JP2942568B2 - 軌道変換推進装置 - Google Patents

軌道変換推進装置

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JP2942568B2
JP2942568B2 JP1033355A JP3335589A JP2942568B2 JP 2942568 B2 JP2942568 B2 JP 2942568B2 JP 1033355 A JP1033355 A JP 1033355A JP 3335589 A JP3335589 A JP 3335589A JP 2942568 B2 JP2942568 B2 JP 2942568B2
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公積 赤井
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) この発明は、例えば、人工衛星等の宇宙航行体を地球
低周回軌道から静止軌道に軌道修正するのに用いる軌道
変換推進装置に関する。
(従来の技術) 従来、この種の軌道変換推進装置としては、第4図に
示すように、まず衛星本体1のロール軸,ピッチ軸,ヨ
ー軸に対応して外乱トルク吸収用のホイール1a,1b,1cが
配置され、これら各ホイール1a,1b,1cに対応してホイー
ル・アンローディング用のガスジェットスラスタ2が配
置される。また、例えば、ロール軸方向を進行方向とし
た場合、該ロール軸に対応して軌道保持及び軌道変換用
の複数のイオンエンジン3が配置されて軌道変換推進装
置が構成されている。
上記構成において、イオンエンジン3が噴射制御され
て軌道保持、あるいは軌道変換が行われると、合推力ベ
クトルと衛星重心との不一致により、衛星本体1には、
外乱トルクが付与される。この外乱トルクは、角運動量
としてホイール1a,1b,1cに蓄積される。そしてホイール
1a,1b,1cの駆動速度が一定値を越えると、ガスジェット
スラスタ2が選択的に噴射制御され、該ホイール1a,1b,
1cのアンローディングが行われる。これにより、ホイー
ル1a,1b,1cは、その蓄積した角運動量が放出され、外乱
トルクの吸収が続行される。
ところが、上記軌道変換推進装置では、ホイール・ア
ンローディング用のガスジェットスラスタ2を備えて多
量の推進剤を必要とするので、重量が嵩むと共に、その
搭載量に限界があるために、その運用上において推進剤
の補給等を考慮しなければならないという問題を有して
いた。
例えば、推力150mNのイオンエンジン3を8台搭載し
た初期重量8トンの軌道変換推進装置を構成した場合に
は、低周回軌道から静止軌道まで、約1年の遷移期間を
要するが、該軌道変換推進装置の重心に対して合推力ベ
クトルが2cmずれると、衛星本体1の蓄積角運動量が、
1年間の軌道遷移で概略750,000Nmsとなる。この蓄積角
運動量をトルクアーム1m、比推力150secのガスジェット
スラスタ2で、上述したようにホイール1a,1b,1cのアン
ローディングを行なった場合には、その推進剤が約510k
g必要となり、往復すると、倍の1020kgの搭載量が必要
となる。
(発明が解決しようとする課題) 以上述べたように、従来の軌道変換推進装置では、重
量が嵩むと共に、運用が煩雑であるという問題を有して
いた。
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、構成簡
易にして、軽量化を図り得、かつ、可及的に取扱い性の
向上を図り得るようにした軌道変換推進装置を提供する
ことを目的とする。
〔発明の構成〕
(課題を解決するため手段) この発明は、宇宙航行体の軌道保持及び軌道変換を行
う複数のイオンエンジンを備えた軌道変換推進装置にお
いて、前記複数のイオンエンジンが常に推力を維持し、
かつ、前記イオンエンジンを選択的に組合わせてそれら
の推力を調整制御し、前記宇宙航行体の外乱トルクを吸
収するホイールのアンローディングを行って角運動量を
放出せしめる制御手段を具備したものである。
(作 用) 上記構成によれば、イオンエンジンは軌道保持及び軌
道変換とともに制御手段を介して選択的に推力が調製制
御されてホイールのアンローディングが行なわれる。従
って、従来のようなホイールアンローディング用のガス
ジェットスラスタ及び推進剤を含むガスジェット系が不
用となる。この結果、従来のものに比して軽量化が図れ
ると共に、その取扱い性の向上が実現される。
(実施例) 以下、この発明の実施例について、図面を参照して詳
細に説明する。
第1図はこの発明の一実施例に係る軌道変換推進装置
を示すもので、衛星本体10には例えば、第1乃至第4の
イオンエンジン11a〜11dが進行方向となるロール軸回り
に制御トルクを発生可能なように、該ロール軸に対して
±ヨー軸方向にθ゜だけ傾斜させて配置される。この第
1乃至第4のイオンエンジン11a,11dは、第2図に示す
ように、第1乃至第4の電力制御部12a〜12dを介して姿
勢制御回路13の第1の信号出力端に接続される。この姿
勢制御回路13は姿勢センサ14a,14bに接続されており、
その第2の信号出力端には、外乱トルク吸収用の第1乃
至第3のホイール15a,15b,15cが接続される。この第1
乃至第3のホイール15a〜15cはそれぞれロール軸,ピッ
チ軸,ヨー軸に対応して配置されている。
上記構成において、第1乃至第4のイオンエンジン11
a〜11dが噴射制御されて軌道保持、あるいは軌道変換が
行われると、これにともなって、衛星本体10には、外乱
トルクが付与される。すると、姿勢センサー4a,14bはそ
の外乱を検出して、この検出値を姿勢制御回路13に出力
する。これにより、姿勢制御回路13はホイール駆動信号
を生成し、第1乃至第3のホイール15a〜15cを駆動制御
して姿勢を制御する。そして、外乱トルクが大きくな
り、第1乃至第3のホイール15a〜15cの駆動速度が一定
値を越えると、上記姿勢制御回路13は、第1乃至第4の
電力制御部12a〜12dを介して第1乃至第4のイオンエン
ジン11a〜11dを選択的に組合わさせてエンジンの推力を
調整制御する。イオンエンジンの推力の調整制御は、推
進剤流量、ビーム電流及び加速電圧を調整制御すること
によって可能である。即ち、姿勢制御回路13は、第3図
に示すように、第1乃至第4のイオンエンジン11a〜11d
を主推進手段として使用する場合は、第1乃至第4のイ
オンエンジン11a〜11d全部をオン状態に噴射制御し、ロ
ール軸回りアンローディングを行なう場合は、第1及び
第3のイオンエンジン11a及び11c,第2及び第4のイオ
ンエンジン11b及び11dが組合わされて推力の増加又は減
少による調整制御が行なわれる。そして、ピッチ軸回り
のアンローディングを行なう場合は、第1及び第2のイ
オンエンジン11a及び11b,第3及び第4のイオンエンジ
ン311c及び11dが組合わされて推力の調整制御が行わ
れ、そのヨー軸回りのアンローディングを行なう場合
は、第1及び第4のイオンエンジン11a及び11dが組合わ
されて推力の調整制御が行われ、そのヨー軸回りのアン
ローディングを行なう場合は、第1及び第4のイオンエ
ンジン11a及び11d,第2及び第3のイオンエンジン11b及
び11cの組合わせにより、推力の調整制御が行われる。
これにより、第1乃至第3のホイール15a〜15cは、その
蓄積した角運動量が放出され、外乱トルクの吸収が続行
されると共に、軌道保持あるいは軌道変換が行われる。
また、衛星本体10が、例えば、ヨー軸が地球方向を指
向する場合には、軌道上の周回に応じて蓄積角運動量が
変換することにより、ピッチ軸及びヨー軸のホイールア
ンローディングを行なうだけで良いこととなる。この場
合は、上述したように、第1乃至第4のイオンエンジン
11a〜11dをロール軸に対して±ヨー軸方向に傾斜させる
ことなく配設可能となる。
このように、上記軌道変換推進装置は第1乃至第4の
イオンエンジン11a〜11dを選択的に組合わせてその推力
を調整、制御して衛星本体10の外乱トルクを吸収する第
1乃至第3のホイール15a〜15cのアンローディングを行
なって角運動量を放出せしめるように構成したことによ
り、従来のようなホイールアンローディング用のガスジ
ェットスラスタ及び推進剤を含むガスジェット系が不用
となるため、従来のものに比して軽量化、ペイロード比
の向上が図れると共に、運用上の簡便化が図れ、その取
扱い性の向上が実現される。
また、この発明によれば、ホイールのアンローディン
グを行なう際に、イオンエンジンをオンオフ(噴射・停
止)制御を行なわないので、エンジンの動作回数の増加
がなく、寿命向上を図ることができる。
なお、上記実施例では、第1乃至第4のイオンエンジ
ン11a〜11dの4個を配設して構成した場合で説明した
が、この数に限ることなく、適用可能である。また、イ
オンエンジンの最適な制御として、ホイールスピード変
化率さら、外乱トルク量を推定し、それをもとに最適推
力レベルに調整することもできる。
〔発明の効果〕
以上詳述したように、この発明によれば、構成簡易に
して、軽量化を図り得、かつ、可及的に取扱い性並びに
寿命の向上を図り得るようにした軌道変換推進装置を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例に係る軌道変換推進装置の
配置構成を示す構成図、第2図は第1図の機器構成を示
す系統図、第3図は第1図及び第2図の動作を説明する
ために示した図、第4図は従来の軌道変換推進装置を説
明するために示した構成図である。 10……衛星本体、 11a〜11d……第1乃至第4のイオンエンジン、 12a〜12d……第1乃至第4の電力制御部、 13……姿勢制御回路、 14a,14b……姿勢センサ、 15a〜15c……第1乃至第3のホイール。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】宇宙航行体の軌道保持及び軌道変換を行う
    複数のイオンエンジンを備えた軌道変換推進装置におい
    て、前記複数のイオンエンジンが常に推力を維持し、か
    つ、前記イオンエンジンを選択的に組合わせてそれらの
    推力を調整制御し、前記宇宙航行体の外乱トルクを吸収
    するホイールのアンローディングを行って角運動量を放
    出せしめる制御手段を具備したことを特徴とする軌道変
    換推進装置。
JP1033355A 1989-02-13 1989-02-13 軌道変換推進装置 Expired - Lifetime JP2942568B2 (ja)

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