JP2972656B2 - 磁気テープ装置のカートリッジ取出ハンド機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、磁気テープ装置に
係り、さらに詳しくは、カートリッジ収容部からカート
リッジを取り出すための磁気テープ装置のカートリッジ
取出ハンド機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、磁気テープ装置におけるハン
ド機構は、セルと呼ばれる保管棚に収容された複数の磁
気テープすなわちカートリッジを、デッキと呼ばれるコ
ンピュータ等の記録装置に自動装填する目的で装備され
ている。

【０００３】したがって、係るハンド機構によりカート
リッジをセルからデッキに自動装填する場合、ハンド機
構に備わる搬送機構部によってセルからカートリッジが
取り出される。カートリッジ取り出し後、回転機構部に
よりカートリッジをデッキに装填可能な方向に回転移動
させる。その際、搬送機構部を回転機構部のモータ駆動
により回転ストッパ位置まで回転させ、その回転位置を
検出してからモータの駆動を停止する。続いて、回り止
め機能をもつディテント機構によってハンド機構を停止
させて保持し、搬送機構部によりデッキにカートリッジ
を装填する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のハンド機構にあっては、解決すべき次の問題点が残
されている。

【０００５】１つは、搬送機構部がその回転停止と同時
にディテント機構によって停止保持されるため、モータ
がロックしてギアヘッド等の内部部品を損傷させる不都
合を招くことがある。

【０００６】また１つは、回転ストッパに対して衝突す
る際の衝撃の反動力により、搬送機構部が跳躍し、ディ
テント機構の係合を外す不具合がある。

【０００７】したがって、本発明の目的は、カートリッ
ジのデッキ位置とセル位置での急激停止保持によりモー
タがロックして内部モータ部品に損傷を与えることを防
止すると共に、停止時の衝撃で回り止め機能をもつディ
テント機構の係合が外れるといった不都合を回避可能な
磁気テープ装置のカートリッジ取出ハンド機構を提供す
ることにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の磁気テープ装置
のカートリッジ取出ハンド機構は、機構本体を形成する
ベースプレートと、このベースプレートに回転支軸を介
して回動可能に支持されたトレイを有し、このトレイ内
のカートリッジをデッキ位置とセル位置との間を一方か
ら他方へまたはその逆に搬送する搬送機構部と、前記ベ
ースプレートに担持された回転駆動源を有し、この回転
駆動源からの回転を受けた可動部材を当接させて前記ト
レイをデッキ位置またはセル位置まで回動させる回転機
構部と、前記ベースプレートに担持され、前記デッキ位
置または前記セル位置までの回動途中で前記回転機構部
の作動を停止させた後、前記デッキ位置または前記セル
位置まで前記トレイを弾性力で回動させて停止保持する
緩衝機構部と、を備えて構成されている。

【０００９】この場合、回転機構部の可動部材は、トレ
イを支持する回転支軸上に回動可能に支持され、その回
転支軸を中心とした一端部と他端部がトレイに当接可能
なほぼ半円形の歯車である。

【００１０】また、緩衝機構部として、回転支軸上の前
記ほぼ半円形の歯車と同軸に一体回動するカムを設け、
このカムごとほぼ半円形の歯車を正逆回転方向のいずれ
にもばね部材で付勢している。その際、カムに回転ロー
ラを介して係合するローラアームが備わり、このローラ
アームによって、ばね部材の弾性力によりカムごとほぼ
半円形の歯車を正逆方向に回転させるようになってい
る。

【００１１】さらに、トレイが回動停止して保持される
デッキ位置とセル位置に対応して、ベースプレートの２
個所の位置に位相角度が例えば９０°の位置にそれぞれ
弾性ゴムによるストッパ受が設けられ、このデッキ位置
とセル位置の各ストッパ受にトレイを当接させ、緩衝機
構部による緩衝と相まって緩衝を助成している。

【００１２】すなわち、搬送機構部を回動するモータ等
の回転駆動源を例えば９０°の位相角度をなすデッキ位
置とセル位置の各手前の途中で駆動オフさせることによ
り、途中位置から各停止位置まで緩衝機構部によって搬
送機構部側のトレイを弾性的に引き寄せる構造である。

【００１３】それにより、従来構造のように、モータで
直にデッキ位置とセル位置までカートリッジ収容トレイ
を回動させて停止保持するときの衝撃力を緩衝できる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明による磁気テープ装
置のカートリッジ取出ハンド機構の実施の形態につい
て、図１〜図３を参照して詳細に説明する。

【００１５】図１は、カートリッジがハンド機構によっ
てデッキから排出可能な位置にある状態を示す装置正面
図である。

【００１６】要旨部である本実施の形態のハンド機構１
は、トレイ１１中に収容されたカートリッジ１２をセル
位置からデッキ位置に投入搬送し、またはその逆にデッ
キ位置からセル位置に排出搬送する搬送機構部１０を備
えている。この搬送機構部１０は、ハンド機構本体のベ
ースプレート２に回転支軸３を介して例えば図中でいう
反時計廻り方向に回動可能に支持されている。

【００１７】トレイ１１の適所２個所に、凸形のストッ
パ部１３，１４が突出して設けられている。このトレイ
１１の所定の２箇所が、ベースプレート２側に設けた弾
性ゴム材によるストッパ受４，５に当接することによ
り、回転支軸３上で回動する搬送機構部１０の回転停止
での衝撃を緩衝するようになっている。

【００１８】また、ベースプレート２上には、モータ２
１を含む次の各部材よりなる回転機構部２０が担持され
ている。モータ２１の出力軸上にはドライブ歯車２２が
固定され、このドライブ歯車２２に噛合する本発明でい
う可動部材のほぼ半円形の歯車２３にモータ回転を適宜
減速比で伝達するようになっている。この半円形の歯車
２３は上記回転支軸３の軸上に固定されている。

【００１９】また、同じくベースプレート２上には、従
来例のディテント機構の機能を備えた緩衝機構部３０が
担持されている。この緩衝機構部３０によって、上記搬
送機構部１０の回動を停止位置で衝撃緩和するようにな
っている。

【００２０】この緩衝機構部３０は、ベース２にヒンジ
ピン３３，３４を介してそれぞれ一端部が軸支されたロ
ーラアーム３１，３２を有し、このローラアーム３１，
３２の各他端の自由端には、回転ローラ３５，３６が軸
支されている。また、扇形状の回動規制カム３７を有
し、このカム３７は上記回転支軸３上において回転機構
部２０側の半円形歯車２３と同軸上に回動可能に支持さ
れている。カム３７の外周カムフォロア面には両ローラ
アーム先端の上記回転ローラ３５，３６が当接して案内
される。両回転ローラ３５，３６の回転軸間にはコイル
スプリング３８が装着され、両回転ローラ３５，３６を
カム３７のカムフォロア面に押圧する方向へ付勢してい
る。

【００２１】次に、以上の構成による本実施の形態の動
作および作用を説明する。

【００２２】図１はコンピュータ記録装置であるデッキ
位置のカートリッジ１２を示している。まず、このデッ
キ位置のカートリッジ１２をほぼ９０°反時計廻り方向
へ振り回した図３に示すセル位置まで搬送する。

【００２３】回転機構部２０のモータ２１が回転駆動す
ると、ドライブ歯車２２から半円形歯車２３に減速した
速度で回転が伝達され、その半円形歯車２３を反時計廻
り方向に回動させる。この半円形歯車２３の回動によっ
て一対の突起部２３ａ，２３ｂの一方２３ｂが、搬送機
構部１０側のトレイ１１に設けた一方のストッパ部１
３，１４に当接して押し上げる。

【００２４】回転機構部２０によるそうした押し上げを
受けて、搬送機構部１０側のトレイ１１が回転支軸３を
中心にして、図２に示すように、矢印Ａで示す反時計廻
り方向を回動開始する。

【００２５】この図２に示す位置にトレイ１１が回動し
た段階で、回転機構部２０側のモータ２１が回転駆動を
停止する。モータ駆動停止後は、緩衝機構部３０の動作
によって搬送機構部１０をこのトレイ１１がベースプレ
ート２に設けたストッパ受４に突き当たるまで引き寄せ
る。

【００２６】すなわち、図２のモータ駆動停止位置に
て、それからは緩衝機構部３０のコイルスプリング３８
のばね力により、カム３７のカムフォロア面に案内され
る回転ローラ３５を介して、ローラアーム３１がヒンジ
ピン３３を支点にして反時計廻り方向に回転する。こう
したカム３７を介したコイルスプリング３８とローラア
ーム３１の動作により、搬送機構部１０側のトレイ１１
が緩衝作用を受けながら、ベースプレート２のストッパ
受４に当接する停止位置に位置決めされる。

【００２７】係る搬送機構部１０側のトレイ１１の弾性
的な停止作用により、従来例のようにモータ２１の駆動
で直にトレイ１１をストッパ受４にて停止させる構造に
対して、モータ２１のロックが防止され、モータ２１内
のギヤヘッド等の内部部品の損傷を免れることができ
る。

【００２８】また、トレイ１１がストッパ受４に弾性緩
衝されながら当接することで、従来のような当接衝撃力
によって搬送機構部１０の全体が跳ね返されることもな
く、ディテント機構として係合が外れるといった不測事
態を回避することができる。

【００２９】一方、以上のデッキ位置からセル位置にカ
ートリッジ１２を投入する搬送動作に対して、図３のセ
ル位置から図１のデッキ位置にカートリッジ１２を排出
する搬送動作は、まったく逆の動作手順を踏む。

【００３０】この場合、搬送機構部１０全体は回転支軸
３を中心に時計廻り方向へ回動し、トレイ１１がベース
プレート２に設けた他方のストッパ受５に当接する図１
の位置まで、回動途中のモータ駆動停止から緩衝機構部
３０が緩衝動作する。その際、今度は他方のローラアー
ム３２がカム３７を介してコイルスプリング３８により
トレイ１１を時計廻り方向へ引き寄せることになる。

【００３１】なお、上記実施の形態では、可動部材とし
てほぼ半円形の歯車２３が用いられたが、係る形状の歯
車２３に限定されない。例えば、モータ２１の回転が減
速して伝達されるようにすれば、回転支軸３を中心に梃
子状の運動を行うレバー部材のごときも考えられ、その
一端部を２３ａとし、他端部２３ｂとしてトレイ１１側
のストッパ部１３，１４に対応させる。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明による磁気
テープ装置のカートリッジ取出ハンド機構によれば、カ
ートリッジ搬送機構部によりカートリッジをデッキ位置
とセル位置との間を正逆方向へ回動させながら投入／排
出する際、その間の回動途中でモータ駆動を停止して、
それからは緩衝機構部の動作により所定の停止位置に弾
性的に引き寄せて保持するようになっているので、従来
構造のように、停止位置における搬送機構部の衝突衝撃
力を緩和でき、モータ内部部品の損傷を防止し、また衝
突時のディテント機構の係合外れといった不測事態を回
避するのに有効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による磁気テープ装置のハンド機構の実
施の形態において、デッキ位置からセル位置へのカート
リッジ排出前の状態を示す組立断面図である。

【図２】本実施の形態のデッキ位置からセル位置へのカ
ートリッジ搬送機構部の回動状態を示す組立断面図であ
る。

【図３】本実施の形態のセル位置から逆にデッキ位置へ
のカートリッジ投入前の状態を示す組立断面図である。

【符号の説明】

１ ハンド機構 ２ 機構本体ベースプレート ３ 回転支軸 ４，５ 弾性ゴムのストッパ受 １０ 搬送機構部 １１ カートリッジトレイ １２ カートリッジ １３，１４ ストッパ部 ２０ 回転機構部 ２１ モータ ２２ ドライブ歯車 ２３ 半円形の歯車（可動部材） ２３ａ，２３ｂ 突き当て突起部（可動部材の一端部と
他端部） ３０ 緩衝機構部 ３１，３２ ローラアーム ３３，３４ ヒンジピン ３５，３６ 回転ローラ ３７ カム ３８ コイルスプリング（ばね部材）

Claims (8)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】機構本体を形成するベースプレートと、 このベースプレートに回転支軸を介して回動可能に支持
   されたトレイを有し、このトレイ内のカートリッジをデ
   ッキ位置とセル位置との間を一方から他方へまたはその
   逆に搬送する搬送機構部と、 前記ベースプレートに担持された回転駆動源を有し、こ
   の回転駆動源からの回転を受けた可動部材を当接させて
   前記トレイをデッキ位置またはセル位置まで回動させる
   回転機構部と、 前記ベースプレートに担持され、デッキ位置またはセル
   位置までの各回動途中で前記回転機構部の作動を停止さ
   せた後、その途中位置からデッキ位置またはセル位置ま
   で前記トレイを弾性力で引き寄せ回動させて停止保持す
   る緩衝機構部と、を備えていることを特徴とする磁気テ
   ープ装置のカートリッジ取出ハンド機構。
2. 【請求項２】前記回転機構部の可動部材は、前記トレイ
   を支持する前記回転支軸上に回動可能に支持され、その
   回転支軸を中心とした一端部と他端部が前記トレイに当
   接可能な形状となっていることを特徴とする請求項１に
   記載の磁気テープ装置のカートリッジ取出ハンド機構。
3. 【請求項３】前記可動部材が、前記回転支軸を中心とし
   た前記一端部と他端部を有するほぼ半円形の歯車である
   ことを特徴とする請求項２に記載の磁気テープ装置のカ
   ートリッジ取出ハンド機構。
4. 【請求項４】前記緩衝機構部は、前記回転支軸上の前記
   ほぼ半円形の歯車と同軸に設けられて一体に回動するカ
   ムを有し、このカムごと前記ほぼ半円形の歯車を正逆回
   転方向のいずれにも付勢するばね部材を有してなってい
   ることを特徴とする請求項３に記載の磁気テープ装置の
   カートリッジ取出ハンド機構。
5. 【請求項５】前記緩衝機構部は、前記カムに係合する回
   転ローラを介して前記ばね部材の弾性力により前記カム
   ごと前記ほぼ半円形の歯車を正逆方向に回転させるロー
   ラアームが備わっていることを特徴とする請求項４に記
   載の磁気テープ装置のカートリッジ取出ハンド機構。
6. 【請求項６】前記トレイが回動停止して保持されるデッ
   キ位置およびセル位置のそれぞれに対応する位置の前記
   ベースプレートに、弾性ゴムによるストッパ受が設けら
   れていることを特徴とする請求項１〜５のいずれかに記
   載の磁気テープ装置のカートリッジ取出ハンド機構。
7. 【請求項７】前記デッキ位置およびセル位置にそれぞれ
   対応して設けられた前記ストッパ受の位相角度が９０°
   であることを特徴とする請求項６に記載の磁気テープ装
   置のカートリッジ取出ハンド機構。
8. 【請求項８】前記位相角度９０°による前記デッキ位置
   およびセル位置の各手前の途中位置にて、前記回転機構
   部の回転駆動源をオフ停止させることを特徴とする請求
   項７に記載の磁気テープ装置のカートリッジ取出ハンド
   機構。