JP2948759B2 - テンション装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は自動巻線機において
所定のテンション（張力）をワイヤに与えるために設け
られるテンション装置に係り、特に極細線を使用する自
動巻線機に好適なテンション装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】コイルや遅延線などの電子部品にワイヤ
を巻回するのに自動巻線機が用いられている。自動巻線
機は、巻枠から繰り出されるワイヤをガイドノズル等で
保持した状態でコイルのボビンを回転したり、端子の周
りにガイドノズルを回転することによって巻線処理を行
う。この際、ワイヤをボビンや端子に正確に巻き付ける
ためには、ワイヤに所定のテンションを与えておくこと
が必要である。ワイヤに加えられるテンションには、引
き出されるワイヤに常に引っ張り抵抗を与える第１のテ
ンションと、必要に応じて緩みをとるための第２のテン
ションがあり、これら２種類のテンション装置が組み合
わせて用いられるのが普通である。図４はワイヤにこの
ようなテンションを与える従来のテンション装置の構成
例を示すものである。軸１に回動自在に支持したホルダ
ー２にはアーム３の一端を固定し、アーム３の他端には
ローラー３ａを取付けてある。ホルダー２に固定したフ
ック２ａにはアジャスタ２ｂを介してスプリング４が取
付けられ、このスプリング４によってアーム３の先端を
持ち上げる方向の回転力がホルダー２に与えられてい
る。巻枠から繰り出されたワイヤ５は、柔らかなフェル
トからなる２枚の押さえ板６ａ、６ｂの間を通り、プー
リー７及びローラー３ａを通して図示しないガイドノズ
ル等の巻線部に供給される。図４の状態でワイヤ５の先
端を引くと、このワイヤ３には、スプリング８で押圧さ
れた押さえ板６ａ、６ｂの摩擦による引っ張り抵抗、す
なわち第１のテンションと、アーム３の回転力に応じた
第２のテンションが付与されることになる。第１のテン
ションの大きさはナット11を回転して上下することによ
り調節される。本発明は、この持続的な第１のテンショ
ンを発生させるテンション装置の改良に関するものであ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】フェルトからなる押さ
え板６ａ、６ｂの間にワイヤ５を挟んで第１のテンショ
ンを発生させる従来のテンション装置は、数グラム単位
の微調整が困難であり極細線の巻線に適しない問題があ
った。また長期間使用していると、フェルトが磨耗して
テンションの大きさが変化してしまう欠点もあった。本
発明は数グラム単位での微調整が可能で、微小なテンシ
ョンを安定して得られるテンション装置を提供しようと
するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、プレート10上
に固定され一端に雄ねじが切られたシャフト９と、この
シャフト９に回転自在に取付けられたプーリ20と、シャ
フト９に嵌め込まれプーリ20を下方に付勢するスプリン
グ８と、シャフト９の上端に螺合してスプリング８の上
端を押さえるナット11とを備え、表面の摩擦係数がプー
リ20よりも小さいシート30を、プーリ20とプレート10の
間に介挿し、巻枠から引き出したワイヤ５をプーリ20に
巻き付ける構成を特徴とする。

【０００５】

【実施例】図１〜図３は本発明のテンション装置の一実
施例を示すものである。なお前述の従来例と対応する部
分には、これらの図においても同一符号を付してある。
金属製のプレート10の上には、従来と同様に上部に雄ね
じを切ったシャフト９が固定してある。巻枠形のプーリ
20には、図２に示すように中央の孔にボールベアリング
25を嵌め込んで固定してある。プーリ20はボールベアリ
ング25をシャフト９に嵌め込み、回転自在になされてい
る。

【０００６】プーリ20は慣性を小さくするため軽い方が
よく、ＡＢＳ樹脂等の合成樹脂により成形される。プー
リ20は上鍔21と下鍔22を備えており、上鍔21よりも直径
が大きい下鍔22がプレート10に対向している。下鍔22の
下面には、その表面の摩擦係数がプーリ20表面の摩擦係
数よりも小さいワッシャ形のシート30を接着固定してあ
る。シート30は、その表面がプーリ20の表面よりも摩擦
抵抗が小さいものであればよい。シート30の素材として
は、テフロン等の滑りのよい樹脂やフェルトなどが適し
ている。

【０００７】プーリ20の上には金属ワッシャ40及びスプ
リング８を取付け、シャフト９の上部に螺合したナット
11でスプリング８の上面を押さえている。ナット11を回
転して上下させると、スプリング８が伸縮し、ワッシャ
40及びボールベアリング25を介してプーリ20にかかるス
プリング８の圧力が徐々に変化する。したがって、ナッ
ト11をゆっくり回転することにより、シート30とプレー
ト10間の滑り摩擦の大きさを微調整できる。

【０００８】このテンション装置を使用する際には、巻
枠から繰り出されたワイヤ５を、図３のようにプーリ20
の鍔21、22間の溝の部分に１回程度巻き付けてから図示
しない巻線部に供給する。ワイヤ５が引っ張られてプー
リ20が回転すると、プレート10の上面とシート30の下面
との間で僅かな滑り摩擦が生じることになる。なお、シ
ート30はプレート10側に接着固定してもよいが、プーリ
20側に固定して金属プレート10との間の滑り摩擦を利用
する方が、耐磨耗性に優れ、より適度の滑り摩擦を安定
して得ることができる。

【０００９】

【発明の効果】本発明によれば、シートに摩擦係数のき
わめて小さいものを選ぶことにより数グラム単位でテン
ション値の微調整が可能で、微小なテンションを安定し
てワイヤに供給することが可能である。特に直径が０．
０２ｍｍ以下の極細線を使用する自動巻線機に有効であ
り、機構が簡単で安価なうえ作業性、操作性に優れてい
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のテンション装置の一実施例を示す正
面図

【図２】 同テンション装置の正面断面図

【図３】 同テンション装置の使用状態を示す斜視図

【図４】 従来のテンション装置の斜視図

【符号の説明】

８ スプリング ９ シャフト 10 プレート 11 ナット 20 プーリ 30 シート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H01F 41/06,41/08 B65H 59/38

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 引き出されるワイヤに常に引っ張り抵抗
   を与えるテンション装置において、プレート上に固定さ
   れ一端に雄ねじが切られたシャフトと、該シャフトに回
   転自在に取付けられたプーリと、シャフトに嵌め込まれ
   プーリを下方に付勢するスプリングと、シャフトの上端
   に螺合してスプリングの上端を押さえるナットとを備
   え、表面の摩擦係数がプーリよりも小さいシートを、プ
   ーリとプレートの間に介挿し、巻枠から引き出したワイ
   ヤをプーリに巻き付けることを特徴とするテンション装
   置。
2. 【請求項２】 シートをプーリに固定し、シートとプレ
   ート間の滑り摩擦によってワイヤに与えるテンションを
   発生させるようにした請求項１のテンション装置。