JP2954944B2 - 床用被覆材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、床用被覆材に関し、更に詳しくは剥離可能
な床用被覆材に関する。 〔従来の技術〕 従来、床用被覆剤としてロウワックス及び樹脂ワック
スが多用されている。これら被覆剤は、床面に専用のア
プリケーターを用いて塗布される。塗布後、被覆剤は日
常の通行により徐々に汚染され、汚染された被覆剤は専
用の化学薬剤を含む水溶液を用いて剥離され、新たな被
覆剤が再度塗布される。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上記ロウワックス及び樹脂ワックスは溶媒として水を
使用しており、又剥離の際にも化学薬剤を含む水溶液を
用いる必要がある。 ところが、被覆剤の塗布時及び剥離時に水を用いるこ
とにより種々の問題が生じることがある。すなわち、床
材の接着面における剥がれや基材の腐食、洗剤液の漏洩
等が生じる。さらに、水で覆われた床面は滑り易く危険
であるという問題もある。 特に、近代的なインテリジェントビルやフリーアクセ
ス床においては、水を使用することが制限または禁止さ
れてきている。 そこで本発明の目的は、水を含有する樹脂ワックスや
洗浄剤等を用いることなく剥離更新することができる被
覆材を提供することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、高分子フィルム及び該高分子フィルムを床
に固定するための固定手段から構成される被覆材であっ
て、該高分子フィルムが３〜20KHNのヌープ硬度を有
し、且つ該固定手段が該高分子フィルムを床材から剥離
可能な状態で床材に固定できる手段である、床用被覆材
に関する。 また、本発明は、高分子フィルム及び該高分子フィル
ムを床に固定するための固定手段から構成される被覆材
であって、該固定手段が該高分子フィルムを床材から剥
離可能な状態で床材に固定できる手段であり、且つ該固
定手段が0.1〜2kg/25mm幅の粘着力（JIS Z 0237）を有
する接着剤である、床用被覆材に関する。 以下本発明について説明する。 本発明においては、高分子フィルムとして、例えば、
ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポ
リアクリル、ポリスチレン、ポリエステル、ナイロン、
ポリプロピレン、ポリウレタン及びABS等のポリマーの
フィルム並びにこれらポリマーを形成するモノマーの２
種以外からなるコポリマーのフィルムを挙げることがで
きる。さらに、高分子フィルムは、上記フィルムの２以
上からなるラミネートフィルムであることもできる。さ
らに、高分子フィルムは、フィルム状の成型物及び織物
等であることもできる。 これら高分子フィルムは、ヌープ硬度が３〜20KHN、
好ましくは８〜15KHNであることが、床用として用いる
という観点から適当である。ヌープ硬度を3KHN以上とす
ることにより、歩行者の歩行時の衝撃によっても容易に
被覆材が傷つくことがなく、光沢の低下、汚れのくい込
み等により美観が損なわれることもなく、被覆材として
長期間性能を維持することが出来る。またヌープ硬度20
KHN以下とすることにより、歩行時の衝撃による被覆材
の割れ、滑り等が生じず、被覆材として長期間使用する
ことが出来る。 さらに、本発明に用いる高分子フィルムは、テーパー
試験方法（荷重1000g、摩耗輪CS−17、回転数500rpm）
で、摩耗減量100mg以下、好ましくは50mg以下であるも
のが耐久性の点から好ましい。 さらに、本発明に用いる高分子フィルムは、厚さが0.
001〜5mm、好ましくは0.1〜1.5mmであるものが耐久性の
点で好ましい。 また、高分子フィルム中に、殺菌剤、帯電防止剤、防
虫剤又は顔料等を混合したものを用いることも可能であ
る。 一方、高分子フィルムを床用タイルやシート等の床に
固定する固定手段としては、例えば、粘着剤をあげるこ
とが出来る。粘着剤は、剥離性をもたせるという観点か
ら2kg/25mm幅〜0.1kg/25mm幅、好ましくは1kg/25mm幅〜
0.5kg/25mm幅の粘着力（JIS Z 0237）を有することが好
ましい。粘着剤としては、アクリル酸エステル、アクリ
ル−酢酸ビニル共重合体、天然ゴム、合成ゴム、SBRゴ
ム、ブチルゴム、ポリビニルエーテル、ポリテレペン樹
脂、ロジン、油溶性フェノール樹脂、ポリイソブチレン
等を単独であるいは混合して用いることが好ましい。特
に、アクリル酸エステル、アクリル−酢酸ビニル共重合
体、天然ゴム、合成ゴム、SBRゴムが好ましい。 粘着剤は、通常上記高分子フィルムの片面に設ける。
又、粘着剤は、上記高分子フィルムを十分に固定できれ
ば、フィルム片面の全体に設けても一部に設けてもよ
い。またフィルム片面にスポット的に粘着剤を設けても
よい。 固定手段として粘着剤を用いた場合、汚染した被覆材
は、容易に剥離する事が可能であり、新しい被覆材に簡
単に交換する事が出来る。 本発明における、上記固定手段としては、前記高分子
フィルムを床材から剥離可能な状態で床材に固定できる
手段であれば、上記粘着剤以外の手段も採用することが
出来る。例えば、床材に凹状部分を設け、高分子フィル
ムに凸状の固定手段を設けて、ホックのように留めてい
くこともできる。 さらに、固定手段としてヒートシール性材料を用い、
例えば前記高分子フィルムとヒートシール性フィルムを
ラミネートした被覆材を床面に敷いた後、コテ又はアイ
ロン等で熱処理することによっても被覆材を固定するこ
とができる。 その他固定手段としてマジックテープ、クリップ、ボ
タン等も用いることができる。 本発明の被覆材は、ビル、家屋の内外を問わず、あら
ゆる床面に使用することが可能である。床面の光沢を必
要とする場所、また光の反射を嫌う場所には、被覆材を
構成する高分子フィルムの表面を処理加工することによ
り、希望の外観とすることができる。 また、損傷し脱色した床材にも、被覆材に顔料や色素
を混合することにより、望みの色を付けることも可能で
あり、ありとあらゆる用途に使用可能となる。 本発明の高分子フィルムを用いた被覆材は、毛足の長
いカーペット以外なら、どのような床材にも使用するこ
とができる。 以下本発明を実施例により説明する。 実施例 表１に示す被覆材サンプルについて性能試験を行っ
た。 １日の交通量約5000人の歩行量を有する通路に、300
×300mmの被覆材サンプルをビニルアヒベスト床に貼り
つけ30日間敷き、ランダムに歩行させ、歩行後のサンプ
ルの外観及び性状を以下の基準に従って評価した。結果
は表１に示す。 （１）損傷度 A:摩耗された痕跡もなく、光沢も低下していない。 B:多少摩耗されているが、光沢の低下は少ない。 C:摩耗されており、光沢の低下も多少ある。 D:完全に摩耗され、光沢を失っている。 （２）汚染性 A:擦り傷も無く、汚染の形跡もない。 B:擦り傷は無いが、僅かに汚染の形跡がある。 C:多少擦り傷が生じ、多少汚染の形跡がある。 D:無数の擦り傷があり、汚染がひどい。 （３）歩行時の割れ A:全く割れの徴候すらない。 B:僅かなクラックの徴候がうかがえる。 C:微かにクラックが見える。 D:無数のクラックが見える。 （４）滑り性（日本工業規格JIS A 1407に準じて行う） A:滑り抵抗係数 0.4以上 B:滑り抵抗係数 0.2〜0.3 C:滑り抵抗係数 0.1〜0.2 D:滑り抵抗係数 0.1以下 （５）床への密着性 A:全く剥がれない。 B:角がほんの僅か捲れる。 C:廻りが僅かに剥がれる。 D:全体が剥がれてしまう。 （６）床からの剥離性 A:床から容易に剥がれる。 B:床から僅かの力を加えるだけで剥がれる。 C:床から力を加えてようやく剥がれる。 D:床から力を加えても剥がれない。〔発明の効果〕 本発明によれば、水等の溶媒を用いることなく、床面
に設けることができ、かつ床面から剥離することができ
る床用被覆材を提供することができる。さらに本発明の
床用被覆材は従来の被覆材とほぼ同等の優れた耐久性等
の特性を有するものである。

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．高分子フィルム及び該高分子フィルムを床に固定す
   るための固定手段から構成される被覆材であって、該高
   分子フィルムが３〜20KHNのヌープ硬度を有し、且つ該
   固定手段が該高分子フィルムを床材から剥離可能な状態
   で床材に固定できる手段である、床用被覆材。 ２．高分子フィルムが、CS−17の摩耗論及び1000gの荷
   重を用い、500回転の条件におけるテーバー摩耗におい
   て100mg以下の摩耗減量を有する特許請求の範囲第
   （１）項記載の被覆材。 ３．高分子フィルムが0.001〜5mmの厚さを有する特許請
   求の範囲第（１）項記載の被覆材。 ４．高分子フィルムが１層又は２層以上のフィルムから
   構成される特許請求の範囲第（１）項記載の被覆材。 ５．高分子フィルム及び該高分子フィルムを床に固定す
   るための固定手段から構成される被覆材であって、該固
   定手段が該高分子フィルムを床材から剥離可能な状態で
   床材に固定できる手段であり、且つ該固定手段が0.1〜2
   kg/25mm幅の粘着力（JIS Z 0237）を有する接着剤であ
   る、特許請求の範囲第（１）項記載の床用被覆材。