JP2952751B2 - 有機電解液電池 - Google Patents

有機電解液電池

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JP2952751B2 JP7186232A JP18623295A JP2952751B2 JP 2952751 B2 JP2952751 B2 JP 2952751B2 JP 7186232 A JP7186232 A JP 7186232A JP 18623295 A JP18623295 A JP 18623295A JP 2952751 B2 JP2952751 B2 JP 2952751B2
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  • Sealing Battery Cases Or Jackets (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は深海等の高圧下で使用さ
れる有機電解液電池に関する。
【0002】
【従来の技術】深海等の高圧下で使用される電池とし
て、水溶液電解液を使用した鉛蓄電池や酸化銀−亜鉛電
池等がある。これらの電池は、大気圧下で充電され、深
海等の高圧下での計測機器の電源や水中走行体の駆動用
電源として使用される。
【0003】このような電池は、本願と同一出願人によ
る特開昭49−85530号や特開昭49−85531
号に開示されている。その概要は、図1に示す通り、電
池収納槽11と均圧装置13(ゴム袋等よりなる伸張収
縮体)とで形成される密封空間内に、水溶液電解液を有
する開放形の単電池16と絶縁油9とを収納した構成で
あり、一括して複数の単電池の均圧を図るものである。
尚、この図では均圧装置13の外周部に海水を導入する
ための海水導入孔は省略されている。
【0004】ところが、上記のような水溶液電解液を使
用した電池には、エネルギー密度が小さい、充放電サイ
クル寿命が短い等の欠点がある。
【0005】そこで、このような水溶液電解液を使用し
た深海用電池の欠点を克服し、エネルギー密度が大き
く、充放電サイクル寿命の長いものとして、やはり本願
と同一出願人らによる特開平2−139850号に開示
されている深海用有機電解液電池がある。この深海用有
機電解液電池は、正極とリチウム又はリチウム合金から
なる負極と有機電解液とからなり、均圧装置を備えたこ
とを特徴とする。これを図2に示す。この図において、
1は単電池槽、2は発電要素、4、5は正負端子、8は
電解液、13はゴム袋状均圧装置である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ここに
開示されている深海用有機電解液電池の場合、単電池槽
内に発電要素と電解液とを収納し、圧力バランスを均圧
装置内の電解液の移動、収縮で保つ構造であるため、単
電池ごとに均圧装置が必要になると言う問題がある。
(複数の単電池を収納すると、共通電解液となり単電池
間に電流リークの問題が生ずる。) さらに、有機電解液電池において肝要なことは、水分の
悪影響をいかに排除するかということであるが、図1に
示した従来の水溶液電解液電池の場合における絶縁油中
の水分及び、上記深海用有機電解液電池の場合における
均圧装置を透過して侵入してくる水分の対策についての
考慮は全くなされていない。
【0007】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたものであり、その目的とするところは、構
造が簡単で、しかもエネルギー密度が大きく、水分の影
響を受けず、充放電サイクル寿命の長い、均圧装置を有
する有機電解液電池を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、均圧装置を備え
た電池収納槽と、電池収納槽内に収納された複数の有機
電解液単電池と、電池収納槽内の空間部に充填された絶
縁液であって、有機電解液よりも小さい比重を有すると
ともに、絶縁液と有機電解液との界面が常に単電池内に
あるよう構成され有機電解液電池において、電池収納槽
内もしくは単電池内もしくはその両方に水分吸着剤を備
えた有機電解液電池、とりわけ有機電解液単電池が均圧
用バッファタンクを備え、絶縁液と有機電解液との界面
が常に均圧用バッファタンク内にあり、水分吸着剤が均
圧用バッファタンク内に配されたことを特徴とする前記
有機電解液電池により、従来の課題を解決するものであ
る。
【0009】
【作用】本願発明者らは、かかる従来の有機電解液電池
が期待通りの性能を発揮しない場合がある原因を調査し
た結果、絶縁油中に存在する水分や高圧下において均圧
装置のゴム膜や絶縁油を通して少しずつ侵入してくる水
分により悪影響を受けていることをつきとめた。
【0010】そこで、種々検討した結果、上記構成を採
用し、絶縁油中の水分もしくは深海下において均圧装置
を通して侵入してくる水分が有機電解液に到達するのを
防止することにより、構造が簡単で、しかもエネルギー
密度が大きく、深海等の使用においても水分の影響を受
けることなく、充放電サイクル寿命の長い有機電解液電
池を提供し得ることを見いだし、本発明の完成に至っ
た。
【0011】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳述する。
【0012】図3は、本発明の−実施例にかかる有機電
解液を有する単電池17の断面を示す図である。同図に
おいて、1は単電池槽であり、2は正極、負極およびセ
パレータからなる発電要素である。3は電池蓋であり、
電池ケース1にレーザー溶接にて密封固着されている。
4は正極端子、5は負極端子である。正負極端子4、5
は、絶縁部材であるガラス6によるハーメチックシール
により電池蓋3に固定されている。尚、この実施例では
電池ケース1、電池蓋3及び正負端子4、5はステンレ
ス鋼製である。
【0013】7は電池ケースの上部に取りつけられた電
解液用バッファタンクであり、その下部は単電池内部と
連通しているとともに、上部は多孔体(図示せず)を介
して外部と連通している。8は単電池槽とバッファタン
クとに充填された電解液である。9は後述する絶縁液で
ある。
【0014】10は電解液8と流動パラフィンよりなる
絶縁液9とのバッファタンク内の界面であり、常圧下で
はバッファタンク7の上面を超えず、深海相当の高圧下
では発電要素2の上面を下回らないように設定されてい
る。これは、界面10がバッファタンク7の上面を越え
ると電解液が溢れ出て単電池間短絡を誘因する可能性が
あり、逆に発電要素2の上面を下回ると発電要素が絶縁
液で汚染され電池性能劣化の原因になるからである。な
お、単電池槽1とバッファタンク7とは連通しており、
実質的に同一空間と見なすことができるので、バッファ
タンク7内にある界面10も「単電池内にある界面」と
見なすものとする。
【0015】18(バッファタンク7内の黒点)は、水
分吸着用のモレキュラーシーブである。この例ではバッ
ファタンク7内に充填されている。水分吸着剤は後述す
る均圧装置で区画された電池収納槽の内部空間内に配し
てもよいが、バッファタンクタンク7内に充填されるこ
とにより、より効率的かつ確実に水分が有機電解液単電
池に侵入するのを防止することができる。無論、バッフ
ァタンクタンク7内と電池収納槽内との両方に充填すれ
ば、さらに効果的である。
【0016】この実施例における有機電解液単電池は、
正極としてLiCoO2 を、負極としてリチウムイオン
の吸蔵・放出が可能な炭素を、電解液としてエチレンカ
ーボネートとジエチルカーボネートの混合液に1モル濃
度のLiPF6 を溶解したものをそれぞれ使用した容量
10Ahの電池である。
【0017】図4は、本発明にかかる有機電解液電池の
一例を示す図である。図4において、11は電池収納
槽、14は電池収納槽の内部と外部とを連通する海水導
入孔である。13はゴム製膜状体の均圧装置であり、電
池収納槽11の内部空間と外部空間とを区画するととも
に、均圧装置13で区画された電池収納槽11の内部空
間と外部空間との圧力を均等にするためのものである。
【0018】17は図3で示した単電池であり、均圧装
置13で区画された電池収納槽11の内部空間に4個収
納されている。9は均圧装置13で区画された電池収納
槽11の内部空間に充填された絶縁液、15は前記空間
に配した壁体に形成した均圧孔である。
【0019】この有機電解液電池を深海に沈降させてい
くと(沈降・上昇手段は図示せず)、均圧装置13で区
画された電池収納槽11の内部と外部との圧力差によ
り、海水が海水導入孔14より電池収納槽11内に侵入
して、均圧装置13を図面下方へ押圧し、絶縁液9が均
圧孔15を通して単電池群の方へ移動する。もって絶縁
液9が単電池のバッファタンク7の上部に設けた多孔体
を通してバッファタンクに侵入し、単電池の内部と外部
とが均圧に保たれるので、深海等の高圧条件下でも、単
電池電池が破損したり変形したりすることがない。
【0020】この有機電解液電池を深海から浮上させる
と、上記と逆のメカニズムにより単電池内部と外部とが
均圧に保たれる。
【0021】本発明において銘記されるべき点は、絶縁
液中の水分もしくは均圧装置を透過して侵入してくる水
分が有機電解液に及ぼす悪影響を如何にして排除するか
ということであり、それを達成する手段として、電池収
納槽内もしくは単電池内もしくはその両方に水分吸着剤
を備えるということである。また、有機電解液よりも小
さい比重と有機電解液と混じり合わない性質とを有する
絶縁液を選択することは、本発明の目的を達成する上で
必須の要件である。
【0022】上記有機電解液電池を模擬海水中に侵漬
し、1000気圧の加圧下に10日間放置して、深海1
万メートルの海底雰囲気を模擬した。10日間の自己放
電量は3パーセント以下であり、常圧下での自己放電量
と変わらなかった。また、放置試験のあと、50サイク
ルの充放電試験を行ったが、放電容量の低下は初期の5
パーセントであり。常圧下での容量低下と変わらなかっ
た。
【0023】
【発明の効果】上記の通り、本発明にかかる有機電解液
電池は、均圧装置を備えた電池収納槽と、電池収納槽内
に収納された複数の有機電解液単電池と、電池収納槽内
の空間部に充填された絶縁液であって、有機電解液より
も小さい比重を有するとともに、絶縁液と有機電解液と
の界面が常に単電池内にあるよう構成され有機電解液電
池において、電池収納槽内もしくは単電池内もしくはそ
の両方に水分吸着剤を備えること、とりわけ有機電解液
単電池が均圧用バッファタンクを備え、絶縁液と有機電
解液との界面が常に均圧用バッファタンク内にあり、水
分吸着剤が均圧用バッファタンク内に配されたことを特
徴とする 本発明における有機電解液電池は、個々の単電池に均圧
装置を設ける必要がなく、しかも水分による有機電解液
電池への悪影響が効果的に排除される。これにより、水
の悪影響を受け易い深海のような高圧下でも充放電サイ
クル寿命が長く、しかもエネルギー密度が大きくて、構
造簡単な均圧装置を有する有機電解液電池を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の技術を示す図である。
【図2】従来の技術を示す図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる有機電解液を有する
単電池を示す図である。
【図4】本発明の一実施例にかかる有機電解液電池を示
す図である。
【符号の説明】
1 単電池槽 2 発電要素 3 電池蓋 4 正極端子 5 負極端子 6 ガラスの絶縁部材 7 バッファタンク 8 電解液 9 絶縁液 10 電解液−絶縁液界面 11 電池収納槽 13 均圧装置 14 海水導入孔 15 均圧孔 16 単電池 17 単電池 18 水分吸着剤

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 均圧装置を備えた電池収納槽と、電池収
    納槽内に収納された複数の有機電解液単電池と、電池収
    納槽内の空間部に充填された絶縁液であって有機電解液
    よりも小さい比重を有するとともに、絶縁液と有機電解
    液との界面が常に単電池内にあるよう構成され有機電解
    液電池において、 電池収納槽内もしくは単電池内もしくはその両方に水分
    吸着剤を備えたことを特徴とする有機電解液電池。
  2. 【請求項2】 有機電解液単電池が均圧用バッファタン
    クを備え、絶縁液と有機電解液との界面が常に均圧用バ
    ッファタンク内にあり、水分吸着剤が均圧用バッファタ
    ンク内に配されたことを特徴とする、請求項1記載の有
    機電解液電池。
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