JP2955246B2 - アンカーピン - Google Patents

アンカーピン

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JP2955246B2
JP2955246B2 JP9037915A JP3791597A JP2955246B2 JP 2955246 B2 JP2955246 B2 JP 2955246B2 JP 9037915 A JP9037915 A JP 9037915A JP 3791597 A JP3791597 A JP 3791597A JP 2955246 B2 JP2955246 B2 JP 2955246B2
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  • Underground Structures, Protecting, Testing And Restoring Foundations (AREA)
  • Lining And Supports For Tunnels (AREA)
  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)
  • Bridges Or Land Bridges (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、橋梁、トンネル、
建物等のコンクリート躯体を補強するためのアンカーピ
ンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンクリート躯体の表面に炭素繊
維、硝子繊維、合成樹脂、金属メッシュ網等からなるシ
ート材や薄鉄板等の鋼板等の補強材を接着剤で貼着して
コンクリート躯体を補強する手段(以下、貼着補強法と
いう)が用いられているが、かかるコンクリート躯体の
貼着補強法にあっては、コンクリートから生ずる水分に
よって接着面が剥離して補強材が浮き上がり、コンクリ
ート躯体と補強材の一体性が失われることとなってコン
クリート躯体の補強として十分に機能しなくなるという
問題点があった。
【0003】かかる問題点に鑑みて、本件出願人は、特
願平7−228717号に記載されたアンカーピンを提
案した。即ち、少なくとも後端部に開口部が設けられ、
且つ該開口部に連通する貫通中空部を有するパイプ状の
アンカーピン本体の周壁に、前記貫通中空部に連通する
孔が穿設された構成からなり、かかるアンカーピンをコ
ンクリート躯体に固定することにより、コンクリート躯
体内部から生ずる水分をアンカーピン本体の周壁に穿設
された孔から貫通中空部を通じ、アンカーピン本体の開
口部から外部へ排出させることができ、補強材の剥離を
防止できるという効果を奏する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、先に提案し
たアンカーピンは上述のように有益な効果を得ることが
できるのであるが、施工現場の状況によっては開口部か
ら排出される水分が多いため、それが水滴として排出さ
れたり、或いは寒冷地に於いては水蒸気として排出され
ず水滴として排出される場合があるという点に気付い
た。このように開口部から水滴として排出されると、例
えば、トンネルのコンクリート壁に上記アンカーピンを
施工した場合には、水滴が路面に落ちて凍結する虞があ
り、又、走行中の車両のフロントガラスに水滴が落ちる
虞もある。
【0005】本発明は、上記の如き問題点に鑑みてなさ
れたもので、コンクリート躯体から生ずる水分を排出す
る際、水滴として排出される状況にあっても、当該水滴
を外部に漏らすことなく保持できるように改良されたア
ンカーピンを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたもので、その課題を解決するため
の手段は、少なくとも後端部1cに開口部2 が設けられ、
且つ該開口部2 に連通する貫通中空部1aを有するパイプ
状のアンカーピン本体1 の周壁に、前記貫通中空部1aに
連通する通水孔10が穿設されたアンカーピンに於いて、
記開口部2 から排出される水滴を保持する水保持手段
20が設けられてなることにある。
【0007】かかる水滴保持手段20が設けられたアンカ
ーピンをコンクリート躯体に固定することにより、コン
クリート躯体内部から生ずる水分は、アンカーピン本体
の周壁に穿設された通水孔10から貫通中空部1aを通じ、
アンカーピン本体1 の開口部2 から外部へ排出されるこ
ととなるが、その際、水滴として排出される水分は、水
滴保持手段20によって保持され、外部に漏れることがな
い。
【0008】さらに、請求項2記載の手段は、前記アン
カーピン本体1 の後端部1cには、排出孔18が穿設された
キャップ16が着脱自在に取付けられ、該キャップ16に
は、前記開口部2 と排出孔18に連通する空洞部19が設け
られていると共に、該キャップ16の空洞部19には、前記
水滴保持手段20として透湿防水材が設けられてなること
にある。
【0009】このように水滴保持手段20が透湿防水材か
ら構成され、且つ該透湿防水材がキャップ16の空洞部19
に設けられていれば、アンカーピン本体1 の開口部2 か
ら排出される水分が気体たる水蒸気であれば、透湿防水
材を通過してキャップ16の排出孔18から外部に排出さ
れ、該開口部2 から排出される水分が液体たる水滴であ
れば、透湿防水材を通過できずキャップ16の空洞部19内
に保持されることとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るアンカーピン
の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に於いて、1 は、板材を曲げ加工して貫通中空部1a
が形成されたパイプ状のアンカーピン本体を示し、その
先端部1b及び後端部1cには、前記貫通中空部1aに連通す
る開口部2,2 が開口されている。さらに、その先端部1b
近傍には一対の突起部3 がパイプ内側に対向する位置に
突設されている。
【0011】また、前記突起部3 に対して90°位相し、
且つアンカーピン本体1 の後端部1cに寄った位置には一
対の小孔5,5 が対向して穿設され、しかもその小孔5,5
から先端部1bにかけて切込6,6 が設けられている。かか
るアンカーピン本体1 は、非電導性のプラスチックで形
成されている。このように非電導性のプラスチックでア
ンカーピン本体1 が構成されることにより、コンクリー
ト躯体内部に配設された鉄筋に外部から電気が流れるこ
とはなく、従って、コンクリート躯体内部に配設された
鉄筋の電食を防止できるという利点がある。
【0012】さらに、貫通中空部1a内には、拡張具4 が
挿入されており、該拡張具4 をアンカーピン本体1 の後
端部1cの開口部2 から打ち込むことにより、突起部3,3
が押し拡げられてアンカーピン本体1 の先端部1b側がコ
ンクリート躯体に食い込み固定される。かかる突起部3
、切込6,6 及び拡張具4 にてアンカー固定手段が構成
されている。
【0013】また、アンカーピン本体1 の後端部1cの外
周壁には、ピン雄螺子部8 が螺設されている。10は、ア
ンカーピン本体1 の周壁に複数ケ所穿設された長楕円状
の通水孔を示す。該通水孔10は、コンクリート躯体から
出る水分をアンカーピン本体1 の貫通中空部1aに通すた
めの孔であって、その形状は、長楕円状に限定されず、
又、アンカーピン本体1 の周壁に少なくとも1ケ所穿設
されていればよい。
【0014】11は、中心に前記ピン雄螺子部8 に螺合し
うる座体雌螺子部12が螺設され、且つ外周壁に座体雄螺
子部14が螺設された円盤状の座体を示し、該座体雌螺子
部12にてアンカーピン本体1 に螺合されている。さら
に、座体11には、複数の埋設孔15が穿設されている。
【0015】16は、前記座体11の座体雄螺子部14に螺合
しうるキャップ雌螺子部17が螺設された略碗状のキャッ
プを示し、該キャップ16を形成する構成壁16a 全体に複
数の排出孔18が穿設されている。該排出孔18は、通水孔
10と同様に必ずしも複数穿設されていなければならない
わけではない。かかるキャップ16には、その内部にアン
カーピン本体1 の後端部1cの開口部2に連通する空洞部1
9が設けられている。従って、アンカーピンがコンクリ
ート躯体に固定された際、コンクリート躯体から生ずる
水分は、アンカーピン本体1 の通水孔10から貫通中空部
1aを経て開口部2 からキャップ16の空洞部19に至り、キ
ャップ16の排出孔18から外部に排出されることとなる。
【0016】20は、前記キャップ16の空洞部19に介装さ
れた水滴保持手段を示し、かかる水滴保持手段20は、水
蒸気は通過させ、且つ水滴は通さないシート状の透湿防
水材20a からなり、キャップ16の全ての排出孔18を内側
から閉鎖するように貼設されている。透湿防水材20a と
しては、例えば、ポリウレタン樹脂等を用いて布の表面
に微多孔を有する皮膜を形成したもの、その他、超極細
繊維を高密度に織り上げたもの等が該当し、気体である
水蒸気を通し、液体である水滴を通さない。
【0017】次に、上記構成からなるアンカーピンの使
用方法について説明する。先ず、図2に示すように、炭
素繊維シート材等の補強材22がエポキシ樹脂等の接着剤
によって貼着されたコンクリート躯体23に、その補強材
22の上からドリルにて、アンカーピン本体1 が嵌入可能
で、且つアンカーピン本体1 を嵌入した際にそのピン雄
螺子部8 が補強材22の外面22a 側に突出する程度の深さ
の取付穴24を設ける。
【0018】尚、アンカーピン本体1 を嵌入する取付穴
24の数は、施工場所、アンカーピン本体1 の大きさ、通
水孔10の大きさ及び穿設数等によって異なるが、例え
ば、1平方メートル当たり4ケ所を目安とし、略等間隔
に設ける。
【0019】そして、前記取付穴24にアンカーピン本体
1 を嵌入し、後端部1cの開口部2 から打込棒(図示せ
ず)を挿入してその拡張具4 の後端を打叩してアンカー
ピン本体1 の先端部1bを拡開して固定する。
【0020】アンカーピン本体1 を固定した後、アンカ
ーピン本体1 のピン雄螺子部8 に座体11を補強材22の外
面22a に当接するまで螺合する。
【0021】次に、座体11の外面11a 側1 エポキシ樹脂
等の硬化性接着剤26を塗布し、該接着剤26を固化させ
る。かかる接着剤26は、座体11の埋設孔15に埋入し、且
つ補強材22の外面22a に接着することとなるから、座体
11は、その埋設孔15に接着剤26の釘を打たれたような状
態となり、完全に固定されることとなる。最後に、座体
11の座体雄螺子部14に透湿防水材20a が設けられたキャ
ップ16を螺合する。
【0022】施工後、コンクリート躯体23から生ずる水
分は、アンカーピン本体1 の通水孔10から貫通中空部1a
を通り、アンカーピン本体1 の後端部1cの開口部2 から
キャップ16内へと排出される。この際、コンクリート躯
体23から生ずる水分が、液体、即ち、水滴として排出さ
れた場合には、透湿防水材20a によってキャップ16内に
保持され(図2の二点鎖線で示す)、一方、気体、即
ち、水蒸気として排出された場合には、透湿防水材20a
を通過してキャップ16の排出孔18から外部に排出される
こととなる。
【0023】従って、コンクリート躯体23から生ずる水
分をアンカーピンを介して排出してコンクリート躯体23
の補強を行なえるだけでなく、施工現場の状況等に拘ら
ず、水滴として排出されないので、例えば、本発明に係
るアンカーピンをトンネル工事に使用しても、水滴落下
による路面の凍結等の虞もないのである。
【0024】また、キャップ16はアンカーピン本体1 に
そのキャップ雌螺子部17を介して着脱自在であるため、
透湿防水材20a によって多量に液体の水分が保持されて
いる場合には、キャップ16を取外してその水分を除去
し、再度アンカーピン本体1 に取り付ければよい。
【0025】尚、上記実施形態に於いて、水滴保持手段
20は、透湿防水材20a から構成されてなり、水蒸気は排
出し、水滴のみを保持するという作用があり、必要以上
に水分を保持しないという利点があるが、必ずしも、水
滴保持手段20は透湿防水材20a に限定されず、例えば、
吸水材を用いてもよい。吸水材からなる水滴保持手段20
であっても、少なくとも水滴を吸収して保持することが
できるからである。
【0026】例えば、綿、麻等の天然繊維、レーヨン、
ポリエステル等の人造繊維等を用いることができる。中
でも、高吸水性ポリマーは、多量の水分を吸収し、保持
力も高いので好ましい。また、上記実施形態に於いて、
水滴保持手段20は、シート状に形成されたものからなる
が、必ずしもシート状に限定されるものではないことは
勿論のことである。
【0027】さらに、上記実施形態に於いて、水滴保持
手段20たる透湿防水材や吸水材は、排出孔18が設けられ
たキャップ16の内側に設けられているが、必ずしも水滴
保持手段20はかかるキャップ16に設けられていなければ
ならないわけではなく、例えば、図3に示すように、透
湿防水材や吸水材をキャップ16を構成する構成壁16aに
形成しても上記と同様の効果を奏する。
【0028】また、水滴保持手段20の他の実施形態とし
て、図4に示すように、アンカーピン本体1 の後端部1c
に設けられた受け皿20b であってもよい。かかる受け皿
20b は、略碗状に形成された受け皿本体27と、該受け皿
本体27の上端縁に対向して固着された一対の帯状連結部
28とからなり、アンカーピン本体1 の後端部1cにその連
結部28の上端側が回動可能に枢支されている。かかる受
け皿20b からなる水滴保持手段20は、アンカーピンをコ
ンクリート躯体に固定した際、アンカーピン本体1 の開
口部2 から排出される水滴は、開口部2 から重力に従っ
て下方に落下するため、受け皿本体27に溜まり保持され
ることとなる。尚、受け皿本体27は連結部28を介して回
動可能に枢支されているので、自重により開口部2 の下
方に位置することとなる。
【0029】また、上記実施形態に於いて、アンカー固
定手段は、アンカーピン本体1 に設けられた突起部、切
込及び拡張具にて構成されてなるが、必ずしもアンカー
保持手段はかかる構成に限定されず、例えば、アンカー
ピン本体1 の外周壁に複数の凸部を設けることによりア
ンカー保持手段としてもよい。かかる保持手段の設けら
れたアンカーピンは、コンクリート躯体の取付穴に強嵌
することにより、その凸部が取付穴の周壁に食い込み固
定される。要は、コンクリート躯体23に固定可能な手段
がアンカーピンに具備されていればよいのである。
【0030】
【発明の効果】叙上のように、本発明に係るアンカーピ
ンによれば、コンクリート躯体から出る水分を外部へ排
出する際、水滴として排出される水分は、水滴保持手段
によって保持されるので、水滴が外部に排出されない。
従って、例えば、貼着補強法が用いられているトンネル
のコンクリート躯体に本発明に係るアンカーピンを補強
しても、水滴を排出しないので、路面を凍結させる等の
虞もないのである。
【0031】さらに、請求項2記載の手段によれば、水
蒸気を通過させ、水滴を保持することができる。つま
り、路面に落下等されると問題となる水滴のみを保持す
ることができ、従って、保持された水を除去しなければ
ならない程に水分を多量に出すコンクリート躯体に固定
された場合であっても、その除去作業の回数を少なくす
ることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアンカーピンの一実施形態を示す
縦割り断面図。
【図2】アンカーピンをコンクリート躯体に固定した状
態を示す断面図。
【図3】本発明に係るアンカーピンの他実施形態を示す
縦割り断面図。
【図4】本発明に係るアンカーピンの他実施形態を示す
縦割り断面図。
【符号の説明】
1 …アンカーピン本体、1a…貫通中空部、1c…後端部、
2 …開口部、10…孔、16…キャップ、18…排出孔、19…
空洞部、20…水滴保持手段

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも後端部(1c)に開口部(2) が設
    けられ、且つ該開口部(2) に連通する貫通中空部(1a)を
    有するパイプ状のアンカーピン本体(1) の周壁に、前記
    貫通中空部(1a)に連通する通水孔(10)が穿設されたアン
    カーピンであって、前記開口部(2) から排出される水滴
    を保持する水滴保持手段(20)が設けられてなることを特
    徴とするアンカーピン。
  2. 【請求項2】 前記アンカーピン本体(1) の後端部(1c)
    には、排出孔(18)が穿設されたキャップ(16)が着脱自在
    に取付けられ、該キャップ(16)には、前記開口部(2) と
    排出孔(18)に連通する空洞部(19)が設けられていると共
    に、該キャップ(16)の空洞部(19)には、前記水滴保持手
    段(20)として透湿防水材が設けられてなる請求項1記載
    のアンカーピン。
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