JP2967220B2 - 和紙の製造方法 - Google Patents
和紙の製造方法Info
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Description
多湿下における平面性の点においても優れた和紙を製造
する際の方法に関するものである。
また(三椏)、がんぴ(雁皮)を主原料とする手漉き和
紙の製造が行われてきており、例えば、楮を使用して手
漉き和紙を製造する際の一般的な工程としては、まず、
楮を蒸した後、皮をはぎ取って白皮の状態とし、これを
アルカリ等により晒し、不純物を除去して原料を得る。
そして、晒しが終わった白皮を硬い棒で叩き潰し、繊維
を柔らかくした後、適量の、植物性の粘液である「ネ
リ」を添加して紙料液とする。この際に添加される「ネ
リ」は、後に行われる「漉き工程」で、紙料液が簀
(す)から濾過する時の速度を調節するためのものであ
って、一般的なものとしてはトロロアオイやノリウツギ
が使用される。尚、最近では、白皮を叩き潰す作業が重
労働であるので、機械による叩解が一般化されている。
更に、その後に行われる漉き工程では、簀の上に紙料液
をすくい上げ、前後左右にゆり動かしながら、簀から水
を濾過させ、植物繊維の絡まり具合を調整し、所望の厚
みになったところで余分の紙料液を捨て、乾燥させて製
品とする。このようにして製造される和紙は、和紙独特
の光沢を有するだけでなく、強靱であって長期保存に耐
え、印刷適性にも優れ、障子紙や襖紙の他に、装飾用と
しても広く使用されてきている。
和紙全体が細かく叩解された植物繊維から成るために、
多湿下に置かれた場合、表面に波打ちが生じ、外観が低
下するという問題点を有する。又、従来より行われてき
ている和紙の製造方法においては、細かく叩解された植
物繊維がほぼ均等な厚さで分散されるので、所望の箇所
に厚みの薄い部分を形成させる等の、意匠性を有した漉
きムラを簡単に形成させることができない。更には、和
紙の一部に穴を設ける際、抄紙した後に別の工程で抜き
加工を行わなければならなかった。
における問題点を解決し、高い湿度の場所に放置しても
表面に生じる波打ちが目立たず、平面性を維持すること
ができ、しかも優れた意匠性を有する和紙を製造するの
に適した方法を提供することを課題とする。
は、水透過性を有するシートの表面に、表面が毛羽立っ
た、複数の紐状部材を交差させて並べる工程(工程
A)、上記工程Aで紐状部材を並べたシートの表面に、
植物繊維及びネリを含む紙料液を敷いて紙を漉く工程
(工程B)、上記紙が乾燥する前に、上記紙上に部分的
に水を振りかけることにより、上記植物繊維を部分的に
移動させて、上記紐状部材によって囲まれた空間におい
て、上記植物繊維が紐状部材に絡みつくように移動して
植物繊維が存在しない穴部分と、上記穴部分が形成され
る代わりに、上記植物繊維が少量移動することによって
紙厚みが小さくなった部分とを、上記紙の少なくとも一
部に形成する工程(工程C)、上記紙を乾燥し、上記シ
ートから剥離する工程(工程D)を含むことを特徴とす
る。
造する際の方法を図面により説明する。図1の(a)〜
(c)は、本発明の和紙の製造方法における各工程A〜
Cにおける状態を示す図である。まず工程Aでは、和紙
を漉くための枠4に、水透過性を有するシート5を張り
付け、このシート5の表面に、表面が毛羽立った複数の
紐状部材1を、互いが交差するようにして配置させる
(図1の(a)参照)。本発明では、この際に使用され
る水透過性を有するシート5は、特に限定されるもので
はなく、紙量液中に含まれる水を透過するものであれば
良いが、荒い織り目の織物(紗)を使用するのが一般的
である。又、このようなシート5として、水透過性を有
する簀(す)を使用しても良い。
毛羽立った紐状部材1としては、漉き工程の際に紙料液
に含有される植物繊維が平均して絡まるものであれば種
々の材質のものが使用できるが、一般的には、楮、三
椏、雁皮等を紐状に叩解したものを使用するのが好まし
い。又、これらの植物を併用しても良く、あるいはこれ
らの植物の代わりに、麦わら、毛糸等を使用することも
可能である。尚、このような表面が毛羽立った紐状部材
1に絡み付いて抄紙される植物繊維には、従来より和紙
の製造において使用されてきたものが使用できるが、特
に好ましいものは楮、三椏、雁皮を叩解したものであ
る。
法に従って、和紙を漉くための紙料液を漉舟の中に入
れ、この漉舟の中に、上記の紐状部材1を配置させた水
透過性を有するシート5を浸漬させて、紙料液をすくい
上げ、前後左右にゆり動かせて、水を濾過させながら植
物繊維2の絡まり具合を調整し、植物繊維2を一定の方
向に配列させ、所望の厚みになったところで余分の紙料
液を捨てるという方法をとっても良いが、又、紙料液を
容器に入れて、紐状部材1を置いたシート5上に流し込
んだり、振りかけるという方法によっても良い。前者の
方法では、均一な厚さの紙を形成することができるが、
後者の方法では、意図的に厚さに強弱のある、意匠効果
に優れた製品を得る。上述の紙漉き工程により、シート
5の表面に、紐状部材1に植物繊維2が絡まりついた紙
が造られる(図1(b)参照)。尚、この工程Bにおい
て使用される紙料液としては、従来の和紙の製造に使用
されてきたものがそのまま使用でき、一般的には、楮か
ら得た白皮をアルカリにより晒し、不純物を除去した
後、叩解して植物繊維を柔らかくし、叩解後の紙料に水
と「ネリ」を添加した後、均一に分散させて紙料液を得
る。「ネリ」として一般的なものはトロロアオイやノリ
ウツギ等である。
5を通って下方へ移行して紙が乾燥する前に、この紙上
に部分的に水を振りかけることによって、植物繊維2を
部分的に移動させて、紐状部材1によって囲まれた空間
で植物繊維2が存在しない穴部分3を、紙の少なくとも
一部に形成させる。この際、水が大量に振りかけられた
部分では、叩解された植物繊維2が紐状部材1に絡みつ
くように移動して穴部分3が形成されるが(図1の
(c)参照)、小量の水が振りかけられた部分では、植
物繊維2の移動量が少なく、穴部分3が形成される代わ
りに、水が振りかけられた部分の紙厚みが小さくなる。
このように紙厚みが部分的に変化した和紙は、意匠的に
非常に優れた外観を有するものであって、本発明の方法
は、このような和紙の製造に適している。
において穴部分3が形成された紙を風乾などにより乾燥
させた後、シート5から剥離し、紙葉状の和紙を得る。
形成される穴部分3の大きさや、和紙の表面全体に占め
る穴部分3の比率が特に限定されるものではなく、穴部
分3の大きさを変えるには、振りかける水の量を調整し
たり、紐状部材1により取り囲まれる空間部分の面積や
形状を変えれば良く、穴部分3の占める割合を変えるに
は、水を振りかける箇所を多くしたり少なくしたりすれ
ば良い。又、抄紙される部分における厚みを変えて和紙
に濃淡を設ける場合には、穴部分3が形成されるよりも
少ない量の水を振りかければ良く、任意に水の量を調整
することができるので、種々の用途に適した和紙を製造
することができる。
表面構造を示す。図2に示されるように、本発明により
得られる和紙にあっては、骨材となる複数の紐状部材1
が同一平面上に配置されており、各紐状部材1は互いに
交差している。しかも、この紐状部材1はそれぞれ、抄
紙された植物繊維2によって固定され一体化されてい
る。そして、この和紙には、植物繊維2が存在しない穴
部分3が部分的に設けられており、このような穴部分3
が設けられていない残りの部分については、叩解された
植物繊維2が抄紙を行った際に互いに絡み合った状態で
紙を造っている。尚、図2に示される和紙では、穴部分
3の他に、図面には明確に表現されていないが、小量の
水が振りかけられることにより紙厚みが小さくなった部
分も部分的に形成されており、この部分によって和紙に
濃淡が設けられている。
紙は、骨材となった紐状部材1が互いに交差して一体化
された構造であるために紙の腰が強く、しかも水を振り
かけることによって形成された穴部分3が、和紙の表面
全体に点在した構造であるので、このような和紙は高湿
度の場所に置かれた場合にも、植物繊維の延び縮みによ
って生じる和紙表面の波打ち(歪み)が、穴部分3の部
分で吸収されて、和紙全体の平面性が保たれ、外観の低
下が生じないという利点を有する。以下に、本発明の方
法により和紙を製造する際の工程の一例を示す。
放がまで煮沸し、不純物を取り除いた後、叩解して繊維
を柔らかくし、叩解後の紙料に、水とトロロアオイを添
加した後、均一に分散させて紙料液を得た。一方、竹で
作った簀の周りに木製の枠を設け、この簀の上に、叩解
前の楮を不規則な方向に配置させた後、上記の紙料液を
充填した漉舟の中に浸漬し、紙料液をすくい上げた。そ
して、枠を前後左右にゆり動かしながら水を濾過させ、
余分の紙料液を捨てた直後に、漉き上がった紙の表面に
水を振りかけ、直径約5〜25mm程度の穴部分が部分
的に形成されるようにし、その後、室温で乾燥を行い、
乾燥終了後、簀から紙を剥離して図2に示される表面構
造の和紙を得た。このようにして得られた和紙は、多湿
下に放置した場合においても表面に波打ちが発生しにく
く、十分な強度を有するものであった。又、種々の大き
さの穴部分が和紙全体に点在しており、意匠的にも優れ
たものであった。
毛羽立った、複数の紐状部材が骨材として互いに交差し
た状態で配置され、しかも、これらが抄紙された植物繊
維によって一体化された構造を有するので、十分な腰を
有する。又、植物繊維が存在しない穴部分が部分的に形
成されることにより、得られた和紙を高い湿度の場所に
保存した場合における表面の波打ち減少を防止すること
ができる。又、本発明により得られる和紙は、非常に意
匠性に富んだものであるので、障子紙や襖紙などの従来
からの用途の他、インテリア用としても非常に適したも
のであって、例えば、その意匠性を利用して、電気スタ
ンドの笠の部分を構成する材料として利用できる。
る際の工程を表す図である。
である。
Claims (1)
- 【請求項1】 水透過性を有するシート5の表面に、表
面が毛羽立った、複数の紐状部材1を交差させて並べる
工程(工程A)、上記工程Aで紐状部材1を並べたシー
ト5の表面に、植物繊維2及びネリを含む紙料液を敷い
て紙を漉く工程(工程B)、上記紙が乾燥する前に、上
記紙上に部分的に水を振りかけることにより、上記植物
繊維2を部分的に移動させて、上記紐状部材1によって
囲まれた空間において、上記植物繊維2が紐状部材1に
絡みつくように移動して植物繊維2が存在しない穴部分
3と、上記穴部分3が形成される代わりに、上記植物繊
維2が少量移動することによって紙厚みが小さくなった
部分とを、上記紙の少なくとも一部に形成する工程(工
程C)、上記紙を乾燥し、上記シート5から剥離する工
程(工程D)を含むことを特徴とする、和紙の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34823191A JP2967220B2 (ja) | 1991-12-03 | 1991-12-03 | 和紙の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34823191A JP2967220B2 (ja) | 1991-12-03 | 1991-12-03 | 和紙の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05156593A JPH05156593A (ja) | 1993-06-22 |
JP2967220B2 true JP2967220B2 (ja) | 1999-10-25 |
Family
ID=18395631
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34823191A Expired - Lifetime JP2967220B2 (ja) | 1991-12-03 | 1991-12-03 | 和紙の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2967220B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1124009A1 (en) * | 1998-06-29 | 2001-08-16 | Open Industries Co., Ltd. | Device and method for forming vegetable fiber material |
-
1991
- 1991-12-03 JP JP34823191A patent/JP2967220B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05156593A (ja) | 1993-06-22 |
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