微小試験片に対して動的な衝撃荷重
    を負荷させ、この衝撃荷重により上記試験片に生じる荷
    重と変位との関係を測定する試験装置であつて、 上記試験片を固定させる固定手段と、 この固定手段が固定された上記試験片の上面に下端が当
    接された打撃手段と、 この打撃手段の上方に、打撃手段と同軸に且つ上記試験
    片の上面に対して垂直をなすように配置された中空管部
    材と、 この中空管部材の内部の上方から下方に向けて、上記打
    撃手段の上端に衝突するように落下可能であり、この衝
    突に伴い打撃手段の下端が微小試験片を打撃することに
    より、上記の試験片に対して動的な衝撃荷重を負荷させ
    るとともに、質量が互いに相違する複数の移動体と、 これらの移動体を選択的に保持するとともに上記中空管
    部材の上方の所定の高さ位置にこの移動体を解除可能に
    保持させる保持手段と、 保持解除されて落下した上記移動体と上記打撃手段との
    衝突から、衝撃荷重により上記試験片が破壊に至るまで
    の過程に亘って、上記打衝手段に生じる軸方向の変位を
    連続的に検出する変位検出手段と、 これら荷重検出手段及び変位検出手段の検出値を記録す
    る荷重変位記録手段とを備え、 この記録された荷重と変位とから、上記試験片に生じる
    荷重と変位との関係が連続的に測定されることを特徴と
    する微小試験片の動的衝撃試験装置。
  2. 【請求項2】上記固定手段が、この固定手段の横方向へ
    の移動を規制して、上記試験片を所定位置に整合させる
    ように、上記固定手段の外周に嵌合された規制手段を備
    えることを特徴とする請求項1に記載の微小試験片の動
    的衝撃試験装置。
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