JP2945244B2 - 酢酸ビニール系粘着剤を用いた硝酸イソソルビド含有貼付剤 - Google Patents

酢酸ビニール系粘着剤を用いた硝酸イソソルビド含有貼付剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、徐放化された硝酸イソ
ソルビドの経皮投与用医薬貼付剤に関し、さらに詳しく
は、本発明は硝酸イソソルビドを含有する特定の酢酸ビ
ニール系粘着剤からなる粘着層が柔軟な担持体の上に形
成された、徐放性に優れ、かつ良好な経皮吸収性を有す
る貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】硝酸イソソルビドが経皮吸収されること
は公知であり、経皮吸収用貼付剤として、既に多数の商
品が開発され販売されている。
【0003】貼付剤に用いられる粘着剤として、シリコ
ーン系、ゴム系、アクリル系等の粘着剤が好ましいこと
は、例えば特開昭57−116011号公報等に示され
ており、日本薬学会第5年会(平成元年9月26〜28
日)において、小国らはISDNを用いた貼付剤につい
て、アクリル系、シリコーン系、ゴム系を比較し、この
3者は経皮吸収性がほぼ同じであったと報告している。
前記、特開昭57−11601号公報に係る出願にお
いては、その後、各種の粘着剤の中から特にアクリル系
粘着剤が好ましいとして、明細書の補正を行い、出願公
告されている(特公平4−74329号)。
【0004】貼付剤の問題点の1つとして皮膚カブレの
発生があり、これを少なくする方法として種々の提案が
なされている。その1つとして製剤サイズを小さくする
方法があり、そのためには、単位面積当たりの経皮吸収
性を高めることが必要である。経皮吸収性を高めるため
に、例えばミリスチン酸イソプロピル等、各種の吸収促
進剤の添加が提案されている。しかし、かかる吸収促進
剤は一般に低分子量であることも関係して、皮膚刺激性
が認められるものが多く、また、かかる吸収促進剤を多
量に添加すると得られる粘着層の粘着力が低下するなど
の問題もあり、必ずしも成功していない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、皮膚刺激性
が少なく、経皮吸収性の良好な徐放性の硝酸イソソルビ
ド含有貼付剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、酢酸ビニール
を25〜65重量%、アルキル基の平均炭素数が4以上
14以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを25
〜60重量%、および(メタ)アクリル酸を0〜15重
量%の割合で共重合して得られた酢酸ビニール系粘着剤
(A)と、硝酸イソソルビド(B)を必須成分とする感
圧粘着性組成物からなる粘着層が柔軟な支持体の上に形
成されてなる硝酸イソソルビド含有貼付剤を提供するも
のである。
【0007】酢酸ビニール系粘着剤は、粘着剤・接着剤
に関する文献には、硝酸イソソルビド(以下ISDNと
略す)用として現在一番よく使われているアクリル系粘
着剤やシリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤とともに紹介
されている。しかし、経皮吸収用粘着剤としては、酢酸
ビニール系粘着剤は、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤
に比較してより優れたものとは考えられておらず、一般
にヒト皮膚に対して粘着力が弱いことなどから使用され
てもいない。すなわち、一般的に粘着性を与えるポリマ
ーの1つとして列挙してある程度である。まして、IS
DN用として、この粘着剤がどのような作用を奏するか
についての記述はほとんどない。
【0008】医薬品としての貼付剤に使用できる粘着剤
は、単に粘着力があり、粘着用途に使うことが可能であ
るばかりでなく、患者であるヒトの皮膚に1日以上とい
う長時間貼付しても安定に粘着されており、皮膚にたい
して刺激性がなく、繰り返し使用しても人体に対して免
疫作用に基づく障害を発生せず、もとろん粘着剤そのも
のが長期間安定であり、その上でISDNと高い相溶性
があり、ヒトに貼付したときは、その中に含まれるIS
DNが徐々に放出されるというような、全ての条件を満
足するものでなくてはならない。当然予想されるよう
に、それは綿密な実験により最適条件を求めていかなく
てはならないのである。特に医薬品の場合、好ましい範
囲を外れたものは単に効果が少ないということではな
く、副作用の発生等の原因となり、人体に使うべきでは
ないということも十分に起こりうるからである。
【0009】一方、貼付剤において、経皮吸収性を高め
るためには、単純な理論では、 貼付面積を大きくする、濃度勾配を大きくする、す
なわち貼付剤中のISDN濃度を高める、皮膚と貼付
剤の間の薬物の分配率を皮膚側に大きくなるようにす
る、角質層を薄くする、等の方法が考えられる。
【0010】本発明の貼付剤においては、前記のように
一般に好ましい粘着剤とは考えられていない酢酸ビニー
ル系粘着剤が、ISDNとの相溶性に極めて優れている
ため、貼付剤中のISDN濃度を高くすることができ、
従って経皮吸収性を向上させることができる。しかし、
酢酸ビニールポリマーはそれ単独では、ヒト皮膚に対し
て非常に弱い粘着力しか有しておらず、単独では本発明
のような貼付剤には使用できない。
【0011】このため、本発明においては、粘着剤とし
て、酢酸ビニールを25〜65重量%に加えて、アルキ
ル基の平均炭素数が4以上14以下の(メタ)アクリル
酸アルキルエステルを25〜60重量%、および(メ
タ)アクリル酸を0〜15重量%の割合で共重合して得
られた酢酸ビニール系粘着剤(A)を用いることによ
り、その皮膚に対する粘着力を確保し、さらには経皮吸
収性に優れた貼付剤を得ることができる。
【0012】酢酸ビニール系粘着剤(A)の共重合成分
のうち、酢酸ビニールの共重合比率が25重量%未満で
はISDNとの相溶性を高める効果が十分でない。一
方、65重量%を超えると粘着力が弱くなり好ましくな
い。より好ましい酢酸ビニールの共重合比率は30〜5
5重量%である。
【0013】酢酸ビニール系粘着剤(A)は、共重合成
分として、アルキル基の平均炭素数が4以上14以下の
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを25〜60重量
%用いて製造されたものである。平均炭素数が4以上1
4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして
は、例えばn−ブチル(メタ)アクリレート、アミル
(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メ
タ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレートを
挙げることができる。該(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステルの共重合比率が25重量%未満では得られる粘着
剤の粘着力が不足し、また柔軟性が小さくなる。一方、
60重量%を超えるとISDNとの相溶効果が減少す
る。好ましい共重合比率は25〜50重量%である。
【0014】本発明の酢酸ビニール系粘着剤(A)の粘
着力は、(メタ)アクリル酸を共重合することにより、
さらに高めることが可能であり、その好ましい共重合範
囲は0〜15重量%である。
【0015】もちろん、本発明の酢酸ビニール系粘着剤
(A)中にビニール基を有する他の共重合可能なモノマ
ーを0〜20重量%共重合させることも、一般の粘着剤
に可塑剤、充填剤等を添加するのと同じ目的で行うこと
は可能であり、ISDNに対する相溶性や経皮吸収性、
粘着力に支障がない範囲で行ってもよい。
【0016】本発明の貼付剤用感圧粘着性組成物におい
ては、前記酢酸ビニール系粘着剤(A)とISDN
(B)の比率(重量比)が、A:B=90:10〜6
5:35であることが好ましい。
【0017】通常、一般の粘着剤中に含有させるISD
Nの量は、該粘着剤に対し3〜20重量%であるが、好
ましい範囲は10〜15重量%である。そして、それ以
上濃度を高めても、粘着層中で結晶化するのみで、溶解
したものの濃度は高くはならないので、前記単純経皮吸
収理論からも濃度勾配は変化なく、従って、経皮吸収性
を高めることは困難と考えられる。これに対し、本発明
の酢酸ビニール系粘着剤(A)は、ISDNとの相溶性
が良好であるため、該粘着剤(A)に対する添加量を高
めることが可能であって、該粘着剤(A)と、ISDN
(B)の割合を前記の範囲まで高くすることができ、ひ
いてはISDNの経皮吸収性を高めることができる。ま
た、このような濃度範囲にすることにより、ISDNの
分配率を皮膚側有利とすることができ、前記経皮吸収の
単純な理論からも経皮吸収性をさらに改善することがで
きる。
【0018】本発明の貼付剤は、酢酸ビニール系粘着剤
(A)を酢酸エチル、ヘキサン、クロロホルム、キシレ
ン、トルエン、アセトン、メタノール、フロロカーボン
系溶媒等の単独または混合溶媒に溶解または分散させた
ものにISDN(B)を混合するか、またはISDN
(B)を混合せずに離型紙または離型フィルムの上に乾
燥後の厚みが所定の厚み、すなわち5〜100μmとな
るように塗工し、乾燥させて蒸発により溶媒を十分に除
く。
【0019】ISDN(B)を混合し塗工し、乾燥して
ISDN(B)を含有する粘着層を得た場合には、かか
るISDN(B)を含有する粘着層を柔軟な支持体に取
付け、所望の大きさに裁断することにより貼付剤を得る
ことができる。
【0020】一方、ISDNを混合せずに、または十分
な量は混合せずに塗工し、乾燥させた場合には、ISD
Nを含有しないか、十分には含有しない粘着層が得られ
る。
【0021】本発明の特に好ましい貼付剤は、ISDN
を混合せずに、または十分な量を混合せずに塗工し乾燥
させた場合に得られる。
【0022】すなわち、公知の如く、最終貼付剤中の残
留溶媒が少ないほど、具体的には、100ppm以下、
好ましくは50ppm以下の残留溶媒量となるほど、貼
付剤の皮膚刺激性は少なくなる。従ってかかる残留溶媒
の少ない貼付剤を得るためには、粘着剤の溶液または分
散液を塗工し、乾燥するときに、十分な熱をかけ、また
は/および十分な乾燥時間をとるか、もしくは得られた
粘着層を加温したり、減圧下におくなどして、残留溶媒
を減少させることが必要である。ISDNは昇華性を有
する薬物であるため、ISDNを含有させた粘着層から
残留溶媒を減少させるのは容易ではない。しかし、IS
DNを含有していない粘着層の場合、ISDNが昇華す
ることに全く配慮する必要がなくなり、十分に残留溶媒
の少ない粘着層を容易に作ることができるのである。
【0023】従って、本発明の好ましい貼付剤の製造法
においては、まずISDNを混合せずに、または十分な
量は混合せずに粘着性組成物の溶液または分散液を塗工
してISDNを含有しないか、または十分には含有しな
い粘着層を得、次にこの粘着層にアセトン、メタノー
ル、エタノール、酢酸エチルなどの揮発性の高い溶媒に
高濃度に溶解したISDN溶液を滴下、スプレー、塗
布、または浸漬などすることにより、所望のISDNを
付着させる。次に、長時間放置、または加温などにより
ISDNを、かかる粘着層に拡散させて、貼付剤を得る
ことができる。
【0024】塗工・乾燥して粘着層を作る場合に用いる
溶媒とISDNを溶解するときに用いる溶媒が同じであ
っても、明らかにISDNを溶解するのにこの溶媒を用
いて前記説明の方法で貼付剤を得る場合の方が、はるか
に容易に貼付剤の残留溶媒を少なくすることができる。
【0025】本発明において、感圧粘着性組成物には、
前記AおよびB成分のほか、これらの組成物の特性に実
用上影響しない範囲で、その他の粘着剤、例えばシリコ
ーン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニ
ールエーテル系粘着剤の単独または混合物を併用しても
よく、必要に応じて公知の吸収促進剤、溶解助剤、拡散
助剤、充填剤などを単独または混合にて含有させてもよ
い。
【0026】特に、酢酸ビニール系粘着剤(A)に対し
て、シリコーン系粘着剤(C)をA:C=100:0〜
30:70の割合で混合して用いるとき、経皮吸収性も
良好で粘着力も十分となる。特に、経皮吸収性は酢酸ビ
ニール系粘着剤(A)またはシリコーン系粘着剤を単独
で用いる場合よりも高くなることは驚きである。
【0027】また、吸収促進剤を用いるとき、吸収促進
剤としては、特にミリスチン酸イソプロピルが好まし
く、ミリスチン酸イソプロピルを用いるときは、ISD
N1重量部に対して0.1〜2重量部用いるのがよい。
【0028】また、他の吸収促進剤または拡散助剤とし
ては、例えば、ラウリ硫酸ナトリウム、ドデシルベン
ゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエー
テルジスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハ
ク酸塩、ポリオキシアルキルフェニルエーテルサルフェ
ートアンモニウム塩などの界面活性剤;グリセリン、ジ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール、高級脂肪族アルコールなどのアルコー
ル類;ジメチルスルホキシドおよびアルキルメチル誘導
体;サリチル酸、尿素、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルホルムアミド、ラノリン、アラントイン、スクアレ
ン、カーボポール、ジイソプロピルアジペート、ピログ
ルタミン酸ラウリルエステル、エチルラウレート、ニコ
チン酸メチル、ソルビトールおよびドデシルピロリドン
のようなピロリドン誘導体、オリーブ油、ヒマシ油、流
動パラフィン、ワセリン、ゼラチン、アミノ酸、乳酸、
乳酸エチル、ニコチン酸ベンジル、L−メントール、カ
ンファー、ドデシルアザシクロヘプタン−2−オンなど
を用いることができる。かかる添加剤は、ISDN1重
量部当たり、0.05〜2重量部用いるのがよい。
【0029】本発明の貼付剤においては、酢酸ビニール
系粘着剤(A)とISDN(B)を必須成分とする感圧
粘着性組成物からなる粘着層は、柔軟な担持体の上に形
成されるが、かかる柔軟な担持体としてはフィルムや織
物、編物、不織布などの布帛またはフィルムと布帛の複
合物などが用いられる。
【0030】かかるフィルムや布帛の材質としては、ポ
リエチレンテレフタレートのようなポリエステル;ポリ
エチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン;ナ
イロン6のようなポリアミド;エチレン−酢酸ビニール
共重合体などを用いることができる。かかる材質の中で
も、安定性、安全性の面からポリエステルが好ましい。
【0031】特に、貼付剤からISDNが逃散しにく
く、安定性が高くなる柔軟な担持体として貼付剤の外面
にフィルムを用い、貼付剤の取扱性を改善する目的で、
該フィルムの内側または外側面に接着剤または粘着剤を
介して布帛を取付ける態様をとるとき、得られる貼付剤
は安定性が高く、取扱性が良好となる。説明の如く、安
定性が高く、取扱性を良好とするためには、フィルムの
厚みは0.5〜10μm、布帛は目付け8〜100g/
であるのが好ましく、特にフィルムが厚み0.5〜
4.9μmのポリエステルフィルムで、布帛が目付け8
〜60g/mのポリエステルであるときが好ましい。
【0032】特に好ましい貼付剤の態様を以下に示す。
すなわち、貼付剤が、 (a)フィルム層 (b)接着層 (c)布帛 (d)粘着層 (e)離型フィルム層 からなり、最外層が(a)であり、(a),(b),
(c),(d),(e)の順に積層してあり、使用時に
は(e)は捨てる。
【0033】(a)は厚みが0.5〜4.9μmのポリ
エステルフィルム層であり、フィルムとしては、例えば
帝人株式会社がコンデンサー用途に開発販売している極
薄ポリエステルフィルムが特に好ましい。(b)は厚み
が5〜40μmの接着層であり、シリコーン系粘着剤、
アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤またはエチレン−酢酸
ビニール共重合体系接着剤などの単独または混合系から
なり、(c)は目付けが8〜60g/m2 のポリエステ
ル布帛である。(d)は酢酸ビニール系粘着剤からなる
粘着層であり、かつ厚みが10〜60μmであり、
(e)はフッ素樹脂またはシリコーン樹脂をコーテイン
グした厚み30〜100μmのポリエステルフィルム系
離型フィルム層である。ISDNは主として(d)粘着
層に存在するが、(b)接着層、(c)布帛中に存在し
てもよい。
【0034】かかる好ましい態様の貼付剤の製造におい
ては、ISDNを十分には含まない(b)接着層と
(d)粘着層を製造し、(a)フィルム層と(c)布帛
を(b)を介して接着して複合層を作り、該複合層の布
帛部分にアセトンなどの溶媒に溶解したISDNを滴
下、スプレー、浸漬などにより含有させ、しかるのち、
ISDNの溶媒を蒸発により除き、次に(d)粘着層を
圧着する。かくして得られる貼付剤には、(e)離型フ
ィルム層がついている。
【0035】かくして得られた貼付剤は、長時間放置す
るか、加熱することにより、ISDNを(d)粘着層に
十分に拡散させる。当然この過程において(b)接着層
中にもISDNが拡散する。ISDN含有貼付剤は、通
常、大きさ10〜100cm2 に裁断して用いられる
が、かかる裁断は加熱前にしてもよく、加熱後に行って
もよい。
【0036】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。実施例中の部、%および比率はいずれも重量
基準である。また、血中のISDN濃度は以下の方法で
測定した。すなわち、1mlの採血血液より、血漿を分
離した後、4mlのn−ヘキサンを用いてISDNを抽
出し、濃縮して、この濃縮物に酢酸エチル100μlを
加えて試料を得、この試料中のISDNをGC−ECD
法により定量した。
【0037】また、実施例において使用した酢酸ビニー
ル系粘着剤の合成法の1例を以下に示す。すなわち、酢
酸ビニール50部、2−エチルヘキシルアクリレート4
7部、アクリル酸3部、過酸化ベンゾイル1.0部およ
び酢酸エチル100部を還流冷却器、かきまぜ機を有す
る反応容器に仕込み、窒素雰囲気下60℃でゆっくり攪
拌しながら、12時間重合を続けた。重合転化率は9
9.9%であった。得られた重合体溶液に酢酸エチル5
00部を加えて固形分濃度を約20%に調節した。反応
モノマーの共重合比率を変更した場合も、基本的にほと
んど同じ操作でポリマーを合成できた。
【0038】また、布帛試料は以下の方法で作成した。
テレフタル酸ジメチル297部、エチレングリコール2
65部、3,5−ジ(カルボメトキシ)ベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム53部(テレフタル酸ジメチルに対して
11.7モル%)、酢酸マンガン4水塩0.084部お
よび酢酸ナトリウム3水塩1.22部を精留塔付ガラス
フラスコに入れ、常法に従ってエステル交換反応を行
い、理論量のメタノールが留出した後、反応生成物を精
留塔付重縮合用フラスコに入れ、安定剤として正リン酸
の56%水溶液0.090部および重縮合触媒として三
酸化アンチモン0.135部を加え、温度275℃で、
常圧下20分、30mmHgの減圧下15分間反応させ
た後、高真空下で100分間反応させた。最終内圧は
0.39mmHgであり、得られた共重合ポリマーの極
限粘度は0.402、軟化点は約200℃であった。反
応終了後、共重合ポリマーを常法に従いチップ化した。
【0039】この共重合ポリマーのチップ15部と極限
粘度0.640のポリエチレンテレフタレートのチップ
85部とをナウタ・ミキサー(細川鉄工所製)中で5分
間混合した後、窒素気流中にて110℃で2時間、さら
に150℃で7時間乾燥した後、二軸スクリュー式押出
機を用いて285℃で溶融混練してチップ化した。この
チップの極限粘度は0.535、軟化点は261℃であ
った。
【0040】このチップを常法により乾燥し、紡糸口金
に幅0.05mm、径0.6mmである円形スリットの
2箇所が閉じた円弧状の開口部をもつものを使用し、常
法に従って紡糸し、外径と内径の比が2:1の中空繊維
(中空率25%)を作った。得られた中空繊維は、該中
空繊維断面全体に散在し、繊維方向に配列する微細孔を
有し、該微細孔はその少なくとも1部が中空部まで連通
していた。この原糸は300デニール/24フィラメン
トであり、この原糸を用い、常法に従って延伸倍率4.
2倍で延伸し、71デニール/24フィラメントのマル
チフィラメントを得た。本マルチフィラメントの単糸の
太さは直径が11μmであった。
【0041】このマルチフィラメントをメリヤス編地に
なし、常法により精練、乾燥後、1%カセイソーダ水溶
液でかつ沸騰温度にて2時間処理してアルカリ減量率2
0%の編物を得た。得られた編物を縦方向に1.5倍引
き伸ばして、100℃で1分間熱をかけてヒートセット
して目付け17g/m2 の編物、すなわち布帛試料を得
た。
【0042】実施例1〜3および比較例1〜2 酢酸ビニール(VA)、アクリル酸アルキルエステルと
して2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、ア
クリル酸(AA)およびその他の共重合成分としてメチ
ルメタアクリレート(MMA)を表1に示す割合で共重
合させて固形分濃度20%の酢酸ビニール系粘着剤
(A)ドープを得た。このドープをシリコーンコートし
た離型フィルム(ベースは75μmのポリエステルフィ
ルム)の上に乾燥後の厚みがそれぞれの、15μm(接
着層b)および40μm(粘着層d)の2種類の粘着剤
層を得た。
【0043】フィルム(a)として、厚み2.5μmの
ポリエチレンテレフタレート(帝人株式会社のFタイ
プ、コンデンサー用フィルム)を用い、まず、フィルム
の上に接着bを圧着し、接着層bの自由となっている
面の上に布帛試料を圧着した。次に、ISDN(B)の
アセトン溶液をこの布帛試料の自由となっている面に1
当たりISDN(B)が13.8gとなるように連
続的に滴下した。アセトンを風乾により蒸発させ、該布
帛の自由となっている面に粘着層dを圧着して積層物を
得た。このとき、粘着層dの布帛と圧着しない側の面に
は厚み50μmの乳白のシリコーン離型剤をコートした
離型フィルムがついていた。得られた積層物を、大きさ
5.3cm×5.3cmに裁断した後、1枚1枚をアル
ミ包装した後、このものを65℃で24時間加熱した。
【0044】かくして得られた製剤から、大きさ10c
2 の動物試験用の試験製剤を作り、除毛した平均体重
200gのヘアレスラット(n=3)の背部に貼付し、
貼付前、貼付後2時間、貼付後5時間、貼付後24時間
に採血し、それぞれ血中のISDN濃度を測定し、貼付
状態を観察した。得られた血中濃度よりCmax およびA
UCを計算した。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】 注)貼付状態1:皮膚粘着力、皮膚刺激共に問題なし 2:皮膚粘着力がやや弱いが許容範囲である 3:皮膚への粘着力は全くなし
【0046】実施例4および比較例3 実施例2および比較例1において、酢酸ビニール系粘着
剤(A)に対するISDN(B)添加量の割合を表2の
ように変更した以外は、実施例2(実施例4)および比
較例1(比較例3)の方法で血中動態を調べた結果を表
2に示す。
【0047】
【表2】 注)貼付状態4:粘着力が不十分
【0048】表2に示すとおり、アクリル系粘着剤を用
いた貼付剤においては、ISDNの比率を80:20以
上に高めても(比較例3)、粘着層中におけるISDN
の結晶が増加するのみであり、このものは経皮吸収性に
はほとんど関係なく、むしろ結晶が多くなりすぎると皮
膚に対する粘着力が低下した。これに対して、酢酸ビニ
ール系粘着剤を用いた場合は、より高い濃度まで結晶析
出がみられず、経皮吸収のポテンシャルは明らかにアク
リル系粘着剤を用いた場合より高いと判定された。
【0049】実施例5 実施例2において用いたと同じ酢酸ビニール系粘着剤5
0部と、ダウコーニング社のBio-PSA (登録商標)355
(シリコーン系粘着剤)の固形分50部とを十分攪拌混
合して混合ドープを得、フッ素系離型フィルムの上に乾
燥後の厚みが15μm(接着層b)と40μm(粘着層
d)の2種類の粘着剤層を得た。これらを用いて、実施
例1と同様にして積層物を得、大きさ7cm×7cmに
裁断し、実施例1と同様にして大きさ10cm2 の試験
製剤を作り、ヘアレスラットについて血中ISDN濃度
を測定した。
【0050】その結果、AUCは1080(ng・hr
/ml)であり、Cmax は147ng/mlであった。
この値は酢酸ビニール系粘着剤およびシリコーン系粘着
剤単独系よりも明らかに良好であった。本試験後の皮膚
状態において、皮膚への粘着力および皮膚刺激性は特に
問題なかった。
【0051】
【発明の効果】本発明のISDN含有貼付剤は、良好な
経皮吸収性および徐放性を有し、皮膚刺激性がなく、主
として狭心症の予防・治療薬として用いることができ
る。
フロントページの続き (72)発明者 加藤 俊幸 東京都羽村市緑ケ丘3丁目5番地の5 帝三製薬株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 31/34 A61K 9/70 A61K 47/32 A61K 47/34 CA(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢酸ビニールを25〜65重量%、アル
    キル基の平均炭素数が4以上14以下の(メタ)アクリ
    ル酸アルキルエステルを25〜60重量%、および(メ
    タ)アクリル酸を0〜15重量%の割合で共重合して得
    られた酢酸ビニール系粘着剤(A)と、硝酸イソソルビ
    ド(B)を必須成分とする感圧粘着性組成物からなる粘
    着層が柔軟な支持体の上に形成されてなる硝酸イソソル
    ビド含有貼付剤。
  2. 【請求項2】 感圧粘着性組成物の酢酸ビニール系粘着
    剤(A)と硝酸イソソルビド(B)の比率(重量比)が
    A:B=90:10〜65:35である請求項1記載の
    硝酸イソソルビド含有貼付剤。
  3. 【請求項3】 感圧粘着性組成物がシリコーン系粘着剤
    (C)を含有し、その含有量が、、酢酸ビニール系粘着
    剤(A)に対し、A:C=100:0〜30:70(重
    量比)である請求項1記載の硝酸イソソルビド含有貼付
    剤。
  4. 【請求項4】 硝酸イソソルビド(B)を全く含有しな
    いか、または十分な量は含有しない、主として酢酸ビニ
    ール系粘着剤(A)を用いて粘着層を形成させ、しかる
    のちに、硝酸イソソルビド(B)を該粘着層に拡散浸透
    せしめる請求項1記載の硝酸イソソルビド含有貼付剤の
    製造方法。
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