JP2963109B2 - 水溶性生理活性ポリペプチドの吸着防止用エマルジョンおよびその吸着防止方法 - Google Patents
水溶性生理活性ポリペプチドの吸着防止用エマルジョンおよびその吸着防止方法Info
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Description
適量の水で形成される水中油型(O/W)エマルジョンで
ある水溶性生理活性ポリペプチドの吸着防止用エマルジ
ョン及び該エマルジョンを利用した水溶性生理活性ポリ
ペプチドの吸着防止方法に関する。
て製剤化され、その際注射用として水溶液にすると、種
々の注射用容器表面や水−空気界面への吸着が起こりや
すい。そのため、インシュリン等を医薬品として非経口
投与する際、その容器や注射筒等への吸着のために、投
与量にロスを生ずる。また、そのロス率は溶液が希薄な
ほど大きくなる。上記ポリペプチド類の投与量は微量で
あることが多く、精密な投与を必要とする場合又は点滴
静注の場合にはかかる吸着ロスは重大な問題となる。例
えば、医薬ジャーナル「ヒト型インスリンの輸液容器等
への吸着挙動」(Vol 24.,No.5,1988/P1031,吉田ら)
には精密投与が必要であるとされるインシュリンを輸液
ボトルに混合すると、その30乃至60%が吸着されると報
告されている。
止する手段としては、界面活性剤又はタンパク等を添加
する方法が知られている。上記界面活性剤としては比較
的安全性の高いポリオキシエチレンソルビタンモノラウ
レート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げら
れ、又、上記タンパクとしてはヒトアルブミン、ゼラチ
ン等が挙げられる。しかしながら、最近、注射剤におけ
るこれら添加剤の安全性の問題が明らかにされ、ショッ
ク等の副作用、ウィルス汚染等の問題点を有することが
わかってきた。
剤を有しかつその毒性が極めて少ないという点で注目さ
れ、生理活性ポリペプチドの吸着防止剤として有用であ
ると考えられている。かかる目的のためにリン脂質を含
有せしめた生理活性ポリペプタイド組成物としては、レ
シチン、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重
合体、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロー
ス、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレング
リコールソルビタンオレエート、メチルシクロデキスト
リンからなる群より選ばれた一又は二以上の添加剤を0.
001乃至1%含むセクレチン含有組成物(特開昭58−206
518号公報)、上記添加剤を上記%含むインシュリン含
有組成物(特開昭59−76024号公報)、及びペプタイド
がP−物質、アンギオテンシンI、ブラディキニン、ネ
オエンドルフィン、ニューロテンシン、カルシトニン、
オキシトシン、グルカゴン、ACTH、ダイノルフィンであ
る上記添加剤を上記%含むペプチド含有組成物(特開昭
60−100524号公報)が挙げられる。
性作用を有するリン脂質の一種であるレシチンを単に添
加しただけでもある程度は有効であるが、十分な吸着防
止力と医薬品として必要な安定性や安全性を有した注射
用製剤としての実用化には種々の問題点を有している。
して、まずその吸着防止力が弱すぎる点を挙げることが
できる。
高濃度のリン脂質懸濁液として用いる必要がある。また
リン脂質は、その特性上、水に懸濁すると内部に水を有
するリン脂質2分子膜、いわゆるリポソームを形成しや
すい。しかしながら、このリポソームは水溶液中で安定
に保つのは困難で、わずかの物理化学的要因の変化で凝
集や粒子径の増大等を起こし、静脈内投与の際には毒性
の増大につながる可能性を含む。さらに、加温などによ
るリポソーム粒子の増大等の様な変化の過程において、
水溶性の生理活性ポリペプチドはリポソーム内部の水相
に取り込まれる形状となり、結果として薬効が低下又は
徐放化したり、目的以外の薬効又は副作用を発現する。
では吸着防止力が弱く、又、高濃度で使用した場合に種
々の問題点が生ずるため、生理活性ポリペプタイド非経
口投与剤の吸着防止剤に使用することは困難である。
剤としての実用化を鋭意研究した結果、単独では吸着防
止力が弱いリン脂質と吸着防止力のない油脂とを組合わ
せて適量を水を用いて水中油型エマルジョンとなすこと
により、意外にも吸着防止力が高まることを見い出し、
本発明を完成するに至った。
成される水中油型エマルジョンである水溶性生理活性ポ
リペプチドの吸着防止用エマルジョン、及び該吸着防止
用エマルジョンと水溶性生理活性ポリペプチドまたはそ
の水溶液とを混合することからなる水溶性生理活性ポリ
ペプチドの吸着防止方法に関する。
ルジョン粒子として水相中に分散するとともに、他方、
水溶性生理活性ポリペプチドは親水性であるため実質的
にエマルジョン粒子の油脂中に取り込まれることなく該
粒子外側の水相中で安定に溶解することが可能となる。
用可能なものであれば特に制限はなく、また、その由来
は特に限定されないが、好ましくは、大豆等の植物、卵
黄等の動物由来のものが使用される。リン脂質として
は、例えば、レシチン(ホスファチジルコリン)、ホス
ファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、
ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシト
ール、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、水素添
加レシチン等を挙げることができる。
し、混合して使用できることは言うまでもない。
ことが好ましいが、この抗酸化剤としては医薬品として
使用可能なものであれば特に制限はないが、特にビタミ
ンEが好適である。
ーン油、サフラワー油、アルモンド油、オリーブ油、ツ
バキ油、ヒマシ油、ラッカセイ油、綿実油、エイコサペ
ンタン酸等の動植物油および中鎖脂肪酸トリグリセライ
ド、トリアセチン等の合成油が挙げられるが、大豆油、
ゴマ油、オリーブ油、コーン油、サフラワー油等の植物
油、中鎖脂肪酸トリグリセライド等の合成油が好まし
い。
ルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニ
ソール(BHA)等の酸化防止剤を加えてもよい。
は、分子量約1000乃至300000程度のものが好ましく、例
えば、水溶性ペプチドホルモン、蛋白質、ワクチン、酵
素及びその他の生理活性ポリペプチドである。これらに
は、例えば、カルシトニン類、副甲状腺ホルモン(PT
H)類、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)類、
インシュリン、ソマトスタチン、アンギオテンシン、バ
ソプレシン、デソモプレシン、フェリプレシン、プロテ
ィレリン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)、
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、プロラクチン、成長ホ
ルモン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモ
ン、カリクレイン、パラチリン、グルカゴン、オキシト
シン、ガストリン、セクレチン、血清生殖腺刺激ホルモ
ン、エリトロポエチン、ウロガストロン、レニン、ニュ
ーテロイシン、インターフェロン、インターロイキン、
トランスフェリン、ヒスタグロブリン、マクロコルチ
ン、血液凝固因子VIII、ソマトスタチン、ダイノルフィ
ン、ブラテイキニン、エンドルフィン、β−エンドルフ
ィン、酢酸デスモプレシン、エンケファリン、非細胞お
よび細胞の百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、破傷
風ワクチン、インフルエンザワクチン、ジフテリアトキ
ソイド、破傷風トキソイド、リンパ球増殖因子のトキソ
イド、糸状血球凝集素、リゾチーム、ウロキナーゼ、ス
ーパーオキシドディスムターゼ、グルタチオンパーオキ
シダーゼ等が包含される。
モン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、ソマトスタチ
ンおよびインシュリンのそれぞれに好適に適用される。
を有するペプチドであればよく、種々の天然型カルシト
ニンまたはそのペプチド類似体をいう。天然型カルシト
ニンの例としては、ウナギカルシトニン、ヒトカルシト
ニン、サケカルシトニン、ブタカルシトニンまたはニワ
トリカルシトニン等が挙げられる。またのそペプチド類
似体の例としては、[ASU1,7]ウナギカルシトニン(WH
O 一般名:エルカトニン)、[ASU1,7]サケカルシト
ニン、[ASU1,7]ヒトカルシトニンまたは[ASU1,7]ニ
ワトリカルシトニン等が挙げられる。特にエルカトニン
は本発明で用いる最も好適なカルシトニン類である。こ
れらの物質や合成法は、例えば英国特許第1516947号明
細書、日本化学会第50春期年会1985年講演予稿集II第94
7頁等に記載されている。
るペプチド類であって、34〜84個のアミノ酸配列を有
し、天然型PTHまたはその類似体が知られている。例え
ばヒト−PTH(h−PTH)(1−84)[Biochemistry17,5
723(1978)]、h−PTH(1−38)[特開昭57−81448
号公報]、h−PTH(1−34)[Hoppe Seyler's Z.Phys
iol.Chem.,355,415(1974)]、h−PTH(1−34)NH2
[特開昭58−96052号公報]、[Nle8,18]h−PTH(1
−34)、[Nle8,18,Tyr34]h−PTH(1−34)[特開昭
55−113753号公報]、[Nle8,18]h−PTH(1−34)NH
2[特開昭61−24598号公報]、[Nle8,18,Tyr34]h−P
TH(1−34)NH2[特開昭60−34996号公報]、ラット−
PTH(1−84).[J.Biol.Chem.,259(5),3320(198
4)、ラット−PTH(1−34)[Endocrinol.,117(3),
1230(1985)]、ウシ−PTH(1−84)[Am.J.Med.,50
639(1971)]、ウシPTH(1−34)、ウシ−PTH(1
−34)NH2等[Pthobiology annual 11,53(1981)]等
が挙げられる。
タインシュリン、ウシインシュリン、ウマインシュリ
ン、ヒツジインシュリン等が挙げられる。
マルジョン及び吸着方法(以下単に吸着防止用エマルジ
ョン及び吸着方法と記すこともある)は各種方法によっ
て実施することができる。たとえば、1)水溶性生理活
性ポリペプチドを溶解可能な水相中に生理活性ポリペプ
チド、油脂およびリン脂質を添加して混合することによ
り実施してもよく、2)予め油脂およびリン脂質を混合
して水中油型エマルジョンを調製し、これと水溶性生理
活性ポリペプチドとを混合して実施してもよい、また、
3)予め油脂およびリン脂質を混合して水中油型エマル
ジョンを調製し、これと水溶性生理活性ポリペプチドの
水溶液とを混合して実施してもよい。好適には、上記
2)および3)の方法が使用される。これらの方法は、
1)の方法に比べて、エマルジョン内部に水溶性生理活
性ポリペプタイドが取り込まれるおそれが少ないからで
ある。しかも、上記2)および3)の方法によれば、本
発明の水中油型エマルジョンと市販の水溶性生理活性ポ
リペプチドまたはその水溶液とを単に混合するだけで医
療関係者も本発明を容易に実施することができる。ま
た、ポリペプチドが水溶液中にて長期の安定性を保つこ
とができないものである場合、上記2)または3)の方
法にしたがって、予め凍結乾燥したポリペプチドを必要
に応じて用時溶解し、これに使用時本発明の水中油型エ
マルジョンを添加することによって実施することもでき
る。
ジョンは、上記リン脂質及び油脂を材料として常法によ
り調整することができる。例えば、油脂として大豆油10
0部、リン脂質として卵製の精製レシチン5−20部、好
ましくは6〜18部、最適には12部を用意し、これらに適
量の水を添加して水量に比して20%以下の油脂量となる
ように調製すればよく、好適には油脂対水の比が100部
対500〜5000部にて使用すればよい。そして、80℃にて
ホモミキサーにより粗乳化し、さらにホモジナイザーに
より精乳化して得られるもので、ホモジナイザーとして
は、常用の例えば加圧噴射型ホモジナイザーや超音波ホ
モジナイザーなどの均質化装置を使用すればよい。必要
に応じて、乳化補助剤例えばステアリン酸、オレイン
酸、リノール酸、パルミチン酸、リノレン酸、ミリスチ
ン酸などの炭素数10〜20の脂肪酸またはそのナトリウム
塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩を0.3%以下安定
化剤、例えばコレステロールやホスファチジン酸を1%
以下、や等張化剤、例えばブドウ糖やグリセリンなどを
加えてもよい。また、例えばこの水中油型エマルジョン
として従来から市販の油脂含量10%程度の輸液用脂肪乳
剤をそのまま使用することもできる。
れるエマルジョン粒子の粒径は、静脈内投与への適用も
考慮すると微細なエマルジョンの方が好ましく、0.05μ
m〜0.5μmであることが最も好ましい。また、エマル
ジョン粒子の安定性を保つために、油脂100部に対して
リン脂質5乃至20部使用することが好ましい。
リペプチドの吸着防止のために実際に使用する場合、本
発明の吸着防止エマルジョンと水溶性生理活性ポリペプ
チドとの混合液(以下水溶性生理活性ポリペプチド液剤
と記すこともある)中のエマルジョンの使用量は、例え
ば上記の如くして調製した油脂100部に対してリン脂質
5〜20部と適量の水で形成されたエマルジョンを目的と
する水溶性生理活性ポリペプチド注射用水性製剤中に油
脂量として0.0001〜20%、好ましくは0.01〜10%として
含有せしめるか、またはリン脂質量として0.00001〜4
%、好ましくは0.001〜2%の量として適宜希釈して用
いればよい。また本発明を使用する対象の点滴静注用の
ポリペプチド水性製剤をアンプル、バイアル等に調整し
て提供する場合、一般にかかる水性製剤は投与時に輸液
により100倍以上に希釈して上述の組成にて使用され
る。このことから、上記の如くして調製したエマルジョ
ンの少量を点滴静注用のポリペプチド水性製剤に加えて
調製すればよく、またこの場合用いるエマルジョンとし
ては油脂含量として1〜20%またはリン脂質含量として
0.1〜2%に調整したものを用いることが好ましい。
活性ポリペプチド液剤には、必要に応じて、酢酸塩、ク
エン酸塩等のpH調整剤、グリセリン、塩化ナトリウム、
ブドウ糖等の等張化剤、または、パラベン類、クロロブ
タノール等を防腐剤等の添加剤を加えてもよい。
吸着防止方法では、水溶性生理活性ポリペプチドの吸着
防止効果は上記エマルジョンを極めて微量存在せしめる
ことによって充分発揮される。そのため該ポリペプチド
の容器や注射筒等への吸着防止はより完全にすることが
でき、輸液により高倍に希釈される点滴静注の際にも有
効量の正確な投与を可能とした。また、一方、リン脂質
単独の場合や形成されるリポソームに比して本エマルジ
ョン粒子は凝集や増大等を起こしにくく、水溶液中にお
いて長期の安定性を保つことが可能であり、静脈内にお
いても安全である。さらに内部が油であるため、ポリペ
プチドが内部に取り込まれにくく、薬効の変化や低下等
に起こしにくい等の利点が挙げられる。
で、注射等の非経口投与の際、最も安全性の高いとされ
るリン脂質を用いて生理活性ポリペプチドの欠点である
水溶液中での吸着を防止した注射用製剤の実用化を可能
にした点に意義がある。従来からリン脂質の吸着防止性
は知られていたが、その吸着防止力の弱さと、種々の問
題点のため、実用化しにくかった。
がなされ、少量で有効な吸着防止と、点滴静注の際にも
吸着ロスを20%以下特に10%以下に減ずることを可能と
した。さらに、その長期安定性と安全性の高さから、直
接、生理活性ポリペプチド水溶液への添加、又は、生理
活性ポリペプチド凍結乾燥物の溶解液という方法によ
り、吸着防止の完全になされた生理活性ポリペプチド注
射用製剤の実用化を可能とした。
実施例は本発明を何ら限定するものではない。
ョン粒子径が0.1〜0.3μmの水中油型エマルジョンを20
0ml常法により調製し、これを0.9%NaCl水溶液により、
リン脂質が0.00001、0.0001、0.001、0.01、0.1相当と
なるよう希釈した(本発明の吸着用エマルジョン)。別
に対照として卵黄製リン脂質を1.2%となるよう水に懸
濁し、同様に0.9%NaCl水溶液により、リン脂質が0、
0.00001、0.0001、0.001、0.01、0.1となるよう希釈し
た(対照液)。そして各濃度の本発明の吸着用エマルジ
ョン及び対照液を2mlずつ各ポリスチレン製試験管に取
った。
の10μを各本発明の吸着用エマルジョン及び対照液に
添加し、攪拌後直ちに、その100μを高速液体クロマ
トグラフィーに注入し、インシュリン濃度を測定し、未
吸着分のインシュリン回収率を求めた。結果を第1図に
示す。図中 は本発明の吸着防止用エマルジョン、 はリン脂質のみの対照である。
ビン当り40単位の凍結乾燥物に、実施例1の各濃度の本
発明の吸着用エマルジョン及び対照液を2mlずつ実施例
1と同様に加えて溶解し、直ちに、ポリスチレン製試験
管に全量取った。攪拌後その200mlを高速液体クロマト
グラフィーに注入し、エルカトニンの回収率を求めた。
結果を第2図に示す。図中 は本発明の吸着防止用エマルジョン、 はリン脂質のみの対照である。
実施例1の各濃度の本発明の吸着用エマルジョン及び対
照液を2mlずつ実施例1と同様に加えて溶解し、直ちに
ポリスチレン製試験管に全量取った。攪拌後その200μ
を高速液体クロマトグラフィーに注入し、セクレチン
の回収率を求めた。結果を第3図に示す。図中 は本発明の吸着防止用エマルジョン、 はリン脂質のみの対照である。
0.1%Tween80を含む0.9%NaCl水溶液を基準として求め
た。
ドにおいても本発明の吸着防止用エマルジョンは、リン
脂質のみの場合と比較すると、リン脂質量において数十
倍から百倍の吸着防止力の増強が認められる。例えば、
インシュリンの75%回収率を得るには、本発明の吸着防
止用エマルジョンを用いれば、リン脂質で0.0001%で足
りるが、リン脂質のみでは0.01%と、百倍も多く必要と
きなる。
吸着防止用エマルジョンを0.67ml加え、さらに0.9%NaC
l水溶液にて全量を8mlとし、この液1ml中にインシュリ
ン5単位、リン脂質0.1%相当のエマルジョン水懸濁液
を含むテスト液を調製した。
ボトル(ガラスビン)に加え、攪拌後、長さ120cmのテ
ルモ社製輸液セットを用いて5ml/minの点滴速度で点滴
した。点滴流出液は、あらかじめ0.2gのTween80を入れ
てある容器にて受け、流出後の容器への吸着を防止し
た。全量流出後、攪拌してその200μを液体クロマト
グラフィーに注入し、点滴流出液のインシュリン回収率
を求めた。
及び0.1%のリン脂質のみのテスト液を調製し、同様に
試験した。
当のエマルジョン水懸濁液を含むテスト液を調製し、こ
のテスト液1mlを、500mlの生理食塩液の入った輸液ボト
ル(ガラスビン)に加え同じ輸液セットを用いて、7ml/
minで同様に点滴し、そのインシュリン回収率を求め
た。
加、及び、1.0%のリン脂質のみのテスト液を調製し、
同様に試験した。結果を第1表に示す。
にインシュリンを含有せしめた液剤1mlは、200、500ml
生理食塩液の点滴においても、90%以上の回収率を示し
た。それに対し、同量のリン脂質のみを含有するインシ
ュリン液1mlにおいては、90%の回収率には至らなかっ
た。
合し、さらに超音波処理を10分間施した。そして大豆油
を0.1、0.01、0.001%含む液を得た。
り、しばらくすると油滴の浮遊が観察され、さらに放置
すると、油相分離した。このように水溶液に油脂の添加
量が多いと、混じり合わず、油滴の発生や分離を生じ、
たとえ吸着防止効果が得られるとしても、ポリペプタイ
ドの非経口医薬に用いることは好ましくない。
吸着が肉眼にても観察されたが、液はほぼ澄明であっ
た。そこで、この液を試料液として、各2mlずつポリス
チレン製試験管に取り、インシュリンの5単位/mlの溶
液を、10μ添加し、実施例1と同様の操作法にて、試
験管未吸着分のインシュリン回収率を求めた。また、さ
らに実施例3と同様にセクレチンについても同様の回収
率を求めた。
を含む0.9%NaCl液では、吸着防止力はほとんど認めら
れなかった。
%を含み、平均粒子径が0.22μm(0.15〜0.30μm)の
水中油型エマルジョンである吸着防止用エマルジョン20
0mlを調製した。別に10mM酢酸Naと、0.9%NaClを含む液
を200ml調製し、両者を1:1に混合した。次に、この混液
400mlにエルカトニンを40単位/mlとなるように溶解して
エルカトニン液剤を得た。そして、この液を1mlずつア
ンプルに充填し、1アンプル40単位のエルカトニン注射
剤を製造した。
したが、0、1、3、6ケ月目のラットの血清カウシウ
ム低下作用による生物活性は安定で正常な値を示した。
また、各測定時、エマルジョン粒子の変化も見られなか
った。結果を第3表に示す。
シュリンの回収率で示したものであり、同様に第2図は
エルカトニンの回収率を、第3図はセクレチンの回収率
を示す。
Claims (8)
- 【請求項1】少なくとも油脂とリン脂質と適量の水で形
成される水中油型エマルジョンである水溶性生理活性ポ
リペプチドの吸着防止用エマルジョン。 - 【請求項2】油脂が0.0001〜20%であって、油脂とリン
脂質との比率が油脂100部に対してリン脂質5〜20倍で
ある請求項第1項記載のエマルジョン。 - 【請求項3】油脂とリン脂質とからなるエマルジョン粒
子の粒径が0.05〜0.5μmである請求項第1項記載のエ
マルジョン。 - 【請求項4】少なくとも油脂とリン脂質と適量の水で形
成される水中油型エマルジョンと、水溶性生理活性ポリ
ペプチドまたはその水溶液とを混合することからなる水
溶性生理活性ポリペプチドの吸着防止方法。 - 【請求項5】油脂が0.0001〜20%であって、油脂とリン
脂質との比率が油脂100部に対してリン脂質5〜20部で
ある請求項第4項記載の方法。 - 【請求項6】水溶性生理活性ポリペプチドが、分子量10
00〜300000の水溶性生理活性ポリペプチドである請求項
第4項記載の方法。 - 【請求項7】水溶性生理活性ポリペプチドが、水溶性ペ
プチドホルモン、蛋白質、ワクチン、酵素またはその他
の生理活性ポリペプチドである請求項第6項記載の方
法。 - 【請求項8】水溶性ペプチドホルモンが、カルシトニ
ン、副甲状腺ホルモン、カルシトニン遺伝子関連ペプチ
ド、ソマトスタチンまたはインシュリンである請求項第
7項記載の方法。
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