JP2944202B2 - メラニン濃縮ホルモンおよびそれを用いた処置法 - Google Patents

メラニン濃縮ホルモンおよびそれを用いた処置法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は哺乳動物におけるメラニン濃縮ホルモン、お
よびそれらのホルモンを用いた処置法に関する。
発明の背景 魚類メラノフォア(黒色素胞)内でメラノソームの凝
集を誘発する環式ヘプタデカペプチドがサケの脳下垂体
から単離され−−カワウチ(Kawauchi,H)ら,Nature
305,321−323(1983)参照−−、メラニン濃縮ホルモン
(MCH)と命名された。魚類MCHは両生類においては逆の
作用を示し、すなわちメラノソームの拡散を引き起こす
ことが報告されている−−ウィルケス(Wilkes,B.C.)
ら,B.B.R.C.122,613−619(1984)。MCHは視床下部
のノイロンにおいて合成され、神経性脳下垂体組織内へ
移行すると考えられる。MCHの免疫活性がラットの視床
下部抽出物において報告されている:ベイカー(Bake
r)ら,Gen.Comp.Endocrinol.50,423−431(1983)お
よびナイトウ(Naito,N.)ら,Cell Tissue Res.25
3,291−295(1988)。ラット視床下部からのごく粗製の
MCH様物質抽出物が、異なるクロマトグラフィー特性を
もつと思われ、多数の免疫活性ピークを示し、それらが
必ずしもすべて生物活性を示すわけではないにもかかわ
らず、サケMCHに対して形成された抗血清を用いたラジ
オイムノアッセイ(RIA)において全般的にサケMCHと類
似の応答を示した−−ザミール(Zamir,N.)ら,P.N.A.
S.USA83,1428−1531(1986);セキヤ(Sekiya,K.)
ら,Neurosciens25,925−930(1988);ナイトウ(Na
ito,N.)ら,(1988)、前掲。
数年間にわたるこれらすべての研究にもかかわらず、
哺乳動物の前記ホルモンは依然として未単離および未解
明であり、そのため哺乳動物MCHの生物活性に関する真
の試 験はこれまで行うことができなかった。従って哺
乳動物MCHを単離、精製し、次いで解析および試験すべ
く多大な努力がなされた。
発明の要約 本発明は、下記の構造式: を有する、環状哺乳動物ペプチドまたはその塩、ならび
にこれらをコードするDNAを提供する。
今回、ラット視床下部から哺乳動物MCHが単離および
精製された。精製されたペプチドの解析により、それは
19アミノ酸残基の長さであり、環状であることが示され
る。
このペプチドの解明された配列に基づきDNAプローブ
の調製により、ラットおよびヒトの視床下部メッセンジ
ャーRNAを用いて調製されたライブラリーから哺乳動物M
CHをコードするcDNAの位置を決定することができた。こ
のライブラリーの陽性クローン(すなわち上記DNAプロ
ーブを用いて、目的のcDNA含むと判定されたもの)から
cDNAを単離することにより、それらのcDNAの配列を求
め、その配列を解読することによりラットの成熟ペプチ
ドに関する正確な配列を確認し、ヒトの成熟ペプチドに
関する正確な配列を決定し、かつ成熟ペプチドを生成す
るプロセシングの前に(またはそれと同様に)ラットお
よびヒトの当該細胞中の遺伝子により最初に発現すると
思われる前駆ペプチドの配列をも演繹することができ
た。さらに成熟ラットペプチドの単離および配列決定に
より可能となったcDNAの単離、次いで配列決定の結果、
天然MCHペプチドのC−末端は遊離酸型であると判定し
得た。
成熟ラットペプチドの配列決定により判定され、かつ
上記ホルモンをコードするcDNAセグメントの配列から推
定されたラットおよびヒトの成熟MCHのアミノ酸配列は
等しい。さらにこれらDNAセグメントの54塩基対のうち
わずか3位置において配列の相違が生じるにすぎない。
アミノ酸配列の一致、およびcDNA配列の緊密な相同性
は、すべての哺乳動物成熟MCHが近似する配列をもつこ
とを示す。
さらにMCH前駆体をコードするcDNAの配列決定から、c
DNA配列および対応するアミノ酸配列の間には極めて緊
密な相同性があることが見出された。事実、ラットおよ
びヒトの前駆体は双方とも同数のアミノ酸、165を含
む。
成熟MCH、MCH前駆体、および哺乳動物種のこれらの蛋
白質をコードするmRNAの間に極めて緊密な相同性がある
と思われることから、実際のラット成熟MCHペプチド配
列(またはここでそのラットペプチド配列に基づくプロ
ーブを用いて得られる他の配列)に基づくDNAプローブ
は、他の哺乳動物種の適宜な組織(たとえば視床下部)
または細胞系から得たmRNAを用いて調製されたライブラ
リー中のMCHコードまたはMCH前駆体コードCDNAを含むク
ローンの同定に有効であり、従ってあらゆる哺乳動物種
の成熟MCHを配列決定し、結果的に合成および使用しう
ると考えられる。
哺乳動物MCHのうち、本発明は特に下記構造の成熟MCH
に関する: 本出願において“哺乳動物MCH"とは、明白に限定され
ない限り、哺乳動物成熟MCHに対して哺乳動物MCH前駆体
を意味する。
哺乳動物MCHは、たとえば局所(local,topical)適用
により皮膚の色を薄くすべくヒトおよび他の動物を処置
するのに有用である。それは局所投与などにより適切に
適用した場合、ある種の皮膚腫瘍細胞、たとえば黒色腫
の増殖を抑制するのにも有用である。哺乳動物MCHはヒ
トおよび他の哺乳動物においてACTHの分泌を調整するた
めに用いることができ、従ってたとえば有効量の哺乳動
物MCHを全身投与することによりストレスの影響を緩和
するために使用しうることも見出された。
本発明は、“NEI"と称され−−“ノイロペプチドN−
末端E C−末端I"(Eはグルタミン酸の略語であり、
Iはイソロイシンの略語である)−−、その配列として
Glu−Ile−Gly−Asp−Glu−Glu−Asn−Ser−Ala−Lys−
Phe−Pro−Ile−NH2を有する哺乳動物ペプチドをも包含
する。補乳動物NEIは、哺乳動物においてインビボで哺
乳動物のMCH前駆体から開始されるプロセシングにより
形成されると思われる。ラットおよびびヒトのNEIのア
ミノ酸配列が等しいという事実により示されるように、
すべての哺乳動物のNEIは密接に近似する。
本発明は、“NGE"と称され−−“ノイロペプチドN−
末端G C−末端E"(Gはグリシンの略語であり、Eは
グルタミン酸の略語である)−−、その配列としてGly
−XNGE−Phe−Pro−Ala−Glu−Asn−Gly−Val−Gln−As
n−Thr−Glu−Ser−Thr−Gln−Gluを有するペプチドを
も含有する。ここでXNGEはPro−Ala−Val(たとえばラ
ットNGEの場合)またはSer−Val−Ala(たとえばヒトNG
Eの場合)である。NEIと同様に、哺乳動物NGEも哺乳動
物においてインビボで哺乳動物のMCH前駆体から開始さ
れるプロセシングにより形成されると思われる。さらに
ラットおよびヒトのNGEのアミノ酸配列は19アミノ酸の
うち3個において異なるにすぎず、それら3個の相違の
うち2個はコンサーバティブであるという事実により示
されるように、すべての哺乳動物のNEIは密接に近似す
る。
MCH前駆体の144位のグリシンがNEIのC−末端アミド
のNH2基を提供するという事実を考慮すると、NEIの配列
はラットおよびヒトMCH前駆体のアミノ酸131−144に相
当する(後記の第1および2表を参照されたい)。ヒト
−アルファ−MSH(すなわちアルファ−メラノサイト刺
激ホルモン)およびヒトCRF(副腎皮質刺激ホルモン放
出因子)に対する抗体はNEIと交叉反応し、抗アルファ
−MSH抗体はNEIのN−末端を含むエピトープを認識し、
抗CRF抗体はNEIのC−末端を含むエピトープを認識する
ことが認められた。NEIはインビボで生物学的機能を示
すと考えられる。
NGEの配列はMCH前駆体のアミノ酸110−128に相当する
(後記の第1および2表を参照されたい)。ヒトGRF
(成長ホルモン放出因子)に対する抗体はNGEと交叉反
応する。これはヒトGRFのアミノ酸30−37の配列Gln−Gl
n−Gly−Glu−Ser−Asn−Gln−GluおよびNGEのアミノ酸
12−19間の密接な相同性という本発明者らの知見により
示唆される。NGEはNEIと同様にインビボで生物学的機能
を示すと考えられる。
NEIは抗アルファ−MSHまたは抗CRFモノクローナル抗
体分泌性ハイブリドーマを形成するプロセスにおいて、
抗アルファ−MSHまたは抗CRF抗体産生脾細胞またはリン
パ球を得るための免疫原として、またハイブリドーマ培
養物を、抗MSHまたは抗CRF抗体を産生するハイブリドー
マを含むものについてスクリーニングするための抗原と
して有用である。同様にNGEは抗GRFモノクローナル抗体
分泌性ハイブリドーマを形成するプロセスにおいて有用
である。これらのハイブリドーマにより産生されるモノ
クローナル抗体は、標準的なイムノアッセイ法によりア
ルファ−MSH、CRFまたはGRFをアッセイするために有用
である。
さらにNEIまたはNGEを免疫原として用いて産生された
モノクローナル抗体は、NEIまたはNGEを免疫原として用
いて産生されたモノクローナル抗体により認識されるエ
ピトープとは異なるアルファ−MSH、CRFまたはGRFのエ
ピトープを認識する第2のモノクローナル抗体と組み合
わせて標準的なイムノアッセイ法に用いた場合、イムノ
アッセイにおいて検出されたペプチドがNEI、NGEまたは
他のいずれかのペプチド(NEIとアルファ−MSH、NEIとC
RF、またはNGEとGRFの間に共通のエピトープを共有する
もの)ではなくアルファ−MSH、CRFまたはGRFであるこ
とを確認するために利用しうる。これらの確認アッセイ
は、たとえばアルファ−MSH、CRFまたはGRFの異常(abe
rrant)発現を伴う癌に冒されいると考えられる患者か
らの腫瘍細胞をアッセイする際に、癌が実際にこれらの
ホルモンのいずれかの異常発現を伴うのか、それともNE
I、NGEまたは他のいずれかのペプチド異常発現を伴うの
かを確かめるのに有用である。
発明の詳細な説明 哺乳動物メラニン濃縮ホルモン(MCH)が今回ラット
視床下部から酸抽出により単離され、サケMCHに対して
形成された抗血清を用いるイムノアフィニティクロマト
グラフィー、ゲル過、およびオクタデシルカラムを用
いる2プロセシングのナローボア(narrow bore)高性
能液体クロマトグラフィー(HPLC)により実質的に精製
された。数個の免疫活性帯域が単離された;しかし気相
シーケンサーにおけるエドマン分解は、すべての帯域の
アミノ酸構造が等しいことを示す。その結果、ラット視
床下部MCHは19アミノ酸残基の環式ペプチドであると考
えられる。より詳細には本発明は下記構造を有するペプ
チド: (すなわちラットおよびヒト(そのMCH構造はラットの
ものに等しい)以外の哺乳動物種の相同MCHペプチド)
を提供する。
本発明は配列H−Glu−Ile−Gly−Asp−Glu−Glu−As
n−Ser−Ala−Lys−Phe−Pro−Ile−NH2を有するペプチ
ド(NEIと表示する)、およびその天然同族体(すなわ
ちラットおよびヒト(そのNEI構造はラットのものに等
しい)以外の哺乳動物種の相同NEIペプチド);ならび
に配列H−Gly−XNGE−Phe−Pro−Ala−Glu−Asn−Gly
−Val−Gln−Asn−Thr−Glu−Ser−Thr−Gln−Glu−OH
(ここでXNGEはPro−Ala−ValまたはSer−Val−Alaであ
る)を有するペプチド(NGEと表示する)、およびその
天然同族体(すなわちラットおよびヒト以外の哺乳動物
種の相同NGEペプチド)をも提供する。
本発明はさらに、それぞれトリプレットの配列から構
成され、発現した場合に本発明によるペプチドのアミノ
酸配列、または本発明のペプチドがC−末端アミド化さ
れている場合にはC−末端にGly残基が付加された配列
を含むポリペプチドをコードするDNAセグメント(すな
わちcDNAセグメントである)をも包含する。これらのDN
Aには、トリプレット(すなわち3塩基対の組)の配列
から構成され、発現した場合に本発明によるペプチドの
アミノ酸配列(または本発明のペプチドがC−末端アミ
ド化されている場合には、C−末端にGly残基が付加さ
れた配列)を含むポリペプチドをコードするDNAセグメ
ントであるセグメント、または適切な宿主内へ形質転換
された場合に発現されて本発明によるペプチドを生成し
うるDNA、たとえば発現ベクターが含まれる。
ラット視床下部からのmRNAを用いて調製されたラット
視床下部cDNAライブラリーのプロービングは、前記のラ
ット成熟MCH配列の残基1−10の配列に基づく配列を含
む合成オリゴヌクレオチドプローブを用いて行われた。
幾つかの成功が得られ、陽性クローンの培養によってラ
ットMCH前駆体全体をコードするcDNAが単離された。こ
のcDNAを用いてこの前駆体をコードするヌクレオチド配
列が決定され、このヌクレオチド配列を用いて前駆体の
アミノ酸配列が演繹された。この研究により、成熟MCH
ペプチドは上記の構造をもち、C−末端は遊離酸である
ことが確認された。さらにこの研究により、NEIおよびN
GEの配列を決定しうる情報が提供された。
ヒトMCH前駆体をコードするcDNAを単離および配列決
定するためには、実質的にこれと同じ方法がとられた。
これらのcDNAを単離するためには、ラットMCH前駆体を
コードするcDMAの、ラット成熟MCHの一部をコードする
部分から得たプローブを用いて、ヒト視床下部cDNAライ
ブラリーをスクリーニングした。ヒトMCH前駆体をコー
ドするcDNAからの配列情報を利用して、ヒト成熟MCH、
その前駆体、ならびにヒトNEIおよびNGEのアミノ酸配列
を推定した。
ラットcDNAのオリゴヌクレオチド配列の、蛋白質分解
プロセシング部位であるN−末端ジペプチドArg−Argを
含む成熟MCHをコードする部分は下記のとおりである−
−アミノ酸残基をその直下に示す: ヒト成熟MCHはラットのものと同一のアミノ酸配列を
有し、ラットの場合と同様にヒトMCH前駆体中ではジペ
プチドArg−Argが先行する。後記の第1および2表に示
すように、ヒト成熟MCH、および前駆体においてこの蛋
白質に先行するArg−ArgをコードするcDNAセグメントの
ヌクレオチド配列は、ラットについて上記に示したcDNA
の配列と、57位置のうち3位置において異なるにすぎな
い。
大部分の哺乳動物ペプチドホルモンは哺乳動物の種間
でほとんど差が無いアミノ酸配列をもつという所見に基
づいて、また本発明に関連して見出されたラットおよび
ヒト成熟MCHおよびMCH前駆体、ならびにこれらをコード
するcDNA間で認められた高度の相同性に基づいて、上記
のラットおよびヒトのヌクレオチド配列を保有すること
により、前記のラットおよびヒト視床下部cDNAライブラ
リーのスクリーニングに際して行われたように、いずれ
かの哺乳動物種の適切な組織(たとえば視床下部)、ま
たは適切な細胞系のcDNAライブラリー中の、成熟MCHお
よびMCH全駆体をコードするcDNAフラグメントとハイブ
リダイズする核酸プローブを構成することができる。従
って、これらの配列を保有することにより、これら他の
種の成熟MCHホルモンならびにNEIおよびNGEの特異的ア
ミノ酸配列を演繹することができる。適切なハイブリダ
イゼーションプローブをスクリーニングに使用し、次い
で陽性cDNAクローン配列分析を行うこのような方法は分
子生物学の分野で周知である;一例は欧州特許出願第0
226 181号明細書(1987年6月24日公開)に示されて
おり、その記載をここに参考として引用する。
これに関して、ラットcDNA配列の前記鎖の相補鎖から
得た下記プローブ:5′−CCAACAGGGTCGGTAGACTCGTCCCAGC
ATが、ヒトMCHおよびその前駆体をコードするcDNAのプ
ロービングに用いられ、予想どおりヒト視床下部mRNAを
用いて調製されたヒトλgt11 cDNAライブラリーのクロ
ーンとハイブリダイズした。
ラットおよびヒト種について実施されたように他の特
定種の哺乳動物のMCHまたはMCH前駆体をコードするcDNA
を単離することにより、ラットおよびヒトの場合と同様
にそれらの種のMCHペプチドならびにNEIおよびNGEのア
ミノ酸配列を決定することができる。
ヒト、ラットまたは他のいずれかの哺乳動物種につき
こうして決定されたこれらのペプチドのアミノ酸配列を
用いて、後に詳述するように、また前記欧州特許出願明
細書に詳述されたように周知の組換えDNA法により、あ
るいは好ましくはペプチド中の少数のアミノ酸について
は固相法または他の種類の化学的合成法により、これら
のペプチドを実質的に純粋な形で調製することができ
る。従って本発明はいずれかの哺乳動物種に特異的なMC
H、NEIおよびNGEを調製する方法を提供する。
さらに本発明は、哺乳動物の実質的に純粋なMCHを実
質的な量で利用しうる状態にすることにより、本発明に
よる哺乳動物MCHの各種用途をも提供する。これには、
哺乳動物に有効量の上記MCHを投与することよりなる哺
乳動物の皮膚の淡色化法、哺乳動物に有効量の上記MCH
を投与することよりなる哺乳動物の皮膚腫瘍細胞の増殖
抑制法、および哺乳動物に有効量の上記MCHを投与する
ことよりなる哺乳動物のACTH分泌抑制法が含まれる。
周知の連鎖延長法、たとえばメリフィールド(Merrif
ield)樹脂上などにおける固相合成法により長さ約25残
基以下のペプチドを合成することが好ましいが、組換え
DNA法によりこれらのペプチドを合成することもでき、
約50−60残基以上のペプチドが合成されるであろう。天
然のアミノ酸残基のみを含むペプチドを組換えDNA法に
より合成するためには、目的のアミノ酸配列をコードす
る2本鎖DNAを合成により構成することができる。遺伝
子コードの縮重により、生成物ポリペプチドをコードす
るDNA鎖を形成するために多種多様なコドンの組み合わ
せを使用しうる。特定の種類の生物においてはある種の
特定のコドンがポリペプチド発現にいっそう有効であ
り、コドンの選択は組換えベクターに対する宿主として
用いられる種類の生物における発現に最も有効なコドン
に従ってなされることが好ましい。しかし有効性はわず
かに低いとしても、適正なコドンはいずれも目的生成物
をコードするはずである。コドンの選択はベクター構成
要件によっても左右され;たとえば合成DNA鎖の挿入後
に、ある制限部位で開裂する制限酵素を用いて操作した
い場合は、そのDNA鎖内にその制限部位を形成するのを
避ける必要がある。同様に、DNA鎖を含む組換えベクタ
ーを用いて形質転換すべき宿主生物がそのDNA鎖内のあ
る制限部位で開裂する制限酵素を産生することが知られ
ている場合は、DNA鎖内にその制限部位を形成するのを
避ける必要がある。
目的のペプチドをコードする配列のほかに、合成され
るDNA鎖はベクター構成要件に応じて他の配列を含みう
る。一般にDNA鎖は発現ベクター内の制限部位への挿入
を容易にするために、その末端にリンカーを付して合成
される。DNA鎖は融合ポリペプチドの一部としての目的
配列をコードすべく構成することができ;その場合は一
般に蛋白質分解プロセシング部位として作用するアミノ
酸配列をコードする末端配列を含み、これにより目的の
ポリペプチドは融合ポリペプチドの残部から蛋白質分解
により開裂する。合成DNAの末端部分は、転写および翻
訳開始シグナル、転写および翻訳停止シグナル、ならび
にポリアデニル化シグナルおよび部位を提供するのに適
した配列をも含みうる。
目的のDNA鎖を組み立てるためには、オリゴヌクレオ
チドを常法により、たとえばマニアチス(Maniatis)
ら、Cold Spring Harbor Laboratory Manual、コー
ルド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1982)
(以下、CSH)に記載の方法により構成する。最高約70
ヌクレオチド残基の長さのセンスおよびアンチセンスオ
リゴヌクレオチドが、好ましくは自動合成装置、たとえ
ばアプライド・バイオシステム社、380A型DNA合成装置
により合成される。オリゴヌクレオチド鎖は、センスお
よびアンチセンスオリゴヌクレオチドの一部がオーバー
ラップし、相補的塩基対間で互いに水素結合により会合
し、これにより大部分の場合は鎖内にギャップを含む2
本鎖を形成すべく構成される。対で鎖内のギャップは充
填され、各鎖のオリゴヌクレオチドは適宜なDNAポリメ
ラーゼの存在下で、および/またはリガーゼにより、ヌ
クレオチドトリホスフェートと末端同志で結合する。
天然分子であるペプチド、たとえば哺乳動物MCHまた
はその前駆体に関して、オリゴヌクレオチド合成による
合成DNA鎖を構成するための別法として、目的のペプチ
ドに対応するcDNAを得ることができる。常法によりMCH
産生細胞系またはMCHが産生される組織の細胞から得た
メッセンジャーRNA(mRNA)から逆転写することによっ
て、cDNAライブラリーまたは発現ライブラリーを調製す
ることができる。MCH配列を含むクローンを選択するた
めに、MCH蛋白質の各部分に対応するハイブリダイゼー
ションプローブ(好ましくは遺伝子コードの宿重に適応
するために、プローブ混合物)を調製し、核酸プローブ
ハイブリダイゼーション分析によりMCHコード化配列を
含むクローンの同定に用いる。ライブラリーが発現ライ
ブラリーである場合、抗MCH抗体(単独で、または抗NEI
もしくは抗NGE抗体と共に)を用いるライブラリースク
リーニングを単独で採用し、または核酸プローブハイブ
リダイゼーションプロービングと併用して、そのライブ
ラリーのクローン内のMCHコード化またはMCH前駆体コー
ド化DNAの存在を同定または確認することができる。こ
れらの方法は、たとえば前掲のCSHに教示されている。
オリゴヌクレオチドの化学的合成またはcDNAライブラ
リーからの単離のいずれにより調製されたものであって
も、そのベクターにより形質転換された宿主における目
的ペプチド(たとえば成熟MCH、NEI、NGEまたはMCH前駆
体)の発現のために発現ベクター内へオペラティブに
(operatively)挿入しうるように、当該2本鎖DNA鎖を
必要に応じて修飾することができる。たとえばDNA鎖を
原核宿主、たとえば大腸菌(E.Coli)の形質転換のため
のベクターに挿入したい場合、そのDNA鎖はプロモータ
ー配列の3′側にシャイン・ダルガノ配列(すなわちリ
ボソーム結合部位)をコードする配列−−これはそのDN
Aの転写により形成されるRNAの5′側非翻訳領域内にあ
る−−およびATG翻訳開始シグナル(すなわち、より正
確には翻訳開始シグナルとなる5′−AUGコドンをコー
ドする5′−ATGトリプレット配列)が挿入される。ATG
の開始シグナルはシャイン・ダルガノ配列から適宜な間
隔を置いて配置され、上記コード化配置はATG開始コド
ンに対して適正な解読フレーム内に配置される。発現ベ
クターは翻訳終止コドンおよび3′側非翻訳領域をも備
えている。真核宿主、たとえば酵母または高等動物から
得た細胞系内へ形質転換すべき発現ベクターに関して
は、目的のペプチドをコードするDNA配列はプロモータ
ー、キャッピング部位およびATG翻訳開始シグナルから
3′側(すなわち下流)に適宜な間隔を置いて、ATG開
始コドンに対して適正な解読フレーム内にあり、翻訳終
止シグナル、ポリアデニル化シグナルおよび部位、なら
びに転写終止部位から5′側にある。
原核生物形質転換ベクター、たとえばpBR322、pMB9、
ColE1、pCR1、RP4およびラムダファージが当該ペプチド
をコードするのに必要な長さのDNA鎖の挿入用として用
いられ、コードされるポリペプチドは適切な形質転換宿
主において少なくとも若干は実質的に確実に発現され
る。一般にこれらのベクターはプロモーター、たとえば
1acプロモーターに対して適宜配置された特異な制限部
位(1または2以上)をもつべく構成または修飾され
る。上記DNA鎖は適宜なリンカーを備えた状態でこの制
限部位に挿入され、この組換えベクターにより形質転換
された原核生物の培養に際して当該ペプチドが実質的に
確実に産生される。適正な解読フレームを保証するため
に、種々の長さのリンカーが目的のペプチドをコードす
る配列の末端に付与される。あるいは1acZ遺伝子の5′
側領域(オペレーター、プロモーター、転写開始部位、
シャイン・ダルガノ配列、および翻訳開始シグナルを含
む)、トリプトファン遺伝子からの制限領域(trpオペ
レーター、プロモーター、リボソーム結合部位、および
翻訳イニシエーター)、およびこれら2プロモーターを
含む融合遺伝子(trp−lacと呼ばれるか、または一般に
Tacプロモーターと呼ばれる)などの配列を含むカセッ
トが用いられ、カセットを特定の発現ベクターに挿入す
る前に合成DNA鎖をこれに挿入することが好都合であ
る。
同様に真核生物形質転換ベクター、たとえばクローン
化されたウシ乳頭腫ウイルスゲノム、クローン化された
ネズミレトロウイルスのゲノム、ならびに真核生物カセ
ット、たとえばpSV−2 gpt系(ムリガン(Mulligan)
およびバーグ(Berg),Nature 277,108−144,1979に
記載)、オカヤマ(Okayama)−バーグ(Berg)クロー
ニング系(MolCell Biol,161−170,1982)、な
らびにジェネティックス・インスティテュート(Scienc
e 228,810−815,1985)に記載の発現ベクターが用いら
れ、これらは形質転換された真核細胞系において目的の
ペプチドを少なくとも若干は実質的に確実に提供する。
目的長さのペプチドを製造するための他の方法は、ペ
プチドをまず遺伝子コードされた融合ポリペプチドとし
て形成することである。この場合DNA鎖は、発現ポリペ
プチドがMCH配列をフランキングする酵素的、蛋白質分
解プロセシング部位をもつべく構成される。ペプチドを
コードするDNA鎖は、大腸菌へ形質転換されたのち発現
するために、たとえばベータ−ガラクトシダーゼ遺伝子
内へ挿入され、この場合発現された融合ポリペプチドは
次いで適宜な蛋白質分解酵素により開裂され、ベータ−
ガラクトシダーゼペプチド配列から目的のペプチドを放
出する。
目的のペプチドをコードする配列をペプチドが融合ポ
リペプチドの開裂性セグメントとして、たとえばベータ
−ガラクトシダーゼペプチド配列内に融合した成熟MCH
配列として発現されるべく挿入することの利点は、全ペ
プチドに関する配列を挿入したポリペプチドが一般に非
機能性となされ、これにより融合ペプチドをコードする
ベクターによる形質転換体の選択が容易になることであ
る。
目的のペプチドを実質的な純度、たとえば少なくとも
全蛋白質の約95重量%にまで精製することは、そのペプ
チドを発現すべく遺伝子工学的に処理された微生物の培
養物から、またはポリペプチドの混合物から(これは、
たとえば固相化学合成により得られる)、以下に述べる
教示により行うことができる。
前記のように、成熟MCH、NEIおよびNGEは適切な連鎖
延長法またはカップリング型方法により、たとえば固相
法のみにより、部分固相法により、フラグメント縮合に
より、または古典的な溶液カップリングにより合成する
ことができ、かつ好ましい。固相合成のみによる方法は
著書Solid−Phase Peptide Synthesis、スチュワート
(Stewart)およびヤング(Young)、ピース・ケミカル
社、イリノイ州ロックフォード、1984年、に示され、米
国特許第4,105,603号明細書(1978年8月8日発行)に
例示されている。フラグメント縮合による合成法は米国
特許第3,972,859号明細書(1976年8月3日)に例示さ
れている。用いられる他の合成法はたとえば米国特許第
3,842,067号明細書(1974年10月15日)および米国特許
第3,862,925号明細書(1975年1月28日)に例示されて
いる。
カップリング型合成に共通なことは、各種アミノ酸部
分の不安定な側鎖基を、保護基が最終的に除去されるま
でこの部位で化学反応が起こるのを防止する適切な保護
基により保護することである。同様に通常共通なこと
は、アミノ酸またはフラグメント上のアルファ−アミノ
基をそれらがカルボキシル基において反応する間は保護
しておき、次いでアルファ−アミノ基保護基を選択的に
除去してこの位置で後続反応を行わせることである。従
って合成の1工程とて、ペプチド鎖の目的配列位置にあ
る各アミノ酸残基を含み、側鎖保護基が適宜な残基に結
合した中間化合物が製造されるのが一般的である。
MCHペプチドに関するこのような中間体は次式の構造
をもつであろう: NEIペプチドに関するこのような中間体は次式の構造
をもつであろう: NGEペプチドに関するこのような中間体は次式の構造
をもつであろう: ここでX′NGEはPro−Ala−ValまたはSer(X9)−Val
−Alaである。
これらの中間体も本発明の一部である。
X1は水素またはアルファ−アミノ基保護基である。X1
より考慮されるアルファ−アミノ基保護基はポリペプチ
ドの段階的合成技術の分野で有用であることが周知のも
のである。X1として用いられるアルファ−アミノ基保護
基類には以下のものが含まれる:(1)芳香族ウレタン
型保護基、たとえばフルオレニルメチルオキシカルボニ
ル(Fmoc)、ベンゾイルオキシカルボニル(Z)ならび
に置換Z、たとえばp−クロロベンゾイルオキシカルボ
ニル、p−ニトロベンゾイルオキシカルボニル、p−ブ
ロモベンゾイルオキシカルボニルおよびp−メトキシベ
ンゾイルオキシカルボニル;(2)脂肪族ウレタン型保
護基、たとえばt−ブチルオキシカルボニル(BOC)、
ジイソプロピルメチルオキシカルボニル、イソプロピル
オキシカルボニル、エトキシカルボニル、アリルオキシ
カルボニル;ならびに(3)シクロアルキルウレタン型
保護基、たとえばシクロペンチルオキシカルボニル、ア
ダマンチルオキシカルボニルおよびシクロヘキシルオキ
シカルボニル。好ましいアルファ−アミノ基保護基はBO
Cである。
X2はメチオニンのイオウを保護するための酸素である
か、または保護基はなく、後者が好ましい。
X3は水素、またはAspもしくはGluのカルボキシル基の
ための適切なエステル形成性保護基、たとえばベンジル
(OBzl)、2,6−ジクロロベンジル、メチルおよびエチ
ルである。
X4はArgのグアニド基のための適切な保護基、たとえ
ばニトロ、Tos、CBZ、アダマンチルオキシカルボニルお
よびBOCであるか、または水素である。
X5はCysのスルフヒドリル基のための保護基、好まし
くはp−メトキシベンジル(MeOBzl)、p−メチルベン
ジル、アセトアミドメチル、トリチルまたはBzlであ
る。
X6は水素、またはTyrのフェノール性ヒドロキシル基
のための適切な保護基、たとえばテトラヒドロピラニ
ル、t−ブチル、トリチル、Bzl、CBZ、4Br−CBZおよび
2,6−ジクロロベンジル(DCB)である。好ましい保護基
は2,6−ジクロロベンジルである。
X7は水素、またはTrpのインドール窒素のための保護
基、たとえばホルミルまたはベンジルである;しかし多
くの合成においてTrpを保護する必要はない。
X8は水素、またはAsnもしくはGlnの側鎖アミド基のた
めの適切な保護基、たとえばキサンチル(Xan)であ
る。それは好ましくは水素である。
X9は水素、またはSerもしくはThrのヒドロキシル基の
ための保護基であり、アセチル、ベンゾイル、t−ブチ
ル、トリチル、テトラヒドロピラニル、Bzl、2,6−ジク
ロロベンジルおよびCBZから選ばれる。Bzlが好ましい。
X10は水素、またはLysの側鎖アミノ基のための適切な
保護基であり、2−クロロベンゾイルオキシカルボニル
(2−C1−Z)、Tos、CBZ、t−アモキシカルボニルお
よびBOCから選ばれる。側鎖アミノ基保護基の選択は、
一般に合成に際してアルファ−アミノ基の保護基除去中
に除去されないものが選ばれる点以外は厳密ではない。
X11はC−末端カルボキシル基のための適切な保護
基、たとえばエステル形成基X3であるか、またはペプチ
ドへの固着用結合を含む、固相合成に用いられる樹脂系
支持体である。
固形の樹脂系支持体を用いる場合、それは当技術分野
で知られているいずれか、たとえばX11が次式のもので
ある:−O−CH2−樹脂系支持体。NEIの場合のように非
置換C−末端アミドとなすこと目的とするならば、BHA
(X11:−NH−ベンゾヒドリルアミン−樹脂系支持体)ま
たはMBHA(X11:−NH−パラメチルベンゾヒドリルアミン
−樹脂系支持体)樹脂系支持体を用いることが好まし
い。開裂によりアミドが直接に得られるからである。N
−メチルアミドを目的とする場合、それはN−メチルBH
A樹脂から形成しうる。他の置換アミドを目的とする場
合相、米国特許第4,569,967号明細書の教示を採用しう
る。遊離酸またはアミド以外の基をC−末端に得たい場
合、ペプチドを古典的な溶液法、たとえばホーベン−ウ
ェイル(Houben−Weyl)の著書(ペプチドの合成、Meth
oden der organischen Chemie,ヴンシュ(E.Wunsc
h)監修、XV巻、1および2部、ゲオルク・チーメ出版
社、ドイツ国シュツットガルト(1974年))に示された
もの、またはスチュワートおよびヤング、前掲、の方法
に従って固相法により合成することが好ましい。
中間体に関する各式において、少なくとも1個のX−
基は保護基であるか、またはX11は樹脂系支持体を含
む。
従って、本発明によれば以下の工程を実施することに
よるMCHの製法も提供される:(a)少なくとも1個の
保護基および目的のMCH配列を有するペプチドを形成す
る−−ここで保護基は前記のものであり、カルボキシ末
端は保護されるか、または樹脂系支持体に結合する;
(b)保護基、およびペプチドと樹脂系支持体の結合が
ある場合、これを開裂する;(c)工程(b)の前また
は後にCys残基間にジスルフィド結合を形成する−−ま
だ形成されていない場合;そして(d)所望により、得
られたペプチドをその薬剤学的に受容しうる無毒性の塩
類に変換する。
さらに本発明によれば、以下の工程を実施することに
よるNEIの製法が提供される:(a)少なくとも1個の
保護基および目的のNEI配列を有するペプチドを形成す
る−−ここで保護基は前記のものであり、カルボキシ末
端は保護されるか、またはBHAもしくはMBHA樹脂系支持
体に結合する;(b)保護基、およびペプチドアミドと
樹脂系支持体の結合を開裂する;そして(c)所望によ
り、得られたペプチドアミドをその薬剤学的に受容しう
る無毒性の塩類に変換する。
さらにまた本発明によれば、以下の工程を実施するこ
とによるNGEの製法が提供される:(a)少なくとも1
個の保護基および目的のNGE配列を有するペプチドを形
成する−−ここで保護基は前記のものであり、カルボキ
シ末端は保護されるか、または樹脂系支持体に結合す
る;(b)保護基、およびペプチドと樹脂系支持体の結
合がある場合、これを開裂する;そして(c)の所望に
より、得られたペプチドをその薬剤学的に受容しうる無
毒性の塩類に変換する。
ペプチドの合成に際して使用すべき個々の側鎖保護基
を選択する場合、以下の一般原則に従う:(a)保護基
は好ましくはカップリング条件下でその保護特性を維持
し、開裂しない、(b)保護基は試薬に対して安定でな
ければならず、Xan以外は好ましくは合成の各工程でア
ルファ−アミン基保護基を除去するために選ばれた反応
条件下で安定である、そして(c)側鎖保護基は目的の
アミノ酸配列を含む合成が終了した時点において、ペプ
チド鎖を不都合に変化させない反応条件下で除去し得な
ければならない。
ペプチドを組換えDNA法により製造しない場合、それ
らは好ましくは固相合成法、たとえば一般的にメリフィ
ールド(Merrifield),J.Am.Chem.Soc.,85,p2149(196
3)に記載される方法により製造されるが、前記のよう
に当技術分野で知られている他の均等な化学合成法も採
用しうる。たとえばスチュワートおよびヤング、前褐、
を参照されたい。
固相合成法はペプチドのC−末端から、保護されたア
ルファ−アミン酸を適切な樹脂にカップリングさせるこ
とにより行われる。これらの出発物質は、アルファ−ア
ミノ基保護−アミノ酸をエステル結合によりクロロメチ
ル化樹脂またはヒドロキシメチル化樹脂に結合させるか
(特に、目的のペプチドが遊離酸C−末端をもつ場
合)、またはアミド結合によりBHA樹脂またはMBHA樹脂
に結合させることによって(目的のペプチドが非置換C
−末端アミドをもつ場合)調製される。ヒドロキシメチ
ル樹脂の製法はボダンスキー(Bodansky)ら,Chem.In
d.(ロンドン)38,1597−98(1966)に記載されてい
る。クロロメチル化樹脂はバイオ・ラド・ラボラトリー
ズ(カリフォルニア州リッチモンド)およびラボ・シス
テムズ社から市販されている。これらの樹脂の製法はス
チュワートおよびヤング、前褐、1章、1−9頁に記載
されている。BHAおよびMBHA樹脂系支持体は容易に合成
され、市販されてもいる。
BOCにより保護されたC−末端アミノ酸、たとえばVal
をまずChemistri Letters,ホリキ(K.Horiki)ら,165
−168(1978)に示された方法に従ってDMF中のKFを用い
て約60℃で24時間撹拌しながらクロロメチル化樹脂にカ
ップリングさせる。BOC保護されたアミノ酸を樹脂系支
持体にカップリングさせたのち、アルファ−アミン基保
護基を塩化メチレン中のトリフルオロ酢酸(TFA)、ま
たはTFA単独により除去する。保護基の除去は約0℃と
室温の間の温度で行われる。他の標準的な開裂試薬、た
とえばジオキサン中のHCl、および個々アルファ−アミ
ン基保護基の除去のための条件をシュレーダー(Schroe
der)およびリュブケ(Lubke),“The Peptides",1,p
p72−75(アカデミック・プレス、1965)の記載に従っ
て使用しうる。
アルファ−アミン基保護基を除去したのち、残存する
アルファ−アミン酸および側鎖保護アミノ酸を段階的に
目的の順序でカップリングさせて前記の中間化合物を得
るか、または合成に際して各アミノ酸を別個に付加する
方法に対する別法として、それらのうち若干を固相反応
器に添加する前に互いにカップリングさせておくことが
できる。適宜なカップリング試薬の選択は当業者が容易
になしうる範囲のものである。カップリング試薬として
特に適切なものはN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(DCC)である。
ペプチドの固相合成に用いられる活性化試薬はペプチ
ド技術の分野で周知である。適切な活性化試薬の例はカ
ルボジイミド、たとえばN,N′−ジイソプロピルカルボ
ジイミドおよびN−エチル−N′−(3−ジメチルアミ
ノプロピル)カルボジイミドである。他の活性化試薬お
よびペプチドカップリングにおけるそれらの使用はシュ
レーダーおよびリュブケ、前褐、III章、ならびにカプ
ール(Kapoor),J.Phar.Sci.,59,pp1−27(1970)に記
載されている。
保護されたアミノ酸またはアミノ酸配列をそれぞれ固
相反応器にほぼ4倍またはそれ以上過剰に導入し、ジメ
チルホルムアミド(DMF):CH2Cl2(1:1)の媒質中で、
またはDMFもしくはCH2Cl2単独中でカップリングを行う
ことができる。不完全なカップリングが行われた場合
は、アルファ−アミノ基保護基を除去する前にカップリ
ング処理を反復し、そののち次のアミノ酸をカップリン
グさせる。手動で実施する場合、合成の各段階における
カップリング反応の成功は、好ましくはカイザー(E.Ka
iser)ら,Anal.Biochem.34,595(1970)の記載に従っ
てニンヒドリン反応により監視される。カップリング反
応を自動的に、たとえばベックマン990自動合成装置に
より、たとえばリビエル(Rivier)ら,Biopolmers,197
8,17,pp1927−1938に報告されるプログラムを用いて行
うことができる。
目的のアミノ酸配列が完成したのち、環化(すなわち
Cys残基間でのジスルフィド結合の形成)を行うか、液
体フッ化水素などの試薬で処理することにより中間ペプ
チドを樹脂系支持体から分離することができる。これは
ペプチドを樹脂から開裂するだけでなく、残りの側鎖保
護基X2、X3、X4、X5、X6、X7およびX8、X9、X10、なら
びに樹脂系支持体(およびペプチドに付随するリンカ
ー)X11、ならびにアルファ−アミン基保護基X1をもす
べて開裂させ、遊離酸またはアミドの系のペプチドが得
られる(BHAまたはMBHA樹脂系支持体を用いた場合)。M
CH配列中にはMetが存在するので、好ましくは保護基BOC
をまずトリフルオロ酢酸(TFA)/エタンジチオールに
より除去したのち、ペプチドをHFにより樹脂から開裂さ
せて、S−アルキル化の可能性を排除する。開裂のため
にフッ化水素を用いる場合、1種類または2種類以上の
スキャベジャー、たとえばアニソール、クレゾール、ジ
メチルスルフィドおよびメチルエチルスルフィドを反応
容器に装入する。
Cys残基間でジスルフィド結合を形成させてペプチド
を環化する反応は、好ましくは樹脂系支持体から分離さ
れたペプチドについて行われる。たとえば保護基の除去
および樹脂系支持体からのペプチドの開裂は、当技術分
野で理解されるように0℃でフッ化水素酸(HF)を用い
てスキャベンジャー、たとえばアニソールの存在下に実
施される。次いでフェリシアニド溶液を用いて、リビエ
ル(Rivier)ら,Biopolymers,Vol.17(1978),1927−3
8の記載に従って、または空気酸化により、または他の
既知の方法に従って酸化することにより、環状ペプチド
が得られる。
以下の実施例Iは固相法によりペプチドを合成するた
めの好ましい方法を示す。これより長い対応するペプチ
ドの合成が単に必要数のアミノ酸を鎖のC−末端または
N−末端に付加することにより同様に行われることは、
もちろん認識されるであろう。
実施例I 次式の構造を有するMCHペプチド: の合成を、段階的にベックマン990ペプチド合成装置に
より市販のクロロメチル化ポリスチレン樹脂、たとえば
ラボ・システムズ社から得られるLS−601上において、
一般的にベイルらの米国特許第4,393,050号明細書に記
載の方法によって行う。樹脂へのBOC−Valのカップリン
グにより樹脂のグラム当たり約0.35mmolのValが置換す
る。
脱ブロッキングおよび中和ののち、ペプチド鎖を樹脂
上に段階的に形成する。脱ブロッキング、中和および各
アミノ酸の付加は一般にリビエル(Rivier,J),J.Ame
r.Chem.Soc.,96,2986−2992(1974)に詳述される方法
に従って行われる。用いる溶剤はすべて不活性ガス、た
とえばヘリウムまたは窒素を吹き込むことにより慎重に
脱泡される。
脱ブロッキングは好ましくは下記の方式Aに従って行
われる: 要約すると、樹脂のグラム当たり1−2mmolのBOC−保
護アミノ酸(塩化メチレン中)、および塩化メチレン中
1.0MのDCC 1当量を2時間使用する。BCO−Arg(Tos)
をカップリングさせる場合、50%DMFおよび塩化メチレ
ンの混合物を使用する。DCCカップリングがHOBt(たと
えば2当量)の存在下で行われる場合はGlnまたはAsnの
アミド基を保護する必要はない(この例では保護しなか
った)が、Xanで保護してもよい。GlnまたはAsnのカル
ボニル末端基を活性化するためにp−ヒトロフェニルエ
ステル(ONp)を用いてもよく、たとえばBOC−Gln(ON
p)を50%DMFおよび塩化メチレン混合物中のHOBt1当量
により一夜カップリングさせることができ、この場合は
DCCを添加しない。Argのグアニド基を保護するためにTo
sを用い、Trpのインドール窒素は保護しないでおく。As
pおよびGluの側鎖カルボニル基はOBzlで保護される。Bz
lがThrおよびSerのヒドロキシル側鎖保護基として用い
られる。2−クロロ−ベンジルオキシカルボニル(2Cl
−Z)がLysの側鎖アミノ基の保護基として用いられ
る。MeOBzlがCysのスルフヒドリル基の保護基として用
いられる。Tyrのフェノール性ヒドロキシル基は2,6−ジ
クロロベンジル(DCB)で保護される。Metのイオウは酸
化されない。
MCHに関しては合成の終了時に下記の組成が得られ
る: 保護されたペプチドを開裂および脱保護するために、
ペプチド−樹脂のグラム当たり1.5mlのアニソール、0.5
mlのメチルエチメスルフィドおよび30mlのフッ化水素
(HF)により0℃で約1 1/2時間処理する。高真空下
でHFを除去したのち、樹脂−ペプチド残留物を乾燥ジエ
チルエーテルおよび酢酸エチルで交互に洗浄する。次い
で乾燥したペプチドおよび樹脂を8リットルの水、2リ
ットルのアセトニトリルおよび25gの酢酸アンモニウム
の溶液に添加する。pHを約6.8に調整し、ペプチドの空
気酸化を約4日間、撹拌下に室温で行い(すなわちエル
マン(Ellman)試験により測定して−SHが完全に消失す
るまで−−Archives Biochem.Biophys.82,1959,p.70
を参照されたい)、各分子内の2個のシステイン残基間
にジスルフィド結合を形成させる。次いでバイオレック
ス(BioRex)70のプラグにより過および濃縮を行い、
次いで濃酢酸水溶液によりペプチドを抽出する。
あるいはまず開裂および脱保護された線状ペプチドを
還元してそのテトラS−スルホネートとなすことによ
り、システインジスルフィド結合をより高収率で得るこ
とができる。次いで初期精製ののち、還元ペプチドを制
御された量のジチオトレイトールの存在下で環状に変換
する。
開裂および脱保護された環状ペプチドを次いで適切な
カラム、たとえばバイオレックス70により濃縮する。こ
れはここから50%酢酸により溶離され、次いで凍結およ
び凍結乾燥されたのち、精製される。これにはセファデ
ックスG−50ファインゲル過が含まれる。
ペプチドは下記の記載に従って調製用または半調製用
HPLCにより精製される:リビエール(Rivier)ら,J.of
Chromatography288,303−328(1984);リビエール
(Rivier)ら,PeptidesStructure and Biological
Function,(1979)pp125−8;およびマーキ(Marki)
ら,J.Amer.Chem.Soc.,103,3178(1981)。ウォーター
ズ・アソシエーツ、prep LC−500に適合するカートリ
ッジにバイダックから得た15−20μのC18シリカ(300
A)を充填する。リビエール(Rivier,J.),J.Liq.Chrom
atography,343−367(1978)に記載されるように、
低圧エルデックス濃度勾配形成装置によりTEAP 2.25N
中のCH3CN濃度勾配を形成する。クロマトグラフィー画
分をHPLCによって慎重に監視し、実質的な純度を示す画
分のみをプールする。個々に純度を検査した精製画分の
脱塩は0.1%TFA中のCH3CNの濃度勾配を用いて行われ
る。次いで中央画分を凍結乾燥して目的のペプチドを得
る。その純度はペプチド全重量に対し98%以上とすべき
である。数種の異なる溶剤系を用いる薄層クロマトグラ
フィーにより、このペプチドは均質であると判定され
る。得られた精製ペプチドのアミノ酸分析は、調製され
た構造についての配列と一致する。環式化合物の旋光度
は室温で光電旋光計により[α]=−24.2゜±1゜
(c=0.483、50%酢酸)と測定される。
実施例II 次式の構造を有するNEIペプチドの合成: および次式の構造を有するNGEペプチドの合成: (ここでXNGEはPro−Ala−ValまたはSer−Val−Alaであ
る)を実質的に実施例Iの記載に従って実施する。ただ
し、NEIペプチド合成の場合はクロロメチル化ポリスチ
レン樹脂の代わりにMBHA樹脂系支持体を使用する。
支持体上でのNEIの合成が終了した時点で、次式の保
護されたペプチドが得られる: 支持体上でのNGEの合成が終了した時点で、次式の保
護されたペプチドが得られる: (ここでX″NGEはNGE中のXNGEがPro−Ala−Valである
場合はPro−Ala−Valであり、またはX″NGEはNGE中のX
NGEがSer−Val−Alaである場合はSer−Val−Alaであ
る)。
保護されたペプチドそれぞれを支持体から分離および
脱保護し、脱保護されたペプチドを実施例Iに保護およ
び脱保護されたMCHペプチドについて記載したものと実
質的に同じ方法により、試料中に存在する全蛋白質の少
なくとも約98%にまで単離する。
NEIおよびNGEの旋光度は室温で光電旋光計により下記
のとおり測定された:NEIについては[α]=−50.゜
(c=0.37、50%酢酸)。NGEについては[α]=−8
0.1゜(c=0.73、50%酢酸)。
実施例III 次式の構造を有するサケMCH: を実施例Iの記載に従って合成および精製する。次いで
それを当技術分野で周知の反応によってグルタルアルデ
ヒドによりヒトアルファ−グロブリン(U.S.Biochemica
ls,Frac IV)にコンジュゲートさせる、このサケMCH−
ヒトアルファ−グロブリン−コンジュゲートを生理的食
塩液(0.9%s/v)で希釈して最終濃度を全蛋白質1mg/ml
となす。フロイドの完全アジュバント変性ミコバクテリ
ウム・ブチリクム(M.butyricum)(カルビオヘム)
を,コンジュゲート1mg/ml(初回注射につき)またはコ
ンジュゲート0.5mg/ml(ブースターにつき)を含有する
等容量の食塩液で乳化する。それぞれの免疫処理につき
家兎に合計1mlのエマルジョンを皮内部位20−30箇所に
投与し;2週間毎にそれらを注射し、そして各ブースター
の7日後に耳静脈から採血する。血液を凝固させ、遠心
分離により血球から血清を分離する。各採血により得た
抗血清を力価および親和性につき分析する。この抗血清
の若干をPBL#171と表示する。
サケMCH(1μg)を1mキュリーのNa125I(ニュー・
イングランド・ニュークリアー、NEZ 033L)および1
μgのクロラミンTにより、全容量40μlの1.25Mリン
酸ナトリウム緩衝液、pH7.5、中で放射性標識する。30
−45秒間反応を行わせ、次いで直ちに10mggのウシ血清
アルブミン(BSA)の添加により停止する。次いで125I
−サケMCHをボンドエルート(BondElut)C18カートリッ
ジ(アナリティケム・インターナショナル)から吸着お
よび溶離することにより精製する。C18カートリッジか
らの溶出液をセイバント・スピード−バク(Savant Sp
eed−Vac)により約200μlに減少させ、次いでさらに
バイダック(Vydac)C18カラム、0.46×25cm、5μm、
孔径300Åを用いるHPLCにより精製する。緩衝液Aは0.1
%トリフルオロ酢酸(TFA)であり;緩衝液Bは0.1%TF
A中の60%アセトニトリルである。125I−サケMCHを35%
Bで流量1.5ml/分において装填し、次いで40分間で70%
Bにまで濃度勾配を形成する。放射能のピークチューブ
を最終的にBSA中0.5%となす。数個の放射能ピークが再
現性をもって溶出し、第1の主放射性帯域をルーティン
にラジオイムノアッセイに用いる。
精製操作全体を通して、この家兎抗サケMCH抗体に基
づきRIAを用いて画分を監視する。BSA(10mg/mlのもの1
0μl)を入れたガラス試験管にアリコートをアッセイ
用として移し、セイバント・スピード−バクにより乾燥
させる。画分をRIAアッセイ用緩衝液に再懸濁し、pHを
検査し、必要に応じてNaOHで調整する。ラジオイムノア
ッセイは冷却した試薬および氷水に一部浸漬した試験管
を用いて行われる。1日目に、容量300μlの標準液も
しくは被験試料、または緩衝液のみを入れたガラス試験
管に、抗体PBL#171 1/24,000希釈液(最終希釈度1/12
0,000)を含む緩衝液100μlを添加する。処理はすべて
二重に試験される。緩衝液は0.1M塩化ナトリウム、0.05
Mリン酸ナトリウム、0.025Mエチレンジアミン四酢酸(E
DTA)、0.1%ナトリウムアジド、pH7.5(SPEA緩衝液)
−−0.1%BSAを含む−−である。0.5−2000pgの合成サ
ケMCHの標準品を用いる。試料を2−5種類の使用量で
試験する。これらを添加したのち、試験管をボルテック
ス処理し、4℃で24時間インキュベートする。2日目に
20,000cpmの125I−サケMCH、およびSPEA緩衝液+0.1%B
SAに希釈した0.5%正常家兎血清をすべての試験管に容
量100μlで添加する。試験管をボルテックス処理し、
約24時間、冷却下に戻す。3日目に、抗体に結合したト
レーサーをヒツジ抗家兎カンマグロブリン(100μl、1
/40希釈液)および0.5mlの10%(w/v)ポリエチレング
リコール(シグマ、分子量=6,000−8,000)で沈殿させ
る。試験管をボルテックス処理し、15−30分間、室温で
インキュベートする。試験管を1mlのSPEA緩衝液で洗浄
し、4℃で30−45分間、2000×gで遠心分離する。上澄
液をデカントし、ペレットをガンマ計数器により計数す
る。標準logit/logラジオイムノアッセイデータプロセ
シングプログラムNICHD RRB,NIHを用いて結果を計算す
る。サケMCHに関するEC50および最小検出量はそれぞれ1
8.5±3.2pg(n=10)および2.1±0.6pg(n=10)であ
る。ラジオイムノアッセイはα−MSH、β−MSH、ラット
ACTH、β−エンドルフィン、アルギニン、バソプレシ
ン、オキシトシン、ヒトGRF(1−40)−OH、ラットGF
R、GnRH、SS−14またはSS−28との交叉反応性を示しな
い。
合計60,000の凍結乾燥ラット視床下部フラグメントの
数バッチをアセトン中で摩砕することにより脱脂し、得
られた粉末を90℃の1N酢酸(HAc)、0.1N HCl、0.5%
β−メルカプトエタノール、10mM EDAT、および5μg/
mlペプスタチンA(バヘム)の混合物10容量で抽出す
る。高温のスラリーを直ちにブレンダー中で粉砕し、氷
浴中で冷却し、遠心分離する。上澄液を保存し、一方沈
殿を20mM NaCl添加した上記混合物で再抽出する。上澄
液を合わせて3容量のエーテル−石油エーテル(1:2)
で多数回抽出することにより脱脂する。約10,000−20,0
00視床下部当量の個々のバッチからの水相を4℃でファ
ルマシアK215/100カラム−−85cmにセファデックスG−
50ファインが充填され、5cmのセフェーヅ(Sephades)
G−10、Vt=33リットル、が頂部に乗せられたもの−−
によりゲル過クロマトグラフィー処理する。0.2%β
−メルカプトエタノールを含む3N HAcにより流量約700
ml/時でこれを溶離する。このゲル過システムに関す
る経験に基づいて、これは約2100の分子量をもつと思わ
れる。
プロテインA−セファロースCL−4B(ファルマシア)
に直接結合した家兎抗サケMCH−ヒトアルファ−グロブ
リンを用いてアフィニティカラムを調製する。10mlの抗
血清PBL#171に100mgのヒトアルファ−グロブリンを4
℃で24時間吸着させる。抗血清を遠心沈殿させ、ペレッ
トを廃棄する。次いで吸着された抗血清を、60mlの50mM
NaHEPES、150mM NaCl、pH7.5、で予め膨潤および洗
浄した10mlベッド容量(bed volume)のプロテインA
−セファロースCL−4Bと共に、室温で45分間回転させ
る。プロテインA−セファロースCL−4Bビーズを遠心沈
殿させ、上澄液を除去する。ビーズを50mM NaHEPES、1
50mM NaCl、pH7.5、で2回、そして0.2Mトリエタノー
ルアミン−Cl、ph8.2、で2回洗浄する。プロテインA
−セファロースCL−4Bに結合した免疫グロブリンをジメ
チルピメリミデート二塩酸塩(DMPD、パース)により共
有架橋する。ビーズを0.2Mトリエタノールアミン−Cl、
pH8.2、中に新たに調製した20mM DMPD20容量(200ml)
に再懸濁し、室温で60分間回転させる。ビーズを遠心分
離し、上澄液を除去し、ビーズを20容量(200ml)の0.0
2Mトリエタノールアミン−Cl、pH8.2、中に再懸濁する
ことにより反応を停止する。次いで抗体−プロテインA
ビーズを1N HAcで2回洗浄し、50mM NaHEPES、150mM
NaCl、pH7.5、で平衡化する。プロテインA−セファ
ロースCL−4Bへの家兎抗サケMCH画分の結合効率は約90
%である。
数バッチのラット視床下部のセファデックスG−50サ
イジングにより得た活性帯域をプールし、凍結乾燥し、
500mlの50mM NaHEPES、pH7.5、中に再構成し、0.45μ
mフィルター(ミリポア)により過する。イムノアフ
ィニティークロマトグラフィーマトリックスと共に4℃
で48時間回転させたのち、混合物を1.5×10cmのカラム
(バイオラド)に25ml/時で充填する。カラムを50mM H
aHEPES、pH7.5、で洗浄し、次いで結合した物質を1N H
Acにより25ml/時で溶離する。
イムノアフィニティーカラムからの活性画分をプール
し、凍結乾燥し、1mlの4MグアニジンHCl、0.5N HAcに
再懸濁する。それらをさらに2バッチでタンデムのスー
パローズ(Superose)12Bカラム、それぞれ10μm、10
×300mm、を備えたFPLCシステム(ファルマシア)を用
いて、溶離液1N HAcおよび流量0.4ml/時により精製す
る。活性画分をRIAにより再度同定する。
このゲル過により得た活性画分をプールし、セイバ
ント・スピード−バクシステムにより0.1mlに濃縮し、
2工程のナローボア(narrow bore)逆相HPLCにより最
終精製を行う。バイダックC18カラム、2.1×150mm、粒
径5μm、ポアサイズ300Å、を流量0.25ml/時で用い
る。緩衝液Aは0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液
であり;緩衝液Bは90%アセトニトリル、0.05%TFAで
ある、試料を0%Bで5分間装填し、次いで40分間で50
%Bにまで濃度勾配を形成したのち、50%Bで5分間イ
ソクラチック(isocratic)溶離する。画分を210nmにお
けるUV吸収に基づいて手動で採取する。これらの画分の
アリコートをsMCHラジオイムノアッセイによりアッセイ
し、免疫反応性であることが認められた帯域を採取し、
プールし、次いでセイバント・スピード−バクシステム
により濃縮乾固する。試料を直ちに0.5M酢酸に再溶解
し、ナローボア逆相カラム(バイダックC18;2.1×1.50m
m;粒径5μm;ポアサイズ300Å)に装填し、流量0.125ml
/時で0.05%TFA水溶液およびアセトニトリルの混合物に
より溶離する(90分間で直線濃度勾配0%から36%のア
セトニトリル)。画分を210nmにおけるUV吸収に基づい
て手動で採取する。アリコートをMCH様免疫反応性につ
きアッセイする。
最高の免疫反応性を示す数画分をそれぞれ別個に気相
蛋白質シーケンサー(アプライド・バイオシステムズ47
0A)中でエドマン分解する。アミノ酸のフェニルチオヒ
ダントイン誘導体を当技術分野で周知のとおり逆相HPLC
により同定する。若干の画分につき下記のペプチド配列
が得られる:Asp−Phe−Asp−Met−Leu−Arg−Cys−Met
−Leu−Gly−Arg−Val−Tyr−Arg−Pro−Cys−Trp−Glx
−Val。位置18がグルタミンもしくはグルタミン酸のい
ずれであるか、またはC−末端がアミド化されているか
否かは判定できなかった。しかし残りの画分をジチオト
レイトールで還元し、次いで4−ビニルピリジンと反応
させたのちナローボアHPLCにより精製し、次いで配列決
定することにより、位置7および16にシステイン残基が
存在することが確認された。
実施例IV ラット視床下部cDNAライブラリー、λZAP中(ストラ
タジーン・クローニング・システムズ、米国カリフォル
ニア州ラ・ジョラ)からの約5×105の別個の組換え体
を、下記ヌクレオチド配列を有するオリゴプローブを用
いてMCH配列につきスクリーニングした:5′−GCCCAGCAT
GCACCGCAGCATGTCAAAGTC−−レイス(Lathe),J.Mol.Bio
l.183,1−12(1985)に従ってラットの成熟MCHのN−末
端アミノ酸10個の配列から演繹。4種類のハイブリダイ
ゼーション陽性クローンが見出され、次いで制限酵素マ
ッピングおよび配列決定分析を組み合わせてこれらを完
全に解明した。これらのクローンはすべて、ラットMCH
前駆体であると思われる等しいポリペプチドをコードす
ることが認められた。この配列決定の結果を後記の第1
表に示す。
生物活性ラットMCHペプチドはこの前駆体(位置466−
522のヌクレオチドによりコードされる)のC−末端に
位置し、潜在的ジペプチド開裂部位(Arg−Arg)がこれ
に先行し、停止コドン(TGA)がこれに続く。成熟MCHに
つきcDNA配列から演繹されたこの19アミノ酸配列から、
化学分析により確立されたプローブ配列の基礎となるペ
プチド配列が確認される。
ラットMCH前駆体のN−末端側に、1または2以上の
生物活性ペプチドが存在すると考えられる。これらのペ
プチドの1つは下記配列の13残基ペプチドアミドNEIで
ある:Clu−Ile−Gly−Asp−Glu−Glu−Asn−Ser−Ala−
Lys−Phe−Pro−Ile−NH2。NEIのペプチジルグリシン前
駆体は、第1表の配列の位置418−459のヌクレオチド配
列によりコードされる。次いでNEIはMCH前駆体から下記
により形成される:ジペプチドLys−Arg(第1表の配列
のヌクレオチド412−417によりコードされる)とアミノ
酸Glu(NEIのN−末端にある)の間での蛋白質分解プロ
セシング、ジペプチドArg−Arg(第1表の配列のヌクレ
オチド460−465によりコードされる)とアミノ酸Gly(N
EIのペプチジルグリシン前駆体のC−末端にある)の間
での蛋白質分解プロセシング、およびペプチジルグルシ
ン前駆体をペプチジルアミン、NEIに変換する脱グリオ
キシル化。これらのペプチドの他のものは下記配列のラ
ットNGEである。Gly−Pro−Ala−Val−Phe−Pro−Ala−
Glu−Asn−Gly−Val−Gln−Asn−Thr−Glu−Ser−Thr−
Gln−Glu−OH。NGEは第1表の配列の位置355−411のヌ
クレオチド配列によりコードされる。次いでNGEはMCH前
駆体から下記により形成される:アミノ酸 Lys(第1
表の配列のヌクレオチド351−354によりコードされる)
とGly(NGEのN−末端にある)の間での蛋白質分解プロ
セシング、ジペプチドLys−Arg(第1表の配列のヌクレ
オチド412−417によりコードされる)とアミン酸Glu(N
GEのカルボキシ末端にある)の間での蛋白質分解プロセ
シング。
実施例V 実施例IVに記載した方法と実質的に同様にして、λgt
11中のヒト視床下部cDNAライブラリーおよびプローブ
5′−CCAACAGGGTCGGTAGACTCGTCCCAGCAT(第1表に示す
位置487−516のセグメントの配列に相補的な配列をも
つ)を用いて、推定ヒトMCH前駆体の配列をコードするc
DNAの配列、およびこのcDNA配列から演繹した前駆体の
アミノ酸配列を決定した。これらの配列を第1表のラッ
トcDNAおよびアミノ酸配列と対比して後記の第2表に示
す。
ヒトMCH前駆体はラットMCH前駆体と同数のアミノ酸を
含む。
ラット前駆体の場合と同様に、成熟ヒトMCHはカルボ
キシ末端の19アミノ酸として生じ、これにジペプチドAr
g−Argが先行する。これは成熟MCHを提供する前駆体の
インビボプロセシングにおいてジアミノペプチダーゼ開
裂部位として作用すると思われる。すべての哺乳動物MC
Hの配列が高度にコンサーブされ、従って密接に近似す
るという見解を支持するものとして、ヒトMCHの配列は
ラットMCHのものと等しく、これら2種類の成熟MCHおよ
びそれらのアミノ末端のジペプチドArg−Argをコードす
るcDNAセグメントのヌクレオチド配列は63のうち3位置
において異なるにすぎない。
さらにヒトMCH前駆体はラットNEIのものと等しい配列
のNEIペプチドを含み、これにラット前駆体の場合と同
様にアミノ末端にジペプチドLys−Argが先行し(これは
NEIを提供する前駆体のインビボプロセシングにおいて
ジアミノペプチダーゼ開裂部位として作用すると思われ
る)、cDNA中でカルボキシ末端においてコードされるグ
リシンのプロセシングにより生じたアミドをカルボキシ
末端に含む。ヒトおよびラットNEIをコードするcDNAセ
グメントのヌクレオチドオ配列(それらのカルボキシ末
端にGlyを含み、アミノ末端にジペプチドLys−Argを含
む)は48のうち2位置において異なるにすぎない。MCH
の場合と同様に、ヒトおよびラットNEIアミノ酸配列の
均等性ならびにそれらをコードするcDNAセグメントの高
度の相同性は、すべての哺乳動物のNEIが密接に近似す
るという見解を支持する。
さらにまた、ヒトMCH前駆体はラットNGEのものと高度
に相同な配列のNGEペプチドを含む。これは残基2−4
としてPro−Ala−Valの代わりにSer−Val−Alaを含む点
において異なるにすぎず、ラット前駆体の場合と同様に
アミノ末端にLysが先行し、これはヒトMCH前駆体からイ
ンビボでNGEを生成する蛋白質分解プロセシング部位と
して作用すると思われる。ヒトおよびラットMCH前駆体
において、ヒトおよびラットNGEのアミノ酸配列ならび
にそれらのN−末端直前に先行するLys残基、ならびに
これらのアミノ酸配列をコードするcDNAのヌクレオチド
配列(60のうち8位置において異なるにすぎない)の相
同性からみて、すべての哺乳動物種のNGEのアミノ酸配
列が密接に近似すると思われる。
実施例VI サケMCHは哺乳動物アッセイにおいて極めてわずかな
生物学的力価を示すのに対し、哺乳動物MCHペプチドは
このところ知られているアルファ−MSHおよびベーターM
SH拮抗物質より有効な反応を示す。
実施例Iで調製された合成MCHペプチドは、合成サケM
CHについても行われたラジオイムノアッセイにおいて置
換(displacement)を示す。インビトロアッセイは哺乳
動物MCHおよび合成サケMCHペプチドについて、ACTH分泌
を監視するためにラット脳下垂体の半分を用いて行われ
る。この種類のアッセイはProc.Natl.Acad.Sci.85,55
56−5560(1988)に、より詳細に記載されている。この
インビトロ試験の結果は、これらの実施例で調製された
MCHペプチドが極めて有効なACTH産生調節物質であるの
に対し、サケMCHはこのラット脳下垂体アッセイにおい
てACTHの分泌に対し実質的に影響を及ぼさないことを示
す。その結果、哺乳動物MCHは脳下垂体−副腎軸の天然
ペプチド系調節薬として有用であると考えられる。また
哺乳動物MCHペプチドは、色素障害の処置、ならびに黒
色腫の診断および療法において臨床用として有用である
と考えられる。それらは特定の形態の痴呆の処置にも有
効であると考えられ、神経損傷の状態に関しても有用で
あろう。
医師がヒトの臨床用としてこれらのMCHペプチドを用
いてACTHを調節したい場合、これらの体重kg当たりペプ
チド約100ngないし約50μgの用量が有効であると考え
られ、医師によってこの目的で用いられるであろう。他
方、色素障害および/または黒色腫の処置を居所的に行
うことができる。このような処置を行う医師は適切な濃
度の上記ペプチドを局所用として用いることができ、こ
れに関してはMSH(メラニン刺激ホルモン)系拮抗物質
をこの目的で用いた場合に関して得られたデータに依存
しうる。
これらのペプチドはしばしば薬剤学的または獣医学的
に受容しうる無毒性塩類、たとえば酸付加塩または金属
コンプレックス、たとえば亜鉛、鉄、カルシウム、バリ
ウム、マグネシウム、アルミニウムなどとのもの(これ
らは本発明の目的に対して酸付加塩であるとみなされ
る)の形で投与される。これらの酸付加塩の例は塩酸
塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、タンニン酸塩、
シュウ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、アルギン酸
塩、マレイン酸、酢酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、コ
ハク酸塩、リンゴ酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩な
どである。有効成分を錠剤の形で投与したい場合、錠剤
は結合剤、たとえばトラガカント、コーンスターチまた
はゼラチン;崩壊助剤、たとえばアルギン酸;および潤
滑剤、たとえばステアリン酸マグネシウムを含有しう
る。液状での当素が望まれる場合、甘味料および/また
は芳香剤を用いることができ、等張食塩液、リン酸緩衝
液中などの溶液状で静脈内投与を行うこともできる。
MCHを長期間にわたって、たとえば1回投与から1週
間ないし1年間にわたってデリバーすることも望まし
く、徐放、蓄積(depot)または埋め込みなどの剤形を
使用しうる。たとえば製剤は体液中での溶解度が低い化
合物の薬剤学的に受容しうる無毒性塩類、たとえば多塩
基酸との酸付加塩;多価金属カチオンとの塩;またはこ
れら2種類の塩の組み合わせを含有してもよい。比較的
不溶性の塩類はゲル、たとえばステアリン酸アルミニウ
ムゲル状に配合することもできる。注入に適した徐放蓄
積型配合物起は、分解の遅い無毒性または非抗原性のポ
リマーたとえばポリ乳酸/ポリグリコール酸ポリマー、
たとえば米国特許第3,773,919号明細書に記載のものに
分散またはカプセル封入されたMCHまたはその塩類を含
有してもよい。シラスティック埋め込み剤中にこれらの
化合物を含有させることもできる。
これらのペプチドは医師の指導のもとに投与すべきで
あり、薬剤組成物は通常は慣用される薬剤学的または獣
医学的に受容しうるキヤリヤーと共にペプチドを含有す
るであろう。処置される状態に応じて、宿主の体重kg当
たり約0.01−約10mgのシステム容量を採用しうる。
ここで用いる温度はすべて℃であり、比較はすべて容
量による。液体材料の百分率も容量による。すべてのポ
リペプチドおよびそのフラグメントにつき、配列は最初
に示すアミノ末端アミノ酸から最後に示すカルボキシ末
端アミノ酸(またはアミド)へ記載される。
本発明を本発明者らが現時点で知る最良の形態である
その好ましい形態につき記載したが、ここに示す請求の
範囲に述べる本発明の範囲から逸脱することなく当業者
に自明の変更および修正をなしうると解すべきである。
たとえば現在または将来の発展に従って、MCH、NEIおよ
びNGEペプチド鎖の種々の位置においてそれらの効力ま
たは有用性を損なうことなく置換および修飾をなしう
る。たとえばMCHまたはNGEのC−末端において遊離酸の
代わりに単純なアミド、またはアルキル基中に1−4個
の炭素原子を含む低級アルキル置換アミド、たとえばメ
チルアミド、エチルアミドなどを用いることが適切な場
合がある。これらのペプチドは本発明の範囲内にあると
考えられる。
本発明の種々の特質は以下の請求の範囲に示される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フィッシャー,ウォルフガング・ハーマ ン アメリカ合衆国カリフォルニア州92075, ソラノ・ビーチ,サウス・ナード・アベ ニュー 717,ナンバー エイチ―7 (72)発明者 リヴィア,ジーン・エドアード アメリカ合衆国カリフォルニア州92037, ラ・ホーラ,ブラックゴールド・ロード 9675 (72)発明者 ナホン,ジーン―ルイス・マリー アメリカ合衆国カリフォルニア州92122, サン・ディエゴ,カミノ・ティシノ 4144 (72)発明者 プレス,フランソワーズ・ジュヌヴィエ ーブ アメリカ合衆国カリフォルニア州92122, サン・ディエゴ,カミノ・ティシノ 4144 (72)発明者 ヴェール,ワイリー・ウォーカー,ジュ ニア アメリカ合衆国カリフォルニア州92037, ラ・ホーラ,ヴァルデッツ 1643 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07K 7/06 C12N 15/00 - 15/90 C07K 14/575 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) SwissProt/PIR/GeneS eq Genbank/EMBL/DDBJ/G eneSeq

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の構造式: を有する、環状哺乳動物ペプチドまたはその塩。
  2. 【請求項2】下記アミノ酸配列: をコードするDNA。
  3. 【請求項3】ヌクレオチド配列 を有するセグメントからなる、請求の範囲第2項に記載
    のDNA。
  4. 【請求項4】ヌクレオチド配列 を有するセグメントからなる、請求の範囲第2項に記載
    のDNA。
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