JP2965953B2 - 無線パケット送信装置 - Google Patents

無線パケット送信装置

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JP2965953B2
JP2965953B2 JP8602098A JP8602098A JP2965953B2 JP 2965953 B2 JP2965953 B2 JP 2965953B2 JP 8602098 A JP8602098 A JP 8602098A JP 8602098 A JP8602098 A JP 8602098A JP 2965953 B2 JP2965953 B2 JP 2965953B2
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斉 高梨
正博 守倉
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無線パケット通信
システムの無線送信局において送信データの生成から無
線パケット送信までの一連の送信処理を行う無線パケッ
ト送信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、無線パケット通信システムの送
信局においては、送信すべきデータに予め定められた固
定値のヘッダデータを付加する。すなわち、前記ヘッダ
データと送信対象データとを組み合わせたものが送信パ
ケットデータになる。また、ある種の無線パケット通信
システムにおいては、送信パケットデータに対して高速
フーリエ変換,誤り訂正符号化,データ圧縮化等の複雑
で高度な演算処理を実施する必要がある。これらの演算
処理には、比較的長い処理時間を必要とする。
【0003】例えば、直交周波数多重(“Orthogonal F
requency Division Multiplex”:OFDM)方式の通
信形式を利用する無線パケット通信システムの場合に
は、無線送信局では、送信前に送信パケットデータを直
並列変換処理した後に逆高速フーリエ変換処理する必要
がある。このため、送信対象データが無線送信局に現れ
てからそれが実際に無線パケットとして送出されるまで
に長い時間を要する。
【0004】無線パケット送信前に演算処理を必要とす
る従来の無線パケット送信装置の構成例を図7に示す。
図7において、送信データが送信データ発生部で発生す
ると、そのデータは送信データ処理部へ入力される。送
信データ処理部では、予め定められた固定値のヘッダデ
ータを付加して送信パケットデータを構成する。
【0005】ここで、ヘッダデータの内容は送信データ
の内容とは無関係に常に同一のデータである。送信デー
タ処理部で構成された送信パケットデータは、演算処理
部に入力される。演算処理部では、その無線パケット通
信システムに特有の各種演算処理を入力データに施す。
演算処理が施されたデータは、送信機から無線パケット
として送信される。
【0006】このように、送信データが無線パケットと
して送信されるまでには、ヘッダデータが付加され、高
度な演算処理(高速フーリエ変換,誤り訂正符号化,デ
ータ圧縮化等)が実行される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】無線パケット通信シス
テムにおいて複数の無線局が同じ無線周波数を例えば時
分割で共用して使用する場合には、時分割された通信チ
ャネル(タイムスロット)の全てに隙間なく無線パケッ
トを割り当てて送信すれば無線伝送路の周波数利用効率
を最大限に向上させることができる。
【0008】しかしながら、例えば2局の無線局のみが
互いに無線パケットの送受信を繰り返す場合であって
も、無線パケットを受信処理してデータの正当性を確認
し、適切な送信データを作成して、各種演算処理した後
に無線パケットを送信するので、送信する無線パケット
を連続的に生成することはできない。つまり、実際には
時分割された通信チャネルの全てに隙間なく無線パケッ
トを割り当てて送信することはできない。すなわち、周
波数利用効率は、受信データの正当性の確認,送信デー
タの作成,演算処理などの一連の処理を実行するのに必
要な所要時間に応じて左右される。
【0009】図7の無線パケット送信装置の場合には、
適切な送信データが作成されてからの送信処理におい
て、演算処理部での高度な演算処理はヘッダデータを含
めた送信データの処理に比較的長い時間を要するので、
上述の一連の処理の時間が長くなってしまい、送信され
る無線パケット間の間隔が大きくなり、周波数利用効率
の低下を招く。
【0010】ところで、複数の無線送信局が送信する複
数の無線パケットの衝突を避けるためには、各無線送信
局が送信前に他局からの送信パケットの有無を一定時間
監視する必要がある。無線パケット送信装置のために無
線伝送路における送信パケットの有無を監視する無線パ
ケット監視装置の一般的な構成を図6に示す。図6の無
線パケット監視装置においては、受信機で無線パケット
が受信されると、受信レベル検出器は当該無線パケット
の受信レベルを測定する。測定された受信レベルは、送
信パケット存在判定部にて予め定められた判定しきい値
と比較される。受信レベルが判定しきい値を越えた場合
には、送信パケット存在判定部は、送信データ発生部に
他局からの送信パケットが存在することを通知する。
【0011】従って、無線パケットを受信していない
か、又は受信していたとしても受信レベルが十分に低け
れば、送信データ発生部は他局の送信パケットが無線伝
送路に存在しないと認識する。
【0012】無線パケットの衝突を避けるために、各無
線局の送信データ発生部では、自局が送信する前に他局
からの送信パケットが存在しないことを一定時間継続し
て認識する必要がある。それを認識した後で、送信デー
タを作成し各種演算処理を実施した後に無線パケットを
送信するので、無線パケットを時間的に隙間なく送信す
ることはできない。
【0013】同様に、図7に示した従来の無線パケット
送信装置においても、他局からの送信パケットが存在し
ないことを確認すると、周波数利用効率が低下する。さ
らに、他局からの送信パケットが無いことを第1の時点
で確認した後で送信処理を開始し、送信処理の所要時間
だけ経過した第2の時点で実際に無線パケットを送信す
るので、送信処理の所要時間だけ第1の時点と第2の時
点との間に時間差が生じる。
【0014】前記時間差の間に、他の無線局が送信パケ
ットが無いと判断してパケットを送信する可能性があ
る。そして、複数の無線局から送信される無線パケット
が衝突する可能性がある。前記時間差は小さいことが望
ましい。しかし、図7のような従来の無線パケット送信
装置では複雑な演算処理に要する処理の所要時間のため
に、前記時間差が大きくなり、無線パケット衝突の確率
が高くなる。
【0015】本発明は、無線パケット送信装置におい
て、送信すべきデータが発生してからそのデータが実際
に送信機から無線パケットとして送信されるまでの遅延
時間を短縮して周波数利用効率を改善するとともに、複
数の無線パケットが無線伝送路で衝突する確率を小さく
することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の無線パケット送
信装置は、内容が全送信パケットデータに共通なへッダ
データについては、予め所定の演算処理を実施して演算
後のヘッダデータを記憶している。そして、送信対象デ
ータが発生すると、保持された演算後のヘッダデータを
直ちに送信開始する。
【0017】また、ヘッダデータを送信している間に、
送信対象データの演算処理を実行する。これにより、送
信対象データの発生から実際に送信機から無線パケット
が送出されるまでの遅延時間を短縮できる。すなわち、
請求項1の無線パケット送信装置は、送信対象データと
予め定められた固定値のへッダデータとで送信パケット
データを構成するとともに、送信パケットデータに対し
て所定の演算処理を施した後で、所定の送信機により送
信パケットデータを無線パケットとして送信する無線パ
ケット送信装置において、予め前記演算処理が施された
固定値のへッダデータを保持するとともに、所定のヘッ
ダデータ出力開始通知信号が入力されると保持されたヘ
ッダデータの前記送信機への出力を開始するヘッダデー
タ記憶部と、送信対象データに対して所定の演算処理を
実施する演算処理部と、前記送信対象データの入力に応
答して送信開始通知信号を出力するとともに、入力され
た送信対象データの前記演算処理部への出力を待機し
て、所定の送信データ出力開始通知信号が現れると前記
送信対象データを前記演算処理部へ出力する送信データ
処理部と、前記送信データ処理部から入力される送信開
始通知信号に応答して、前記ヘッダデータ記憶部にヘッ
ダデータ出力開始通知信号を出力するとともに前記ヘッ
ダデータ記憶部のヘッダデータ出力完了時間を計算し、
該へッダデータ出力完了時間と前記演算処理部での処理
に要する時間との差分によって定まる待ち時間を経過
後、前記送信データ処理部に対して送信データ出力開始
通知信号を出力するタイミング制御部とを設けて、前記
ヘッダデータ記憶部から出力されるへッダデータと前記
演算処理部から出力される送信対象データとを実質上連
続的に前記送信機へ入力することを特徴とする。
【0018】通常、へッダデータの出力を開始してから
それが完了するまでの所要時間は、送信対象データの演
算処理部での処理に要する時間に比べて長い。これらの
時間の違いを待ち時間として予め計算し、この待ち時間
に応じて送信対象データの演算開始を遅延させることに
より、前記ヘッダデータ記憶部から出力されるへッダデ
ータと前記演算処理部から出力される送信対象データと
を実質上連続的に前記送信機へ入力することができる。
【0019】請求項2は、請求項1記載の無線パケット
送信装置において、前記ヘッダデータ記憶部が出力する
データと前記演算処理部が出力するデータとの何れか一
方を選択的に前記送信機に入力する送信ルート切替スイ
ッチを設けるとともに、前記タイミング制御部は、前記
ヘッダデータ出力開始通知信号が現れてから前記ヘッダ
データ出力完了時間までは前記ヘッダデータ記憶部の出
力データを選択し、その後は前記演算処理部の出力デー
タを選択するように前記送信ルート切替スイッチを制御
することを特徴とする。
【0020】送信ルート切替スイッチを制御することに
より、無線パケットを構成するデータを選択するように
ヘッダデータ記憶部が出力するデータと演算処理部が出
力するデータとを切り替えることができる。請求項3の
無線パケット送信装置は、送信対象データと予め定めら
れた固定値のへッダデータとで送信パケットデータを構
成するとともに、送信パケットデータに対して所定の演
算処理を施した後で、所定の送信機により送信パケット
データを無線パケットとして送信する無線パケット送信
装置において、予め前記演算処理が施された固定値のへ
ッダデータを保持するとともに、所定の送信開始通知信
号が入力されると保持されたヘッダデータの前記送信機
への出力を開始するヘッダデータ記憶部と、送信対象デ
ータに対して所定の演算処理を実施する演算処理部と、
前記演算処理部が出力するデータを一時的に保持するバ
ッファ部と、前記送信対象データの入力に応答して前記
ヘッダデータ記憶部に送信開始通知信号を出力するとと
もに、入力された送信対象データを前記演算処理部へ出
力する送信データ処理部と、前記ヘッダデータ記憶部の
ヘッダデータ出力完了を示す信号に同期して、前記バッ
ファ部から前記送信機へのデータ出力を開始する制御手
段とを設けたことを特徴とする。
【0021】この発明では、ヘッダデータの出力開始と
同時に、送信対象データの演算処理が開始される。ヘッ
ダデータの全ての出力が完了する前に送信対象データの
演算処理は終了する。演算処理が終了したデータは、バ
ッファ部に一時的に保持される。そして、ヘッダデータ
記憶部のヘッダデータ出力が完了すると、それに同期し
てバッファ部から送信機にデータが出力される。
【0022】従って、へッダデータと送信対象データと
を実質上連続的にパケットとして前記送信機へ入力する
ことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)この形態の
無線パケット送信装置の構成及び動作を図1,図3及び
図4に示す。この形態は請求項1及び請求項2に対応す
る。
【0024】図1はこの形態の無線パケット送信装置の
構成を示すブロック図である。図3及び図4は図1の無
線パケット送信装置の制御タイミングの例を示すタイム
チャートである。この形態では、請求項1のヘッダデー
タ記憶部,演算処理部,送信データ処理部及びタイミン
グ制御部は、それぞれヘッダデータ記憶部32,演算処
理部18,送信データ処理部16及びタイミング制御部
31に対応し、請求項2の送信ルート切替スイッチは送
信ルート切替スイッチ33に対応する。
【0025】また、請求項1のヘッダデータ出力開始通
知信号,送信開始通知信号及び送信データ出力開始通知
信号は、それぞれヘッダデータ出力通知信号S2,送信
開始通知信号S1及び送信データ出力通知信号S3に対
応する。図1に示すように、この無線パケット送信装置
は送信データ発生部15,送信データ処理部16,演算
処理部18,送信機19,タイミング制御部31,ヘッ
ダデータ記憶部32及び送信ルート切替スイッチ33を
備えている。
【0026】無線パケット送信装置が送信すべきデータ
(以下、送信データと呼ぶ)が送信データ発生部15で
発生すると、その送信データは送信データ処理部16に
入力される。送信データ処理部16は、送信データの入
力に応答して、タイミング制御部31に対して送信開始
通知信号S1を送出する。また、入力された送信データ
の演算処理部18への出力は、タイミング制御部31か
らの送信データ出力通知信号S3を受けるまで待機させ
る。
【0027】タイミング制御部31は、送信データ処理
部16から送信開始通知信号S1を受けると、ヘッダデ
ータ記憶部32にヘッダデータ出力通知信号S2を送出
する。それと同時に、タイミング制御部31はヘッダデ
ータ記憶部32からのヘッダデータ出力が完了する時間
をへッダデータ出力完了時間として計算する。そして、
求められたへッダデータ出力完了時間と送信データの演
算処理部18での処理に要する所要時間との差分から、
タイミング制御部31は待ち時間Twを求める。
【0028】ヘッダデータ出力通知信号S2を送出して
から前記待ち時間Twが経過すると、タイミング制御部
31は送信データ処理部16へ送信データ出力通知信号
S3を送出する。すなわち、ヘッダデータの最後部の出
力完了と送信データの先頭部の演算処理が完了する時間
とが同期するようにタイミング制御部31は送信データ
出力通知信号S3の出力を遅らせる。
【0029】さらに、タイミング制御部31は、計算さ
れたヘッダデータ出力完了時間までは、送信ルート切替
スイッチ33がヘッダデータ記憶部32の出力を選択す
るように、送信ルート切替制御信号S4を送出する。送
信データ処理部16では、送信データ出力通知信号S3
が入力されると、待機させていた送信データの演算処理
部18への出力を開始する。
【0030】演算処理部18は、この無線パケット送信
装置が用いられる所定の無線パケット通信システムで利
用される通信方式などに適応した所定の演算処理(高速
フーリエ変換,誤り訂正符号化,データ圧縮化等)を送
信データ処理部16から入力される送信データに対して
実施する。演算処理部18の演算処理の結果は、送信ル
ート切替スイッチ33を介して送信機19に入力され
る。
【0031】一方、ヘッダデータ記憶部32が保持する
ヘッダデータは、演算処理部18における演算処理と同
一の演算処理を予め実施した演算処理済みのデータであ
る。ヘッダデータの内容は全てのパケットに共通に用い
られる固定値なので、それを演算処理した結果も全ての
パケットに共通な固定値になる。従って、ヘッダデータ
記憶部32が保持するヘッダデータは、そのまま送信機
19に与えることができる。
【0032】ヘッダデータ記憶部32は、ヘッダデータ
出力通知信号S2を受けると、保持している演算処理済
みのヘッダデータを順次に出力する。ヘッダデータ記憶
部32から出力されるヘッダデータは、送信ルート切替
スイッチ33を介して送信機19に印加される。送信ル
ート切替スイッチ33は、ヘッダデータ記憶部32の出
力と演算処理部18の出力との何れか一方を選択して送
信機19に接続する。送信ルート切替スイッチ33の選
択状態は、タイミング制御部31からの送信ルート切替
制御信号S4によって制御される。
【0033】そして、ヘッダデータ記憶部32がヘッダ
データを出力している間はヘッダデータ記憶部32の出
力を選択し、送信データを出力するときには演算処理部
18の出力を選択するように、送信ルート切替スイッチ
33の状態が切り替わる。従って、1つのパケットを構
成するように、ヘッダデータ記憶部32が出力するヘッ
ダデータと演算処理部18が出力する送信データとが連
続的に送信機19に入力される。
【0034】この形態では、ヘッダデータ出力通知信号
S2の送出と同時に送信ルート切替制御信号S4を送出
すると、それに応答して送信ルート切替スイッチ33が
ヘッダデータ記憶部32の出力を選択する。また、ヘッ
ダデータ出力完了時間に同期して再度送信ルート切替制
御信号S4が現れると、送信ルート切替スイッチ33は
演算処理部18の出力を選択する。
【0035】なお、次に示す方法で送信ルート切替スイ
ッチ33を制御してもよい。送信ルート切替制御信号S
4を常時オン/オフのいずれかの状態にある2値信号に
変更する。そして、送信ルート切替スイッチ33は送信
ルート切替制御信号S4のオン/オフ状態に応じてヘッ
ダデータ記憶部32の出力と演算処理部18の出力のい
ずれかを選択する。
【0036】送信ルート切替制御信号S4のオン状態で
送信ルート切替スイッチ33がヘッダデータ記憶部32
の出力を選択し、オフ状態で演算処理部18の出力を選
択するように定める場合には、タイミング制御部31
は、ヘッダデータ出力通知信号S2を送出してからヘッ
ダデータ出力完了時間まで送信ルート切替制御信号S4
をオン状態に保ち、その後は送信ルート切替制御信号S
4をオフ状態に切り替えてその状態を維持する。
【0037】無線パケット通信システムにおいては、一
連の送信処理により生じる遅延時間、すなわち送信デー
タが入力されてから実際にその送信データを含むパケッ
トが送出されるまでの遅延時間が伝送路の周波数利用効
率に影響する。また、複数の無線パケット同士の衝突の
確率にも影響する。本発明の実施により無線パケット送
出までの遅延時間は短縮される。この形態の無線パケッ
ト送信装置における制御タイミングの例を図3及び図4
に示す。従来との違いを表すために、図3及び図4には
従来の無線パケット送信装置の制御例も示されている。
【0038】まず、図3を参照して説明する。図3の例
では、2つの無線局の間で無線パケットの送受信を繰り
返す場合を想定している。つまり、それぞれの無線局
は、図1に示す無線パケット送信装置の他に無線パケッ
トを受信するための受信装置を備える。そして、受信装
置が受信したパケットに応答して送信データが作成され
る。図3は自局における制御を示している。
【0039】図3において、相手の無線局から自局の無
線局に送信される無線パケットP1の受信は時間t1で
終了する。その後、自局の無線局においては時間t1〜
t2の間で、受信された無線パケットP1の受信処理及
びデータの正当性の確認を実施する。次に、時間t2〜
t3の間で、適切な送信データを作成する。ここで作成
した送信データが、時間t3において図1の送信データ
処理部16に入力される。ここまでの制御での経過時間
には、本発明の無線パケット送信装置と従来の装置との
違いはない。
【0040】従来の制御においては、時間t3〜t6の
間で、ヘッダデータと送信データとで構成される送信パ
ケットデータに対して所定の演算処理を実施する。演算
処理が終了した後、時間t8で演算処理後の送信パケッ
トデータが、無線パケットP2として送信される。従っ
て、時間t3〜t8の間が遅延時間になる。この遅延時
間の間は無線パケットが送信されないので、無線伝送路
に送信される信号に隙間ができ、無線伝送路の周波数利
用効率が劣化する。
【0041】一方、本発明の無線パケット送信装置にお
いては、時間t3で送信データが送信データ処理部16
に入力されると、その直後の時間t4からヘッダデータ
記憶部32に記憶されている演算処理後のヘッダデータ
が送信機19から無線パケットP2として送出される。
無線パケットP2の先頭に位置するヘッダデータ部が無
線伝送路上に送出されている時間中に、演算処理部18
において送信データのみに対する演算処理が実施され
る。
【0042】実際には、ヘッダデータの送信を開始して
からそれが終了するまでの時間(t4〜t7)よりも送
信データに対する演算処理部18の演算処理の所要時間
(t5〜t7)が短いので、ヘッダデータの送信を開始
してから待ち時間Twを経過した後で、送信データに対
する演算処理部18の演算処理が開始される。その結
果、ヘッダデータの送信が終了する時間t7と同じ時間
に、送信データの演算処理が終了し、演算処理後の送信
データが無線パケットP2の一部分として時間t7から
送出される。
【0043】本発明の場合には、送信データが現れた時
間t3の直後の時間t4から無線パケットP2の送信を
開始するので、無線伝送路の信号の隙間が減少し、従来
の装置と比べて周波数利用効率が向上する。次に、図4
を参照して説明する。図4の例では、複数の無線パケッ
ト同士の衝突を避けるために、各無線局が図6に示すよ
うな無線パケット監視装置を備えて、他局の無線パケッ
トが無線伝送路上に現れていない場合に無線パケットを
送信する場合を想定している。図4には、自局の制御と
他の無線パケット送信局の動作が示されている。
【0044】図4の時間t1〜t2の一定の期間(T
D)、自局においては、他局の無線パケットが無線伝送
路上に存在しないことを確認する。他局の無線パケット
が無線伝送路上に存在しない場合には、時間t2〜t3
の間で送信データを作成する。この送信データが時間t
3で送信データ処理部16に入力される。ここまでの経
過時間については、従来と本発明の装置との違いはな
い。また、時間t3以降の制御については、既に説明し
た図3と同一である。つまり、本発明の場合には時間t
4から無線パケットP2の送出を開始し、従来の制御で
は時間t8から無線パケットP2の送出を開始する。
【0045】図4に示すように、他のパケット送信局が
時間t42〜t52の期間TDにおいて無線伝送路にお
ける無線パケットの有無を確認すると、本発明の装置を
用いる場合には、既に無線パケットP2が現れているの
で、他のパケット送信局は無線パケットP3を送出しな
い。従って、無線パケットの衝突は起きない。一方、従
来の装置を用いる場合には、自局が無線パケットP2の
送出準備をしているにもかかわらず、時間t42〜t5
2ではまだ無線パケットP2の送出を開始していないの
で、他のパケット送信局は無線伝送路が利用できると認
識し、無線パケットP3を送出する。
【0046】他のパケット送信局が無線パケットP3を
送出するときには、既に自局が無線パケットP2を送出
しているので、2つの無線パケットP2,P3が無線伝
送路上で互いに衝突する。上記のように、本発明の無線
パケット送信装置は、従来の装置に比べて複数の無線パ
ケットの衝突を抑制するのに効果的である。
【0047】(第2の実施の形態)この形態の無線パケ
ット送信装置の構成及び動作を図2及び図5に示す。こ
の形態は請求項3に対応する。図2において、第1の実
施の形態と同一の要素には同一の符号を付けて示してあ
る。図2はこの形態の無線パケット送信装置の構成を示
すブロック図である。図5は図2の無線パケット送信装
置の制御タイミングの例を示すタイムチャートである。
図2において、第1の実施の形態と同一の要素には同一
の符号を付けて示してある。
【0048】この形態では、請求項3のヘッダデータ記
憶部,演算処理部及び送信データ処理部は、それぞれヘ
ッダデータ記憶部32,演算処理部18,送信データ処
理部16に対応し、請求項3のバッファ部及び制御手段
は、バッファ部41に対応する。図2に示すように、こ
の無線パケット送信装置は送信データ発生部15,送信
データ処理部16,演算処理部18,送信機19,ヘッ
ダデータ記憶部32及びバッファ部41を備えている。
【0049】送信データ処理部16は、送信データ発生
部15から送信データが入力されると、ヘッダデータ記
憶部32に対して送信開始通知信号S1を送出する。さ
らに、直ちに送信データを演算処理部18に入力する。
演算処理部18は、入力された送信データに対して、所
定の演算処理を施す。演算処理部18で演算処理が終了
した送信データは、バッファ部41に入力されて一時的
に保持される。
【0050】一方、ヘッダデータ記憶部32は、送信デ
ータ処理部16から送信開始通知信号S1を受けると、
ヘッダデータ記憶部32に保持されている演算処理済み
のヘッダデータを送信機19に出力する。また、ヘッダ
データ記憶部32はヘッダデータの出力を完了すると、
送信完了通知信号S5をバッファ部41に送出する。バ
ッファ部41では、送信完了通知信号S5を受けると、
保持している送信データを送信機19に出力する。
【0051】従って、第1の実施の形態と同様に、送信
機19には演算処理済みのヘッダデータと演算処理済み
の送信データとが1つのパケットデータとして連続的に
入力される。本発明においては、ヘッダデータ記憶部3
2で記憧しているヘッダデータの内容は所定の演算処理
(処理の内容は無線パケット送信装置を利用するシステ
ムに応じて変わる)をされた後の処理後ヘッダデータで
ある。ヘッダデータは、送信データの内容とは無関係に
常に一定のデータであり、演算処理後の内容も変化しな
い。従って、演算処理後のヘッダデータをヘッダデータ
記憶部32で固定データとして保持することができる。
【0052】本発明では、ヘッダデータ記憶部32に保
持された演算処理後のヘッダデータを利用することによ
り、無線パケットの送出を従来よりも早く開始できる。
これにより、送信データの発生から実際に送信機より無
線パケットが送出されるまでの遅延時間を大幅に短縮で
きる。
【0053】本発明の実施により無線パケット送出まで
の遅延時間は短縮される。この形態の無線パケット送信
装置における制御タイミングの例を図5に示す。従来と
の違いを表すために、図5には従来の無線パケット送信
装置の制御例も示されている。図5の例では、2つの無
線局の間で無線パケットの送受信を繰り返す場合を想定
している。つまり、それぞれの無線局は、図2に示す無
線パケット送信装置の他に無線パケットを受信するため
の受信装置を備える。そして、受信装置が受信したパケ
ットに応答して送信データが作成される。図5は自局に
おける制御を示している。
【0054】図5において、相手の無線局から自局の無
線局に送信される無線パケットP1の受信は時間t1で
終了する。その後、自局の無線局においては時間t21
〜t22の間で、受信された無線パケットP1の受信処
理及びデータの正当性の確認を実施する。次に、時間t
22〜t23の間で、適切な送信データを作成する。こ
こで作成した送信データが、時間t23において図2の
送信データ処理部16に入力される。ここまでの制御で
の経過時間には、本発明の無線パケット送信装置と従来
の装置との違いはない。
【0055】従来の制御においては、時間t23〜t2
6の間で、ヘッダデータと送信データとで構成される送
信パケットデータに対して所定の演算処理を実施する。
演算処理が終了した後、時間t28で演算処理後の送信
パケットデータが、無線パケットP2として送信され
る。従って、時間t23〜t28の間が遅延時間にな
る。この遅延時間の間は無線パケットが送信されないの
で、無線伝送路に送信される信号に隙間ができ、無線伝
送路の周波数利用効率が劣化する。
【0056】一方、本発明の無線パケット送信装置にお
いては、時間t23で送信データが送信データ処理部1
6に入力されると、その直後の時間t24からヘッダデ
ータ記憶部32に記憶されている演算処理後のヘッダデ
ータが送信機19から無線パケットP2として送出され
る。
【0057】無線パケットP2の先頭に位置するヘッダ
データ部が無線伝送路上に送出されている時間中に、演
算処理部18において送信データのみに対する演算処理
が実施される。送信データに対する演算処理部18の演
算処理は、ヘッダデータの送出開始と同時(t24)に
開始される。但し、ヘッダデータの送信を開始してから
それが終了するまでの時間(t24〜t27)よりも送
信データに対する演算処理部18の演算処理の所要時間
(t24〜t25)が短いので、ヘッダデータの送信が
終了する時間t27より前の時間t25で、送信データ
に対する演算処理部18の演算処理は終了する。
【0058】そこで、演算処理部18の演算処理が終了
した送信データは、バッファ部41に一時的に保持され
る。そして、ヘッダデータの送信が終了する時間t27
に現れる送信完了通知信号S5に同期して、バッファ部
41が保持する演算処理済みの送信データが無線パケッ
トP2の一部分として時間t27から送出される。本発
明の場合には、送信データが現れた時間t23の直後の
時間t24から無線パケットP2の送信を開始するの
で、無線伝送路の信号の隙間が減少し、従来の装置と比
べて周波数利用効率が向上する。
【0059】なお、第1の実施の形態と同様に無線パケ
ットP2の送信開始までの遅延時間が短いので、この形
態においても、図4の場合と同様に無線パケットの衝突
が防止される。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、適用さ
れる無線パケット通信システムに特有の各種演算処理に
長時間を要する場合であっても、無線パケットを受信し
てからその応答無線パケットの送出までの遅延時間を短
縮することができるので、無線伝送路上に送出される無
線パケット間の隙間を少なくすることができ、周波数利
用効率を向上できる効果がある。
【0061】また、他局の送信した無線パケットが無線
伝送路上に存在しないことを確認してから、無線パケッ
トを送出する場合にも、送信データを作成してからそれ
を含む無線パケットを送出するまでの遅延時間が短縮さ
れるので、この遅延時間の間に他局が無線パケットが存
在しないと認識して無線パケットを送出する確率が小さ
くなり、複数の無線パケットが衝突する確率が低減され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の無線パケット送信装置の構
成を示すブロック図である。
【図2】第2の実施の形態の無線パケット送信装置の構
成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態の無線パケット送信装置の動
作例を示すタイムチャートである。
【図4】第1の実施の形態の無線パケット送信装置の動
作例を示すタイムチャートである。
【図5】第2の実施の形態の無線パケット送信装置の動
作例を示すタイムチャートである。
【図6】一般的な無線パケット送信装置に用いられる無
線パケット監視装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】従来の無線パケット送信装置の構成例を示すブ
ロック図である。
【符号の説明】
15 送信データ発生部 16 送信データ処理部 18 演算処理部 19 送信機 31 タイミング制御部 32 ヘッダデータ記憶部 33 送信ルート切替スイッチ 41 バッファ部 S1 送信開始通知信号 S2 ヘッダデータ出力通知信号 S3 送信データ出力通知信号 S4 送信ルート切替制御信号 S5 送信完了通知信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 守倉 正博 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−127479(JP,A) 電子情報通信学会技術研究報告,Vo l.98 No.358,RCS98−113,O ct.1998,飯塚正孝 他「OFDMを 適用した無線LANシステムにおけるC SMA/CAスループット改善法の検 討,pages.79−84 Proceedings IEEE INFOCOM ’98,the Con ference on Compute r Communications,P art Vol.2(29 March 1998),Lettieri,P.et al”Adaptive frame length control for improving wireles s link throughput, range,and energy e fficiency”,pages. 564−571 IEEE TRANSACTIONS ON COMMUNICATION S,Vol.COM−23 No.12,D ec.1975,Kleinrock L. et al”Packet Switc hing in Radio Chan nels:Part▲I▼−Carri er Sense Multiple− Access Modes and T heir Throughput−De lay Characteristic s”,pages.1400−1416 IEEE TRANSACTIONS ON COMMUNICATION S,Vol.COM−23 No.12,D ec.1975,Tobagi F.A.e t al”Packet Switch ing in Radio Chann els:Part▲II▼−The H idden Terminal Pro blem in Carrier Se nse Multiple−Acces s and the Busy−To ne Solution”,page s.1417−1433 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H04L 12/28 INSPEC(DIALOG) JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信対象データと予め定められた固定値
    のへッダデータとで送信パケットデータを構成するとと
    もに、送信パケットデータに対して所定の演算処理を施
    した後で、所定の送信機により送信パケットデータを無
    線パケットとして送信する無線パケット送信装置におい
    て、 予め前記演算処理が施された固定値のへッダデータを保
    持するとともに、所定のヘッダデータ出力開始通知信号
    が入力されると保持されたヘッダデータの前記送信機へ
    の出力を開始するヘッダデータ記憶部と、 送信対象データに対して所定の演算処理を実施する演算
    処理部と、 前記送信対象データの入力に応答して送信開始通知信号
    を出力するとともに、入力された送信対象データの前記
    演算処理部への出力を待機して、所定の送信データ出力
    開始通知信号が現れると前記送信対象データを前記演算
    処理部へ出力する送信データ処理部と、 前記送信データ処理部から入力される送信開始通知信号
    に応答して、前記ヘッダデータ記憶部にヘッダデータ出
    力開始通知信号を出力するとともに前記ヘッダデータ記
    憶部のヘッダデータ出力完了時間を計算し、該へッダデ
    ータ出力完了時間と前記演算処理部での処理に要する時
    間との差分によって定まる待ち時間を経過後、前記送信
    データ処理部に対して送信データ出力開始通知信号を出
    力するタイミング制御部とを設けて、前記ヘッダデータ
    記憶部から出力されるへッダデータと前記演算処理部か
    ら出力される送信対象データとを実質上連続的に前記送
    信機へ入力することを特徴とする無線パケット送信装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の無線パケット送信装置に
    おいて、前記ヘッダデータ記憶部が出力するデータと前
    記演算処理部が出力するデータとの何れか一方を選択的
    に前記送信機に入力する送信ルート切替スイッチを設け
    るとともに、前記タイミング制御部は、前記ヘッダデー
    タ出力開始通知信号が現れてから前記ヘッダデータ出力
    完了時間までは前記ヘッダデータ記憶部の出力データを
    選択し、その後は前記演算処理部の出力データを選択す
    るように前記送信ルート切替スイッチを制御することを
    特徴とする無線パケット送信装置。
  3. 【請求項3】 送信対象データと予め定められた固定値
    のへッダデータとで送信パケットデータを構成するとと
    もに、送信パケットデータに対して所定の演算処理を施
    した後で、所定の送信機により送信パケットデータを無
    線パケットとして送信する無線パケット送信装置におい
    て、 予め前記演算処理が施された固定値のへッダデータを保
    持するとともに、所定の送信開始通知信号が入力される
    と保持されたヘッダデータの前記送信機への出力を開始
    するヘッダデータ記憶部と、 送信対象データに対して所定の演算処理を実施する演算
    処理部と、 前記演算処理部が出力するデータを一時的に保持するバ
    ッファ部と、 前記送信対象データの入力に応答して前記ヘッダデータ
    記憶部に送信開始通知信号を出力するとともに、入力さ
    れた送信対象データを前記演算処理部へ出力する送信デ
    ータ処理部と、 前記ヘッダデータ記憶部のヘッダデータ出力完了を示す
    信号に同期して、前記バッファ部から前記送信機へのデ
    ータ出力を開始する制御手段とを設けたことを特徴とす
    る無線パケット送信装置。
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IEEE TRANSACTIONS ON COMMUNICATIONS,Vol.COM−23 No.12,Dec.1975,Kleinrock L.et al"Packet Switching in Radio Channels:Part▲I▼−Carrier Sense Multiple−Access Modes and Their Throughput−Delay Characteristics",pages.1400−1416
IEEE TRANSACTIONS ON COMMUNICATIONS,Vol.COM−23 No.12,Dec.1975,Tobagi F.A.et al"Packet Switching in Radio Channels:Part▲II▼−The Hidden Terminal Problem in Carrier Sense Multiple−Access and the Busy−Tone Solution",pages.1417−1433
Proceedings IEEE INFOCOM ’98,the Conference on Computer Communications,Part Vol.2(29 March 1998),Lettieri,P.et al"Adaptive frame length control for improving wireless link throughput,range,and energy efficiency",pages.564−571
電子情報通信学会技術研究報告,Vol.98 No.358,RCS98−113,Oct.1998,飯塚正孝 他「OFDMを適用した無線LANシステムにおけるCSMA/CAスループット改善法の検討,pages.79−84

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