JP2960480B2 - ブタンと水素含有ハロカーボンの共沸組成物 - Google Patents

ブタンと水素含有ハロカーボンの共沸組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 この発明は、n−ブタンおよびイソブタンを用い、エ
アゾール噴射剤およびポリマーフォームの発泡剤として
使用する1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン
(HCFC−124)および1−クロロ−1,1−ジフルオロエタ
ン(HCFC142b)の共沸混合物に関する。
発明の背景 独立セルポリウレタンフォームは、建築およびエネル
ギー効率電気機器の製造において絶縁の目的で広く使用
されている。建築産業において、ポリウレタン(ポリイ
ソシアヌレート)板状素材は、その絶縁および荷重支持
能力のために屋根材料および羽目板に使用されている。
流し込まれたおよびスプレーされたポリウレタンフォー
ムも建築において使用される。スプレーされたポリウレ
タンフォームは、貯蔵タンク等のような大きな構造物を
絶縁するために広く使用されている。流し込まれたポリ
ウレタンフォームは、例えば、冷蔵庫およびフリーザー
のような機器に使用され、さらに、それらは冷蔵トラッ
クおよび貨車を作る上で使用される。
これらの種々のタイプのポリウレタンフォームのすべ
ては、製造するために発泡剤を必要とする。絶縁フォー
ムは、ハロカーボン発泡剤の使用に依存している。それ
は、ポリマーの発泡だけでなく、むしろ主として低蒸気
熱伝導率のためであり、それは、絶縁値のためにとても
重要な特性である。従来、ポリウレタンフォームは、主
要な発泡剤としてトリクロロフルオロメタンを用いて作
製される。
絶縁フォームの第2の重要なタイプは、フェノール樹
脂フォームである。とても興味深い難燃特性を有するこ
れらのフォームは、通常クロロトリフルオロメタンおよ
び1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(CF
C−113)発泡剤を用いて作製される。
絶縁フォームの第3のタイプは、熱可塑性フォーム、
主としてポリスチレンフォームである。ポリオレフィン
フォーム(ポリエチレンおよびポリプロピレン)は、包
装に広く使用されている。これらの熱可塑性フォーム
は、一般に、発泡剤としてジクロロジフルオロメタンを
用いて作製される。
家庭的、個人的、または工業的使用のために設計され
た多くの製品は、エアゾール製品として入手可能であ
る。そのような製品およびこの発明の噴射剤システムが
用いられるものの典型的な例は、ヘアスプレー、デオド
ラント、およびコロンのような個人的製品、ワックス、
艶出し剤、パンスプレー、ルームフレッシュナー、およ
び家庭用殺虫剤のような家庭的製品、洗浄剤、潤滑剤、
および離型剤のような工業的製品、並びに洗浄剤、艶出
し剤のような自動車工業製品を含む。そのようなすべて
の製品は、容器から活性成分を追い出すために、噴射剤
ガスまたは噴射剤ガスの混合物(すなわち、噴射剤ガス
システム)の圧力を利用する。このため、ほとんどのエ
アゾールは、液化されたガスを使用する。それは、エア
ゾール容器の弁が開口されたときに、蒸発し、圧力を与
えて活性成分を噴射する。
エアゾール製品の噴射に関する重要な物理的特性は、
噴射剤の蒸気圧である。この発明の視点からの蒸気圧
は、液化された噴射剤ガスがエアゾールカンのような閉
ざされた容器内でその蒸気と平衡状態にあるときに働く
圧力である。蒸気圧は、蒸気/液体混合物を含むエアゾ
ールカンまたはガスシリンダーの弁に圧力計を連結する
ことにより測定し得る。米国エアゾール産業における蒸
気圧の測定の標準規格は、一定の温度、最も一般的に70
゜F(21℃)でガス/液体混合物を用いて平方インチ当
たりのポンド数(psig)である。エアゾール噴射剤とし
て最も広く使用される液化されたガスの蒸気圧は、70゜
F(21℃)で約20〜90psig(138〜620kPag)の範囲にわ
たって変化する。この発明の噴射剤システムは、この後
者の範囲における蒸気圧を有する。
1970年代初め、成層圏のオゾン層(紫外線放射による
地球上の大気の透過に対する保護を提供する)が、放出
された充分にハロゲン化されたクロロフルオロカーボン
から大気中に導入された塩素原子により消耗されるとい
う関心が表されはじめた。これらのクロロフルオロカー
ボンは、エアゾールの噴射剤として、フォームの発泡剤
として、冷媒として、および洗浄/乾燥溶媒系として使
用される。充分にハロゲン化されたクロロフルオロカー
ボンの高い化学的安定性のために、オゾン消耗理論によ
り、これらの化合物は地球の大気中で分解せずに成層圏
に到達する。そこで、それらはオゾンと順次反応する遊
離した塩素原子にゆっくり分解する。
この関心事は、1978年に米国環境保護局(EPA)が、
エアゾール噴射剤としての充分にハロゲン化されたクロ
ロフルオロカーボンの不必要な使用の禁止令を施行した
というレベルに到達した。この禁止令は、米国において
クロロフルオロカーボン噴射剤(免除された用途を除い
て)から主として炭化水素噴射剤への劇的な転換をもた
らした。しかしながら、世界の残りの国が、このエアゾ
ール禁止令において協同しなかったので、正味の結果
は、米国製のエアゾールにおけるクロロフルオロカーボ
ンの使用が転換されているが、世界的な全クロロフルオ
ロカーボン生産量は不変的に思うようには減少していな
い。事実、ここ2〜3年において、世界的に製造された
クロロフルオロカーボンの総量は、1978年(米国禁止令
前)に製造されたレベルを越えている。
1979年から1987年の期間中、オゾン消耗理論を研究す
るため、多くの調査が行われた。大気化学の複雑さのた
めに、この理論に関する多くの問題が未解決のまま残さ
れている。しかしながら、理論が正当であると仮定し
て、オゾン層の消耗から生ずるであろう健康への危険は
重大である。クロロフルオロカーボンの世界的生産量が
増加する事実と結びついたこのことは、クロロフルオロ
カーボンの使用を減少させるための国際的な努力をもた
らした。特に、1987年9月に、米国環境保護局(UNEP)
は、1998年まで充分にハロゲン化されたクロロフルオロ
カーボンの世界的な生産量の50%削減を要求する試験的
な提案を発した。この提案は、1989年1月1日に批准さ
れ、1989年6月1日に有効となった。
トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタ
ン、および1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエ
タンのような充分にハロゲン化されたクロロフルオロカ
ーボンの入手可能性におけるこの提案された減少のため
に、代わりに、より環境上満足できる生成物が緊急に必
要とされる。
オゾン消耗理論の最初に出現した早くも1970年代に、
前もって充分にハロゲン化されたクロロフルオロカーボ
ンへの水素の導入が、これらの化合物の化学的な安定性
を著しく減少させることが知られていた。このため、こ
れらの不安定な化合物は、大気中で分解し、成層圏およ
びオゾン層に到達しないことが予期されるであろう。下
記の表は、充分におよび部分的にハロゲン化された種々
のハロカーボンのオゾン消耗ポテンシャルを記載する。
温室ポテンシャルデータ(赤外線(熱)を反射するおよ
びそれにより地球の表面温度を上昇させるポテンシャ
ル)も併記する。
CF3CHFCおよびCF2CCH3のようなハロカーボンは、
理論的に最小のオゾン消耗の効果を有することにおいて
環境上、許容し得る。
1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタンおよび
1−クロロ−1,1−ジフルオロエタンは、エアゾール噴
射剤およびフォーム発泡剤として有用性を有するが、共
沸混合物は、低オゾン消耗ポテンシャルを維持しつつ、
分留しないエアゾール噴射剤および発泡剤として改良さ
れた特性を有する比較的経済的な系を提供する。
あいにく、この技術分野で認識されているように、共
沸混合物の形成を前もって知ることは不可能である。
この事実は、この分野での用途を有する新しい共沸混
合物の調査を明らかに複雑化している。それにもかかわ
らず、望ましい特性を有する新しい共沸混合物を発見す
るために技術的に絶え間ない努力がなされている。
発明の概要 請求項1の発明は、84.6〜88.2重量%の1−クロロ−
1,2,2,−テトラフルオロエタンおよび11.8〜15.4重量%
のn−ブタン;68.5〜76.5重量%の1−クロロ−1,2,2,2
−テトラフルオロエタンおよび23.5〜31.5重量%のイソ
ブタン;74.6〜83.2重量%の1−クロロ−1,1−ジフルオ
ロエタンおよび16.8〜25.4重量%のn−ブタン;58.6〜6
2.4重量%の1−クロロ−1,1−ジフルオロエタンおよび
37.6〜41.4重量%のイソブタンからなる群から選ばれる
いずれか1つの組合せの構成要素を主に含むことを特徴
とする。
請求項2の発明は、活性成分がエアゾール容器内で請
求項1の共沸組成物と混合され、共沸組成物が噴射剤と
して機能するエアゾール配合物を製造することを特徴と
する。
請求項3の発明は、発泡剤として、84.6〜88.2重量%
の1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタンおよび1
1.8〜15.4重量%のn−ブタンの組合せの構成要素、ま
たは68.5〜76.5重量%の1−クロロ−1,2,2,2−テトラ
フルオロエタンおよび23.5〜31.5重量%のイソブタンの
組合せの構成要素を主に含む共沸組成物の有効量を使用
して熱可塑性ポリマーフォームを調製することを特徴と
する。
ここで、共沸組成物の量は、全ポリマーフォーム配合
物の5〜30重量%であることができる。
さらに、ポリマーフォームは、ポリスチレンフォーム
若しくはポリオレフィンフォームであってもよい。
請求項1の発明が、主に84.6〜88.2重量%の1−クロ
ロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタンおよび11.8〜15.4
重量%のn−ブタンからなる共沸組成物であるか、主に
68.5〜76.5重量%の1−クロロ−1,2,2,2−テトラフル
オロエタンおよび23.5〜31.5重量%のイソブタンからな
る共沸組成物であるか、主に74.6〜83.2重量%の1−ク
ロロ−1,1−ジフルオロエタンおよび16.8〜25.4重量%
のn−ブタンからなる共沸組成物であるか、主に58.6〜
62.4重量%の1−クロロ−1,1−ジフルオロエタンおよ
び37.6〜41.4重量%のイソブタンからなる共沸組成物で
あることができる。
請求項1の発明は、主に約86.4重量%の1−クロロ−
1,2,2,2−テトラフルオロエタンおよび約13.6重量%の
n−ブタンからなる共沸組成物であってもよく、また
は、主に約72.5重量%の1−クロロ−1,2,2,2−テトラ
フルオロエタンおよび約27.5重量%のイソブタンからな
る共沸組成物であってもよく、または、主に約78.9重量
%の1−クロロ−1,1−ジフルオロエタンおよび約21.1
重量%のn−ブタンからなる共沸組成物であってもよ
く、または、主に約60.5重量%の1−クロロ−1,1−ジ
フルオロエタンおよび約39.5重量%のイソブタンからな
る共沸組成物であってもよい。この発明にしたがって、
n−ブタン若しくはイソブタンと1−クロロ−1,2,2,2
−テトラフルオロエタン(HCFC−124)および1−クロ
ロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)との共沸混
合物が見出だされた。
この発明において、これらの共沸混合物をエアゾール
噴射剤およびフォーム発泡剤として使用する方法も含ま
れる。
この発明のすべての共沸混合物は、最小沸点共沸混合
物である。このようにこれらの共沸混合物の沸点は、共
沸成分の沸点より低い。共沸混合物の沸点がその成分の
沸点より低いので、特定の温度で共沸混合物の蒸気圧
は、個々の成分のその温度での蒸気圧よりも高い。
発明の詳細な記述 この発明の共沸混合物は、以下の表に規定されるよう
な組成を有する。
HCFC−124およびHCFC−142bは、エアゾール噴射剤並
びに熱硬化性フォーム(ポリウレタンおよびフェノール
樹脂)および熱可塑性フォーム(ポリスチレン、ポリエ
チレン、およびポリプロピレン)用の発泡剤として有用
である。
ここで使用される「主に含む」は、列挙した共沸混合
物の共沸特性を実質的に変えることのない明確に示さな
い少量の物質を含むことを排除することを意図するもの
ではない。
実施例1 1−クロロ−1,2,2,2テトラフルオロエタン/n−ブタ
ン(86.4/13.6:重量)および1−クロロ−1,1−ジフル
オロエタン142b/n−ブタン(78.9/21.1:重量)を用いて
エアゾールルームフレッシュナーを調製した。その配合
割合と蒸気圧を第3表に報告した。
実施例2 HCFC−124/n−ブタン共沸混合物およびその成分のポ
リスチレンにおける溶解性を、これらの発泡剤(約50
g)とポリスチレン片(長さ約2.5cm、幅0.5cm、厚さ0.5
cm)を耐圧ビン内において室温で7日間混合することに
より測定した。ビンから取り出したポリスチレンの重量
増加および容量増加は、非拡散ガス(HCFC−124)の存
在を示す。第4表のデータは、HCFC−124およびn−ブ
タン単独に比べてHCFC−124/n−ブタン共沸混合物のポ
リスチレンにおける溶解性が優れることを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09K 3/00 111 C09K 3/00 111B 3/30 3/30 N // C08L 23:00 25:00 (72)発明者 ロバート・アレキサンダー・ゴルスキ アメリカ合衆国、デラウエア州 19711、 ニューアーク、ハーバード・レーン 735 (56)参考文献 特開 平2−105833(JP,A) 特開 昭63−33431(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 3/00 111 C09K 3/30 C08J 9/14 C07C 19/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】84.6〜88.2重量%の1−クロロ−1,2,2,2
    −テトラフルオロエタンおよび11.8〜15.4重量%のn−
    ブタン;68.5〜76.5重量%の1−クロロ−1,2,2,2−テト
    ラフルオロエタンおよび23.5〜31.5重量%のイソブタ
    ン;74.6〜83.2重量%の1−クロロ−1,1−ジフルオロエ
    タンおよび16.8〜25.4重量%のn−ブタン;58.6〜62.4
    重量%の1−クロロ−1,1−ジフルオロエタンおよび37.
    6〜41.4重量%のイソブタンからなる群から選ばれるい
    ずれか1つの組合せの構成要素を主に含むことを特徴と
    する共沸組成物。
  2. 【請求項2】活性成分がエアゾール容器内で請求項1の
    共沸組成物と混合され、該共沸組成物が噴射剤として機
    能することを特徴とするエアゾール配合物の製造方法。
  3. 【請求項3】発泡剤として、84.6〜88.2重量%の1−ク
    ロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタンおよび11.8〜15.
    4重量%のn−ブタンの組合せの構成要素、または68.5
    〜76.5重量%の1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロ
    エタンおよび23.5〜31.5重量%のイソブタンの組合せの
    構成要素を主に含む共沸組成物の有効量を使用して熱可
    塑性ポリマーフォームを調製することを特徴とするポリ
    マーフォーム調製方法。
  4. 【請求項4】共沸組成物の量は、全ポリマーフォーム配
    合物の5〜30重量%であることを特徴とする請求項3に
    記載のポリマーフォーム調製方法。
  5. 【請求項5】ポリマーフォームは、ポリスチレンフォー
    ム若しくはポリオレフィンフォームであることを特徴と
    する請求項3または4のいずれかに記載の調製方法。
  6. 【請求項6】86.4重量%の1−クロロ−1,2,2,2−テト
    ラフルオロエタンおよび13.6重量%のn−ブタン;72.5
    重量%の1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン
    および27.5重量%のイソブタン;78.9重量%の1−クロ
    ロ−1,1−ジフルオロエタンおよび21.1重量%のn−ブ
    タン;60.5重量%の1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン
    および39.5重量%のイソブタンからなる群から選ばれる
    いずれか1つの組合せの構成要素を主として含むことを
    特徴とする請求項1に記載の共沸組成物。
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