JP2962015B2 - k吸収端フィルタおよびX線装置 - Google Patents

k吸収端フィルタおよびX線装置

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JP2962015B2
JP2962015B2 JP3328720A JP32872091A JP2962015B2 JP 2962015 B2 JP2962015 B2 JP 2962015B2 JP 3328720 A JP3328720 A JP 3328720A JP 32872091 A JP32872091 A JP 32872091A JP 2962015 B2 JP2962015 B2 JP 2962015B2
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康以知 大森
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    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05GX-RAY TECHNIQUE
    • H05G1/00X-ray apparatus involving X-ray tubes; Circuits therefor
    • H05G1/08Electrical details
    • H05G1/26Measuring, controlling or protecting
    • GPHYSICS
    • G21NUCLEAR PHYSICS; NUCLEAR ENGINEERING
    • G21KTECHNIQUES FOR HANDLING PARTICLES OR IONISING RADIATION NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; IRRADIATION DEVICES; GAMMA RAY OR X-RAY MICROSCOPES
    • G21K1/00Arrangements for handling particles or ionising radiation, e.g. focusing or moderating
    • G21K1/10Scattering devices; Absorbing devices; Ionising radiation filters

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分】本発明は、医療用X線診断装置、骨
密度定量装置、非破壊検査装置、X線分析装置等におい
て所定のX線スペクトルを得るために使用されるX線の
k吸収端フィルタおよびX線装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にX線発生装置から発生するX線
は、種々のエネルギーの光子からなり、図8に示すよう
になだらかな連続X線スペクトルに急峻な波形の特性X
線スペクトルが加わったエネルギースペクトルをもつ。
物質中を透過するX線の吸収は物質中で光電効果を生じ
光電子を放射して光子が消滅することによるものと、物
質内を通過中に一部散乱されることによるものとがあ
り、前者による吸収は減弱係数(吸収係数)に吸収端と
称される不連続な変化を示す。k殻電子に基づく吸収端
はk吸収端と称され吸収端における減弱係数の不連続的
な変化特性はX線フィルタに用いられる。
【0003】X線診断装置、非破壊検査装置、X線分析
装置等においては用いられるX線の波長範囲を限定して
測定したり、また限定された複数の波長範囲のX線を用
いて比較測定することが一般に行なわれている。また、
骨塩定量装置など物質の定量を行なう装置においてはX
線を複数の波長範囲に分離し、すなわち複数の疑似的に
単色化したX線の測定結果を用いて、計算処理を行な
い、定量をおこなっている。X線のエネルギースペクト
ルを高低の2つのエネルギー領域に分離するためのX線
フィルタとしてk吸収端フィルタが用いられる。このよ
うなk吸収端フィルタはX線の対象領域中にK吸収端を
有し、図9に示すような減弱係数のエネルギー依存性を
持つ材料により構成される。k吸収端フィルタを透過し
たX線は、k吸収端の前後で透過量が急激に変化し、2
つのエネルギー領域に分離される。
【0004】図10は、厚さ100μmのGdをk吸収端フ
ィルタとして用いた場合のkフィルタ透過後のX線スペ
クトルである。50.2keVのGdのk吸収端で、2つの領
域に分離されていることがわかる。このような従来のk
吸収端フィルタは、おもにCe、Sm等X線領域にk吸
収端を有する元素を1種類のみ用いて構成されている。
また、k吸収端フィルタが用いられる測定装置では、
X線検出器としては主にNaI、またはGdWO3等の
シンチレータと光電子増倍管との組合せによる検出器が
用いられている。これらのX線検出器に対して用いられ
るk吸収端フィルタは、Sm、Ceなどである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図10に見られるよう
に、元素をー種類のみで構成したk吸収端フィルタで
は、分離されたX線を低エネルギー領域と高エネルギー
領域との実効エネルギーの差が小さく、エネルギー分離
の境界付近でのX線量が多くなるなど、十分明確に低エ
ネルギー領域と高エネルギー領域の2つの部分に分離す
ることができない。また、2つの領域のスペクトルの幅
が大きくなり、疑似的に複数の単色X線をつくり出すこ
とができない。
【0006】また、1種類の材料で分離を明確にするた
めにk吸収端フィルタを厚くすると、透過するX線の光
子数が減少してしまう。
【0007】X線検出器内部では、入射したX線によ
り、その検出器を構成する物質固有の特性X線が発生す
る。この特性X線が、検出器内で再吸収されると入射し
たX線のエネルギーを正確に反映した出力パルス信号が
得られるが、再吸収されずに検出器外へ放射され、いわ
ゆるエスケープした場合には入射したX線のエネルギー
に対応する出力パルス信号より小さな波高のパルス信号
しか出力されない。
【0008】すなわち、実際に入射したX線より特性X
線のエネルギーだけ低いエネルギーのX線が入射したよ
うに検出される。これは、一般に特性X線エスケープと
言われるもので、この現象により波高の低下した出力パ
ルスをk殻特性X線エスケープピークと呼ばれる。エス
ケープが起こる割合は、検出器の体積に依存し、検出器
が小さくなればなるほど大きくなる。
【0009】図8に示したようなエネルギースペクトル
を有する一般的なX線を検出すると図11のaのような
出力パルス波高分布が得られるが、この波高分布中には
bのような分布の特性X線エスケープによるパルス波高
成分が含まれている。また、k吸収端フィルタを透過さ
せてエネルギー分離させたスペクトルを検出した場合で
も特性X線エスケープによるパルス成分が含まれる。
【0010】したがって、X線をk吸収端フィルタを用
いk吸収端付近のエネルギーを境とし高エネルギーと低
エネルギーの2つのエネルギー領域に分けて計測し、そ
のカウント数の情報を利用する場合、高エネルギー領域
のエネルギーを有する光子でも、特性X線エスケープに
より、ー部は、低エネルギー領域に信号として現われる
ことになり、検出器に入射する光子のエネルギー分布を
正確に知ることができないことになる。
【0011】例えば、NaIのシンチレーション検出器
では、NaとIについてそれぞれ、約1keV、28.3〜33.
2keVの特性X線が発生し、このうち、特にIの特性X線
が問題となる。最高80keVの光子が放出されるX線を4
0.4keVにk吸収端のあるCeのk吸収端フィルタによ
り、エネルギー分離し、NaIシンチレーション検出器
で計測した場合の結果を図12に示す。
【0012】NaIシンチレーション検出器は光子計数
法により動作し、出力パルス波高は入射X線光子のエネ
ルギーに比例する。図12の横軸はパルス波高を光子エ
ネルギーに換算したものである。Iの特性X線がエスケ
ープした場合、入射した光子エネルギーより28.3〜33.2
keV低いエネルギーに対応した波高のパルスしか出力さ
れない。たとえば、70keVのX線光子が入射しエスケー
プが生じた場合、36.8〜41.7keVのエネルギーに対応し
た波高のパルスが出力され。
【0013】分離エネルギーより低エネルギ−側の出力
ピークの実効エネルギーは38keV、高エネルギー側の出
力ピークの実効エネルギーは74keVである。図中bは特
性X線エスケープによる出力である。斜線で示した高エ
ネルギー側のX線エスケープピークの実効エネルギーは
44keVであった。
【0014】分離エネルギー(40.4keV)以上のエネルギ
ーに対応する信号のカウント数の総和と分離エネルギー
(40.4keV)以下のエネルギーに対応する信号のカウント
数の総和を情報として得る場合、特性X線エスケープに
よる信号のうち、図12中斜線で示した信号はk吸収端
フィルタにより分離された高エネルギー領域の光子の入
射により、生じたものであるにもかかわらず、k吸収端
フィルタによる分離エネルギーの高低両側で計測される
ことになる。この例においては、分離エネルギーより高
エネルギー側で40%が計測される。
【0015】NaIシンチレーション検出器を用い、最
高100keVのX線光子をk吸収端フィルタで分離して計測
する場合も同様である。図13はk吸収端フィルタとし
てSmを用いた場合のパルス波高分析結果である。Sm
の分離エネルギーは47keVで、低エネルギー側ピークの
実効エネルギーは45keV、高エネルギー側の実効エネル
ギーは80keVである。斜線で示した高エネルギー側の特
性X線エスケープピークの実効エネルギーは50keVであ
った。分離エネルギーが高エネルギー側の特性X線エス
ケープピークの実効エネルギーより小さいため、特性X
線エスケープによる出力パルスの約40%は分離エネルギ
ーより高エネルギー側に現れる。
【0016】特性X線エスケープによる信号が分離エネ
ルギーの高低両側で計測される場合には、この影響を補
正しなければならない。しかし、特性X線エスケープに
よる信号が分離エネルギーの両側にまたがる割合が多く
なればなるほど補正は困難になり、補正の効果も小さ
く、物質の定量等を行う場合の精度が悪くなる。
【0017】本発明は上記課題を解決するためのもの
で、高低2エネルギー領域にX線を明確に分離できる優
れたK吸収端フィルタおよびこのフィルタを用いたエネ
ルギーを正確に計測できるX線装置を提供することを目
的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、k吸収端フィルタのフィルタ材を2種類以
上の元素によりなる材料で構成し、前記少なくとも2種
類の元素のk吸収端エネルギーが5〜10keVの差を有
することを特徴とする。またX線発生装置より放射さ
れ、k吸収端フィルタを透過したX線光子のうち計測に
必要とされる光子の出力パルスの最高エネルギーと、こ
のエネルギーの光子によりX線検出器内で発生する特性
X線エスケープピークの最高エネルギーとの間でk吸収
端フィルタによるエネルギー分離が行なわれるようにk
吸収端フィルタを構成する。あるいは、特性X線エスケ
ープピークの実効エネルギーより高いエネルギーでエネ
ルギー分離が行われるようにk吸収端フィルタを構成す
る。
【0019】
【作用】本発明は上記した構成により、2種類以上の元
素よりなる材料を用いたフィルタを用いるので単一フィ
ルタを2重に重ねた場合よりも優れたエネルギー分離能
力が得られ、かつ透過するX線量を損なうことがない。
また、フィルタの吸収端を特性X線エスケープの信号の
大部分が分離後のいずれか一方のピークに含まれるよう
に選ぶことにより特性X線のエスケープの影響を除去す
ることができ、補正を容易に行うことができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0021】(実施例1)図1は本発明の一実施例のk
吸収端フィルタの断面図である。k吸収端が50.4keVの
厚さ200μmのGd板1と、同じく57.4keVの厚さ100μ
mのEr板2とを重ねて作成したものである。このk吸
収端フィルタにX線を照射した場合の透過スペクトルを
図2に示す。従来のk吸収端フィルタによる透過スペク
トルを示す図10と比較すると、高エネルギー領域と低
エネルギー領域が明瞭に分離されており、境界部の透過
X線量も従来例より広いエネルギー範囲において少なく
なっているのが明らかであり、高エネルギー領域と低エ
ネルギー領域の境界とする分離エネルギーを従来例より
広いエネルギー範囲の中から選定することができる。
【0022】また低エネルギー領域の立ち上がりも急に
なりスペクトル幅も狭くなったが、X線の透過量は同程
度である。組み合わせてる元素としては、k吸収端に5
〜10keVの差があるものが好適である。
【0023】Gd板、Er板の代わりに、ガラスなどの
比較的原子番号の低い元素で構成された基板上にスパッ
タ法によりGd薄膜、Er薄膜などを成長させたものを
k吸収端フィルタとして用いることもできる。薄膜の成
長法としては、他に真空蒸着法、CVD法、プラズマC
VD法などを用いることもできる。
【0024】(実施例2)図3は本発明の他の実施例の
k吸収端フィルタの構成を示す図である。単位面積あた
り、厚さ100μmに相当するGd粉体3と、300μmに相
当するEr粉体4をエポキシ樹脂中に均一に混合したも
のである。このk吸収端フィルタの透過後のX線のスペ
クトルを図4に示す。対象とするX線エネルギー領域に
k吸収端を有する2つの元素を用いることにより、エネ
ルギー分離が明瞭に行なわれることがわかる。
【0025】(実施例3)本実施例では、CdTeを用
いたX線検出器においてk吸収端フィルタによりエネル
ギー分離したX線の高低両域のエネルギー帯のカウント
数を計測し、物質の定量分析を行う場合のk吸収端フィ
ルタの構成について述べる。CdTeのX線検出器にお
いては、CdとTeのおのおのから特性X線が発生し、
そのエネルギーは28.0〜32.5keVである。したがって、
X線発生装置から照射されるX線光子のうち、情報とし
て利用される最も高いエネルギーより、28keV低いエネ
ルギーより低エネルギー側に対応した特性X線エスケー
プによる出力パルスが現れる。 CdTe検出器は光子
計数法により動作し、入射したX線光子のエネルギーに
比例した波高を持つパルスを出力する。出力パルスの波
高分布を測定すれば、入射したX線のスペクトルがわか
る。
【0026】k吸収端フィルタとして、Gd300μmと
Er100μmの組合せによるものを用いる。このk吸収
端フィルタを透過したX線のスペクトルは図1のように
分離エネルギー帯が50〜60keV付近にあり、本実施例で
は分離エネルギーを55keVとした。これにより55keVに対
応する波高を境界としこれより低いパルスの総数と高い
パルスの総数を計数し、この結果を利用して物質の定量
等の分析を行う。
【0027】k吸収端フィルタによりエネルギー分離し
たX線をCdTe検出器により測定した場合の出力波高
分布を図5に示す。情報として用いる光子の最高エネル
ギーは75keVで、破線で示した成分は、特性X線エスケ
ープによる出力パルスである。図からわかるように、斜
線で示した高エネルギー領域の光子により発生する特性
X線エスケープによる出力パルスはすべて分離エネルギ
ーより低いエネルギー領域に対応するカウント数に含ま
れる。したがって、特性X線エスケープが発生する確率
をA、高エネルギー領域の光子数はCdTe検出器で計
測された高エネルギー領域の光子のカウント数をCHと
すると、実際にCdTe検出器に入射した高エネルギー
領域の光子数CRHは、 CRH=CH/(1−A) により、容易に得られる。
【0028】また、低エネルギー領域の光子数CRLは
CdTe検出器で計測された低エネルギー領域のカウン
ト数CLより、 CRL=CL−CRH×A/(1−A) として得ることができる。
【0029】このように、検出器の特性X線エスケープ
エネルギーとk吸収端フィルタの組合せを考慮すること
により、X線の計測を容易に、正確に知ることができ
る。これらと同様な効果は、k吸収端フィルタとして、
Tb、Dy、Ho、Tm、Ybなどの元素を組み合わせ
ることによっても得られる。
【0030】確率Aは、241Amなどにより単ーエネル
ギーのγ線を照射し、図6に示すようなエネルギースペ
クトルから、予め知ることができる。確率Aは全カウン
ト数に対する斜線部の割合である。
【0031】計測されるX線のエネルギーの最高値が12
0keVの場合は、エネルギー分離を90keV付近で行なえば
よく、この際のk吸収端フィルタとしては、Pb、Po
を組合せたものを用いた。他にRn、Fr、Tl、P
o、Biなどの組合せてもよい。 また、CdSe検出
器、CdS検出器などの場合、特性X線はおもにCdか
ら、発生するため、CdTe検出器と同様なk吸収端フ
ィルタにより、正確な計測を行うことができる。
【0032】(実施例4)本実施例では、X線検出器と
して多チャンネル型CdTe検出器を用いた場合につい
て述べる。多チャンネル型検出器の場合、一つの検出素
子の大きさは小さくなり、吸収されるX線量が小さく出
力されるパルスカウント数も少なくなり、かつ特性X線
エスケープの割合が大きくなる。物質の定量分析を行う
場合、測定精度はカウント数が多いほど高くなる。この
ため、放射されるX線光子の最高エネルギーを高くし、
高エネルギー領域のカウント数を多くする。本実施例で
は、放射されるX線光子の最高エネルギーを100keVと
し、k吸収端フィルタとして厚さ200μmのGd板と厚
さ100μmのEr板を用いた。
【0033】図7に1つの検出素子における出力パルス
波高分布を示す。出力されるパルス波高は、検出素子に
入射した光子のエネルギーに比例しており、図7の横軸
はパルス波高を光子エネルギに換算してある。入射した
高エネルギー側の入射光子により発生する特性X線エス
ケープによる出力パルスは図中斜線で示される72keVに
相当する波高値から小さい領域に現れる。この特性X線
エスケープピークの実効エネルギーは約45keVである。
【0034】k吸収端フィルタ透過後のX線の分離エネ
ルギーより、低エネルギー側の出力ピーク、高エネルギ
ー側出力ピークの実効エネルギーはそれぞれ45keV、75k
eVである。
【0035】本実施例で用いたk吸収端フィルタは図2
に示すごとく50〜60keV付近で透過X線量が小さくエネ
ルギー分離帯となり、この範囲で分離エネルギーを選択
することができる。特性X線エスケープの影響が小さく
なるよう分離エネルギーを高エネルギー側の実効エネル
ギーと特性X線エスケープの実効エネルギーの間の57ke
Vとし、このエネルギーに相当するパルス波高を境とし
て低エネルギー側のパルス数と高エネルギー側のパルス
数を計数し計算処理する。
【0036】図からわかるように特性X線エスケープの
パルス波高成分の大部分は分離エネルギーより低エネル
ギー側に現れる。本実施例では分離エネルギーより低エ
ネルギー側で特性X線エスケープの96%がカウントされ
るため、高い精度で補正を行うことができる。特性X線
エスケープが発生する確率をA’、低エネルギーの出力
パルス数をCL、高エネルギーの出力パルス数CHとす
ると、CdTe多チャンネル型検出器に入射する低エネ
ルギーX線光子数CRL、高エネルギー光子数CRH
は、 CRH=CH/(1−A’) CRL=CL−CRH*A’/(1−A’) により得られる。この補正によっても十分に定量分析の
精度を得ることができた。
【0037】以上のように高エネルギー側の実効エネル
ギーとX線検出器の特性X線エネルギーの実効エネルギ
ーの間に分離エネルギーが得られるようにk吸収端フィ
ルタを構成することにより、特性X線エスケープの影響
を小さくし、十分な測定精度を得ることができた。
【0038】CdS検出器でも、Sのk殻特性X線は約
2.3keVと小さいためエスケープの割合はきわめて少な
く、Cdの特性X線エスケープピークのみに注目すれば
よくCdTeと同様なk吸収端フィルタを用いる事がで
きる。
【0039】(実施例5)本実施例では、X線検出器と
して、NaIシンチレーション検出器を用いた場合につ
いてのべる。
【0040】最高エネルギー80keVのX線光子を、エネ
ルギー分離して計測する場合、Iからの特性X線のエス
ケープによる信号が50keV付近から低エネルギー側に現
われる。したがって、50keV以上のk吸収端を有する元
素の組合せを用いればよい。たとえば、TbとHoとE
rの組合せで、56keV付近でエネルギー分離が得られ、
これを用いた。これらの元素のほかにSm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Hf、Ta
などの組合せがあげられる。
【0041】また、最高エネルギー100keVのX線光子を
エネルギー分離して計測する場合には実施例4と同様
に、GdとErを組み合わせたk吸収端フィルタを用い
るとエネルギーの分離帯が広くなり、高エネルギー側の
ピークと高エネルギー側の光子に起因する特性X線エス
ケープピークの実効エネルギーの間に分離エネルギーを
とることができ、十分に補正する事ができる。
【0042】HgI2検出器の場合も、Iの特性X線が
問題になる。Hgの特性X線は68.9〜82.6kevであり、1
00keV以下程度のX線ではエスケープは大きな問題でな
い。NaIシンチレーション検出器と同等な組合せのk
エッジフィルタを用いることができる。
【0043】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発
明によれば2種類の吸収材料を使用したX線エネルギー
分離能力の優れたk吸収端フィルターとX線検出器より
発生する特性X線のエネルギーとk吸収端フィルタの吸
収端により分離するエネルギーを考慮して両者の組合せ
を選択することにより、エネルギー分離後、検出器に入
射するX線のエネルギー別の光子数を正確に計測するこ
とができるX線装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のk吸収端フィルタの構
成を示す断面図
【図2】同k吸収端フィルタを使用した場合のX線透過
スペクトル図
【図3】本発明の第2の実施例の構成を示すk吸収端フ
ィルタの構成を示す断面図
【図4】同k吸収端フィルタを使用した場合のX線透過
スペクトル図
【図5】本発明の第3の実施例におけるCdTe検出器
の出力スペクトル図
【図6】γ線照射時のCdTe検出器の出力スペクトル
【図7】本発明の第4の実施例におけるCdTe検出器
の出力スペクトル図
【図8】X線のスペクトル図
【図9】従来のk吸収端フィルタ材料のX線減弱係数を
示す図
【図10】従来のk吸収端フィルタを透過後のX線スペ
クトル図
【図11】特性X線エスケープの出力スペクトル図
【図12】従来のk吸収端フィルタを使用した場合の検
出器出力スぺクトル図
【図13】従来のk吸収端フィルタを使用した場合の検
出器出力スぺクトル図
【符号の説明】
1 Gd板 2 Er板 3 Gd粉体 4 Er粉体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬場 末喜 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−61999(JP,A) 特開 平3−185345(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01T 1/00 - 7/12 G01N 23/00 - 23/223 G21K 1/00 - 7/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルタ材として機能する主要部分が少
    なくとも2種類以上の元素を含む材料により構成され
    おり、前記少なくとも2種類の元素のk吸収端エネルギ
    ーが5〜10keVの差を有することを特徴とするk吸収
    端フィルタ。
  2. 【請求項2】 フィルタ材として機能する主要部分の材
    料を構成する元素が原子番号50〜85の間の元素であ
    ることを特徴とする請求項1記載のk吸収端フィルタ。
  3. 【請求項3】 フィルタ材として機能する主要部分が積
    層された少なくとも2種類以上の元素の薄板または薄膜
    から構成されたことを特徴とする請求項1記載のk吸収
    端フィルタ。
  4. 【請求項4】 フィルタ材として機能する主要部分が少
    なくとも2種類以上の元素の粉体を混合し固着した構成
    であることを特徴とするk吸収端フィルタ。
  5. 【請求項5】 X線検出器とk吸収端フィルタを具備し
    たX線装置において、情報として利用するX線の出力パ
    ルスに相当するエネルギーの最高エネルギーとX線検出
    器内で発生するk殻特性X線のエスケープが生じた際の
    出力パルスに相当するエネルギーの最高エネルギーの間
    で、フィルタ材として機能する主要部分が少なくとも2
    種類以上の元素を含む材料により構成されたk吸収端フ
    ィルタによるエネルギー分離が行なわれることを特徴と
    するX線装置。
  6. 【請求項6】 X線検出器とk吸収端フィルタを具備し
    たX線装置において、エネルギー分離後の高エネルギー
    側の出力パルスの相当する実効エネルギーと前記X線検
    出器内で発生するk殻特性X線のエスケープが生じた際
    の出力パルスの相当する実効エネルギーとの間で、フィ
    ルタ材として機能する主要部分が少なくとも2種類以上
    の元素を含む材料により構成されたk吸収端フィルタ
    よるエネルギー分離が行なわれることを特徴とするX線
    装置。
  7. 【請求項7】 CdTe検出器またはCdTe多チャン
    ネル型検出器と請求項1記載のk吸収端フィルタを具備
    したX線装置。
  8. 【請求項8】 HgI2検出器、CdS検出器、NaI
    シンチレーション検出器またはGdWO3シンチレーシ
    ョン検出器と請求項1記載のk吸収端フィルタを具備し
    たX線装置。
JP3328720A 1991-02-20 1991-12-12 k吸収端フィルタおよびX線装置 Expired - Fee Related JP2962015B2 (ja)

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