JP2968046B2 - 溶融金属の連続鋳造方法およびその装置 - Google Patents

溶融金属の連続鋳造方法およびその装置

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JP2968046B2 JP8507945A JP50794595A JP2968046B2 JP 2968046 B2 JP2968046 B2 JP 2968046B2 JP 8507945 A JP8507945 A JP 8507945A JP 50794595 A JP50794595 A JP 50794595A JP 2968046 B2 JP2968046 B2 JP 2968046B2
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健彦 藤
潔 和嶋
健三 澤田
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廷挙 李
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は溶融金属を連続鋳造する方法に関し、通電す
る交流電流の振幅、周波数あるいは位相等波形を繰り返
し変化させることによって、電磁力を溶融金属が、鋳型
から離れるように作用させ、初期凝固の不安定性を抑制
し、鋳型と溶融金属間に潤滑作用および表面性状改善作
用を付与しながら連続鋳造する方法およびその装置に関
する。
背景技術 連続鋳造にあたっては、一般にパウダーが鋳型内溶融
金属プール上面に添加され、溶融金属からの熱で溶融し
たパウダーは、上下に振動する鋳型壁と、一定速度で引
き抜かれる凝固シェルの相対運動によって、これらの間
隙に流入する。この溶融パウダーの流入の際に発生する
動圧によってメニスカスや凝固シェル先端が変形する。
この変形は鋳型オシレーションの周期で繰り返されるた
め、鋳片表面にはオシレーションマークとよばれる周期
的な皺が形成される。
ここで、通常程度の深さの規則的なオシレーションマ
ークの形成は、鋳造操業や鋳片表面品質の安定化に寄与
することが知られている。これに対し、オシレーション
マークの深さが深すぎる場合は鋳片表面欠陥につながる
恐れがある。また、深すぎるマーク自身が問題となる以
外に、例えばオーステナイトステンレス鋼の連続鋳造の
場合にはこのマーク谷部にNiの正偏析が発生し、鋳片の
表面研削が必要となったり、あるいは普通鋼等でも、マ
ーク形成に伴って、マーク部の気泡や介在物の捕捉が増
加する等の現象も観察され歩留まりを低下させるケース
もある。
一方、従来、ビレットをはじめとする小断面積の鋳片
の連続鋳造においては、パウダーに替わってレプシード
オイルが使用されている。浸漬ノズルを用いないで、注
入を行うこの小断面積鋳片の連続鋳造では、注入流によ
る巻き込みを引き起こすパウダーは使用できないからで
ある。このレプシードオイルはメニスカスにおいて燃焼
し、グラファイトとなって凝固シェルが鋳型壁へ焼き付
くのを防止することが知られている。しかし、結果とし
て鋳造された鋳片表面に規則的に生成した明瞭なオシレ
ーションマークを得ることは困難で、その鋳造操業や鋳
片品質の安定性は、パウダーを用いた鋳造に比べ劣って
いる。
以上述べた初期凝固を制御する方法として、従来、特
開昭52−32824号公報に記載されるように、溶融金属2
を潤滑剤4と共に一定の周期で振動する水冷鋳型1に注
入し、連続的に下方に引き抜くことによる連続鋳造方法
において、第2図に示すような鋳型周りに設けた電磁コ
イル5に交流電流を連続的に通電し、交流電磁場によっ
て発生する電磁力を利用して溶融金属2を凸状に盛り上
げることによって、鋳片表面性状を改善する方法が提案
されている。また、特開昭64−83348号公報に記載され
た、電磁コイルによって鋳型内の溶融金属に電磁力を与
える際に、第3図に示すように交流磁場をパルス状に付
与することによって、電磁力を間欠的に印加し、パウダ
ーキャスティングにおいて、さらなる表面性状の改善を
行う方法も提案されている。
上記の特開昭52−32824号公報に示されているよう
に、電磁コイルによって鋳型内の溶融金属に連続的に電
磁力を印加することによって、鋳片の表面性状が改善さ
れた。しかしながら、この印加した電磁場はメニスカス
形状を変化させるのみならず、鋳片内で凝固しようとす
る溶融金属を加熱し、初期凝固が必ずしも安定して進行
しない場合があった。また、特開昭64−83348号公報に
示されてるように、電磁コイルによって鋳型内の溶融金
属に間欠的に電磁力を与えることによって、凝固シェル
と鋳型壁間へのパウダーの流れ込みが一層促進され、鋳
片の表面性状が改善された。しかしながら、第3図に示
したような急激なオン・オフのパターンでは、溶融金属
プール表面に波動が発生する場合が見られる。この波動
は、非通電時期にも残存し、結果として溶融金属プール
メニスカスの擾乱を引き起こして電磁力印加の効果の妨
げとなり、甚だしい場合には凝固シェルへのパウダー捕
捉を引き起こすという問題を抱えていた。一方、メニス
カスにおいて液体として凝固シェルと鋳型の間に流入す
るようなパウダーを始めとする潤滑剤を使用しない連鋳
プロセスにおいては、その操業や鋳造される鋳片の表面
性状を、パウダーを使用して鋳造した場合と同等なもの
に向上させる必要があった。
また、従来のパウダー、レプシードオイル等の潤滑剤
を使用することなく、メニスカスより下方で凝固を開始
させることによって、メニスカスの乱れを排除して表面
性状を改善する方法が、特開平2−37943号公報に開示
されている。この方法では、グラファイトやアルミナグ
ラファイトのように、所定の電気伝導度の耐火物を鋳型
とすることによって、その周囲に設けた電磁コイルによ
って、発熱させ鋼が凝固するレベルを制御する。このこ
とによって、湯面下凝固による連続鋳造を可能としたも
のである。前記公報では、加熱された鋳型壁面上で金属
が凝固する場合、鋳片の引き抜き方向において、完全に
固相となる部位の直前には、固液共存相が必然的に存在
する。この部位は充分な強度を持たないため、鋳片の引
き抜きの際、取り残される場合も発生し、安定した操業
ができなかった。前記したように、印加した電磁力は溶
融金属にも作用し、金属と鋳型との接触圧を減少させる
方向、すなわち、両者の接触抵抗を減少させる方向に働
くことになるが、この力を増大して初期の凝固を安定さ
せようとした場合、鋳型および金属の発熱量も増大し
て、結果として安定化が得られなかった。
本発明は、このような従来の電磁力印加による鋳造方
法の問題点を解消し、初期凝固の不安定性を抑制し、潤
滑改善効果と鋳片表面性状改善効果を安定して得ること
ができる溶融金属の連続鋳造方法を提供するとともにパ
ウダーを使用しない連続鋳造方法における鋳片表面性状
を決定する初期凝固および鋳造の安定化を付与できる溶
融金属の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
発明の開示 本発明は、溶融金属の連続鋳造プロセスにおいて、第
17図の電磁力発生原理の概要図に示されるとおり、連鋳
鋳型を取り囲むように配置されたソレノイド状電磁コイ
ル5、または鋳型の側壁に埋設したソレノイド状電磁コ
イルに交流電流を通電し、鋳型内に注入され凝固を開始
せんとする溶融金属2に電磁力18を印加しながら連続鋳
造するもので、誘導電流20誘導磁場19の方向から前記電
磁力18の方向が決まり、本発明においては常に溶融金属
2を鋳型1に対して、鋳型壁から引き離そうとする方向
に作用する。その際に、通電する交流電流を第1図に示
すように通電する交流電流の波形が複数の小波形からな
る集合波形として観察され、その集合波形をステップ状
とし、第1(a)図に、大電流通電期をt1とし、小電流
通電期をt2として示すようにメニスカス形状を変化させ
るに必要な電磁力印加のための大電流通電の前後に、メ
ニスカス形状を変化させるのとは異なる機能を有する小
電流通電を組み合わせたり、第1(b)図に示すよう
に、メニスカス形状を変化させるに必要な電磁力印加の
ための大電流通電の後に、メニスカス形状を変化させる
のとは異なる機能を得るための小電流通電を設け、これ
らを一対もしくは複数対印加した後に非通電期(toff
とする構成をとることによって、連続通電もしくは第3
図に示したパルス状通電(通電期をtonとする)の際に
発生する溶融金属の初期凝固不安定性を抑制し、潤滑改
善効果と鋳片表面性状改善効果を安定して得ることを特
徴とするものである。さらに、上記において、メニスカ
ス変形に寄与する大電流通電時間の周期内通電時間に対
する割合を0.2以上、0.8以下とすることが好ましい。こ
れにより、鋳型壁と凝固シェル間の潤滑改善効果や鋳片
表面性状改善効果を最大化することができる。
また、パウダーを使用しない、あるいはレプシードオ
イルのような溶融金属のメニスカスで液体として存在し
ない物質を使用して溶融金属を連続鋳造する方法におい
て、連鋳鋳型を取り囲むように配置された電磁コイルに
前記交流電流を通電し、これによって鋳型内の溶融金属
のメニスカス部に間欠的に電磁力を印加して、メニスカ
スで凝固しつつある金属の周期的な変形とオーバーフロ
ーを促し、規則的なオシレーションマークを得ることに
より、連鋳初期凝固を安定させることも可能とする。す
なわち、具体的には以下のような特徴を有する。
その第一は、一定周期で振動する連鋳鋳型壁の外周に
設置されたソレノイド状電磁コイルに周期的に振幅、周
波数あるいは位相等波形が変化する交流電流を供給し、
結果として鋳型内に注入された溶融金属にその交流電流
に対応して変化する電磁力を印加することである。
その際、電磁力の印加周期を鋳型振動周期に同期させ
るとともに、その印加時期をネガティブストリップ期と
して、鋳片表面に周方向に一様なオシレーションマーク
を形成させることにより、良好な表面性状の鋳片を得る
ことができる。また、電磁力の印加時期をポジティブス
トリップ期とすると、鋳片表面のオシレーションマーク
形成は抑制され、表面が平滑な鋳片を得ることができ
る。
第二は、振動のない連鋳鋳型壁の外周に設置されたソ
レノイド状電磁コイルに周期的に変化する交流電流を供
給し、鋳型内に注入された溶融金属にその交流電流に対
応して変化する電磁力を印加して、鋳片表面にオシレー
ションマーク相当のマークを形成させることである。
これら第一及び第二の方法において、電磁コイルに周
期的に変化する交流電流を供給し、鋳型内に注入された
溶融金属にその交流電流に対応して変化する電磁力を印
加する具体的手段としては、以下の3通りがある。
電磁場波形の一周期が交流磁場印加期と非印加期と
によって形成された間欠的な磁場となるように、電磁コ
イルにパルス状の交流電流を供給して、鋳型内に注入さ
れた溶融金属に間欠的に電磁力を印加する。
電磁場波形の一周期中に交流磁場の非印加期が存在
しないように、振幅が強弱をもって変化するような交流
電流を電磁コイルに供給して、鋳型内に注入された溶融
金属に、その交流電流の振幅に対応して変化する電磁力
を印加する。
電磁場波形の一周期中に交流磁場の非印加期が存在
しないように、周波数が高低をもって変化するような交
流電流を電磁コイルに供給して、鋳型内に注入された溶
融金属に、その交流電流の周波数に対応して変化する電
磁力を印加する。この内、およびが後述するステッ
プ状の通電方法であり、ステップ状の電磁場波形が得ら
れる。
以上において、パウダーの使用の有無に拘らず、電磁
コイルに付与する交流電流を以下のような特徴をもって
変化させることにより、所期の安定な制御が可能とな
る。
すなわち、鋳型振動がある場合には、鋳型振動の周波
数fmと交流電流の周波数fpを0.69≦1n(fp/fm)≦9.90
の範囲に設定する。
また、電磁コイルに印加する交流電流の振幅に周期的
に強弱をつけることに代えて、電磁コイルに変調した電
流を印加し、変調電流の信号波の周波数を鋳型振動の周
波数と同じに設定し、かつ変調電流の搬送波の周波数fc
と鋳型振動の周波数fmを0.69≦1n(fc/fm)≦9.90の範
囲に設定するものである。変調電流には、振幅変調、周
波数変調、位相変調が選択される。また、鋳型振動がな
い場合には、鋳型振動で通常用いる1から5Hzの周波数
がfcとして選択される。
図面の簡単な説明 第1(a)図はステップ状通電で非通電期がないモー
ド、第1(b)図はステップ状通電で非通電期を含むモ
ードを示す。
第2図は連鋳鋳型内に組み込まれた電磁コイルと溶融
金属メニスカス、パウダーの位置関係を示す。
第3図は従来提案されていたパルス状に電磁場を付与
するモードを示す。
第4(a)図は電磁力印加時の変形したメニスカス形
状、第4(b)図は電磁力非印加時の静止メニスカス形
状、および第4(c)図は電磁力印加、非印加を繰り返
した場合の凝固シェルの形状を示す。
第5(a)図は大電流通電期と小電流通電期を複数繰
り返した後に非通電期を設けるモード、第5(b)図は
小電流通電期の間に異る電流値の大電流通電期群を設け
るモード、および第5(c)図は異なる電流値の大電流
通電期群の後に小電流通電期を設けた後に非通電期を設
けるモードを示す。
第6図は錫の鋳造実験に用いた装置の概要を示す。
第7図は第6図の装置を用い、ステップ状通電にて鋳
造した鋳片の表面粗度と鋳型内磁束密度の関係を示す。
第8図は第6図の装置を用いて鋳造した鋳片の表面粗
度と大電流印加時間の全周期に対する比率の関係を示
す。
第9図は本発明にかかわる連鋳鋳型とメニスカス、電
磁コイルの位置関係を示す。
第10図はレプシードオイルにより溶融金属の連続鋳造
を行う従来プロセスを示す。
第11図は第2図の従来プロセスで鋳造したビレット鋳
片表面状況を示す。
第12図は本発明による第1図のプロセスで鋳造したビ
レット鋳片表面状況を示す。
第13図は第1図のプロセスの電磁コイルに印加するパ
ルス状の電流波形を示す。
第14図は第1図のプロセスの電磁コイルに印加するス
テップ状の電流波形を示す。
第15図は安定なメニスカスを保持するための鋳型の機
械振動数とコイルに印加するパルス状交流電流の周波数
の関係を示す。
第16図は本発明の連続鋳造装置の概要を示す。
第17図は本発明の電磁力の原理を示す。
第18(a)図は実施例8の装置の概要を示し、第18
(b)図は第18(a)図のA部の拡大図である。
第19図は本発明の振幅変調した交流波形の一例を示す
図である。
第20図は本発明の周波数変調した交流波形の一例を示
す図である。
発明を実施するための最良の形態 溶融金属の連続鋳造にあたり、初期凝固部位への電磁
力印加によるパウダーの流入促進効果、および鋳片の表
面性状改善効果は特開昭64−83348号公報に詳細に説明
されている。すなわち、第4(a)図に示すように電磁
力オンによって凝固シェル6先端との間隔が拡大され
る。続いて電磁力がオフとなると、第4(b)図に示す
ように溶融金属2の静圧Pによって凝固シェル6先端は
鋳型壁側に押し戻されるが、このオン・オフが周期的に
行われることによって、凝固シェル6には第4(c)図
に示すようにくびれが生じ、このくびれが繰り返され、
鋳型壁と凝固シェル間に潤滑剤としてのパウダー供給が
促進される。本発明者らは、低融点合金を用いた鋳造実
験によって、連続通電、およびパルス通電による電磁力
の間欠印加効果を上記のように検証する一方、単純な連
続通電、あるいはパルス通電によって得られら磁場での
鋳造においては、鋳片表面に初期凝固不安定性に関わる
欠陥が発生することを見いだした。すなわち、単純な連
続通電の場合にはメニスカス形状変化に寄与する溶融金
属中に誘導された電流によって、凝固せんとする溶融金
属が加熱され十分に凝固が進行せず、結果としてパウダ
ー流入が不十分になったり、鋳片表面性状が劣化する場
合があった。
本発明者らは電磁コイルへの交流電流の通電を以下に
示すステップ状に代表されるような周期的に変化する交
流とすることによって、以上の問題を解決した。
ステップ状通電の電流波形を第1図に示す。第1
(a)図に示すように、ステップ状通電においては一周
期の通電サイクルが、大電流通電期t1、および小電流通
電期t2からなっている。このように電磁力を完全にオフ
とせず、メニスカス変形には寄与しないがメニスカス安
定化に効果のある小電流通電期を設けることによって、
溶融金属プールメニスカスの擾乱は大幅に低減して、パ
ウダー巻き込み欠陥は解消する。また、この大電流通電
時間t1、および小電流通電時間t2を、溶融金属の運動の
応答時間内に選ぶことによって、メニスカスを一定形状
に変化させた状態を保ちつつ、発熱を抑制して、初期凝
固を安定して進行させることも可能になった。なお、こ
のステップ状通電は第1(b)図に示すように、大電流
通電の直後に小電流を通電して非通電期を設け、これを
周期的に繰り返すモードも同様に有効である。
さらにこのステップ状通電は、第5図に示すように種
々のモードを選ぶことができ、パルス通電時の擾乱を抑
えて、目的とする効果の安定化に有効である。例えば、
第5(a)図は大電流通電の後に小電流通電したものを
複数繰り返した後に非通電期を設け、これを周期的に繰
り返すもの、また第5(c)図は第5(b)図のモード
の小電流通電期の後に非通電期を加え、これを繰り返す
ものである。この図5に示した大電流と小電流を組み合
わせ、グループとして印加することも、溶融金属メニス
カス形状を一定に保ちつつ誘導発熱を抑制して、初期凝
固シェルの成長を遅らせることなく、安定的に進行させ
ることに有効である。
また、これらのステップ状通電による電磁力の間欠印
加は、鋳型をオシレーションする場合はもちろんのこ
と、鋳型をオシレーションしない場合にも潤滑や鋳片表
面品質向上の安定化に大きな効果を発揮する。
さらに本発明者らは、大電流通電時間t1の通電時間t1
+t2に対する比率:t1/(t1+t2)を0.2から0.8の間に設
定することによって、鋳型壁と凝固シェル間の潤滑改善
効果や鋳片表面品質改善効果を最大化することができる
ことを見いだした。ここでの比率の下限は、メニスカス
形状を変化させパウダー流入を促進させるための必要通
電時間からくるものであり、比率の上限は、メニスカス
の擾乱を抑えたり、あるいは発熱を防止するに必要な小
電流通電時間から制定されるものである。なお、ここで
言うパウダーとは連鋳で一般に用いられている鋳型内潤
滑剤が溶融金属プールのメニスカス上において溶融した
ものを指し、フラックスとも称されているものである。
また、パウダーを使用しない、あるいはレプシードオ
イルのような溶融金属のメニスカスで液体として存在し
ない物質を使用して溶融金属を連続鋳造する方法におい
ては、以下のごとくとなる。
鋳片表面のオシレーションマークの形成は、初期凝固
シェルの安定形成に重要な役割を果たしている。すなわ
ち、連鋳鋳型内部での凝固が鋳型周方向で均一に開始
し、これを鋳造長さ方向で均一に開始し、これを鋳造長
さ方向に規則的に繰り返すことは、優れた鋳片表面性状
を安定して得るために不可欠である。例えば、不均一な
凝固開始となった場合、表面割れが発生したり、鋳造速
度をある一定値以上に増加することも困難となる。
本発明者らは、初期凝固の調査、研究において以下の
ことを確認した。すなわち、パウダーは鋳型内メニスカ
ス部において溶融状態にあり、ある値以上の粘性を有し
ているため、鋳型振動を動圧としてメニスカスに伝え、
結果として規則正しいメニスカスの変形や溶鋼のオーバ
ーフローを促している。この規則正しいメニスカスの変
形や溶鋼のオーバーフローは規則正しい明瞭なオシレー
ションマークの形成につながる。
一方、第10図に示すように、パウダーを用いず、溶融
金属を連続鋳造する場合には、鋳型振動が溶融金属メニ
スカス部に確実に伝播されない。例えば、ビレットなど
の小断面の鋳片の鋳造に用いられるレプシードオイル12
は、液体のまま潤滑に寄与するのではない。連鋳鋳型11
の銅板に沿って微量添加されたオイルは、メニスカス3
に達するまでの間穏やかに燃焼して、グラファイトとな
り、凝固シェルの鋳型壁への焼き付き防止を寄与してい
る。しかしながら鋳型振動を凝固しつつあるメニスカス
部に伝える媒体がない。従って鋳片表面には規則的なオ
シレーションマークが形成されにくく、良好な鋳片表面
性状が得られないケースが多々あった。
ところが、レプシードオイルを用いて鋳造したビレッ
ト表面にも、不明瞭ではあるがオシレーションマークが
形成されている。この場合のマーク形成機構としては、
メニスカスにおいて僅かに熱変形した鋳型壁のオシレー
ションに伴って、特に鋳型下降期にシェル先端が変形を
受けることが考えられ、鋳型壁の熱変形は溶融金属の鋳
型への接触状況によって異なり、また鋳型壁の変形も周
方向で必ずしも均一でないため、この場合に第11図に示
すような鋳片14表面に形成されるオシレーションマーク
13は、第12図に示すものと同じタイプのパウダーを使用
した場合のマーク15とは周方向均一性の点で明らかに劣
っている。従って、鋳造操業や得られた鋳片表面品位は
安定かつ良好なものではなかった。
一方、本発明者らは、先に、凝固シェルと鋳型壁間へ
のパウダーの供給を促進する目的で、連鋳鋳型を取り巻
くように設置した電磁コイルに、第13図に示すようなパ
ルス状の交流電流を通電することによって鋳型内の溶融
金属メニスカスの凝固開始部位に間欠的に交流磁界を印
加して、同部位に鋳型から反発する方向の電磁力を繰り
返し作用させる方法を発案し、これを特開昭64−83348
号公報に開示した。その後の研究によって著者らは、第
13図に示すようなパルス状通電による磁場の間欠印加
が、潤滑剤を使用しない場合や、レプシードオイルのよ
うなメニスカスにおいて液体として存在しない物質を使
用する場合に、従来、制御不十分な鋳型変形に頼って満
足できなかった初期凝固を大きく改善、向上させること
ができることを新たに見いだした。
すなわち、メニスカスへの間欠磁場印加によって凝固
開始部位には間欠的な反発電磁力が発生する。そこで、
パウダーのように鋳型振動を凝固シェルに伝えるような
物質を使用できない場合にも、間欠的に反発磁界を印加
することによって、周期的なシェル変形や溶融金属のオ
ーバーフローを確実に発生させ、規則的なオシレーショ
ンマークを形成させて、凝固開始の鋳片周方向の安定性
を確保することが可能になるのである。
特に、鋳型下降速度が鋳造速度を上回るネガディブス
トリップ期に反発磁界を印加した場合には、オシレーシ
ョンマークを確実に生成させることができ、このモード
が鋳造操業や鋳片表面性状の安定化にとって最も効率的
である。一方、鋳型振動の中で、ネガティブストリップ
期に反発磁界を印加した場合には、オシレーションマー
クの生成を抑制することとなり、表面が平滑な鋳片を得
ることができる。ただし、この場合には必ずしも初期凝
固の安定化にはつながらないため、鋳造速度を落として
鋳造するなどの注意が必要となる。なお、ここで言うパ
ルス状通電による間欠的電磁力印加とは、一周期が印加
期と非印加期とから構成されるモードである。また、ス
テップ状通電による間欠的電磁力印加とは、磁界強度が
高い時期と低い時期とから構成される印加方式であり、
両モードとも、十分な効果を発揮することを確認してい
る。このステップ状通電において磁場強度を制御するに
は、電磁コイルに通電する交流電流の振幅を調整した
り、あるいは周波数を調整したりする手段をとる。
パウダーキャスティングまたは非パウダーキャスティ
ングに拘らず、鋳型に機械的な振動を印加して連続鋳造
を行う場合、電磁コイルに交流電流をパルス状に印加
し、鋳型内の溶融金属に間欠的に電磁力を作用させるこ
とによって、初期凝固部において、鋳型と鋳片の接触圧
を間欠的に低減させることができるが、印加電流の振幅
の強弱の繰り返し周波数ftを鋳型振動の周波数fmと同じ
に設定することによって、鋳型の振動と同じ周期で電磁
力が作用し、オシレーションマークの原因となる凝固シ
ェルの折れ込みと溶融金属のオーバーフローの制御が可
能となる。
さらに鋳型に機械的な振動を印加して連続鋳造を行う
場合、鋳型の振動周波数fmに対して、パルス状交流電流
の周波数fpの設定が不適切な場合には、溶融金属のメニ
スカスに定在波が発生してメニスカスが不安定化した
り、凝固が不安定化する問題があったが、種々検討の結
果、第15図に示すようにfmとfpを0.69≦1n(fp/fm)≦
9.90の範囲に設定することによって、メニスカスにおけ
る湯面振動の干渉発生を抑制するとともに、凝固を安定
化させることができる。このようにfp/fmの値に下限が
存在する理由は、メニスカスを安定にするためであり、
上限が存在する理由は、凝固シェルの発達を安定して行
わせるための熱的制約からくるものである。
本発明では、前記のような印加したステップ状電磁場
によって、冷却用鋳型を鋳造方向とは垂直な方向に振動
させることによって、潤滑剤を使用しない場合でも、凝
固シェルと鋳型との摩擦抵抗を低減することができる。
また、潤滑剤を使用した場合には、より一層凝固シェル
と鋳型壁間の摩擦抵抗を低減して、表面性状の優れた鋳
片を連続鋳造できる。さらに、前記特開昭2−37943号
公報に示されるような、加熱用鋳型を用いて湯面下凝固
による金属の連続鋳造プロセスに適用することも可能で
ある。すなわち、印加する電磁場をステップ状とするこ
とによって、所定の加熱を行ないつつ、パルス状の強い
電磁力によって、鋳型壁の凝固しつつある金属間を軟接
触状態となし、安定した湯面下凝固による連続鋳造を実
現することが可能となる。
実施例 実施例1 以下、実施例により本発明の特徴を具体的に説明す
る。
第6図に示す装置を用い、錫を鋳造した。鋳型を取り
巻くように電磁コイルを設置し、第1(b)図のパター
ンで電流をステップ状に通電した。鋳造速度は12cm/
分、鋳型形状は丸型で直径3cm、鋳型振動周波数は60サ
イクル/分、振動ストロークは0.3cmである。また、比
較のため第13図のパルス状通電の実験も行った。通電の
周期はステップ状、パルス状通電共に60サイクル/分、
ステップ状通電の際の大電流として600A、小電流として
180A、大電流印加時間の全周期に対する比率を0.3に設
定した。一方、パルス状通電期の電流は600Aとした。鋳
造後の鋳片を調査したところ、電磁力を印加せずに鋳造
した場合の鋳片表面に形成されたマークの平均深さDの
比は両例共に0.1以下と大幅に改善されていた。第7図
はステップ状通電の際の結果を示したものであるが、磁
束密度73×10-4Tが本実施条件に相当する。この図にお
いて、Bは磁束密度(T)、Dは磁場を印加した鋳片表
面粗度およびD0は磁場を印加しない鋳片表面粗度で単位
を有しない。
一方、単純なパルス状通電を行った鋳片表面にはパウ
ダーとして用いたシリコンオイルを噛み込んだ形跡が多
く見られたが、ステップ状通電を行ったものについて
は、電磁力を印加せずに鋳造した鋳片と同様、シリコン
オイルの噛み込みは全く見られなかった。
実施例2 実施例1の条件において、第1(a)図のパターンで
電流をステップ状に通電した。また、この場合の通電周
期は300サイクル/分とし、連続的に通電した場合の鋳
片表面性状と比較した。その結果、連続的に通電しつつ
鋳造した鋳片表面には、初期凝固の進行不良に起因する
溶融金属ブリードの痕跡が多数見いだされたのに対し、
ステップ状通電で鋳造した鋳片表面は極めて平滑で、無
欠陥であった。
実施例3 実施例1のステップ状通電の鋳造条件の中で、大電流
印加時間(t1)の全周期(t1+t2)に対する比率を0か
ら1.0まで大きく変化させて鋳造実験を行った。第8図
はこの比率を変化させた場合の表面粗度、すなわちD/D0
の値の変化を示している。この図において、Dは磁場を
印加した鋳片表面粗度およびD0は磁場を印加しない鋳片
表面粗度で単位を有しない。
これより大電流印加時間の全周期に対する比率が0.2
から0.8までの間で表面粗度の指標D/D0は最小となって
いることがわかる。
これらの実施例からも明らかなように、ステップ状通
電によってパウダー潤滑を促進すると共に鋳片表面性状
を安定して向上させることが可能になった。
実施例4 第9図は本発明の実施例で使用した装置の概要を示し
ている。鋳型1の周囲には電磁コイル5を配し、これに
所定の交流磁場を間欠的に印加することができる。この
装置を用い、一般的な中炭素鋼のビレットを連続鋳造し
た。鋳造速度は2.5m/分、鋳型断面サイズは130mm×130m
m、鋳型オシレーションストロークは±4mm、オシレーシ
ョン周波数は190cpmであった。鋳造は、鋳型銅板上部か
ら銅板を伝わらせてレプシードオイルを微量供給しなが
ら行った。
まず、電磁力の印加を行わない場合に得られた鋳片14
表面の状況を第11図に示す。表面には皺が観察され、そ
の間隔はばらついていた。しかし、その平均値をとると
鋳造速度を鋳型振動数で割った値とほぼ等しく、したが
って鋳型オシレーションによって形成されたものと推定
された。鋳片表面にはオシレーションマーク13の乱れと
あいまって凹凸があり、一部に縦割れもあって、鋳片表
面の手入れが必要であった。一方、パルス状の電磁力を
鋳型振動のネガティブストリップ期に間欠的に印加しつ
つ鋳造したビレット表面性状を第12図に示す。極めて明
瞭なオシレーションマーク15が鋳片16表面に形成されて
おり、表面欠陥は皆無であった。
実施例5 実施例4の条件で鋳造実験を行う際に、鋳型振動のポ
ジティブストリップ期に電磁力を印加するように同期さ
せ、パルス状電流の印加を行った。鋳片に形成されるオ
シレーションマークは軽微となり、極めて平滑な表面の
鋳片が得られた。
実施例6 実施例4の条件で鋳造実験を行う際に、第14図に示す
ようなステップ状の電流を電磁コイルに通電した。その
結果、実施例1の比較例である単純なパルス状通電で得
られた鋳片表面に形成されている、オシレーションマー
クの間の軽微な皺が全く見られなくなった。
これは、単純なパルス状電流の印加の際に発生するメ
ニスカスの波立ちがステップ状の印加によって抑制され
た結果である。
実施例7 実施例4の条件で鋳造実験を行う際に、鋳型を振動さ
せずに鋳造を行った。電磁力を印加せずに鋳造した場
合、頻繁に凝固シェルが鋳型壁に焼く付く現象が発生
し、鋳造された鋳片表面にはブリードの痕跡が数多く見
られた。これに対し、パルス状に電磁力を印加しつつ鋳
造を行った場合には、鋳造を安定して行うことができ、
得られた鋳片には、明瞭なオシレーションマークが形成
されていた。
これらの実施例からも明らかなように、潤滑剤を用い
ない溶融金属の連続鋳造において、鋳型振動と同期する
ように、あるいは鋳型振動を行わない場合であっても、
パルス状に電磁力を印加しつつ連続鋳造を行うことによ
って、鋳片表面には、明瞭なオシレーションマークが形
成されていた。
実施例8 第18(a)図は本発明請求の範囲14の実施例で使用し
た装置の概要を示している。第18(b)図は第18(a)
図のA部の拡大図で、符号31はブレークリング部であ
る。図18は鋳型1の周囲上部に高周波電磁コイル29を配
し高周波磁場を印加し、かつ周囲下部に低周波電磁コイ
ル30を配し、低周波磁場を印加することができる。この
装置を用い、一般的な中炭素鋼のビレットを連続鋳造し
た。
鋳造は2m/分、鋳造断面サイズは160mm×160mmとし
た。この時、電磁コイル29に付与する高周波磁場として
は、10kHzの正弦波高周波磁場を与え、コイル負荷電力
として200kWの電力を付与した。また、電磁コイル30に
付与する低周波磁場としては、第1(b)図に示すパタ
ーンで、電流をステップ状に通電した。また、与えた磁
場の大きさは、最大磁束密度で0.3Teslaとした。このよ
うにして鋳造した鋳片について、低周波磁場を付与しな
い場合と、付与した場合に比較すると、前者に対し、後
者では鋳型振動抵抗が6割減少した。
実施例9 第16図は、本発明の装置の一例を示す概要図である。
本装置においては、電磁コイル5を駆動するための電源
装置24に、波形発生装置23が設置されており、これによ
って励磁電流21をコイルに印加する。まず、最初に第16
図の装置の電磁コイルに電流を印加せずに、速度150cm/
分で鋳造を行った。鋳造の結果得られた鋳片には、表面
に鋳型振動に起因する周期的な凹凸が発生し、表面粗度
は平均320μmであった。また、鋳片の表面の一部には
オシレーションマークに沿った横割れが発生した。次
に、第16図の装置を用いて、周波数60Hz、波高値3000A
の交流電流を連続的に印加して鋳造を行った。得られた
鋳片には、湯じわやパウダー巻き込みに起因する欠陥が
発生し、鋳片の表面および皮下性状は、むしろ電磁力を
印加しない場合よりも劣化するという結果であった。こ
れは、溶融金属に攪拌流が発生し、メニスカスの不安定
化が生じたためである。
そこで、本発明の実施例として、励磁コイルに、周波
数60Hz、波高値3000Aの交流電流を、0.5秒周期のパルス
波形と乗積したものである。このような励磁を行った場
合、鋳型内溶鋼に作用する電磁力は60Hzの高周波成分は
平均化され、0.25秒毎に電磁力が、on−offすることと
なる。電磁力印加のタイミングは、鋳型の上昇期になる
ように制御し、速度150cm/分で鋳造を行った。得られた
鋳片の表面は、周期的な凹凸が軽減し、表面粗度も平均
120μmと電磁力を印加しない場合に比べて約3分の1
に低減した。
また、表面下の欠陥発生が抑制される効果があった。
さらに、鋳造速度を200cm/分に設定して鋳造を行ったと
ころ、安定に鋳造が行われ、かつ鋳片の表面および皮下
性状は、鋳造速度が150cm/分の場合と変わらなかった。
次に、電磁力印加のタイミングを鋳型下降期に設定
し、その他の条件は全く同様にて鋳造を行ったところ、
表面粗度が150μmの鋳片が得られ、かつ鋳片表面の横
割れの発生を抑制することできた。さらに、励磁コイル
に印加する電流として、振幅変調された電流や、周波数
変調された電流、あるいは位相変調された電流を選んで
鋳造を行ったところ、励磁電流を印加した場合と同様な
表面性状を有する鋳片を得ることができた。第19図は本
実施例の振幅変調された交流波形を示し、第20図は周波
数変調された交流波形を示す。
これらの実施例からも明らかなように、潤滑剤を用い
ない溶融金属の連続鋳造において、鋳型振動と同期する
ように、あるいは鋳型振動を行わない場合であっても、
パルス状に電磁力を印加しつつ連続鋳造を行うことによ
って、鋳片表面に明瞭なオシレーションマークを形成さ
せることができるようになり、鋳片品質、鋳造操業の安
定性が向上した。
以上、説明したように本発明は、凝固を開始せんとす
る溶融金属メニスカス部に電磁力を作用させパウダー流
入量増加による潤滑改善、および鋳片表面品質改善を達
成するプロセスにおいて、鋳型内メニスカスを取り巻く
ように設置された電磁コイルにメニスカス変形に寄与す
る大電流印加期とこれとは異なる機能を得るための小電
流印加期とから構成されるステップ状通電を行うことを
特徴とするものである。これによって、初期凝固を安定
して進行させ、メニスカス擾乱によって引き起こされる
パウダー巻き込みを防止しつつ、潤滑や鋳片表面品質を
大幅に改善することが可能になった。
また、凝固を開始せんとする溶融金属メニスカス部に
パルス状あるいはステップ状に電磁力を作用させながら
鋳造を行うことによって、潤滑剤を使用しない場合でも
連鋳初期凝固の反復を規則的に進行させることができ
る。その結果、鋳片表面に明瞭なオシレーションマーク
が形成され、鋳片表面性状や鋳造安定性を大きく改善す
ることが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 前置審査 (72)発明者 和嶋 潔 千葉県富津市新富20―1 新日本製鐵株 式会社技術開発本部内 (72)発明者 澤田 健三 千葉県富津市新富20―1 新日本製鐵株 式会社技術開発本部内 (72)発明者 竹内 栄一 千葉県富津市新富20―1 新日本製鐵株 式会社技術開発本部内 (72)発明者 佐々 健介 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字丁子田 15―43 (72)発明者 李 廷挙 中華人民共和国116024大連市甘井子区大 連理工大学材料系内 (56)参考文献 特開 昭64−83348(JP,A) 特開 平2−274351(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 11/10 350 B22D 11/07

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連鋳鋳型壁を取り囲むように設置されたソ
    レノイド状電磁コイル、または鋳型の側壁に埋設したソ
    レノイド状電磁コイルに交流電流を通電し、鋳型内に注
    入され、凝固せんとする溶融金属に電磁力を印加しなが
    ら連続鋳造する方法において、交流電流の振幅または波
    形を周期的に変化させ、メニスカス形状を変化させるた
    めの大電流と、小電流から構成されるステップ状とする
    ことによって、潤滑および鋳片表面性状を改善すること
    を特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】連鋳鋳型壁を取り囲むように設置されたソ
    レノイド状電磁コイル、または鋳型の側壁に埋設したソ
    レノイド状電磁コイルに交流電流を通電し、一定のモー
    ドで振動する鋳型内に注入され、凝固せんとする溶融金
    属に電磁力を印加しながら連続鋳造する方法において、
    鋳型振動周期と同調させて交流電流の振幅または波形を
    周期的に変化させ、メニスカス形状を変化させるための
    大電流と、小電流から構成されるステップ状とすること
    によって、潤滑および鋳片表面性状を改善することを特
    徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
  3. 【請求項3】連鋳鋳型壁を取り囲むように設置されたソ
    レノイド状電磁コイル、または鋳型の側壁に埋設したソ
    レノイド状電磁コイルに交流電流を通電し、一定のモー
    ドで振動する鋳型内に注入され、凝固せんとする溶融金
    属に電磁力を印加しながら連続鋳造する方法において、
    通電する交流電流の波形が複数の小波形からなる集合波
    形として観察され、鋳型振動周期と同調させて前記集合
    波形の振幅または波形を周期的に変化させ、メニスカス
    形状を変化させるための通電期と、非通電期から構成さ
    れるパルス状とすることによって、潤滑および鋳片表面
    性状を改善することを特徴とする溶融金属の連続鋳造方
    法。
  4. 【請求項4】メニスカス変形に寄与する大電流通電時間
    の周期内通電時間に対する割合を0.2以上、0.8以下とす
    ることにより、潤滑および鋳片表面性状を改善すること
    を特徴とする請求の範囲1から3のいずれかに記載の溶
    融金属の連続鋳造方法。
  5. 【請求項5】潤滑剤を使用せずに、または溶融金属のメ
    ニスカスでレプシードオイル等の液体として存在しない
    物質を使用し、かつステップ状もしくはパルス状の通電
    を含む交流電流を電磁コイルに通電する請求の範囲1か
    ら4のいずれかに記載の溶融金属の連続鋳造方法。
  6. 【請求項6】電磁力の印加周期を鋳型振動に同期させる
    とともに、その印加時期を鋳型下降速度が鋳造速度より
    速いネガティブストリップ期として、鋳片表面に周方向
    に一様なオシレーションマークを形成させることを特徴
    とする請求の範囲5に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
  7. 【請求項7】電磁力の印加周期を鋳型振動周期に同期さ
    せるとともに、その印加時期を鋳型下降速度が鋳造速度
    より遅いポジティブストリップ期として、鋳片表面のオ
    シレーションマーク形成を削滅または浅くすることを特
    徴とする請求の範囲5に記載された溶融金属の連続鋳造
    方法。
  8. 【請求項8】潤滑剤を使用せずに、または溶融金属のメ
    ニスカスでレプシードオイル等の液体として存在しない
    物質を使用して溶融金属を連続鋳造する方法であって、
    振動のない連鋳鋳型壁の外周に設置された電磁コイルに
    パルス状またはステップ状に周期的に変化する交流電流
    を供給し、鋳型内に注入された溶融金属にその交流電流
    に対応して変化する電磁力を印加して、鋳片表面にオシ
    レーションマーク相当のマークを形成することを特徴と
    する溶融金属の連続鋳造方法。
  9. 【請求項9】電磁場波形の1周期中に、周波数が高低を
    もって変化するような交流電流を電磁コイルに供給し
    て、鋳型内に注入された溶融金属に、その交流電流の周
    波数に対応して変化する電磁力を印加することを特徴と
    する請求の範囲1から8いずれかに記載された溶融金属
    の連続鋳造方法。
  10. 【請求項10】鋳型振動の周波数fmと交流電流の周波数
    fpを0.69≦1n(fp/fm)≦9.90の範囲に設定することを
    特徴とする請求の範囲2から8いずれかに記載の溶融金
    属の連続鋳造方法。
  11. 【請求項11】電磁コイルに通電する交流電流の振幅に
    周期的に強弱をつけることに代えて、 (1)電磁コイルに変調した電流を印加すること、 (2)変調電流の信号波の周波数fsを鋳型振動の周波数
    fmと同じに設定すること (3)変調電流の搬送波の周波数fcと鋳型振動の周波数
    fmを0.69≦1n(fc/fm)≦9.90の範囲に設定すること を特徴とする請求の範囲2から8いずれかに記載の溶融
    金属の連続鋳造方法。
  12. 【請求項12】電磁コイルに印加する交流電流が、振幅
    変調あるいは周波数変調あるいは位相変調した電流であ
    ることを特徴とする請求の範囲1から8いずれかに記載
    された溶融金属の連続鋳造方法。
  13. 【請求項13】連鋳鋳型壁を取り囲むように設置された
    ソレノイド状電磁コイル、または鋳型の側壁に埋設した
    ソレノイド状電磁コイルに交流電流を通電し、一定のモ
    ードで鋳造方向に振動する鋳型内に注入され、電磁力を
    印加しながら連続鋳造する方法において、繰り返し通電
    する交流電流の周期を、大電流と、小電流から構成され
    るステップ状とすることによって、鋳型壁を鋳造方向に
    対して垂直方向に振動させて潤滑および鋳片表面性状を
    改善することを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
  14. 【請求項14】連鋳鋳型壁を取り囲むように設置された
    ソレノイド状電磁コイル、または鋳型の側壁に埋設した
    ソレノイド状電磁コイルに交流電流を通電し、一定のモ
    ードで鋳造方向に振動する鋳型内に注入され、加熱用鋳
    型および凝固せんとする溶融金属に電磁力を印加しなが
    ら連続鋳造する方法において、繰り返し通電する交流電
    流の周期を、大電流通電期と、小電流通電期のステップ
    状とすることによって、加熱される鋳型の温度を調整で
    きるようにするとともに、鋳型上の溶融金属、または凝
    固せんとする半凝固状態の金属を鋳型より剥離させる電
    磁ピンチ力を付与して、凝固しつつある鋼と鋳型の接触
    抵抗を軽減して、表面性状の優れた鋳片を得ることを特
    徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
  15. 【請求項15】鋳型を鋳造方向に振動させずに、電磁コ
    イルに通電する交流電流をステップ状とすることによっ
    て、冷却用鋳型壁を鋳造方向に垂直に振動させたり、加
    熱用鋳型の温度を調整しつつ、凝固を開始した金属と鋳
    型壁との接触抵抗を軽減して潤滑および鋳片表面性状を
    改善することを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
  16. 【請求項16】断熱構造または誘導加熱等の加熱機能を
    有する溶融金属を溶融状態で保持する容器と、該溶融金
    属を凝固させるために該容器に連通された水冷鋳型と、
    該容器と該水冷鋳型の接続部に該溶融金属を囲繞するソ
    レノイド状電磁コイルと、該電磁コイルに振幅または波
    形を周期的に変化させた交流電流を通電する電源装置ま
    たは波形発生装置からなることを特徴とする溶融金属の
    連続鋳造装置。
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