JP2961237B2 - 繊維芽細胞増殖因子−1モノクローナル抗体及びその製造方法 - Google Patents

繊維芽細胞増殖因子−1モノクローナル抗体及びその製造方法

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JP2961237B2
JP2961237B2 JP7343595A JP7343595A JP2961237B2 JP 2961237 B2 JP2961237 B2 JP 2961237B2 JP 7343595 A JP7343595 A JP 7343595A JP 7343595 A JP7343595 A JP 7343595A JP 2961237 B2 JP2961237 B2 JP 2961237B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維芽細胞増殖因子モ
ノクローナル抗体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維芽細胞増殖因子は、9種類の因子
(繊維芽細胞増殖因子−1〜9)から構成されているタ
ンパク質又は遺伝子ファミリーである。これらのファミ
リーは、いずれの繊維芽細胞増殖因子もアミノ酸配列に
おいて約30〜60%のホモロジーを有する類似タンパク質
群である。従って、それぞれの因子のみを特異的に認識
するモノクローナル抗体の作成は非常に困難である。ま
た、様々な種類の動物細胞の内部に存在する未知のタン
パク質の中から繊維芽細胞増殖因子−1のみを特異的に
認識できるモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体
は、現在では知られていない。
【0003】さらに本願発明者は、繊維芽細胞増殖因子
−1に対する抗体が、その由来がポリクローナルである
と、モノクローナルであるとを問わず、動物細胞の内部
に存在する複数の未同定のタンパク質との交差反応する
ことを経験している。すなわち、抗繊維芽細胞増殖因子
−1抗体の場合、細胞に存する無関係なタンパク質と交
差反応しやすいので、必ずしも抗繊維芽細胞増殖因子−
1抗体が繊維芽細胞増殖因子−1と特異的に反応すると
は限らない。このことは、動物細胞が産生している繊維
芽細胞増殖因子−1を、他の細胞や組織のタンパク質と
混合した状態で未精製のまま検出又は定量しようとする
ことが極めて困難であることを意味しており、大きな問
題となっている。
【0004】一方、繊維芽細胞増殖因子−1は、血管内
皮細胞、血管平滑筋細胞、繊維芽細胞、筋芽細胞、肝臓
細胞などをはじめ、内胚葉、神経外胚葉に由来する各種
細胞の増殖促進に用いることができるほか、神経細胞な
どの分化形質の促進にも用いることのできる有用な増殖
因子である。また、動物胚の初期発生において中胚葉誘
導にも用いることができる。さらに、生体内の現象とし
て血管新生、関節炎、緑内障、さらに脳において学習行
動や摂食行動にも調節因子として深く関わっていること
が示されている。このように、繊維芽細胞増殖因子−1
は多くの重要な生命現象において決定的な働きをしてい
る点で有用であるため、繊維芽細胞増殖因子−1のみと
特異的に反応し、その他の細胞成分や成体成分とは反応
しないモノクローナル抗体が強く必要とされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、繊維芽細胞
増殖因子−1のみと特異的に反応するモノクローナル抗
体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に基づいて鋭意研究を行った結果、繊維芽細胞増殖因子
−1遺伝子を含む発現ベクターにより形質転換された形
質転換体又は繊維芽細胞増殖因子−1を自然発現してい
る細胞から得られる総タンパク質を用いてスクリーニン
グすることにより、繊維芽細胞増殖因子−1のみと特異
的に反応するモノクローナル抗体を得ることに成功し、
本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、繊維芽細胞増殖因子
−1のみと特異的に反応することを特徴とする繊維芽細
胞増殖因子−1モノクローナル抗体である。さらに、本
発明は、繊維芽細胞増殖因子−1で免疫した哺乳動物の
免疫細胞と骨髄腫細胞との融合細胞から産生されるモノ
クローナル抗体を、繊維芽細胞増殖因子−1遺伝子を含
む発現ベクターにより形質転換された形質転換体又は繊
維芽細胞増殖因子−1を自然発現している細胞から産生
される総タンパク質と反応させ、前記モノクローナル抗
体のうち、該総タンパク質中の繊維芽細胞増殖因子−1
のみと特異的に反応するものを選出することを特徴とす
る繊維芽細胞増殖因子−1モノクローナル抗体の製造方
法である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
モノクローナル抗体は、次のようにして得ることができ
る。まず、哺乳動物を繊維芽細胞増殖因子−1(以下
「FGF−1」という)で免疫した後に脾細胞を取り出
し、得られる脾細胞と骨髄腫細胞(ミエローマ細胞)と
を融合させる。次に、得られる融合細胞をHAT培地に
よる選択を行ってFGFモノクローナル抗体を産生する
融合細胞を得る。この段階では、得られる融合細胞の中
には、FGFの各ファミリーと結合してしまうモノクロ
ーナル抗体を産生するものが含まれている。
【0009】そこで、これらの融合細胞から産生される
モノクローナル抗体を、FGF−1遺伝子を含む発現ベ
クターによって形質転換された形質転換体又は繊維芽細
胞増殖因子−1を自然発現している細胞が産生する総タ
ンパク質と反応させる。そして、総タンパク質中のFG
F−1以外のタンパク質とは反応せず、かつ、FGF−
1のみと特異的に反応したものを本発明のFGF−1モ
ノクローナル抗体として得る。
【0010】本発明のFGF−1モノクローナル抗体を
産生する融合細胞は保存が可能であり、培養により、又
はマウス腹腔の腹水中に産生させることにより、いつで
も本発明のモノクローナル抗体を得ることができる。 (1) 抗体産生細胞の調製 免疫用FGF−1は、哺乳類由来のもの、例えば、ヒ
ト、ウシ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスタ
ー、ラット、マウスのFGFを用いることができる。ま
た、ニワトリなどの鳥類やカエルなどの両生類由来のF
GFも用いることが可能である。FGF−1の調製は、
公知の方法により行いうる(Burgess, W.H. et al., (1
985) J. Biol. Chem., 260, 11389-11392) 。さらに、
遺伝子組み換え体によって作成したFGF−1を免疫用
FGF−1として用いることもできる。
【0011】また、免疫用哺乳動物としては、例えば、
マウス、ウサギ、ハムスター、モルモット等が挙げら
れ、マウスには、BALB/C、C57BL/6 、ICR系マウス等
が用いられる。そして、免疫動物一匹に対して、4週齢
〜20週齢のマウスの場合 0.1〜1,000μgの量を抗原と
して1〜4週間ごとに2〜5回免疫を行う。また、必要
に応じて、フロイントの完全又は不完全アジュバントを
添加してもよい。動物の飼育及び脾細胞の採取は常法に
従う(岩崎辰夫ら著,「単クローン抗体−ハイブリドー
マとELISA 」,講談社サイエンティフィク, 講談社1983
年発行 )。
【0012】(2) ミエローマ細胞の調製 ミエローマ細胞としては、P3XAg8.653(ATCC CRL-158
0)、P3X63Ag8U.1 (ATCCCRL-1597) 、P3/NS1/1-Ag4-1(C
RL-TIB-18)、Sp2/0-Ag14(CRL-1581) 等が挙げられ
る。これら細胞の継代培養についても常法に従えばよい
(岩崎ら,上掲)。 (3) 細胞融合 細胞融合についても、公知の方法を用いることができる
(岩崎ら,上掲)。例えば、脾細胞とミエローマ細胞と
を25:1〜1:1の割合で混合し、分子量1,000〜10,00
0のポリエチレングリコールを50%含むRPMI-1640培地
中、両細胞を25〜37℃で1〜10分間インキュベートする
ことにより細胞融合を行う。
【0013】(4) 融合細胞の調製 融合細胞(以下「融合細胞」を「ハイブリドーマ」とい
うこともある)は、ヒポキサンチン(50〜200μM)、
アミノプテリン(0.2 〜0.8μM)、チミジン(8〜32
μM)、ペニシリン(25〜100単位/ml)、牛胎児血清
(2〜20%)、ストレプトマイシン(25〜100μg/m
l)、ピルビン酸ナトリウム(50〜220μg/ml、L-グルタ
ミン(150〜600μg/ml) を添加した基礎培地を用いて選
択培養し、免疫ブロッティングにより、抗FGF−1
IgGを産生可能な細胞を陽性細胞として得る。次に、
陽性細胞を限界希釈法によりサブクローニングする。
【0014】通常は、この段階で、同じ抗原を用いて反
応性の強いものをスクリーニングした後、有用株のクロ
ーニングを繰り返し行い、最終的に得られたクローンか
ら得られるモノクローナル抗体を、その結合特異性など
について特徴付けを行う。しかし、抗FGF−1抗体の
場合、細胞に存する無関係なタンパク質と交差反応しや
すいことを本願発明者は見出しているので、必ずしも抗
FGF−1抗体がFGF−1のみと特異的に反応すると
は限らない。
【0015】そこで、スクリーニングの段階で抗原に用
いたFGF−1を用いるのではなく、本発明では、FG
F−1を強制発現させた細胞株の総タンパク質を電気泳
動で分離したものを用いて、FGF−1を認識するこ
と、および他の細胞タンパク質に交差反応しないことを
同時に指標として有用なモノクローナル抗体を生産する
ハイブリドーマを選出する。
【0016】(5) ハイブリドーマの選出 (4)によりサブクローニングされたハイブリドーマが産
生するモノクローナル抗体を、FGF−1を自然発現す
る組織若しくは細胞の総タンパク質と反応させ、また
は、該モノクローナル抗体を、FGF−1を強制発現さ
せた細胞株が産生する総タンパク質と反応させる。FG
F−1を自然発現する組織としては、哺乳類動物の脳の
全部若しくは一部、多くの骨格筋若しくは心筋、再生中
の肝臓又は関節炎局所の組織などを使用することができ
る。但し、これら以外の組織でもFGF−1が発現して
いる組織であれば特に限定されずに使用することができ
る。
【0017】FGF−1を自然発現する細胞としては、
MH1C1カルシノーマ細胞、L6筋芽細胞、再生中の
肝臓から取り出した肝実質細胞などを使用することがで
きる。但し、これら以外の細胞でもFGF−1が発現し
ている細胞であれば特に限定されずに使用することがで
きる。FGF−1を強制発現させた細胞株とは、FGF
−1遺伝子(cDNA)を発現ベクターに組み込み、こ
れを宿主細胞に形質転換して得られた形質転換体をい
う。
【0018】ここで使用するFGF−1遺伝子は、哺乳
類動物由来のものであれば特に限定されず、天然または
合成により、公知の方法により得ることができる。例え
ば、アプライドバイオシステムズ社(ABI社)の自動
DNA合成機を用いて合成するか、またはcDNAライ
ブラリーよりFGF−1特異的オリゴヌクレオチドプロ
ーブを用いて釣り上げるか、またはmRNAからこれを
逆転写後、FGF−1特異的オリゴヌクレオチドプライ
マーのセットを用いてポリメレースチェーンリアクショ
ン(PCR)により増幅する。あるいは、これらの方法
により得た部分をつなぎ合わせて全長のFGF−1遺伝
子を取得することもできる(Imamura, T. et al.,Scien
ce, 249, 1567-1570 (1990); Forough, R. et al., Bio
chim. Biophys. Acta, 1090, 293-298 (1991))。
【0019】次に、FGF−1遺伝子を含むDNAの全
部若しくは一部を適当な制限酵素によって切り出し、ま
たはリンカー(アダプター)配列を接続してこれを適当
なプロモーターの下流につないだ後、これを形質転換可
能な宿主に導入することにより形質転換させる。ここで
使用されるベクターDNAとしては、プラスミドベクタ
ー、シャトルベクター、ファージベクター、ウイルスベ
クターなどが挙げられ、宿主としては、酵母、大腸菌、
動物細胞、昆虫細胞等が挙げられる。そして、前記形質
転換体を一般的に使用されている培地(例えば、動物細
胞においてはDMEM(Dulbecco's Modified Eagle's Mediu
m)等単独又はそれらに血清等を添加したもの)で培養
し、その培養物(培養液、培養菌体若しくは培養細胞又
は培養上清液)を集める。
【0020】なお、培養後の培養上清液については、遠
心分離等を行って形質転換体を除くことにより、または
FGF−1の性質を利用した方法により濃縮した状態で
得ることができる。上記の如く得られた培養物を電気泳
動、例えば、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
等を行い、ウエスタンブロッティングなどの技術を用い
て最終的にFGF−1のみに特異的に反応するモノクロ
ーナル抗体をスクリーニングする。
【0021】すなわち、電気泳動により得られたバンド
をニトロセルロースなどに写し取り、前記候補のモノク
ローナル抗体をプローブとして添加してハイブリッドを
形成させる。候補のモノクローナル抗体の中には、交差
反応を起こしてバンドが複数になるものもあるが、バン
ドの数が一本として現れたものを回収し、これを単一の
FGF−1のみを認識することが可能な本発明のFGF
−1モノクローナル抗体とする。
【0022】
〔実施例1〕
(1) モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの調
抗原として使用するFGF−1は、公知の方法により健
康な成体のウシの脳から得た(Burgess W.H.et al.J.Bi
ol.Chem.260,11389-11392(1985))。BALB/Cマウス(8週
齢)1匹あたり100μgの量のFGF−1を、二週間お
きに皮下及び腹腔内投与により合計3回免疫し、最終免
疫から3日後に、脾臓細胞を採取した。脾臓細胞15×10
7 個及びミエローマ細胞3×107 個を培地中で混合し、
遠心して得られた細胞の混合沈殿を50mlのRPMI-1640 培
地中に再懸濁し、再び遠心沈殿させる。上清を完全に除
去した後、細胞沈殿物に一分間かけて1mlの摂氏37度に
保温した50%ポリエチレングリコール溶液を加えなが
ら、激しく攪拌して懸濁する。50%ポリエチレングリコ
ール溶液とは、平均分子量4,000のポリエチレングリコ
ール溶液とRPMI-1640溶液とを1容:1容で混合したも
のである。次に、細胞を均一に懸濁しながらRPMI-1640
培地を8ml加えた後、遠心によって細胞を沈殿させる。
このとき、既に一定の割合で融合細胞ができている。細
胞をHAT培地に懸濁し、96ウェルプレートの一つのウ
ェルあたり、脾臓細胞1×105 個/100μlの濃度で巻き
込む。そして37℃、5%CO2 の条件のもと、インキュベ
ーターで培養する。
【0023】培養開始後4日目、6日目にそれぞれ1ウ
ェルあたり50μlのHAT培地を追加して栄養補給をし
ながら細胞を観察する。通常、9日目ごろに細胞の増殖
の活発なウェルが判定できるようになるので、それぞれ
の培養上清を一定量採集し、まず免疫グロブリンの産生
量について一次スクリーニングを行う。産生量が多いウ
ェルについて、限界希釈法による単クローンの選択及び
二次スクリーニングを行う。すなわち、単クローンの選
択については、ウェル中の細胞数を測定し、計算上細胞
0.1個が1ウェルに入るように細胞を懸濁した培地を多
数のウェルに注入し、培養する。この結果、細胞が増殖
してきたウェルは理論的に単クローンであるが、本発明
の場合は再度限界希釈法によって増殖性の高いクローン
を選択した。二次スクリーニングについては、以下の
「モノクローナル抗体の調製」に述べるように行った。
【0024】(2) モノクローナル抗体の調製 抗体特異性検討用の試料は次のように調製した。まず、
FGF−1cDNAを強制発現させているNIH3T3
細胞をそのままSDS−PAGEサンプルバッファーに
て溶解し、94℃で20分間加熱し、これを15%ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動にて分離した。泳動時に1レーン
あたり細胞1×107 個相当になるように量を調節した。
泳動分離後のFGF−1を含む細胞総タンパク質をニト
ロセルロース膜に転写した。そして1レーン毎にスリッ
プ状に切り放し、1.5%スキムミルクを含む緩衝液でブ
ロッキングした。
【0025】尚、ここで用いたFGF−1cDNAを強
制発現させているNIH3T3細胞は以下のように調製
した。NIH3T3細胞を10%仔ウシ血清を含むDME
M培地にて培養し、サブコンフルエントの細胞密度に達
したときにトリプシン処理により通常の方法で回収し
た。細胞密度を50mMグルコースを含むPBSで1×10
7 個/mlに調製し、そのうち150μlを10μgのFGF−
1cDNAを含む動物細胞発現ベクターDNAと混合
後、2,000 V/cmの電気パルスを3回にわたって細胞に与
え、遺伝子の細胞内導入を行った。細胞をその後24時
間、通常の増殖培地と同じ条件で培養した後、培地をG
418を含む増殖培地に置き換え、その後約二週間培養す
ることによってFGF−1のcDNAが細胞遺伝子に安
定に組み込まれた組み換え体を得た。実際にFGF−1
タンパク質を発現していることの確認は、細胞を溶解
し、総タンパク質混合物から一定のヘパリンアフィニテ
ィーを有するタンパク質を精製し、これを電気泳動、タ
ンパク染色をすることによって行った。
【0026】それぞれのモノクローナル抗体を含む培養
上清を採取し、準備しておいたニトロセルロース膜スリ
ップとインキュベートし、ペルオキシダーゼ標識された
抗マウスIgG抗体と反応させ、これをペルオキシダー
ゼの発光基質と反応させ、X線フィルムを感光させるこ
とにより、抗体のFGF−1反応性とFGF−1以外の
タンパクとの無反応性を検討した。特異的と判定された
ものについて、単クローン細胞を大量培養し、培養上清
から抗体を精製することによりFGF−1特異的モノク
ローナル抗体が得られた。
【0027】必要に応じて細胞をBALB/Cマウスの腹腔内
に投与し、腹腔内で細胞が増殖して抗体を含む腹水が蓄
積した後にこれを採集し、抗体を精製した。以上の結
果、FGF−1モノクローナル抗体を一定に産生するこ
とができる2クローン(TRHD1.2D及びTRHD15.
5G)を得ることができた。本発明のFGF−1モノク
ローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通商産業省
工業技術院生命工学工業技術研究所に、TRHD1.2D
についてはFERM P-14860、TRHD15.5GについてはFE
RM P-14861として寄託されている。
【0028】次に、このハイブリドーマ2クローン(T
RHD1.2D及びTRHD15.5)の産生する抗体(それ
ぞれ「mAb1.2D」、「mAb15.5G」と称する)を
用いて、FGF−1を強制発現させたNIH3T3細胞
総タンパク質の免疫ブロッティングを行った。結果を図
1に示す。
【0029】レーン1は、大腸菌で発現させ精製した純
FGF−1タンパク質を、SDS−15%ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動(以下「SDS−PAGE」という)
後ニトロセルロースに転写し、mAb1.2Dで免疫染色
したもの、レーン2は、FGF−1を強制発現させたN
IH3T3細胞1×107 個に由来する総タンパク質をS
DS−PAGE後ニトロセルロースに転写し、mAb1.
2Dで免疫染色したもの、レーン3は、FGF−1を含
まない発現ベクターのみで形質転換させたNIH3T3
細胞1×107 個に由来する総タンパク質をSDS−PA
GE後ニトロセルロースに転写し、mAb1.2Dで免疫
染色したもの、レーン4は、大腸菌で発現させ精製した
純FGF−1タンパク質をSDS−PAGE後ニトロセ
ルロースに転写し、mAb15.5Gで免疫染色したもの、
レーン5は、FGF−1を強制発現させたNIH3T3
細胞1×107 個に由来する総タンパク質をSDS−PA
GE後ニトロセルロースに転写し、mAb15.5Gで免疫
染色したもの、レーン6はFGF−1を含まない発現ベ
クターのみで軽震転換させたNIH3T3細胞1×107
個に由来する総タンパク質をSDS−PAGE後ニトロ
セルロースに転写し、mAb15.5Gで免疫染色したもの
である。レーン2及びレーン5は、それぞれmAb1.2
D及びmAb15.5GがFGF−1を強制発現させたNI
H3T3細胞由来の総タンパク質のうちFGF−1のみ
を特異的に認識し、その他の細胞タンパク質は認識しな
いことを示している。
【0030】なお、レーン左横の短線(「−」)は、分
子量標準の泳動位置を示しており、下からそれぞれ分子
量約14.5kD、21.5kD、31kD、45kD、66kD、97
kDを示す(以下同じ)。次に、ハイブリドーマスクリ
ーニングの過程で各種の異なるハイブリドーマ由来の抗
体で選択されなかったもの、すなわち、TRHD1.2D
及びTRHD15.5以外の10種類のハイブリドーマによっ
て産生された抗体について電気泳動を行った。
【0031】結果を図2に示す。レーン1〜10は、FG
F−1を強制発現させたNIH3T3細胞1×107 個に
由来する総タンパク質をSDS−PAGE後ニトロセル
ロースに転写し、次いで各種候補モノクローナル抗体で
免疫染色したものである。レーン左側に示された矢印は
FGF−1のバンドの位置を示す。図2より、ハイブリ
ドーマTRHD1.2D及びTRHD15.5以外のハイブリ
ドーマクローンから産生されたモノクローナル抗体は、
FGF−1以外の多くの細胞タンパク質と交差反応して
いることを示す。このことから、単にモノクローナル抗
体がFGF−1に反応する、ということだけでは細胞総
タンパク質からFGF−1のみを選択的に検出すること
が困難であることを示している。
【0032】〔実施例2〕本発明のモノクローナル抗体
を用いたFGF−1の検出 本発明のモノクローナル抗体は、FGF−1を強制発現
させた細胞に存するFGF−1を特異的に検出するのみ
でなく、FGF−1を自然発現する組織及び細胞に存す
る比較的低レベルの量のFGF−1でさえも特異的に検
出することが可能である。すなわち、自然発現している
細胞や組織におけるFGF−1の量は、ウイルスのプロ
モーターなどを用いて強制発現させたFGF−1の量よ
りも総タンパク質単位量あたり1/10程度少ないと考え
られる。
【0033】従って、かかる少ない量のFGF−1であ
っても、本発明のモノクローナル抗体は該FGF−1を
検出することができる点で、上記結果は、本発明のモノ
クローナル抗体が特異性及び有用性を持つことを示すも
のである。実施例1と同様にして、ハイブリドーマクロ
ーン(TRHD1.2D)の産生する抗体(mAb1.2D)
を用いて、再生中の肝臓組織総タンパク質のウェスタン
ブロッティングを行った。
【0034】結果を図3に示す。レーン1は、正常ラッ
ト肝臓組織50mgに由来する総タンパク質をSDS−PA
GE後ニトロセルロースに転写し、mAb1.2Dで免疫
染色したもの、レーン2、3、4は、部分肝切除後それ
ぞれ6時間後、15時間後、24時間後のラット肝臓組織50
mgに由来する総タンパク質を転写し、mAb1.2Dで免
疫染色したものである。
【0035】図3の結果は、肝臓組織において部分肝切
除後に発現量が増加することがmRNAのレベルでしか
示されていなかったものを、mAb1.2Dを用いること
により初めて総タンパク質レベルで示すことができたこ
とを示す。これは、mAb1.2DがFGF−1以外の細
胞タンパク質と交差反応しないことから可能となったも
のである。すなわち、mAb1.2Dは、正常肝臓に存在
することが知られているタンパク質、例えばアルブミ
ン、セロトランスフェリン、アクチン、ヘモグロビン、
HGF (Hepatocyte Growth Factor; HGFは肝再生で発
現することが知られている) などのFGF−1以外の全
てのタンパク質とは反応せず、FGF−1のみと特異的
に反応することを示すものである。
【0036】図4は、mAb1.2D抗体によって筋芽細
胞L6の総タンパク質のウェスタンブロッティングを行
った結果である。図4は、筋芽細胞1×107個に由来す
る総タンパク質をSDS−PAGE後ニトロセルロース
に転写し、mAb1.2Dで免疫染色したものである。図
4より、FGF−1以外の細胞タンパク質との交差反応
は認められないことが示される。すなわち、mAb1.2
Dは、L6細胞で発現していることを本願発明者が見出
したタンパク質、例えばFGF−2、FGF−4、FG
F−6、FGF−7、FGF−9などのFGF−1以外
の全てのタンパク質とは反応せず、FGF−1のみと特
異的に反応することを示すものである。
【0037】図5は、低濃度(20ng/ml)のFGF−1で
増殖刺激した繊維芽細胞BALB/C 3T3の総タンパク質のウ
ェスタンブロッティングを行った結果である。レーン1
及び2は、低濃度(20ng/ml)のFGF−1タンパク質を
異なるロットの繊維芽細胞BALB/C 3T3の1×107個に与
えた後、その細胞の総タンパク質をSDS−PAGE後
ニトロセルロースに転写し、mAb1.2Dで免疫染色し
たものである。レーン3は、FGF−1未処理の繊維芽
細胞BALB/C 3T3の1×107個に由来する総タンパク質を
電気泳動後ニトロセルロースに転写し、mAb1.2Dで
免疫染色したものである。
【0038】FGF−1を吸着又は取り込んでいるBALB
/C 3T3細胞(レーン1および2)では、本発明のモノク
ローナル抗体は、FGF−1のみと特異的に反応して1
本のバンドとして現れる。これに対し、FGF−1を吸
着又は取り込んでいないBALB/C 3T3細胞(レーン3)で
はバンドが現れない。このことは、FGF−1以外の他
のすべてのBALB/C 3T3細胞の細胞タンパク質とは反応し
ないことを示されている。
【0039】図6は、特異的抗体として市販されている
ウサギポリクローナル抗体FGF−1抗体(R&D社
製)でFGF−1(レーン1)及びその短縮形(レーン
2)を強制発現させたL6細胞および未処置のL6細胞
(レーン3及び4)の総タンパク質のウェスタンブロッ
ティングを行った結果である。かかる市販のウサギポリ
クローナル抗体FGF−1抗体は、FGF−1と反応す
る他、細胞由来の多くのタンパク質との交差反応が認め
られた。
【0040】
【発明の効果】本発明により、FGF−1のみと特異的
に反応するモノクローナル抗体が得られる。本発明のモ
ノクローナル抗体は、FGF−1の生化学的な解析、例
えばFGF受容体に対するFGFの結合様式の解析をす
るための試薬として有用である。更に、本発明のモノク
ローナル抗体は、各種疾病及び健康状態などの診断およ
び疾病の進行や治療効果の判定、さらにそれら疾病の治
療及び状態の人為的操作などに広く利用することができ
る。
【0041】この対象の中には、FGF−1の発現が関
与しているものをすべて含む。例えば、肝臓再生、心筋
細胞や骨格筋細胞における細胞増殖や分化、血管新生お
よびこれを含む癌の転移や進行にかかわる病変、リュー
マチ性関節炎、脳における学習中枢、脳における摂食行
動を司る中枢、脳神経系における神経細胞及びグリア細
胞の生理的および病理的神経繊維伸展やシナプス形成及
びその維持、アルツハイマー病などが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウェスタンブロッティングにおける電気泳動の
結果を示す写真である。
【図2】ウェスタンブロッティングにおける電気泳動の
結果を示す写真である。
【図3】ウェスタンブロッティングにおける電気泳動の
結果を示す写真である。
【図4】ウェスタンブロッティングにおける電気泳動の
結果を示す写真である。
【図5】ウェスタンブロッティングにおける電気泳動の
結果を示す写真である。
【図6】ウェスタンブロッティングにおける電気泳動の
結果を示す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 特許権者において、実施許諾の用意がある。 (56)参考文献 Science 233(1986)p.541 −545 Analytical Bioche mistry 186(1990)p.121− 126 J.Biol.Chem.260[21 ](1985)p.11389−11392 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) BIOSIS(DIALOG) JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維芽細胞増殖因子−1のみと特異的に
    反応し、繊維芽細胞増殖因子−1以外の細胞タンパク質
    とは反応しないことを特徴とする繊維芽細胞増殖因子−
    1モノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 受託番号がFERM P-14860又はFERM P-148
    61であるハイブリドーマにより産生される、請求項1記
    載のモノクローナル抗体。
  3. 【請求項3】 繊維芽細胞増殖因子−1で免疫した哺乳
    動物の免疫細胞と骨髄種細胞との融合細胞から産生され
    るモノクローナル抗体を、繊維芽細胞増殖因子−1遺伝
    子を含む発現ベクターにより形質転換された形質転換体
    又は繊維芽細胞増殖因子−1を自然発現している細胞か
    ら産生される総タンパク質と反応させ、前記モノクロー
    ナル抗体のうち、該総タンパク質中の繊維芽細胞増殖因
    子−1のみと特異的に反応し、繊維芽細胞増殖因子−1
    以外の細胞タンパク質とは反応しないモノクローナル抗
    体を選出することを特徴とする繊維芽細胞増殖因子−1
    モノクローナル抗体の製造方法。
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Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Analytical Biochemistry 186(1990)p.121−126
J.Biol.Chem.260[21](1985)p.11389−11392
Science 233(1986)p.541−545

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