JP2974152B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置

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JP2974152B2 JP1311364A JP31136489A JP2974152B2 JP 2974152 B2 JP2974152 B2 JP 2974152B2 JP 1311364 A JP1311364 A JP 1311364A JP 31136489 A JP31136489 A JP 31136489A JP 2974152 B2 JP2974152 B2 JP 2974152B2
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【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、電流狭窄効果と光導波効果を有するInGaAl
P系半導体レーザ装置に係わり、特にコンタクト層の膜
厚の最適化をはかった半導体レーザ装置に関する。
(従来の技術) 近年、高密度光ディスクシステムや高速レーザプリン
タ或いはバーコードリーダ等への応用を目的として、短
波長の半導体レーザの開発が進められている。この中で
も0.6μm帯(赤色)に発振波長を持つInGaAlP系半導体
レーザは、有望な短波長レーザとして注目されている。
光情報処理用光源として半導体レーザを使用する場
合、横モード制御が必要である。本発明者らは、横モー
ド制御構造のInGaAlP系半導体レーザとして、第5図に
示す如きリッジ埋込み型のレーザを作成し、基本横モー
ド発振を確認している。第5図において、51はn−GaAs
基板、52はn−GaAsバッファ層、53はn−InGaAlPクラ
ッド層、54はInGaP活性層、55はp−InGaAlPクラッド
層、56はp−InGaPキャップ層(第1のコンタクト
層)、57はp−GaAsコンタクト層、58,59は電極を示し
ている。このレーザは、MOCVD法によりバッファ層52か
らキャップ層56までの第1回目の結晶成長と、キャップ
層56及びクラッド層55を選択エッチングした後の第2回
目の結晶成長により作成される。
クラッド層55のAl組成が大きい場合、クラッド層55と
コンタクト層57との間に、p−GaAs/p−InGaAlPヘテロ
接合界面で大きなヘテロバリアが存在し、電圧降下が生
じるのに対して、中間のバンドギャップを持つp−InGa
Pを挟むとバリアが低くなり、電圧降下を減少させるこ
とができる。この性質を利用してリッジ部のみにp−In
GaP層を設け、電流狭窄をはかっている。また、光ガイ
ド構造及び横モードの安定化は、p型クラッド層に設け
たリッジとその外側で活性層に近接させたp型GaAs層に
より行っている。
しかしながら、この種の半導体レーザにあっては次の
ような問題があった。即ち、第5図に示す如き半導体レ
ーザをヒートシンク材等にマウントする場合、一般にp
側電極を下にするpサイドダウン方式で行う。このと
き、ショートやしきい値増加等の形で素子特性が著しく
劣化するものがあった。これらのレーザを調べて見る
と、ショートの原因は、マウント用融着剤がレーザの側
面部に盛り上がるためと判明した。ショートを防止する
ために融着剤を少なくすると、接着が不十分となる。ま
た、素子特性劣化の原因は、p−GaAsコンタクト層のリ
ッジ上部に相当する部分が突出しており、マウント時に
この部分に大きなストレスが加わるためと考えられる。
(発明が解決しようとする課題) このように従来、pクラッド層にリッジを設けたリッ
ジ埋込み型の半導体レーザにあっては、pサイドダウン
でマウントする場合に、ショートや素子特性の劣化を招
く問題があった。
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その
目的とするところは、マウントによるショートや素子特
性の劣化を防止することができ、素子特性の向上及び信
頼性の向上をはかり得る半導体レーザ装置を提供するこ
とにある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明の骨子は、コンタクト層の膜厚を最適化するこ
とにより、マウント時におけるショートやストレスの発
生を防止することにある。
即ち本発明は、活性層をp型及びn型のクラッド層で
挟み、n型クラッド層を基板側とし、p型クラッド層を
一部除去してメサストライプを形成したInGaAlP系材料
からなるダブルヘテロ構造部と、このダブルヘテロ構造
部のp型クラッド層のメサストライプ上に形成され、p
型クラッド層よりもバンドギャップの小さなInGaAlP系
材料からなる第1のコンタクト層と、前記p型クラッド
層及びコンタクト層上に形成され、第1のコンタクト層
よりもバンドギャップの小さなGaAlAs系材料からなる第
2のコンタクト層とを備えた半導体レーザ装置におい
て、前記p型のクラッド層,第1及び第2のコンタクト
層のp型不純物としてZnを用い、p型クラッド層の不純
物濃度A、第1のコンタクト層の不純物濃度B、第2の
コンタクト層の不純物濃度CをA<B<Cに設定し、前
記第2のコンタクト層の膜厚dを2μm≦d≦5μmに
設定し、第2のコンタクト層の表面に前記メサストライ
プを反映した凹凸を形成してなることを特徴とする。
(作用) 本発明者らは、前述したショート及びストレス発生の
要因を詳しく調べた結果、次のような事実を見出した。
即ち、ショートを起こす原因は、マウント用融着剤がレ
ーザの側面部に盛り上がり、クラッド層に近付く又はク
ラッド層と接触するためであるが、これはp−GaAsコン
タクト層が1〜1.5μmと薄く形成されているためであ
る。また、素子特性が劣化するのはマウント時のストレ
スが原因であるが、このストレスはコンタクト層のリッ
ジ上部に相当する部分が平坦化されておらず、リッジ上
部に相当する部分が凸となっているためである。この対
策としては、コンタクト層を厚く形成すればよいが、コ
ンタクト層を厚く形成すると、ウェハのp側側面におけ
るストライプの位置が見えずらくなり、容易にチップ化
できない問題を招く。さらに、コンタクト層を厚くする
と放熱の点でも不利になり、コンタクト層をむやみに厚
く形成することはできない。
そこで本発明者らは、種々実験を繰り返してコンタク
ト層の最適膜厚を見出した。この値が先に述べた2〜5
μmの範囲である。即ち、コンタクト層の膜厚が2μm
より薄いと、マウント時のショート及びストレスによる
素子特性の劣化を防止できない。また、5μmよりも厚
いと、p側が完全に平坦化されてストライプ位置が判断
できず、レーザチップへの切出しが面倒となる。この範
囲に設定することにより、ショートやマウント時のスト
レスを再現性良く低減させることができ、これにより低
しきい値で素子特性にも優れた信頼性の高い半導体レー
ザ装置を実現することが可能となる。
また本発明では、p型クラッド層の不純物濃度A、第
1のコンタクト層の不純物濃度B、第2のコンタクト層
の不純物濃度CをA<B<Cに設定しているので、直列
抵抗の低減に有効である。
(実施例) 以下、本発明の詳細を図示の実施例によって説明す
る。
第1図は本発明の一実施例に係わる半導体レーザの素
子構造を示す断面図である。図中11はn−GaAs基板であ
り、この基板11上には厚さ0.5μmのn−GaAsバッファ
層12が形成されている。バッファ素子12上には、n−In
0.5(Ga0.3Al0.70.5Pクラッド層13(Siドープ,3〜5
×1017cm-3;厚さ0.8μm),In0.5Ga0.5P活性層14(ア
ンドープ;厚さ0.06μm)及びp−In0.5(Ga0.3A
l0.70.5Pクラッド層15(Znドープ,3〜5×1017cm-3;
厚さ0.8μm)からなるダブルヘテロ接合構造が形成さ
れている。
pクラッド層15はストライプ状に加工されており、こ
れによりpクラッド層15にストライプ状メサ(リッジ
部)が形成されている。リッジ部の外側でのpクラッド
層15の膜厚は0.2μmである。pクラッド層15のリッジ
部の上には、p−In0.5Ga0.5Pキャップ層(第1のコン
タクト層)16(Znドープ,1×1018cm-3;厚さ0.06μm)
が形成されている。なお、これらの各層12〜17はMOCVD
法により成長されるが、バッファ層12からキャップ層16
までは第1回目の結晶成長で形成され、メサストライプ
形成のためのエッチングを行った後に、第2回目の結晶
成長でコンタクト層17が形成される。
ここで、ダブルヘテロ構造部の各層13〜15及びキャッ
プ層16の格子定数はGaAs基板11と等しく、且つクラッド
層13,15のバンドギャップエネルギーは活性層14のそれ
より大きくなるようにIn,Ga,Alの組成が決定されてい
る。キャップ層16及びpクラッド層15の上には、p−Ga
Asコンタクト層(第2のコンタクト層)17(Znドープ,5
×1018cm-3;厚さ3μm)が形成されている。そして、
コンタクト層17の上面にp側電極18が被着され、基板11
の下面にn側電極19が被着されている。
このレーザにおける電流狭窄は、p−InGaAlP/p−GaA
sヘテロ接合と、p−InGaAlP/p−InGaP/p−GaAsヘテロ
接合における電圧降下の差を利用して行っており(中間
のバンドギャップを持つp−InGaP層を挟むとバリアが
低くなり電圧降下を減少させることができる)、リッジ
部のみにp−InGaP層16を設け、電流狭窄をはかってい
る。光導波はストライプ状のメサに形成されたpクラッ
ド層15により行われる。なお、バッファ層12はGaAs上に
形成するInGaAlP系結晶の品質向上のためである。
また、上記構成された半導体レーザはチップに切り出
されたのち、第2図に示す如くpサイドダウン方式でヒ
ートシンク材にマウントされ、マウント用融着剤21によ
りヒートシンク材20に接着される。このとき、融着剤21
はp側電極18とヒートシンク材20との間からはみ出し、
コンタクト層17の側面に盛り上がることになる。
さて、第1図に示す構造の半導体レーザのコンタクト
層厚決定に関しては、以下に述べるようなコンタクト層
厚としきい値,ショート率との関係を実験で詳細に調べ
ることにより行った。第3図にコンタクト層厚としきい
値及びショート率との関係を示す。この図から、コンタ
クト層厚が2μmより薄い領域では、ショート率が格段
に高くなり、ショートがなく特性が測定できたものでも
しきい値が50mA以上に上昇していた。ショートした半導
体レーザを調べたところ、マウント用融着剤がレーザの
側面部に盛り上がりショートを起こすことが明らかとな
った。
また、しきい値が上昇していた半導体レーザの電極を
剥離し、ELトポグラフ像を観察したところ、リッジ部に
相当する領域にDLD(Dark Line Defect)が観察され
た。第4図はコンタクト層厚とコンタクト層上部の突起
部高さhの関係を示す。この図から、コンタクト層厚が
2μmより薄い領域では、突起部の高さhは0.3μm以
上となっていた。このため、マウント時にリッジ部にス
トレスが集中し、DLDを発生させていたと考えられる。
MOCVD法は液相成長法と異なり、下地の形状を成長面
に反映するため平坦化には不向きであるが、2μm以上
の成長を行うと、第1図に示すように突起部の高さが小
さくなり、平坦化が行われる。コンタクト層17を2μm
以上成長させたレーザでは、しきい値の上昇は起こらな
かった。また、DLDの発生も観察されなかった。但し、
コンタクト層17を5μmよりも厚く成長させると、コン
タクト層上部の突起が殆どなくなり、ストライプ位置が
見えずらくなる。この場合、ストライプメサに合わせた
チップの切り出しが困難となり、容易にチップ化できな
いという問題を生じる。また、第2図に示すマウント方
式では、レーザの放熱がコンタクト層17を介して行われ
るので、コンタクト層17を厚くし過ぎると放熱の点でも
不利である。
従って、コンタクト層17の膜厚を2μm以上とすれ
ば、ショートの問題もなく、特性劣化もないレーザが得
られる。さらに、コンタクト層17の膜厚を5μm以下に
すれば、チップ化に関しても問題は起こらない。即ち、
コンタクト層17の最適膜厚dは、2μm≦d≦5μmの
範囲であった。このようにしてコンタクト層17の膜厚を
3μmに設定した本実施例レーザは、ストライプ幅を5
μm、共振器長を300μmとしたとき、しきい値電流35m
Aで発振し、20mWまで単一モードの良好な特性を示し
た。寿命試験においても、50℃,5mWの条件で2000時間以
上の安定動作を確認した。
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものでは
ない。ダブルヘテロ接合構造において、活性層はInGaP
に限らずInGaAlP系材料で、クラッド層よりも禁制帯幅
が小さいものであればよい。同様に、第1のコンタクト
層はInGaPに限らず、InGaAlP系材料で、活性層と第2コ
ンタクト層との間のバンドギャップを持つものであれば
よい。つまり、pクラッド層を In1-W(Ga1-XAlXWP、 活性層を In1-W(Ga1-YAlYWP、 nクラッドを In1-W(Ga1-ZAlZWP としたとき、(0≦y<x≦1,0≦y<z≦1,0<w<
1)の関係であればよい。同様に、第1コンタクト層は In1-W(Ga1-VAlVWP としたとき、(0≦v<x)の関係で、第2コンタクト
層は Ga1-UAlUAs としたとき、(0≦u<1)の関係であればよい。その
他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実
施することができる。
[発明の効果] 以上詳述したように本発明によれば、コンタクト層の
膜厚を最適化(2〜5μm)しているので、ヒートシン
ク材にマウントする際のショートやストレスをなくす、
又は著しく低減することでき、低しきい値で信頼性の高
い半導体レーザ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係わる半導体レーザの素子
構造を示す断面図、第2図は上記レーザのマウント状態
を示す図、第3図はコンタクト層厚としきい値電流及び
ショート率との関係を示す特性図、第4図はコンタクト
層厚と突起部高さhとの関係を示す特性図、第5図は従
来レーザの素子構造を示す断面図である。 11……n−GaAs基板、 12……n−GaAsバッファ層、 13……n−InGaPコンタクト層、 14……InGaP活性層、 15……p−InGaAlPクラッド層、 16……p−InGaPキャップ層(第1のコンタクト層)、 17……p−GaAsコンタクト層(第2のコンタクト層)、 18,19……電極、 20……ヒートシンク材、 21……マウント用融着剤。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−81884(JP,A) 特開 平1−244690(JP,A) 特開 昭63−170984(JP,A) 特開 昭62−166586(JP,A) Jpn.J.Appl.Phy.27 [12](1988)p.L2414−2416

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性層をp型及びn型のクラッド層で挟
    み、n型クラッド層を基板側とし、p型クラッド層を一
    部除去してメサストライプを形成したInGaAlP系材料か
    らなるダブルヘテロ構造部と、このダブルヘテロ構造部
    のp型クラッド層のメサストライプ上に形成され、p型
    クラッド層よりもバンドギャップの小さなInGaAlP系材
    料からなるp型の第1のコンタクト層と、前記p型クラ
    ッド層及びコンタクト層上に形成され、第1のコンタク
    ト層よりもバンドギャップの小さなGaAsからなるp型の
    第2のコンタクト層とを備え、メサストライプの外側で
    はp型クラッド層とp型の第2のコンタクト層とが接
    し、且つ第2のコンタクト層側をヒートシンクに融着し
    た半導体レーザ装置において、 前記p型のクラッド層、第1及び第2のコンタクト層の
    各々のp型不純物としてZnを用い、p型クラッド層の不
    純物濃度A、第1のコンタクト層の不純物濃度B、第2
    のコンタクト層の不純物濃度Cを A<B<C に設定し、 前記第2のコンタクト層の膜厚dを、 2μm≦d≦5μm に設定し、第2のコンタクト層の表面に前記メサストラ
    イプを反映した凹凸を形成してなることを特徴とする半
    導体レーザ装置。
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Jpn.J.Appl.Phy.27[12](1988)p.L2414−2416

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