JP2946649B2 - 真空炉及び真空炉における温度均一化方法 - Google Patents

真空炉及び真空炉における温度均一化方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は種々の被処理材に焼入や焼戻或いは焼結、
焼成などの熱処理を施す為に用いられる真空炉その真空
炉における温度均一化方法に関する。
[従来の技術] この種の炉においては、例えば真空容器内において被
処理材の周囲に被処理材加熱用のヒータが配設される。
[発明が解決しようとする課題] 上記の場合、被処理材の全体を均一な温度に加熱する
為には、その被処理材の四周から加熱を施す必要があ
る。しかし真空炉の構造上の制約(例えば被処理材の出
入口となる部分にはヒータの配置が困難)から、被処理
材の存置空間の四周に均一にヒータを配置することが困
難な場合があり、その場合には被処理材の温度分布にむ
らが生じてしまう問題点がある。
本発明は上記従来技術の問題点(技術的課題)を解決
する為になされたもので、真空炉にヒータを組み付ける
場合、ヒータ要素の配列密度を選定しながら組み付ける
ようにして、真空容器内において被処理材の温度分布の
均一化を図ることのできるようにすることを目的とす
る。
[課題を解決する為の手段] 本願発明は、内部に被処理材の存置空間を有する真空
容器内には、複数の棒状のヒータ要素をクランク状に連
結して形成された被処理材加熱用のヒータを備えている
真空炉において、上記クランク状に連結されているヒー
タ要素のうちの、長手方向を向いている一部のヒータ要
素の両端における横方向向きのヒータ要素との連結部相
互間の間隔と、他部のヒータ要素の両端における横方向
向きのヒータ要素との連結部相互間の間隔とを異ならし
めてある真空炉を提供し、 また内部に被処理材の存置空間を有する真空容器内に
は、複数の棒状のヒータ要素をクランク状に連結して形
成された被処理材加熱用のヒータを備えている真空炉に
おいて、上記クランク状に連結されたヒータ要素のうち
の横方向を向くヒータ要素としては、夫々長さ方向に向
けての各部の断面積の変化の度合が夫々異なる複数種の
ヒータ要素を予め準備しておき、上記存置空間における
温度分布の均一化に当っては、上記横方向を向くヒータ
要素として上記予め準備されたものを選択して用いるこ
とによって上記温度分布を均一化させる温度均一化方法
を提供するものである。
[作用] ヒータ要素を用いてクランク状のヒータを形成する場
合、ヒータの長手方向の各箇所において横方向向きのヒ
ータ要素の配列密度を違えた状態にすることにより、ヒ
ータ要素の配列密度が高い箇所からは大きな発熱量が得
られ、低い箇所からは小さな発熱量が得られる。
[実施例] 以下本願の実施例を示す図面について説明する。第
1、2図において、1は真空炉を示す。2は真空容器
で、本体3とその本体3の出入口に設けた扉4とから構
成してある。5は断熱壁で、本体6とその本体6の出入
口に設けた扉7とから構成され、その内側において被処
理材の存置空間8が定めてある。9は上記存置空間8の
周囲に配設されたヒータで、上記断熱壁5に取付けてあ
る。第1図では一方の側壁に取付けたもののみを示す。
上記ヒータ9について説明する。このヒータ9は図示さ
れる如く夫々棒状のヒータ要素10,11をクランク状に連
結して構成してある。上記のようにクランク状に連結さ
れたヒータ要素のうち長手方向(第1図の左右方向)向
きのヒータ要素10は、カーボン或いは炭化珪素のような
非金属発熱材料を用いて、第3図に示されるように棒状
に形成され、その両端に夫々連結部12を有している。ヒ
ータ要素10の一方の端部において該連結部12はヒータ要
素10の長さ方向に二つが並設してある。その数はより多
数であっても良い。また両端部においてそのようにして
あっても良い。上記連結部12は一例として図示の如く透
孔の形態に形成して、ヒータ要素11との連結を可能にし
てある。しかしその他の連結構造であっても良い。一
方、横方向(第1図の上下方向)向きのヒータ要素11は
上記ヒータ要素10と同様の材料で形成され、その長さ方
向各部の断面積を異ならしめてある。一例として第4図
に示される如く長さ方向の中間部11aが最も断面積が小
さく、両端部11b,11bに向かうに従って大きくなるよう
にしてある。又このヒータ要素11と交換的に用いること
のできるヒータ要素として第5図に示されるようなヒー
タ要素11′が準備されている。このヒータ要素11′は中
間の長い区間に渡って断面積が略一様で、両端に近い部
分のみ断面積がやや大きくなるように形成してある。即
ち第4図のヒータ要素11とは長さ方向へ向けての各部の
断面積の変化の度合が異なっている。尚図示はしない
が、これらのヒータ要素11,11′の他に長さ方向へ向け
ての各部の断面積の変化の度合が異なるヒータ要素がよ
り多数種準備される場合もある。上記何れのヒータ要素
11,11′も図示の如く各々の両端に夫々一つ宛の連結部1
2を備えている。
上記のようなヒータ要素10,11,11′を、各々の連結部
を例えばボルト、ナットのような連結具13でもって連結
することによって、第1図の如きクランク状のヒータ9
が形成してある。その場合、炉の長手方向(例えば第1
図の左右方向となっている炉の奥行き方向)に関して
は、その各部において要求される熱量の供給が可能なよ
うに、第7図に示される如く、長手方向を向く一部のヒ
ータ要素10の両端における横方向向きのヒータ要素との
連結部相互間の間隔W1と、他部のヒータ要素10の両端に
おける横方向向きのヒータ要素との連結部相互間の間隔
W2とを異ならしめられる。一方、ヒータ要素の配列密度
を違えることのできない方向(例えば第1図の上下方向
となっている炉の高さ方向)に関しては、その方向の各
部において要求される熱量の供給が可能なように、予め
準備されているヒータ要素11,11′が選択的に用いられ
る。このようにしてヒータ9が形成されることにより、
炉内における被処理材の全体を均一な温度分布で加熱す
ることが可能ならしめらる。
次に第6図はヒータ要素10の設置構造の一例を示すも
のである。15は周知の断熱壁の支持板、16はヒータ要素
の支持杆で、耐熱性の高い材料例えばモリブデンで形成
され、その元部を止付具17によって上記支持板15に取付
けてある。18は支持杆16に装着した碍子で、アルミナで
形成されて高い耐熱性を有しており、この碍子18にヒー
タ要素10が図示の如く嵌め込んである。19は碍子の抜止
片である。
上記真空炉を用いた被処理材の熱処理は周知の如く行
われる。即ち、扉4,7が開けられて被処理材が存置空間
8に位置され、扉4,7が閉じられた後、真空容器2内が
真空排気され、ヒータ9へ通電されてそれが発熱され、
そのヒータ9からの主として輻射伝熱によって被処理材
が加熱される。所定の加熱が終了すると、ヒータへの通
電が停止され、被処理材の冷却が行われ、冷却が終了す
ると、扉4,7が開かれて熱処理を終えた被処理材が取り
出される。
上記のように被処理材の熱処理を行う場合、被処理材
の形状、積載方法等が違えられることにより炉内の温度
分布が変わる場合には、それに応じて第1図或いは第7
図に示されるように、ヒータ要素10とヒータ要素11又は
ヒータ要素11′との連結位置を変更して、図示の如く長
手方向へ向けてのヒータ要素11またはヒータ要素11′の
配列ピッチを変更したり(長手方向の発熱量変更)、或
いは、ヒータ要素11とヒータ要素11′とを交換したりす
る(横方向の発熱量変更)ことによって、ヒータ9にお
ける単位面積当たりのヒータ出力を調整し、被処理材の
均一温度分布状態が得られるようにすると良い。
次に第8図は、長手方向へのヒータ要素の配列ピッチ
が第1図の場合と第7図の場合の各々における、長手方
向への各位置と温度との関係の一例を示すもので、Aは
第7図の場合を、Bは第1図の場合を夫々示す。
次に、a)上記の如きヒータ要素の配列密度の選定或
いは断面積の異なるヒータ要素の選定を行わない場合
と、b)ヒータ要素の配列密度の選定のみを行った場合
と、c)ヒータ要素の配列密度の選定及び断面積の異な
るヒータ要素の選定を行った場合にとおいて、夫々炉内
の温度分布幅を実測したところ、次の第1表の如き改善
が見られた。
〔発明の効果〕 以上のように本願発明にあっては、長手方向を向くヒ
ータ要素10の両端における横方向向きのヒータ要素との
連結部相互間の間隔W1,W2を、ヒータの長手方向におい
て異ならしめることにより、上記間隔が小さい箇所では
横方向向きのヒータ要素11′の配列密度が高くなってそ
こでの発熱量を大きくできる一方、上記間隔が大きい箇
所では横方向向きのヒータ要素11′の配列密度が低くな
ってそこでの発熱量を小さくできて、両箇所間において
発熱量に差を有ぜしめ得る特長がある。このことは、存
置空間において被処理材の温度が低い状態となり易い場
所に近い部分において上記のように発熱量を大きくし、
温度が高い状態となり易い場所に近い部分において上記
のように発熱量を小さくすることにより、被処理材の温
度分布の均一化を図ることのできる利点がある。
さらに本願発明において夫々長さ方向に向けての各部
の断面積の変化の度合が夫々異なる複数種のヒータ要素
11,11′を予め準備する場合には、クランク形状におけ
る横方向のようにヒータ要素が一つしかなくてその配列
密度を変えられぬ方向に関しても、上記予め準備したヒ
ータ要素11,11′を選択的に利用することによって、上
記方向の各場所の発熱量を変えて、存置空間における温
度分布の均一化を図ることのできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
図面は本願の実施例を示すもので、第1図は真空炉の縦
断面図、第2図はヒータ要素の連結状態を示す第1図に
おけるII−II線断面図、第3、4、5図はヒータ要素の
拡大図、第6図はヒータ要素の設置構造を示す断面図、
第7図はヒータ要素の配列状態の異なる例を示す図、第
8図は温度分布を示す図。 2……真空容器、8……存置空間、9……ヒータ、10,1
1,11′……ヒータ要素。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05B 3/62 H05B 3/10 F27D 11/02 C21D 1/773

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に被処理材の存置空間を有する真空容
    器内には、複数の棒状のヒータ要素をクランク状に連結
    して形成された被処理材加熱用のヒータを備えている真
    空炉において、上記クランク状に連結されているヒータ
    要素のうちの、長手方向を向いている一部のヒータ要素
    の両端における横方向向きのヒータ要素との連結部相互
    間の間隔と、他部のヒータ要素の両端における横方向向
    きのヒータ要素との連結部相互間の間隔とを異ならしめ
    てあることを特徴とする真空炉。
  2. 【請求項2】内部に被処理材の存置空間を有する真空容
    器内には、複数の棒状のヒータ要素をクランク状に連結
    して形成された被処理材加熱用のヒータを備えている真
    空炉において、上記クランク状に連結されたヒータ要素
    のうちの横方向を向くヒータ要素としては、夫々長さ方
    向に向けての各部の断面積の変化の度合が夫々異なる複
    数種のヒータ要素を予め準備しておき、上記存置空間に
    おける温度分布の均一化に当っては、上記横方向を向く
    ヒータ要素として上記予め準備されたものを選択して用
    いることによって上記温度分布を均一化させることを特
    徴とする真空炉における温度均一化方法。
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