JP2937780B2 - プラスチック材またはゴム材の分解回収方法および同装置 - Google Patents

プラスチック材またはゴム材の分解回収方法および同装置

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JP2937780B2
JP2937780B2 JP31514794A JP31514794A JP2937780B2 JP 2937780 B2 JP2937780 B2 JP 2937780B2 JP 31514794 A JP31514794 A JP 31514794A JP 31514794 A JP31514794 A JP 31514794A JP 2937780 B2 JP2937780 B2 JP 2937780B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、廃プラスチック材また
は廃ゴム材等の有機材料を分解して有用成分を回収する
プラスチック材またはゴム材の分解回収方法および同装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開53−60974号公
報に示されるように、ポリ塩化ビニル等の高分子系プラ
スチック廃棄物をレトルト内に供給し、350°Cを超
えない温度で加熱して熱分解することにより発生した塩
素ガスを回収するとともに、可塑剤およびその分解生成
物からなる留出有機物を焼却処分し、かつ分解残渣の炭
素質物質からなる活性炭等を回収することが行われてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにポリ塩化
ビニル等の塩素成分を含有するプラスチック廃棄物を熱
分解する際に生成される塩素ガスを回収するように構成
した場合には、これを再利用することにより、資源の有
効利用を図ることができるが、種々のプラスチック廃棄
物中に混入されたフタル酸エステル等を主成分とする可
塑剤についてはこれを効果的に分解することができない
ため、低温ガス状化燃焼法等によって焼却処理されてい
た。
【0004】このため、上記フタル酸エステル系の可塑
剤を構成する無水フタル酸等の工業的に有用な成分を再
利用することができず、資源が無駄に消費されるととも
に、上記可塑剤およびその分解物が炭素質物質に混入し
てその成分を劣化させることとなるという問題があっ
た。また、上記可塑剤が分解して生成されたオクテン等
の脂肪族炭化水素成分と、有機材料中の塩素成分とが反
応して塩化オクチル等の脂肪族炭化水素の塩素化物が生
成されるため、その処理が問題となっていた。
【0005】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、廃プラスチック材または廃ゴム材等
の有機材料を効果的に分解し、この有機材料に含有され
たフタル酸エステル系の可塑剤を構成する無水フタル酸
等を回収してこれを再利用することができるプラスチッ
ク材またはゴム材の分解回収方法および同装置を提供す
ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
フタル酸エステル系の可塑剤を含有するプラスチック材
またはゴム材を上記可塑剤をガス状化し得る温度に加熱
した後、この加熱生成物をアルミナ系触媒を有する触媒
槽に供給することにより、上記加熱生成物中の可塑剤を
接触分解して無水フタル酸を生成した後、少なくともこ
の無水フタル酸を回収するようにしたものである。
【0007】請求項2に係る発明は、フタル酸エステル
系の可塑剤と、塩素成分とを含有するプラスチック材ま
たはゴム材を上記可塑剤および塩素成分をガス状化し得
る温度に加熱した後、この加熱生成物をアルミナ系触媒
を有する触媒槽に供給することにより、上記加熱生成物
中の可塑剤を接触分解して無水フタル酸を生成した後、
この無水フタル酸と、上記塩素成分が分解することによ
って生成された塩化水素とをそれぞれ回収するようにし
たものである。
【0008】請求項3に係る発明は、フタル酸エステル
系の可塑剤と、塩素成分とを含有するプラスチック材ま
たはゴム材を上記可塑剤および塩素成分をガス状化し得
る温度に加熱した後、この加熱生成物をアルミナ系触媒
を有する触媒槽に供給することにより、上記加熱生成物
中の可塑剤を接触分解して無水フタル酸と脂肪族炭化水
素成分とを生成した後、この無水フタル酸と脂肪族炭化
水素成分とをそれぞれ回収するようにしたものである。
【0009】請求項4に係る発明は、フタル酸エステル
系の可塑剤と、塩素成分とを含有するプラスチック材ま
たはゴム材を上記可塑剤および塩素成分をガス状化し得
る温度に加熱して一次加熱生成物を生成した後、この一
次加熱生成物をアルミナ系触媒を有する第1触媒槽に供
給することにより、上記一次加熱生成物中の可塑剤を接
触分解して無水フタル酸を生成した後、少なくともこの
無水フタル酸を回収し、かつ上記一次加熱後の残余材を
一次加熱温度よりも高い温度で加熱することによって二
次加熱生成物を生成した後、固体酸触媒を有する第2触
媒槽に上記二次加熱生成物を供給することにより、上記
残余材の炭化水素成分を接触分解して低沸点炭化水素油
を生成した後、少なくともこの低沸点炭化水素油を回収
するようにしたものである。
【0010】請求項5に係る発明は、上記請求項2ない
し4のいずれかに記載のプラスチック材またはゴム材
分解回収方法において、フタル酸エステル系の可塑剤
と、塩素成分とを含有するプラスチック材またはゴム材
フタル酸回収過程の途中で生成された脂肪族炭化水素
およびその塩素化物からなる脂肪族炭化水素成分の液状
体から分離した分離塩素成分を除去した後、少なくとも
脂肪族炭化水素成分を回収するように構成したものであ
る。
【0011】請求項6に係る発明は、上記請求項2ない
し4のいずれかに記載のプラスチック材またはゴム材
分解回収方法において、フタル酸エステル系の可塑剤
と、塩素成分とを含有するプラスチック材またはゴム材
フタル酸回収過程の途中で生成された脂肪族炭化水素
およびその塩素化物からなる脂肪族炭化水素成分のガス
状体から分離した分離塩素成分を除去し、少なくとも脂
肪族炭化水素成分を回収するように構成したものであ
る。
【0012】請求項7に係る発明は、上記請求項2また
は3記載のプラスチック材またはゴム材の分解回収方法
において、フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素成分と
を含有するプラスチック材またはゴム材フタル酸回収
過程の途中で生成された脂肪族炭化水素およびその塩素
化物からなる脂肪族炭化水素成分を液状体とガス状体と
に分離した後、この脂肪族炭化成分のガス状体および液
状体からそれぞれ分離 した分離塩素成分を除去し、少な
くとも脂肪族炭化水素成分を回収するように構成したも
のである。
【0013】請求項8に係る発明は、請求項5ないし7
のいずれかに記載のプラスチック材またはゴム材の分解
回収方法において、フタル酸エステル系の可塑剤と、塩
素成分とを含有するプラスチック材またはゴム材フタ
ル酸回収過程の途中で生成された脂肪族炭化水素および
その塩素化物からなる脂肪族炭化水素成分を、脱塩素化
触媒を有する脱塩素化触媒槽に供給することにより、上
記脂肪族炭化水素の塩素化物から塩素成分を分離してこ
の分離塩素成分を除去した後、少なくとも脂肪族炭化水
素を回収するように構成したものである。
【0014】請求項9に係る発明は、フタル酸エステル
系の可塑剤を含有するプラスチック材またはゴム材をこ
の可塑剤をガス状化し得る温度に加熱する加熱室と、こ
の加熱室から導出された加熱生成物中の上記可塑剤を接
触分解して無水フタル酸を生成するアルミナ系触媒を有
する触媒槽と、上記加熱生成物中から少なくとも無水フ
タル酸を分離して回収する回収部とを設けたものであ
る。
【0015】請求項10に係る発明は、フタル酸エステ
ル系の可塑剤と、塩素成分とを含有するプラスチック材
またはゴム材を上記可塑剤および塩素成分をガス状化し
得る温度に加熱する加熱室と、この加熱室から導出され
た加熱生成物中の可塑剤を接触分解して無水フタル酸を
生成するアルミナ系触媒を有する触媒槽と、上記加熱生
成物中から無水フタル酸を分離して回収する第1回収部
と、上記塩素成分が分解することによって生成された塩
化水素を回収する第2回収部とを設けたものである。
【0016】請求項11に係る発明は、フタル酸エステ
ル系の可塑剤と、塩素成分とを含有するプラスチック材
またはゴム材を上記可塑剤および塩素成分をガス状化し
得る温度に加熱する加熱室と、この加熱室から導出され
た加熱生成物中の可塑剤を接触分解して無水フタル酸お
よび脂肪族炭化水素成分を生成するアルミナ系触媒を有
する触媒槽と、上記加熱生成物中から無水フタル酸を分
離して回収する第1回収部と、脂肪族炭化水素成分を回
収する第2回収部とを設けたものである。
【0017】請求項12に係る発明は、フタル酸エステ
ル系の可塑剤と、塩素成分とを含有するプラスチック材
またはゴム材を上記可塑剤および塩素成分をガス状化し
得る温度に加熱する一次加熱室と、この一次加熱室から
導出された一次加熱生成物中の上記可塑剤を接触分解し
て無水フタル酸を生成するアルミナ系触媒を有する第1
触媒槽と、上記一次加熱生成物中から無水フタル酸を分
離して回収する第1回収部と、上記一次加熱後の残余材
を一次加熱室の加熱温度よりも高い温度で加熱する二次
加熱室と、この二次加熱室から導出された二次加熱生成
物中の脂肪族炭化水素成分を接触分解して低沸点炭化水
素成分を生成する固体酸触媒を有する第2触媒槽と、上
記低沸点炭化水素成分を回収する第3回収部とを設けた
ものである。
【0018】請求項13に係る発明は、請求項10ない
し12のいずれかに記載のプラスチック材またはゴム材
の分解回収装置において、フタル酸エステル系の可塑剤
と、塩素成分とを含有するプラスチック材またはゴム材
フタル酸回収過程の途中で生成された脂肪族炭化水素
およびその塩素化物からなる脂肪族炭化水素成分の液状
体から塩素成分を分離する脱塩素化手段と、この脱塩素
化手段によって分離された分離塩素成分が除去された脂
肪族炭化水素成分を回収する最終回収部とを設けたもの
である。
【0019】請求項14に係る発明は、請求項10ない
し12のいずれかに記載のプラスチック材またはゴム材
の分解回収装置において、フタル酸エステル系の可塑剤
と、塩素成分とを含有するプラスチック材またはゴム材
フタル酸回収過程の途中で生成された脂肪族炭化水素
およびその塩素化物からなる脂肪族炭化水素成分のガス
状体から塩素成分を分離する脱塩素化手段と、この脱塩
素化手段によって分離された分離塩素成分が除去された
脂肪族炭化水素成分を回収する最終回収部とを設けたも
のである。
【0020】請求項15に係る発明は、請求項10ない
し12のいずれかに記載のプラスチック材またはゴム材
の分解回収装置において、フタル酸エステル系の可塑剤
と、塩素成分とを含有するプラスチック材またはゴム材
フタル酸回収過程の途中で生成された脂肪族炭化水素
油およびその塩素化物からなる脂肪族炭化水素成分の液
状体を処理する第1処理系と、上記フタル酸回収過程の
途中で生成された脂肪族炭化水素およびその塩素化物か
らなる脂肪族炭化水素のガス状体を処理する第2処理系
と、上記液状体およびガス状体から塩素成分を分離する
脱塩素化手段と、この脱塩素化手段によって分離された
分離塩素成分が除去された脂肪族炭化水素成分を回収す
る最終回収部とを設けたものである。
【0021】請求項16に係る発明は、請求項13ない
し15のいずれかに記載のプラスチック材またはゴム材
の分解回収装置において、脂肪族炭化水素の塩素化物か
ら塩素成分を分離させる脱塩素化触媒を有する脱塩素化
触媒槽からなる脱塩素化手段を設けたものである。
【0022】
【作用】上記請求項1記載の発明によれば、フタル酸エ
ステル系の可塑剤を含有するプラスチック材またはゴム
が所定の温度に加熱されることによってガス状の加熱
生成物が生成され、この加熱生成物中の可塑剤が触媒槽
に充填されたアルミナ系触媒に接触して分解されること
により無水フタル酸が生成され、この無水フタル酸が回
収されて再利用されることになる。
【0023】上記請求項2記載の発明によれば、フタル
酸エステル系の可塑剤と、塩素成分とを含有するプラス
チック材またはゴム材が所定の温度に加熱されることに
よってガス状の加熱生成物が生成され、この加熱生成物
中の可塑剤が触媒槽に充填されたアルミナ系触媒に接触
して分解されることによって生成された無水フタル酸
と、上記塩素成分が分解することによって生成された塩
化水素とが、それぞれ回収されて再利用されることにな
る。
【0024】上記請求項3記載の発明によれば、フタル
酸エステル系の可塑剤と、塩素成分とを含有するプラス
チック材またはゴム材が所定の温度に加熱されることに
よってガス状の加熱生成物が生成され、この加熱生成物
中の可塑剤が触媒槽に充填されたアルミナ系触媒に接触
して分解されることにより無水フタル酸と、脂肪族炭化
水素成分とが生成され、これらがそれぞれ回収されて再
利用されることになる。
【0025】上記請求項4記載の発明によれば、フタル
酸エステル系の可塑剤と、塩素成分とを加熱してガス状
の一次加熱生成物を生成した後の残余材が、上記加熱温
度よりも高い温度で加熱されてガス状の二次加熱生成物
が生成され、この二次加熱生成物中の脂肪族炭化水素成
分が第2触媒槽に充填されたアルミナ系触媒もしくはゼ
オライト系触媒等の固体酸触媒に接触して分解されるこ
とにより低沸点炭化水素油が生成され、この低沸点炭化
水素油が回収されて再利用されることになる。
【0026】上記請求項5記載の発明によれば、主とし
てフタル酸ジオクチルからなるフタル酸エステル系の可
塑剤が分解することによって生成されたオクテン等の脂
肪族炭化水素油と、塩化オクチル等の脂肪族炭化水素の
塩素化物とからなる脂肪族炭化水素成分の液状体から分
塩素成分が除去された後、脂肪族炭化水素成分が回収
されて再利用されることになる。
【0027】上記請求項6記載の発明によれば、主とし
てフタル酸ジブチルからなるフタル酸エステル系の可塑
剤が分解することによって生成されたブテン等の脂肪族
炭化水素ガスと、塩化ブチル等の脂肪族炭化水素の塩素
化物とからなる脂肪族炭化成分のガス状体から分離塩素
成分が除去された後、脂肪族炭化水素成分が回収されて
再利用されることになる。
【0028】上記請求項7記載の発明によれば、フタル
酸エステル系の可塑剤と、塩素成分とを含有するプラス
チック材またはゴム材の分解回収過程で生成された脂肪
族炭化水素およびその塩素化物からなる脂肪族炭化水素
成分が、オクテン等を有する脂肪族炭化水素成分の液状
体と、ブテン等を有する脂肪族炭化水素成分のガス状体
に分離され、この脂肪族炭化水素成分の液状体およびガ
ス状体から分離塩素成分が除去された後、上記脂肪族炭
化水素成分が回収されて再利用されることになる。
【0029】上記請求項8記載の発明によれば、脂肪族
炭化水素の塩素化物を有する脂肪族炭化水素成分のガス
状体が脱塩素化触媒槽に供給されて脱塩素化処理される
ことにより、脂肪族炭化水素の塩素化物から塩素成分が
分離されてオクテンおよびブテン等の脂肪族炭化水素に
転化され、この脂肪族炭化水素が回収されて再利用され
ることになる。
【0030】上記請求項9記載の発明によれば、フタル
酸エステル系の可塑剤を含有するプラスチック材または
ゴム材が加熱室で所定の温度に加熱されることによって
ガス状の加熱生成物が生成され、この加熱生成物中の可
塑剤が触媒槽に充填されたアルミナ系触媒に接触して分
解されることにより無水フタル酸が生成され、この無水
フタル酸が回収部において上記加熱生成物から分離され
て回収されることになる。
【0031】上記請求項10記載の発明によれば、フタ
ル酸エステル系の可塑剤と、塩素成分とを含有するプラ
スチック材またはゴム材が加熱室で加熱されることによ
ってガス状の加熱生成物が生成され、この加熱生成物中
の可塑剤が触媒槽に充填されたアルミナ系触媒に接触し
て分解されることによって生成された水フタル酸が第1
回収部において無水フタル酸が上記加熱生成物から分離
されて回収されるとともに、上記塩素成分が分解するこ
とによって生成された塩化水素が第2回収部において回
収されることになる。
【0032】上記請求項11記載の発明によれば、フタ
ル酸エステル系の可塑剤と、塩素成分とを含有するプラ
スチック材またはゴム材が加熱室で加熱されることによ
ってガス状の加熱生成物が生成され、この加熱生成物中
の可塑剤が触媒槽に充填されたアルミナ系触媒に接触し
て分解されることにより無水フタル酸と、脂肪族炭化水
素成分とが生成され、第1回収部において無水フタル酸
が上記加熱生成物から分離されて回収されるとともに、
この加熱性生物中の脂肪族炭化水素成分が第2回収部に
おいて回収されることになる。
【0033】上記請求項12記載の発明によれば、一次
分解室においてフタル酸エステル系の可塑剤をガス状化
させる一次加熱が行われた後の残余材が、二次加熱室に
おいて上記一次加熱温度よりも高い温度で加熱されるこ
とによってガス状の二次加熱生成物が生成され、この二
次加熱生成物が第2触媒槽に充填されたアルミナ系触媒
もしくは天然ゼオライト系触媒等の固体酸触媒に接触し
て分解されることによって低沸点炭化水素油に転化さ
れ、この低沸点炭化水素油が第3回収部において回収さ
れて再利用されることになる。
【0034】上記請求項13記載の発明によれば、主と
してフタル酸ジオクチルからなるフタル酸エステル系の
可塑剤が分解することによって生成されたオクテン等の
脂肪族炭化水素ガスと、塩化オクチル等の脂肪族炭化水
素の塩素化物とからなる脂肪族炭化水素成分の液状体が
脱塩素化手段に供給されることにより、上記脂肪族炭化
水素成分から分離塩素成分が除去された後、脂肪族炭化
水素成分が最終回収部において回収されて再利用される
ことになる。
【0035】上記請求項14記載の発明によれば、主と
してフタル酸ジブチルからなるフタル酸エステル系の可
塑剤が分解することによって生成されたブテン等の脂肪
族炭化水素油と、塩化ブチル等の脂肪族炭化水素の塩素
化物とからなる脂肪族炭化水素成分のガス状体が脱塩素
化手段に供給されることにより、上記脂肪族炭化水素成
から分離塩素成分が除去された後、脂肪族炭化水素成
分が最終回収部において回収されて再利用されることに
なる。
【0036】上記請求項15記載の発明によれば、無水
フタル酸の回収部において液状体とガス状体とに分離さ
れた脂肪族炭化水素成分がそれぞれ脱塩素化手段に供給
されることにより、上記脂肪族炭化水素成分から塩素成
分が分離されてこの分離塩素成分が除去された後、脂肪
族炭化水素成分が最終回収部において回収されて再利用
されることになる。
【0037】上記請求項16記載の発明によれば、塩化
オクチル等を有する脂肪族炭化水素成分の液状体を加熱
してガス化させたガス状体および上記塩化ブチル等を有
する脂肪続炭化水素のガス状体等が脱塩素化触媒槽に供
給されて脱塩素化系触媒に接触することにより、上記脂
肪族炭化水素成分中の塩素化物から分離塩素成分が効果
的に除去されてオクテンおよびブテン等の脂肪族炭化水
素に転化され、この脂肪族炭化水素が最終回収部で回収
されて再利用されることになる。
【0038】
【実施例】図1は本発明に係るプラスチック材またはゴ
ム材の分解装置の第1実施例を示している。この分解装
置は、上記プラスチック材またはゴム材を所定温度に加
熱してガス状化させる一次加熱室1を有する一次分解系
2と、上記一次加熱室1における一次加熱後の残余材を
さらに加熱してガス状化させる二次加熱室3を有する二
次分解系4とからなっている。
【0039】上記一次加熱室1は、後述するプラスチッ
ク材またはゴム材等の有機材料からなる原材料が投入さ
れるホッパ5と、投入された有機材料中に含有されたフ
タル酸エステル系の可塑剤と、塩素成分とを加熱してガ
ス状化させる図外の加熱手段と、この一次加熱において
ガス状化されることなく残された残余材を上記二次加熱
室3に搬送するスクリューコンベア等からなる搬送手段
6とを有している。
【0040】上記加熱手段の加熱温度は、塩化ビニール
系のプラスチック材もしくは塩化ゴム等の有機材料に含
有されたフタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブ
チル(DBP)、フタル酸ジメチルおよびフタル酸ジエ
チル等からなるフタル酸エステル系の可塑剤と、上記有
機材料中の塩素成分とをガス状化し得る温度で、他の成
分を分解させることのない温度、つまり350°C以
下、好ましくは300°C以下の温度に設定されてい
る。
【0041】また、一次分解系2には、一次加熱室1か
ら導出されたガス状体を改質する触媒が充填された第1
触媒槽7と、この第1接触媒槽7から導出されたガス状
体中の無水フタル酸を回収する第1回収部8と、この第
1回収部8から導出された脂肪族炭化水素と、上記プラ
スチック材またはゴム材からなる有機材料中に含有され
塩素成分が分離することによって生成された塩化水素
と、脂肪族炭化水素と塩化水素との反応生成物である脂
肪族炭化水素の塩素化物とをそれぞれ回収する第2回収
部9とが設けられている。
【0042】上記第1触媒槽7内には、アルミナ系触媒
からなる固体酸触媒10が充填されている。そして、こ
の固体酸触媒10が300〜350°C程度の温度に保
持され、上記ガス状体中の可塑剤を、無水フタル酸と、
オクテンおよびブテン等の脂肪族炭化水素成分とに接触
分解するように構成されている。
【0043】また、上記第1回収部8は、80〜200
°C程度の温度に保持され、導入されたガス状体を冷却
することにより、第1触媒槽7において生成された無水
フタル酸を針状結晶体として析出させた状態で、これを
捕集するとともに、他の成分を上記第2回収部9に導出
させるように構成されている。
【0044】上記第2回収部9は、その内部に収容され
た溶液に塩素成分を溶融させることにより生成した塩化
水素を必要に応じて回収するとともに、その上方におい
て上記ガス状体中のオクテン等の脂肪族炭化水素を液化
させて脂肪族炭化水素油を生成し、これを燃料油または
ナフサ原料等として回収し、かつブタン等の脂肪族炭化
水素ガスを気体燃料として回収するように構成されてい
る。
【0045】上記二次加熱室3は、一次加熱室1から供
給された残余材を上記一次加熱温度よりも高い温度、例
えば500°C前後の温度で加熱してガス状化させる図
外の加熱手段と、この二次加熱室3における二次加熱に
よってガス状化することなく残った残渣を外部に排出す
るスクリューコンベア等からなる排出手段11とを有し
ている。
【0046】また、上記二次分解系4には、二次加熱室
3から導出されたガス状体を改質する触媒が充填された
第2触媒槽12と、この第2触媒槽12から導出された
改質後のガス状体を分留する分留塔13と、この分留塔
13から導出されたガス状体を冷却する冷却器14と、
この冷却器14において上記ガス状体中の炭化水素成分
が冷却されることにより液化された炭化水素油等を回収
する第3回収部15とが設けられている。
【0047】上記第2触媒槽12内には、上記ガス状体
中の炭化水素成分を分解して低分子化するアルミナ系触
媒もしくはゼオライト系触媒からなる固体酸触媒が充填
されている。また、上記分留塔13は、上記炭化水素成
分を低沸点成分と高沸点成分とに分離し、低沸点成分を
ガス状成分として上記冷却器14に導出するとともに、
分子量の大きい炭化水素成分、例えばタール状体あるい
はワックス状体等の高沸点炭化水素成分を上記二次加熱
室3に戻すように構成されている。
【0048】上記冷却器14は、上記分留塔13から導
出されたガス状体を冷却することによって気液の混合状
態とした後、これを上記第3回収部15に導出するよう
になっている。この第3回収部15は、冷却器14から
導出された気液混合状態の炭化水素ガス等からなる炭化
水素のガス状体および炭化水素油からなる炭化水素の液
状体のうち、炭化水素の液状体を貯溜するとともに、炭
化水素のガス状体を図外のガスホルダー等に導出するよ
うに構成されている。
【0049】また、上記一次加熱室1内のホッパ5内に
供給される有機材料は、下記の汎用プラスチックもしく
は高性能のエンジニアリングプラスチック材またはゴム
材等が考えられる。上記汎用プラスチック材としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリ
ロニトリルブタジエンスチレン、ポリメチルメタクリレ
ートあるいはポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0050】また、上記高性能のエンジニアリングプラ
スチックとしては、ポリアミド、ポリアセタール、ポリ
カーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレン
テレフタレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフ
ォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、
ポリイミド、ポリアミドイミドあるいはポリエーテルエ
ーテルケトンなどを挙げることができる。
【0051】また、上記有機材料となるゴム材について
も特にその種類は限定されるものではなく、スチレンブ
タジエンゴム、ハイスチレンゴム、ブタジエンゴム、イ
ソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロ
ピレンジエンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、
クロロプレンゴム、ブチルゴムあるいはウレタンゴムな
どの合成ゴムや、天然ゴムを挙げることができる。
【0052】上記有機材料を構成する種々のプラスチッ
ク材およびゴム材の少なくとも一部には、DOP(フタ
ル酸ジオクチル)またはDBP(フタル酸ジブチル)等
のフタル酸エステル系の可塑剤が混入されている。そし
て、上記プラスチック材もしくはゴム材の廃棄物等から
なる有機材料は、通常予め所定の大きさに粉砕された状
態で上記一次加熱室1のホッパ5内に投入されるように
なっている。
【0053】上記構成の分解装置によって有機材料を分
解して回収する分解回収方法について説明する。まず、
所定の大きさに粉砕された廃プラスチック材等からなる
有機材料を上記一次加熱室1のホッパ5内に投入し、こ
れを搬送手段6によって搬送しつつ、所定の温度に加熱
することにより、上記有機材料中の可塑剤および塩素成
分をガス状化させる。上記一次加熱室1において発生し
たガス状体は、ミスト成分を含む気流となって上昇し、
この一次加熱室1の上方に設置された第1触媒槽7内に
導入される。
【0054】上記第1触媒槽7内に導入されたガス状体
を、その内部に充填された固体酸触媒10に接触させる
ことにより、上記ガス状体中に含有されたフタル酸エス
テル系の可塑剤を分解して下記の成分を生成する。ま
た、上記有機材料から分離された塩素成分の一部は水素
と結合して塩化水素となる。
【0055】フタル酸ジオクチル(DOP)からなる可
塑剤は、上記第1触媒槽7において、無水フタル酸と、
オクテン等からなる脂肪族炭化水素とに接触分解される
とともに、その一部が上記塩素成分と反応して塩化オク
チル等からなる脂肪族炭化水素の塩素化物となる。ま
た、フタル酸ジブチル(DBP)からなる可塑剤は、上
記第1触媒槽7において、無水フタル酸と、ブテン等か
らなる脂肪族炭化水素とに接触分解されるとともに、そ
の一部が塩素と反応して塩化ブチル等からなる脂肪族炭
化水素の塩素化物となる。
【0056】そして、上記第1触媒槽7から導出された
改質後のガス状体を上記第1回収部8に供給して冷却す
ることにより、この第1回収部8において、上記ガス状
体中の無水フタル酸成分を針状結晶化して回収した後、
残りの成分を上記第2回収部9に導出し、この第2回収
部9において、必要に応じて上記塩化水素と、脂肪族炭
化水素油と、脂肪族炭化水素ガスと、脂肪族炭化水素の
塩素化物とに分離して回収する。
【0057】また、上記一次加熱室1においてガス状化
されることなく残された残余材を、二次加熱室3に供給
し、これを上記一次加熱温度よりも高い温度で二次加熱
することによってガス状化させる。上記二次加熱室3か
ら導出されたガス状体を、第2触媒槽12に供給して内
部に充填されたアルミナ系触媒もしくはゼオライト系の
触媒の少なくとも一方を有する固体酸触媒に接触させる
ことにより、残余材の炭化水素成分を低分子化した後、
上記分留塔13、冷却器14および第3回収部15に順
次供給する。
【0058】そして、上記第2触媒槽12において低分
子化された炭化水素成分を、上記分留塔13において分
別蒸留した後、蒸発成分を冷却器14に供給して冷却す
ることにより低沸点炭化水素油を生成した後、この低沸
点炭化水素油を上記第3回収部15において回収する。
また、上記分留塔13において分別された高沸点の炭化
水素成分は、上記二次加熱室3に戻され、再度、加熱お
よび接触分解されて低沸点化された後に回収される。
【0059】このようにフタル酸エステル系の可塑剤お
よび塩素成分を含有する有機材料を一次加熱室1におい
て加熱することにより生成されたガス状体を、上記アル
ミナ系触媒を有する第1触媒槽7に供給することによ
り、このアルミナ系触媒に上記可塑剤を接触させて無水
フタル酸と炭化水素成分とに分解し、この無水フタル酸
を第1回収部8において回収するように構成したため、
工業的に有用な上記無水フタル酸の有効利用を図ること
ができる。
【0060】さらに、上記有機材料中の塩素成分が分解
されることによって生成された塩化水素と、上記脂肪族
炭化水素成分と、塩化水素および炭化水素成分が反応し
て生成された脂肪族炭化水素の塩素化物とを上記第2回
収部9において回収することにより、その有効利用を図
ることができる。また、上記無水フタル酸は、第1回収
部8において回収されるように構成され、この無水フタ
ル酸が上記第2回収部9および二次分解系4の第3回収
部15で回収された脂肪族炭化水素油等に混入されるこ
とがないので、この脂肪族炭化水素油等の純度を向上さ
せてその商品価値を高めることができる。
【0061】また、上記のように一次加熱室1における
一次加熱後の残余材を加熱してガス状化させる二次加熱
室3と、この二次加熱室3において生成されたガス状体
を接触分解する第2触媒槽12とを有する二次分解系4
を設けた場合には、上記塩化水素によって一次分解系2
および二次分解系4の各機器が腐食されることを防止し
つつ、有機材料を効果的に分解回収することができる。
【0062】すなわち、一次分解系2において分解され
る塩素成分が高温状態となって各機器を腐食させるのを
防止するため、一次加熱室1の加熱温度を350°C以
下の比較的低い温度に設定しているので、この一次加熱
室1において上記有機材料を完全に加熱することはでき
ず、かなりの量の有機材料が残留することになるが、こ
の残余材を二次加熱室3において500°C前後の高温
に加熱することにより、効果的にガス状化させてこれを
低沸点炭化水素油として回収することができる。
【0063】そして、上記有機材料に含有された塩素成
分は、上記一次分解系2において分離回収されるため、
この塩素成分が上記二次分解系4の二次加熱室3に供給
されることがなく、この二次加熱室3の加熱温度を高温
に設定した場合においても、上記二次分解系4を構成す
る各機器が腐食されるという事態の発生を効果的に防止
することができる。
【0064】さらに、上記一次分解系2の第1触媒槽7
内には、塩素成分によって劣化しにくいアルミナ系触媒
からなる固体酸触媒10が充填されているため、この固
体酸触媒10が劣化されることなく、その触媒作用を長
期間に亘って維持することができる。また、上記アルミ
ナ系触媒は、炭化水素成分の分解性能がゼオライト系触
媒に比べて低いため、上記固体酸触媒10が充填された
第1触媒槽7に供給された炭化水素成分が必要以上に分
解されて、常温でガス状体となるブテン(沸点−6,4
7°C)、プロパン(沸点−42.4°C)等に転化さ
れるという事態を生じるとこがなく、これを燃料として
の利用価値が高い脂肪族炭化水素油として回収すること
ができる。
【0065】これに対して上記二次分解系4の第2触媒
槽12内に充填される固体酸触媒には、上記塩素成分の
影響が及ぶことがないので、この固体酸触媒として炭化
水素成分の分解性能が上記アルミナ系の触媒に比べて高
いとともに、塩素成分の影響を受け易いゼオライト系触
媒を使用することが可能であり、このゼオライト系触媒
によって高沸点の炭化水素成分を効果的に分解して低沸
点炭化水素油に転化することができる。
【0066】したがって、上記有機材料中に塩素成分を
含有する塩素系プラスチック材もしくは塩素系ゴム材等
が混入されている場合においても、これを効果的に処理
して上記無水フタル酸、塩化水素および低沸点炭化水素
油等を効率よく回収することができる。なお、上記有機
材料中に塩素成分を含有する塩素系プラスチック等が混
入されていない場合には、上記第2回収部9に塩化水素
の回収部を設ける必要はなく、上記塩化水素の分離回収
工程を省略することができる。
【0067】また、上記二次分解系4を省略し、一次分
解系2において、有機材料中に含有されたフタル酸エス
テル系の可塑剤を分解することにより生成された無水フ
タル酸のみを回収するように構成し、あるいは上記無水
フタル酸と、上記有機材料中の塩素成分が分解されるこ
とにより生成された塩化水素と、上記脂肪族炭化水素成
分とを回収するように構成してもよい。
【0068】また、図2に示すように、上記一次分解系
2の第2回収部9において回収された脂肪族炭化水素の
塩素化物を、脂肪族炭化水素に転化させて回収する転化
反応系30を設けた構造としてもよい。この転化反応系
30には、第2回収部9の上方部から導出された脂肪族
炭化水素油および脂肪族炭化水素の塩素化物からなる脂
肪族炭化水素成分の液状体を収容する収容部31と、こ
の収容部31から導出された上記液状体を加熱してガス
状化させる転化加熱室32と、この転化加熱室32から
導出されたガス状体中の塩素成分を分離する脱塩素化触
媒33が充填された脱塩素化触媒槽34と、この脱塩素
化媒槽34から導出されたガス状体を分留する分留塔3
5と、この分留塔35から導出されたガス状体を冷却す
る冷却器36と、この冷却器36において冷却された液
状体を回収する最終回収部37とが設けられている。
【0069】上記構成によれば転化加熱室32において
オクテン等の脂肪族炭化水素油と、塩化オクチル等の脂
肪族炭化水素の塩素化物とからなる脂肪族炭化水素成分
の液状体を約300°C以上の温度で加熱してガス状化
させた後、このガス状体を脱塩素化触媒槽34に供給し
て約300°C以上の温度で加熱しつつ、アルミナ系触
媒等からなる脱塩素化触媒33に接触させることによ
り、上記脂肪族炭化水素の塩素化物から塩素成分を分離
して脂肪族炭化水素に転化させることができる。
【0070】また、上記脱塩素化触媒槽34から導出さ
れたガス状体を分留塔35において、脂肪族炭化水素ガ
スと、その塩素化物とに分別し、脂肪族炭化水素のガス
状成分を上記冷却器36で120°C以下に冷却し、低
沸点の脂肪族炭化水素油として最終回収部37で回収す
るとともに、脂肪族炭化水素の塩素化物を上記転化加熱
室32に戻して再度、転化反応および脱塩素化処理を施
して脂肪族炭化水素に転化させた後、低沸点の脂肪族炭
化水素油として回収することにより、その有効利用を図
ることができる。
【0071】すなわち、上記一次分解系2の第2回収部
9において回収された回収物中には、フタル酸エステル
系の可塑剤が分解されることによって生成されたオクテ
ン等の脂肪族炭化水素油と、有機材料中の塩素成分とが
反応することによって生成された塩化オクチル等の脂肪
族炭化水素の塩素化物が含有されており、この塩素化物
をそのままの状態で、上記オクテン等とともに燃料とし
て燃焼させるように構成した場合には、塩素を含有する
有害物質が発生することのないようにその処理設備を設
ける必要がある。
【0072】これに対し、上記転化反応系30を設けて
上記脂肪族炭化水素成分の塩素化物を燃料として有効に
利用することができる脂肪族炭化水素に転化するように
構成した場合には、上記可塑剤を分解することによって
得られた脂肪族炭化水素を燃料として燃焼させても、有
害物質が発生することはなく、燃料装置の構造を簡略化
することができる。なお、上記転化反応によって発生し
た塩素成分を転化反応系30の最終回収部37において
塩化水素等として回収するように構成してもよい。
【0073】また、上記脱塩素化触媒槽34に充填され
る脱塩素化触媒33は、アルミナ系触媒もしくはゼオラ
イト系触媒のいずれを使用してもよいが、上記ゼオライ
ト系触媒は、炭化水素成分の分解性能が極めて高いの
で、このゼオライト系触媒を使用した場合には、上記オ
クテン等からなる炭化水素成分が必要以上に分解され
て、常温でガス状体となるブテン、プロパン等に転化さ
れることになる。このため、上記脱塩素化触媒33とし
てアルミナ系触媒を使用し、上記脂肪炭化水素成分を燃
料としての利用価値が高い脂肪族炭化水素油として回収
することができるようにすることが望ましい。しかも、
上記アルミナ系触媒は、塩素成分によって劣化しにくい
という性質があるため、このアルミナ系触媒を上記脱塩
素化触媒33として使用することが好ましい。
【0074】なお、脱塩素化触媒槽34において、上記
脂肪族炭化水素の塩素化物を脂肪族炭化水素と塩素成分
とに確実に分離し、上記塩素化物を略100%脂肪族炭
化水素に転化させるように構成した場合には、上記分留
塔35を省略した構造とすることができる。
【0075】上記実施例では、一次分解系2の第1回収
部8から導出された全ての脂肪族炭化水素成分を第2回
収部9に供給し、この第2回収部9において液状化して
上記脂肪族炭化水素成分を回収するようにしているが、
第1触媒槽7から導出されたガス状体を第1回収部8に
おいて、無水フタル酸の融点(130.8°C)よりも
やや低い温度、例えば120°C程度に冷却することに
より、無水フタル酸を結晶化させて回収するとともに、
残余成分の脂肪族炭化水素成分をガス状体と液状体とに
分けて導出するように構成してもよい。
【0076】すなわち、上記第1回収部8の温度を12
0°C程度に設定した場合には、主としてフタル酸ジオ
クチル(DOP)が分解することによって生成されるオ
クテン(沸点122°C)およびその塩素化物等は、液
状体となって上記第1回収部8から導出される。また、
主としてフタル酸ジブチル(DBP)が分解されること
によって生成されるブテン(沸点−6.47°C)およ
びその塩素化物等は、ガス状体となって上記第1回収部
8から導出される。
【0077】このため、図3に示すように、第1回収部
8の底壁部から下方に液状体を導出して処理する第1処
理系41と、上記第1回収部8の上壁部からガス状体を
上方に導出して処理する第2処理系42とを設け、上記
第1回収部8において、脂肪族炭化水素成分を液状体と
ガス状体とに分離し、それぞれ別々に導出するように構
成してもよい。
【0078】上記第1処理系41には、脂肪族炭化水素
成分の液状体に冷却水を供給することによって塩化水素
の遊離成分を脂肪族炭化水素から分離させる第1冷却器
43と、冷却後の液状体を収容する第1収容部44とが
設けられている。また、上記第2処理系42には、脂肪
族炭化水素成分のガス状体を冷却水で冷却することによ
ってその一部を液化させるとともに、塩化水素の遊離成
分を脂肪族炭化水素から分離させる第2冷却器45と、
この第2冷却器45から導出された脂肪族炭化水素の液
状体とガス状体との混合物を収容する第2収容部46と
が設けられている。
【0079】また、上記第1処理系41と第2処理系4
2とは合流部で合流し、この合流部には、第1収容部4
4および第2収容部46からそれぞれ導出された脂肪族
炭化水素成分の液状体を350°C程度に加熱してガス
状化させる加熱室48と、この加熱室48から導出され
たガス状体を脂肪族炭化水素と塩素成分とに分離するγ
−アルミナ等の脱塩素化触媒49を有する脱塩素化触媒
槽50と、この脱塩素化触媒槽50から導出されたガス
状体を冷却してその一部を液化させるとともに、分離さ
れた塩素成分を塩酸水として除去する第3冷却器51
と、この第3冷却器51から導出された液状体とガス状
体の混合物を収容する最終回収部52とが設けられてい
る。
【0080】そして、上記第1収容部44および第2収
容部46と、加熱室48と、脱塩素化触媒槽50と、第
3冷却器51と、最終回収部52とによって図2に示す
転化反応系30に対応する転化反応系が構成され、上記
最終回収部52において上記脂肪族炭化水素の液状体お
よびガス状体が燃料として回収されるとともに、必要に
応じて塩素成分が塩化水素等として回収されるようにな
っている。
【0081】上記のように第1回収部8の冷却温度を1
20°C程度に設定したため、上記第1回収部8の冷却
温度を120°Cよりもかなり低い温度に設定した場合
のように、この第1回収部8の導入口の近傍において大
量の無水フタル酸が結晶化して上記導入口が早期に閉塞
されるのを防止することができる。したがって、上記第
1回収部8の導入口に付着した無水フタル酸の結晶を頻
繁に取り除くという繁雑な作業を要することなく、上記
第1回収部8において無水フタル酸を適正状態で結晶化
させ、これを効果的に回収することができる。
【0082】また、上記第1回収部8の冷却温度を12
0°Cよりもかなり高い温度に設定した場合には、上記
無水フタル酸の結晶化が不十分となって上記脂肪族炭化
水素成分中に無水フタル酸が混入されるという事態が生
じる。これに対して上記のように第1回収部8の冷却温
度を120°C程度、好ましくは120°Cよりもやや
低い温度に設定した構成によると、この第1回収部8に
おいて、上記無水フタル酸を確実に結晶化させて捕集す
ることができるので、上記脂肪族炭化水素成分中に無水
フタル酸が混入されることを確実に防止することができ
る。
【0083】そして、上記のように第1回収部8の冷却
温度を120°C程度に設定した場合には、上記脂肪族
炭化成分中に、DOPからなる可塑剤が分解されること
によって生成されたオクテン等の脂肪族炭化水素の液状
体と、DBPからなる可塑剤が分解されることによって
生成されたブテン等の脂肪族炭化水素のガス状体とが混
在することになるが、上記液状体とガス状体とを第1回
収部8から上記第1収容部42と第2収容部44とに分
離して導出するように構成したため、上記液状体および
ガス状体中に混入された塩素化物をそれぞれ効果的に除
去し、燃料として優れた特性を有する脂肪族炭化水素油
または脂肪族炭化水素ガスを回収することができる。
【0084】すなわち、上記第1回収部8の底壁部から
導出された脂肪族炭化水素成分の液状体を上記第1冷却
器43からなる脱塩素化手段に供給し、上記液状体中の
塩化水素を除去するとともに、上記第1回収部8の上壁
部から導出された脂肪族炭化水素成分のガス状体を上記
第2冷却器45からなる脱塩素化手段に供給し、このガ
ス状体中の塩化水素を除去するように構成したため、遊
離状態の塩素成分が上記脂肪族炭化水素油または脂肪族
炭化水素ガス中に混入することを効果的に防止すること
ができる。
【0085】また、上記第1冷却器43から第1収容部
44に導出された脂肪族塩化水素の液状体を上記加熱室
45に供給して加熱することによりガス状化させた後、
このガス状体を上記脱塩素化触媒槽50からなる脱塩素
化手段に供給し、γ−アルミナ等からなる脱塩素化触媒
49に接触させて脱塩素化処理することにより、上記脂
肪族炭化水素の塩素化物から塩素成分を分離するように
構成したため、この分離された塩素成分、つまり分離塩
素成分を上記第3冷却器51において効果的に除去し、
燃料として優れた特性を有する脂肪族炭化水素油および
脂肪族炭化水素ガスに転化した状態で、上記最終回収部
52において回収することができる。
【0086】さらに、上記第2冷却器45から導出され
た脂肪族炭化水素のガス状体を第2収容部46に供給す
るように構成したため、この第2収容部46において上
記ガス状体を燃料ガスとして回収することができる。ま
た、上記第2冷却器45において液化された脂肪族炭化
水素成分の液状体を第2回収部46から上記加熱室48
に供給するように構成したため、この加熱室48におい
て上記液状体をガス化させた後、上記脱塩素化触媒槽4
9において脱塩素化処理することにより、脂肪族炭化水
素の塩素化物から塩素成分を分離した状態で脂肪族炭化
水素油および脂肪族炭化水素ガスを上記最終回収部52
において回収し、その有効利用を図ることができる。
【0087】なお、上記第2冷却器45および第2回収
部46を省略し、第1回収部8の上壁部から導出された
脂肪族炭化水素成分のガス状体を上記脱塩素化触媒槽4
9に直接供給し、この脱塩素化触媒槽49において、ガ
ス体中の塩素成分を分離して脱塩素化処理するように構
成してよい。また、上記第1処理系41および第2処理
系42にそれぞれ脱塩素化触媒槽および最終回収部を設
け、上記脂肪族炭化水油と脂肪族炭化水素ガスとを各最
終回収部において別々に回収するように構成してもよ
い。
【0088】上記実施例では、脂肪族炭化水素成分中の
塩素成分を除去する上記第1冷却器43、第2冷却器4
5および第3冷却器51からなる脱塩素化手段と、脂肪
族炭化水素の塩素化物から塩素成分を分離する脱塩素化
触媒槽50からなる脱塩素化手段との両方を設けた例に
ついて説明したが、上記両脱塩素化手段の一方を省略し
た構造としてもよい。
【0089】また、必ずしも上記第1回収部8に第1処
理系41と第2処理系42との両方を設置する必要はな
く、例えば可塑剤としてフタル酸ジオクチル(DOP)
を含有する有機材料だけを処理する場合には、脂肪族炭
化水素成分のガス状体が導出されることがないので、上
記第2処理系42を省略した構造とすることができる。
また、可塑剤としてフタル酸ジブチル(DBP)を含有
する有機材料だけを処理する場合には、脂肪族炭化水素
成分の液状体が導出されることがないので、上記第1処
理系41を省略した構造とすることができる。
【0090】(実験例) 本発明に係る有機材料の分解回収方法および同装置の効
果を確認するために行った実験例について以下に説明す
る。この実験は、図4に示すように、石英ガラス容器1
6内に、可塑剤としてDOPを含有する10gのポリ塩
化ビニル(PVC)からなる有機材料17を入れ、石英
ガラス容器16の一端部から窒素ガスを供給しつつ上記
有機材料17を約300°Cの温度で、約30分間に亘
り加熱することにより生成された成分を分析することに
よって行った。
【0091】上記石英ガラス容器16内にγ−アルミナ
系触媒(比表面積300m2/g)からなる固体酸触媒
18を設置して接触分解する第1実験例において、石英
ガラス容器16の中間部で約80°Cの温度に保持され
た第1回収部に生成された針状結晶19と、石英ガラス
容器16の他端部に設置された第2回収部20で回収さ
れたガス状成分と、分解残渣とを計量したところ、図5
の(A)に示すようなデータが得られた。このデータか
ら0.9gの針状結晶からなる無水フタル酸が生成さ
れ、上記有機材料17中の可塑剤が略100%回収され
たことが確認された。
【0092】また、上記石英ガラス容器16内に合成ゼ
オライト(モービル石油株式会社製の商品名「H−ZS
M−5」ケイバン比70)からなるゼオライト系触媒を
固体酸触媒18として設置した第2実験例においては、
図5の(B)に示すように、1.0gの針状結晶19か
らなる無水フタル酸が得られ、上記有機材料17中の可
塑剤が略100%回収されたことが確認された。
【0093】これに対して上記固体酸触媒18を設置す
ることなく、上記有機材料17を熱分解する第3実験例
においては、図5の(C)に示すように、0.3gの針
状結晶からなる無水フタル酸が得られ、上記可塑剤の回
収率が約30%であることが確認された。また、上記固
体酸触媒18を使用した実験を繰り返すことにより、塩
化水素によって被爆したγ−アルミナ系触媒およびゼオ
ライト系触媒を使用した第4,第5実験例においては、
図5の(D),(E)に示すデータが得られた。
【0094】このデータから、上記各固体酸触媒18が
塩化水素によって被爆した場合には、上記可塑剤の回収
率が70%および40%に低下し、その分解機能が低下
することが確認され、特に上記ゼオライト系触媒の場合
には、γ−アルミナ系触媒に比べて分解機能の低下が著
しいことがわかる。
【0095】また、上記固体酸触媒18を使用していな
い第3実験例、および被爆した固体酸触媒18を使用し
た第4,第5実験例においては、それぞれ図5の(C)
〜(E)に示すように、2.0g,1.4gおよび2.
0gの液状成分21が石英ガラス容器16内に生成され
た。これに対して被爆していない状態の固体酸触媒18
を使用した場合には、上記液状成分21の生成が確認さ
れなかった。
【0096】上記石英ガラス容器16内に生成された液
状成分21を、ガスクロマトグラフによって分析したと
ころ、図6〜図8に示すようなデータが得られた。この
データから、上記固体酸触媒を使用しない第3実験例、
塩化水素で被爆したγ−アルミナ系触媒を使用した第4
実験例、および塩化水素で被爆したゼオライト系触媒を
使用した第5実験例では、上記有機材料が分解すること
によって生成されたオクテン、塩化オクチルおよびオク
タノールに加え、それぞれ所定量のDOPからなる可塑
剤が分解されず、そのままの状態で残留していることが
確認された。そして、塩化水素で被爆したγ−アルミナ
系触媒を使用した第4実験例では、上記第3,第5実験
例に比べて可塑剤の残留量が少ないことがわかる。
【0097】また、上記石英ガラス容器16に設置され
た回収部21において回収されたガス状成分を、ガスク
ロマトグラフによって分析したところ、図9〜図13に
示すようなデータが得られた。このデータから、γ−ア
ルミナ系触媒からなる固体酸触媒18を使用した第1実
験例では、図9に示すように、多量のオクテンからなる
低分子量の脂肪族炭化水素成分が生成されていることが
確認された。
【0098】これに対してゼオライト系触媒からなる固
体酸触媒18を使用した第2実験例では、図10に示す
ように、上記脂肪族炭化水素成分がさらに低分子化され
たプロピレンが多量に生成されていることが確認され、
上記固体酸触媒を使用しない第3実験例、塩化水素で被
爆したゼオライト系触媒を使用した第5実験例では、図
11ないし図13に示すように、ベンゼンまたはオクテ
ン等からなる低分子量の脂肪族炭化水素成分が少量しか
生成されていないことが確認された。
【0099】そして、塩化水素で被爆したγ−アルミナ
系触媒を使用した第4実験例では、上記オクテン等から
なる低分子量の脂肪族炭化水素成分が被爆前に比べてあ
る程度低下するが、その生成量が上記第3,第5実験例
に比べて多いことがわかる。
【0100】次に、上記一次分解系2の一次加熱室1に
おける有機材料のガス状化速度を測定する実験を行った
ところ、図14に示すようなデータが得られた。すなわ
ち、ポリ塩化ビニル(PVC)からなる有機材料1g
を、300°Cの温度で加熱してその気化率を測定した
ところ、最大気化速度が約0.1g/minとなり、全
ての有機材料をガス状化させるためには、最低でも10
分を要することが確認された。
【0101】また、上記一次分解系2の第1触媒槽10
における可塑剤の分解効率を測定する実験を行い、有機
材料中に含有されたDOPからなる可塑剤のガス状成分
1gに対する固体酸触媒の使用量を変化させるととも
に、その加熱温度を種々変化させたところ、図15に示
すようにデータが得られた。なお、上記固体酸触媒とし
て非晶質のアルミナ系触媒(比表面積200m2/g)
を使用した。
【0102】すなわち、上記第1触媒槽10の触媒量と
可塑剤のガス状成分量との重量比を0.5/1,1/1
および2/1に設定するとともに、上記固体酸触媒の温
度を300°C,350°Cおよび400°Cに設定し
て上記可塑剤の分解率をそれぞれ測定した結果、十分な
分解効率を得るためには、上記重量比を1/1以上に設
定することが望ましく、かつ触媒の加熱温度を350°
C以上に設定することが望ましいことが確認された。
【0103】次に、上記転化反応系30において脂肪族
炭化水素の塩素化物から塩素成分を除去して上記塩素化
物を脂肪族炭化水素に転化させる実験例について以下に
説明する。すなわち、一次分解系2を有する反応装置に
よってDOPからなる可塑剤を含有するポリ塩化ビニル
の廃材からなる有機材料を分解し、その第2回収部9に
おいて回収された脂肪族炭化水素成分の液状体を上記転
化反応系30を有する反応装置によって転化反応させる
実験を行い、その成分を分析したところ、図16および
図17に示すようなデータが得られた。なお、上記転化
反応系30の脱塩素化触媒として非晶質のアルミナ系触
媒(比表面積300m2/g)を使用した。
【0104】上記第1回収部9において回収された炭化
水素成分中には、図16に示すように、オクテンからな
る脂肪族炭化水素成分に加え、多量の塩化オクチルから
なる脂肪族炭化水素の塩素化物が混入されているのに対
し、上記転化反応系30の反応装置によって回収された
炭化水素成分中には、図17に示すように、上記塩素化
物の存在が認められず、そのほとんど全てが脂肪族炭化
水素に転化されたことが確認された。
【0105】また、上記有機材料としてDNP(フタル
酸ジノニル)からなる可塑剤を含有するポリ塩化ビニル
の廃材を使用して同様の実験を行ったところ、以下に示
すようなデータが得られた。すなわち、上記第1回収部
9において回収された炭化水素成分中には、図18に示
すように、オクテンおよびノネンからなる脂肪族炭化水
素成分に加え、多量の塩化オクチルおよび塩化ノニルか
らなる脂肪族炭化水素の塩素化物が混入されているのに
対し、上記転化反応系30の反応装置によって回収され
た炭化水素成分中には、図19に示すように、塩素化物
の存在が少量しか確認されず、そのほとんどが脂肪族炭
化水素に転化されたことが確認された。
【0106】なお、上記転化反応系30において回収さ
れた塩化オクチルおよび塩化ノニルからなる少量の脂肪
族炭化水素の塩素化物は、分留塔35から収容部31に
戻されて再度、転化反応が行われることにより、オクテ
ンおよびノネン等の脂肪族炭化水素に転化されることに
なる。
【0107】次に、上記転化反応系30の脱塩素化触媒
槽34に充填された脱塩素化触媒33による脱塩素化促
進作用を確認するために行った実験例について説明す
る。すなわち、非晶質のアルミナ系触媒(比表面積30
0m2/g)が充填された脱塩素化触媒槽34に塩化オ
クチルを供給して約300°Cの温度で加熱した後、回
収された油分を分析したころ、図20に示すようなデー
タが得られた。このデータから上記塩化オクチルの大部
分がオクテンに転化され、塩化オクチルおよびその異性
体の残留量が極めて少なくなっていることが確認され
た。
【0108】また、非晶質のアルミナ系触媒(比表面積
200m2/g)が充填された脱塩素化触媒槽34に塩
化オクチルを供給して同様の実験を行ったところ、図2
1に示すようなデータが得られた。この実験例では、上
記比表面積が300m2/gのアルミナ系触媒を使用し
た上記実験例に比べ、塩化オクチルの残留量が多くなっ
ているが、供給された塩化オクチルのうちのかなりの量
がオクテンに転化されていることが確認された。
【0109】次いで、非晶質のアルミナ系触媒(比表面
積140m2/g)が充填された脱塩素化触媒槽34に
塩化オクチルを供給して同様の実験を行ったところ、図
22に示すように、塩化オクチルの残留量がさらに多く
なっているが、供給された塩化オクチルがある程度オク
テンに転化されていることが確認された。これらのデー
タから上記脱塩素化触媒33の比表面積が大きいほど転
化効率が高いことがわかる。
【0110】これに対し、上記脱塩素化触媒33を使用
することなく、上記塩化オクチルを300°Cに加熱す
ることにより、塩化オクチルをオクテンに転化させる実
験を行ったところ、図23に示すように、オクテンへの
転化がほとんど認められなかった。このデータから、脱
塩素化触媒33を使用しなければ上記脂肪族炭化水素の
塩素化物を効果的に脂肪族炭化水素に転化することがで
きないことが確認された。
【0111】次に、上記転化反応系30の加熱室32に
おける脂肪族炭化水素の塩素化物をガス状化速度を測定
する実験を行ったところ、図24に示すようなデータが
得られた。すなわち、塩化オクチル1gを、300°C
の温度で加熱してその熱重量減量率を測定したところ、
最大減量率が約0.1g/minとなり、全ての塩化オ
クチルをガス状化させるためには、最低でも10分を要
することが確認された。
【0112】また、上記転化反応系30の脱塩素化触媒
槽34における塩化オクチルのオクテンへの転化率を測
定する実験を行い、塩化オクチル1gに対する脱塩素化
触媒33の使用量を変化させるとともに、その加熱温度
を種々変化させたところ、図25に示すようにデータが
得られた。
【0113】すなわち、上記脱塩素化媒槽34の触媒量
と塩化オクチルとの重量比を0.5/1、1/1および
2/1に設定するとともに、上記脱塩素化触媒33の温
度を300°C、350°Cおよび400°Cに設定し
て上記塩化オクチルのオクテンへの転化率をそれぞれ測
定した結果、転化を効果的に行うためには、上記重量比
を1/1以上に設定することが望ましく、かつ脱塩素化
触媒33の加熱温度を300°C以上に設定することが
望ましいことが確認された。なお、上記脱塩素化触媒3
3として非晶質のアルミナ系触媒(比表面積200m2
/g)を使用した。
【0114】次に、図4に示す実験装置を使用し、可塑
剤としてDBPを含有するポリ塩化ビニールからなる1
0gの有機材料を約300°Cの温度で加熱し、上記可
塑剤を分解することによって生成された脂肪族炭化水素
ガスを回収する実験を行ったところ以下のようなデータ
が得られた。すなわち、アルミナ系触媒からなる固体酸
触媒18を使用した場合には、図26に示すように、
1.0gの無水フタル酸からなる針状結晶と、4.1g
のガス状成分とが得られた。そして、上記ガス状成分に
は、塩酸ガスと、ブテンガスと、塩化ブチルガスとが混
在しており、かなりの量の脂肪族炭化水素ガスを回収で
きることが確認された。
【0115】これに対して上記固体酸触媒を使用しなっ
た場合には、図27に示すように、2.0gの液状成分
と、0.4gの針状結晶と、3.5gのガス状成分とが
得られ、このガス状成分はそのほとんどが塩酸ガスおよ
び塩化ブチルガスであり、少量のブテンガスしか得られ
ないことが確認された。なお、上記液状成分は未分解可
塑剤であるDBPが主体であった。
【0116】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1および請
求項9に係る発明は、フタル酸エステル系の可塑剤を含
有するプラスチック材またはゴム材を所定温度に加熱す
ることにより生成されたガス状の加熱生成物を、上記ア
ルミナ系触媒を有する触媒槽に供給して上記加熱生成物
中の可塑剤成分を接触分解するように構成したため、こ
の可塑剤成分を効果的に分解して無水フタル酸を生成
し、これを回収することによって工業的に有用な上記無
水フタル酸の有効利用を図ることができる。
【0117】また、請求項2および請求項10に係る発
明は、プラスチック材またはゴム材中に含有された可塑
剤および塩素成分を所定温度に加熱してガス状化させた
後、この加熱生成物を上記触媒槽において接触分解する
ことによって無水フタル酸と、塩化水素とを生成し、こ
の無水フタル酸と、塩化水素とを回収するように構成し
たため、上記無水フタル酸に加えて塩化水素の有効利用
を図ることができる。
【0118】しかも、上記アルミナ系触媒は、塩素成分
によって劣化しにくいという性質があるため、上記プラ
スチック材またはゴム材から分離された塩素成分によっ
て上記触媒の接触分解機能が損なわれるのを防止できる
という利点がある。
【0119】また、請求項3および請求項11に係る発
明は、プラスチック材またはゴム材中に含有された可塑
剤および塩素成分を所定温度に加熱してガス状化させた
後、この加熱生成物を上記触媒槽において接触分解する
ことによって無水フタル酸と、脂肪族炭化水素成分とを
生成し、この無水フタル酸と、脂肪族炭化水素成分とを
回収するように構成したため、上記無水フタル酸に加え
て脂肪族炭化水素成分の有効利用を図ることができる。
【0120】しかも、上記可塑剤が分解することによっ
て生成された脂肪族炭化水素成分に、上記可塑剤および
その分解成分が混入することによる上記脂肪族炭化水素
成分の純度が低下するのを効果的に防止することができ
る。
【0121】また、請求項4および請求項12に係る発
明は、一次分解系において上記可塑剤および塩素成分を
ガス化させるとともに、一次加熱後の残余材を二次分解
系において一次加熱温度よりも高い温度で加熱すること
により生成されたガス状の二次加熱生成物を、アルミナ
系触媒またはゼオライト系触媒等の固体酸触媒を有する
触媒槽に供給することによって接触分解するように構成
したため、上記一次分解系において、無水フタル酸を回
収してその有効利用を図ることができるとともに、上記
二次分解系において、上記残余材を効果的に分解して低
沸点炭化水素油等を生成することができる。
【0122】したがって、上記低沸点炭化水素油等を回
収することにより、その有効利用を図ることができる。
しかも、上記プラスチック材またはゴム材中に含有され
た塩素成分が二次分解系に導出されるのを防止すること
ができるため、この二次分解系に設けられた各機器が上
記塩化水素の影響を受けて腐食することを防止できると
いう利点がある。
【0123】請求項5および請求項13に係る発明は、
上記分解回収過程において生成されたオクテン等の脂肪
族炭化水素油と、その塩素化物とを有する脂肪族炭化水
素成分の液状体から分離塩素成分を除去した後、上記脂
肪族炭化水素成分を回収するように構成したため、プラ
スチック材またはゴム材中に含有されたDOPからなる
可塑剤を分解することにより生成した上記脂肪族炭化水
素成分を適正状態で回収してその有効利用を図ることが
できる。
【0124】また、請求項6および請求項14に係る発
明は、上記分解回収過程において生成されたブテン等の
脂肪族炭化水素ガスと、その塩素化物とを有する脂肪族
炭化水素成分のガス状体から分離塩素成分を除去した
後、上記脂肪族炭化水素成分を回収するように構成した
ため、プラスチック材またはゴム材中に含有されたDB
Pからなる可塑剤を分解することにより生成した上記脂
肪族炭化水素成分を適正状態で回収してその有効利用を
図ることができる。
【0125】また、請求項7および請求項15に係る発
明は、上記分解回収過程において生成された脂肪族炭化
水素成分を、オクテン等の脂肪族炭化水素油およびその
塩素化物を有する脂肪族炭化水素成分の液状体と、ブテ
ン等の脂肪族炭化水素ガスおよびその塩素化物を有する
脂肪族炭化水素成分のガス状体とに分離し、上記液状体
およびガス状体から分離塩素成分を除去した後、上記脂
肪族炭化水素成分を回収するように構成したため、DO
Pからなる可塑剤を含有するプラスチック材またはゴム
と、DBPからなる可塑剤を含有するプラスチック材
またはゴム材とが混在している場合においても、これら
のプラスチック材またはゴム材を分解することによって
無水フタル酸および脂肪族炭化水素成分を生成し、これ
らを適正状態で回収してその有効利用を図ることができ
る。
【0126】また、請求項8および請求項16に係る発
明は、上記分解回収過程において生成された脂肪族炭化
水素成分を脱塩素化触媒層に供給して脱塩素化処理を施
すように構成したため、上記脂肪族炭化水素成分を構成
する脂肪族炭化水素の塩素化物から塩素成分を効果的に
分離させることができる。したがって、上記脂肪族炭化
水素の塩素化物を、燃料として利用価値の高い脂肪族炭
化水素油または脂肪族炭化水素ガスに転化させて回収
し、その有効利用を図ることができるという利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラスチック材またはゴム材の分
解回収装置の実施例を示す説明図である。
【図2】転化反応系の構成を示す説明図である。
【図3】第1処理系および第2処理系を有する分解回収
装置の実施例を示す説明図である。
【図4】本発明に係るプラスチック材またはゴム材の分
解回収方法の実験装置を示す説明図である。
【図5】(A)〜(E)はそれぞれ実験により生成され
た成分量の分析データを示すグラフである。
【図6】触媒なしの第3実験例における液状成分の分析
データを示すガスクロマトグラフィである。
【図7】被爆γ−アルミナ系触媒を使用した第4実験例
における液状成分の分析データを示すガスクロマトグラ
フィである。
【図8】被爆ゼオライト系触媒を使用した第5実験例に
おける液状成分の分析データを示すガスクロマトグラフ
ィである。
【図9】γ−アルミナ系触媒を使用した第1実験例にお
けるガス状成分の分析データを示すガスクロマトグラフ
ィである。
【図10】ゼオライト系触媒を使用した第2実験例にお
けるガス状成分の分析データを示すガスクロマトグラフ
ィである。
【図11】上記第3実験例におけるガス状成分の分析デ
ータを示すガスクロマトグラフィである。
【図12】上記第4実験例におけるガス状成分の分析デ
ータを示すガスクロマトグラフィである。
【図13】上記第5実験例におけるガス状成分の分析デ
ータを示すガスクロマトグラフィである。
【図14】一次分解室におけるポリ塩化ビニルのガス状
化速度の測定データを示すグラフである。
【図15】脱塩素化触媒槽における可塑剤の分解率の測
定データを示すグラフである。
【図16】一次熱分解系において回収された炭化水素成
分の分析データを示すガスクロマトグラフィである。
【図17】転化反応系において回収された炭化水素成分
の分析データを示すガスクロマトグラフィである。
【図18】一次分解系において回収された炭化水素成分
の分析データを示すガスクロマトグラフィである。
【図19】転化反応系において回収された炭化水素成分
の分析データを示すガスクロマトグラフィである。
【図20】塩化オクチルの転化データを示すガスクロマ
トグラフィである。
【図21】塩化オクチルの転化データを示すガスクロマ
トグラフィである。
【図22】塩化オクチルの転化データを示すガスクロマ
トグラフィである。
【図23】塩化オクチルの転化データを示すガスクロマ
トグラフィである。
【図24】転化反応系の加熱室における塩化オクチルの
ガス状化速度の測定データを示すグラフである。
【図25】脱塩素化触媒槽における塩化オクチルの転化
率の測定データを示すグラフである。
【図26】アルミナ系触媒を使用した場合のDBPの分
解実験データを示すグラフである。
【図27】アルミナ系触媒を使用しない場合のDBPの
分解実験データを示すグラフである。
【符号の説明】
1 一次加熱室 3 二次加熱室 7 第1触媒槽 8 第1回収部 9 第2回収部 10 固体酸触媒(アルミナ系触媒) 12 第2触媒槽 15 第3回収部 32 加熱室 33 脱塩素化触媒 34 脱塩素化触媒槽 37 最終回収部 41 第1処理系 42 第2処理系 49 脱塩素化触媒 50 脱塩素化触媒層 52 最終回収部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村岡 明美 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−238182(JP,A) 特開 平6−220463(JP,A) 特公 昭51−15078(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 307/89

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フタル酸エステル系の可塑剤を含有する
    プラスチック材またはゴム材を上記可塑剤をガス状化し
    得る温度に加熱した後、この加熱生成物をアルミナ系触
    媒を有する触媒槽に供給することにより、上記加熱生成
    物中の可塑剤を接触分解して無水フタル酸を生成した
    後、少なくともこの無水フタル酸を回収するようにした
    ことを特徴とするプラスチック材またはゴム材の分解回
    収方法。
  2. 【請求項2】 フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素成
    分とを含有するプラスチック材またはゴム材を上記可塑
    剤および塩素成分をガス状化し得る温度に加熱した後、
    この加熱生成物をアルミナ系触媒を有する触媒槽に供給
    することにより、上記加熱生成物中の可塑剤を接触分解
    して無水フタル酸を生成した後、この無水フタル酸と、
    上記塩素成分が分解することによって生成された塩化水
    素とをそれぞれ回収するようにしたことを特徴とする
    ラスチック材またはゴム材の分解回収方法。
  3. 【請求項3】 フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素成
    分とを含有するプラスチック材またはゴム材を上記可塑
    剤および塩素成分をガス状化し得る温度に加熱した後、
    この加熱生成物をアルミナ系触媒を有する触媒槽に供給
    することにより、上記加熱生成物中の可塑剤を接触分解
    して無水フタル酸と脂肪族炭化水素成分とを生成した
    後、この無水フタル酸と脂肪族炭化水素成分とをそれぞ
    れ回収するようにしたことを特徴とするプラスチック材
    またはゴム材の分解回収方法。
  4. 【請求項4】 フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素成
    分とを含有するプラスチック材またはゴム材を上記可塑
    剤および塩素成分をガス状化し得る温度に加熱して一次
    加熱生成物を生成した後、この一次加熱生成物をアルミ
    ナ系触媒を有する第1触媒槽に供給することにより、上
    記一次加熱生成物中の可塑剤を接触分解して無水フタル
    酸を生成した後、少なくともこの無水フタル酸を回収
    し、かつ上記一次加熱後の残余材を一次加熱温度よりも
    高い温度で加熱することによって二次加熱生成物を生成
    した後、固体酸触媒を有する第2触媒槽に上記二次加熱
    生成物を供給することにより、上記残余材の炭化水素成
    分を接触分解して低沸点炭化水素油を生成した後、少な
    くともこの低沸点炭化水素油を回収するようにしたこと
    を特徴とするプラスチック材またはゴム材の分解回収方
    法。
  5. 【請求項5】 フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素成
    分とを含有するプラスチック材またはゴム材フタル酸
    回収過程の途中で生成された脂肪族炭化水素およびその
    塩素化物からなる脂肪族炭化水素成分の液状体から分離
    した分離塩素成分を除去した後、少なくとも脂肪族炭化
    水素成分を回収するように構成したことを特徴とする請
    求項2ないし4のいずれかに記載のプラスチック材また
    はゴム材の分解回収方法。
  6. 【請求項6】 フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素成
    分とを含有するプラスチック材またはゴム材フタル酸
    回収過程の途中で生成された脂肪族炭化水素およびその
    塩素化物からなる脂肪族炭化水素成分のガス状体から
    離した分離塩素成分を除去し、少なくとも脂肪族炭化水
    素成分を回収するように構成したことを特徴とする請求
    項2ないし4のいずれかに記載のプラスチック材または
    ゴム材の分解回収方法。
  7. 【請求項7】 フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素成
    分とを含有するプラスチック材またはゴム材フタル酸
    回収過程の途中で生成された脂肪族炭化水素およびその
    塩素化物からなる脂肪族炭化水素成分を液状体とガス状
    体とに分離した後、この脂肪族炭化成分のガス状体およ
    び液状体からそれぞれ分離した分離塩素成分を除去し、
    少なくとも脂肪族炭化水素成分を回収するように構成し
    たことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載
    プラスチック材またはゴム材の分解回収方法。
  8. 【請求項8】 フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素成
    分とを含有するプラスチック材またはゴム材フタル酸
    回収過程の途中で生成された脂肪族炭化水素およびその
    塩素化物からなる脂肪族炭化水素成分を、脱塩素化触媒
    を有する脱塩素化触媒槽に供給することにより、上記脂
    肪族炭化水素の塩素化物から塩素成分を分離してこの分
    離塩素成分を除去した後、少なくとも脂肪族炭化水素を
    回収するように構成したことを特徴とする請求項5ない
    し7のいずれかに記載のプラスチック材またはゴム材
    分解回収方法。
  9. 【請求項9】 フタル酸エステル系の可塑剤を含有する
    プラスチック材またはゴム材をこの可塑剤をガス状化し
    得る温度に加熱する加熱室と、この加熱室から導出され
    た加熱生成物中の上記可塑剤を接触分解して無水フタル
    酸を生成するアルミナ系触媒を有する触媒槽と、上記加
    熱生成物中から少なくとも無水フタル酸を分離して回収
    する回収部とを設けたことを特徴とするプラスチック材
    またはゴム材の分解回収装置。
  10. 【請求項10】 フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素
    成分とを含有するプラスチック材またはゴム材を上記可
    塑剤および塩素成分をガス状化し得る温度に加熱する加
    熱室と、この加熱室から導出された加熱生成物中の可塑
    剤を接触分解して無水フタル酸を生成するアルミナ系触
    媒を有する触媒槽と、上記加熱生成物中から無水フタル
    酸を分離して回収する第1回収部と、上記塩素成分が分
    解することによって生成された塩化水素を回収する第2
    回収部とを設けたことを特徴とするプラスチック材また
    はゴム材の分解回収装置。
  11. 【請求項11】 フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素
    成分とを含有するプラスチック材またはゴム材を上記可
    塑剤および塩素成分をガス状化し得る温度に加熱する加
    熱室と、この加熱室から導出された加熱生成物中の可塑
    剤を接触分解して無水フタル酸および脂肪族炭化水素成
    分を生成するアルミナ系触媒を有する触媒槽と、上記加
    熱生成物中から無水フタル酸を分離して回収する第1回
    収部と、脂肪族炭化水素成分を回収する第2回収部とを
    設けたことを特徴とするプラスチック材またはゴム材
    分解回収装置。
  12. 【請求項12】 フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素
    成分とを含有するプラスチック材またはゴム材を上記可
    塑剤および塩素成分をガス状化し得る温度に加熱する一
    次加熱室と、この一次加熱室から導出された一次加熱生
    成物中の上記可塑剤を接触分解して無水フタル酸を生成
    するアルミナ系触媒を有する第1触媒槽と、上記一次加
    熱生成物中から無水フタル酸を分離して回収する第1回
    収部と、上記一次加熱後の残余材を一次加熱室の加熱温
    度よりも高い温度で加熱する二次加熱室と、この二次加
    熱室から導出された二次加熱生成物中の脂肪族炭化水素
    成分を接触分解して低沸点炭化水素成分を生成する固体
    酸触媒を有する第2触媒槽と、上記低沸点炭化水素成分
    を回収する第3回収部とを設けたことを特徴とするプラ
    スチック材またはゴム材の分解回収装置。
  13. 【請求項13】 フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素
    成分とを含有するプラスチック材またはゴム材フタル
    酸回収過程の途中で生成された脂肪族炭化水素およびそ
    の塩素化物からなる脂肪族炭化水素成分の液状体から塩
    素成分を分離する脱塩素化手段と、この脱塩素化手段に
    よって分離された分離塩素成分が除去された脂肪族炭化
    水素成分を回収する最終回収部とを設けたことを特徴と
    する請求項10ないし12のいずれかに記載のプラスチ
    ック材またはゴム材の分解回収装置。
  14. 【請求項14】 フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素
    成分とを含有するプラスチック材またはゴム材フタル
    酸回収過程の途中で生成された脂肪族炭化水素およびそ
    の塩素化物からなる脂肪族炭化水素成分のガス状体から
    塩素成分を分離する脱塩素化手段と、この脱塩素化手段
    によって分離された分離塩素成分が除去された脂肪族炭
    化水素成分を回収する最終回収部とを設けたことを特徴
    とする請求項10ないし12のいずれかに記載のプラス
    チック材またはゴム材の分解回収装置。
  15. 【請求項15】 フタル酸エステル系の可塑剤と、塩素
    成分とを含有するプラスチック材またはゴム材フタル
    酸回収過程の途中で生成された脂肪族炭化水素油および
    その塩素化物からなる脂肪族炭化水素成分の液状体を処
    理する第1処理系と、上記フタル酸回収過程の途中で生
    成された脂肪族炭化水素およびその塩素化物からなる脂
    肪族炭化水素のガス状体を処理する第2処理系と、上記
    液状体およびガス状体から塩素成分を分離する脱塩素化
    手段と、この脱塩素化手段によって分離された分離塩素
    成分が除去された脂肪族炭化水素成分を回収する最終回
    収部とを設けたことを特徴とする請求項10ないし12
    のいずれかに記載のプラスチック材またはゴム材の分解
    回収装置。
  16. 【請求項16】 脂肪族炭化水素の塩素化物から塩素成
    分を分離させる脱塩素化触媒を有する脱塩素化触媒槽か
    らなる脱塩素化手段を設けたことを特徴とする請求項1
    3ないし15のいずれかに記載のプラスチック材または
    ゴム材の分解回収装置。
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