JP2974337B2 - 自動焦点調節装置 - Google Patents

自動焦点調節装置

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JP2974337B2 JP1233835A JP23383589A JP2974337B2 JP 2974337 B2 JP2974337 B2 JP 2974337B2 JP 1233835 A JP1233835 A JP 1233835A JP 23383589 A JP23383589 A JP 23383589A JP 2974337 B2 JP2974337 B2 JP 2974337B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はビデオカメラに係り、さらに詳しくはビデオ
カメラの自動焦点調節装置(AFシステム)に関するもの
である。
(従来の技術) 近年、ビデオカメラを始めとする映像機器の発展はめ
ざましく、あらゆる面で小型化、自動化、多機能化がは
かられ、その一環として、ほとんどのビデオカメラにお
いて自動焦点調節装置が標準的に装備されるに至ってい
る。
自動焦点調節装置にも種々の方式があるが、特にビデ
オカメラは、静止画を撮影するスチルカメラと異なり、
移動する被写体に対して連続して焦点を合わせ続ける必
要があるため、動く被写体に対して合焦状態を保つため
の性能が重要である。
そしてこのような観点から、自動焦点調節装置の性能
を見るポイントとして、安定性と即応性を上げることが
できる。安定性とはフォーカシングレンズが不必要に動
作しない事、すなわち合焦の状態から不必要にフォーカ
シングレンズが移動してボケを生じるような誤動作を起
こさないことを意味する。また即応性とは、フォーカシ
ングを行う場合、適切な方向判定、速度制御を行い、す
みやかに合焦状態へとフォーカシングレンズを動作させ
ることである。動画としての適切な自動焦点調節装置
は、この2点を適切にバランスさせ、画像の変化に対し
て適切な過度応答を実現させる必要がある。このために
は、現在の焦点状態が合焦であるか否かを知る情報およ
び確実なモータ方向、速度制御情報を得る必要がある。
また近年のビデオカメラでは、被写体の距離等に関係
なく焦点調節を行えるとの理由から、画像信号中から焦
点状態に応じて変化する信号成分を抽出し、その信号に
基づいて焦点調節を行う方式が広く採用される傾向にあ
る。
(発明の解決しようとする課題) 画像信号からこれらの情報を得る方式AFシステムで
は、現在大別して2種の方式がある。
一方は光路変調を行って焦点検出を行う変調方式、他
方は試行方式である。
前者の変調方式は、ピエゾ素子等でレンズあるいは撮
像素子等を周期的に振動して光路変調し、積極的に前ピ
ン、後ピン情報、合焦状態の判別情報を得るもので、確
実かつ高速に現在の合焦状態およびフォーカシングモー
タの駆動方向情報を得ることができる長所を有する反
面、ピエゾ素子およびその駆動回路等の付加により光像
的に複雑かつ高価となる短所を有する。
また後者の試行方式は、フォーカシングモータを駆動
した結果、変化した画像信号からフォーカシングレンズ
の移動方向、合焦状態等のAF制御情報を得るもので、先
ずフォーカーシングレンズを微小変移させる(試行す
る)ことから試行方式と呼ばれている。これは変調方式
のような複雑な構造を必要とせず低価格で実現できる
が、フォーカスの試行動作に時間がかかり、変調方式に
比較して本質的に、画像の時間変化と、試行による変化
の判別が不可能となる確立が高くなるため、得られた制
御情報にあいまいさが多くなる。
このため、試行方式では、フォーカス制御情報を単純
な閾値と比較して制御する2値制御においては、一度合
焦した後の再起動判定を行った場合、誤判定が多く、合
焦しているにもかかわらずフォーカシングモータが再起
動して画像がボケることによる画質の劣化が顕著とな
る。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、上述の問題点を解決するためになされたも
ので、その請求項1の発明の特徴とするところは、撮像
信号中より抽出した焦点状態に応じて変化する所定の焦
点信号を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽
出された前記所定の焦点信号のレベルが増大する方向に
レンズを駆動して焦点調節を行う焦点制御手段と、前記
レンズが合焦点に到達して焦点調節動作を停止した後、
前記焦点信号の変化に応じて前記焦点制御手段を再起動
させる再起動判定手段とを備え、前記再起動判定手段
は、前記レンズを微小駆動することによって得た前記焦
点信号レベルの複数の情報に基づき、前記焦点信号レベ
ルの変化の大きさに応じて非合焦判定を行い、前記複数
の焦点信号のレベルの変化から前記焦点信号レベルが極
値であるか、またはピーク点近傍であるかを検出して合
焦判定を行い、前記非合焦と判定されたとき前記焦点制
御手段を再起動するように構成されている自動焦点調節
装置にある。
また請求項2に記載の発明によれば、撮像信号中より
抽出した焦点状態に応じて変化する所定の焦点信号を抽
出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された前
記所定の焦点信号のレベルが増大する方向にレンズを駆
動して焦点調節を行う焦点制御手段と、ズームを行うズ
ーム手段と、前記レンズが合焦点に到達して焦点調節動
作を停止した後、前記焦点信号の変化に応じて前記焦点
制御手段を再起動させる再起動判定手段とを備え、前記
再起動判定手段は、前記レンズを微小駆動することによ
って得た前記焦点信号レベルの複数の情報に基づき、前
記焦点信号レベルの変化の大きさに応じて非合焦判定を
行い、非合焦と判定されたとき前記焦点制御手段を再起
動するように構成されるとともに、前記ズーム手段が動
作中である場合には、ズーム手段が非動作のときより
も、再起動しやすくなるように構成された自動焦点調節
装置を特徴とする。
(実施例) 以下、本発明における自動焦点調節装置を、各図を参
照しながら、その実施について詳述する。
第1図は本発明のビデオカメラの自動焦点調節装置の
構成を示すブロツク図である。
同図において、フォーカシングレンズ101を通過した
入射光は、CCD等の撮像素子およびその信号処理回路か
らなる撮像ブロツク102を介して画像信号103として出力
される。画像信号103は、直接およびハイパスフィルタ1
04を介して信号処理回路105に入力される。信号処理回
路105では画像の合焦判定情報として高周波信号成分、
正規化エッジ信号およびこれらの複合信号が取り出され
る。
AD変換器106は、これらの信号をAD変換し、マイクロ
コンピユータ(以下マイコンと称す)107に供給する。
マイコン107は、これらの信号から、フォーカシングレ
ンズ駆動用のフォーカスモータMの駆動速度を決定し、
フォーカスドライバ108を介してフォーカシングレンズ1
01を制御する。またマイコン107は、フォーカスモータ
の駆動速度決定にあたり、補助情報として、被写界深度
を計算するため、ズームエンコーダ109、アイリスエン
コーダ110より、それぞれ焦点距離情報、絞り値情報の
を取り込み速度演算に使用する。これは焦点調節時にお
いて、被写界深度に応じてフォーカシングレンズの位置
敏感度が変化するからである。
信号処理回路105で取り出す高周波信号成分および正
規化エッジ信号のフォーカシングレンズ位置に対する変
化特性を第2図に示す。同図において、201は高周波信
号成分の変化特性、203は正規化エッジ信号の変化特性
を示す。ここで高周波成分はHPFによつて抽出された輝
度信号の高周波成分であり、正規化エッジ信号は、たと
えば本出願人の出願による特開昭62−103616号、特開昭
63−128878号等で詳細に述べられているように、HPFを
通過した高周波信号成分を微分した微分値をコントラス
トで正規化することによつて得た被写体像のエッジ部分
の幅に相当する信号成分を演算したものである。
そして、これらの信号はいずれも合焦時にピークを形
成するため、フォーカス制御を基本的にこのピークへ向
けてフォーカシングレンズを駆動して山登り制御を行う
ことにより、実現される。
高周波信号成分と正規化エッジ信号との違いは、合焦
点近傍におけるピークの急峻さにある。正規化エッジ信
号は、合焦近傍のみで急峻なピークを形成し、合焦点か
ら大きく離れた位置でほとんど山を生じないため、確実
な合焦判定情報を持つ。それに対して高周波成分情報
は、なだらかなピークを形成し、画像が大ぼけの状態で
も、フォーカシングレンズの駆動方向の判定が可能とな
るように設定されている。
205はフォーカシングレンズ101を無限遠方向へ移動さ
せた場合の正規化エッジ信号の微分値で、合焦点近傍で
ピークを形成する。この信号は後で述べるように、合焦
時におけるフォーカスモータの停止判定に使用される。
同図中、点線で示す202,204は各々被写界深度が深く
なった場合の高周波信号および正規化エッジ信号の特性
で、傾きが緩やかになつて平坦な特性になる。
このため、被写界深度が深くなった場合、この傾き変
化に応じて、通常の特性曲線201,203に基づいて設定さ
れた制御データの補正を行う必要がある。
ここで正規化エッジ情報について説明する。第3図
(a)はエッジ部分の画像信号、同図(b)はその微分
波形である、301は被写体が高コントラストの場合、302
は低コントラストの場合の信号レベルを表わす波形であ
る。
そして合焦判定に必要な情報は傾斜部の幅Δxであ
る。同図(b)の微分波形303について考えてみると、
その高さΔhはコントラストに依存する。したがってそ
のピーク点を頂点とする山の部分の面積(S)304もコ
ントラストに依存する。この波形を三角形とみなせば、
面積Sは、 S=Δx・Δh で与えられ、したがつて Δx=S/Δh となり、コントラストに依存しないすなわち正規化され
たエッジ傾斜部の幅Δxが得られる。信号処理回路105
は、この演算処理を行うものあるが、回路自体は前述し
た先行例等を用いて実現することができるので、説明は
省略する。
本発明における制御アリゴリズムの概略を第4図に示
す。基本的には制御ループは2つあり、step1でフォー
カスモータを移動制御し、step2で合焦判定を行い、合
焦ならstep3でモータを停止し、非合焦ならstep1へ戻っ
てモータの駆動制御を続けるように動作するフォーカス
モータ制御ループと、step2で合焦と判定されて停止し
たフォーカスモータを再び起動するため、合焦点を外れ
たか否かを判定して再起動の判定を行うstep4による再
起動判定ループである。そして実際の制御動作は、いず
れかの制御ループをフィールドに1回まわることにな
り、各判定ルーチンの結果に応じてこれらのループ間の
遷移する。
step1で示すフォーカスモータ制御ルーチンについて
説明する。
これは前述の如く第2図の信号波形にしたがつて山登
り制御を行うものであり、高周波成分信号からフォーカ
シングレンズの駆動方向判定を行い、正規化エッジ信号
から合焦点を検出するものである。
ここで問題となるのは、実際の撮影時には、ノイズお
よび被写体によるローカルピーク、すなわち撮影者が意
図しない位置に波形のピークが生じ、ボケたままフォー
カシングレンズが停止してしまうような誤動作である。
これはシステムとして重大な欠陥となる。このため、フ
ォーカシングモータ制御入力情報は、フィルタ、アベレ
ージング等の処理により、このような場合にできるだけ
停止しにくくし、最大ピークを確実に登る事ができるよ
うにすることが必要である。
合焦→停止判定は、step2の合焦判定すなわち停止判
定ルーチンが行う。これは第2図に示す正規化エッジ信
号微分値205が、合焦直前にピークを形成する事を利用
し、このピークを検出した次のゼロクロス点を合焦点と
判断してフォーカスモータを停止させる事により行われ
る。フォーカスモータ停止後、step4に示す再起動判定
ループへ移行する。
再起動判定ループでは、被写体画像のボケを検出し、
フォーカシングモータを再起動するか否かを判断する。
この部分では正確に合焦か否かを判定する必要がある。
もし、ボケを合焦と誤判断する割合が高いと、合焦点を
はずれても再起動できず重大な欠陥となるし、合焦を非
合焦と誤判断し、フォーカシングモータを再起動する割
合が高いと、フォーカス状態が不安定となり、非常に品
位を悪化させる。
このため、再起動判定ルーチンでは、入力情報が変化
して画像が変化した事を検出した後、フォーカシングを
微小量変移させ、合焦か否かを判定する。この制御アル
ゴリズムを第5図に示す。
第5図において、step10は上述の第4図におけるstep
1,step2からなるフォーカスモータ制御ループを示すも
のである。
合焦してフォオカスモータが停止された後、焦点状態
の検出に必要な入力情報が変化した場合、step11で示す
入力情報変化検出ルーチンで検出し、step12に示す試行
ルーチンにより試行を行う。これはフォーカシングレン
ズを、いずれかの方向に試行的に微少量変化させ、焦点
状態の変化を見て現在の焦点状態すなわちフォーカシン
グレンズが山のピークに位置しているか否かの判定情報
をサンプリングする動作である。
この判定を第6図を用いて説明する。先ず、現在のフ
ォーカス位置401におけるの高周波成分の信号404のレベ
ルと、正規化エッジ信号405のレベルをサンプリングす
る、次に矢印で示す方向に微少量フォーカスを動か
し、移動方向における位置402の点の各データをサンプ
リングする。さらに矢印で示す方向、矢印で示す方
向と微少量フォーカシングレンズを動かし、同様に各信
号のデータをサンプリングする。なお401の点において
は、始めと、終わりの2回の各信号データをサンプリン
グする。以上サンプリングした4点のデータを用いて次
に述べるように、step13に示す合焦判定ルーチンで合焦
判定を行う。
step13の合焦判定ルーチンは、前述の試行の結果得ら
れた4組のデータおよび最も近い過去の合焦時のデータ
からの変化(すなわち入力情報変化)から、合焦か否か
の推定を行う。
合焦と判断されれば、step11へと戻って再び入力情報
の変化を判定し、非合焦と判断された場合には、step14
の再起動方向判定ルーチンへと進んで再起動方向を設定
し、step10のフォーカスモータ制御ループへともどつて
フォーカシングレンズを再起動する。
この合焦判定ルーチンにおいて、もし画像の時間的変
化がなければ、第6図に示す例のように、フォーカス状
態変化に対し、上に凸となるようなデータの組を判定す
ればよい。しかし、実際の自動焦点調節システムにおい
て重要な点は、システムの動特性すなわち画像、入力情
報の時間変化に対する応答性である。これは単に即応性
のみならず、不必要な外乱に対する排除能力、安定性と
も関連してくる。
実際には、試行によつて得られたデータの組の中に
は、この時間変化分等が含まれており、厳密には確実な
合焦判定を行うことは困難な場合が多く存在する。
この試行のデータの組に含まれる要素を列記すると以
下の通りである。
(1)フォーカス変化:試行によるフォーカス微小動作
分 (2)画像の時間的変化(被写体変化):距離は変化し
ないが、コントラスト等により入力情報が変化する (3)画像の時間的変化(距離変化) (4)ズーミング、被写界深度、ノイズ 試行による合焦判定に必要なものは、上記した(1)
のみであるが、(1)〜(3)および(4)のノイズを
正確に判別することは困難である。このため、入力デー
タのパターンから推定せざるを得ない。すなわちこのよ
うな不確定要素は、実際の撮影において撮影画像が変化
し続けるような場合には、常に存在すると考えてよい。
このような入力データの不確定要素に対応するため、
本発明における自動焦点調節システムの合焦判定ルーチ
ンstep13ではファジー推論を用いている。この推論にお
ける状態判別のためのルールを第12図にtable1として示
す。
このルールの条件部各式について、第7図を用いて説
明する。
試行によるデータサンプリングパターンを時間軸上に
示したものが、第7図(a)である。501は焦点状態を
表わす入力データすなわち高周波成分信号のレベル情報
あるいは正規化エッジ情報である。502〜505はそれぞれ
時間的に異なるサンプリング位置を示すものであり、各
々data1〜data4と称することにする。図中点線で示した
508は、試行によるフォーカス微小動作を行わなかった
と仮定した場合における入力データの変化である。501
−1,502−2は、508の曲線と実際に試行を行いつつサン
プリングされたデータとの差であり、これは焦点状態す
なわちフォーカシングレンズの微小移動分の要素である
が、これを直接知ることはできない。また506は試行動
作のはじめと終わりの時間変動分である。
table1の条件部(1)は、今述べた第7図(a)の50
6の大きさを示すものであり、これは大きいほど非合焦
の可能性が高いと考えることができる。
table1の条件部(2)は、最も近い過去における合焦
時、すなわちフォーカスモータ制御ループの合焦判定す
なわち停止判定ルーチン、合焦→停止を判定した時点の
入力データ値と、現在のデータ値との差であり、これが
大きいほど非合焦の可能性が高いと考えられる。
table1の条件部(3)は、第7図(b)に相当する。
この図は、第6図と同様にフォーカシングレンズの位置
を横軸に取つて入力データのサンプリングパターンを示
したものであり、山のピークで合焦していることを示し
ている。すなわちS1=data2−data1およびS2=data3−d
ata1がいずれも負であり、試行の始めの位置502が上に
凸のパターンを示している。このとき|S1|+|S2|>0で
あるほど、山が急峻で合焦の度合いが強いとみなすこと
ができる。
table1の条件部(4)は、table1の条件部(3)のよ
うに上に凸のデータパターンではないが、ピーク近傍で
ほぼ合焦とみなせる場合であり、第7図(c)にその状
態例を示す。すなわち、フォーカス位置502における入
力データのレベルが合焦限界レベル509より高い場合で
ある。
この場合、正方向のS+が小さくかつ負方向のS−が
小さい(絶対値が大きい)ほど、合焦の可能性が高い。
この例ではサンプリング位置503におけるdata2とサン
プリング位置502におけるdata1との関係が、data2>dat
a1であるため、S1=S+,S2=S−であるが、サンプリ
ング位置503におけるdata2とサンプリング位置502にお
けるdata1との関係が、data2<data1である場合には、S
1=S−,S2=S+となる。
合焦限界509は、一意的に定まるものではなく、測定
することも不可能であるが、S+により、現在位置502
が合焦限界509より大か、小かを推定することになる。
このルールのメンバシップ関数の形状の例を第8図に
示す。このメンバシップ関数の意味については、table1
に示したので、これを参照することにより明らかであ
る。
第8図は同図(f)に示す結論部のメンバシップ関数
を含んでいる。結論部の演算は、一般のファジー推論の
ように、メンバシップ関数により行ってもよいが、この
システムでは、出力は2者択一としているため、単純に
条件部の評価値の大小関係からもとめてもよい。
第8図について、さらに説明すると、第8図は、第12
図のテーブル1の各条件を、メンバシップ関数で表した
もので、いずれの関数も、一般的にファジー推論におけ
るメンバシップ関数で周知のように、縦軸は入力情報が
所定のルールに適合する度合いすわわち確率(0〜1)
を表し、横軸は、入力情報を示しており、その値は0か
ら、max(最大)あるいはmin(最小)までを示し、それ
ぞれ正方向(+)か逆方向(−)が付されている。
たとえば第8図(a)は、入力情報が焦点信号の時間
変化|data1−data4|の値である場合を示している。
メンバシップ関数601は『|date1−date4|の値が小さ
い』という条件を表す関数で、メンバシップ関数602は
『|data1−data4|の値が大きい』という条件を表す関数
であり、これによって入力された|data1−data4|に対す
る関数601、602で示されるそれぞれの条件を満たす確率
を得ることができる。すなわち第12図のルール1では、
メンバシップ関数602を用いることになる。
同様に第8図(b)は、入力情報が『|(現在のデー
タ)−(最も近い過去の合焦時のデータ|』すなわち入
力情報変化の大きさであり、メンバシップ関数603は入
力情報変化が小さいという条件における確率を求めるた
めの関数、604は入力情報変化が小さいという条件にお
ける確率を求めるための関数であり、第12図のルール1
の(2)の条件は、入力情報の大きさに対するメンバシ
ップ関数604の値を用いることになる。
同様に、第8図(c)は入力情報が『|S1|+|S2|』
で、『S1(=data2−data1),S2(=data3−data1)が
いずれも0以下(曲線の形状が上に凸)のとき|S1|+|S
2|が大きい』という条件を示し、各メンバシップ関数60
5は|S1|+|S2|が小さいという条件の確率を求める関
数、606は|S1|+|S2|が大きいという条件の確率を求め
る関数である。したがって、第12図のルール2では、60
6のメンバシップ関数を用いて、入力情報の値に対する
『|S1|+|S2|が大きい』という条件の確率を求めること
になる。
また第8図(d)は、『S1とS2の正の方S+が小さ
い』という条件を表すメンバシップ関数607と、『S1とS
2の正の方S+が大きい』という条件を表すメンバシッ
プ関数608を示しており、ルール2の『S1とS2の正の方
S+が小さい』という条件を満たす確率はメンバシップ
関数607によって求められる。
また第8図(e)は、『S1とS2の負の方S−が小さい
(絶対値が大きい)』という条件を表すメンバシップ関
数609と、『S1とS2の負の方S−が大きい(絶対値が小
さい)』という条件を表すメンバシップ関数601を示し
ており、ルール2の『S1とS2の負の方S−が小さい』と
いう条件を満たす確率はメンバシップ関数609によって
求められる。
そして、第8図(f)が出力メンバシップ関数で、各
ルール1,ルール2に、それぞれ入力情報を入力したとき
の結論部すなわち出力で、合焦、非合焦を判定するため
のものであり、非合焦である確率を表すメンバシップ関
数611と、合焦である確率を表すメンバシップ関数612を
示しており、ルール1のIF文で示される条件を満たす確
率を『非合焦』のメンバシップ関数611に代入してその
確率を求め、ルール2のIF文で示される条件を満たす確
率を『合焦』のメンバシップ関数612に代入してその確
率を求め、これらの値を合成して焦点状態を判定するも
のである。
このように第8図(a)〜(e)に示す各メンバシッ
プ関数は、第12図のルール1,2の各条件文に対応するも
のであり、その各条件を満たす確率の演算を行うための
ものである。
次に、被写界深度、パワーズームについて説明する。
被写界深度は第1図に示すズームエンコーダ109によつ
て検出された焦点距離、アイリスエンコーダ110によつ
て検出された絞り値から演算される。被写界深度が深く
なった場合、高周波信号成分、正規化エッジ信号は、第
2図中、202,204のように、そのピーク曲線はなだらか
なものとなり、焦点状態の変化に対する信号変化の幅が
小さくなる。すなわち、試行において、サンプリングさ
れるデータ変化値は、小さなものとなる。このため、こ
れを補正するため、入力サンプルデータをスケーリング
し、設定されたメンバーシップ関数に適合するようにす
る。
あるいは、メンバーシップ関数の横軸をスケーリング
し、被写界深度変化を補償する。
パワーズーム時、特にワイド時においては、同じフォ
ーカシングレンズの移動量でも焦点状態の変化量が小さ
いので、フォーカシングの速度を高め、追従速度を上げ
る必要がある。このため、パワーズームの動作が行われ
ていることを検知し、非合焦判断を行う割合を大きく
し、フォーカスモータの再起動がかかりやすくなるよう
にする。
これはtable1の合焦ルールを下記の様にすればよい。
ここで、パワーズーム は、‘1'or‘0'の2値で表わされる。
IF (上に凸の度合いが大orピーク近傍)andパワー
ズーム(WIDE→TELE)OFF THEN 合焦 あるいは第9図に示すように、第5図の再起動判定ル
ープのフローチャートにおけるstep11とstep12との間
に、パワーズーム(WIDE→TELE)検出ルーチンstep15を
配した制御フローにしたがって制御を行えばよい。第5
図の制御フローと同一構成部分については同一のstepで
示すものとする。
ここでは、パワーズーム(TELE→WIDE)を検出する
と、フォーカスモータ制御ループstep10へと戻り、フォ
ーカスモータを再起動する。
合焦判定ルーチンで非合焦と判断された場合には、再
起動方向判定ルーチンstep14で再起動方向を決定し、フ
ォーカスモータ制御ループstep10へ戻る。これは、試行
時のサンプリングデータdata2,data3の大小比較を行
い、大のほうを再起動方向とする。
これまで述べてきたシステムは、再起動判定ループの
合焦判定にのみファジー推論を用いてきたが、入力情報
変化出ルーチンに、パワーズーム検出機能を持たせてフ
ァジー推論を行うこともでき、その例を第10図のフロー
チャートに示す。同図においても第5図、第9図と同一
構成部分については、同一のstepで示すものとする。
第10図において、step16は入力情報変化検出ルーチン
である。
またこのルーチンにおけるファジー推論ルールを第13
図に示すtable2に、それに対応するメンバーシップ関数
概形を第11図にそれぞれ示す。
入力データは、パワーズーム(TELE→WIDE)時間およ
び入力情報変化(=|現在のフォーカス制御データ−最
も近い過去の合焦判定時データ|)である。
すなわち第11図は、第13図のルール2の条件を満たす
確率を演算するメンバシップ関数を示すものであり、第
11図(a)は、ルール1、2、3のIF文のパワーズーム
に関する条件を示しており、パワーズームの動作時間が
入力情報となり、その動作時間が短時間である確率を示
すメンバシップ関数701と、長時間である確率を示すメ
ンバシップ関数702とからなり、例えばルール1のIF文
の1行目の条件『パワーズーム=長時間』の条件に従え
ば、702の『長時間』である確率を求めるメンバシップ
関数が用いられ、ルール2,3のIF文の1行目の条件『パ
ワーズーム=短時間』の条件に従えば、701の『短時
間』である確率を求めるメンバシップ関数が用いられる
ことになる。
また第11図(b)は、入力情報変化すなわち|(現在
データ)−(最も近い過去の合焦判定時のデータ)|の
変化がそれぞれ小、中、大であるという条件を満たす確
率を求めるためのメンバシップ関数703、704、705を示
しており、ルールのIF文の条件によって使い分けられ
る。
table2のルール1は、パワーズーム(WIDE→TELE)時
に入力情報変化があつた場合には、ズーミングによるフ
ォーカス変化に対する追従性をよくするため、一気にフ
ォーカスモータ制御ループへ戻るルールである。
table2のルール2は、入力情報変化が大あるいは中程
度であつた時、もしパワーズーム(WIDE→TELE)が短時
間程度ならば、試行を行うルールである。
table2のルール3は、パワーズーム動作が短時間かつ
入力情報変化も小ならば、入力情報変化ルーチンを繰り
返すルールである。
そして出力は、これらの3ルールの条件部評価値を比
較し最大のものを採用すれば、その状態に応じた最適な
AF動作を実現することができる。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明における自動焦点調節装置
によれば、合焦後の再起動判定において、レンズを微小
移動して得た焦点信号の変化から、焦点信号の変化分、
焦点信号の変化特性の形状、焦点信号のピーク位置に対
する位置等の複数の状態を考慮して合焦、非合焦判定を
行うようにしたので、撮影状況やノイズによる誤動作を
防止し、被写体の変化には的確に再起動させることがで
き、安定、信頼性の高い時尾づ焦点調節を行うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明における自動焦点調節装置の構成を説明
するためのブロツク図、 第2図は焦点(フォーカス)状態に応じて変化する焦点
制御信号の特性図、 第3図は正規化エッジ信号の説明図 第4図は本発明における制御のアルゴリズムを示すフロ
ーチャート、 第5図は本発明における再起動制御のアルゴリズムを示
すフローチャート、 第6図は焦点状態を判定するための入力制御情報の特性
を説明するための図、 第7図は入力制御情報の取り込み動作を説明するための
図、 第8図は制御で用いるメンバシップ関数を示す図、 第9図は本発明の制御動作の他の制御アルゴリズムを示
すフローチャート 第10図は本発明の制御動作の他の制御アルゴリズムを示
すフローチャート 第11図は第10図の制御アルゴリズムに関するメンバシッ
プ関数である。 第12図は状態判別を行うための条件設定テーブルを示す
図、 第13図は第10図、第11図の制御アルゴリズムにおいて入
力情報に制御条件を照合するための条件設定テーブルを
説明するための図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】撮像信号中より抽出した焦点状態に応じて
    変化する所定の焦点信号を抽出する抽出手段と、 前記抽出手段によって抽出された前記所定の焦点信号の
    レベルが増大する方向にレンズを駆動して焦点調節を行
    う焦点制御手段と、 前記レンズが合焦点に到達して焦点調節動作を停止した
    後、前記焦点信号の変化に応じて前記焦点制御手段を再
    起動させる再起動判定手段とを備え、 前記再起動判定手段は、前記レンズを微小駆動すること
    によって得た前記焦点信号レベルの複数の情報に基づ
    き、前記焦点信号レベルの変化の大きさに応じて非合焦
    判定を行い、前記複数の焦点信号のレベルの変化から前
    記焦点信号レベルが極値であるか、またはピーク点近傍
    であるかを検出して合焦判定を行い、前記非合焦と判定
    されたとき前記焦点制御手段を再起動するように構成さ
    れていることを特徴とする自動焦点調節装置。
  2. 【請求項2】撮像信号中より抽出した焦点状態に応じて
    変化する所定の焦点信号を抽出する抽出手段と、 前記抽出手段によって抽出された前記所定の焦点信号の
    レベルが増大する方向にレンズを駆動して焦点調節を行
    う焦点制御手段と、 ズームを行うズーム手段と、 前記レンズが合焦点に到達して焦点調節動作を停止した
    後、前記焦点信号の変化に応じて前記焦点制御手段を再
    起動させる再起動判定手段とを備え、 前記再起動判定手段は、前記レンズを微小駆動すること
    によって得た前記焦点信号レベルの複数の情報に基づ
    き、前記焦点信号レベルの変化の大きさに応じて非合焦
    判定を行い、非合焦と判定されたとき前記焦点制御手段
    を再起動するように構成されるとともに、前記ズーム手
    段が作動中である場合には、ズーム手段が非動作のとき
    よりも、再起動しやすくなるように構成されていること
    を特徴とする自動焦点調節装置。
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