JP2961496B2 - 電子源及び画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子源及び画像形成装置の製造方法

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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2201/00Electrodes common to discharge tubes
    • H01J2201/30Cold cathodes
    • H01J2201/316Cold cathodes having an electric field parallel to the surface thereof, e.g. thin film cathodes
    • H01J2201/3165Surface conduction emission type cathodes

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  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Transforming Electric Information Into Light Information (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面伝導型の電子放出
素子多数個配置してなる電子源及びこの電子源を用い
て構成した表示装置や露光装置等の画像形成装置の製造
方法に関する
【0002】
【従来の技術】表面伝導型電子放出素子は、絶縁性の基
板上に形成された導電性薄膜に、膜面に平行に電流を流
すことにより電子放出が生ずる現象を利用するものであ
る。
【0003】表面伝導型電子放出素子の典型的な構成例
としては、絶縁性の基板上に設けた一対の素子電極間を
連絡する金属酸化物等の導電性薄膜に、予めフォーミン
グと称される通電処理により電子放出部を形成したもの
が挙げられる。フォーミングは、導電性薄膜の両端に電
圧を印加通電することで通常行われ、導電性薄膜を局所
的に破壊、変形もしくは変質させて構造を変化させ、電
気的に高抵抗な状態の電子放出部を形成する処理であ
る。電子放出は、上記電子放出部が形成された導電性薄
膜に電圧を印加して電流を流すことにより、電子放出部
に発生した亀裂付近から行われる。
【0004】上記表面伝導型電子放出素子は、構造が単
純で製造も容易であることから、大面積に亙って多数配
列形成できる利点がある。そこで、この特徴を活かすた
めの種々の応用が研究されている。例えば表示装置等の
画像形成装置への利用が挙げられる。
【0005】従来、多数の表面伝導型電子放出素子を配
列形成した例としては、並列に表面伝導型電子放出素子
を配列し、個々の表面伝導型電子放出素子の両端(両素
子電極)を配線(共通配線とも呼ぶ)にて夫々結線した
行を多数行配列(梯型配置とも呼ぶ)した電子源が挙げ
られる(特開平1−31332号公報、同1−2837
49号公報、同1−257552号公報)。また、特に
表示装置においては、液晶を用いた表示装置と同様の平
板型表示装置とすることが可能で、しかもバックライト
が不要な自発光型の表示装置として、表面伝導型電子放
出素子を多数配置した電子源と、この電子源からの電子
線の照射により可視光を発光する蛍光体とを組み合わせ
た表示装置が提案されている(アメリカ特許第5066
883号明細書)。
【0006】上記表面伝導型電子放出素子を利用した表
示装置において、高品位、高精細な画像を大画面で得る
ためには、表面伝導型電子放出素子の行・列の数が夫々
数百〜数千となり、非常に多くの表面伝導型電子放出素
子を配列する必要がある。従って、各表面伝導型電子放
出素子の電気特性が均一で制御しやすいことが望まれ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表面伝
導型電子放出素子においては次のような問題があった。
【0008】表面伝導型電子放出素子においては上述の
フォーミングにより形成された亀裂より電子を放出させ
るため、該亀裂の幅等により電子放出特性が左右され
る。そのため、理想的には均一な狭い幅の亀裂が形成さ
れることが望ましい。しかしながら、実際の電子放出部
形成用の導電性薄膜は、個々の薄膜間で膜厚や素子電極
と該薄膜の接触抵抗等わずかながらばらつきがあり、同
じ電圧をかけても形成される亀裂に違いを生じてしま
う。
【0009】更に、表面伝導型電子放出素子を多数個配
置してなる電子源においては、個々の表面伝導型電子放
出素子に放出特性のむらがあると、表示装置を構成した
場合に輝度むらを生じてしまう。
【0010】従って、個々の薄膜に応じてフォーミング
処理の電気的制御を行なうか、或いは上記薄膜の膜厚や
接触抵抗が均一になるように薄膜を成膜することが必要
であるが、いずれの方法も生産コストの上昇を招く恐れ
があり、望ましくない。
【0011】
【0012】
【0013】本発明の目的は、表面伝導型電子放出素子
を多数個配置してなる電子源を製造するに際し、素子間
で電子放出のばらつきのない電子源が得られるように
ることにある。
【0014】本発明の更なる目的は、上記電子源を用い
た、表示装置等画像形成装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用】請求項1の発明
は、マトリクス配置されたX方向配線とY方向配線とに
それぞれ分かれて接続されて対向する複数対の素子電極
間に第1の導電性薄膜を形成し、Y方向配線を共通結線
して電圧印加手段の一方の極に接続すると共に、X方向
配線の一端を順に上記電圧印加手段の他方の極に接続し
て、同じX方向配線に接続された一方の素子電極と該素
子電極と対向してY方向配線に接続された他方の素子電
極間の第1の導電性薄膜毎に電圧を印加して第1の導電
性膜に亀裂を形成した後、前記素子電極間に第2の導電
性薄膜を形成して、X方向配線の他端を順に上記電圧印
加手段の他方の極に接続して、同じX方向配線に接続さ
れた一方の素子電極と該素子電極と対向してY方向配線
に接続された他方の素子電極間の第2の導電性薄膜毎に
電圧を印加して第2の導電性薄膜に亀裂を形成すること
を特徴とする電子源の製造方法である。
【0016】また、請求項の発明は、第2の導電性薄
膜の膜厚が第1の導電性薄膜の膜厚よりも小さいことを
特徴とする上記電子源の製造方法である。
【0017】更に請求項の発明は、少なくとも、上記
電子源の製造方法によって製造された電子源と画像形成
部材とを組み合わせることを特徴とする画像形成装置の
製造方法である。
【0018】
【0019】上記のように、本発明は複数の表面伝導
型電子放出素子を用いた電子源の製造方法及びこれを用
いた画像形成装置製造方法に係るもので、以下に更に
説明する。
【0020】表面伝導型電子放出素子には平面型と垂直
型があり、本発明についてはいずれの表面伝導型電子放
出素子でも構成することができる。先ず、平面型表面伝
導型電子放出素子の基本的な構成について説明する。
【0021】図1(a)、(b)は、平面型表面伝導型
電子放出素子の基本的な構成を示す構成図である。
【0022】図1において1は基板、2及び2’は素子
電極、3は第1の導電性薄膜、4は第2の導電性薄膜、
5は亀裂である。
【0023】基板1としては、例えば石英ガラス、Na
等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青
板ガラスにスパッタ法等によりSiO2 を積層した積層
体、アルミナ等のセラミックス等が挙げられる。
【0024】対向する素子電極2,2’の材料として
は、一般的導体材料が用いられ、例えばNi、Cr、A
u、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等の金属
あるいは合金及びPd、Ag、Au、RuO2 、Pd−
Ag等の金属あるいは金属酸化物とガラス等から構成さ
れる印刷導体、In23 −SnO2 等の透明導電体及
びポリシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択され
る。
【0025】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
薄膜34の形状等は、応用される形態等によって設計さ
れる。
【0026】素子電極間隔Lは、数百Å〜数百μmであ
ることが好ましく、より好ましくは、素子電極2,2’
間に印加する電圧と電子放出し得る電界強度等により、
数μm〜数十μmである。
【0027】素子電極長さWは、電極の抵抗値や電子放
出特性を考慮すると、好ましくは数μm〜数百μmであ
り、また素子電極厚dは、数百Å〜数μmである。
【0028】導電性薄膜3,4は、良好な電子放出特性
を得るためには、微粒子で構成された微粒子膜であるこ
とが特に好ましく、その膜厚は、素子電極2,2’への
ステップカバレージ、素子電極2,2’間の抵抗値及び
後述するフォーミング条件等によって適宜選択される。
この導電性薄膜3,4の膜厚は、両者を合わせて、好ま
しくは数Å〜数千Åで、特に好ましくは10Å〜500
Åであり、その抵抗値は、103 〜107 Ω/□のシー
ト抵抗値である。
【0029】導電性薄膜3,4を構成する材料として
は、PdO,Pdあるいはこれらの混合体が好ましく用
いられるが、この他にもAu蒸着膜、SnO2 スパッタ
膜などの導電性膜を好適に用いることができる。
【0030】尚、上記微粒子膜とは、複数の微粒子が集
合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に
分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あ
るいは重なり合った状態(島状も含む)の膜をさす。微
粒子膜である場合、微粒子の粒径は、数Å〜数千Åであ
ることが好ましく、特に好ましくは10Å〜200Åで
ある。
【0031】次に、垂直型表面伝導型電子放出素子の基
本的な構成について説明する。
【0032】図1(c)は、垂直型表面伝導型電子放出
素子の基本的な構成を示す構成図で、図中6は段差形成
部材で、その他図1(a)、(b)と同じ符号は同じ部
材を示すものである。
【0033】基板1、素子電極2,2’、導電性薄膜
3,4は、前述した平面型表面伝導型電子放出素子と同
様の材料で構成されたものである。
【0034】段差形成部材6は、例えば真空蒸着法、印
刷法、スパッタ法等で付設されたSiO2 等の絶縁性材
料で構成されたものである。この段差形成部材6の膜厚
は、先に述べた平面型表面伝導型電子放出素子の素子電
極間隔L(図1(b)参照)に対応するもので、段差形
成部材6の作製法や素子電極2,2’間に印加する電圧
と電子放出し得る電界強度等により設定されるが、好ま
しくは数百Å〜数十μmであり、特に好ましくは数百Å
〜数μmである。
【0035】尚、以下の説明は、上述の平面型表面伝導
型電子放出素子と垂直型表面伝導型電子放出素子の内、
平面型を例にして説明するが、平面型表面伝導型電子放
出素子に代えて垂直型表面伝導型電子放出素子としても
よい。
【0036】表面伝導型電子放出素子の製法としては様
々な方法が考えられるが、その一例を図2に基づいて説
明する。尚、図2において図1と同じ符号は同じ部材を
示すものである。
【0037】(A)基板1を洗剤、純水及び有機溶剤に
より十分に洗浄した後、真空蒸着法、スパッタ法等によ
り素子電極材料を堆積させた後、フォトリソグラフィー
技術により基板1の面上に素子電極2,2’を形成する
(図2(a))。
【0038】(B)素子電極2,2’を設けた基板1上
に有機金属溶液を塗布して放置することにより、素子電
極2と素子電極2’間を連絡して有機金属薄膜を形成す
る。尚、有機金属溶液とは、前述の導電性薄膜3,4の
構成材料の金属を主元素とする有機化合物の溶液であ
る。この後、有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオ
フ、エッチング等によりパターニングされた第1の導電
性薄膜3を形成する(図2(b))。尚、ここでは、有
機金属溶液の塗布法により説明したが、これに限ること
なく、例えば真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積
法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等によ
って有機金属膜を形成することもできる。
【0039】(C)続いて、第1の導電性薄膜3にフォ
ーミングと呼ばれる通電処理を施す。素子電極2,2’
間に、不図示の電源より通電すると、導電性薄膜3に第
1の亀裂22が形成される。
【0040】この時のフォーミングの電圧波形の例を図
3に示す。
【0041】電圧波形は、特にパルス波形が好ましく、
パルス波高値を定電圧とした電圧パルスを連続的に印加
する場合(図3(a))と、パルス波高値を増加させな
がら電圧パルスを印加する場合(図3(b))とがあ
る。
【0042】まず、パルス波高値を定電圧とした場合に
ついて図3(a)で説明する。
【0043】図3(a)におけるT1 及びT2 は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔であり、例えば、T1 を1μ
sec〜10msec、T2 を10μsec〜100m
secとし、波高値(フォーミング時のピーク電圧)を
前述した表面伝導型電子放出素子の形態に応じて適宜選
択して、適当な真空度の真空雰囲気下で、数秒から数十
分印加する。尚、印加する電圧波形は、図示される三角
波に限定されるものではなく、矩形波等の所望の波形を
用いることができる。
【0044】(D)更に、第1の導電性薄膜3及び第1
の亀裂22上に上記(B)の工程を繰り返して第2の導
電性薄膜4を形成し(図2(d))、(C)の工程を施
して第2の亀裂23を形成する。
【0045】このようにして得られる表面伝導型電子放
出素子の基本特性を以下に説明する。
【0046】図4は、表面伝導型電子放出素子の電子放
出特性を測定するための測定評価系の一例を示す概略構
成図で、まずこの測定評価系を説明する。
【0047】図4において、図1と同じ符号は同じ部材
を示す。また、41は素子に素子電圧Vfを印加するた
めの電源、40は素子電極2,2’間の導電性薄膜3,
4を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、44
は放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極、43は
アノード電極44に電圧を印加するための高圧電源、4
2は放出電流Ieを測定するための電流計、45は真空
装置、46は排気ポンプである。
【0048】SCE及びアノード電極44等は真空装置
45内に配置され、この真空装置45には不図示の真空
計等の必要な機器が具備されていて、所望の真空下でS
CEの測定評価ができるようになっている。
【0049】排気ポンプ46は、ターボポンプ、ロ
リーポンプ等からなる通常の高真空装置系と、イオンポ
ンプ等からなる超高真空装置系とから構成されている。
また、真空装置45全体及びSCEの基板1は、ヒータ
ーにより200℃程度まで加熱できるようになってい
る。
【0050】以下に述べる表面伝導型電子放出素子の基
本特性は、上記測定評価系のアノード電極44の電圧を
1kV〜10kVとし、アノード電極44と表面伝導型
電子放出素子の距離Hを2〜8mmとして通常は、測定
する。
【0051】まず、放出電流Ie 及び素子電流If と、
素子電圧Vf との関係の典型的な例を図5に示す。尚、
図5において、放出電流Ie は素子電流If に比べて著
しく小さいので、任意単位で示されている。
【0052】図5から明らかなように、表面伝導型電子
放出素子は、放出電流Ie に対する次の3つの特徴的特
性を有する。
【0053】まず第1に、表面伝導型電子放出素子はあ
る電圧(しきい値電圧と呼ぶ:図5中のVth)以上の素
子電圧Vf を印加すると急激に放出電流Ie が増加し、
一方しきい値電圧Vth以下では放出電流Ie が殆ど検出
されない。即ち、放出電流Ie に対する明確なしきい値
電圧Vthを持った非線形素子である。
【0054】第2に、放出電流Ie が素子電圧Vf に対
して単調増加する特性(MI特性と呼ぶ)を有するた
め、放出電流Ie は素子電圧Vf で制御できる。
【0055】第3に、アノード電極44(図4参照)に
捕捉される放出電荷は、素子電圧Vf を印加する時間に
依存する。即ち、アノード電極44に捕捉される電荷量
は、素子電圧Vf を印加する時間により制御できる。
【0056】放出電流Ie が素子電圧Vf に対してMI
特性を有すると同時に、素子電流If も素子電圧Vf
対してMI特性を有する場合もある。このような表面伝
導型電子放出素子の特性の例が図5の実線で示す特性で
ある。一方、図5に破線で示すように、素子電流If
素子電圧Vf に対して電圧制御型負性抵抗特性(VCN
R特性と呼ぶ)を示す場合もある。いずれの特性を示す
かは、表面伝導型電子放出素子の製法及び測定時の測定
条件等に依存する。但し、素子電流If が素子電圧Vf
に対してVCNR特性を有する表面伝導型電子放出素子
でも、放出電流Ie は素子電圧Vf に対してMI特性を
有する。
【0057】従来の表面伝導型電子放出素子の亀裂の形
態を走査電子顕微鏡で観察すると、亀裂の幅は狭い部分
から広い部分まで、交錯しながらつながっている。亀裂
の幅に依存して局所的な電子放出量、電流量は様々に変
化するものと考えられる。
【0058】本発明おいては、第1の導電性薄膜の亀
裂の広い場所では、第2の導電性薄膜の通電処理の際、
抵抗が大きくなっているため電流が集中しない。むしろ
第1層の亀裂の小さい場所に電流が集中してここから亀
裂が進行し始める。このため、第2の亀裂形成が終了す
ると均一な狭い亀裂ができ、電子放出に寄与する部分が
増加し、好ましい特性が得られるものと思われる。
【0059】また、本発明においては、第2の導電性薄
膜の膜厚を第1の導電性薄膜よりも小さくすることによ
り、第2の亀裂形成の際に発生するジュール熱が小さく
なり、第1の導電性薄膜への熱的ダメージを低減させ、
該熱的ダメージにより最初に形成された亀裂が広がるの
を防ぐ効果がある。
【0060】また、表面伝導型電子放出素子の用途によ
っては第2の導電性薄膜のパターニングを省略すること
ができる。この場合、第2の導電性薄膜の膜厚が薄く電
気抵抗が大きいため、電流は第1の導電性薄膜のある部
分に集中し、他の部分に流れるリーク電流はあまり大き
くならない。
【0061】次に、本発明おける表面伝導型電子放出
素子の配列について説明する。
【0062】本発明の電子源における表面伝導型電子放
出素子の配列方式としては、従来の技術の項で述べたよ
うな梯型配置の他、m本のX方向配線の上にn本のY方
向配線を層間絶縁層を介して設置し、表面伝導型電子放
出素子の一対の素子電極に夫々X方向配線、Y方向配線
を接続した配置方式が挙げられる。これを以後単純マト
リクス配置と呼ぶ。まず、この単純マトリクス配置につ
いて詳述する。
【0063】前述した表面伝導型電子放出素子の基本的
特性によれば、単純マトリクス配置された表面伝導型電
子放出素子における放出電子は、しきい値電圧を超える
電圧では、対向する素子電極間に印加するパルス状電圧
の波高値とパルス幅で制御できる。一方、しきい値電圧
以下では殆ど電子は放出されない。従って、多数の表面
伝導型電子放出素子を配置した場合においても、個々の
素子に上記パルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号に
応じて表面伝導型電子放出素子を選択し、その電子放出
量が制御でき、単純なマトリクス配線だけで個別の表面
伝導型電子放出素子を選択して独立に駆動可能となる。
【0064】単純マトリクス配置はこのような原理に基
づくものでこの単純マトリクス配置の電子源の構成に
ついて図6に基づいて更に説明する。
【0065】図6において基板1は既に説明したような
ガラス板等であり、この基板1上に配列された表面伝導
型電子放出素子104の個数及び形状は用途に応じて適
宜設定されるものである。
【0066】m本のX方向配線102は、夫々外部端子
x1,Dx2,……,Dxmを有するもので、基板1上に、
真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で形成した導電性金
属等である。また、多数の表面伝導型電子放出素子10
4にほぼ均等に電圧が供給されるように、材料、膜厚、
配線幅が設定されている。
【0067】n本のY方向配線103は、夫々外部端子
y1,Dy2,……,Dynを有するもので、X方向配線1
02と同様に作成される。
【0068】これらm本のX方向配線102とn本のY
方向配線103間には、不図示の層間絶縁層が設置さ
れ、電気的に分離されて、マトリクス配線を構成してい
る。尚、このm,nは共に正の整数である。
【0069】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成されたSiO2 等であり、X方
向配線102を形成した基板1の全面或は一部に所望の
形状で形成され、特に、X方向配線102とY方向配線
103の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材
料、製法が適宜設定される。
【0070】更に、表面伝導型電子放出素子104の対
向する素子電極(不図示)が、m本のX方向配線102
と、n本のY方向配線103と、真空蒸着法、印刷法、
スパッタ法等で形成された導電性金属等からなる結線1
05によって電気的に接続されているものである。
【0071】ここで、m本のX方向配線102と、n本
のY方向配線103と、結線105と、対向する素子電
極とは、その構成元素の一部あるいは全部が同一であっ
ても、また夫々異なっていてもよく、前述の素子電極の
材料等より適宜選択される。これら素子電極への配線
は、素子電極と材料が同一である場合は素子電極と総称
する場合もある。また、表面伝導型電子放出素子104
は、基板1或いは不図示の層間絶縁層上どちらに形成し
てもよい。
【0072】また、詳しくは後述するが、前記X方向配
線102には、X方向に配列された表面伝導型電子放出
素子104の行を入力信号に応じて走査するために、走
査信号を印加する不図示の走査信号印加手段が電気的に
接続されている。
【0073】一方、Y方向配線103には、Y方向に配
列された表面伝導型電子放出素子104の列の各列を入
力信号に応じて変調するために、変調信号を印加する不
図示の変調信号発生手段が電気的に接続されている。更
に、各表面伝導型電子放出素子104に印加される駆動
電圧は、当該表面伝導型電子放出素子104に印加され
る走査信号と変調信号の差電圧として供給されるもので
ある。
【0074】本発明特徴は、上記単純マトリクス配列
の電子源のフォーミングにおいて、第1の導電性薄膜の
フォーミング工程と、第2の導電性薄膜のフォーミング
工程とで、電源に接続するX方向配線の端部を変えるこ
とにある。
【0075】図7を用いて具体的に説明する。
【0076】図7中、72はパルス発生器で正極はX方
向配線の一端に接続されており、負極はシャント抵抗7
3を介してグランドに落とされ、Y方向配線103は共
通電極を介してグランドに落とされている。その他図6
と同じ符号は同じ部材を示している。
【0077】前記表面伝導型電子放出素子の製造例で述
べたように、先ず第1の導電性薄膜を形成した後、上記
配線状態で該薄膜のフォーミング処理を行なう。次に第
2の導電性薄膜を形成し、1回目のフォーミングとは反
対側(即ち右手側)のX方向配線端部にパルス発生器7
2を接続しフォーミングを行なう。
【0078】多数個の表面伝導型電子放出素子を配置し
てなる電子源では、Y方向配線を共通に接続し、X方向
配線毎にフォーミング工程を行うと、X方向配線の持つ
抵抗により、電流供給端から遠い素子ほど、該素子に
かる実効電圧が低下する。このため、電流供給端に近い
素子から亀裂が形成され、供給する電圧を徐々に上昇さ
せるに伴って、次の素子へと順に亀裂形成が進行する。
【0079】亀裂の形成された素子は抵抗が高くなり電
流が流れなくなるため、亀裂形成がある程度進むとX方
向配線に流入する電流は減少し、配線抵抗による電圧低
下は小さくなる。このため、電流供給端と逆の端に近い
素子にかかる実効電圧は急激に上昇し始め、供給電力が
亀裂形成のための閾値を一気に超えて過剰電力が投入さ
れ、亀裂幅が広くなる。その結果、電流供給端と反対側
の素子では電子放出量が小さくなり、輝度が低くなって
しまい、両端で輝度が異なるという現象が生じる。
【0080】一方、本発明においては、先ず第1の亀裂
を形成した段階では上記両端での電子放出量に差を生じ
た状態であるが、更に第2の導電性薄膜を形成し、電流
供給端を反対側に代えて通電処理する。この時、2回目
の電流供給端に近い素子では1回目の亀裂幅が広く抵抗
が大きく、遠い素子では1回目の亀裂幅が狭いため抵抗
が小さくなっている。従って、亀裂形成の進行に伴う、
電流供給端から遠い素子への電力過剰供給の傾向が緩和
され、結果として均一性が向上するものと思われる。
【0081】次に、以上のような単純マトリクス配置
電子源を用い画像形成装置の一例を、図8〜図10を
用いて説明する。尚、図8は表示パネル201の基本構
成図であり、図9は蛍光膜114を示す図であり、図1
0は図8の表示パネル201で、NTSC方式のテレビ
信号に応じてテレビジョン表示を行うための駆動回路の
一例を示すブロック図である。
【0082】図8において、1は上述のようにして表面
伝導型電子放出素子を配置した電子源の基板、111は
基板1を固定したリアプレート、116はガラス基板1
13の内面に蛍光膜114とメタルバック115等が形
成されたフェースプレート、112は支持枠であり、リ
アプレート111、支持枠112及びフェースプレート
116にフリットガラス等を塗布し、大気中あるいは窒
素中で、400〜500℃で10分以上焼成することで
封着して外囲器118を構成している。
【0083】図8において、102、103は、表面伝
導型電子放出素子104の一対の素子電極2,2’と接
続されたX方向配線及びY方向配線で、夫々外部端子D
x1〜Dxm,Dy1〜Dynを有している。
【0084】外囲器118は、上述の如く、フェースー
プレート116、支持枠112、リアプレート111で
構成されている。しかし、リアプレート111は主に基
板1の強度を補強する目的で設けられるものであり、基
板1自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート
111は不要で、基板1に直接支持枠112を封着し、
フェースプレート116、支持枠112、基板1にて外
囲器118を構成してもよい。また、フェースプレート
116、リアプレート111の間にスぺーサーと呼ばれ
る不図示の支持体を更に設置することで、大気圧に対し
て十分な強度を有する外囲器118とすることもでき
る。
【0085】蛍光膜114は、モノクロームの場合は蛍
光体122のみからなるが、カラーの蛍光膜114の場
合は、蛍光体122の配列により、ブラックストライプ
(図9(a))あるいはブラックマトリクス(図9
(b))等と呼ばれる黒色導伝材121と蛍光体122
とで構成される。ブラックストライプ、ブラックマトリ
クスが設けられる目的は、カラー表示の場合必要となる
三原色の各蛍光体122間の塗り分け部を黒くすること
で混色等を目立たなくすることと、蛍光膜114におけ
る外光反射によるコントラストの低下を抑制することで
ある。黒色導伝材121の材料としては、通常良く用い
られている黒鉛を主成分とする材料だけでなく、導電性
があり、光の透過及び反射が少ない材料であれば他の材
料を用いることもできる。
【0086】ガラス基板113に蛍光体122を塗布す
る方法としては、モノクローム、カラーによらず、沈澱
法や印刷法が用いられる。
【0087】また、図8に示されるように、蛍光膜11
4の内面側には通常メタルバック115が設けられる。
メタルバック115の目的は、蛍光体122(図9参
照)の発光のうち内面側への光をガラス基板113側へ
鏡面反射することにより輝度を向上すること、電子ビー
ム加速電圧を印加するための電極として作用すること、
外囲器118内で発生した負イオンの衝突によるダメー
ジからの蛍光体122の保護等である。メタルバック1
15は、蛍光膜114の作製後、蛍光膜114の内面側
表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行
い、その後Alを真空蒸着等で堆積することで作製でき
る。
【0088】フェースプレート116には、更に蛍光膜
114の導電性を高めるため、蛍光膜114の外面側に
透明電極(不図示)を設けてもよい。
【0089】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体122と表面伝導型電子放出素子104とを対応
させなくてはいけないため、十分な位置合わせを行なう
必要がある。
【0090】外囲器118内は、不図示の排気管を通
じ、10-7torr程度の真空度にされ、封止される。
また、外囲器118の封止を行う直前あるいは封止後
に、ゲッター処理を行うこともある。これは、外囲器1
18内の所定の位置に配置したゲッター(不図示)を加
熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常B
a等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、例え
ば1×10-5〜1×10-7torrの真空度を維持する
ためのものである。
【0091】上述の表示パネル201は、例えば図10
に示されるような駆動回路で駆動することができる。
尚、図10において、201は表示パネル、202は走
査回路、203は制御回路、204はシフトレジスタ、
205はラインメモリ、206は同期信号分離回路、2
07は変調信号発生器、Vx 及びVa は直流電圧源であ
る。
【0092】図10に示されるように、表示パネル20
1は、外部端子Dx1〜Dxm、外部端子Dy1〜Dyn及び高
圧端子Hvを介して外部の電気回路と接続されている。
この内、外部端子Dx1〜Dxmには前記表示パネル201
内に設けられている表面伝導型電子放出素子、即ちm行
n列の行列状にマトリクス配置された表面伝導型電子放
出素子群を1行(n素子ずつ)順次駆動して行くための
走査信号が印加される。
【0093】一方、外部端子Dy1〜Dynには、前記走査
信号により選択された1行の各表面伝導型電子放出素子
の出力電子ビームを制御するための変調信号が印加され
る。また、高圧端子Hvには、直流電圧源Va より、例
えば10kVの直流電圧が供給される。これは表面伝導
型電子放出素子より出力される電子ビームに、蛍光体を
励起するのに十分なエネルギーを付与するための加速電
圧である。
【0094】走査回路202は、内部にm個のスイッチ
ング素子(図10中S1 〜Sm で模式的に示す)を備え
るもので、各スイッチング素子S1 〜Sm は、直流電圧
電源Vx の出力電圧もしくは0V(グランドレベル)の
いずれか一方を選択して、表示パネル201の外部端子
x1〜Dxmと電気的に接続するものである。各スイッチ
ング素子S1 〜Sm は、制御回路203が出力する制御
信号Tscanに基づいて動作するもので、実際には、例え
ばFETのようなスイッチング機能を有する素子を組み
合わせることにより容易に構成することが可能である。
【0095】本例における前記直流電圧源Vx は、前記
表面伝導型電子放出素子の特性(しきい値電圧)に基づ
き、走査されていない表面伝導型電子放出素子に印加さ
れる駆動電圧がしきい値電圧以下となるような一定電圧
を出力するよう設定されている。
【0096】制御回路203は、外部より入力される画
像信号に基づいて適切な表示が行われるように、各部の
動作を整合させる働きを持つものである。次に説明する
同期信号分離回路206より送られる同期信号Tsync
基づいて、各部に対してTscan、Tsft 及びTmry の各
制御信号を発生する。
【0097】同期信号分離回路206は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分を分離するための回路で、よく知られてい
るように、周波数分離(フィルター)回路を用いれば、
容易に構成できるものである。同期信号分離回路206
により分離された同期信号は、これもよく知られるよう
に、垂直同期信号と水平同期信号よりなる。ここでは、
説明の便宜上Tsyncとして図示する。一方、前記テレビ
信号から分離された画像の輝度信号成分を便宜上DAT
A信号と図示する。このDATA信号はシフトレジスタ
204に入力される。
【0098】シフトレジスタ204は、時系列的にシリ
アル入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎
にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制御
回路203より送られる制御信号Tsft に基づいて作動
する。この制御信号Tsft は、シフトレジスタ204の
シフトクロックであると言い換えてもよい。また、シリ
アル/パラレル変換された画像1ライン分(表面伝導型
電子放出素子のn素子分の駆動データに相当する)のデ
ータは、Id1〜Idnのn個の並列信号として前記シフト
レジスタ204より出力される。
【0099】ラインメモリ205は、画像1ライン分の
データを必要時間だけ記憶するための記憶装置であり、
制御回路203より送られる制御信号Tmry に従って適
宜Id1〜Idnの内容を記憶する。記憶された内容は、I
d'1 〜Id'n として出力され、変調信号発生器207に
入力される。
【0100】変調信号発生器207は、前記画像データ
d'1 〜Id'n の各々に応じて、表面伝導型電子放出素
子の各々を適切に駆動変調するための信号源で、その出
力信号は、端子Dy1〜Dynを通じて表示パネル201内
の表面伝導型電子放出素子に印加される。
【0101】前述したように、表面伝導型電子放出素子
は電子放出に明確なしきい値電圧を有しており、しきい
値電圧を超える電圧が印加された場合にのみ電子放出が
生じる。また、しきい値電圧を超える電圧に対しては表
面伝導型電子放出素子への印加電圧の変化に応じて放出
電流も変化して行く。表面伝導型電子放出素子の材料、
構成、製造方法を変えることにより、しきい値電圧の値
や印加電圧に対する放出電流の変化度合いが変わる場合
もあるが、いずれにしても以下のことがいえる。
【0102】即ち、表面伝導型電子放出素子にパルス状
の電圧を印加する場合、例えばしきい値電圧以下の電圧
を印加しても電子放出は生じないが、しきい値電圧を超
える電圧を印加する場合には電子放出を生じる。その
際、第1には電圧パルスの波高値を変化させることによ
り、出力される電子ビームの強度を制御することが可能
である。第2には、電圧パルスの幅を変化させることに
より、出力される電子ビームの電荷の総量を制御するこ
とが可能である。
【0103】従って、入力信号に応じて表面伝導型電子
放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式とパル
ス幅変調方式とが挙げられる。電圧変調方式を行う場
合、変調信号発生器207としては、一定の長さの電圧
パルスを発生するが、入力されるデータに応じて適宜パ
ルスの波高値を変調できる電圧変調方式の回路を用い
る。また、パルス幅変調方式を行う場合、変調信号発生
器207としては、一定の波高値の電圧パルスを発生す
るが、入力されるデータに応じて適宜パルス幅を変調で
きるパルス幅変調方式の回路を用いる。
【0104】シフトレジスタ204やラインメモリ20
5は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもの
でもよく、画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が
所定の速度で行えるものであればよい。
【0105】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路206の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要がある。これは同期信号分離回路206の出力
部にA/D変換器を設けることで行える。
【0106】また、これと関連して、ラインメモリ20
5の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、
変調信号発生器207に設けられる回路が若干異なるも
のとなる。
【0107】即ち、デジタル信号で電圧変調方式の場
合、変調信号発生器207には、例えばよく知られてい
るD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等を付
け加えればよい。また、デジタル信号でパルス幅変調方
式の場合、変調信号発生器207は、例えば高速の発振
器及び発振器の出力する波数を計数する計数器(カウン
タ)及び計数器の出力値と前記メモリの出力値を比較す
る比較器(コンパレータ)を組み合わせた回路を用いる
ことで容易に構成することができる。更に、必要に応じ
て、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を表
面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するた
めの増幅器を付け加えてもよい。
【0108】一方、アナログ信号で電圧変調方式の場
合、変調信号発生器207には、例えばよく知られてい
るオペアンプ等を用いた増幅回路を用いればよく、必要
に応じてレベルシフト回路等を付け加えてもよい。ま
た、アナログ信号でパルス幅変調方式の場合、例えばよ
く知られている電圧制御型発振回路(VCO)を用いれ
ばよく、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電
圧にまで電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよ
い。
【0109】以上のような表示パネル201及び駆動回
路を有す画像形成装置は、端子Dx1〜Dxm及びDy1
ynから電圧を印加することにより、必要な表面伝導型
電子放出素子から電子を放出させることができ、高圧端
子Hvを通じて、メタルバック115あるいは透明電極
(不図示)に高電圧を印加して電子ビームを加速し、加
速した電子ビームを蛍光膜114に衝突させることで生
じる励起・発光によって、NTSC方式のテレビ信号に
応じてテレビジョン表示を行うことができるものであ
る。
【0110】尚、以上説明した構成は、表示等に用いら
画像形成装置を得る上で必要な概略構成であり、例
えば各部材の材料等、詳細な部分は上述の内容に限られ
るものではなく、画像形成装置の用途に適するよう、適
宜選択されるものである。また、入力信号としてNTS
C方式を挙げたが、本発明に係る画像形成装置はこれに
限られるものではなく、PAL、SECAM方式等の他
の方式でもよく、更にはこれらよりも多数の走査線から
なるTV信号、例えばMUSE方式を初めとする高品位
TV方式でもよい。
【0111】次に、参考例として、前述の梯型配置の電
子源及びこれを用い画像形成装置の一例について図1
1及び図12を用いて説明する。
【0112】図11において、1は基板、104は表面
伝導型電子放出素子、304は表面伝導型電子放出素子
104を接続する共通配線で10本設けられており、各
々外部端子D1 〜D10を有している。
【0113】表面伝導型電子放出素子104は、基板1
上に並列に複数個配置されている。これを素子行と呼
ぶ。そしてこの素子行が複数行配置されて電子源を構成
している。
【0114】各素子行の共通配線304(例えば外部端
子D1 とD2 の共通配線304)間に適宜の駆動電圧を
印加することで、各素子行を独立に駆動することが可能
である。即ち、電子ビームを放出させたい素子行にはし
きい値電圧を超える電圧を印加し、電子ビームを放出さ
せたくない素子行にはしきい値電圧以下の電圧を印加す
るようにすればよい。このような駆動電圧の印加は、各
素子行間に位置する共通配線D2 〜D9 について、夫々
相隣接する共通配線304、即ち夫々相隣接する外部端
子D2 とD3 ,D4 とD5 ,D6 とD7 ,D8 とD9
共通配線304を一体の同一配線としても行うことがで
きる。
【0115】図12は、記梯型配置の電子源を備えた
参考例としての表示パネル301の構造を示す図であ
る。
【0116】図12中302はグリッド電極、303は
電子が通過するための開口、D1 〜Dm は各表面伝導型
電子放出素子に電圧を印加するための外部端子、G1
nはグリッド電極302に接続された外部端子であ
る。また、各素子行間の共通配線304は一体の同一配
線として基板1上に形成されている。
【0117】尚、図12において図8と同じ符号は同じ
部材を示すものであり、図8に示される単純マトリクス
配置の電子源を用いた表示パネル201との大きな違い
は、基板1とフェースプレート116の間にグリッド電
極302を備えている点である。
【0118】基板1とフェースプレート116の間に
は、上記のようにグリッド電極302が設けられてい
る。このグリッド電極302は、表面伝導型電子放出素
子104から放出された電子ビームを変調することがで
きるもので、梯型配置の素子行と直行して設けられたス
トライプ状の電極に、電子ビームを通過させるために、
各表面伝導型電子放出素子104に対応して1個ずつ円
形の開口303を設けたものとなっている。
【0119】グリッド電極302の形状や配置位置は、
必ずしも図12に示すようなものでなければならないも
のではなく、開口303をメッシュ状に多数設けること
もあり、またグリッド電極302を、例えば表面伝導型
電子放出素子104の周囲や近傍に設けてもよい。
【0120】外部端子D1 〜Dm 及びG1 〜Gn は不図
示の駆動回路に接続されている。そして、素子行を1列
ずつ順次駆動(走査)して行くのと同期してグリッド電
極302の列に画像1ライン分の変調信号を印加するこ
とにより、各電子ビームの蛍光膜114への照射を制御
し、画像を1ラインずつ表示することができる。
【0121】以上のように、本発明は、単純マトリクス
配置を用いたもので、電子源の他、上述したテレビジョ
ン放送の表示装置のみならず、テレビ会議システム、コ
ンピューター等の表示装置として好適な画像形成装置が
得られる。更には、感光ドラムとで構成した光プリンタ
ーの露光装置の製造にも用いることができるものであ
る。
【0122】
【実施例及び作用】[参考例1及び参考例2]図1
(a)、(b)に示した平面型の表面伝導型電子放出素
子を前述の図2に示す工程に従って作製した。
【0123】先ず、石英基板1に素子電極用薄膜として
厚さ5nmのTi、引き続き厚さ30nmのPtを真空
蒸着法により成膜した。その上にレジストをスピンナー
コートし、素子電極パターン用マスクを用いて露光し、
現像処理してレジストの素子電極パターンを形成した。
次にエッチングにより余分な素子電極用薄膜を除去した
後、上記レジストを除去し、所望のパターンの素子電極
2、2’を得た(図(a))。
【0124】Cr膜をスパッタリング法により素子全面
に成膜した上に、レジストをスピンナーコートし、ホト
マスクを用いて露光・現像し後述のPdO膜形成のため
のレジストパターンを形成してエッチングによって不要
なCrを除去し、開口部を形成、レジストを除去した。
【0125】次に有機Pd錯体溶液(ccp4230;
奥野製薬株式会社製)を上記素子上にスピンナーコート
し、300℃12分間の熱処理を行う。この工程を3回
繰り返し、所望の厚さの第1の導電性薄膜であるPdO
膜3を得た(図(b))。
【0126】一対の素子電極2、2’間にパルス幅0.
1msec、パルス間隔110msec、パルス高さを
0Vから14Vまで5V/minで徐々に上昇させた矩
形波パルス電圧を印加し、第1の亀裂22を第1のPd
O膜3に形成した(図(c))。
【0127】更に、第1のPdO膜3及び第1の亀裂2
2上に第1のPdO膜3の成膜工程と同様に、有機Pd
錯体溶液を塗布・熱処理し、第2の導電性薄膜であるP
dO膜4を得(図2(d))、同様に電圧を印加して第
2の亀裂23を形成し(図2(e))、参考例1の表面
伝導型電子放出素子とした。但し、第2のPdO膜作製
工程において、有機Pd錯体溶液の塗布・熱処理工程は
1回のみである。
【0128】上記第1のPdO膜の通電処理工程を省略
し、続けて第2のPdO膜に相当する有機PdO錯体溶
液の塗布・熱処理工程を行なってから、通電処理を行な
う以外は参考例1と同様にして同じ膜厚のPdO膜を有
する参考例2の表面伝導型電子放出素子を作製した。
【0129】参考例1と参考例2により作製した表面伝
導型電子放出素子のIe ,If を、図4に示す測定評価
系により測定した。印加した電圧は、14Vの矩形波パ
ルスで、パルス間隔10msec、パルス幅0.1ms
ecである。また、アノード電極41と表面伝導型電子
放出素子との距離は2mm、アノード電極41の電圧は
1kVである。
【0130】Ie ,If は素子毎に少しずつ異なるが、
参考例1が参考例2に比べ、Ie でおよそ5倍、If
およそ2倍程度大きな値を示した。Ie の向上がIf
向上を上回るということは、少ない消費電力で十分な性
能の表面伝導型電子放出素子を設計できるということで
あり、極めて望ましい結果が得られた。
【0131】[実施例及び比較例]本発明第の実
施例として、図6に示す単純マトリクス配列の電子源を
図13に従って作製した。図13中、図1及び図6と同
じ符号は同じ部材を示す。
【0132】先ず洗浄した青板ガラスの基板1上に真空
蒸着法により厚さ5nmのCr膜、厚さ600nmのA
u膜を順次積層した後、フォトレジスト(AZ137
0;ヘキスト社製)をスピンナーにより回転塗布ベーク
した後、フォトマスク像を露光、現像して下配線のレジ
ストパターンを形成し、Au/Cr積層膜をウエットエ
ッチングして下配線であるX方向配線102を形成し
た。その上に基板全面に厚さ0.1μmのシリコン酸化
膜を層間絶縁層131として高周波スパッタ法により積
層し、コンタクトホールを形成するためのフォトレジス
トパターンを作製し、これをマスクとして上記層間絶縁
層131をエッチングしてコンタクトホール132を形
成した。尚、エッチングはCF4 とH2 ガスを用いたR
IE(Reactive Ion Ethcing)法
によった(a)。
【0133】次に、素子電極と素子電極間ギャップとな
るべきパターンをフォトレジスト(RD−2000N−
41;日立化成株式会社製)で形成し、真空蒸着法によ
り厚さ5nmのTi、厚さ100nmのNiを順次積層
した。フォトレジストパターンを有機溶剤で溶解し、N
i/Ti堆積膜をリフトオフし、2μmのギャップ13
3を有する素子電極2、2’を得た(b)。
【0134】素子電極2、2’上に上配線のフォトレジ
ストパターンを形成した後、厚さ5nmのTi、厚さ1
00nmのAuを順次堆積した。リフトオフにより不要
部分を除去してY方向配線103を形成した。次に、コ
ンタクトホール132以外をカバーするようにレジスト
膜を形成し、真空蒸着法により厚さ5nmのTi、厚さ
500nmのAuを順次積層した。リフトオフにより不
要部分を除去することにより、コンタクトホール132
を埋め込んだ(c)。
【0135】参考例1と同様にして、CrマスクのPd
Oパターンを形成し、有機Pd錯体溶液(ccp423
0;奥野製薬株式会社製)をスピンナーにより回転塗布
し、300℃12分間焼成しPdO膜とする。この操作
を3回繰り返しPdO膜を所望の厚さにした後、リフト
オフにより不要なPdOをCrマスクと共に取り除き、
第1のPdO膜3を形成する。
【0136】この状態の基板を、図7に示すようにY方
向配線103を共通接続し、X方向配線102を1ライ
ンずつフォーミング処理して第1の亀裂22を形成し
た。印加するパルスは参考例1で用いた波形と同じもの
である。
【0137】上記第1のPdO膜成膜工程と同様にして
第2のPdO膜4を形成した。但し、PdOの塗布・焼
成は1回のみである。次に逆側のX方向配線他端をパル
ス発生器72に接続して同様に通電し、第2の亀裂23
を形成(d)して本実施例の電子源を完成した。
【0138】第1のPdO膜の通電処理を省略し、有機
Pd錯体溶液の塗布・焼成を4回繰り返して行なう以外
は実施例と同様にして、ほぼ同じ厚さの電子放出部を
含む薄膜を有する比較例の電子源を作製した。
【0139】実施例及び比較例の電子源を図14に
示す測定評価系に取り付け、全ての表面伝導型電子放出
素子を時間順次に走査駆動した。表面伝導型電子放出素
子は素子に印加される電圧が一定の閾値以下ではほとん
ど電流が流れず、電子放出も示さないという非線形な特
性を示す。この性質を利用し、駆動中のX方向配線に駆
動パルスを印加し、点灯するべき表面伝導型電子放出素
子につながるY方向配線をグランドレベルに、他のY方
向配線をグランドレベルとパルスの最大電圧の中ほど
(半選択電圧)に設定することにより、所望の位置の素
子のみに電子を放出させることができる。
【0140】図14の系の説明をする。図14中、14
1は真空槽であり、不図示の排気系により、5×10-5
Pa以下に排気されている。142は窓、1は電子源基
板、144は電子源の素子本体である。145、146
はX方向及びY方向配線の駆動用配線である。147は
前記配線に適当なパルスを印加するドライバーである。
148は引き出し電極で、アルミニウム製の枠に透明電
極のITO薄膜を形成したガラスをはめ込み、その下面
に蛍光体を塗布したものである。
【0141】各素子に、駆動電圧14V、半選択電圧7
Vとなるようにドライバー147で矩形波パルスを印加
した。引き出し電圧は5kVである。
【0142】窓142を通して、電子放出による蛍光体
の発光を目視で観測したところ、比較例の電子源で
は、X方向の一端(フォーミング時にパルス発生器を接
続していない方の端)付近がそのラインで最も輝度が低
くなっていた。一方、実施例の電子源では、このよう
な両端で輝度が異なるといった傾向は見られず、更に輝
度のばらつきが比較例に比べて明らかに小さくなって
おり、素子特性の均一性が向上していることが確認され
た。
【0143】尚、実施例では導電性薄膜として、Pd
O微粒子膜を用いたが、他の導電性薄膜、例えば、Au
蒸着膜、SnO2 スパッタ膜などを用いても同様の効果
が得られる。
【0144】[実施例]図15は実施例の電子源を
用いて構成した画像形成装置を、例えばテレビジョン放
送をはじめとする種々の画像情報源より提供される画像
情報を表示できるように構成した表示装置の一例を示す
ための図である。図中170はディスプレイパネル、1
51はディスプレイパネルの駆動回路、152はディス
プレイコントローラ、153はマルチプレクサ、154
はデコーダ、155は入出力インターフェース回路、1
56はCPU、157は画像生成回路、158、159
及び160は画像メモリインターフェース回路、161
は画像入力インターフェース回路、162及び163は
TV信号受信回路、164は入力部である。(尚、本表
示装置は、例えばテレビジョン信号のように映像情報と
音声情報の両方を含む信号を受信する場合には、当然映
像の表示と同時に音声を再生するものであるが、本発明
の特徴と直接関係しない音声情報の受信、分離、再生、
処理、記憶などに関する回路やスピーカーなどについて
は説明を省略する。)
【0145】以下、画像信号の流れに沿って各部を説明
してゆく。
【0146】先ず、TV信号受信回路163は、例えば
電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて伝送
されるTV画像信号を受信するための回路である。受信
するTV信号の方式は特に限られるものではなく、例え
ば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式などの
諸方式でも良い。また、これらよりさらに多数の走査線
よりなるTV信号(例えばMUSE方式をはじめとする
いわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化に適し
た前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに好適な信
号源である。TV信号受信回路163で受信されたTV
信号は、デコーダ154に出力される。
【0147】また、画像TV信号受信回路162は、例
えば同軸ケーブルや光ファイバーなどのような有線伝送
系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回
路である。前記TV信号受信回路163と同様に、受信
するTV信号の方式は特に限られるものではなく、また
本回路で受信されたTV信号もデコーダ154に出力さ
れる。
【0148】また、画像入力インターフェース回路16
1は、例えばTVカメラや画像読取スキャナーなどの画
像入力装置から供給される画像信号を取り込むための回
路で、取り込まれた画像信号はデコーダ154に出力さ
れる。
【0149】また、画像メモリインターフェース回路1
60は、ビデオテープレコーダー(以下VTRと略す)
に記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取
り込まれた画像信号はデコーダ154に出力される。
【0150】また、画像メモリインターフェース回路1
59は、ビデオディスクに記憶されている画像信号を取
り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ
154に出力される。
【0151】また、画像メモリ−インターフェース回路
158は、いわゆる静止画ディスクのように、静止画像
データを記憶している装置から画像信号を取り込むため
の回路で、取り込まれた静止画像データはデコーダ15
4に出力される。
【0152】また、入出力インターフェース回路155
は、本表示装置と、外部のコンピュータ、コンピュータ
ネットワークもしくはプリンタなどの出力装置とを接続
するための回路である。画像データや文字・図形情報の
入出力を行なうのはもちろんのこと、場合によっては本
表示装置の備えるCPU156と外部との間で制御信号
や数値データの入出力などを行なうことも可能である。
【0153】また、画像生成回路157は、前記入出力
インターフェース回路155を介して外部から入力され
る画像データや文字・図形情報や、或いはCPU156
より出力される画像データや文字・図形情報に基づき表
示用画像データを生成するための回路である。本回路の
内部には、例えば画像データや文字・図形情報を蓄積す
るための書き換え可能メモリや、文字コードに対応する
画像パターンが記憶されている読み出し専用メモリや、
画像処理を行なうためのプロセッサなどをはじめとして
画像の生成に必要な回路が組み込まれている。
【0154】本回路により生成された表示用画像データ
は、デコーダ154に出力されるが、場合によっては前
記入出力インターフェース回路155を介して外部のコ
ンピュータネットワークやプリンターに出力することも
可能である。
【0155】また、CPU156は、主として本表示装
置の動作制御や、表示画像の生成、選択、編集に関わる
作業を行なう。
【0156】例えば、マルチプレクサ153に制御信号
を出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号を適
宜選択したり組み合わせたりする。また、その際には表
示する画像信号に応じてディスプレイパネルコントロー
ラ152に対して制御信号を発生し、画面表示周波数や
走査方法(例えばインターレースかノンインターレース
か)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を適宜制
御する。
【0157】また、前記画像生成回路157に対して画
像データや文字・図形情報を直接出力したり、或いは前
記入出力インターフェース回路155を介して外部のコ
ンピュータやメモリをアクセスして画像データや文字・
図形情報を入力する。
【0158】尚、CPU156は、むろんこれ以外の目
的の作業にも関わるものであっても良い。例えば、パー
ソナルコンピュータやワードプロセッサなどのように、
情報を生成したり処理する機能に直接関わっても良い。
【0159】或いは、前述したように入出力インターフ
ェース回路155を介して外部のコンピュータネットワ
ークと接続し、例えば数値計算などの作業を外部機器と
協同して行なっても良い。
【0160】また、入力部164は、前記CPU156
に使用者が命令やプログラム、或いはデータなどを入力
するためのものであり、例えばキーボードやマウスの
他、ジョイスティック、バーコードリーダー、音声認識
装置など多様な入力機器を用いることが可能である。
【0161】また、デコーダ154は、前記157ない
し163より入力される種々の画像信号を3原色信号、
または輝度信号とI信号、Q信号に逆変換するための回
路である。尚、同図中に点線で示すように、デコーダ1
54は内部に画像メモリを備えるのが望ましい。これ
は、例えばMUSE方式をはじめとして、逆変換するに
際して画像メモリを必要とするようなテレビ信号を扱う
ためである。また、画像メモリを備えることにより、静
止画の表示が容易になる、或いは前記画像生成回路15
7及びCPU156と協同して画像の間引き、補間、拡
大、縮小、合成をはじめとする画像処理や編集が容易に
行なえるようになるという利点が生まれるからである。
【0162】また、マルチプレクサ153は前記CPU
156より入力される制御信号に基づき表示画像を適宜
選択するものである。即ち、マルチプレクサ153はデ
コーダ154から入力される逆変換された画像信号のう
ちから所望の画像信号を選択して駆動回路151に出力
する。その場合には、一画面表示時間内で画像信号を切
り換えて選択することにより、いわゆる多画面テレビの
ように、一画面を複数の領域に分けて領域によって異な
る画像を表示することも可能である。
【0163】また、ディスプレイパネルコントローラ1
52は、前記CPU156より入力される制御信号に基
づき駆動回路151の動作を制御するための回路であ
る。
【0164】先ず、ディスプレイパネルの基本的な動作
に関わるものとして、例えばディスプレイパネルの駆動
用電源(不図示)の動作シーケンスを制御するための信
号を駆動回路151に対して出力する。
【0165】また、ディスプレイパネルの駆動方法に関
わるものとして、例えば画面表示周波数や走査方法(例
えばインターレースかノンインターレースか)を制御す
るための信号を駆動回路151に対して出力する。
【0166】また、場合によっては表示画像の輝度、コ
ントラスト、色調、シャープネスといった画質の調整に
関わる制御信号を駆動回路151に対して出力する場合
もある。
【0167】また、駆動回路151は、ディスプレイパ
ネル170に印加する駆動信号を発生するための回路で
あり、前記マルチプレクサ153から入力される画像信
号と、前記ディスプレイパネルコントローラ152より
入力される制御信号に基づいて動作するものである。
【0168】以上、各部の機能を説明したが、図15に
例示した構成により、本表示装置においては多様な画像
情報源より入力される画像情報をディスプレイパネル1
70に表示することが可能である。即ち、テレビジョン
放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ154に
おいて逆変換された後、マルチプレクサ153において
適宜選択され、駆動回路151に入力される。一方、デ
ィスプレイコントローラ152は、表示する画像信号に
応じて駆動回路151の動作を制御するための制御信号
を発生する。駆動回路151は、上記画像信号と制御信
号に基づいてディスプレイパネル170に駆動信号を印
加する。これにより、ディスプレイパネル170におい
て画像が表示される。これらの一連の動作は、CPU1
56により統括的に制御される。
【0169】また、本表示装置においては、前記デコー
ダ154に内蔵する画像メモリや、画像生成回路157
及びCPU156が関与することにより、単に複数の画
像情報の中から選択したものを表示するだけでなく、表
示する画像情報に対して、例えば拡大、縮小、回転、移
動、エッジ強調、間引き、補間、色変換、画像の縦横比
変換などをはじめとする画像処理や、合成、消去、接
続、入れ替え、はめ込みなどをはじめとする画像編集を
行なうことも可能である。また、本実施例の説明では、
特に触れなかったが、上記画像処理や画像編集と同様
に、音声情報に関しても処理や編集を行なうための専用
回路を設けても良い。
【0170】従って、本表示装置は、テレビジョン放送
の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像及び動画
像を扱う画像編集機器、コンピューターの端末機器、ワ
ードプロセッサをはじめとする事務用端末機器、ゲーム
機などの機能を一台で兼ね備えることが可能で、産業用
或いは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0171】尚、上記図15は、表面伝導型電子放出素
子を電子源とするディスプレイパネルを用いた表示装置
の構成の一例を示したに過ぎず、これのみに限定される
ものでないことは言うまでもない。例えば図15の構成
要素のうち使用目的上必要のない機能に関わる回路は省
いても差し支えない。またこれとは逆に、使用目的によ
ってはさらに構成要素を追加しても良い。例えば、本表
示装置をテレビ電話機として応用する場合には、テレビ
カメラ、音声マイク、照明機、モデムを含む送受信回路
などを構成要素に追加するのが好適である。
【0172】本表示装置においては、とりわけ表面伝導
型電子放出素子を電子源とするディスプレイパネルの薄
型化が容易なため、表示装置の奥行きを小さくすること
ができる。それに加えて、表面伝導型電子放出素子を電
子源とするディスプレイパネルは大画面化が容易で輝度
が高く視野角特性にも優れるため、本表示装置は臨場感
あふれ迫力に富んだ画像を視認性良く表示することが可
能である。
【0173】更に、本発明で得られる電子源は、各表面
伝導型電子放出素子間での電子放出特性が均一であるた
め、形成される画像の画質が高く、また高精細な画像の
表示も可能である。
【0174】
【発明の効果】以上説明したように、本発明で得られる
電子源における表面伝導型電子放出素子は、Ie 、I
f 、電子放出効率Ie /If が大きく、且つ均一な電子
放出特性を示す。しかも、当該表面伝導型電子放出素子
を備えた電子源は特別な電気的制御等煩雑な工程を経る
ことなく容易に作製することができる。
【0175】更に本発明で製造される電子源において
は、配線抵抗に起因する電子放出特性の不均一も抑制さ
れるため、各素子に対応する輝点の輝度が均一であり、
該電子源を用いて構成した画像形成装置において、むら
のない良好な画像を効率良く形成することができる。例
えば、蛍光体を画像形成製部材として用い、低電流で明
るい高品位なカラーフラットテレビ等表示装置が実現す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における表面伝導型電子放出素子の一実
施態様を示す模式図である。
【図2】本発明における表面伝導型電子放出素子の製造
工程例を示す図である。
【図3】本発明における表面伝導型電子放出素子の製造
に係る通電処理の電圧波形を示す図である。
【図4】本発明における表面伝導型電子放出素子の電子
放出特性を評価するための測定評価系を示す図である。
【図5】本発明における表面伝導型電子放出素子の電子
放出特性を示す図である。
【図6】本発明で得られる単純マトリクス電子源の模式
図である。
【図7】本発明における電子源のフォーミング時の配線
図である。
【図8】本発明で得られる画像形成装置の一実施態様を
示す図である。
【図9】本発明で得られる画像形成装置に用いる蛍光膜
を示す図である。
【図10】本発明で得られる画像形成装置の一実施態様
のブロック図である。
【図11】参考例としての梯子型電子源の模式図であ
る。
【図12】梯子型電子源を用いた参考例としての画像形
成装置を示す図である。
【図13】本発明の実施例の電子源の製造工程を示す
図である。
【図14】本発明における電子源の測定評価系を示す図
である。
【図15】本発明の実施例2の画像形成装置の応用例の
ブロック図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2,2’ 素子電極 3 第1の導電性薄膜 4 第2の導電性薄膜 5 亀裂 6 段差形成部 22 第1の亀裂 23 第2の亀裂 40 電流計 41 電源 42 電流計 43 高電源 44 アノード電極 45 真空装置 46 排気ポンプ 71 共通電極 72 パルス発生器 73 シャント抵抗 102 X方向配線 103 Y方向配線 104 表面伝導型電子放出素子 105 結線 111 リアプレート 112 支持枠 113 ガラス基板 114 蛍光膜 115 メタルバック 116 フェースプレート 118 外囲器 121 黒色導伝材 122 蛍光体 131 層間絶縁層 132 コンタクトホール 133 ギャップ 141 真空槽 142 窓 144 素子本体 145 X方向駆動用配線 146 Y方向駆動用配線 147 ドライバー 148 引き出し電極 149 電源 151 駆動回路 152 ディスプレイパネルコントローラ 153 マルチプレクサ 154 デコーダ 155 入出力インターフェース 156 CPU 157 画像生成回路 158 画像メモリーインターフェース 159 画像メモリーインターフェース 160 画像メモリーインターフェース 161 画像入力メモリーインターフェース 162 TV信号受信回路 163 TV信号受信回路 164 入力部 170 ディスプレイパネル 201 表示パネル 202 走査回路 203 制御回路 204 シフトレジスタ 205 ラインメモリ 206 同期信号分離回路 207 変調信号発生器 301 表示パネル 302 グリッド電極 303 開口 304 共通配線
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−276530(JP,A) 特開 平1−279541(JP,A) 特開 平2−192638(JP,A) 特開 平5−242793(JP,A) 特開 平7−65702(JP,A) 特開 平8−180795(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 1/30 H01J 9/02 H01J 31/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マトリクス配置されたX方向配線とY方
    向配線とにそれぞれ分かれて接続されて対向する複数対
    の素子電極間に第1の導電性薄膜を形成し、Y方向配線
    を共通結線して電圧印加手段の一方の極に接続すると共
    、X方向配線の一端を順に上記電圧印加手段の他方の
    極に接続して、同じX方向配線に接続された一方の素子
    電極と該素子電極と対向してY方向配線に接続された他
    方の素子電極間の第1の導電性薄膜毎に電圧を印加して
    第1の導電性膜に亀裂を形成した後、前記素子電極間に
    第2の導電性薄膜を形成して、X方向配線の他端を順に
    上記電圧印加手段の他方の極に接続して、同じX方向配
    線に接続された一方の素子電極と該素子電極と対向して
    Y方向配線に接続された他方の素子電極間の第2の導電
    性薄膜毎に電圧を印加して第2の導電性薄膜に亀裂を形
    成することを特徴とする電子源の製造方法。
  2. 【請求項2】 第2の導電性薄膜の膜厚が第1の導電性
    薄膜の膜厚よりも小さいことを特徴とする請求項1記載
    電子源の製造方法
  3. 【請求項3】 少なくとも、請求項1又は2の製造方法
    によって製造された電子源と画像形成部材とを組み合わ
    せることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
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