JP2942085B2 - 単結晶の製造方法 - Google Patents

単結晶の製造方法

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JP2942085B2
JP2942085B2 JP2790993A JP2790993A JP2942085B2 JP 2942085 B2 JP2942085 B2 JP 2942085B2 JP 2790993 A JP2790993 A JP 2790993A JP 2790993 A JP2790993 A JP 2790993A JP 2942085 B2 JP2942085 B2 JP 2942085B2
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crystal
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佑吉 堀岡
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チョクラルスキー法
(以下、CZ法という)により、シリコンなどの単結晶
を引き上げて成長させる単結晶の製造方法に関し、特
に、酸化膜耐圧の向上を考慮して低速で単結晶を引き上
げるに際し、少量のキャリアガスを効率的に利用しなが
ら、ルツボから蒸発した酸化けい素(SiO)を効率よ
く系外に排出できる単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】CZ法は、多結晶シリコンと必要なドー
パント(P,B,Sb,As,等)とを、引上チャンバ
内に回転可能に設けられた石英ルツボに投入し、このチ
ャンバ内を真空にしたのち、石英ルツボの周囲に配設さ
れたヒータによって多結晶シリコンとドーパントとを溶
解する。
【0003】そして、キャリアガスを流しながら真空度
10〜20トールの条件下、引上軸のチャックに取り付
けられた種結晶を石英ルツボ内のシリコン融液に浸漬し
たのちに、引上軸を石英ルツボに対して相対的に回転さ
せながら所定の速度で引き上げることにより、シリコン
単結晶を製造する方法である。
【0004】この種の引上装置では、融液面からの輻射
熱を遮り単結晶化を促進して引上速度を高めるととも
に、単結晶中のカーボン濃度を抑制するために、ルツボ
とルツボ内の融液とを部分的に被覆するように、赤外線
放射を反射できる材料で構成された部材(以下、ヒート
キャップと称する)をルツボの上部に配設したものが提
案されている(例えば、特公昭57−40,119号公
報,特公昭58−1,080号公報参照)。
【0005】しかしながら、ヒートキャップを設けて、
例えば2mm/min程度の高速で引き上げた単結晶
は、低速で引き上げた単結晶に比べて酸化膜耐圧が低い
という新たな問題が生じてきた。この問題は半導体デバ
イスからの要求に起因するものであり、特に近年のよう
に半導体デバイス回路の集積度が増加して高密度化すれ
ばする程、酸化膜に要求される耐圧特性の問題は顕著に
なってきた。
【0006】そのため、酸化膜耐圧を例えば9MV/c
m以上まで高めるために、単結晶の引き上げを、0.3
〜1.5mm/minの低速で行うことが提案されてい
る(例えば、特開平3−275,586号公報、図3参
照)。
【0007】この酸化膜耐圧を低下させる要因は、酸化
膜の微視的構造であり、この酸化膜の微視的構造を決定
する主要因はシリコンウェーハ表面の微視的性質(微小
欠陥の存在など)であると考えられている。そして、シ
リコンウェーハ表面の微視的性質は引上時に受ける単結
晶の熱履歴によるものと認識されていることから、単結
晶を引き上げるにあたっては、単結晶の熱履歴を適正な
条件に制御しなければ目的とする酸化膜耐圧を得ること
はできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、酸化
膜耐圧は引上時における単結晶の熱履歴が影響すること
から、酸化膜耐圧に優れた単結晶を得るために0.3〜
1.5mm/minの低速で引上を行う場合には、上述
したヒートキャップを設けて引上単結晶を急冷却するこ
とは逆に不都合となる。すなわち、引上単結晶の微視的
性質を高めるためには、徐冷しながら低速で引き上げる
ことが必要となる。
【0009】そのため、ヒートキャップを設けることな
く単結晶を引き上げることが試みられたが、ヒートキャ
ップは、輻射熱の遮蔽効果以外にも、融液から発生した
酸化けい素を除去するために流されるキャリアガスを整
流し、ルツボ上端の内壁に付着する酸化けい素を効率よ
く排除する効果がある程度期待されることから、ヒート
キャップを設けない引上装置では、キャリアガスによる
酸化けい素の排出効果が低下することが判明した。
【0010】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたものであり、酸化膜耐圧を向上させるた
めに低速引上を実施するにあたり、引上単結晶の熱履歴
を適正に制御しながら、蒸発した酸化けい素を少量のキ
ャリアガスで効率的に排出することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の単結晶の製造方法は、チョクラルスキー法
を用い、0.3〜1.5mm/minの引上速度で単結
晶を引き上げ成長させる単結晶の製造方法において、チ
ャンバ内の熱を利用してキャリアガスを徐々に加熱膨張
させながら、このキャリアガスを成長結晶近傍に対して
スパイラル状に吹き付け、この融液表面で反射したキャ
リアガスをルツボの上端より上部に配設された整流フィ
ンで案内して、蒸発物をルツボ外に排出することを特徴
としている。
【0012】
【作用】半導体デバイスの高集積化・高密度化にともな
って酸化膜耐圧の向上が要求されるが、引上単結晶を徐
冷しながら引上速度を0.3〜1.5mm/minの低
速とすることにより、微小欠陥(空孔および格子間原
子)の密度を低減することが効果的である。
【0013】そのため、本発明では融液表面から蒸発し
た酸化けい素などの蒸発物をキャリアガスを用いて系外
に排出するにあたり、引上チャンバ内の熱を利用してキ
ャリアガスを徐々に加熱膨張させ、この加熱により体積
膨張して層流となったキャリアガスを融液表面に吹き付
ける。
【0014】気体の状態方程式によれば、アルゴンなど
のキャリアガスは加熱することにより1/273(m3
/K)づつ体積膨張する。例えば、30リットル/mi
nの流量で流したキャリアガスを1092℃まで加熱す
ると、120リットル/minのキャリアガスを供給し
たと同じ効果を得ることができ、少量のキャリアガスで
あっても蒸発物の排出効果が同等となる。また、加熱膨
張させる際に徐々に加熱することによりキャリアガスの
流れは層流状態となるため、成長結晶面に吹き付けられ
るキャリアガスの流量、流速を均一に管理することがで
きる。
【0015】また、このようにして加熱膨張したキャリ
アガスを成長結晶近傍にスパイラル状に吹き付け、さら
に融液表面で反射したキャリアガスをルツボの上端より
上部に配設された整流フィンにより案内することによ
り、引上中の成長結晶を過冷却することがないので、低
速引上に応じた適正な熱履歴を実現することができ、引
上単結晶の微小欠陥の密度を低減することが可能とな
る。
【0016】さらに、蒸発物を効率よく系外に排出する
ことができるので、蒸発物がルツボの縁に凝縮付着し
て、これが融液内に落下することにより生じる多結晶化
を防止することができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1は本発明の単結晶の製造方法を用いた単結
晶の引上装置の一例を示す縦断面図、図2は同実施例の
ディストリビュータおよび整流フィンを示す平面図であ
る。
【0018】本実施例の製造方法を実現する引上装置
は、図1に示すように、引上チャンバ1内に石英ルツボ
2が設けられており、この石英ルツボ2は黒鉛サセプタ
3を介して回転自在な下軸4に取り付けられている。ま
た、石英ルツボ2の周囲には、石英ルツボ2内のシリコ
ン融液Mの温度を制御するためのヒータ5が配置されて
おり、このヒータ5と引上チャンバ1との間には保温筒
6が設けられている。なお、「7」は引上単結晶を冷却
するための冷却筒、「8」は融液Mの表面や石英ルツボ
2の上端縁を観察するための覗き窓である。
【0019】本実施例に係る引上装置では、シリコン融
液表面から蒸発した酸化けい素を系外に排出するために
キャリアガス(例えばアルゴンガス)を引上チャンバ1
内に供給するが、引上チャンバ1の上部からそのまま供
給すると急速な加熱効果によってキャリアガスの流れが
乱流となり、酸化けい素の排出に寄与するガスの流れが
定常流れではなくなる。
【0020】そこで、本実施例では、耐熱性のある高純
度石英管11などを引上チャンバ1内に取り廻し、この
石英管11内にキャリアガスを供給することにより、該
キャリアガスを徐々に加熱するようにしている。したが
って、引上チャンバ1内に取り廻される石英管11は、
引上チャンバ1内の低温部分から高温部分に向かって、
例えば図1に示すように螺旋状に取り廻される。
【0021】この石英管11の取り廻し経路は、引上チ
ャンバ1の温度分布により適宜選択されるが、要するに
石英管内を流されるキャリアガスが徐々に加熱されれば
よい。キャリアガスを加熱するのは、少量のガスで効率
的に酸化けい素を排出するのが目的であるが、キャリア
ガスを徐々に加熱するのは、成長結晶に吹き付けられる
キャリアガスを乱流状態ではなく層流状態とすることに
より、流量および流速を一定に維持管理するためであ
る。
【0022】石英管11の先端はルツボ2の上部に取り
付けられたディストリビュータ(分配器)12に接続さ
れており、このディストリビュータ12に導かれたキャ
リアガスは、図2に示すように、環状部分を通過しなが
ら、等配に設けられた複数のノズル13を介して成長結
晶に吹き付けられる。ノズル13の吹き付け方向は、図
2に示すように引上単結晶Sに対してスパイラル状に旋
回するように構成されており、後述する整流フィン10
と協働して酸化けい素の蒸発物を搬送してルツボ2外へ
排出する。
【0023】また、本実施例に係る引上装置において
は、保温筒6の上面に環状の支持部材9が取り付けられ
ており、この支持部材9から下方に向かって複数の整流
フィン10が設けられている。この整流フィン10は、
ディストリビュータ12のノズル13から吐出され、融
液表面で反射したキャリアガスをルツボ2と保温筒6と
の間に形成された排出通路14に導くために設けられて
おり、その形状はノズル13のスパイラル形状に応じた
構造となっている。
【0024】なお、整流フィン10およびディストリビ
ュータ12は、引上単結晶Sに対する融液面からの輻射
熱を遮蔽しないように、例えばルツボ2の上端より上部
に配設しておくことが望ましい。
【0025】次に作用を説明する。本実施例では、融液
表面から蒸発した酸化けい素などの蒸発物をキャリアガ
スを用いて系外14に排出するにあたり、引上チャンバ
1内の熱を利用してキャリアガスを徐々に加熱膨張さ
せ、この加熱により体積膨張して層流となったキャリア
ガスを融液表面、特に成長結晶近傍に吹き付ける。
【0026】気体の状態方程式によれば、アルゴンなど
のキャリアガスは加熱することにより1/273(m3
/K)づつ体積膨張する。例えば、30リットル/mi
nの流量で流したキャリアガスを1092℃まで加熱す
ると、120リットル/minのキャリアガスを供給し
たと同じ効果を得ることができ、少量のキャリアガスで
あっても蒸発物の排出効果が同等となる。また、加熱膨
張させる際に徐々に加熱することによりキャリアガスの
流れは層流状態となるため、成長結晶面に吹き付けられ
るキャリアガスの流量、流速を均一に管理することがで
きる。
【0027】また、このようにして加熱膨張したキャリ
アガスをディストリビュータ12のノズル13から成長
結晶近傍にスパイラル状に吹き付け、さらに融液表面で
反射したキャリアガスをルツボ2の上端より上部に配設
された整流フィン10により案内することにより、引上
中の成長結晶Sを過冷却することがないので、低速引上
に応じた適正な熱履歴を実現することができ、引上単結
晶Sの微小欠陥の密度を低減することが可能となる。
【0028】さらに、蒸発物を効率よく系外14に排出
することができるので、蒸発物がルツボ2の縁に凝縮付
着して、これが融液内に落下することにより生じる多結
晶化を防止することができ、単結晶品化率(単結晶の歩
留まり)が向上する。
【0029】このように本発明の単結晶の製造方法によ
れば、半導体デバイスの高集積化・高密度化にともなっ
て酸化膜耐圧の向上が要求されたとしても、引上単結晶
を徐冷しながら引上速度を0.3〜1.5mm/min
の低速とすることにより、微小欠陥(空孔および格子間
原子)の密度を低減することができるので、酸化膜耐圧
に富んだ単結晶を引き上げることが可能となる。
【0030】なお、以上説明した実施例は、本発明の理
解を容易にするために記載されたものであって、本発明
を限定するために記載されたものではない。したがっ
て、上記の実施例に開示された各要素は、本発明の技術
的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨で
ある。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように本発明は、チャンバ内
の熱を利用してキャリアガスを徐々に加熱膨張させなが
ら、このキャリアガスを成長結晶近傍に対してスパイラ
ル状に吹き付け、この融液表面で反射したキャリアガス
をルツボの上端より上部に配設された整流フィンで案内
して、蒸発物をルツボ外に排出することにより単結晶を
製造する。
【0032】その結果、少量のキャリアガスで効率的に
蒸発物を系外にすることができ、また、加熱膨張させる
際に徐々に加熱することによりキャリアガスの流れは層
流状態となるため、成長結晶面に吹き付けられるキャリ
アガスの流量、流速を均一に管理することができる。
【0033】さらに、引上中の成長結晶を過冷却するこ
とがないので、低速引上に応じた適正な熱履歴を実現す
ることができ、引上単結晶の微小欠陥の密度を低減する
ことが可能となる。
【0034】加えて、蒸発物を効率よく系外に排出する
ことができるので、蒸発物がルツボの縁に凝縮付着し
て、これが融液内に落下することにより生じる多結晶化
を防止することができ、結晶品化率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単結晶の製造方法を用いた単結晶の引
上装置の一例を示す縦断面図である。
【図2】同実施例のディストリビュータおよび整流フィ
ンを示す平面図である。
【図3】シリコン単結晶の引上速度に対する酸化膜の耐
圧特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…引上チャンバ 2…ルツボ 5…ヒータ 6…保温筒 10…整流フィン 11…石英管 12…ディストリビュータ 13…ノズル S…引上単結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−122587(JP,A) 特開 平6−183874(JP,A) 特開 昭53−8375(JP,A) 特開 平4−46088(JP,A) 特開 平5−884(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C30B 1/00 - 35/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チョクラルスキー法を用い、0.3〜1.
    5mm/minの引上速度で単結晶を引き上げ成長させ
    る単結晶の製造方法において、 チャンバ内の熱を利用してキャリアガスを徐々に加熱膨
    張させながら、このキャリアガスを成長結晶近傍に対し
    てスパイラル状に吹き付け、この融液表面で反射したキ
    ャリアガスをルツボの上端より上部に配設された整流フ
    ィンで案内して蒸発物をルツボ外に排出することを特徴
    とする単結晶の製造方法。
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