JP2968401B2 - 水洗便器用薬剤供給装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水洗便器用薬剤供給装
置に関し、特に、水洗便器の使用を自動感知して洗浄水
供給装置から水洗便器に洗浄水が供給される度に該水洗
便器に消毒、消臭、洗浄等を目的とした必要量の薬剤を
自動的に供給する水洗便器用薬剤供給装置の改良に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に水洗便器では、消毒、消臭、洗浄
等の目的で様々な薬剤による処理が行われている。この
薬剤処理の方法は水洗便器の型により異なるが、例え
ば、薬剤を直接便器内や洗浄水貯水タンク内に投入する
もの、薬剤を洗浄水貯水タンクへの給水部位に置くもの
などがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような薬剤処理の
必要性は、多数の人々が使用する駅、公園などの各所の
公衆便所においてとりわけ高くなるが、その場合、薬剤
交換作業の容易さや薬効の持続性などが重要となる。例
えば、便器に薬剤を直接投入する場合は交換作業は容易
となるが、薬剤消費量が激しいので頻繁に交換しなけれ
ばならず不経済である。また、洗浄水貯水タンク内に投
入する場合は作業が頻繁になったり、薬剤の交換時期の
判断が困難となったりするという問題のほか、薬剤全体
が常に水と接触しているのでやはり薬剤消費量が多くな
り不経済であるという問題もある。

【０００４】さらに、貯水タンクの給水部位に薬剤を置
く場合は、貯水タンクが高所にある型では薬剤の交換作
業や交換時期の判断が困難となり、一方低所にある場合
にはそのような問題は生じないが、心無い利用者による
いたずらなどがなされる虞がある。

【０００５】以上のように、従来の薬剤の使用により水
洗便器を消毒、消臭などする装置や方法においては、薬
剤交換作業が頻繁であったり、不経済であったりという
種々の問題があり、これらの問題は、使用回数の多い公
衆便所においてはとりわけ大きいものがあった。

【０００６】そこで、以上のような種々の問題点を解決
するものとして、従来、水洗便器に洗浄水を供給する洗
浄水供給管と組み合わせて使用され、水洗便器に洗浄水
が流れる度に該水洗便器に消毒、消臭、洗浄等を目的と
した必要量の薬剤を自動的に供給する水洗便器用薬剤供
給装置が知られている（例えば、特公昭４９−２１５４
１号公報参照）。

【０００７】かかる水洗便器用薬剤供給装置は、水洗便
器に洗浄水を給水する給水管からノズルおよび連結管を
介してケース内に、フロート付きの弁装置の作用で一定
量ずつの水を取り込む。そして、ケース内に配設された
倒立薬剤瓶の海綿体の如き浸出性瓶栓から浸出する薬剤
を前記ケース内に取り込まれた水により希釈して薬剤水
溶液とし、前記給水管内の内圧減少に伴って、この薬剤
希釈水溶液を前記フロート付きの弁装置を設けた弁室お
よび連結管を介して再び給水管内に排水して、便器内へ
と排流するようにしている。

【０００８】しかし、かかる従来の水洗便器用薬剤供給
装置にあっては、倒立薬剤瓶の海綿体の如き浸出性瓶栓
から浸出する薬剤をケース内に取り込まれた水により希
釈して薬剤水溶液とする構成であるから、浸出する薬剤
量が一定なものとはならず、一定濃度の薬剤水溶液を常
時供給できない。また、浸出する薬剤量が一定なものと
はならないから、倒立薬剤瓶内の薬剤量の消費量が推測
できず、薬剤の補給時期等の管理が行い難いという問題
点がある。

【０００９】そこで、本発明は上記に鑑みてなされたも
のであり、水洗便器に洗浄水が流れる度に該水洗便器に
消毒、消臭、洗浄等を目的とした薬剤を自動的に供給す
る水洗便器用薬剤供給装置の改良を図って、薬剤交換作
業性を向上し、経済性を向上すると共に、必要量の薬剤
供給の確実性を向上し、しかも、薬剤の補給等の保守・
管理を容易に行い、さらには、洗浄水供給装置をも一体
に具備して、機能性を向上することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】このため、本発明の水洗
便器用薬剤供給装置は、一端部に給水源と連通される入
口を、他端部に水洗便器内と連通される出口をそれぞれ
有する洗浄水供給通路と該洗浄水供給通路に介装されて
該通路を開閉する開閉弁と該開閉弁の開閉機構とを含ん
で構成される洗浄水供給制御部と、水洗便器の使用を自
動感知する感知手段と、該感知手段から出力される感知
信号に基づいて前記開閉弁を開放するように前記開閉機
構を制御する制御手段と、を含んで構成され、水洗便器
に洗浄水を供給する洗浄水供給装置と、前記出口下流の
洗浄水供給経路に連通される水の流入・排出管部を備え
た本体ケースと、該本体ケースの内部に収納される薬液
混合用ケースであって、前記水の流入・排出管部に接続
される接続管部を備えた下蓋部材と、該接続管部から水
を流出させる流出口と、該流出口を閉塞可能な弁体を備
えた第１のフロートと、下蓋部材に設けられた第１のマ
グネットと、底面に液体通過孔が形成されていると共に
第１のマグネットと同極面が対向するように固着された
第２のマグネットを有する有底筒状の第２のフロート
と、該第２のフロートの底面に立設された支持部材に支
持され、かつ一定間隔をおいて異極同士が対向するよう
に固定配設された第３及び第４のマグネットと、上面に
薬液通過孔が穿設されていると共に該上面から内方に突
設されかつ先端部に液体吐出孔を有する略筒状の突起
部、該突起部内を移動可能に支持されて該薬液通過孔を
開閉する弁部材及び該弁部材に連結されて第３のマグネ
ットと第４のマグネットの中間付近に位置している状態
において双方のマグネットに対向する磁極が異極となる
ように配設された第５のマグネットとを有する上蓋部材
と、を含んで構成される薬液混合用ケースと、内部に液
状薬剤が充填され、薬液吐出口が該薬液混合用ケースの
上蓋部材に形成した薬液通過孔と連通可能に配設された
薬液容器と、を有することを特徴とする。

【００１１】また、上記の水洗便器用薬剤供給装置にお
いて、薬液混合用ケースの上蓋部材に他の液状薬剤を供
給するための薬液供給孔が開設され、該薬液供給孔に浸
透膜を介して他の液状薬剤が充填された薬液容器が装着
されていることを特徴とする。

【００１２】

【作用】かかる構成において、感知手段により水洗便器
の使用が感知されると、該感知手段から出力される感知
信号に基づいて開閉弁を開放するように開閉機構が制御
され、洗浄水供給通路を介して洗浄水が水洗便器内に供
給される。また、出口下流の洗浄水供給経路を流れる洗
浄水の一部は水の流入・排出管部を介して、接続管部に
流入して開口部から下蓋部材と上蓋部材により形成され
る空間に流れ込む。

【００１３】一方、第２のフロートは、第１のマグネッ
トと第２のマグネットとが反発し合うため、洗浄水流入
前においては上方に位置している。また、第５のマグネ
ットは、第４のマグネットの磁界の影響により弁部材と
共に下方へ移動する。したがって、この状態においては
薬液通過孔は開放状態であり、薬液が弁部材の上方に溜
まる。

【００１４】上蓋部材と下蓋部材により形成される空間
に溜まる洗浄水が所定量に至ると、第２のフロート内に
流入する。第２のフロート内に溜まった洗浄水の量が所
定量に至ると、第１のフロートが上動し、弁体により接
続管部に設けた流出口が閉塞され、洗浄水の流入がスト
ップする。

【００１５】一方、洗浄水の供給が終わり近くなって、
洗浄水の水圧が低下すると、第１のフロートの弁体に接
続管部側からの水圧が印加されなくなり、逆に薬液混合
用ケース内に溜まった洗浄水の水圧を受けて接続管部の
流出口から離れ、該薬液混合用ケース内の洗浄水は接続
管部、水の流入・排出管部を通じて洗浄管に至り、該洗
浄管から水洗便器内側に流下し始める。なお、ここで流
下する洗浄水は、次述するように、下蓋部材底面と流出
口との間に残存している前回流れた洗浄水及び薬液との
混合液と、今回の新たな洗浄水との洗浄混合液である。

【００１６】第２のフロート内の洗浄水の量が第１のマ
グネットと第２のマグネットとの反発力に抗しきれない
程度の重量となると、第２のフロートは下方に移動す
る。第５のマグネットは第３のマグネットの磁界の影響
を受けて上方へ移動する。これにより第５のマグネット
の上方に溜まっていた薬液は第５のマグネットと筒状の
突起部内面との間隙を通過して第５のマグネットの下方
へ移動する。一方、第２のフロート内の混合液は、第２
のフロートの底面に形成した液体通過孔を通じて流出す
る。第２のフロート内の混合液量が所定量以下になる
と、第１のマグネットと第２のマグネットとの反発力に
より、第２のフロートは上方に付勢される。これによ
り、第５のマグネットは第４のマグネットが接近するた
め、第４のマグネットの磁界の影響を受けて下方へ移動
する。したがって、第５のマグネットの下方に溜まって
いた一定量の薬液が、筒状の突起部の先端部に設けた液
体吐出孔より第２のフロート内へ滴下せしめられる。

【００１７】そして、この一定量の薬液との混合液は、
下蓋部材の底面上に残留する。次に洗浄水が流れてき
て、上記したように薬液混合用ケース内へ流入すると、
この一定量の薬液が混合された混合液と新たに流入した
洗浄水とが混合せしめられ、さらに洗浄水の水圧が低下
すると、再びこの洗浄混合液が第２のフロートに形成し
た液体通過孔、接続管部、水の流入・排出管部を介して
洗浄管に至り、該洗浄管から水洗便器内側に流下する。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述
する。水洗便器用薬剤供給装置１の本体ケース２は、板
状のベース部材３と蓋部材４とから構成される。なお、
本体ケース２の形状は特に限定されるものではなく、例
えば、図１及び図２に示すように、一部４ａを正面略円
形に、他の部分４ｂを方形体形状に形成して、ベース部
材３に対して蓋部材４の一部４ａを固定し、他の部分４
ｂをスライドさせて係合する構成とすることができる。
また、全体を略方形体形状に形成してもよい。すなわ
ち、ベース部材３には後述する各構成要素が固定若しく
は一体に形成されており、蓋部材４はこれら各構成要素
を覆うように係合溝と係合爪との係合構造やボルト等の
締結具を利用してベース部材３に組付固定されるもので
ある。

【００１９】かかる本体ケース２内部には、水洗便器に
洗浄水を供給する洗浄水供給装置６０が一体に組み込ま
れている。この洗浄水供給装置６０は、一端部に入口
を、他端部に出口をそれぞれ有する洗浄水供給通路と、
該洗浄水供給通路に介装されて該通路を開閉する開閉弁
としての給水弁６１と、該給水弁６１の開閉機構とを含
んで構成される洗浄水供給制御部６２と、水洗便器の使
用を自動感知する感知手段としての光センサ５１と、該
光センサ５１から出力される感知信号に基づいて前記給
水弁６１を開放するように前記開閉機構を制御する制御
手段としてのコントローラ５２と、から構成される。

【００２０】すなわち、前記洗浄水供給制御部６２は、
前記給水弁６１やその開閉機構を内蔵した本体ケース部
６２ａとパイプ部６２ｂとソレノイドバルブ６２ｃとか
ら構成される。本体ケース部６２ａの背部には前記入口
としての入口管部６２ｄが設けられ、底部には前記出口
としての出口管部６２ｅが設けられている。この入口管
部６２ｄは図示しない給水源と図示しないパイプを介し
て連通され、出口管部６２ｅは水洗便器内に洗浄水を供
給する洗浄管６にコネクタ管６２ｆを介して連通接続さ
れる。

【００２１】前記本体ケース部６２ａ内には、入口管部
６２ｄと出口管部６２ｅとを結ぶ洗浄水供給通路６４が
形成され、この洗浄水供給通路６４には止水弁６５と前
記給水弁６１とが介装される。この場合、洗浄水供給通
路６４は、入口管部６２ｄと連通する空間部６４ａと、
止水弁６５と給水弁６１とが配設され、該止水弁６５に
よって開閉される連通口６４ｂを介して前記空間部６４
ａと連通する空間部６４ｃと、出口管部６２ｅと連通し
前記給水弁６１によって開閉される連通口６４ｄを介し
て前記空間部６４ｃと連通する空間部６４ｅと、に画成
される。

【００２２】前記止水弁６５は、連通口６４ｂの開口面
積を調整する弁体６５ａと、該弁体６５ａに連結される
開閉ねじ６５ｂとから構成され、常時は弁体６５ａによ
り連通口６４ｂを開放する。そして、開閉ねじ６５ｂの
回動により弁体６５ａを上・下動して、前記連通口６４
ｂの開口面積を調整することにより、水勢を調整し、必
要に応じて連通口６４ｂを弁体６５ａにより閉塞して止
水する。

【００２３】前記給水弁６１は、前記止水弁６５の横側
の空間部６４ｃに配設され、前記連通口６４ｄを開閉す
る弁体としてのピストンバルブ６１ａと、該ピストンバ
ルブ６１ａ上方位置の本体ケース部６２ａ上壁に形成さ
れた開口部６２ｆに装着される蓋体６１ｂと、ピストン
バルブ６１ａと蓋体６１ｂとの間に介装されて該ピスト
ンバルブ６１ａを常時は閉弁方向に付勢するスプリング
６１ｃと、ピストンバルブ６１ａの開状態においてその
開度を調整する調整ねじ６１ｄとから構成される。

【００２４】ピストンバルブ６１ａには、該バルブ６１
ａの上端側空間部ａと下端側空間部ｂとを仕切る仕切壁
６１ｅが設けられており、該仕切壁６１ｅには小孔６１
ｆが形成されている。前記調整ねじ６１ｄは前記蓋体６
１ｂの中心部に設けられており、その回動により上・下
に進退動作され、ピストンバルブ６１ａの開弁に伴う上
動位置を規制して、前記バルブ６１ａ開度を調整し、水
量を調整する。

【００２５】前記パイプ部６２ｂは略Ｌ字形状に形成さ
れており、その一端部は前記本体ケース部６２ａのバル
ブ上端側空間部ａに連通接続され、他端部はソレノイド
バルブ６２ｃの弁体配設部の入口に連通接続される。ソ
レノイドバルブ６２ｃの弁体配設部の出口は出口管部６
２ｅと連通する空間部６４ｅに連通接続される。ソレノ
イドバルブ６２ｃの弁体はパイプ部６２ｂと空間部６４
ｅとを連通する通路を開閉するように構成される。

【００２６】前記蓋部材４の前壁には開口部５が開設さ
れ、該開口部５には透明部材５ａが装着され、その内側
である本体ケース２内部には、図３及び図４に示すよう
に、前記光センサ５１とコントローラ５２が配設されて
いる。ここで、光センサ５１から出力される信号はコン
トローラ５２に入力され、該コントローラ５２からは前
記ソレノイドバルブ６２ｃの通電を制御する制御信号が
出力される。また、コントローラ５２には、駆動電源で
ある乾電池、例えばリチウム電池５３が接続される。

【００２７】そして、コントローラ５２は、光センサ５
１が光を感知している状態から光が所定時間遮断された
状態になった際に、リチウム電池５３からの通電をソレ
ノイドバルブ６２ｃに行い、該ソレノイドバルブ６２ｃ
をその弁体を開放するように駆動する。また、上記ソレ
ノイドバルブ６２ｃへの通電時間は図示しないタイマに
よって選択設定され（例えば、設定時間は１，３，５，
７ｓｅｃ）、所定時間後にはソレノイドバルブ６２ｃへ
の通電を遮断して、該ソレノイドバルブ６２ｃをその弁
体を閉塞するように駆動する。

【００２８】一方、前記出口管部６２ｅと洗浄管６とを
連結するコネクタ管６２ｆには水の流入・排出管部とし
ての管体７が突入して連通され、該管体７本体ケース２
内に収納されている。この管体７は図３及び図４に示す
ように一部が切り欠かれており、出口管部６２ｅを通っ
てコネクタ管６２ｆを流れてくる洗浄水の一部が該切欠
き部７ａからその内部に流入し得るように構成されてい
る。なお、７ｂは管体７と後述する接続管部８１ａとを
連結する連結パイプである。

【００２９】また、本体ケース２の内部には、上記コン
トローラ５２に隣接して薬液混合用ケース８が収納され
ている。この薬液混合用ケース８は、下蓋部材８１と第
１のフロート８２と、第２のフロート８３と、上蓋部材
８４とから構成され、下蓋部材８１は水の流入、排出管
部である管体７の一端に接続される接続管部８１ａと、
下蓋部材８１の底面の内側に突設させた支持部材８１ｂ
に固着された第１のマグネット８１ｃとを有して構成さ
れている。なお、接続管部８１ａは、該下蓋部材８１の
底面に沿って形成され、他端部（接続側端部の反対側の
端部）の上部には、該下蓋部材８１の底面に対して上蓋
部材８４の上面方向に所定間隔をおいて洗浄水を流出さ
せるための流出口８１ｅが形成されている。また、この
流出口８１ｅには、後述の第１のフロート８２を支持す
るための支持筒部（図示せず）が立設されている。

【００３０】第１のフロート８２は、弁体８２ａと連結
ロッド８２ｂに連結されたフロート部８２ｃとから構成
され、弁体８２ａが接続管部８１ａの他端部内に配設さ
れかつ連結ロッド８２ｂが上記支持筒部（図示せず）に
挿通されて配設され、フロート部８２ｃの上下動により
開口部８１ｅを開閉するものである。

【００３１】第２のフロート８３は、有底筒状に形成さ
れ、その底面８３ａには第１のマグネット８１ｃに対向
する面が同極となるように配置された略円形の第２のマ
グネット８３ｂが固着されていると共に、その適宜位置
には、液体通過孔８３ｃが開口形成されている。また、
第２のフロート８３の底面内側には、円柱部８３ｄと、
該円柱部８３ｄの上端に接続された円筒部８３ｅと、該
円筒部８３ｄと円筒部８３ｅとの接続部に形成された薬
液流出部８３ｆとから構成される支持部材８３ｇが立設
されており、円筒部８３ｅの内周面には一定間隔をおい
てかつ対向する面が異極となるように略環状に形成され
た第３のマグネット８３ｈ及び第４のマグネット８３ｉ
が配設されている。

【００３２】上蓋部材８４は、上記した下蓋部材８１と
係合し得るように形成され、上面外側には、内部に液状
薬剤を充填してなる薬液容器９が連結配設されている。
また、この上蓋部材８４の上面には、この薬液容器９の
薬液吐出口９ａと連通可能なように薬液通過孔８４ａが
形成されており、該薬液通過孔８４ａの反対面側には内
方に向けて略筒状の突起部８４ｂが設けられている。こ
の突起部８４ｂの内部には、薬液通過孔８４ａを開閉可
能な弁部材８４ｃと、該弁部材８４ｃと連結され該突起
部８４ｂの内径よりも小さな径で形成された円形の第５
のマグネット９４ｄと、液体吐出孔８４ｅが穿設され、
該突起部８４ｂの先端開口部に装着されるキャップ部材
８４ｆとが配設されている。なお、液体吐出孔８４ｅの
孔径は、薬液が押し出されない場合すなわち常態におい
ては、該孔８４ｅから薬液が吐出されず、液漏れしない
程度に形成されている。

【００３３】ここで、図７及び図８に示した符号１０は
上記薬液容器９内に充填した液状薬剤とは異なる種類の
液状薬剤が充填されている他の薬液容器であり、薬液混
合用ケース８の上蓋部材８４の適宜部位に開口端部１０
ａを下に向け浸透膜１０ｂを介して倒立配備される。

【００３４】次に、かかる構成の水洗便器用薬剤供給装
置１の作用について説明する。水洗便器用薬剤供給装置
１は例えば、ベース部材３の裏面を粘着テープやネジ等
を利用してトイレの水洗便器直上部の壁面に固定して使
用する。そして、給水源と洗浄水供給制御部６２の本体
ケース部６２ａの入口管部６２ｄとが連結された状態で
は、該入口管部６２ｄから空間部６４ａに水が流入し、
この水は止水弁６５により開放された連通口６４ｂを通
って空間部６４ｃに至り、給水弁６１のピストンバルブ
６１ａのバルブ下端側空間部ｂから小孔６１ｆを通じて
から上端側空間部ａへと流れ、該上端側空間部ａに溜ま
ると共に、パイプ部６２ｂへと流れ、閉塞状態にあるソ
レノイドバルブ６２ｃの弁体手前で止まる。

【００３５】かかる状態において、ピストンバルブ６１
ａは、スプリング６１ｃの弾性力によって閉弁方向に付
勢されると共に、バルブ上端側空間部ａには所定の水圧
が印加されているため、閉弁状態に保持される。この状
態では、連通口６４ｄがピストンバルブ６１ａによって
閉じられており、本体ケース部６２ａの空間部６４ｃに
流入している水は洗浄管６に流れない。

【００３６】次に、水洗便器の使用時において、使用者
が光センサ５１の前に位置し、その後立ち去った場合、
光センサ５１が光を感知している状態から光が所定時間
遮断された状態になるため、コントローラ５２は、リチ
ウム電池５３からの通電をソレノイドバルブ６２ｃに行
い、該ソレノイドバルブ６２ｃをその弁体を開放するよ
うに駆動する。この結果、パイプ部６２ｂが開通し、ソ
レノイドバルブ６２ｃの弁体手前位置で止まっていた水
が空間部６４ｅを経て出口管部６２ｅへと流れる。この
結果、バルブ上端側空間部ａの水も吐き出され、該バル
ブ上端側空間部ａの水圧が低下するため、ピストンバル
ブ６１ａはバルブ下端側空間部ｂの水圧により、スプリ
ング６１ｃの弾性力に抗して上方に押され、これによっ
て連通口６４ｄが開放される。この結果、給水源からの
給水は本体ケース部６２ａの空間部６４ａ、空間部６４
ｃ及び空間部６４ｅを経て出口管部６２ｅに至り、ここ
から洗浄管６を介して水洗便器に供給される。

【００３７】そして、ソレノイドバルブ６２ｃへの通電
時間は前記タイマによって選択設定され、所定時間後に
はリチウム電池５３からソレノイドバルブ６２ｃへの通
電が遮断されるから、該ソレノイドバルブ６２ｃがその
弁体を閉塞するように駆動され、初期の状態に戻って、
洗浄管６への水の供給が遮断される。

【００３８】一方、上記のようにして洗浄管６に洗浄水
が供給されると、洗浄管６に向かう洗浄水の一部はコネ
クタ管６２ｆから管体７内に流入する。第１のフロート
８２の弁体８２ａが上動しない間は、管体７に流入した
洗浄水は連結ホース７ｂを通じて接続管部８１ａの流出
口８１ｅを通過して薬液混合用ケース８の下蓋部材８１
と上蓋部材８４とにより形成される内部空間に流入す
る。

【００３９】この状態においては図９に示すように第２
のフロート８３は、第１のマグネット８１ｃと第２のマ
グネット８３ｂとが反発し合っているため、上蓋部材８
４の上面に接近する方向に付勢されて位置している。し
たがって、第２のフロート８３に設けられた支持部材８
３ｇに支持された２つのマグネットのうち、下方に配設
された第４のマグネット８３ｉの磁界が第５のマグネッ
ト８４ｄに作用する。

【００４０】すなわち、第５のマグネット８４ｄはこの
第４のマグネット８３ｉの磁界の影響を受けて、略筒状
の突起部８４ｂ内を下方に移動する。これに伴い第５の
マグネット８４ｄに連結された弁部材８４ｃも下方に移
動する。これにより、薬液容器９の薬液吐出口９ａから
薬液通過孔８４ａを通じて、薬液が該弁部材８４ｃの上
部に溜まる。

【００４１】図１０及び図１１に示すように、洗浄水の
流入量が所定以上となると、第２のフロート８３の液体
通過孔８３ｃとその上縁からこの第２のフロート８３内
へ洗浄水が流入する。さらに、この第２のフロート８３
内に流入した洗浄水量が所定量以上となると、第１のマ
グネット８１ｃと第２のマグネット８３ｂとの反発力に
抗してその重みにより、該第２のフロート８３は下方へ
移動する。これにより、第５のマグネット８４ｄは、第
２のフロート８３の支持部材８３ｇにおいて上方に配設
された第３のマグネット８３ｈの磁界の影響を受けて、
弁部材８４ｃと共に上方へ移動する。そして、第５のマ
グネット８４ｄとキャップ部材８４ｆとの間にできた間
隙に薬液が流入する。なお、この間隙は、常に一定であ
るため、流入する薬液の量も一定している。

【００４２】洗浄水がさらに流入すると、第１のフロー
ト８２のフロート部８２ｃが上方へ移動するため、弁体
８２ａも上動し、下蓋部材８１に設けた接続管部８１ａ
に形成された開口部８１ｅが閉塞され、洗浄水の流入が
ストップする。

【００４３】一方、洗浄水の供給が終わり近くなって、
洗浄水の水圧が低下すると、洗浄水の水圧が第１のフロ
ート８２の弁体８２ａに印加されなくなる。その一方、
薬液混合用ケース８内に溜まった洗浄水（前回洗浄水が
流れたときに薬液と混合された残留液との混合液）の水
圧を受けて弁体８２ａは開放作動する。これにより、こ
の接続管部８１ａの流出口から離れ、該薬液混合用ケー
ス８内の洗浄水は接続管部８１ａ、水の混合液は、管体
７を介して洗浄管６に至り、該洗浄管６から水洗便器内
側に流下する。第２のフロート８３内の混合液は、第２
のフロート８３の底面８３ａに形成した液体通過孔８３
ｃを通じて流出する（図１１参照）。第２のフロート８
３内の混合液量が所定量以下になると、第１のマグネッ
ト８１ｃと第２のマグネット８３ｂとの反発力により、
該第２のフロート８３は上方に付勢され、上蓋部材８４
の上面内側に当接するまで上動する（図１２参照）。こ
れにより、第５のマグネット８４ｄは、第４のマグネッ
ト８３ｉが接近するため、再びこの第４のマグネット８
３ｉの磁界の影響を受けて、略筒状の突起部８４ｂ内を
下方へ移動する。これに伴い弁部材８４ｃも下方に移動
する。したがって、弁部材８４ｃとキャップ部材８４ｆ
の液体吐出孔８４ｅから、第２のフロート８３の支持部
材８３ｇの薬液流出部８３ｆを介して第２のフロート８
３内へ滴下せしめられ、洗浄水と混合される。

【００４４】この洗浄混合液は、第２のフロート８３の
底面８３ａに設けた液体通過孔８３ｃから第２のフロー
ト８３の外部へ流出するが、下蓋部材８１に設けた接続
管部８１ａの流出口８１ｅは下蓋部材８１の底面から一
定の高さをおいて開口されているため、混合液の嵩が流
出口８１ｅの高さ以下になると薬液混合用ケース８内に
残留することになる（図１２参照）。

【００４５】次に洗浄水が流れたときに、薬液混合用ケ
ース８内へ流入すると、この洗浄水と薬液がすでに混合
されている残留液とが混合せしめられて、一定量の薬液
を含んだ洗浄混合液として上記した場合と同様に流出せ
しめられて、一定量の薬液を含んだ洗浄混合液として上
記した場合と同様に流出せしめられる。なお、薬液容器
９内の薬液は第５のマグネット８４ｄにより一旦突起部
８４ｂに溜められた後供給されるため、薬液容器９の薬
液が完全に消費されるまで常に一定量ずつ供給される。

【００４６】ここで、本実施例のように他の液状薬剤を
充填した他の薬液容器１０を配設した場合には、浸透膜
１０ｂを介して接している薬液混合用ケース８内の混合
液とこの他の薬液容器１０内に充填された薬液との濃度
が一定になるまで、該他の薬液容器１０から薬液が浸出
する。薬液混合用ケース８内の混合液は、洗浄水が流入
する度に希釈されるため、一定量の薬液がその度に浸出
し、上記したように、接続管部８１ａ及び管体７を介し
て洗浄管に至り、該洗浄管から水洗便器内側に流下す
る。なお、浸透膜１０ｂを介して薬液を供給すると、次
第に薬液濃度が低下する。したがって、この他の薬液容
器１０に充填する薬液としては、上記薬液容器９に充填
された薬液の補助的役割を果たすものを充填することが
好ましい。

【００４７】かかる構成の水洗便器用薬剤供給装置１に
よると、トイレの使用時に水洗便器に洗浄水が流れる度
に該水洗便器に消毒、消臭、洗浄等を目的とした薬剤を
自動的に供給することができ、薬剤交換作業性を向上で
き、経済性を向上することができると共に、必要量の薬
剤供給の確実性を向上できる。このため、薬剤容量を長
期間保持でき、薬剤の補給を頻繁に行う必要がなくな
り、保守・管理が簡単になるという利点がある。

【００４８】また、第５のマグネット８４ｄの上下動作
用により、薬液容器９内の薬液を一旦薬液混合用ケース
８の上蓋部材８４の突起部８４ｂ内に保持して滴下する
構成としている。そのため、液状薬剤を確実に略一定量
で供給でき、一定濃度の薬剤水溶液を常時供給できる。
また、供給される薬剤量が略一定なものとなるから、薬
剤量の消費量が推測でき、薬剤の補給時期等の管理が行
い易くなるという利点がある。

【００４９】さらに、かかる構成の水洗便器用薬剤供給
装置１においては、その本体ケース２内部に、光センサ
５１により水洗便器の使用を感知して、給水弁６１を開
弁作動させることにより、水洗便器に洗浄水を供給する
洗浄水供給装置６０を一体に組み込むようにしているた
め、洗浄水供給装置を水洗便器用薬剤供給装置１とは別
に設置する必要がなく、洗浄水供給装置を水洗便器用薬
剤供給装置の両方を別々に設ける場合に比べて装置の設
置工事等が簡単となると共に、費用的にも有利となる。

【００５０】また、洗浄水供給装置を水洗便器用薬剤供
給装置の両方を別々に設ける場合に比べてコンパクトに
収めることができるので、水洗便器周りの装置の設置ス
ペースを多く取ることがなく、水洗便器周りが繁雑にな
らず、すっきりとしたものとなり、トイレの空間のイメ
ージを良好に保つことが可能となる。

【００５１】なお、洗浄水供給装置６０は、水洗便器の
使用を感知して、自動的に水洗便器を洗浄する構成であ
るから、洗浄のための手動操作の必要がなく、手動操作
の必要がないため、操作忘れがなく、使用の都度確実に
洗浄するため、衛生的でもある。また、便器の洗浄に必
要な最適流量を使用の都度流すので、無駄な水を消費し
ないという利点がある。

【００５２】なお、特定の実施例を参照して本発明を説
明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当
該技術分野における熟練者等により、本発明に添付され
た特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更お
よび修正が可能であるとの点に留意すべきである。

【００５３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の水洗便器
用薬剤供給装置によれば、薬剤交換作業性を向上でき、
経済性を向上することができると共に、一定量の薬剤供
給の確実性を向上できる。また、薬剤の定量供給の確実
性を向上することができることから、保守・管理の容易
化を図ることができる。また、洗浄水供給装置を水洗便
器用薬剤供給装置とを両方別々に設ける場合に比べて装
置の設置工事等が簡単となると共に、費用的にも有利と
なり、しかも、トイレの空間のイメージを良好に保つこ
とが可能となり、特に、多数の人々が使用するホテルや
レストラン等のトイレ等において好適である。

【００５３】また、薬液混合用ケースの上蓋部材に他の
液状薬剤を供給するための薬液供給孔を開設し、該薬液
供給孔に浸透膜を介して他の液状薬剤が充填された薬液
容器を装着すれば、他の薬液をも水洗便器に供給できて
便利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る水洗便器用薬剤供給装置の一実
施例の外観を示す斜視図である。

【図２】 蓋部材の一部と他の部分とをスライドさせて
開放した状態を示す斜視図である。

【図３】 図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】 図３のＢ−Ｂ線断面図である。

【図５】 図３のＣ−Ｃ線断面図である。

【図６】 図３の左側面の断面図である。

【図７】 洗浄水供給装置の洗浄水供給制御部の断面図
である。

【図８】 薬液混合用ケースの外観を示す斜視図であ
る。

【図９】 同上実施例における作用を説明するための薬
液混合用ケースの断面図であり、洗浄水流入初期の状態
を示す図である。

【図１０】 同上実施例における作用を説明するための
薬液混合用ケースの断面図であり、第２のフロート内に
洗浄水が満たされた状態を示す図である。

【図１１】 同上実施例における作用を説明するための
薬液混合用ケースの断面図であり、突起部内において第
５のマグネットの下方に薬液が溜まっている状態を示す
図である。

【図１２】 同上実施例における作用を説明するための
薬液混合用ケースの断面図であり、突起部内から薬液が
滴下された状態を示す図である。

【符号の説明】

１ 水洗便器用薬剤供給装置 ２ 本体ケース ６ 洗浄管 ７ 管体 ８ 薬液混合用ケース ５１ 光センサ ５２ コントローラ ６０ 洗浄水供給装置６０ ６１ 給水弁 ６２ 洗浄水供給制御部 ８１ 下蓋部材 ８１ｃ 第１のマグネット ８２ 第１のフロート ８３ 第２のフロート ８３ｂ 第２のマグネット ８３ｈ 第３のマグネット ８３ｉ 第４のマグネット ８４ 上蓋部材 ８４ｄ 第５のマグネット ９ 薬液容器 １０ 他の薬液容器

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一端部に給水源と連通される入口を、他端
   部に水洗便器内と連通される出口をそれぞれ有する洗浄
   水供給通路と該洗浄水供給通路に介装されて該通路を開
   閉する開閉弁と該開閉弁の開閉機構とを含んで構成され
   る洗浄水供給制御部と、水洗便器の使用を自動感知する
   感知手段と、該感知手段から出力される感知信号に基づ
   いて前記開閉弁を開放するように前記開閉機構を制御す
   る制御手段と、を含んで構成され、水洗便器に洗浄水を
   供給する洗浄水供給装置と、前記出口下流の洗浄水供給
   経路に連通される水の流入・排出管部を備えた本体ケー
   スと、 該本体ケースの内部に収納される薬液混合用ケースであ
   って、前記水の流入・排出管部に接続される接続管部を
   備えた下蓋部材と、該接続管部から水を流出させる流出
   口と、該流出口を閉塞可能な弁体を備えた第１のフロー
   トと、下蓋部材に設けられた第１のマグネットと、底面
   に液体通過孔が形成されていると共に第１のマグネット
   と同極面が対向するように固着された第２のマグネット
   を有する有底筒状の第２のフロートと、該第２のフロー
   トの底面に立設された支持部材に支持され、かつ一定間
   隔をおいて異極同士が対向するように固定配設された第
   ３及び第４のマグネットと、上面に薬液通過孔が穿設さ
   れていると共に該上面から内方に突設されかつ先端部に
   液体吐出孔を有する略筒状の突起部、該突起部内を移動
   可能に支持されて該薬液通過孔を開閉する弁部材及び該
   弁部材に連結されて第３のマグネットと第４のマグネッ
   トの中間付近に位置している状態において双方のマグネ
   ットに対向する磁極が異極となるように配設された第５
   のマグネットとを有する上蓋部材と、を含んで構成され
   る薬液混合用ケースと、 内部に液状薬剤が充填され、薬液吐出口が該薬液混合用
   ケースの上蓋部材に形成した薬液通過孔と連通可能に配
   設された薬液容器と、 を有することを特徴とする水洗便器用薬剤供給装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の水洗便器用薬剤供給装置
   において、薬液混合用ケースの上蓋部材に他の液状薬剤
   を供給するための薬液供給孔が開設され、該薬液供給孔
   に浸透膜を介して他の液状薬剤が充填された薬液容器が
   装着されていることを特徴とする水洗便器用薬剤供給装
   置。