JP2948120B2 - インサート芯材入り成形品 - Google Patents

インサート芯材入り成形品

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内部にインサート芯材
を配して、その表面に軟質合成樹脂材料等からなる表皮
層をインサート成形して得られる、例えば自動車のアシ
ストグリップ、シートグリップ、シフトレバー等のイン
サート芯材入りの成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】上述のごとき成形品は、通常、所定の形
状を有する金属製或いは硬質合成樹脂材料により形成さ
れた芯材の表面に、各種発泡材や軟質合成樹脂材料から
なる表皮層を被覆して構成される。例えば、特開平4−
73129号公報に開示された表面に発泡体層をもつ物
品では、中央が小径部に形成され、その小径部の両端か
ら段部を介して大径部に連続する基材の前記小径部に、
円筒状の芯材を介して発泡体層及び表皮を一体に固着さ
せている。前記芯材と発泡体層及び表皮との一体化手段
は芯材と表皮との間で発泡ウレタンを用いて一体発泡成
形する。また、芯材と前記小径部との結合は低周波溶着
による。従って、この例では物品全体の部材間が完全に
密着一体化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の芯
材入り成形品を製造するには多数の工程数が必要とな
り、生産性の面から多くの問題を抱えている。そこで、
芯材と表皮層とをインサート成形により製造することも
考えられたが、通常の芯材は上記公報に開示されている
ものと同様に単純な筒状をなしているため、インサート
成形にあたって表皮層がその長さ方向に大きく収縮し、
予め設定された形状及び寸法を得ることが困難である場
合が多い。そのため、芯材の中央部における表皮層の長
さ方向の収縮を極力抑制すべく、芯材の端部を小径とし
て段部を介して単に中央部を大径に形成することも試み
られたが、この場合には表皮層全体の前記収縮により中
央部に強く引っ張られるため端部がめくり上がり、商品
としての価値が失われる。
【0004】本発明は上述の課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は生産性を上げると共に美麗
な表面形態を有する高品質のインサート芯材入り成形品
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的は、本発明の
主要な構成であるインサート芯材に表皮層をインサート
成形してなる芯材入り成形品であって、前記芯材が端部
に小径部を有すると共に中央部に大径部を有する棒状体
からなり、前記小径部に環状溝を有してなり、前記表皮
層が前記小径部と大径部に跨がって成形されてなること
を特徴とするインサート芯材入り成形品によって達成さ
れる。
【0006】そして、好適には前記環状溝の一側面が前
記大径部の端面と同一平面を共有させてなり、すなわち
前記環状溝の一側壁面を大径部の端面の延長面として構
成する。そして、前記小径部の周面が芯材の中心線に平
行である場合、同小径部の周面を端部に向けて漸次小径
とする場合がある。
【0007】
【作用】表皮材をインサート芯材の中央部周面に成形す
るとき、その成形固化時には同表皮材は特に長さ方向に
大きく収縮するため、芯材の中央部分を大径部とすると
共にその両端部を小径部として、表皮材の両端部を肉厚
に成形して、大径部と小径部との境界をなす段部をもっ
て表皮材の中央部分における長さ方向の収縮を抑制して
いる。
【0008】しかして、小径部を単純な円筒状に形成す
るだけでは、同小径部の周面に成形される表皮部分は中
央部に較べて肉厚となるため、小径部分に成形される表
皮部分の長さ方向の収縮量は中央部分のそれに較べて大
きくなり、同時に中央部分の収縮力も加わって前記段部
において表皮材の端部が長さ方向の中央に向けて強く引
き寄せられ、同表皮材の端部がめくり上がることが多く
なり商品価値を失う。
【0009】そこで、本発明では上述の如く小径部に更
に所定の幅をもつ環状溝を形成している。この環状溝の
形成部所を前記段部の端面を共有するように設定する
と、段部による収縮の阻止機能がより発揮される。
【0010】このように、芯材に大径部、小径部及び環
状溝を形成することにより、表皮材の中央部分は芯材の
前記大径部と環状溝との間に成形される肉厚部が段部に
よって収縮が阻止されると共に、上述の如く大径部に成
形される表皮部分の収縮が抑制され、同時に小径部の周
面に成形される表皮材部分が最も肉薄となるが、この部
分は長さが短い上に長さ方向の収縮が自由であるため端
部のめくり上がりをなくして、外観的にも美麗な成形品
が得られる。特に、小径部の周面を軸線に平行にするか
又は段部に向けて径を漸次大きくする場合には、表皮材
の端部の肉薄部分と小径部との間に隙間ができず形態的
にも安定したものとなる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の代表的な実施例を図面に基づ
いて説明する。図1は本発明の第1実施例を示すアシス
トグリップ用芯材の端部を示す側面図であり、図2は同
芯材に表皮材をインサート成形により成形被覆したとき
の同表皮材の形態変化を示す部分縦断面図、図3は同ア
シストグリップの全体形状を示す斜視図である。本発明
に係るインサート芯材入り成形品は、例えば射出成形等
により予め所定の形状に成形された芯材を、表皮材成形
用の射出金型内にセットし、同芯材がインサート状態で
表皮材を所定の形状に被覆成形することにより得られ
る。
【0012】図示例におけるアシストグリップ1は、図
3に示す如く全体が弓状をなしており、硬質の合成樹脂
製芯材2の中央部に例えば塩化ビニル、熱可塑性合成樹
脂エラストマー等からなる軟質の合成樹脂製表皮材3を
インサート成形により被覆して構成される。前記芯材2
は、図1に示す如く両端にフランジ部2aを有すると共
に、中央に大径部2bを有しており、同大径部2bと前
記フランジ部2aとの間にはそれぞれ段部を介して小径
部2cが形成されている。そして、本実施例では前記大
径部2bと小径部2cとの段部2b′から前記フランジ
部2aに向けて所定の幅を有する環状溝2dが形成され
ている。従って、同環状溝2dと前記フランジ部2aと
の間には前記小径部2cの一部が残された状態にあり、
しかも図示例では同小径部2cはその軸線に平行な周面
を有している。
【0013】図1において、破線で示す部分はインサー
ト成形時における表皮材3の成形キャビティ形状の一部
を示し、同図に示す如く表皮材3の端面3aとフランジ
部2aの端面2a′との間に非成形部である見切部2e
が形成してある。これはインサート成形時において表皮
材3の端部と前記フランジ部2aとの干渉を回避するば
かりでなく、成形完了時において前記フランジ部2aと
表皮材3との間に意図的にリング状の間隙1aが形成さ
れるようにして、外観の向上を図っている。また、前記
表皮材3を芯材2の中央部周面に成形するとき、その成
形固化時には同表皮材3は大きく収縮するため、上述の
如く芯材2の中央部分を大径部2bとすると共にその両
端部を小径部2cとして形成し、表皮材3の両端部を肉
厚に成形して、大径部2bの段部2b′をもって表皮材
3の中央部分における長さ方向の収縮長を抑制してい
る。
【0014】しかして、前述の如くフランジ2aの端面
2a′と表皮材3の端面3aとの間に単純に小径部2c
を形成するだけでは、同小径部2cの周面に成形される
表皮部分は中央部に較べて肉厚となるため、同表皮部分
の長さ方向の収縮量は中央部分のそれに較べて大きいた
め、中央部分の収縮力も加わって前記段部2b′におい
て表皮材3の両端を長さ方向の中央に向けて強く引き寄
せられ、同表皮材3の端部がめくり上がることが多くな
り商品価値を失う。
【0015】そこで、本発明では上述の如く上記小径部
2cに更に所定の幅をもつ環状溝2dを形成している。
図示例では同環状溝2dは段部2b′の端面からフラン
ジ部2aに向けて所定の幅寸法をもって環状溝2dが形
成され、フランジ部2aの端面2a′と表皮材3の端面
3aとの間の小径部2cに見切長さxを有する見切部2
eを形成している。本実施例では同見切長さxを2〜3
mmとしている。この見切長さxは表皮材3の収縮長さ
により適当に設定できるものであり、表皮材3の収縮長
さx′を見込んで成形後にフランジ部2aと表皮材3と
の間に適当な長さのリング状間隙1aが形成されるよう
に設定される。
【0016】このように、芯材2に大径部2b、小径部
2c及び環状溝2dを形成する場合には、表皮材3の中
央部分は芯材2の前記大径部2bと環状溝2dとの間に
成形される肉厚部3bのため上述の如く収縮が抑制さ
れ、同時に小径部2cの周面に成形される表皮材部分は
最も肉薄となり、長さが短い上に長さ方向の収縮が自由
であるため端部のめくり上がりがなくなり、外観的にも
美麗な成形品が得られる。しかも、小径部2cの周面を
上述のごとく軸線に平行にすると、表皮材3の端部の肉
薄部分と小径部2cとの間に殆ど隙間ができず形態的に
も安定したものとなる。
【0017】図4及び図5は本発明の第2実施例を示し
ており、上記第1実施例を示す図1及び図2に対応する
図であり、第1実施例と異なる点は、上記小径部2cの
周面が軸線に平行に形成されているのに対して、本実施
例では同小径部20cの外径を環状溝2dからフランジ
部2aの端面2a′にかけて漸次小さく傾斜させて設定
している。この傾斜角αは1〜5°の範囲で適宜選定す
る。この第2実施例によれば、前記小径部20cの外径
を環状溝2dからフランジ部2aの端面2a′にかけて
漸次小さく傾斜させて設定しているため、インサート成
形時において表皮材3が収縮しようとするとき、表皮材
3の端部肉薄部分の長さ方向における収縮が阻止され、
成形後のフランジ部2aと表皮材3との間に形成される
リング状間隙1aの幅寸法を容易に予め設定することが
できる。
【0018】
【発明の効果】以上の説明から明らかな如く、本発明の
インサート芯材入り成形品にあってはインサート芯材の
中央部を大径とすると共に、その両端部を小径とし、更
に同小径部に所定の幅の環状溝を形成することにより、
インサート成形によって前記小径部をも含めて芯材の周
面に表皮材を成形被覆する場合に、表皮材が長さ方向に
収縮したとしても小径部において表皮材の端部がめくり
上がるようなことがなくなり、常に高品質の成形品が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車のアシストグリップに適用した
芯材の第1実施例を示す部分側面図である。
【図2】同アシストグリップの要部拡大断面図である。
【図3】同アシストグリップの全体形状を示す斜視図で
ある。
【図4】本発明を自動車のアシストグリップに適用した
芯材の第2実施例を示す部分側面図である。
【図5】同グリップの要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 アシストグリップ 1a リング状間隙 2 インサート芯材 2a フランジ部 2a′ 端面 2b 大径部 2b′ 段部 2c,20c 小径部 2d 環状溝 3 表皮材 3a 端面 3b 肉厚部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 31:46 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 45/14 B29C 33/12 - 33/18 B60N 3/02 G05G 1/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インサート芯材に表皮層をインサート成
    形してなる芯材入り成形品であって、前記芯材が端部に
    小径部を有すると共に中央部に大径部を有する棒状体か
    らなり、前記小径部に環状溝を有してなり、前記表皮層
    が前記小径部と大径部に跨がって成形されてなることを
    特徴とするインサート芯材入り成形品。
  2. 【請求項2】 前記環状溝の一側面が前記大径部の端面
    と同一平面を共有してなる請求項1記載のインサート芯
    材入り成形品。
  3. 【請求項3】 前記小径部の周面が芯材の中心線に平行
    である請求項2記載のインサート芯材入り成形品。
  4. 【請求項4】 前記小径部が端部に向けて漸次小径とさ
    れてなる請求項2記載のインサート芯材入り成形品。
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