JP2964431B2 - 溶融めっき装置 - Google Patents

溶融めっき装置

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JP2964431B2 JP13431191A JP13431191A JP2964431B2 JP 2964431 B2 JP2964431 B2 JP 2964431B2 JP 13431191 A JP13431191 A JP 13431191A JP 13431191 A JP13431191 A JP 13431191A JP 2964431 B2 JP2964431 B2 JP 2964431B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たれ切りが良好な連続
式の一般溶融金属めっき用の装置に関し、特には、電柱
用支線棒のように一端に環状部を有し、さらには該環状
部に付属金具を組み合わせた棒状材に好適な一般溶融亜
鉛めっき用装置に関する。
【0002】電柱を地上に立設する場合、ワイヤーロー
プの一端を電柱に取り付け、そのワイヤーロープの他端
と、地中に埋設したアンカーの端部とを,図10に示し
たような支線棒7で接続する場合がある。この支線棒7
は、主として9、13、16、19、22mmの径の丸棒
鋼でつくられ,両端が互に直角面をなす環状部7a、7
bに形成してあり、この環状部7a、7bにはシンプル
リンク16またはストラップ17のような取付け用の付
属金具を組み合わせてあり,また防錆のため、全体に溶
融亜鉛めっきを施してある。
【0003】ところで、この支線棒7については、この
支線棒7の使用される電柱が道路や住宅の近くに設置さ
れるため、通行人や住人の安全上からも、めっきの際の
溶融亜鉛のたれに起因する突起物は厳禁であり、また、
めっき亜鉛のたれによる寸法の不均一があると、他の部
品との接続に支障を来すことがある。さらに、支線棒7
の環状部7a、7bに組み合わせてあるシンプルリンク
16等付属金具がめっき亜鉛によって支線棒7に固結し
ていると、接続工事の際、その固結部分でめっき亜鉛が
剥がされる状態となり、防錆効果がなくなる等の問題が
あった。即ち支線棒の場合、たれ切り及びめっき亜鉛の
冷却についての制約があるため、その溶融亜鉛めっき作
業においては、短時間で効果的なめっき亜鉛のたれ切り
を行なう必要があった。
【0004】従来、このような支線棒の溶融亜鉛めっき
においては、例えば、2名1組の作業員が、それぞれ中
間部分に屈曲部を有する長さ約2mの針と称する鉄棒を
操作して保持し、運搬し、めっき浴に浸漬し、また引き
上げてたれ切りを行う等の作業を行なっていた。
【0005】即ち、前処理を終えた複数の支線棒7を、
一方の作業員が前記鉄棒をシンプルリング側の環状部7
aに挿入し、他方の作業員がストラップ側の環状部7b
の近傍を前記鉄棒で下から支える形でめっき浴に浸漬さ
せる。
【0006】めっき浴から引き上げた支線棒7はめっき
浴槽外の作業床上で反転させ、この反転の過程でめっき
のたれ切りを行い、また2名で支えて運搬して冷却水槽
に投入し、めっき被膜の完全固化を行わせるようにして
いた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この作
業は、2名の作業員が鉄棒を操作して合計20〜30kg
からなる複数の支線棒を1組として持ち上げ、前記のよ
うな短時間のたれ切り操作を行い、且つ、運搬する作業
であって、作業員にとってかなりの重労働であると共
に、身長バランスのとれている2名の作業員が呼吸を合
わせて行う作業で、危険性を伴なうと共に熟練を必要と
する作業である点に問題があった。従ってまた、このよ
うな溶融亜鉛めっきにおいては、作業は断続的になり易
く、作業性を高め、省力化を促進させることは困難であ
る、という問題があった。
【0008】さらには、何らかの機械化されためっき浴
浸漬装置を設置しようとする場合、このめっき浴浸漬装
置が複雑で固定設備となると、付設されるめっき浴槽が
専用化されることになるので、必要とする被めっき材の
生産量が少ない場合は経済的に不利になる、という問題
があった。
【0009】本発明は、このような問題点に鑑み、一般
溶融金属めっき作業に機械化作業を取り入れ、自動また
は半自動作業とし、前記支線棒のような、端部に環状部
を有し、また付属金具を組み合わせた、反転たれ切りを
必要とする複数の棒状体からなる重量物であっても、人
力で直接扱うことなく必要なめっきたれ切りが行え、不
必要な部品間の固結が防止でき、従って作業の安全性が
保たれると共に、作業に熟練性を必要とすることなく作
業性が向上する経済的な溶融金属めっき装置、さらにま
た、設備的に簡単で、不要時、めっき浴槽上からの移転
が容易なめっき浴浸漬装置を備えた経済的な溶融金属め
っき装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
め、本発明は、被めっき材を装着保持した保持具を把持
して回転し得るクランプ部を備え、該クランプ部を移動
自在とする回転把持装置と、前記保持具に装着保持され
た被めっき材をめっき浴内に装入し浸漬し得るめっき浴
浸漬装置とからなる溶融めっき装置であって、前記めっ
き浴浸漬装置は、前記被めっき材のめっき浴浸漬を可能
とするレベルに前記保持具を保持する搬送レールをめっ
き浴槽の上方に設けると共に、該搬送レールに並行し
て、基端部にアクチュエータを連結したガイドシャフト
を設け、該ガイドシャフトの所定の複数個所には一方向
にのみ押動可能な押板を取り付けてなり、前記アクチュ
エータの駆動によるガイドシャフトの往復動により、前
記押板が前記搬送レール上の保持具を一方向に押動し、
被めっき材のめっき浴浸漬を行わせる溶融めっき装置
を、また前記保持具は、一端に環状部を有する棒状の被
めっき材を装着保持する保持具であって、前記被めっき
材の一端を前記環状部に遊挿させて保持する単一の水平
棒と、前記被めっき材の他端を相互間に遊挿させて保持
する2本の並行水平棒とからなる保持材を、該保持材の
上方に離間し且つ上部に支持車輪を備える把持板に取り
付けてある溶融めっき装置を、さらにまた、前記めっき
浴浸漬装置は、前記めっき浴槽に沿って設けられたフー
ドに複数のブラケットを取り付け、各ブラケットには枠
体に形成したアームを回動可能に保持すると共に、該ア
ームが前記めっき浴槽の長手方向に直角となる位置に該
アームと前記ブラケットとを係止ピンで仮固定し、前記
アームに前記搬送レールと前記ガイドシャフトを枢支保
持させると共に、前記ガイドシャフトを継ぎ金具を介し
てアクチュエータに連結してなり、前記係止ピンと前記
継ぎ金具を外すことにより、前記フードに片寄せて格納
できるようにした溶融めっき装置を提案するものであ
る。
【0011】
【作用】この溶融めっき装置においては、被めっき材を
保持具に装着して保持した後、この保持具を回転把持装
置のクランプ部で把持して搬送し、めっき浴浸漬装置の
搬送レールに供給して保持させる。油圧シリンダ等アク
チュエータを駆動してガイドシャフトを往復動させる
と、ガイドシャフトに取り付けた押板が前記搬送レール
に保持された保持具を押動して前進させる。この過程で
被めっき材がめっき浴中に装入浸漬され、めっきされ
る。所要距離を移動した保持具を、回転把持装置のクラ
ンプ部で把持し、めっき浴槽外に搬出して回転して被め
っき材のめっきのたれ切りを行った後、冷却水槽に搬送
し、被めっき材を冷却水槽内に入れて冷却させる。
【0012】単一の水平棒と2本の平行水平棒とからな
る保持材を、支持車輪を備える把持板に取り付けた保持
具にあっては、被めっき材一端の環状部に単一の水平棒
を挿入し、被めっき材の他端を平行水平棒間に挿入させ
ることにより、一端に環状部を有する棒状の被めっき材
を保持でき、めっき時、支持車輪を搬送レール上に載置
して保持させ、アクチュエータを駆動させることによっ
て保持具を搬送し、被めっき材をめっき浴槽内に装入
し、めっきすることができる。また、前記回転把持装置
のクランプ部で保持具の把持板を把持して、このクラン
プ部を回転させることにより、保持具と共に被めっき材
を回転させ、めっきのたれ切りを行わせることができ
る。
【0013】またさらに、フード側に格納可能としため
っき浴浸漬装置にあっては、不要時、ガイドシャフトの
継ぎ金具を外してアクチュエータとの連結を解き、各ブ
ラケットとアームとを仮固定している係止ピンを外せ
ば、各アームをブラケットに対して回動させることによ
り、フード側に折り畳む形に格納することができる。
【0014】
【実施例】以下、実施例を示す図面によって本発明の溶
融めっき装置を説明する。図1は、本発明の支線棒の溶
融亜鉛めっき装置を備えた溶融亜鉛めっき工場の略平面
配置図である。
【0015】図に示す溶融亜鉛めっき工場にあっては、
溶融亜鉛めっきを施すめっき浴槽2を備える溶融炉装置
1を設備し、このめっき浴槽2の側部には、集塵のため
のフード3をめっき浴槽2に沿って取り付けてあり、こ
のフード3を利用してめっき浴浸漬装置4を折畳み可能
に設けてある。また、溶融炉装置1に近接して、その排
ガスの熱を利用するべくフラックス浴槽5を配置し、溶
融炉装置1に離隔して平行に、冷却水槽6を配置してあ
る。
【0016】そして、溶融炉装置1と冷却水槽6間の作
業床上には、支線棒7の保持具8を把持して搬送し、ま
た回転させる装置として、作業アームの先端に回転可能
なクランプ部を取り付けたバランサーによる2基の回転
把持装置9、10を設置してあり、回転把持装置9によ
り、溶融亜鉛めっきをしようとする支線棒7を装着した
保持具8を把持して前記めっき浴浸漬装置4に供給し、
回転把持装置10により、溶融亜鉛めっきを終了した支
線棒7の保持具8を把持し、回転してめっき亜鉛のたれ
切りを行った後、冷却水槽6に供給する動作を行わせる
ようにしてある。
【0017】以下、さらに詳しく説明する。図2は図1
の溶融亜鉛めっき装置において用いる支線棒7の保持具
8の斜視図である。この保持具8は図10で示したよう
な支線棒7を装着保持するもので、単一の水平棒11と
2本の平行水平棒12を1対にして、開脚状に水平把持
板13に固着させてあり、この水平把持板13の上面略
中央には、頂部をフック状に屈曲させた吊り棒14を直
立状態に固着させ、吊り棒14の中間位置に支持車輪1
5を回転自在に取り付けてある。
【0018】この保持具8には、前記支線棒7の一端の
シンプルリンク16を取り付けた環状部7aを単一水平
棒11に遊挿し、他端のストラップ17を取り付けた環
状部7bを約80mmの間隔の平行水平棒12間に遊挿す
る形に複数の支線棒7を装着保持する。
【0019】図3は図1の溶融亜鉛めっき装置において
用いる回転把持装置9を示す斜視図で、図示のように、
保持具8はバランサー18の作業アーム19の先端に取
り付けた回転可能なクランプ部20によって把持し、搬
送し、また回転させることができる。
【0020】バランサー18は重量のあるワークをモー
タートルクでバランスさせ無重力的に保持できるように
した装置であって、床面等に設置し、直立するポール2
1の頂部の駆動部から伸長するアーム22と、関節部を
介した前記作業アーム19とを備え、この作業アーム1
9の先端にワーク保持のためのクランプ部20のような
アタッチメントを取り付けてあり、作業員23のレバー
をもって動かす操作で上下、水平、斜め方向等の三次元
移動を容易に可能としたものであり、このようなバラン
サー18は公知であり、また市販されている。なお、本
実施例の場合、移動可能な台座式バランサーを用いてい
る。
【0021】また、回転把持装置9に取り付けられたク
ランプ部20は、作業員23がクランプレバー24を操
作して保持具8を把持または脱荷し、また回転操作レバ
ー25を操作して保持具8を保持したクランプ部20を
回転させることが出来るようにしてある。回転把持装置
10においても、前記回転把持装置9と全く同様のもの
を使用している。
【0022】図4は、図3に示したクランプ部20とそ
の付属機構の拡大斜視図であり、図5は該クランプ部と
付属機構の側断面図である。回転把持装置9、10の作
業アーム19には、取付け部26が旋回可能に取り付け
られており、この取付け部26の下部に接続した保持部
27には、前端部に平歯車28を固定した回転筒29が
ベアリング30を介して保持され、前記平歯車28にク
ランプ部20を取り付けてある。
【0023】即ち平歯車28にはブラケット31を固定
し、このブラケット31の下部には固定片32を介して
水平固定板33が取り付けられ、ブラケット31の上部
には支軸34を支点に上下揺動可能な可動片35を介し
てクランプ板36を取り付けてある。このクランプ板3
6は、前部にV字状の切欠き37を有し、保持具8をそ
の吊り棒14を挟み込む形に十分にクランプでき、また
これによりクランプ部20を回転させたときに、保持具
8がずれ動くのを防止できる。
【0024】さらに、前記可動片35の基端部はリンク
ピン38、39とリンク40、41を介して押動片42
にリンク結合してある。押動片42は、背部をリンクボ
ール43を介して押動杆44に連結され、この押動杆4
4はリンク板45を介してクランプレバー24に連結さ
れている。
【0025】従って、クランプレバー24を上動させれ
ば、押動杆44を介して押動片42を押し、リンク作用
により、支軸34を支点にクランプ板36を上動させ、
水平固定板33との間隔を開けることができ、逆にクラ
ンプレバー24を下動させることにより、クランプ板3
6を下動させ、水平固定板33と共に前記保持具8の水
平把持板13を把持できる。
【0026】前記保持部27の側部にはブレーキ付きギ
ャモータ46を取り付けてあり、このギャモータ46の
モータ軸に図示しない平歯車を取り付け、ギャボックス
47内で前記平歯車28と噛合させてある。即ち、回転
操作レバー25に取り付けたスイッチボタン48を押す
ことにより、ギャモータ46を駆動させ平歯車28と共
にクランプ部20を回転させることができる。
【0027】図6は、図1に示しためっき浴浸漬装置の
1部を示す側面図、図7は図6を補完する側面図、図8
は図6のVIII−VIII線に沿う断面図、図9は図6のめっ
き浴浸漬装置の平面図である。
【0028】溶融炉装置1のめっき浴槽2に沿って側部
に段付きのフード3を配設してあり、このフード3の壁
の2個所に上下方向に長いブラケット49を固着し、上
アーム50とこの上アーム50より若干長い下アーム5
1とを、縦材を用いて枠体に形成し、基部側の縦材をア
ーム支軸52として回動可能にブラケット49に保持さ
せると共に、上アーム50をブラケット49の先端部に
係止ピン53で係止することにより、上アーム50と下
アーム51をめっき浴槽2の長手方向に直角に、めっき
浴槽2上に張り出した状態に固定してある。
【0029】前記の各下アーム51の先端部には、ホル
ダ54を介してめっき浴槽2と同程度の長さの搬送レー
ル55をめっき浴槽2の幅方向中央部に位置した状態に
配置してある。この搬送レール55は、前記した支線棒
7を保持する保持具8の支持車輪15を載置して転動さ
せるレールであって、保持具8に装着した支線棒7がめ
っき浴中に浸漬可能な高さレベルにあるように位置させ
てあり、保持具装入側(図示右側)端部は支線棒7をめ
っき浴上に保持するに足る高さレベルとし、保持具8が
斜降してめっき浴中に装入されるようにしている。
【0030】また、搬送レール55の保持具排出側(図
示左側)の端部も斜降させてあり、この搬送レール端に
近接して保持具8の支持車輪15を受容できる受材56
を配置し、この受材56をフード壁に取り付けた昇降用
油圧シリンダ57に連結し、上下動可能にしてある。即
ち、昇降用油圧シリンダ57は、フード3にブラケット
71を取り付け、昇降用油圧シリンダ57を接続したア
ーム73を、その支軸72部分で前記ブラケット71に
回動可能に保持すると共に、係止ピン74で仮固定した
状態に配置してある(図9)。
【0031】上アーム50の先端には搬送レール55に
平行して、この搬送レール55より長いアングル材によ
るガイドレール58を取り付けてある。そして、このガ
イドレール58に近接して平行に、ガイドシャフト59
を、このガイドレール58の任意位置に固定したガイド
ホルダ60に保持させてある。ガイドシャフト59は、
基端側(図示右側)を継ぎ金具61、62と継ぎロッド
63を介して、固定架台64に取り付けられたアクチュ
エータとしての押動用油圧シリンダ65に連結し、押動
用油圧シリンダ65の駆動により往復動できるようにし
てある。
【0032】さらに、前記ガイドシャフト59のガイド
レール58に沿う所定の4個所には、このガイドレール
58に載置して転動できる車輪66を介して押板67を
跨設してある。この押板67は搬送レール55に載荷し
た保持具8の吊り棒14頭部を押動して保持具8を搬送
できるようにしたもので、上下中間部を蝶番式に接続
し、前進方向では吊り棒14の押動可能に、後退方向で
は吊り棒14に当接して折曲して押動不能になるように
してある。なお、搬送レール55の装入側端部に沿う個
所の押板67Aは搬送レール55の高さに応じて短くし
てある。
【0033】従って、このめっき浴浸漬装置において
は、前記押動用油圧シリンダ65を作動させてガイドシ
ャフト59を往復動させると、その過程で各所の押板6
7が、それぞれ当接した保持具8の吊り棒14を排出方
向に押動し、保持具8を装入側から排出側に搬送して、
支線棒8をめっき浴中で移動させると共に、排出端側の
受材56で保持具8を受け止め、昇降用油圧シリンダ5
7で上動させることにより支線棒7をめっき浴上に引き
上げることができる。
【0034】さらにまた、一連の支線棒7の溶融亜鉛め
っき作業が終了し、めっき浴槽2を他の被めっき材の溶
融亜鉛めっき作業に用いようとする場合、このめっき浴
浸漬装置4は、ガイドシャフト59を、その継ぎ金具6
1、62と継ぎロッド63を取り外して押動用油圧シリ
ンダ65と切り離した後、前記上アーム50の係止ピン
53を抜き取れば、前記アーム支軸52を支点に図9の
図示矢印方向に上アーム50と下アーム51を回動させ
ることができ、これにより搬送レール55とガイドレー
ル58とガイドシャフト59とをフード3の壁に片寄せ
る状態に且つその段部の上方域内に格納して、図示しな
い係止手段で仮固定でき、さらに適宜カバーを施すこと
により、他の作業に支障のない格納状態にすることがで
きる。昇降用油圧シリンダ57についても、必要に応じ
て、係止ピン74を抜き取ることにより、ブラケット7
1に対し、アーム73を回動させ、フード3側に片寄せ
て格納することができる。
【0035】以上のように構成した実施例の溶融亜鉛め
っき装置の操作を図1によって説明する。被めっき材と
しての支線棒7は、図示しない搬送機構または手動操作
により、フラックス浴槽5でフラックス処理された後、
順次所定数宛、場所A2 の架台68上に、端部の環状部
7aを揃えて並列するようにしておく。
【0036】まず、めっき浴浸漬装置4の押動用油圧シ
リンダ65を所定の緩速度で往復作動させることによ
り、ガイドシャフト59に固定した押板67を往復動さ
せておく。
【0037】次いで、回転把持装置9を作業員69が操
作し、保持具8の置き場に設定しためっき浴槽2中央部
前方の場所A1 のステージにおいて、保持具8をクラン
プ部20でクランプ把持し、場所A2 の架台68の位置
まで運搬し、並列された支線棒7を装着保持させる。
【0038】この支線棒7を装着した保持具8を搬送レ
ール55端部の場所A3 に運搬し、この保持具8の支持
車輪15を搬送レール55上に載置した後、作業員69
はクランプ部20を場所A1 まで移動し、新たな保持具
8をクランプ把持させる。
【0039】前記回転把持装置9を操作する作業員69
は、以上の順序で、支線棒7の保持具8への装着と、こ
の保持具8の供給を繰返えす。なお、この作業において
はクランプ部20の回転は必要としないので、クランプ
部回転機構を有しない把持装置を利用することもでき
る。
【0040】一方、搬送レール55に載荷された保持具
8は、吊り棒14の頭部を、前記のように往復動する押
板67Aで排出側に押されて前進し、斜降して浸漬レベ
ルまで降下するので、支持棒7はめっき浴中に装入され
る。(図6参照)
【0041】浸漬された保持具8は、次の押板67Bと
67Cに順次押されて前進し、支線棒7のめっきを継続
する。排出端部に至った保持具8は押板67Dに押さ
れ、この排出端部を斜降して場所B1 の受材56に載荷
される。次いで、昇降用油圧シリンダ57が上動し、受
材56と共に保持具8を上動させ、支持棒7をめっき浴
上に引き上げる。
【0042】この昇降用油圧シリンダ57は前記押動用
油圧シリンダ65に連係して作動するようにしてある
が、別手段として、受材56に載荷される保持具8を感
知する重力センサによって作動するようにしてもよい。
【0043】次に、回転把持装置10を操作する作業員
70は、クランプ部20を場所B1 まで移動し、受材5
6上の保持具8をクランプ把持させた後、めっき浴槽2
外の場所B2 まで保持具8を移動し、クランプ部20を
半回転し、必要に応じ上下動で軽く振動を与えて支線棒
7の付着亜鉛のたれ切りを行い、さらに半回転して元の
姿勢に戻す。保持具8を場所B3 の冷却水槽6に移動し
た後、保持具8を保持したまま、支線棒7を冷却水槽6
内に投入し、冷却させる。冷却後、この支線棒7は冷却
水槽6の縁部または縁部に取り付けた部材に引っ掛ける
等の操作で保持具8から脱着させる。
【0044】次いで、支線棒7を脱着した保持具8を場
所B4 即ち場所A1 に搬送し、クランプを解除して保持
具8を解放する。以下、回転把持装置10には以上の操
作を繰り返させる。
【0045】回転把持装置10の操作においては、回転
たれ切りの前後で、必要に応じてクランプ部20に振動
を与えてたれ切りを行うこともできる。この振動は、手
動による上下動によって発生させることができるし、ま
た前記クランプ部20の回転操作レバー25のスイッチ
ボタン48のON、OFF繰返しによって発生させるこ
ともできる。
【0046】支線棒7のめっき作業が終了した後は、前
記のように、めっき浴浸漬装置4は、ガイドシャフト5
9の継手金具61、62を外し、上アーム50の係止ピ
ン53を外せばフード3に片寄せて格納でき、回転把持
装置9、10は作業域外に移動させて格納することがで
きる。同様に、昇降用油圧シリンダ57についても、係
止ピン74を抜き取ることにより、フード3に片寄せて
格納することができる。
【0047】また、前記の実施例では2基の回転把持装
置9、10を使用しているが、作業のプログラムによっ
ては、回転装置1基による操作も可能である。
【0048】なお、前記の実施例に拘らず、本発明で
は、保持具8のめっき浴への装入、あるいは昇降用油圧
シリンダ57によるめっき浴からの引き上げは、前記回
転把持装置9、10による直接操作によって行うことも
可能である。
【0049】以上のの溶融亜鉛めっき装置を用い、図1
の配置で実際作業を行った。即ち、支線棒7の線径及び
保持具当りの装着数が9mm15本、13mm13本、16
mm10本、19mm7本、22mm5本の場合のそれぞれに
ついて、水平棒11と平行水平棒12の長さ約550mm
及び開脚間隔約600mmとした保持具8を用い、めっき
浴浸漬時間55〜60秒の一連の連続作業を各1日行っ
た。なお、2基の回転把持装置9、10は、市販のバラ
ンサー(元田電子工業(株)ワイマンMY−B−186)
に図4の10回転/分の回転クランプ部を具備させたも
のである。
【0050】その結果、めっき品には付着亜鉛のたれに
よる寸法不良や突起物の生成もなく、従来の手作業によ
る場合と比べ外観性も向上した。作業員は、各回転把持
装置の操作員として各1工とめっき浴上の浮遊ドロスの
掻き寄せ等を行うめっき浴担当員の1工の計3工で作業
が可能で、従来必要とした6工を半減した。また、人力
による重量物負担作業がなくなり、作業に熟練性を必要
としなくなり、作業性が向上すると共に、作業の安全性
が著しく向上した。
【0051】以上の実施例による本発明の溶融亜鉛めっ
き装置においては、回転把持装置9、10とめっき浴浸
漬装置4との組合わせにより、支線棒7または類似形状
の被めっき材のめっき浴への装入と、その引き上げ、及
び引き上げためっき品の回転たれ切り操作からなる溶融
めっき処理が、作業員に重労働負担がかからない形で、
半自動的に連続または半連続作業として行えるものであ
るが、前記の手動操作される回転把持装置9、10をロ
ボットに置換すれば、前記溶融めっき処理を自動的且つ
連続的に実施することが可能であり、特に、被めっき材
の処理量が多く、専用めっき浴槽が必要とされる場合に
は有利である。
【0052】なお、作業のプログラムによっては、前記
回転把持装置またはロボットの1基による操作も可能で
ある。
【0053】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は次の効果を奏する。 (1) 溶融めっき作業における重労働作業がなくなっ
た。 (2) 溶融めっき作業における熟練の必要性が低減し
た。 (3) 溶融めっき作業の作業性が向上した。 (4) 溶融めっき作業の安全性が向上した。 (5) 溶融めっき作業の経済性に応じて自動連続化乃
至半自動連続化の選択が可能である。 (6) 設備が比較的簡単である。 (7) 特に、一端に環状部を有し、またこの環状部に
付属金具を組み合わせたようなめっきたれ切りの困難な
棒状体の溶融めっきが容易にできる。 (8) 特に、めっき浴浸漬装置を容易に格納できるよ
うにしたので、他の被めっき材の溶融めっき作業に支障
を来さない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の支線棒の溶融亜鉛めっき装置を
備えた溶融亜鉛めっき工場の平面配置図である。
【図2】図1の溶融亜鉛めっき装置における支線棒用保
持具の拡大斜視図である。
【図3】図1の溶融亜鉛めっき装置の回転把持装置の斜
視図である。
【図4】図3の回転把持装置におけるクランプ部とその
付属機構の拡大斜視図である。
【図5】図4のクランプ部とその付属機構の側断面図で
ある。
【図6】図1の溶融亜鉛めっき装置のめっき浴浸漬装置
の1部を示す側面図である。
【図7】図1の溶融亜鉛めっき装置のめっき浴浸漬装置
の他の1部を示す側面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】図6のめっき浴浸漬装置の平面図である。
【図10】支線棒の斜視図である。
【符号の説明】
1 溶融炉装置 2 めっき浴槽 3 フード 4 めっき浴浸漬装置 5 フラックス浴槽 6 冷却水槽 7 支線棒 7a、7b 環状部 8 保持具 9 回転把持装置 10 回転把持装置 11 水平棒 12 平行水平棒 13 水平把持板 14 吊り棒 15 支持車輪 20 クランプ部 24 クランプレバー 25 回転操作レバー 28 平歯車 33 水平固定板 36 クランプ板 46 ギャモータ 49 ブラケット 50 上アーム 51 下アーム 52 アーム支軸 53 係止ピン 55 搬送レール 56 受材 57 昇降用油圧シリンダ 58 ガイドレール 59 ガイドシャフト 61、62 継ぎ金具 63 継ぎロッド 65 押動用油圧シリンダ 66 車輪 67(67A、67B、67C、67D) 押板

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被めっき材を装着保持した保持具を把持
    して、回転し得るクランプ部を備え、該クランプ部を移
    動自在とする回転把持装置と、前記保持具に装着保持さ
    れた被めっき材をめっき浴内に装入し浸漬し得るめっき
    浴浸漬装置とからなる溶融めっき装置であって、前記め
    っき浴浸漬装置は、前記被めっき材のめっき浴浸漬を可
    能とするレベルに前記保持具を保持する搬送レールをめ
    っき浴槽の上方に設けると共に、該搬送レールに並行し
    て、基端部にアクチュエータを連結したガイドシャフト
    を設け、該ガイドシャフトの所定の複数個所には一方向
    にのみ押動可能な押板を取り付けてなり、前記アクチュ
    エータの駆動によるガイドシャフトの往復動により、前
    記押板が前記搬送レール上の保持具を一方向に押動し被
    めっき材のめっき浴浸漬を行わせることを特徴とする溶
    融めっき装置。
  2. 【請求項2】 前記保持具は、一端に環状部を有する棒
    状の被めっき材を装着保持する保持具であって、前記被
    めっき材の一端を前記環状部に遊挿させて保持する単一
    の水平棒と、前記被めっき材の他端を相互間に遊挿させ
    て保持する2本の並行水平棒とからなる保持材を、該保
    持材の上方に離間し且つ上部に支持車輪を備える把持板
    に取り付けてあることを特徴とする請求項1記載の溶融
    めっき装置。
  3. 【請求項3】 前記めっき浴浸漬装置は、前記めっき浴
    槽に沿って設けられたフードに複数のブラケットを取り
    付け、各ブラケットには枠体に形成したアームを回動可
    能に保持すると共に、該アームが前記めっき浴槽の長手
    方向に直角となる位置に、該アームと前記ブラケットと
    を係止ピンで仮固定し、前記アームに前記搬送レールと
    前記ガイドシャフトを枢支保持させると共に、前記ガイ
    ドシャフトを継ぎ金具を介してアクチュエータに連結し
    てなり、前記係止ピンと前記継ぎ金具を外すことによ
    り、前記フードに片寄せて格納できるようにしたことを
    特徴とする請求項1記載の溶融めっき装置。
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