JP2962989B2 - スチレン系樹脂収縮高発泡体及びその回復方法 - Google Patents

スチレン系樹脂収縮高発泡体及びその回復方法

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JP2962989B2 JP5347966A JP34796693A JP2962989B2 JP 2962989 B2 JP2962989 B2 JP 2962989B2 JP 5347966 A JP5347966 A JP 5347966A JP 34796693 A JP34796693 A JP 34796693A JP 2962989 B2 JP2962989 B2 JP 2962989B2
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、嵩倍率100〜600
倍に一旦高発泡した後、収縮させたスチレン系樹脂収縮
高発泡体、及びその回復方法に関する。さらに詳しく
は、一旦高発泡した後、収縮させたスチレン系樹脂収縮
高発泡体において、元の嵩倍率の10〜80%にしか自
然回復しないスチレン系樹脂高発泡体を、炭酸ガスで元
の嵩倍率の95〜100%に回復させることで、断熱
材、緩衝材、包装材等に好適に使用できるスチレン系樹
脂収縮高発泡体の回復方法に関するものである。
【0002】
【従来技術と問題点】従来、発泡性スチレン系樹脂に易
揮発性発泡剤を含浸させ、発泡性スチレン系樹脂とし、
これを加熱発泡させて発泡体とすることはよく知られて
おり、このようにして得た発泡粒子は例えば包装容器と
被包装物との空間部に充填されて緩衝材として、あるい
は断熱材として広く利用されている。
【0003】このような緩衝材として、例えば周知慣用
技術集(発泡成形)、特許庁昭和57年8月3日発行、
第84頁〜86頁に記載されているサドル型ポリスチレ
ン緩衝体、バラ状緩衝材を用いて被包装物品を包装する
技術は知られている。これらの緩衝体もしくは緩衝材を
使用して被包装物品を前記緩衝材等で包み込むように包
装しても、輸送中の振動、衝撃等により被包装物品が包
装体内で移動し、損傷を受けやすくなり、精密部品や割
れやすいもの等の輸送には未だ充分であるとはいえなか
った。
【0004】本発明の発泡体は、例えば密閉容器内に本
発明のスチレン系樹脂収縮高発泡体を入れ、これに被包
装物品を収納した後、再び本発明のスチレン系樹脂収縮
高発泡体を被包装物品を包み込むように充填し、これに
炭酸ガスを加えることにより収縮が回復することによっ
てあたかも従来の発泡スチレン系樹脂粒子で発泡成形し
たのと同じ働きがあり、輸送中の振動、衝撃によって移
動することもなく、被包装物品が損傷を受けたりするこ
とはない。
【0005】また、周知慣用技術集の第87頁に記載の
ように収縮フィルムを使用することなく、通常のフィル
ムを用いた袋の中に本発明のスチレン系樹脂収縮高発泡
体を充填し、炭酸ガスで該発泡体を回復させることがで
きる。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、発
泡性スチレン系樹脂粒子を嵩倍率100〜600倍に加
熱発泡し、大気中で冷却して収縮させた発泡体におい
て、大気中で元の嵩倍率の10〜80%にしか自然回復
しないこと特徴とするスチレン系樹脂収縮高発泡体、
及び発泡性スチレン系樹脂粒子を嵩倍率100〜600
倍に加熱発泡した後、大気中で冷却して収縮させた発泡
体において、大気中で元の嵩倍率の10〜80%にしか
自然回復しないスチレン系樹脂収縮高発泡体を、炭酸ガ
スで元の嵩倍率の95〜100%に回復させること
徴とするスチレン系樹脂収縮高発泡体の回復方法、を要
旨とするものである。
【0007】本発明で使用する発泡性スチレン系樹脂粒
子は、易揮発性発泡剤を水性懸濁液中で含浸する懸濁含
浸法や、押出機を使用してポリスチレンを溶融し、易揮
発性発泡剤を圧入、混練して、所望の形状をしたノズル
より吐出し、未発泡状態のままで水により急冷し切断す
る押出法といった公知の方法を採用して得ることができ
る。これらの方法で発泡剤をスチレン系樹脂に含有させ
た後、脱水、乾燥、冷暗所で熟成した後、発泡性スチレ
ン系樹脂粒子中には、スチレン系樹脂100に対して、
発泡剤は1〜6重量部含まれることが好ましい。発泡剤
量が6重量部より多い場合、嵩倍率100〜600倍に
加熱発泡させた後にも発泡粒子中に未だ多くの発泡剤が
含有され、加熱発泡した時の、元の嵩倍率の80%より
大きく自然回復してしまう(発泡粒子中の残留発泡剤に
起因すると推測される)ので、結果として炭酸ガスによ
り回復できる割合が小さくなり、被包装物品との良好な
密着性が得られず好ましくない。また、発泡剤量が1重
量部未満では、嵩倍率100〜600倍に加熱発泡させ
にくいので好ましくない。また、一度の加熱発泡で嵩倍
率100〜600倍の発泡体を得るには、発泡性スチレ
ン系樹脂粒子中には、スチレン系樹脂100に対して、
発泡剤は2〜5重量部含まれることがさらに好ましい。
【0008】本発明において使用するスチレン系樹脂と
は、スチレン系モノマーの単独又は他のコモノマーとの
共重合体である。スチレン系モノマーとしては、スチレ
ン、パラメチルスチレン、ビニルトルエン、ターシャリ
ーブチルスチレン等が挙げられる。また、共重合可能な
コモノマーとしてはアクリロニトリル、メチルメタアク
リレート、無水マレイン酸、アクリル酸、メタアクリル
酸、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。これらの
スチレン系樹脂は公知の方法で重合される。なかでも、
スチレン系モノマーの単独重合体、スチレンーアクリロ
ニトリル共重合樹脂の場合は、一度の加熱発泡で高倍率
の発泡体を得やすいので好適に使用できる。また、本発
明において使用されるスチレン系樹脂には、ベンゼン、
トルエン、エチルベンゼンスチレン、等の溶剤、難燃剤
や帯電防止剤等を必要に応じて添加してもよい。また、
スチレン系樹脂粒子は、特に制限はないが形状はパール
状(球状)、楕円状、ペレット状(円柱状)、サドル状
等の粒子が好ましい。
【0009】本発明において使用する発泡剤としては、
脂肪族炭化水素あるいはハロゲン化炭化水素等の易揮発
性発泡剤を単独で又は2種以上混合して使用できる。脂
肪族炭化水素の具体例として、例えば、プロパン、n−
ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、シ
クロペンタン、等が挙げられる。また、ハロゲン化炭化
水素の具体例として、例えば、トリクロロモノフルオロ
メタン、ジクロロジフルオロメタン、モノクロロトリフ
ルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、モノクロ
ロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、
ジクロロテトラフルオロエタン、ジクロロトリフルオロ
エタン、モノクロロペンタフルオロエタン、モノクロロ
テトラフルオロエタン、モノクロロトリフルオロエタ
ン、モノクロロジフルオロエタン、テトラフルオロエタ
ン、ジフルオロエタン、等が挙げられる。なかでも、ペ
ンタン、ブタン、及びこれらの混合物からなる発泡剤を
使用すると、一度の加熱発泡で高倍率の発泡体が得やす
く製造工程上特に好ましい。
【0010】本発明において、発泡性スチレン系樹脂粒
子を嵩倍率100〜600倍に加熱発泡する方法とし
て、特に制限はないが、特に水蒸気を用いて直接加熱発
泡する方法が好ましい。この時の水蒸気圧は、通常ゲー
ジ圧で0〜2kg/cm2 であれば充分であり、加熱時
間は、発泡性スチレン系樹脂中に含まれる発泡剤量に応
じて、また目標とする発泡倍率に応じて選ばれるが、大
体約10秒〜600秒である。本発明では、一段階の発
泡で高倍率の発泡体を得ることができるが、必要であれ
ばこれを多段階行ってもよい。
【0011】本発明において、発泡性スチレン系樹脂粒
子を嵩倍率100〜600倍に加熱発泡するのは、嵩倍
率100倍未満では、得られた発泡粒子の収縮が小さ
く、したがって炭酸ガスでの回復が小さくなるため、密
着性にすぐれた包装ができないので好ましくない。ま
た、嵩倍率が600倍を越えると得られた発泡体の強
度、特に圧縮強度が弱くなるため緩衝性が悪くなるので
好ましくない。
【0012】本発明は、発泡性スチレン系樹脂粒子を嵩
倍率100〜600倍に加熱発泡させた後、大気中で冷
却して収縮させたスチレン系樹脂収縮高発泡体におい
て、大気中で該加熱発泡時の嵩倍率の10〜80%にし
か自然回復しないスチレン系樹脂収縮高発泡体を、炭酸
ガスで元の嵩倍率の95〜100%に回復させるもので
ある。特に自然回復させた嵩倍率が60%以下であるも
のが、被包装物品との密着性が良好となりさらに好まし
い。元の嵩倍率の80%より大きく自然回復するもの
は、炭酸ガスによる回復が小さくなるので、被包装物品
を密着性良く包装できず好ましくない。反面、10%よ
り小さい場合、この理由は連続気泡率が高くなりすぎる
からで、炭酸ガスを使用しても僅かしか回復しないし、
加えて発泡体の強度物性も弱くなるので好ましくない。
【0013】本発明では、スチレン系樹脂収縮高発泡体
を、炭酸ガスで元の嵩倍率の95〜100%に回復でき
る。したがって包装緩衝材として使用した場合、被包装
物品と包容器箱とを隙間無く密着包装できるので、特に
被包装物品が重量物であっても、また形状が複雑であっ
ても、輸送中の振動、衝撃等によって移動することな
く、緩衝性、断熱性を向上させることができる。
【0014】また、短時間で元の嵩倍率の95〜100
%に回復させるには、炭酸ガスの濃度は、少なくとも5
0%以上であることが好ましく、80〜100%である
ことがさらに好ましい。例えば、0.5m3 以下の容積
となる包装容器に、被包装物と本願発明のスチレン系樹
脂収縮高発泡体を通常フィルムを用いた袋中に入れ、該
袋中の空気を気体の炭酸ガスで置換し、炭酸ガス雰囲気
濃度を80%以上とした場合には、密閉後約10分で密
着包装することができる。また、輸送、保管後上記の包
装を開封すると、即座に、本願発明のスチレン系樹脂高
発泡体は自然収縮し、その容積を著しく減少させること
ができる。炭酸ガス雰囲気を加圧するとさらに短時間で
収縮回復することが可能である。
【0015】さらに、バリヤ性を有するフィルムを含む
袋を使用して密封することで、炭酸ガスの逸散は長期間
防止でき、より長く密着包装した状態を保つことができ
る。また、短期間使用される住宅、例えばプレハブ住宅
等の断熱材として、壁間等の空間にバリヤ性を有するフ
ィルムを使用した袋に本発明のスチレン系樹脂収縮高発
泡体を充填したものを入れ、炭酸ガスを封入し回復させ
ることで良好な防音、断熱性を発揮できる。ただし、こ
のようなバリヤ性を有するフィルムを使用しても、炭酸
ガスを永久的に逸散防止することは不可能であるので、
有効な防音、断熱性を発揮できるのは炭酸ガスの逸散を
防止できる期間となる。
【0016】また、前記袋中の空気を炭酸ガスで置換す
る方法として、特に制限はないが、気体の炭酸ガスを使
用して置換する方法や、適当量のドライアイスを被包装
物に触れないように袋体に入れ密封し、ドライアイスを
蒸発させることで炭酸ガス濃度を調整する方法等が好ま
しく使用できる。
【0017】
【実施例】次に、実施例をもって本発明の方法をさらに
具体的に説明する。 実施例1、2 平均粒径1mmのパール状ポリスチレンに、発泡剤とし
てn−ブタンを使用して、水分散系オートクレーブ内で
含浸した後、脱水、乾燥後冷暗所で熟成し、ポリスチレ
ン100に対して、nーブタン3重量部を含む発泡性ポ
リスチレン粒子を得た。得られた発泡性ポリスチレン粒
子を発泡槽内の蒸気圧(ゲージ圧)を0.9kg/cm
2 とし、加熱時間を1分、3分とかえて発泡させた。得
られたポリスチレン高発泡粒子はおのおの嵩倍率で11
0倍、210倍に発泡し大気中で冷却してそれぞれ45
倍、42倍に収縮させた。
【0018】収縮したポリスチレン高発泡粒子を大気中
で1週間放置して自然回復させたが、嵩倍率がそれぞれ
70倍、75倍までしか回復せず、大気中ではこれ以上
自然回復しなかった。これを元の嵩倍率と比較するとそ
れぞれ64%、35、7%にしか自然回復しなかったこ
とになる。この自然回復させたポリスチレン収縮高発泡
粒子は、図1に示すように表面に多数の皺をもつ未だ収
縮したままの状態であった。
【0019】上記の自然回復させたポリスチレン収縮高
発泡粒子を炭酸ガスの濃度90%となる雰囲気中に放置
したところ、12分でそれぞれ嵩倍率110倍、210
倍まで回復し、その状態は図2に示すように表面に皺の
ほとんどないものであった。これは、元の嵩倍率の10
0%まで回復したことになる。炭酸ガスの濃度90%雰
囲気中での回復挙動について、図3に示した。次に、大
気中に取り出すとすぐに収縮して、大気中で自然回復し
た嵩倍率それぞれ70倍、75倍のポリスチレン収縮高
発泡粒子にもどった。
【0020】実施例3 平均粒径0.8mmのパール状ポリスチレンに、発泡剤
としてn−ブタンを使用して、水分散系オートクレーブ
内で含浸した後、冷暗所で熟成し、ポリスチレン100
に対して、n−ブタン5重量部を含む発泡性ポリスチレ
ン粒子を得た。得られた発泡性ポリスチレン粒子を発泡
槽内の蒸気圧(ゲージ圧)を0.9kg/cm2 とし、
加熱時間を70秒として発泡させた。得られたポリスチ
レン高発泡粒子は嵩倍率580倍に一度発泡し、大気中
で冷却して70倍に収縮させた。
【0021】収縮させたポリスチレン高発泡粒子を大気
中で1週間放置して自然回復させたが、嵩倍率が260
倍までしか回復せず、大気中ではこれ以上自然回復しな
かった。これを元の嵩倍率と比較すると45%にしか自
然回復しなかったことになる。この自然回復させたポリ
スチレン収縮高発泡粒子は、表面に多数の皺をもつ未だ
収縮したままの状態であった。
【0022】上記の自然回復させたポリスチレン収縮高
発泡粒子を炭酸ガスの濃度90%となる雰囲気中に放置
したところ、10分で嵩倍率560倍まで回復し、その
状態は表面に皺のほとんどないものであった。これは、
元の嵩倍率の97%まで回復したことになる。次に、大
気中に取り出すとすぐに収縮して、大気中で自然回復し
た嵩倍率260倍のポリスチレン収縮高発泡粒子にもど
った。
【0023】実施例4 スチレンーアクリロニトリル樹脂を先端にノズルダイを
装備した押出機を使用して、ストランド状に押出し、イ
ンライン中で冷却した後切断し、直径1mm,長さ1.
5mmのペレット状スチレンーアクリロニトリル樹脂を
得た。このペレット状スチレンーアクリロニトリル樹脂
に、発泡剤としてn−ペンタンを使用して、水分散系オ
ートクレーブ内で含浸した後、冷暗所で熟成し、スチレ
ンーアクリロニトリル樹脂100に対して、n−ペンタ
ン4重量部を含む発泡性スチレンーアクリロニトリル樹
脂粒子を得た。得られた発泡性スチレンーアクリロニト
リル樹脂粒子を大気圧の蒸気を使用して、加熱時間を6
分として発泡させた。得られたスチレンーアクリロニト
リル樹脂高発泡粒子は嵩倍率で230倍に一度発泡し、
大気中で冷却して約45倍に収縮させた。
【0024】収縮させたスチレンーアクリロニトリル樹
脂高発泡粒子を大気中で1週間放置して自然回復させた
が、嵩倍率が110倍までしか回復せず、大気中ではこ
れ以上自然回復しなかった。これを元の嵩倍率と比較す
ると48%にしか自然回復しなかったことになる。この
自然回復させたスチレンーアクリロニトリル樹脂収縮高
発泡粒子は、表面に多数の皺をもつ未だ収縮したままの
状態であった。
【0025】上記の自然回復させたスチレンーアクリロ
ニトリル樹脂収縮高発泡粒子を炭酸ガスの濃度90%と
なる雰囲気中に放置したところ、10分で嵩倍率220
倍まで回復し、その状態は表面に皺のほとんどないもの
であった。これは、元の嵩倍率の96%まで回復したこ
とになる。次に、大気中に取り出すとすぐに収縮して、
大気中で自然回復した嵩倍率260倍のスチレンーアク
リロニトリル樹脂収縮高発泡粒子にもどった。
【0026】比較例1 平均粒径1mmのパール状ポリスチレンに、発泡剤とし
てn−ブタンを使用して、水分散系オートクレーブ内で
含浸した後、冷暗所で熟成し、ポリスチレン100に対
して、n−ブタン6.4重量部を含む発泡性ポリスチレ
ン粒子を得た。この発泡性ポリスチレン粒子を発泡槽内
の蒸気圧(ゲージ圧)を0.9kg/cm2 とし、60
秒間加熱し発泡させた。得られたポリスチレン高発泡粒
子は、嵩倍率300倍に一度発泡し、大気中で冷却して
65倍に収縮させた。
【0027】収縮させたポリスチレン高発泡粒子を大気
中で1週間放置して自然回復させたところ、嵩倍率が2
70倍まで自然回復した。これを元の嵩倍率と比較する
と90%まで自然回復したことになる。この自然回復し
たポリスチレン収縮高発泡粒子は、表面にほとんど皺の
ない状態であった。上記の自然回復させたポリスチレン
収縮高発泡粒子を炭酸ガスの濃度98%となる雰囲気中
に放置したところ、13分で嵩倍率300倍まで回復し
た。これは元の嵩倍率の100%まで回復したことにな
るが、炭酸ガスでの回復率は10%と小さいものであっ
た。
【0028】比較例2 平均粒径1mmのパール状ポリスチレンに、発泡剤とし
てn−ブタンを使用して、水分散系オートクレーブ内で
含浸した後、冷暗所で熟成し、ポリスチレン100に対
して、n−ブタン7.5重量部を含む発泡性ポリスチレ
ン粒子を得た。得られた発泡性ポリスチレン粒子を発泡
槽内の蒸気圧(ゲージ圧)を2.1kg/cm2 とし、
60秒間加熱を行い発泡させた。得られたポリスチレン
高発泡粒子は、嵩倍率900倍に一度発泡し、大気中で
冷却して60倍に収縮させた。
【0029】収縮させたポリスチレン高発泡粒子を大気
中で1週間放置して自然回復させたところ、嵩倍率が7
5倍までしか自然回復しなかった。これを元の嵩倍率と
比較すると8%までしか自然回復しなかったことにな
る。この自然回復したポリスチレン収縮高発泡粒子は、
表面に多数の皺をもつ未だ収縮したままの状態であっ
た。上記の自然回復させたポリスチレン収縮高発泡粒子
を炭酸ガスの濃度95%となる雰囲気中に放置したが、
嵩倍率で90倍までしか収縮回復しなかった。これは元
の嵩倍率の10%までしか回復しなかったことになり、
また炭酸ガスでの回復率は僅か2%と小さいものであっ
た。
【0030】実施例5 陶磁器製のカップを被包装物品として、約15cmx1
0cmx10cmの段ボール包装箱を使用して包装、輸
送テストを実施した。被包装物品をポリプロピレンと塩
化ビニリデン樹脂とポリプロピレンを順次積層したシー
トからなる30cm角の袋に入れ、実施例1〜4及び比
較例1、2で得られたスチレン系樹脂収縮高発泡粒子を
被包装物品を包み込むように充填し、前記袋内の空気を
炭酸ガスで置換し、袋内の炭酸ガス濃度90%とした
後、袋の開口部を熱シールにより密封した。この後、す
ばやく段ボール包装箱に収納した。約10分後、袋を開
封せずに段ボール包装箱から取りだそうとしたが、実施
例2〜4で得られたスチレン系樹脂収縮高発泡粒子を使
用したものは、取り出せないほど密に密着していた。実
施例1で得られたスチレン系樹脂収縮高発泡粒子を使用
したものは、かろうじて取り出すことができたがかなり
密に密着していた。これに対して、比較例1、2で得ら
れたスチレン系樹脂収縮高発泡粒子を使用したものは、
容易に取り出すことができた。
【0031】これら実施例1〜4及び比較例1、2で得
られたスチレン系樹脂高発泡粒子を使用した包装物を各
30個作成し、輸送テストした。結果は、実施例1〜4
で得られたスチレン系樹脂収縮高発泡粒子を使用した場
合は全く割れたものがなっかたのに対して、比較例1で
得られたスチレン系樹脂高発泡粒子を使用した場合は割
れたものが1つ、比較例2得られたスチレン系樹脂高発
泡粒子を使用した場合割れたものが3つとなった。さら
に、実施例1〜4で得られたスチレン系樹脂高発泡粒子
を使用した包装物袋を開封すると、即座にスチレン系樹
脂収縮高発泡粒子は収縮し、自然回復したときの嵩倍率
となり、容易に被包装物品を取り出すことができた。ま
た、一度使用した実施例1〜4で得られたスチレン系樹
脂高発泡粒子を、再度同様に使用したが何ら支障なく使
用できた。
【0032】
【発明の効果】以上述べたように本発明のスチレン系樹
脂収縮高発泡体は、被包装物品を包み込むように包装
し、炭酸ガスで短時間にほぼ元の嵩倍率に回復できるの
で密着性良く包装でき、被包装物が精密部品、割れやす
いものであっても、その形状が複雑であっても、また、
ひとつひとつ形状が異なるような生鮮食品であっても、
被包装物品が輸送中に振動、衝撃によって移動すること
はない。したがって、被包装物品が衝撃で損傷すること
なく、また生鮮食品に使用した場合、保冷効果の向上が
図れるいう効果を発揮できる。また、短期間で有れば建
築物の防音、断熱材としても使用できる。
【0033】さらに、被包装物品を密着包装して輸送、
保存した後、開封することで収縮させ、その容積を最大
1/10まで小さくすることができ、再利用することが
できる。また、廃棄する場合でも嵩容積が小さいゆえに
産業廃棄物の輸送コストが削減でき、スチレン系樹脂の
回収再利用率の向上に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】大気中で自然回復したスチレン系樹脂収縮高発
泡体を示す図面代用顕微鏡写真。
【図2】炭酸ガス雰囲気で回復させたスチレン系樹脂収
縮高発泡体を示す図面代用顕微鏡写真。
【図3】炭酸ガス雰囲気中でのスチレン系樹脂収縮高発
泡体の回復挙動。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−166237(JP,A) 特開 昭63−182353(JP,A) 特開 昭61−195135(JP,A) 特開 昭61−95041(JP,A) 特開 昭58−126128(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 9/00 - 9/42 B29C 67/00 - 67/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発泡性スチレン系樹脂粒子を嵩倍率100
    〜600倍に加熱発泡し、大気中で冷却して収縮させた
    発泡体において、大気中で元の嵩倍率の10〜80%に
    しか自然回復しないこと特徴とするスチレン系樹脂収
    縮高発泡体。
  2. 【請求項2】発泡性スチレン系樹脂粒子を嵩倍率100
    〜600倍に加熱発泡した後、大気中で冷却して収縮さ
    せた発泡体において、大気中で元の嵩倍率の10〜80
    %にしか自然回復しないスチレン系樹脂収縮高発泡体
    を、炭酸ガスで元の嵩倍率の95〜100%に回復させ
    ること特徴とするスチレン系樹脂収縮高発泡体の回復
    方法。
JP5347966A 1993-12-24 1993-12-24 スチレン系樹脂収縮高発泡体及びその回復方法 Expired - Lifetime JP2962989B2 (ja)

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