JP2954964B2 - 処理薬品トレーサーとしての遷移金属 - Google Patents

処理薬品トレーサーとしての遷移金属

Info

Publication number
JP2954964B2
JP2954964B2 JP2044651A JP4465190A JP2954964B2 JP 2954964 B2 JP2954964 B2 JP 2954964B2 JP 2044651 A JP2044651 A JP 2044651A JP 4465190 A JP4465190 A JP 4465190A JP 2954964 B2 JP2954964 B2 JP 2954964B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transition metal
tracer
water
ions
aqueous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2044651A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0315755A (ja
Inventor
イー.ホーツ ジョン
エイチ.バンクス ロドニー
エー.ジョンソン ドナルド
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ChampionX LLC
Original Assignee
Nalco Chemical Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=23225717&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2954964(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Nalco Chemical Co filed Critical Nalco Chemical Co
Publication of JPH0315755A publication Critical patent/JPH0315755A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2954964B2 publication Critical patent/JP2954964B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/18Water
    • G01N33/1813Specific cations in water, e.g. heavy metals
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/18Water
    • G01N33/182Specific anions in water
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T436/00Chemistry: analytical and immunological testing
    • Y10T436/13Tracers or tags

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
  • Extraction Or Liquid Replacement (AREA)
  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)
  • Removal Of Specific Substances (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、トレーサーとして遷移金属を用いて、液体
系の静的操作条件又は変化している操作条件下での処理
薬品のレベルの変化を定量し、液体系への処理薬品の供
給量を制御することに関する。さらに、遷移金属濃度を
利用して、液体系に入る液体の総体積及び量並びに/又
は液体系から出る液体の総体積及び量等のその系の重要
な特性を定量化できる。
〔従来の技術及びその課題〕
処理剤が添加される液体を含む系では、薬剤の供給レ
ベルを適切に維持することは、最善の性能を得るのに欠
かすことができない。処理剤の供給量が適切でないと、
重大な問題が生じる。例えば、処理剤を不適切なレベル
で使用すると、冷却水系の熱処理交換器にすぐにひどい
腐食が生じたり、析出物が形成する。処理剤の濃度を推
定するのに用いられる通常の方法の一つでは、処理剤配
合物中の活性成分(例えば、高分子スケール防止剤、リ
ン酸塩又は有機リン酸塩)のレベルを測定している。こ
の手法は、下記の問題の一つ以上が生じるために十分で
ないことがある。
(1)系の液体又は液体に含有されている物質からのバ
ックグランドによる妨害が起こる。
(2)分析には、大きくて高価な装置が必要である。
(3)時間がかかり、労働集約的な分析は、連続監視と
は相容れない。
(4)系内で活性成分が分解又は析出して読み取りが不
正確となる。
処理剤の供給速度を決定するための別法としては、配
合物又は系にトレーサー化合物を添加することが挙げら
れる。この方法は、処理剤配合物中の活性成分のレベル
を測定するときに通常生じる分解、析出及びバックグラ
ウンド妨害の問題を避けるのに役立つ。しかしながら、
低レベルのトレーサーの定量は、通常、高価な装置と時
間のかかる試験法ともなう問題が大きくなる。さらに考
慮すべき因子としては、トレーサーのコストと環境許容
性が挙げられる。例えば、放射性トレーサーは、非常に
低いレベルで検出できるが、一般的に高価であるととも
に、環境上及び衛生上の観点から受け入れられない。
最終的には、標識又はトレーサーとして選択される化
合物は、水性系に存在する他の薬品に対する指標として
の役割を果たす。これらの標識又はトレーサーは、一定
の基準を満たすものが選択される。例えば、ある種のト
レーサーは、電子装置により連続又は半連続的に検出で
きる。さらに、ある種のトレーサーでは、正確で、反復
性があり並びに/又は多くの異種の水(即ち、清浄水、
混濁水、硬水、軟水等)及びこれらの水の変形形態につ
いて行うことのできる濃度測定ができる。これらの目標
を達成するには、選択されるトレーサーが、試験水に顕
著な量で存在しないことが好ましい。さらに、選択され
るトレーサーは、被試験水に通常存在する他の化学化合
物で妨害又はバイアスされない試験により定量化されな
ければならない。選択されるトレーサーは、処理水中で
は不活性で安定であって処理薬品自体の活性を減少しな
いことが好ましい。
又、トレーサーは、被試験水に溶解するとともに、生
成、保存、凍結・解凍回収等に関して処理薬品と適合す
るものでなければならない。最も重要なこととして、処
理薬品に比して、トレーサーの装置スケールへの混入を
最小に抑えなければならないことが挙げられる。この混
入は、トレーサーが処理水性系から系の装置表面に移動
することである。最後に、トレーサーは、排出されたと
きにどんなタイプであっても環境問題を生じてはならな
い。コストの高い処理法を避けるには、排出されても衛
生上の問題が起こらないような十分低いレベルでトレー
サーが機能することが好ましい。又、トレーサーは、高
濃度であっても毒性がないことが好ましい。さらに、ト
レーサーは、十分に安全であって、所望の濃度で使用し
ても全ての国の法規に合致するものでなければならな
い。
クロム(VI)(例えば、重クロム酸塩、Cr2O7 -2
は、工業冷却水系における冷却水のトレーサーとして使
用されてきた。しかしながら、環境保護局及び職業安全
衛生部では、産業界でのクロム(VI)の使用を制限し
た。又、クロム(VI)は反応性の酸化剤であり、代替ト
レーサー化合物が必要とされている。
本発明は、上記の特定の基準を満足する新規なトレー
サー化合物の知見に基づくものである。
〔課題を解決するための手段〕
遷移金属に属するものが、被試験液媒体に溶解する場
合には、トレーサーとしての使用基準を満足することが
判明した。即ち、これらの遷移金属は、装置スケールへ
の混入が最小であり、一般的には、液体系に使用される
処理薬品よりも混入がはるかに小さいことが判明した。
遷移金属の濃度を測定することにより、液体の体積及び
液体系へ添加される処理剤の量に関してより正確な情報
を得ることができる。その結果、本発明によれば、トレ
ーサーとして遷移金属を用いる方法及び遷移金属トレー
サーを含有する組成物が提供される。
遷移金属は、非遷移金属よりも系における析出物への
混入がはるかに小さいので、トレーサーとして非遷移金
属よりもよいことが判明した。本発明の最も好ましい態
様では、クロム(VI)よりも系における析出物への混入
が小さいバナジウム等の遷移金属を用いる。
補給水源が天然のものであると、非遷移金属に比して
遷移金属濃度が非常に低いことが分かった。例えば、多
くの補給水で高バックグランドレベルで存在することが
判明した非遷移金属としては、アルミニウム及びナトリ
ウムが挙げられる。本発明の好ましい実施態様では、大
多数の工業冷却水系の補給水においてバックグランドレ
ベルが低いとして確認された遷移金属を用いて、より低
濃度で使用できるようにする。
遷移金属のなかでクロム(VI)及び鉛は、国の機関で
使用が制限されているので、本発明で使用されるものか
ら除く。
本発明の目的は、工業プロセス水用処理配合物にトレ
ーサーとして遷移金属を配合して処理薬品の供給量及び
性能を制御することにより、上記した全ての問題を回避
することにある。
本明細書で使用される「遷移金属化合物(transition
metal compound)」とは、遷移金属イオン、オキシア
ニオン、カチオン及び水溶性の関連錯体を意味する。
又、遷移金属化合物には、水中で上記イオン、カチオ
ン、オキシアニオン及び錯体を形成する化合物も含まれ
る。水溶性のものは、定量測定には特に適している。こ
の測定により、工業プロセス水等の流体系における水及
び水処理薬品の供給量を計算で制御できるようになる。
大部分の工業操作では、環境に排出する前に処理を必
要とるか、系又はプロセスに循環するか、系又はプロセ
スに供給する何らかの水系を利用している。
本発明で意図する好ましい水系として、例えば、物理
的又は化学的処理の効果を定量化する必要がある生活廃
水、プロセス廃水、冷却水系、ボイラー水又はプロセス
に使用前、プロセスに使用中若しくは環境へ排出する前
に物理的又は化学的に処理する他の水系が挙げられるが
これらには限定されない。又、本発明は、物理的処理剤
又は化学的処理剤のレベルがその系の性能に影響する広
範囲の水性液体系、水性液体/非水性液体混合系又は非
水性液体系にも利用できる。
本発明で意図する最も好ましい水性系には、冷却系で
使用される冷却水の処理が含まれる。工業プロセスで使
用される冷却系としては、一般的に、例えば、熱交換器
を介して複数の水流路、「補給」水及び「ブローダウ
ン」水の複数源並びに所望のプロセス条件を維持するた
めの制御手段が挙げられる。所望のプロセス条件として
は、例えば、適切な化学処理剤濃度、温度、水流量、水
質及びpHが挙げられる。工業冷却水系の単純化したもの
が、第1図に示すパイロット冷却塔(PCT)である。
パイロット冷却塔では、エネルギーは、熱交換器
(5)のためにより高い温度にある系のプロセス側から
の再循環冷却水により取り出される。この熱伝達の効率
を維持するために、エネルギーは、冷却塔(10)におけ
る再循環水の蒸発冷却により取り除かれる。冷却水の蒸
発(E)により、冷却水(15)に懸濁した固体及び溶解
した固体が濃縮される。この濃縮比(CR)は、系(式
1)への溶解物質及び懸濁物質のレベルの増加の目安と
なる。
熱交換器の表面は、清浄の状態のままとして効率を維
持する必要がある。最も一般的に起こる問題としては、
熱交換器表面に固体が析出したり、そこが腐食したりす
ることが挙げられる。冷却水系には、通常、高い過飽和
レベルにあるスケール生成塩が含有されている。スケー
ル防止剤等の一種以上の化学処理剤(CT)が源から添加
されない限り、系全体に(特に金属交換器部分で)固体
が析出する。金属熱交換器及び水移送ラインの腐食を防
止するために、化学処理剤には通常腐食防止剤が含有さ
れている。もし化学処理剤の供給量が大きすぎるか、小
さすぎると、熱交換器上及び系全体にスケール生成及び
腐食が生じる。
水を経済的に利用し、熱伝達を効率的にし、冷却系全
体の汚れを最小にし、そして運転コストを低くするため
に、溶解固体及び懸濁固体のレベル、系の液体の総体積
並びに化学処理剤の濃度を一定の値の間に維持すること
が不可欠である。濃度比(CR)を許容範囲に維持するた
めに、「高」濃度の不純物を含有する水を系から取り除
いて、〔まとめて「ブローダウン」(B)と定義す
る〕、「低」濃度の不純物を含有する水〔まとめて「補
給水」(M)と定義する〕で置き換える必要がある。濃
縮比の値、蒸発、ブローダウン及び補給水は、天候、工
業プラントの運転条件及び補給水の品質の変化により変
更することができる。これらの因子は全て相関があり、
これらの因子のいずれか一つが変化すると、他の運転パ
ラメーターをそれに対応して変化させることによりバラ
ンスをとらなければならない。冷却水系の動的運転条件
の他に、通常、他の重要な変数及び未知の因子がある。
例えば、ブローダウン水(B)は、種々の経路を通って
冷却系から取り除かれるが、それらのいくつかは全く確
定されない傾向がある。冷却水系から水をとりわけポン
プで供給する速度は、「制御水ブローダウン」として定
義されている。制御水ブローダウンは、大容積の水を実
際に測定するのが困難なために、必ずしも正確には分か
らない。さらに、よく確定されない量の再循環水(説明
のつかない系損失)が、通常、工業プラントの他の部分
に使用されるべき冷却水系から除去される(「未制御プ
ラントブローダウン」と定義する)。再循環水の漏れ及
び冷却水からの液滴のドリフトも、説明のできない系損
失となる。同様の状況が補給水についても生じることが
ある。この場合、総補給水速度(M)は、補給水を再循
環系及び他の源からの液体にとりわけポンプで供給する
総合速度である。冷却水系への化学処理剤の供給速度
は、通常、再循環系へポンプで供給される再循環水ブロ
ーダウン及び補給水に関する値に基づくものであること
から、化学処理剤濃度に関してはかなり不明確である。
冷却水系の運転条件が変化したら、化学処理剤の供給速
度を調整しなければならない。冷却水系をいかに注意深
く監視し且つ制御するかによって、これらの調整を行う
場合と行わない場合がある。供給量を調節したとして
も、冷却系内の化学処理剤濃度は、一般的に、その変化
に対してゆっくりと反応を示す。
例えば、100万ガロンを含有する系が、総ブローダウ
ン量が300ガロン/分であり、そして処理剤供給量を50p
pmから100ppmに増加する場合、他の変動又は変化が系内
に生じなかったと仮定して、その変化の半分(処理剤濃
度の25ppmの増加)だけを達成するのに約38.5時間を必
要とする。体積が非常に大きく且つブローダウンが値が
小さい場合、応答時間の測定に何日又は何週間もかかる
ことがある。系の意図的な(又は偶然の)フラッシング
等の他の場合に、変化が迅速に生じることがある。従っ
て、系をよく制御するとともに正確に監視し続けること
が重要である。
定量化しなければならない別の重要な操作パラメータ
ーとしては、滞留時間指数(HTI)、即ち、系内の化学
種の半減期の測定値が挙げられる。
過酷な運転条件下では、運転コストを大きく増加させ
ないで化学処理剤中の成分の分解の可能性を減少させる
ために、HTIを最適化すことが重要である。
冷却水系における全ての運転上の制限及び不確定さの
ために、化学処理剤を迅速に測定し且つ連続的に監視す
ることが必要があることは明らかである。化学処理剤に
トレーサーを添加することにより、液体系の現在の体
積、このような系の体積変化、系に添加する処理剤の
量、処理剤の濃度変化及び系内の処理剤の寿命等の液体
系の組成で変化する全ての既知、不正確に既知及び変動
する運転状態又は「パラメーター」の正確な測定ができ
る。
イオン、オキシイオン、カチオン又は関連錯体として
水性系に溶解する遷移金属化合物が見出された。実質的
に全ての工業的な冷却塔のための補給水中にバックグラ
ンドとして存在する遷移金属化合物濃度が低く、トレー
サーとして使用すれば非常に経済的で効率的となること
が見出された。再循環工業冷却水系に使用する系水の調
査は、これらの水の中の遷移金属化合物のバックグラン
ドの存在量は1ppm未満であることを示唆している。試験
した系水の少なくとも80%中のほとんどの遷移金属化合
物のバックグランドレベルが、0.1ppm未満であることが
判明した。亜鉛及び鉄等のいくつかの例外があるが、遷
移金属は、アルミニウム、リチウム、ホウ素及びストロ
ンチウム等の他の金属よりもこれらの水に存在するバッ
クグランドとしての存在量が低いことが判明した。
好ましい種類の遷移金属化合物としては、水性液体系
に溶解するとともに、試験する水の80%において0.01pp
m未満のバックグランドレベルを示すものが挙げられ
る。これらの好ましい遷移金属化合物としては、コバル
ト、バナジウム、チタン及びイットリウムが挙げられ
る。
他の好ましい種類としては、試験水の95%において0.
1ppm未満のバックグランドレベルを示すものが挙げられ
る。これらの例としては、上記した遷移金属イオンに加
えてニッケル、モリブデン(モリブデン酸塩)及びタン
グステン(タングステン酸塩)が挙げられる。トレーサ
ーとして効果的に機能するために添加する必要がある量
を制限するように、トレーサーが補給水中に低バックグ
ランドレベルで存在することが重要である。トレーサー
のバックグランドレベルは、試料中の遷移金属レベルを
定量化する信号の10%を超えないことが好ましい。
本発明によりトレーサーとして使用するために評価さ
れる他の遷移金属化合物としては、銅、クロム(III)
及びマンガンの化合物が挙げられる。これらの遷移金属
のイオンは、上記した遷移金属よりも比較的高いレベル
で典型的に冷却水系においてバックグランドとして存在
するので、より高いレベルで水性系に添加する必要があ
り、コストの面から効果的でない。
遷移金属のあるものは、低レベルで有毒であることが
よく分かっており、そして人間に対して健康危険、即
ち、発癌性物質、突然変異誘発物質等が生じるかどうか
に関して疑問を引き起こした。例えば、鉛は非常に低レ
ベルで毒性であることが長年認識されており、ガソリン
における使用が制限されてきた。健康上の問題を生じる
他のものとしては、例えば、カドミウム及び水銀が挙げ
られる。選択される各遷移金属(及び使用する量)は、
政府の指針に一致しなければならない。クロム(IV)の
使用は、最近EPA及び他の政府機関により規制されてき
た。このようなことから、鉛、カドミウム、水銀及びク
ロム(VI)は、本発明に使用するのは適当でないと考え
られる。
他の遷移金属化合物は本発明に使用できるが、冷却水
系のための補給水に高バックグランドレベルで存在する
か、水性液体系への溶解度が低いものは好ましくない。
水性系に溶解しないか、非常に低い溶解度のために排除
される遷移金属化合物としては、例えば、ジルコニウム
及び銀の化合物が挙げられる。
特定の系のために選択される遷移金属化合物は、系に
溶解しなければならない。即ち、イオン化又は解離して
溶解性イオン、カチオン等になる必要がある。さらに、
遷移金属化合物トレーサーは、政府の指針により許可さ
れているものから選択しなければならない。例えば、OS
AHA及びEPAは、トレーサーとして全ての例で許容するこ
とができない程度まで工業界においてクロム(VI)の使
用を制限した。還元環境に使用するための遷移金属化合
物を選択する際、金属トレーサーイオンがそれらの用途
で還元されないように、最も低い酸化状態にあるか、弱
酸化剤があるか、速度論的に還元に対して安定である金
属イオンを選択することが望ましい。この還元による添
加により、このような遷移金属の検出が妨害されること
がある。例えば、Cr+6は容易にCr+3に還元され、続く定
量化試験においてCr+3として検出されないことがある。
一方、本明細書ではバナジウム(V)とも称するバナジ
ウム(V+5)は、冷却水用途において弱酸化剤であり、
分析により検出されない低い酸化状態への還元に対して
耐える傾向がある。さらに、バナジウム(V)以上の高
い酸化状態は知られていないので、V+5トレーサーが分
析で検出されないようなより高い酸化状態に転化される
問題はない。即ち、バナジウム(V)は既に最も高い酸
化状態にあるので、酸化される問題はない。
溶解性遷移金属は冷却水処理薬品トレーサーとして効
果的に使用され、薬品の供給量を容易且つ正確に決定す
るのを可能にする。これらの遷移金属トレーサーは、水
性系に直接添加してもよいが、スケール防止剤又は腐食
防止剤等の処理剤配合物に添加することが好ましい。液
体系へのトレーサー化合物の添加は、系の特性を定量化
するとともに、系内の問題を確認して定量化するための
診断手段として非常に有効である。又、処理剤配合物へ
のトレーサーの添加は、処理剤濃度及び効力を測定する
ために非常に有効である。
遷移金属化合物には、トレーサーとして多くの利点が
ある。ほぼ全ての遷移金属化合物の補給水中のバックグ
ランドレベルが無視できる程度であるので、妨害が最小
で済む。多くの遷移金属化合物が、ほとんどの冷却水系
でトレーサーとして機能するのに必要な非常に低いレベ
ルでの毒性が小さいので健康上の危険がない。さらに、
イオン、カチオン、関連錯体等の形態では、ほとんどの
遷移金属化合物は、冷却水環境では十分に不活性、安定
であるとともに溶解性である。遷移金属化合物は、典型
的には、「追跡(trace)」される処理剤よりも安定で
ある。
感度のよい分析法、好ましくは比色法により測定され
る遷移金属化合物濃度は、処理剤のレベルを求めるのに
使用される。遷移金属濃度を検出することのできる他の
方法としては、イオン選択電極、螢光分析法及び電量分
析だけでなく、イオンを検出するための他の従来法が挙
げられる。
上記したように、遷移金属を検出する好ましい方法は
比色法である。「比色法」とは、可視光線を吸収する能
力から物質を測定することを意味する。可視比色法は、
ブランク又は既知濃度を有する既知溶液と未知濃度の試
料との比較に基づいている。分光光度法では、入射光線
と透過光線の強度比を、光電池又は光電子倍増管等の検
出器により特定の波長で測定する。
紫外領域及び可視領域での分子吸収は、分子の電子構
造により異なる。吸収エネルギーは、電子を低エネルギ
ー状態の軌道から高エネルギー状態の軌道にあげる。い
ずれの分子においても一定の状態のみが可能であり、そ
して基底状態と励起状態との間のエネルギー差は添加エ
ネルギーに等しくなければならないので、一定の周波数
のみが吸収されることができる。分子により吸収される
周波数が見出されると、入射エネルギーの強度は出てく
るエネルギー強度よりも大きい。放射強度は、単位時間
に単位面積に衝突する放射エネルギーとして定義され
る。透過率は、エネルギーが吸収液及びセルの壁を通過
した後の放射強度を入射ビームの放射強度で割って得た
値として定義される〔ボイヤー(Bauer)、クリスチャ
ン(Christian)及びオーレイリー(O'Reilly)、「機
器分析(Instrument Analysis)」(1978)参照〕。
典型的に、試料の透過率を測定する際、意図する化合
物を除いて全ての試薬を含有するブランク溶液を調製す
る。次に、測定装置をブランクについて100%に設定す
る。その後、実際の試料の読み取り値は、真の吸光度か
ら保持セル又は試薬溶液による作用を差し引いたもので
ある。材料の薄層に吸収される放射強度は、吸収物質及
び入射放射線の周波数により決まり、その層の厚さに比
例する。吸収物質の一定濃度で、一連の薄層についての
合計又は有限厚についての積分により、透過強度と厚さ
との間に指数関係が生じる。ベールの法則によれば、溶
液又は媒体により吸収又は透過される放射線の量は、存
在する吸収物質の指数関数及び試料を通過する放射線の
線路の長さの指数関数である。従って、吸光度〔−log
(T/100%)に等しい〕を濃度に対してプロットする
と、オリジンを通過する直線となる。既知濃度の化合物
を測定して、既知濃度対吸光度の検量線、即ち、この場
合は直線をプロットする。最後に、未知濃度を有する試
料を、検量線と比較してその濃度を求めることができ
る。
可視及び紫外領域において、分光光度法は、多くのト
レース物質の定量、とりわけ無機元素の定量に用いるこ
とができる。定量吸収分光分析法の基本原理は、選択さ
れた波長での放射下で、試料溶液の吸収の程度を一組の
標準の吸収の程度と比較することにある。
多くの場合、試料化合物は用いられる波長領域で容易
に感知できるほど放射線を吸収しないか、その吸収量は
非常に小さいので、当該化合物を他の試薬と反応させて
光吸収トレーサーを生成するか、少なくとも光吸収性が
よりより物質を生成することが望ましい。試薬は、反応
選択性でなければならず、そして存在すると思われる外
来物質と妨害吸収種を生成してはならない。
トレーサーイオンから光吸収化合物を形成するときに
考慮すべきいくつかの因子としては、例えば、pH、試薬
濃度、時間、温度、試薬の混合順序、安定性、入手でき
るマスキング剤、有機溶媒及び塩濃度が挙げられる。
pHは、錯体形成に非常に重要な役割を果たす。pHの調
整又は緩衝液の使用により、ある種の妨害反応がなくな
ることがある。さらに、遷移金属のあるものは、高pHレ
ベルで不溶性である。このような金属のひとつとして
は、コバルトが挙げられるが、コバルトはpHを低下する
ことにより再溶解することができる。
必要とする試薬の量は、生成する吸収錯体の組成によ
り決定される。試薬が少なすぎても、多すぎてもベール
の法則からのずれを生じることがあるので、試薬の最適
濃度を求める必要がある。吸収錯体の生成は、吸収錯体
の生成速度は遅くても早くてもよく、発色が数秒〜数時
間でよい。従って、時間がきわめて重要であるプロセス
では、迅速に反応する錯化剤が重要である。さらに、反
応速度は、温度により影響を受けることがある。反応に
よっては、発色を完了させるのに要する時間を減少させ
るために、高温が必要である。
特定の順序で試薬を添加することが重要であり、さも
ないと発色が完全にならないか、妨害反応が生じること
がよくある。例えば、ニトリロトリ酢酸第一コバルト錯
体の形成の後に、過酸化水素の存在下でのニトリロトリ
酢酸第二コバルトの高感度反応を行わなければならな
い。生成する吸収錯体がそれほど安定でない場合、吸光
度測定をできるだけ早く行う必要がある。吸収錯体が感
光性である場合、光分解が生じないように注意する必要
がある。
他の試薬の錯形成を防止するために、マスキング剤を
存在させることが必要なことがある。例えば、過剰のED
TAの存在下では、第二鉄イオンは、チオシアン酸イオン
とは着色FeSCN2+錯体を生成しない。多くの有機試薬又
は錯体は、わずかに水に溶解するだけである。このよう
な場合、不混和性有機溶媒を添加して、沈澱を避けた
り、発色を促進することが必要である。最後に、高濃度
の電解質が、化合物の吸収スペクトルに影響することが
ある。
水性系にトレーサーとして添加するときの遷移金属化
合物濃度は、ppt(parts per trillion)〜ppm(parts
per million)の範囲で異なることができる。これらの
化合物の検出は、安価なポータブル装置を用いて瞬間的
又は連続的に行うことができる。さらに、複数のトレー
サーを同時に用いてもよい。さらに、適当なスペクトル
特性を有する遷移金属化合物又は他のトレーサーを選択
して、複数のトレーサーを同時に用いることができる。
それだけで、遷移金属と処理剤供給物の種々の組み合わ
せが、液体系内で定量化できる。例えば、異種の遷移金
属化合物を含有する数種の処理剤を液体系内で用いるこ
とができる。その場合、各遷移金属化合物及び対応する
処理剤の各濃度が定量化できる。処理剤供給物の複雑な
組み合わせを定量化できることに加えて、環境の面から
許容されることができ、液体系内で分解又は析出せず、
そしてコストの低い遷移金属化合物が有効である。
本発明は、一般的に、下記のようにして適用される。
(a)一種以上の遷移金属化合物を単独又は他の従来の
トレーサーとともに液体系に直接添加する。
(b)系の操作を適切に維持するために液体系に適応さ
れる他の化合物を含有する化学処理剤組成物に1〜6種
(又はそれ以上)の遷移金属化合物を配合する。
(c)遷移金属化合物を含有する1〜6種(又はそれ以
上)の化学処理剤を、直接液体系に添加するか、系に導
入される液体供給物に添加する。
(d)液体系内での個々のトレーサー濃度が1ppt〜100p
pm、好ましくは1ppb〜10ppm、最も好ましくは10ppb〜2p
pmとなるように、処理剤なしで遷移金属化合物を添加す
る。
第2A−Cは、分子レベルと時間との相関での水処理剤
プログラムの操作を示している。第2A図では、化学処理
剤(CT)は、リン(P′)、ポリマー(P)及びトレー
サー(T)を含有している。この化学処理剤は、供給ラ
インを通ってゆっくりと再循環冷却水に供給され、そこ
で、処理剤はすぐに希釈され、そして系全体に分布す
る。もし冷却水系の操作条件が一定である場合には、再
循環水ブローダウン(B)により処理剤の添加と除去が
平衡となる。化学処理剤及びその成分濃度は、変化しな
いのが理想的である。しかしながら、このような状況は
生じることはない。時間が経過するにつれて(第2B−C
参照)、さらにポリマー及びリン含有化合物が再循環水
から損失することがある。これは、金属表面上での析出
及び保護膜の生成並びに化学/生物分解プロセスによる
ものである。又、操作条件(ブローダウン量、濃度比及
び生成物供給量等)の変化が、処理剤成分の濃度に影響
を及ぼす。トレーサーなしでの再循環水の分析により、
処理剤成分のいくつかの現在濃度を測定できるが(分析
法があるとの前提で)、処理剤プログラムの最初の供給
量を直接示すことができない。処理剤供給量を定量化及
び制御するためにトレーサーを用いることは、現在の処
理剤プログラムにとって有益である。
第2A−Cも、化学処理剤中の他の化合物が析出するに
もかかわらず、不活性トレーサーの添加により、どうよ
うにして処理剤供給量と処理剤の効力が正確に測定でき
るかを示している。例えば、配合物の供給量を100ppmと
する。もし熱交換器に析出が生じたら、リン含有種の40
%が再循環水から失われるが、遷移金属トレーサーはほ
とんど失われない。総リン濃度により、生成物が60ppm
存在することしか分からない。しかしながら、遷移金属
トレーサーでは、もっと厳密に配合物供給量が100ppmで
あり、そして40ppmの供給量での配合物により供給され
るものと等しいリン含有成分の損失分が析出されたこと
が分かる。処理剤の活性成分の損失量を測定すれば、処
理剤の効力が直接測定されたことになる。
トレーサー組成物としての遷移金属化合物を評価する
ひとつの方式として、析出物濃縮比(DER)の測定値
(式2)を活性成分のDER値と比較することが挙げられ
る。
トレーサーのDER値は、処理剤配合物の活性で容易に
分析される成分よりも低いことが好ましい。スケール生
成条件下でのDER値は低いほどよい。DER値は低いことが
望ましいとともに、トレーサー化合物は安定性が良好で
なければならず、使用中に分解してはならない。例え
ば、第4図に示すように、バナジウムは、クロム(VI)
よりもpHの変化に対してより好ましく反応することが知
られている。
多くの工業系の重要な系特性(総体積、ブローダウン
及び補給量、滞留時間指数、処理剤供給量等)は、全く
不正確にしか分からず、変化し、そして予測できないこ
とがある。これらの因子に関する知識の欠如は、冷却水
系全体を通じて、ひどい析出及び腐食の問題を生じる。
特に、処理剤剤プログラムの供給過多/供給不足又は冷
却水系の不適切な操作は、処理剤成分が著しく損失し、
そして冷却水系内の熱伝達に悪影響を及ぼす。さらに、
水処理剤プログラムは、通常、調整物質又は有毒物質
(例えば、リン酸塩又はクロム酸塩)を含有している。
処理剤の供給過多は有害なことがあり、工業用地が政府
の廃液規制を満足することがより困難になる。本発明に
おける遷移金属トレーサーを用いれば、冷却水系特性及
び処理剤供給量を正確に測定し、連続的に監視し、そし
て所望の範囲内に制御する非常に望ましい手段となる。
遷移金属は、工業冷却水系において化学供給トレーサ
ーとして使用することが好ましい。しかしながら、化学
処理剤を格納容器構造に入っている移動液体及び関連移
動ラインに添加して、系の操作を適切に維持する数多く
の工業系の例がある。多くの場合、化学処理剤の濃度、
供給量及び効力は不正確にしか分からず、そして系特性
(総体積、補給量、ブローダウン量、滞留時間指数等)
は、推測するか、変化するか、未知である。これらの系
は、一般的に、主に、密閉系、開放系及び一過系の3種
類に分けられる。各場合において、遷移金属は、化学処
理剤の濃度及び効力並びに系の操作条件及び未知の特性
の測定及び連続監視に効果的に使用できる。
「密閉」系では、液体と化学処理剤は、一般的に、系
内に残存し、そして最少量の液体を添加又は排出する。
通常の密閉系としては、例えば、水の使用又は薬品の排
出がきびしく制限されている区域での金属工業における
連続鋳造プロセス、冷凍及び空調装置、放熱装置及び再
循環冷却水系が挙げられる。これらの系では、処理剤
は、化学分解/生物分解、析出/腐食プロセス、系の漏
れ及び定量化レベルの排出により失われることがある。
「開放」系に共通の特徴は、液体(補給)及び化学処
理剤を種々の量で且つ相当量で添加し、そして作動流体
から排出(ブローダウン)されることである。系は、加
圧しても、しなくてもよく、そして流体の蒸発損失を生
じても、生じなくてもよい。開放系の一般例としては、
ボイラー、ガススクラバー及び空気洗浄器、都市下水処
理、金属加工及び成形プロセス、ペイントスプレーブー
ス、木材のパルプ化及び製紙等が挙げられる。化学処理
剤は、系排出及び漏れ、排出プロセス/腐食プロセス、
粒状物質への吸着、化学分解/生物分解等により失われ
ることがある。
「一過」系には、一般的に、流体と化学処理剤が含ま
れ、これらは、系に添加され、その系を一回通過してか
ら、廃液として排出されるか、別の系に移動させられ
る。これらの系では、匹敵する「密閉」循環系又は「開
放」循環系で必要とするよりもはるかに多量の水を必要
とする。一過系の一般例としては、清澄装置、濾過装
置、鉱物の洗浄及び選鉱、ボイラー並びにユーティリテ
ィー及び工業プロセスストリームのための冷却がある。
上記の各状況では、既知量の遷移金属を含有する化学
処理剤を液体系に添加及び分布する。液体を、いずれの
かの添加時点で系内又は廃水からのサンプリングする
か、連続的に監視する。系液体の吸光度を既知濃度の化
学処理剤及び遷移金属を含有する標準液と比較すること
により、液体系内の化学処理剤濃度が測定できる。さら
に、系内の異なる場所の遷移金属濃度を測定することに
より、系内の化学処理剤分布の均一性及び流体流動性が
小さくよどんでいる領域の存在が定量化できる。
系によっては、液体を連続して添加及び排出しても、
よどんだり又は流体の流動性の小さい領域が固有的に存
在するものがある。例えば、油田での用途(掘さく、第
二次及び第三次回数法等)では、化学処理剤を、より大
きな系のある部分にゆっくりと浸透する液体に添加す
る。第3図は、系の真の総体積は正確には測定できない
が、化学処理剤の有効使用体積(S)及び平均濃度は、
系に入ってくる液体(I+T)と系を出る液体(D+
T)のトレーサー濃度を比較することにより定量化でき
る。処理剤成分の個々の濃度と遷移金属トレーサー濃度
を比較することにより、処理剤とその成分の効率及び分
解が測定できる。
上記した手法に基づき、各種多様の系内の多くの操作
パラメーター(総体積、滞留時間指数、ブローダウン
量、説明のできない系損失、化学処理剤の効力等)を正
確に測定できる。
上記した遷移金属イオントレーサーを使用して、いく
つかの系では良好の結果が得られた。
〔実施例〕
下記の実施例は、本発明の具体的実施態様を説明した
ものである。本発明の全ての実施態様について下記にお
いて詳細に説明しているわけではないことは理解される
べきである。典型的な校正操作を以下に説明する。又、
コバルト(II)濃度御測定用分光光度計を校正するため
に、既知量のコバルト(II)を含有する一連の溶液を調
製した。
コバルト(II)用分光計校正操作 表1のコバルト溶液の試料をCo(NO3)6H2Oの100ppm
原液から採取し、水で希釈して表1に示す濃度とした。
原液の15ml試料をマスク配合物及び発色試薬と混合し
た。マスク配合物は、クエン酸ナトリウム水溶液と亜硫
酸ナトリウム水溶液からなるものであった。発色試薬
(PAR)溶液は、水に0.2%純粋ピリジルアゾレゾルシノ
ールを溶解した溶液50mlに0.1N水酸化ナトリウム1〜3
滴を溶解したものであった。最初の試料のみに、エチレ
ンジアミン四酢酸(EDTA)溶液10滴を添加して、530nm
で100%希釈のシュミレーションを行った。このEDTA溶
液は、100mlの水にNa2EDTA5gを溶解してNaOHでpH9に調
整したものであった。
ボーシュ・アンド・ローム分光光度計2000(Bausch a
nd Lomb Spectrometer2000)を用いて、波長530nmで透
過率を測定した。表1のデータを用いて検量線を作成し
た。未知のトレーサー濃度を有する試料のトレーサー濃
度は、上記データから得られた曲線と比較して求めた。
実施例1 再循環水系における生成物供給トレーサーとしてのコバ
ルト化合物(Co+2)の使用 試験を、第1図に概略示すようなパイロット冷却塔等
の工業冷却水系のシミュレーション用に設計した一体型
スケーリング装置(ISU)中で行った。このISUには、水
の連続流を受け入れるようにした7リットルの系、化学
処理剤及び種々のトレーサーが入っている。これによ
り、試運転中の成分濃度の変化が最小となる。これらの
流れは、試験期間全体を通じて使用するに十分な量を調
製した原液からの高濃度供給物をくみ上げるシリンジポ
ンプにより供給される。このISUは、金属製熱交換チュ
ーブが入っている再循環水系であり、冷却水系のモデル
を作製するのに使用される。
連続ブローダウンは、連続補給及び化学処理剤の添加
によりうめられる。これらの試験を行い、種々の模擬処
理条件下でコバルトトレーサーと既知の性能を有するト
レーサーとの比較ができるデータを得た。ここでは主
に、コバルトトレーサーを、その性能と化学処理剤を検
出する他の有効な方法との比較により評価する。
予測供給量(%)は、トレーサーの実測量を系内のト
レーサーの予測量で割り、それに100%をかけることに
より得られる。トレーサーの予測量は、添加される高濃
度化学処理剤供給物、添加される補給水及び損失するブ
ローダウン水のマスバランスにより計算する。
コバルトトレーサー(Co+2)とアリール硫酸螢光トレー
サー及び活性リン酸塩分析との比較 この実施例では、トレーサーとしてのCo+2と螢光トレ
ーサー及び活性リン酸塩処理剤の直接測定との比較を行
う。
ISUを始動して、2つのシリンジポンプを動かした。
第一ポンプで、脱イオン水57.3重量%、アリール硫酸螢
光トレーサー1.1重量%、アクリル酸系ターポリマー36.
6重量%及びCo+21重量%〔Co(NO3・6H2Oとして5
重量%〕からなる混合物を注入した。第二ポンプでは、
脱イオン水、水酸化カリウム、リン酸塩化合物、ピロリ
ン酸四カリウム及びリン酸を含む混合物のオーバーレイ
を注入した。第一ポンプから注入した混合物は、系水で
126.8ppmに希釈した。第一ポンプから注入した混合物
は、系水で170.3ppmに希釈した。グラブ試料を、総リン
酸、螢光トレーサー及びCo+2について分析した。表2に
その結果を示す。透過率は、ボーシュ・アンド・ローム
分光光度計2000(Bausch and Lomb Spectrometer2000)
を用いて、分光光度法で測定した。試料ブランクは、脱
イオン水、EDTA、マスク配合物及び指示薬を含有するも
のを用いた。試料にはマスク配合物及び指示薬が含まれ
ている。マスク配合物は、クエン酸ナトリウムと亜硫酸
の水溶液であった。又、発色試薬は、上記したPAR溶液
を用いた。
下記の分析の目的は、Co2+読み取り値と螢光トレーサ
ー読み取り値と処理剤の他の活性成分との間の差を測定
することである。
化学供給物測定分析 63.75時間の経過後、シリンジポンプを始動した。こ
の時点のあと、Co2+イオン濃度だけでなく、螢光トレー
サー濃度及び活性リン酸塩がすぐに上昇した。次に、高
pHの作用を、系のpHが8.3に上昇したときに評価した。C
o2+イオン濃度の測定値が、予測供給量の36.2%に相当
するCo2+0.119ppmに低下した。同時点で、螢光トレーサ
ー濃度は、116.5ppmに相当する比較的高いままの状態を
維持した。117時間経過した時点で、pHを通常の操作値
(pH7.2)に低下したとき、Co2+イオン濃度の測定値
は、予測化学供給量の103.9%相当に増加した。pHを8
未満に低下させると、系内のCo2+イオンの溶解度が大き
く上昇した。経過時間が約136.5時間から約279時間の間
に、pHを8.0未満に制御したら、Co2+について非常に良
好な結果が得られた。その時間中、12,400But/ft2/hrの
加熱器の電源を入れておいて、容器の温度を100゜Fに上
昇させ、熱伝達表面を提供することにより、析出物の発
生を促進させた。約279時間が経過した時点で、試験の
終わりまで、25,000Btu/ft2/hrの加熱器の電源を入れて
おいて容器温度を120゜Fに上昇したところ、Co2+トレー
サーでまだ良好な結果が得られた。化学処理剤濃度は、
試験全体を通じて、プロセス水の一定蒸発のため、時間
の経過とともにゆっくりと増加する。
Co2+イオンの濃度は、上記した比色法により測定し
た。螢光トレーサー濃度は、試料と、トレーサー濃度対
発光の検量線とを比較することにより求めた〔ジェイ・
アール・ラコウィッツ(J.R.Lakowicz);「螢光分光分
析法(Principles of Fluorescence Spectroscopy)」
(1983)〕。総リン含量は、有機リン化合物をオルトリ
ン酸塩へ過流酸で塩酸化し、続いて青色のリンモリブデ
ン酸塩錯体を生成して分光光度法で定量化した〔エムシ
ー ランド(M.C.Rand);「水及び廃水試験の標準法
(Standard Methods for the Examination of Water an
d Wastewater)、第14版(1975)〕。トレーサーとリン
含有化合物の全ての濃度は、予測化学供給物濃度の百分
率(%)で示す。
この分析では、コバルト化合物はトレーサーとして作
用することができ、そしてpH8で化学処理剤供給量を正
確に測定できることが分かる。又、この分析では、コバ
ルト化合物は検査される螢光トレーサーを追跡すること
ができ、そして処理剤の直接測定(例えば、総リン濃
度)よりは処理剤供給量の測定において優れている。さ
らに、この分析は、Co2+が活性化学処理剤、他のトレー
サー及び工業用水において通常見られる他の化合物及び
錯体の存在下で正確に定量できることを示している。
析出物の分析 ISU内のステンレス鋼製熱交換器からもっともひどい
スケールの部位を取り除いた。白色析出物は、塩酸に容
易に溶解した。表3に、スケール内の種々の成分の析出
物濃縮比(DER)を示す。
濃縮比のデータは、Co2+イオンが、活性処理剤配合物
化合物並びにオルトリン酸塩、ピロリン酸塩、総リン及
びHEDP等の副生成物よりも、上記した系に析出する傾向
が小さいことを示している。従って、Co2+イオンを用い
た化学供給物測定は、上記で挙げた活性処理剤配合物の
存在下で許容できる。又、Co2+イオン濃縮比は、この分
析においては一見高いように見える。これは、系のpHを
8よりも高くしたのでCo2+イオンの一部分が沈澱したか
らである。
実施例2 試験を、実施例1で説明したような供給量で化学処理
剤を用いた工業冷却水系をシュミレーションするために
設計した一体型スケーリング装置(ISU)中で行った。
コバルトイオントレーサー(Co2+)と、アリールスルホ
ン酸螢光トレーサー、リチウムイオントレーサー及び活
性リン酸塩分析との比較 ISUを始動して、2つのシリンジポンプを動かした。
第一ポンプで、脱イオン水71.50重量%、水酸化ナトリ
ウム溶液(50重量%水溶液)0.37重量%、水酸化カリウ
ム水溶液(45重量%水溶液)14.44重量%、ピロリン酸
塩水溶液(40重量%)5.41重量%、リン酸(25重量%水
溶液)4.86重量%、ソジウムトリルトリアゾール(50重
量%水溶液)2.12重量%、HEDP水溶液(40重量%水溶
液)1.21重量%及びアリールスルホン酸螢光トレーサー
0.10重量%からなる水溶液を注入した。第二ポンプで、
脱イオン水94.35重量%;アクリル酸塩基、アクリルア
ミド及びアクリルアミドメタン・硫酸からなるターポリ
マー4.57重量%;Co(NO3・6H2O0.63重量%(Co+2
及びLiCl0.45重量%(Li+0.6重量%)からなる混合物を
注入した。第一ポンプから注入した混合物は、系内にお
いて水で132.3ppmに希釈した。第二ポンプから注入した
混合物は、同じ系内において同じ水で171.3ppmに希釈し
た。グラブ試料を、総リン、螢光トレーサー、リチウル
トレーサー及びCo+2トレーサーについて分析した。表4
にその結果を示す。透過率は、ボーシュ・アンド・ロー
ム分光光度計2000(Bausch and Lomb Spectrometer200
0)を用いて測定した。
下記に示す分析の目的は、Co+2トレーサーの読み取り
値と、螢光トレーサーの読み取り値と、リチウムイオン
トレーサーの読み取り値と処理剤の他の活性成分を比較
することである。
化学供給物の測定分析 最初の約185時間の間、ポンプの動作中のpHを7.0±0.
3に維持した。熱交換器官についてスケーリング及び腐
食を観察した。リチウムイオントレーサー、螢光トレー
サー及びCo+2は厳密に追跡したのに対して、活性リン酸
塩は遅れた。これらの条件下では、トレーサーは、スケ
ール析出物に顕著には混入しなかった。冷却水中の総Fe
は、0.5〜0.6ppmであった。185.58時間が経過した時点
で、pHを、Co+2の沈澱が生じることが予め分かっている
8.0に増加した。予想通り、Co+2レベルが低下した。リ
チウムとアリール硫酸のみが、約100%の予測供給物を
追跡した。
各成分濃度を、実施例1で説明した方法で測定した。
リチウムイオンの濃度は、従来の原子吸光分光分析法に
より測定した。トレーサー及びリン含有化合物の全ての
濃度は、予測化学供給物の百分率(%)で示してある。
この分析により、Co+2イオンは、化学処理剤供給量を
正確に測定するのに使用できることが分かる。又、この
分析は、Co+2イオンが試験した螢光トレーサーに次ぐ性
能を示し、他の現在使用されている処理剤供給量測定方
法と比較して非常に効果的に性能を発揮することが分か
る。さらに、この分析により、Co2+が活性化学処理剤、
他のトレーサー及び工業用水において通常見られる他の
化合物及び錯体の存在下で正確に定量できることを示し
ている。
実施例1〜2の結論 Co2+イオンは、pH8未満で溶解度が増加するので、8
未満のpHレベルにおいて水処理系でコバルトトレーサー
を使用することが望ましいことがある。工業冷却水系に
おいて通常見られるイオン、元素及び化合物(即ち、Ca
+2、Mg+2、HCO3 -/CO3 2-、PO4 -3、P2O7 -2、ポリマー及び
ヒドロキシエタンジスルホン酸)は、総生成物供給トレ
ーサーとしてのCo2+イオンの性能には影響しない。それ
にもかかわらず、発色試薬に反応するイオン(即ち、銅
イオン及び鉄イオン)をマスクして読み取りの誤りを防
がなくてはならない。
実施例3 パイロット冷却塔(PCT)における生成物供給トレーサ
ーとしてのVO3 -の使用 試験を、工業冷却水系をシュミレーションするために
設計したパイロット冷却塔(PCT)について行った。こ
のPCTは、容量が50リットルであり、再循環水、化学処
理剤供給物、熱交換器上での析出物生成及び腐食、ブロ
ーダウン及び補給並びに塔充填剤からの蒸発冷却のシミ
ュレーションを行うようにしてある。試験は、種々のシ
ミュレーションを行った処理条件下でのトレーサーとし
てのバナジン酸イオン(VO3 -)と従来の化学供給物測定
法との比較ができるデータを提供するために行った。
試料分析の別法 校正操作において説明したように、ピリジザゾレゾル
シノール(PAR)発色試薬は、バックグランドイオンを
クエン酸ナトリウム・亜硫酸ナトリウム溶液でマスクす
ると、コバルト(II)とともに指示薬として使用でき
る。VO3 -をサンプリングするとき、この試料をpH5.5で
緩衝する。この緩衝液により、VO3 -がVO2 +に転化し、そ
れがPAR溶液と完全に反応する。しかしながら、VO
2 +は、従来のマスキング剤とも反応する。従って、VO2 +
は、マスキング剤が存在するとき、検出から遮蔽され
る。
マスキング剤の必要性を排除するために、PAR発色試
薬が2:1ジペルオキシバナジン酸塩〔VO(O22 -〕を生
成する前に、PAR溶液と反応しない試料溶液にH2O2を添
加できる。別の試料では、VO2 +イオンをPAR溶液と完全
に反応させる。2つの試料間の透過率の差は、試料内に
存在するバナジウムイオン濃度の指標となる。
バナジン酸イオントレーサー(VO3 -)と活性リン酸塩分
析との比較 脱イオンH2O54.55重量%、水酸化ナトリウム水溶液
(50重量%水溶液)16.1重量%、アミノトリス(メチレ
ンリン酸)〔モンサント社製デクエスト(Dequest200
0)〕7.0重量%、有機ホスホノカルボン酸(50重量%水
溶液)12.0重量%、ソジウムトリルトリアゾール(50重
量%水溶液)4.7重量%、脂肪ジカルボン酸〔ウエスト
バコ(WestVaco)販売の二酸〕2.5重量%、界面活性剤
2.0重量%及びメタバナジン酸アンモニウム1.15重量%
を含有する単一水処理剤配合物で、生成物レベル100ppm
でVO3 -トレーサーレベルを0.5ppmVに制御したもの。PCT
試験結果を表5にまとめて示す。
VO3 -イオンは、試料分析の別法において上記で説明し
た方法により、透過光を既知濃度の試料と比較すること
により定量化した。さらに、生成物供給量は、シリンジ
ポンプ及びブローダウン測定値から計算した。活性リン
酸塩含量は、有機リン化合物をオルトリン酸塩へ過硫酸
塩酸化し、続いて青色のリンモリブデン酸塩錯体を生成
して分光光度法で定量化した〔エムシー ランド(M.C.
Rand);「水及び廃水試験の標準法(Standard Methods
for the Examination of Water and Wastewater)、第
14版(1975)〕。
VO3 -イオンにより予測される系における処理剤供給量
と活性リン酸塩の測定値との比較から、リン酸塩法に対
して、VO3 -イオンの測定の精度が優れていることが明ら
かである。324.67時間が経過した時点で、活性リン酸塩
法での測定は、正確なシリンジポンプとブローダウンの
計算よりも30ppm低い値を示した。熱交換器管に処理剤
の有機リン成分が析出する。同時に、VO3 -イオンの定量
測定では、ブローダウン/シリンジ供給物測定値基準の
計算生成物レベルよりも7ppmだけ小さい値を示した。VO
3 -イオンレベルと総リンレベルとの間の差は、どれだけ
の活性リン含有成分が析出及び腐食プロセスにより系内
で損失するかの定量化ができるので、処理剤の有効性の
よい指標である。「理想的」な操作系では、総リン及び
VO3 -イオンレベルは、全て、同一の処理剤濃度を示す。
バナジン酸イオントレーサー(VO3 -)とクロム酸イオン
トレーサー(Cr2O7 -2)との比較 脱イオン水53.15重量%、水酸化ナトリウム水溶液(5
0重量%水溶液)16.1重量%、アミノトリス(メチレン
リン酸)〔モンサント社製デクエスト(Dequest200
0)〕7.0重量%、有機ホスホノカルボン酸(50重量%水
溶液)12.0重量%、ソジウムトリルトリアゾール(50重
量%水溶液)4.7重量%、脂肪ジカルボン酸〔ウエスト
バコ(WestVaco)販売の二酸〕2.5重量%、界面活性剤
2.0重量%、重クロム酸ナトリウム二水和物1.4重量%及
びメタバナジン酸アンモニウム1.15重量%を含有する単
一水処理剤配合物で、生成物レベル100ppmでVO3 -トレー
サーレベルを0.5ppmVに制御したもの。PCT試験結果を表
6にまとめて示す。
未知量のVO3 -イオン及びCr2O7 -2イオンを、透過光と
既知濃度の試料とを比較することにより定量化した。透
過率を、ボーシュ・アンド・ローム分光光度計2000(Ba
usch and Lomb Spectrometer2000)を用いて測定した。
VO3 -イオンにより予測される系における処理剤供給量
とCr2O7 -2トレーサーの測定値との比較から、pHの逸脱
が生じるとき、Cr2O7 -2トレーサーよりもVO3 -イオンの
方が精度が優れていることが明らかである。表5に示す
データは、210.92時間が経過した時点で開始した酸性へ
の移行を反映している。pHが低いと、軟鋼の腐食速度が
急激に上昇し、重クロム酸塩トレーサーの損失を生じる
ことが知られている。第4図に示すように、バナジン酸
塩は、重クロム酸塩よりも明らかに損失耐性が優れてい
る。又、第4図に示すように、バナジン酸塩トレーサー
は、重クロム酸塩トレーサーよりも迅速に回復する。
実施例3 バナジウム化合物を用いる利点は以下の通りである。
バナジウムオキシアニオン(VO3 -)は、pH7〜9の間
で生成する他の固体とともに沈澱する傾向がない。
バナジウムオキシアニオン(VO3 -)は、腐食性軟鋼熱
交換管の存在毛での沈澱に耐性を示す。
実施例4 数種の遷移金属イオンを、水性系においてpH9.3とpH
7.0で評価した。各イオンとオキシイオンの性能を下式
により求めた。
回収率(%)=(FS/US)x100% (式中、FSは0.45μmのフィルターを通過後の濾過試料
中の金属イオン(ppm)濃度であり、USは未濾過試料中
の遷移金属イオン(ppm)の初期濃度である)。回収率
の最大値(100%)は、遷移金属イオンが、一定pHで系
に完全に溶解することを示している。結果を、以下の表
7と表8に示す。
表7及び表8に示すように、バナジウム(VO3 -)とク
ロム(Cr+3)は両方の系への溶解度が優れているのに対
して、亜鉛(Zn+2)、イットリウム(Y+3)、ニッケル
(Ni+2)及びコバルト(Co+2)等の他の遷移金属は、pH
9.3よりもpH7.0を用いた系により適している。これらの
遷移金属に関するより低いpHでの溶解度から、pH7での
溶解性が表7に示すよりも小さいアルミニウム(Al+3
等の非遷移金属に対して利点があることが分かる。さら
に、表7及び表8から、銀(Ag+)及びジルコニウム(Z
r+4)は、pH7又はpH9.3では適当でないことが分かる。
具体的実施態様との関連において本発明を説明した
が、さらに変更が可能であることは理解されるところで
あろう。本出願は、一般的に、本発明の原理に基づき、
そして本発明が関する当該技術分野において公知で通常
の方法の範囲内である本発明のいずれの変化、利用又は
適合をもカバーするものである。
〔発明の効果〕 上記したように、本発明によれば、水性液体系におけ
るトレーサーとして遷移金属を利用する方法が提供され
る。遷移金属は装置スケール上での析出レベルが低く、
液体系のプロセス履歴に関する信頼性のある情報を提供
できる。即ち、本発明によれば、液体系の静的操作条件
又は変化している操作条件下での処理薬品のレベルの変
化を定量し、液体系への処理薬品の供給量を制御でき
る。さらに、液体系に入る液体の総体積及び量並びに/
又は液体系から出る液体の総体積及び量等のその系の重
量な特性を定量化できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は冷却水系、より具体的にはパイロット冷却塔の
代表例の概略図であり、第2図は時間に対する再循環水
の効果的な濃度の代表例であり、第3図は有効体積が真
体積よりもはるかに小さい大容量液体にトレーサーを添
加する効果の代表例であり、第4図はパイロット冷却塔
におけるバナジン酸塩トレーサーと重クロム酸塩(クロ
ムが明らかに+6の酸化状態にあるCr2O7 -2)トレーサ
ーについての化学処理剤濃度測定に関するグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ドナルド エー.ジョンソン アメリカ合衆国,イリノイ 60510,バ タビア,クレストビュウ 1110 (56)参考文献 特開 昭63−83594(JP,A) 特開 平3−288586(JP,A) 特開 昭58−122082(JP,A) 特開 昭55−1805(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 33/18 CA

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】工業的水性液体系にその処理剤と共に既知
    量の非放射性遷移金属化合物をトレーサーとして添加
    し、前記遷移金属化合物はトレースされる処理剤と異な
    る物質であり、前記液体系のサンプル内の前記遷移金属
    化合物の量を定量し、そして前記サンプル内の前記遷移
    金属化合物の量を前記液体系中の前記処理剤の量と相関
    させることにより、工業的水性液体系中の処理剤の量を
    監視する方法であって、前記処理剤は劣化又は装置スケ
    ールへの析出の傾向があり、前記遷移金属化合物はイオ
    ン、カチオン、オキシアニオン又はそれらの複合物の形
    で前記液体系に溶解可能であり、前記遷移金属化合物は
    クロムVI、水銀、鉛、亜鉛、カドミウム、ジルコニウム
    又は銀を含まずかつイットリウム、バナジウム、マンガ
    ン、ニッケル、コバルト、モリブデン又はクロムIIIを
    含み、前記遷移金属化合物は前記処理剤と適合性を有し
    かつ下記式 で表される析出物濃縮比(DER)が前記処理剤のDERより
    低いことを特徴とする、工業的水性液体系中の処理剤量
    の監視方法。
  2. 【請求項2】スケール防止剤、リン酸塩、有機リン酸塩
    又は腐食防止剤と、イオン、カチオン、オキシアニオン
    又はこれらの複合物の形で水性系に溶解可能である1種
    以上のバナジウム化合物とを含む水性工業的液体処理剤
    を含む組成物。
  3. 【請求項3】スケール防止剤、リン酸塩、有機リン酸塩
    又は腐食防止剤と、イオン、カチオン、オキシアニオン
    又はこれらの複合物の形で水性系に溶解可能である1種
    以上のコバルト化合物とを含む水性工業的液体処理剤を
    含む組成物。
  4. 【請求項4】スケール防止剤、リン酸塩、有機リン酸塩
    又は腐食防止剤と、イオン、カチオン、オキシアニオン
    又はこれらの複合物の形で水性系に溶解可能である1種
    以上のクロムIII化合物とを含む水性工業的液体処理剤
    を含む組成物。
JP2044651A 1989-02-27 1990-02-27 処理薬品トレーサーとしての遷移金属 Expired - Fee Related JP2954964B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US315713 1989-02-27
US07/315,713 US4966711A (en) 1989-02-27 1989-02-27 Transition metals as treatment chemical tracers

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0315755A JPH0315755A (ja) 1991-01-24
JP2954964B2 true JP2954964B2 (ja) 1999-09-27

Family

ID=23225717

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2044651A Expired - Fee Related JP2954964B2 (ja) 1989-02-27 1990-02-27 処理薬品トレーサーとしての遷移金属

Country Status (9)

Country Link
US (1) US4966711A (ja)
EP (1) EP0385678B2 (ja)
JP (1) JP2954964B2 (ja)
AT (1) ATE127227T1 (ja)
AU (2) AU648426B2 (ja)
CA (1) CA2003681C (ja)
DE (1) DE69021910T3 (ja)
ES (1) ES2079435T5 (ja)
GR (1) GR3018236T3 (ja)

Families Citing this family (37)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5132096A (en) * 1990-03-23 1992-07-21 Nalco Chemical Company Monitoring performance of a water treating agent by measuring and resolving optical voltage analogs
US5006311A (en) * 1990-03-23 1991-04-09 Nalco Chemical Company Monitoring performance of a treating agent added to a body of water
US5171450A (en) * 1991-03-20 1992-12-15 Nalco Chemical Company Monitoring and dosage control of tagged polymers in cooling water systems
US5242602A (en) * 1992-03-04 1993-09-07 W. R. Grace & Co.-Conn. Spectrophotometric monitoring of multiple water treatment performance indicators using chemometrics
US5271904A (en) * 1992-09-17 1993-12-21 Electric Power Research Institute, Inc. Apparatus for sensing a chemical property of a spray
US5304800A (en) * 1992-11-10 1994-04-19 Nalco Chemical Company Leak detection and responsive treatment in industrial water processes
US5266493A (en) * 1993-01-22 1993-11-30 Nalco Chemical Company Monitoring boric acid in fluid systems
US5320967A (en) * 1993-04-20 1994-06-14 Nalco Chemical Company Boiler system leak detection
ES2102748T3 (es) * 1993-08-20 1997-08-01 Nalco Chemical Co Sistema de regulacion de una caldera por medio de un programa de control ph/fosfato.
US5411889A (en) * 1994-02-14 1995-05-02 Nalco Chemical Company Regulating water treatment agent dosage based on operational system stresses
US5435969A (en) * 1994-03-29 1995-07-25 Nalco Chemical Company Monitoring water treatment agent in-system concentration and regulating dosage
CN1069162C (zh) * 1994-05-02 2001-08-08 诺尔科化学公司 用作改进的抗微生物剂的荧光杀生物剂组合物
US5663489A (en) * 1994-11-14 1997-09-02 Betzdearborn Inc. Methods and apparatus for monitoring water process equipment
US5565619A (en) * 1994-11-14 1996-10-15 Betz Laboratories, Inc. Methods and apparatus for monitoring water process equipment
ES2143722T3 (es) 1995-11-09 2000-05-16 Nalco Chemical Co Control del nivel de actividad microbiologica de un sistema de fluido.
US5658798A (en) * 1996-02-08 1997-08-19 Nalco Chemical Company Detection of process components in food process streams by fluorescence
US5736405A (en) * 1996-03-21 1998-04-07 Nalco Chemical Company Monitoring boiler internal treatment with fluorescent-tagged polymers
US6244098B1 (en) 1997-02-13 2001-06-12 Betzdearborn Inc. Methods and apparatus for monitoring water process equipment
US5756880A (en) * 1997-02-13 1998-05-26 Betzdearborn Inc. Methods and apparatus for monitoring water process equipment
US6109096A (en) * 1997-02-13 2000-08-29 Betzdearborn Inc. Methods and apparatus for monitoring water process equipment
US5817927A (en) * 1997-04-11 1998-10-06 Betzdearborn Inc. Method and apparatus for monitoring water process equipment
US6170319B1 (en) 1998-03-31 2001-01-09 Betzdearborn Inc. Methods and apparatus for monitoring water process equipment
US6585933B1 (en) 1999-05-03 2003-07-01 Betzdearborn, Inc. Method and composition for inhibiting corrosion in aqueous systems
US6068012A (en) 1998-12-29 2000-05-30 Ashland, Inc. Performance-based control system
US6662636B2 (en) 2001-12-13 2003-12-16 Ondeo Nalco Company Method of reducing fouling in filters for industrial water system analytical devices
US6790666B2 (en) * 2001-12-28 2004-09-14 Nalco Company Method to ascertain whether soluble hardness is calcium or magnesium based
US6790664B2 (en) * 2001-12-28 2004-09-14 Nalco Company Fluorometric monitoring and control of soluble hardness of water used in industrial water systems
US20040250841A1 (en) * 2003-06-10 2004-12-16 Kimbrough Atwood M. HVAC enviro-clean condensate drain pan and coil cleaning system
US20090101587A1 (en) * 2007-10-22 2009-04-23 Peter Blokker Method of inhibiting scale formation and deposition in desalination systems
US8893784B2 (en) 2010-06-30 2014-11-25 Schlumberger Technology Corporation Traced chemicals and method to verify and control formulation composition
US9266797B2 (en) 2013-02-12 2016-02-23 Ecolab Usa Inc. Online monitoring of polymerization inhibitors for control of undesirable polymerization
US9399622B2 (en) 2013-12-03 2016-07-26 Ecolab Usa Inc. Nitroxide hydroxylamine and phenylenediamine combinations as polymerization inhibitors for ethylenically unsaturated monomer processes
NO343468B1 (en) * 2016-11-18 2019-03-18 Inst Energiteknik Tracers
WO2018093272A1 (en) * 2016-11-18 2018-05-24 Institutt For Energiteknikk Tracers
WO2019160694A1 (en) 2018-02-15 2019-08-22 Buckman Laboratories International, Inc. Method and system for tagging leather or hides treated with biocide and identifying same
RU2724591C1 (ru) * 2019-08-20 2020-06-25 Общество с ограниченной ответственностью "Агро Эксперт Груп" Способ фотометрической идентификации и определения концентрации компонентов баковой смеси
CN111749650A (zh) * 2020-06-09 2020-10-09 中国石油化工股份有限公司 一种油井阻垢剂加药周期确定方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE2643422A1 (de) * 1976-09-21 1978-03-30 Kurita Water Ind Ltd Wasserbehandlungsmittel und verfahren zur behandlung von wasser
US4264329A (en) * 1979-04-27 1981-04-28 Cities Service Company Tracing flow of fluids
AU572825B2 (en) * 1983-03-03 1988-05-19 Fmc Corporation (Uk) Limited Inhibition of corrosion and scale formation of metal surfaces
US4501667A (en) * 1983-03-03 1985-02-26 Ciba-Geigy Corporation Process of inhibiting corrosion of metal surfaces and/or deposition of scale thereon
US4664884A (en) * 1985-06-14 1987-05-12 Drew Chemical Corporation Corrosion inhibitor
US4783314A (en) * 1987-02-26 1988-11-08 Nalco Chemical Company Fluorescent tracers - chemical treatment monitors
US4777140A (en) * 1987-05-26 1988-10-11 Mobil Oil Corporation Measurement of vanadium content in a refinery stream by electron spin resonance spectroscopy

Also Published As

Publication number Publication date
AU2073392A (en) 1992-10-15
JPH0315755A (ja) 1991-01-24
GR3018236T3 (en) 1996-02-29
ES2079435T5 (es) 2004-05-16
EP0385678B2 (en) 2003-09-03
AU6863894A (en) 1994-10-06
EP0385678A3 (en) 1992-08-12
DE69021910D1 (de) 1995-10-05
CA2003681A1 (en) 1990-08-27
CA2003681C (en) 2002-08-20
ES2079435T3 (es) 1996-01-16
EP0385678B1 (en) 1995-08-30
EP0385678A2 (en) 1990-09-05
US4966711A (en) 1990-10-30
AU4915190A (en) 1990-08-30
DE69021910T2 (de) 1996-04-25
AU624675B2 (en) 1992-06-18
ATE127227T1 (de) 1995-09-15
DE69021910T3 (de) 2004-06-03
AU648426B2 (en) 1994-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2954964B2 (ja) 処理薬品トレーサーとしての遷移金属
US5200106A (en) Compositions comprising transition metals for treating and monitoring liquid systems
US4783314A (en) Fluorescent tracers - chemical treatment monitors
CA2145733C (en) Monitoring water treatment agent in-system concentration and regulating dosage
JP3751652B2 (ja) 工業的流体系の水処理剤インシステム濃度の調節方法
CA1334772C (en) Continuous on-stream monitoring of cooling tower water
US5236845A (en) On-line iron (II) concentration monitoring to continuously determine corrosion in boiler systems
JP2003532051A (ja) ボイラー制御のための制御マトリックス(controlmatrix)の使用
EP2601515A1 (en) Simultaneous determination of multiple analytes in industrial water system
CA1325583C (en) Visual analytical tracer and method for detection and quantitative analysis for water treatment chemicals
EP0469773B1 (en) Iron (II) concentration monitoring for determining corrosion in boiler systems
CA2354015C (en) Rapid colorimetric method for measuring polymers in aqueous systems
Miller et al. Chemical oxygen demand analysis of wastewater using trivalent manganese oxidant with chloride removal by sodium bismuthate pretreatment
US3706532A (en) Method for determining zinc concentration in aqueous mediums
US3656908A (en) Method of determining the chromium content of aqueous mediums
Al-Tayar et al. A spectrophotometric assay method for vanadium in biological and environmental samples using 2, 4-dinitrophenylhydrazine with imipramine hydrochloride
JPH02115093A (ja) 工業または都市用水システムを監視する方法
JPH0894520A (ja) 蛍光物質による冷却水系水処理剤濃度及び保有水量の測定方法
Samples Chapter VII—Analysis of Industrial Water and Industrial Waste Water
Budesinsky Determination of sulfur dioxide in air

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees