JP2940148B2 - 直流式黒鉛化炉電気設備 - Google Patents

直流式黒鉛化炉電気設備

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、炭素材料に直接直流電流を通電して抵抗
加熱することにより黒鉛化するための直流式黒鉛化炉電
気設備に関するものである。
直流式黒鉛化炉電気設備は、その原理、特徴、炉の構
造などについては堀 克彦著「工業用電気加熱」P.29〜
P.31に、また、その直流電源装置については東芝レビュ
ー30巻12号P.927〜P.931に詳述されているが、一口に述
べると、棒状あるいは板状に圧縮成形し、1000℃前後に
焼成した炭素材料と耐火煉瓦で築いた箱形の炉に並べ、
数十から百数十KAの直流電流を通電して約3000℃まで加
熱して黒鉛化を行なう設備である。
第4図は、従来のこの種の電気設備の典形を示す単線
図であり、図において、(1)は架空設置された交流母
線、(2)は交流断路器、(3)は整流器用変圧器
(4)およびサイリスタ整流器(5)から構成される直
流電源装置、(6)は直流断路器、(71)〜(74)は黒
鉛化炉(以下炉と呼ぶ)である。
通常直流電源装置(13)は利用率を向上させるため移
動台車上に設置して移動可能にしておき、数ないし十数
基の炉に逐次給電する。第4図は直流電源装置(3)が
炉(71)を通電加熱している状態を示し、これが完了す
れば、直流電源装置(3)を移動し、例えば、炉(72)
に接続してこれを通電加熱する。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の直流式黒鉛化炉用電気設備は以上のように構成
されているので、第5図に通電パターンの典形を示す
が、図における通電開始からの60時間は予備通電と称し
て約50%の通電をして、その後の12時間のみ約100%の
本通電をするだけなので直流電源装置の実質的な利用率
は良くなかつた。
また、直流電源装置にサイリスタ整流器を使用した場
合には50%通電するために位相制御するので力率が50%
以下に低下するという問題があつた。
この発明は上記のような問題点に着目し、直流電源装
置の利用率を向上させるとともに、生産性を向上させる
ために炉の回転率を向上させる、すなわち上記例につい
て述べるならば、1炉加熱するのに72時間要するが、直
流電源装置の移動と回路の切換えの時間を無視すれば12
時間毎に1炉ずつ加熱完了させていくことを可能にする
ことを主な目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
この発明に係る直流式黒鉛化用電気設備は、例えば従
来のシステムで120KAの直流電源装置を1台設置するよ
うな場合には120KAの50%すなわち60KAの直流電源装置
を3台以上設置するように構成する。
〔作 用〕
このように構成すると例えば全3台の場合には2台並
列で第1の炉に対し120KAの本通電をする一方で、残り
の1台で第2の炉に対し60KAの予備通電することが可能
になるので、直流電源装置の利用率が向上するととも
に、第1の炉の本通電が完了すれば1台を第2の炉に接
続して、それまで予備通電していた1台と併せて120KA
の本通電が可能となるので、あらかじめ予備通電してい
た時間だけ第2の炉の本通電が早くできる。もちろん、
サイリスタ整流器の場合でも大きく位相制御する必要が
ないので、力率は改善される。
〔実施例〕
以下、この発明の一実施例を図について説明する。第
1図と第2図は同一実施例の基本的な構成を示す単線図
で、第3図は物理的な構成要件を説明するための模型の
上面図である。
各図において直流電源装置(3A)、(3B)および(3
C)は夫々同じ60KAの定格を有する装置であるが、直流
出力端子(9)の物理的な配置が(3A)と(3B)の場合
逆で、(3A)と(3C)の場合は同一である。すなわち、
(3A)側から直流出力端子(9)がN、P、P、N、
N、Pの順に配置されるように形成される。
また、直流ブスバー(8A)および(8B)は炉(71)を
囲むように、かつ、その端子部、例えばA11とB11やB22
とA22などは、いずれの直流電源装置の直流出力端子
(9)にも直流断路器(6)で接続できるように配置と
寸法が統一されている。直流電源装置(3A)、(3B)お
よび(3C)は夫々独立した移動台車(図示省略)上に設
置され炉のならびに沿つて直流電源装置を移動する。
次の動作について説明する。第1図において、直流電
源装置(3A)および(3B)が炉(71)に並列に給電でき
るように接続され、第5図の通電パターンによる60時間
目以後の本通電をしている状態を示し、一方炉(73)に
は直流電源装置(3C)が接続され、同じく60時間目まで
の予備通電をしている状態を示す。
第2図は炉(72)が直流電源装置(3A)により予備通
電を、また炉(73)が直流電源装置(3B)と(3C)によ
り到通電している状態を示す。
第1図の状態で炉(71)が本通電を完了すれば、炉
(73)の予備通電の完了を待つて、直流電源装置(3B)
を炉(73)に接続し本通電に入り一方直流電源装置(3
A)は炉(72)に接続され予備通電に入る。
大略このような手順で、第1の直流電源装置で約50%
の予備通電をしておき、これが完了した時点で第2の直
流電源装置を前者と並列に運転して約100%の本通電を
行なう。
なお、上記実施では3基の炉に対して、50%容量の3
台の直流電源装置を対応させた例を示したが、炉の数、
通電パターン、本通電後の炉の徐冷時間等の具合で、50
%容量の直流電源装置を4台以上設置すると2炉以上同
時に本通電又は予備通電することが可能となり増々炉の
回転率が向上し、生産性が向上すると考えられます。
また、直流電源装置はタツプ切換器付整流器用変圧器
とダイオード整流器の組合せで電力調整機能を持たせた
場合にも上記実施例と同様の効果を奏する。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明によれば50%通電容量の直流
電源装置を3台設置したので、第1の炉に2台の直流電
源装置で約100%の本通電している間に第2の炉を残り
の1台で約50%の予備通電できるので、直流電源装置の
利用率が向上すると同時に炉の回転率も向上し、生産性
が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は同一実施例の基本的な構成を示す
単線図で、第3図は物理的な構成要件を説明するための
模型の上面図である。 第4図は従来の直流式黒鉛化炉電気設備の構成を示す単
線図である。第5図は直流式黒鉛化炉電気設備の典型的
な通電パターンを示す。 各図中、(1)は交流母線、(2)は交流断路器、(3
A)、(3B)および(3C)は夫々整流器用変圧器(4)
とサイリスタ整流器(5)が構成される直流電源装置、
(6)は直流断路器、(71)〜(74)は黒鉛化炉、(8
A)および(8B)は直流ブスバー、(9)は直流出力端
子である。 なお、図中、同一符号は同一、または相当部分を示す。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1基の炉を通電加熱するために必要な容量
    の約50%の容量を有し、移動可能な状態に設置した直流
    電源装置を3台以上、2基以上の炉に対して配備したこ
    とを特徴とする直流式黒鉛化炉電気設備。
  2. 【請求項2】炉に直流電源装置から直流電力を供給する
    ための直流ブスバーを2並列回路に形成し、かつその直
    流バーの直流電源側の各端子が、直流電源装置を移動す
    れば、いずれの直流電源装置の出力端子とも接続可能と
    なるように配置と寸法が統一されていることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載の直流式黒鉛化炉電気設
    備。
  3. 【請求項3】直流電源装置の出力端子が炉のならびの方
    向に沿つてPN,NP,PNの如く、隣接する直流電源装置の出
    力端子が互いに逆極性になるように形成されたことを特
    徴とする特許請求の範囲第2項記載の黒鉛化炉電気設
    備。
  4. 【請求項4】直流電源装置が整流器用変圧器とサイリス
    タ整流器などから構成されたことを特徴とする特許請求
    の範囲第1項または第2項、または第3項記載の直流式
    黒鉛化炉電気設備。
  5. 【請求項5】直流電源装置が整流器用変圧器、タツプ切
    換器、ダイオード整流器などから構成されたことを特徴
    とする特許請求の範囲第1項、または第2項、または第
    3項記載の直流式黒鉛化炉電気設備。
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